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第2回弁理士制度小委員会 議事録

開会

中山委員長

時間でございますので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会の第2回弁理士制度小委員会を開催いたします。
お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。
前回は事務局から改正弁理士法の施行状況等についての説明と弁理士制度に関して各団体等からの意見発表をちょうだいしたわけでございます。
本日は、弁理士試験・研修制度、弁理士法に規定する業務の2点につきまして皆様の御審議をしていただきたいと思います。

委員御紹介

稲垣秘書課長

それでは、議事に入ります前に最初に前回の第1回の委員会で御欠席されました委員が今回御出席になられておりますので、御紹介させていただきます。
大渕哲也委員でございます。
大渕委員、一言お願いいたします。

大渕委員

ただいま御紹介いただきました東京大学の大渕でございます。前回は海外出張中のため、やむを得ず欠席いたしまして失礼いたしました。
私自身の弁理士制度との接点と申しますのは、少し前に2年間ほど弁理士試験委員を務めたことがあるだけでありまして、その際には1年目は特許法、2年目は商標法を担当いたしました。このように弁理士制度との接点というのは実は今までさほどはありませんで、むしろいわば中立的な立場にあると言えるのではないかと思っております。このような中立的ないし客観的な視点から本審議会での議論にいささかでもお役に立てばと思っております。
議論の中身に関連いたしましては特に申し上げることもないのですが、一言だけ申し上げたいと思っております。
言うまでもございませんが、私は、弁理士制度というのは知的財産制度、特に産業財産制度においては非常に重要な役割を果たすものだと思っておりますので、この観点からは、運用の点を含めてどのような弁理士制度とするのが知的財産制度、特に産業財産制度にとってベストであるかという基本的な視点を中核に据えてこのような議論はなされるべきだと思っております。そして、そのためにはこの審議会での中心的な議論の対象であります弁理士制度だけではなくて、これに関連する諸制度も含めて総合的な考察を加えることが重要だと思っておりますし、それからまた議論の大前提といたしましては、客観的で正確な現状認識というのが不可欠となるものだと思っておりますので、この関係でできるだけそのようなデータを資料等に盛り込んでいただければと思っております。
簡単ですが、以上です。

稲垣秘書課長

ありがとうございました。
それでは、中山先生、お願いします。

配布資料の確認

中山委員長

それでは、事務局より配布資料の説明をお願いいたします。

小林弁理士室長

それでは、配布資料の確認をさせていただきます。
お手元にクリップどめの資料を配布させていただいておりますが、本日事務局の方で用意いたしました資料は3点でございます。
資料1が「弁理士試験のあり方について」。参考資料がついてございます。参考資料1-1「弁理士試験制度の概要」、参考資料1-2「各士業の試験科目について」、参考資料1-3「弁理士試験実施状況」、参考資料1-4「最近の弁理士試験の結果について」、参考資料1-5「弁理士試験志願者数・合格者数等推移」、参考資料1-6「東京理科大学知財専門職大学院における開講科目及び修了要件」、参考資料1-7「平成18年度専門職大学院一覧」、法科大学院を含むものでございます。参考資料1-8「各士業の試験免除について」。
2つ目の資料でございます。資料2「弁理士研修制度のあり方について」。参考資料2-1「日本弁理士会における研修について」、参考資料2-2「日本弁理士会の新人研修カリキュラムについて」、参考資料2-3「平成17年度日本弁理士会の既登録者向け研修カリキュラムについて」、参考資料2-4「弁理士業務の実態及び意識調査報告書」、参考資料2-5「新人研修の受講者数について」、参考資料2-6「各士業における登録時の実務経験要求有無、及び登録後の義務研修の有無について」。
3つ目の資料でございます。資料3「弁理士法に規定する業務について」。
それから、一番下にございますのは、本日三尾委員から「弁理法に規定する業務に関する意見」の提出がございましたので、お手元にお配りさせていただいております。
本日は以上18点の資料を配布させていただいております。
以上でございます。

