平成21年8月
特許庁
1.日時
平成21年8月25日(火)13:30〜15:30
2.場所
特許庁庁舎16階 特別会議室
3.出席委員
野間口 有独立行政法人産業総合研究所 理事長(座長)
飯村 敏明知的財産高等裁判所 判事
大歳 卓麻日本アイ・ビー・エム株式会社 会長
大渕 哲也東京大学大学院法学政治学研究科 教授
奥山 尚一久遠特許事務所 弁理士
片山 英二阿部・井窪・片山法律事務所 弁護士・弁理士
佐々木 剛史トヨタ自動車株式会社 知的財産部長
白石 忠志東京大学大学院法学政治学研究科 教授
田中 昌利長島・大野・常松法律事務所 弁護士・弁理士
山本 敬三京都大学大学院法学研究科 教授
尹 宣熙漢陽大学校 法科大学 教授
渡部 俊也東京大学先端科学技術研究センター 教授
渡辺 裕二アステラス製薬株式会社 知的財産部長
4.議題
- (1)開会
- (2)産業財産権をめぐる国際動向と迅速・柔軟かつ適切な権利付与について
- (3)今後のスケジュール
- (4)閉会
5.議事要旨
事務局からの資料説明の後、討議を行ったところ、概要は以下のとおり。
<特許法条約(PLT)1加盟に向けた検討について>
- ○ 日本の手続は他国と比べかなり厳格。PLTには早く加盟することが望ましいが、当面はPLTに対応した出願要件の緩和があれば十分ではないか。
<仮出願制度2について>
- ○ PLT準拠の出願制度と仮出願制度とを併存させることは、特許制度を複雑にするので適切ではない。
- ○ 大学からは、常に使う制度として仮出願が必要というわけではないが、論文発表の競争が激しい技術分野ではニーズがあると聞いている。
- ○ 仮出願は一見良さそうだが、論文をそのまま出願すると後で困るおそれがある。
- ○ 大学の出願支援は、仮出願の導入によってではなく、大学のスタッフや弁理士等による人的支援により対処すべきではないか。
- ○ 産業界は仮出願を導入するニーズを全く感じない。
<審査着手時期の多段階化について>
- ○ 実施ができるようになるまで時間がかかる医薬品等においては、費用がかかっても、審査着手を繰り延べられる制度があれば有り難い。
- ○ 技術分野によってニーズに相違があるのではないか。
- ○ 繰延べを導入すると制度が複雑になる。
- ○ 出願人に発明を権利化する意思があるかどうかを、第三者が見極められるようにすることが必要。審査請求期間を長くするべきではない。
- ○ 審査着手時期の多段階化については、審査だけに限られない幅広い視点で、細部まで検討してみないとわからない。
- ○ ワークシェアリングの観点からタイムリーな審査が重要。審査着手時期をいたずらに延ばすことは疑問。
<特許の質の向上に向けた出願人・特許庁の役割について>
- ○ 先行技術調査義務をより強力に出願人に課すのが望ましい。
- ○ 進歩性について現行制度の基準を変える必要はない。問題は審査官による判断のばらつき。
- ○ 審査基準について、外部の意見を取り入れて客観的なものにしようとする努力は評価できる。進歩性のレベルについては、審査官の判断のみならず、裁判所もぶれのない判断ができるようにすることも重要。
- ○ 出願人の調査義務については、出願人と特許庁とのコストバランスを考慮して決定するのがよい。進歩性については、産業の発達という趣旨にかんがみ、状況に応じてレベルが修正されてもよい。
- ○ 裁判においても進歩性についての予見可能性が高まることが望ましい。
- ○ 進歩性のレベルは、国際的にみて日本だけ厳しいということがあってはならない。
- ○ 中小企業支援施策をしっかり充実させて、出願人による先行技術調査の意義を知らしめていく必要がある。
<第三者の役割(公衆審査3)について>
- ○ 公衆審査を確実にするためには、特許付与後に査定系4の特許無効化手続を導入するのがよい。
- ○ 出願公開後一定期間は特許査定をしないとすると、早期審査等で審査を早くした意味がなくなる。
- ○ 特許権が付与された後私権となった以上は、基本的に当事者が主体となって行う手続で争うべき。公衆審査的なものは、特許付与前に入れるべきではないか。
- ○ 審査の質が高まってきているので、公衆審査は現行のままで十分ではないか。
- ○ 異議申立の廃止自体が間違っていたかどうかという議論であるなら慎重に議論すべき。
- ○ 進歩性のレベルは、国際的にみて日本だけ厳しいということがあってはならない。
- ○ 特許権が付与された後に特許庁の裁量で再審査を行うような制度は導入すべきでない。
※本議事録は事務局の文責にて作成したものであり、出席者各位の了承を得たものではない。
1特許法条約(PLT)は、各国で異なる国内出願手続の統一及び簡素化による出願人の負担軽減を目的とし、さらに、手続上のミスによる特許権の失効を回復する等の救済を規定した条約。2000年6月に採択され、2005年4月に発効している。
2仮出願制度とは、後に正規出願を行うことを前提としてなす特許出願ができる米国特有の制度である。仮出願は公開されず、実体審査も行われない。また、仮出願から12ヶ月以内に対応する正規出願がなされない場合、自動的に放棄されたものとして扱われる。
3公衆審査とは、技術者を始めとする公衆の知見を活用して特許審査や付与された特許権の見直しを行うことで、特許の質の維持・向上を図る考え方である。
4特許無効化手続には、特許庁と出願人等との対立構造で審理を行う査定系手続と、特許権者と第三者との対立構造で審理を行う当事者系手続とが考えられる。なお、平成15年の法改正により無効審判に統合された異議申立制度は、査定系手続である。
- <この記事に関する問い合わせ先>
- 特許庁総務部総務課
- 担当:龍崎、片山
- 電話:03-3593-0436(直通)
- FAX :03-3593-2397
- E-mail:問い合わせフォーム
[更新日 2009.9.4]