| 1.イギリスの司法制度改革について(別添1、2) |
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| 1989年から1990年にかけて、サッチャー政権下のイギリスにおいて、規制緩和の一環としての司法制度改革が進められたが、その中心的課題として、バリスター、ソリシターといった法曹資格の業務範囲(特に、訴訟代理)の見直しが行われた。
現在では、この改革を受けて、上位裁判所(ハイコート)における弁理士の「訴訟を扱う権限」(ソリシターの権限)を認めることも検討されている。 |
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| 2.改革の成果 |
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| (1) | 隣接資格者への訴訟代理権の付与について |
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| 司法制度改革の結果、バー及びローソサエティ以外の専門職団体に対しても、大法官(The Lord Chanceller)及び4人の上席裁判官が諮問委員会の助言に基づき認可した場合には、構成員に対して法廷弁論権(the right of audience)又は訴訟を扱う権限(the right of conduct litigation)を付与することを認める制度が創設され(Courts and Legal Services Act 1990.)、隣接資格者への訴訟代理権の付与の道が開かれた。 |
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| その後、1997年11月、ソリシターの法律業務を補佐するリーガル・エグゼクティブの団体である法律専門職員協会に対してカウンティーコート等の下位裁判所における法廷弁論権を構成員に付与する権能が承認された。 |
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| (注) |
リーガル・エグゼクティブは、パラリーガル的な補助業務のみならず、実質的な法律相談も行っているとされる。 |
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| 現在、リーガル・エグゼクティブに続く2番目のケースとして、特許弁理士(Patent Agent)の団体である英国弁理士協会(CIPA)に対して構成員たる特許弁理士にハイコートにおける訴訟を扱う権限等(ソリシターの業務)を付与することを認めることが諮問委員会で認められ、大法官部(The Lord Chanceller's Department)において議会の最終決定に向けた準備が行われている。(別添3) |
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| (注) |
特許弁理士に認められることとなる権限の具体的内容(ともにソリシターの業務範囲) |
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パテントコートを含むハイコートにおける、発明、意匠、営業秘密、商標の保護及び不正競争に関する訴訟を扱う権限(the right of conduct litigation) |
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ハイコートにおける非公開(in chambers)審問等に関する弁論権(the right of audience) |
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| 構成員に訴訟代理権を付与する権限を認める上で必要となる倫理規定及び試験研修制度については、今後規定の整備を英国弁理士協会及び諮問委員会で詰めることとなっている。今のところ、4年間の訴訟実務経験があれば訴訟を扱う権限等を認める方向であるが、研修制度が整備された後は新たな研修を終了することにより訴訟追行権等を獲得することができるようにする予定。研修内容は現行のソリシターと遜色ない業務遂行能力を獲得できるものであることが必要となる。 |
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| 現時点では、1400人の英国弁理士協会の構成員(特許弁理士)のうち50名(約3.5%)が訴訟を扱う権限を獲得すると予想している。英国弁理士協会では一部の構成員のみが訴訟を扱う権限を有することにより特段の問題が生じるとは考えていない。なお、訴訟を扱う権限を有する特許弁理士に適用される倫理規定については、一般の特許弁理士に対しても適用することを予定している。 |
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| また、法廷弁論権(バリスターの業務)を構成員に付与する権能については、英国弁理士協会では訴訟を扱う権限の次の課題として考えている。 |
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| (2) | バリスター及びソリシターについて |
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| ソリシターのうち、法廷弁論権を認められた者は1996年7月末までに454人(開業ソリシター全体では55,673人)である。一般には、ソリシター事務所はバリスターに依頼することが多いと思われる。上位裁判所の法廷弁論権がソリシターに開放されればバーは衰退するという当初の予測は現実のものとはならなかった。 |
| 一方、数の面では改革前後で、ソリシターが約4.5万人から約6万人へ、バリスターが約6500人から約9000人へと、ともに増加しており、専門分化も進んでいる。 |
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| (1) | 改革以前の法曹資格の業務範囲 |
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バリスター |
| | 上位裁判所(ハイコート、控訴院、貴族院、刑事裁判所、枢密院司法委員会)及び下位裁判所(カウンティーコート等)の法廷弁論権(advocacy)を独占。 ソリシターの依頼を受けて法廷弁論を行う。(法廷弁論権) |
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ソリシター |
| | 依頼者から事件依頼を受けて、訴訟の準備やトライアル前の訴訟代理を行う。 (訴訟を扱う権限)
下位裁判所(カウンティーコート及び治安刑事裁判所)においては法廷弁論権を与えられていた。
訴訟業務以外では、不動産譲渡契約(conveyancing)、遺言の検認(probate)に関する法律業務のみがソリシターの独占業務とされていた。 |
| | (注)ハイコート |
:複雑で重要度の高い事件について処理するための裁判所、ロンドンの最高法院及び約130の地方支部からなる。 |
| | (注)カウンティコート | :少額の民事事件を処理するための裁判所、全国で約260箇所に設置。 |
| | (注)不動産譲渡契約に関しては、特に免許を受けた者はソリシターとの競合を許されていた。 |
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| (2) | 改革の趣旨と内容 |
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グリーンペーパー(1989.1.25) |
| | 英国の司法制度改革の基本理念を示すとともに、改正提案を行っている。 |
| | 訴訟代理に関しては、上位裁判所の公開法廷において弁論権を行使しうる者をバリスターのみに限定せず、弁論免許(advocacy certificate)を取得した者全員に拡大すること、及び、法律家でない者にも何らかの形で法廷弁論権を認めることを提案。 |
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Courts and Legal Services Act 1990.(1990.11.1.) |
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| | グリーンペーパーで提言された改革案のうち、議会での議論を経て法案化された改革の内容は以下のとおり。 |
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| a) |
バリスターの独占分野であった、上位裁判所の法廷弁論権について、3年以上の実務経験を経たソリシターが十分な弁論及び裁判官としての経験を有していると認められるか、あるいは2年間、カウンティ・コートで一定の割合でトライアルを担当して適格性の要件を満たした後に、試験に合格し、研修を受講した場合には法廷弁論権が認められることとなった。 |
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| b) |
バー及びローソサエティ以外の専門職団体に対しても、大法官(The Lord Chanceller)及び4人の上席裁判官が諮問委員会の助言に基づき認可した場合には、構成員に対して法廷弁論権又は訴訟を扱う権限を付与することを認める。(法廷弁論権の付与権限を認められた場合、法廷弁論の依頼を受けた場合、事件が自己の専門分野に属し、かつ適当な報酬が提供されている限り受認を拒否してはならないという「キャブランク・ルール」を専門職団体の内規で定めることが求められる。)
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| c) |
カウンティ・コートにおける法律家でない者による代理も、少額裁判手続については裁判官の許可を得ることなく認められるようになった。 |
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| d) |
ソリシターの不動産譲渡に関する法律業務も銀行等に解放された。 |