中山委員長

不足はございませんでしょうか。
よろしゅうございましょうか。

弁理士試験のあり方について

中山委員長

それでは、早速、議事に入りたいと思います。初めは「弁理士試験のあり方について」の資料に基づきまして、事務局から説明をお願いいたします。

稲垣秘書課長

それでは、お手元の資料1に基づきまして弁理士試験のあり方について御説明をさせていただきたいと思います。
まず資料1の1ページ目からでございますが、弁理士試験制度の概要と現状でございます。
(1)の1にございますように、そもそも弁理士試験は弁理士となるのに必要な学識及び応用能力を有するか否か判定することを目的とするということが弁理士法第9条に規定されております。
それを受けまして、具体的な試験の範囲といたしましては、必須科目といたしまして産業財産権法に関する学識及び応用能力、専門科目としまして技術又は民法等の法律に関する学識及び応用能力を試験で考査すべきということが規定されております。
具体的には試験につきましては、参考資料1-1で弁理士試験制度の概要という紙がございます。ポンチ絵でございますので、それをごらんいただきながらお聞きいただければと思いますが、短答式の筆記試験につきましては全体で60問ございますが、具体的には工業所有権四法である特許、実用、意匠、商標について40問、工業所有権に関する条約について10問、著作権法、不正競争防止法がそれぞれ5問ということで計60問の試験を行っております。
ちなみに、平成17年度につきましては大体受験者1万人ぐらいの中で短答合格者が3000人ぐらいということで3割程度が合格となっています。
続きまして、論文式筆記試験でございますが、必須科目といたしまして、工業所有権法である特許・実用、意匠、商標の3科目が必須でございまして、それに加えまして、選択科目が1科目ございます。これは技術区分の6科目及び法律区分の1科目の計7科目から1科目を選択して答えるということになっております。
平成17年度におきましては3000人程度の方が論文試験を受けたわけでございますが、合格者は738人、約26%の合格率でございます。
その後に口述試験、これは95%ぐらい合格されますけれども、それを経て弁理士試験合格ということになっております。
2ページ目の4でございますが、試験の免除がございます。aにございますように、筆記試験、これは短答、論文まででございますが、それに合格した者は次回の弁理士試験の筆記試験が免除されて、口述試験のみを受ければいいということになっております。
bでございますが、これはほとんど実例はございませんけれども、特許庁で5年以上審査実務に従事した者に対しては工業所有権法の必須科目及び口述試験が免除されます。
それから、多いのがcの選択科目について行う論文式試験の免除でございますが、他の公式資格の保持者、あるいは大学院レベルの知識、応用能力を有している者ということで、2ページ目の一番下にございますが、多いのは選択問題に関する分野の研究により、学校教育法68条の2に規定する修士又は博士の学位を有する者、その他、3ページ目に他の公的資格等ございますけれども、具体的には大学院でこういう理工系の科目について卒業論文を書いて修了している者につきましては論文式試験の当該対応する選択科目免除ということになりまして、実際に平成17年度の弁理士試験におきましては、最終合格者711名のうち選択科目免除の者が480名、最終合格者の68%を占めております。
それから、3ページの(2)でございますが、弁理士試験制度の変遷でございます。これは明治32年にできて以来、基本的な構造は大きくは変化してございません。
ただ、4ページ目にまいりまして、平成12年法によりまして、例えば2にございますように、業務の拡大に伴いまして著作権法と不正競争防止法についても短答式試験の対象に加えた。あるいは3にございますように、条約を論文式試験の対象から単体としては対象外にする。これは下の脚注に書いてございますように、いわゆる条約単体としては論文式試験の対象外としたわけでございますけれども、平成14年度以降の試験では条約科目はむしろ工業所有権法の科目である特許、意匠、商標の科目の中であわせて条約の知識及び解釈を問うような問題を毎年出題するということで、具体的にどういう問題かということは下の脚注に書いてございますが、そういう運用に変更されております。
それから、45は先ほど少し触れました選択科目でございますが、選択科目につきましては科目数を大幅に整理した。それから、他資格者からの免除制度を設けたというような内容の改正が平成12年に行われております。
5ページ目にそういう試験制度の見直しの効果でございますが、(2)の1でございますけれども、「受験者数、合格者数とも増加をたどっており、平成17年度には受験者数で9000人を越え」と書いてございますが、今年度は受験者数が1万人を超えたというような状況になっております。
それから、当初期待されていました受験者の平均年齢が若くなるのではないかということですが、参考資料1-4を御覧いただくと最近の試験結果をつけてございますが、まず平均年齢につきましては、真ん中辺にございますけれども、残念ながら数年前と比べてほとんど変化なし、大体34歳ぐらいということで推移しているという状況でございます。ただ、下から3つ目の欄でございますが、平均受験回数につきましては昔の5回あるいは4回以上というところから、まだ3回は切っておりませんけれども、3.6回、3.4回くらいにはなっておりますというのが現状でございます。
それから、資料の6ページでございますが、先ほど御説明したように、他資格者、あるいは大学院修了者の割合が増えてきているということでございます。
それでは、今どういったような問題点が指摘されているかということでございますが、まず試験範囲につきましては、(1)にございますように、平成12年の見直しによりまして、条約問題については単体では論文の試験の対象としていないということでございます。先ほど御説明したように、短答式問題の中で60問中の10問出されております。
こういった中で、最近の合格者には条約の勉強を行わずに弁理士試験に合格して、条約の知識が不足している者が増えているのではないかという指摘、あるいは条約に関して短答式試験のみでは不十分であり、単独の科目として論文式試験に復活させるべきではないかという指摘もございます。
まず条約の問題についてどういう状況かということについて調べたのが(2)でございますが、具体的には平成17年度、直近の弁理士試験についてデータをきちんと調べてみました。その結果、短答式試験における条約についての正答率が56.4%でございまして、他の分野における正答率53.7%と比べて特段低いとの傾向は認められておりません。
また、平成17年度の論文式試験では、先ほどの脚注の4にございましたように、商標法の問題の中であわせて条約の解釈・判断を要求しているわけでございますが、合格者の商標の平均得点が100点満点中54点でございますが、他の科目の平均得点と比べて特にこの点数が低いということではございませんでした。
それから、短答式試験の60問を1問1点として合格ライン41点だったわけですが、条約だけ特に低くて勉強せずにいた者がいたかどうかということなんですけれども、50名を任意サンプリングいたしまして、みずからの科目別平均点を基準として、条約に係る問題の点数が科目別平均点よりも著しく低い者がいたかどうかということでチェックしてみたわけですが、そういう傾向は見られなかったということで、条約の勉強を行わずに、他の科目のみで高得点を取って合格しているという傾向は特になかったということでございます。
こうしたことから判断いたしますと、現行の試験制度における合格者の条約に関する知識及び解釈・判断レベルが、旧試験における合格者と比較して不足していると考える根拠は薄いのではないかというのが17年度の試験結果からの分析でございます。
このような実態を踏まえまして、四角の中で論点については書いてございますが、論文式試験の範囲として単独で条約について問うことを復活することは適切か否か。あるいは仮に復活しないとしても、弁理士会で行っている研修を活用することにより、自己研鑽によって条約の解釈・判断についての能力を向上させるということを進めていくべきかどうか。こういった点が論点になろうかと思われます。
次に、弁理士試験の試験免除でございますが、まず前提といたしまして、専門職大学院、法科大学院の存在でございます。御案内のように、専門職大学院は高度専門職業人の養成を行って、これを質・量ともに充実させようということで、平成14年の学校教育法の改正により導入されております。平成17年度現在、全国で66の専攻分野について開講されておりまして、多岐にわたっておりますが、知財に関する分野につきましても、7ページの終わりから8ページにかけましてございますように、東京理科大及び大阪工業大学の2つについて開講されております。2年間在学し、30単位以上の修得等により、その課程を修了するということになっております。
他方、8ページ目のパラグラフの3つ目ですが、現行の弁理士試験の試験免除におきましては、学校教育法68条の2に規定する修士又は博士の学位ということのみが規定されており、専門職大学院はこの対象外ということになっておりまして、専門職大学院でいろんな勉強をした、あるいは仮に論文を書いてもそれをもって弁理士試験の試験免除を受けることはできないという状況になっております。このため、専門職大学院の側からは、一定程度の単位を履修した修士、専門職大学院の修士の学位を取得した場合には何らかの試験免除が認めてもらえないかという要望が出されております。
それから、法科大学院でございますけれども、御案内のように法科大学院は全国74校ございまして、9ページ目にまいりまして、3年在学し、法学既習者は2年でございますが、93単位以上の履修をするということになっております。
今、他の士業でどういったような場合にそれぞれ試験免除しているかというのを調べたわけでございますが、まず短答式筆記試験の免除でございます。例えば公認会計士試験につきましては、平成18年度の試験から会計専門職大学院の修了者のうち、一定の要件を満たす者については、短答式試験の一部免除を、9ページの下に書いておりますような内容で具体的に導入しております。
それから、10ページ目にまいりまして、論文式につきましては、例えば税理士試験につきましては、やはり専門職大学院の課程を修了した修士の学位を取得した者について、ここに記載しておりますように内容で一部の免除をしております。ただこれは論文式筆記試験の免除につきましては、下に書いてございますが、学位証明書とともに、修士又は専門職修士取得に係る学位論文の写しの提出が義務になっておりまして、単に履修をしただけでは免除されないという仕組みになっております。
11ページから具体的な論点が書いてございますけれども、四角の中を御覧いただきますと、例えば知的財産についての専門職大学院で一定以上の特定の科目を履修している場合には短答式試験における当該科目に相当する科目の免除をすることが適切か否か。あるいは論文式試験においては一体どうか。それから、先ほど御説明したように、単なる単位の履修だけでは他の士業でも認めていないのですが、例えば専門職大学院で学位論文まで提出して認められている場合には論文式試験の免除をすることは適切かどうかといったような点が論点になろうかと思われます。
それから、11ページのbの法科大学院でございますが、法科大学院では民法等のいわゆる基礎的な科目を幅広く履修するだけではなく、多くか、あるいは相当数の法科大学院では選択科目として知的財産法、独禁法などの関係法令等の履修も行っております。
こういったことから考えますと、12ページの四角の中にまいりますが、特定の分野、例えば民法について一定単位以上を取得した者については論文式試験の法律科目の選択科目を免除することは適切か否か。あるいは著作権法や不正競争防止法についてはどうか。あるいは先ほどと同じように、これは学位論文まで書いていればいいと思うのかどうかとか、そういった点が論点かと思われます。
それから、参考でございますが、現行法においては、司法試験の二次試験の合格者は、論文式試験の法律に関する選択科目は免除ということになっております。
それから、12ページの(2)でございますけれども、試験免除の拡充でございます。
現行法においては、筆記試験に合格した者は次回の筆記試験は免除ということですが、短答式だけ受かって、論文に落ちた方は次回はまた短答から受けていただくということになっております。
また、論文式試験は、必須科目と選択科目は別々に採点されるわけですが、合格、不合格はトータルとして合格、不合格という評価になっているわけです。
13ページにまいりますが、本年2月から3月にかけて行いましたいわゆるパブリックコメントにおきまして、こういったような点について免除制度を拡大してほしいといったような要望が幾つか出されております。
他の士業を見ますと、(b)にございますように、公認会計士、不動産鑑定士におきましては短答式試験に受かった場合には一定程度、例えば2年間短答式試験は免除するといったような制度を最近導入しております。
論文式試験につきましては、公認会計士と税理士、あるいは中小企業診断士もそうですが、科目別の合格制度というものを導入しております。
論点につきましては、13ページ、14ページにございますように、短答式試験の合格者に対して所定の期間、短答式試験の合格という地位を保持する。つまり、論文を落ちても論文から受ければいいようにするということが可能かどうか。
それから、論文式試験において、今でも免除というのはあるわけですが、それも考えれば次回の弁理士試験において該当する科目をいわゆる科目別合格ということはできないかどうか。
それから、最後に、今免除は7分野、これは論文式試験の科目が7科目なのでそれに対応するということなのですが、実は大学、あるいは大学院における学科名が多様化して、新たな技術分野が誕生してきて、むしろ最先端の分野を勉強していると実は免除されずに、古い分野を勉強していると免除されるという変なことが少し起きておりますので、これについては選択科目の技術分野等について検討することが必要ではないかということでございます。
試験制度につきましては以上でございます。

中山委員長

ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして御質問や御意見がございましたらお願いいたします。
どうぞ、神原委員。

神原委員

ただいま御説明いただきました中で、特に6ページの弁理士試験の試験範囲についてちょっと意見を申し上げさせていただきます。
6ページの(2)の論点のところです。御説明によれば、短答式試験の条約に関する問題についての採点結果からすれば、新弁理士についての条約に関する能力不足はないのではないかと、こういうふうな推測がされていると思います。そう理解いたしましたが、この推測が実態に合致していればこれは大変結構なことだと思いますが、現場におります私ども弁理士から見ますと、どうも残念ながら実態は違うのではないかと言わざるを得ないという感じを持っております。特に私どものところには最近の弁理士の条約に関する能力不足、そういったことに関するいろいろな声が寄せられております。特に最近の弁理士を雇用した弁理士からはやはりどう見ても条約に関する能力不足が目立ってきているということが相当大きな声で寄せられております。
それからまた、アンケート結果においても、やはりユーザーさんからも、どうも最近の弁理士について条約の点で問題があるというようなパーセンテージが相当大きな量で出ていると思います。
さらに弁理士の要望といたしまして、やはり論文試験の中に条約というものを盛り込むべしという声が大変多くなっております。そういった実態を踏まえますと、やはり短答式試験の採点結果からのみこの問題を推測されると、多少実態とそぐわない点が出てくるのではないかという気がしております。
それから、もう1つ、現行の制度のもとで、条約の解釈及び判断は、例えば商標の論文試験の中で見るということでございますけれども、もし仮にそれが本格的に条約の解釈あるいは判断を求めるものであれば、これは受験者の負担軽減にはつながっていないのではないかというように思います。特に条約の論文試験が独立しなくても、他の論文試験の中で条約が見られるとすれば、そこはどうしても注力しないとならない点となります。そういった意味で最大の目的であった受験者の負担軽減、これが果たして行われているのかどうか、ちょっと疑問ではあるなという感じがいたします。特に受験者の負担の観点から見ますと、例えば問題が2問から1問になったということで負担が半減するかというと、そうはいきませんで、すべての負担を負うことになります。そういった意味で、現在のような、例えば商標法の中で見るというよりは、きちんと条約についての論文試験を独立させた方がよいのではないかというふうに思っております。
以上です。

中山委員長

その点につきまして、何か御意見をお願いします。

中山委員長

では、谷委員からどうぞ。

谷委員

平成12年の法改正時と今回と状況が違っている点が1つございます。それは平成13年以来知財立国構想ができてきまして、現状の規制緩和に沿った数の増大ということだけではなくて、やはり質的な向上も現在では非常に重要となっている点。それから、もう1つは、現在の知財推進計画を見ましても、弁理士にとって1つ期待されていることとしまして国際競争力のある弁理士ということが言われているわけです。その点に鑑みますと、やはり条約につきましては、現在のように、例えば商標法に関する出題の中で出てくるという部分はもちろんありますけれども、こういうような散発的な国際条約についての知識を問うのではなくて、やはり条約を1つの科目として系統立った理解を見ることが国際競争力ある弁理士を目指すことに合致するのではないかと思っています。
以上です。

中山委員長

では、相澤委員、どうぞ。

相澤委員

全体的なことについて、前回の改正と今回の見直しとで基本的な考え方は変わっていないということを確認したいと思います。推進計画2006でも弁理士の大幅増員ということが計画の中に掲げられています。制度改正に当って、参入制限として理解されるような改正は避けなければならないということが基本であると思います。したがいまして、科目の整理につきましてもこの視点を念頭に置く必要があると思います。
条約というのは国際公法という知的財産法とは異なる法体系に属する分野の科目です。以前に実施されていた論文式試験で実際に国際法に基づいた条約の理解を問う意義のある出題ができていたのかという疑問があります。条約について、論文式試験として意義のある出題がなされるとなると、国際公法、国際経済法の基礎的な理解が必要になり、TRIPS協定の解釈はWTOのパネルが解釈の基礎になるので、これを学習するということは受験生にとって非常に負担が重いのではないかと思います。受験生に対して過度の負担を課すことは、これまでの改正の趣旨に反すると思います。今までの論文式試験程度であれば、その知識の習得の確認は、多枝試験で十分に可能であると思います。

中山委員長

その点につきまして何かほかに御意見がありましたらお願いします。

野坂委員

この関連で伺いたい。そもそも試験制度の改革というのは若くて有為な人材を広げましょうという話であったということですけれども、先ほどの説明では平均年齢34歳ぐらいで変わらないということは、余り若くて有為な人材が広がったという評価はできないのではないかと思うんです。その背景、要因というものをよく分析した上で試験制度を考えるべきだと思います。その中で条約は特に焦点だと思いますけれども、どうなんでしょう。今のお話でも論文に入れるべきか、あるいは現状のままでいいかという大きな論点がありますが、私は若い人材を幅広く求めるのであれば、今のままでもいいのではないかと思います。後段の議論で出てくるのでしょうけれど、研修とのリンケージといいますか、組み合わせといいますか、そこで何らかの手段、あるいは対応を考えれば可能なのではないかと私は考えます。

中山委員長

他にこの点につきまして御意見がございましたらお願いします。
大渕委員、どうぞ。

大渕委員

2点ありまして、まず1点目は、資料の6ページから7ページの平成17年度の試験を調べられた結果では条約に対する正答率その他について特に有意な差はないということが客観的なデータとしてあるわけですが、他方、先ほど近年の合格者では条約に関する知識、能力が不足している例が見られるというのは、どのように理解すればいいのかというところを何かありましたらお伺いできればと思います。例えば試験としては条約はできているのだけれど、実務上での知識は身についていないというような試験自体の結果と実務的能力との間の乖離というような話に結びつくのか、それとも試験内容自体の問題というような話なのか、そのあたりに関して、先ほどの現状認識という話とこの客観的なデータとの関係をどのようにとらえたらいいのかというところをお伺いしたいのが1点であります。
2点目は、条約科目を論文に単体として復活させるかという点については、先ほども御指摘がありましたが、論文試験は何のためにあるのかということについて、短答式と違って、論文試験では、論理力あるいは表現力その他をみるわけですが、例えば民法などで考えますと、そういう点が非常に重視されているかと思います。他方、先ほどの条約について問われるものが、国際法上の条約の解釈の一般原則等というようなものではなくて、個別の条文の知識その他であって、論述力、表現力というよりは短答式でも把握できる、ないしは短答式の方が客観的に把握しやすいというようなものなのかという、つまり、条約というものをどのようにとらえていくのかということが問題ではないかと思います。多分今までの出題等から見ますと、国際法上の条約の解釈の一般原則などに余り重点を置いているわけではなくて、専ら個別の条約がどのような規定になっているのかというようなことが中心になっているかと思いますが、どのような能力を問うのかということと、そのためには手段としてどういう手段が的確であるかということを分けて考えていくと今後議論が深まっていくのではないかという気がしております。
以上です。

中山委員長

短答式と現場の弁理士先生の意識の落差、これについて原因はなかなかわからないのでしょうけれども、何か御感触でもございましたらお願いします。
神原先生、どうぞ。

神原委員

私ども弁理士はどうしても日常の業務とのつながりでいろんな法律も考えますが、条約もまさしくそのとおりでして、日常の業務と条約をどういうふうに結びつけているか、あるいは結びつけるべきなのか、そういったことが非常に大切なことになります。本当に条約を法学的にどうなのかということではなくて、条約の規定に関する知識、これはもちろんでございますけれども、それをどのように応用するか、あるいはどうやって条約の面からこれはいいとか悪いとかというのか、そういったような実務に即した判断、これが非常に重要になってくるのですけれども、そのあたりが単なる知識を問うだけでは養われません。どうしても理論的な考え、あるいは基本的な理解からその条約というものに踏み込まないと、なかなかその辺の力が出てこないということかと認識しております。

中山委員長

他に何かこの点で御意見ございましたらお願いします。
澤井委員、どうぞ。

澤井委員

今の条約のところはよくわからないのですけれど、我々クライアントサイドで仕事をお願いしている弁理士さんには、特徴的な点が2点ぐらいあるかと思います。1つは、独占排他的な権利をつくっていくプロセスにかなり密接に絡んでいるということと、もう1つは取得した権利の維持や活用にかなり関わっているということです。この特徴的な点をしっかりやってもらうために、試験そのものと研修をセットにして考える必要があります。知識と資質と実務能力、この三つを試験と研修のそれぞれの場でどうやって問うのかということに帰着するのだと思います。多分、短答式試験は知識を問うのがメインになっていて、さっき大渕委員もおっしゃったように、論文試験は論理能力とか表現能力のところをかなり問うていて、実務のところは試験に受かった後の研修でやることになるのだと思います。この中で、論文試験は論理能力とか表現能力だけを問うのではなく、処理能力を問う要素もあると考えるのが良いと思います。クライアントサイドからみると、弁理士は一定量の仕事をある一定の時間の中にどれだけ的確かつ正確に処理できる能力があるかというところも大事な点です。そのような処理能力を測る意味では、論文試験で一定量の科目を課して、一定の時間の中で論文を作成する力を試すことも必要であるのかなという感じがします。先ほどの御説明の資料で、試験科目を少しずつ免除しているという他の資格制度の話もありましたけれど、弁理士の論文試験ではそのような形にはしないほうが良いと個人的には思っています。論文試験に関しては、ある一定量(決まった科目数の問題)を一定の時間の中で処理(論文作成)することを通じて、合わせて論理の構築力とか表現力を問う形にした方が良いと思います。試験の負荷を軽くすることが、必ずしも良いとは限りません。ある負荷がかかったときに、それを効率的かつ的確に処理する能力も試しておくことは大事なことです。
以上です。

中山委員長

他にこの問題につきまして御意見ございましたら、お願いします。
本日はいろんな御意見をちょうだいする回でございますので、今の問題でなくても結構でございます。
戸田委員、どうぞ。

戸田委員

試験制度に関しては、産業界は1つにまとまっておりませんし、どちらかというと今のままでいいのではないかという声は比較的多いですね。今から申し上げるのは私の私見というか個人的な考えです。
1つは、論文式試験の免除をもっと拡大した方がいいと思います。学位認定のきちんとした論文がなければだめだとか、学校教育法の何か難しい規定を満たしていないとだめだというのは、厳しすぎると思います。一定の制限は必要なのでしょうけれども、これだけ専門職大学院がふえてきて、ロースクールがふえてきて、逆のアンバランスが生まれているような気がしますね。そういう意味では、私はもっと論文式試験の免除を拡大すべきだと思っています。
次に、試験制度全般に対する考えを申し上げますと、あるべき姿というのは私は法律と技術の両方がわかる専門家にふさわしい試験であるべきだと思います。
相澤委員がおっしゃっていたように、参入障壁にならないようにすることは考える必要があると思います。その意味では、私は短答式はいじらなくていいと思っています。論文式のところのいろんな科目、免除の考え方、試験科目数などをもう少し工夫した方が、あるべき姿、法律と技術がわかるというところに結びついていくのではないかなと思っています。
例えば今の論文式の必須科目は、特・実と意と商、3科目ですよね。例えばこれを2科目にする。特・実1科目、意匠と商標を合わせて1科目にしてしまう。科目数を減らす。それから、今の選択科目は弁理士の業務に関する法律と技術系の科目が6科目ですか、このうちの1科目選択ということになっているのですけれども、これをそれぞれ選択必須にしてしまう。ですから、技術系と法律系と両方一応受けるというのが前提になります。そのかわり免除規定を大幅に増やして、法律系の学部、技術系の学部の各出身者については、それぞれが専攻した科目について免除し、過度な負担にならないようにする。例えば、そのような科目構成もあるのではないかと思います。
それから、今回話題になっていませんけれども、口述試験というのは本当に意味があるのかなと。私は受験生で口述試験を受けましたけれども、そんな気持ちも持っておりました。試験委員の御負担とか、そういうことがかなりあるのであれば、実務をきちんとやらせるという研修とセットで見直しをすべきではないのかという気がしております。
以上です。

中山委員長

ありがとうございました。
他に御意見等ございましたら、お願いします。
では、前田委員どうぞ。

前田委員

後半での話題でもあります研修制度の方との絡みになってくるのかもしれませんが、大学側はとにかく質の高い弁理士の方にたくさん出ていただきたいということだけです。前回も申しましたように、先生の論文をいただいてクレームを広げることのできない弁理士の方が存在するとたいへん困ります。大企業や、きちんとした企業であればそのような方にお願いしませんし、企業の側では、自分たちの製品に関わってきますので、クレームなどはきちんと自社で問題なく見ることができるような状態だと思います。
ところが、大学の場合は、知的財産本部の中にすべての分野を網羅できるような技術の方を置いていない知的財産本部がたくさんあります。そうした中で、先生方の論文を預かって、弁理士の方に特許を出してもらいますと、本当に弁理士の方の腕1つで特許が出ていきます。万が一、虫食いだらけの特許が出て、それが1年半後に公開されますと、結局は情報の流出になります。アジアの方で、まだここも取れる、ここも取れるという形になって、結果的には大学から質の低い特許が出てしまうと情報の流出につながってしまうと思います。やはりレベルの高い方を大学でお願いできると良いです。さきほど、戸田委員がおっしゃいましたように、技術のわからない弁理士の方が存在したときに、その方にお願いして、クレームをきちんと仕上げるということができなかったというのが見抜けないという場合が時々あります。
私たちの学校は、バイオの最大手の弁理士事務所から弁理士の方に来ていただいております。どこの大学もそれができるわけではありませんので、技術、法律、どちらの面でも心配のない方が弁理士になっていただけるようになっていないと大学は大変困るなというふうに切実に感じております。

中山委員長

では、相澤委員どうぞ。

相澤委員

資格試験というのは完全なクオリティーを保証することはできません。例えば50年前に試験に受かれば資格は維持できるのでありますが、50年前の制度と今の制度は全く違うので、受かったままで、勉強をしないと役に立ちません。資格試験というのはそのようなものを素養を試すものであって、現在の能力を担保するものではないということを御理解いただきたいと思います。
科目の調整ということで、私も戸田委員御指摘のように、商標と意匠を一緒にするというような考え方が科目の整理として好ましいと思います。しかし、選択科目(例えば技術系科目)を必須にするということになりますと、従前から法律科目で弁理士になれるという制度になっていたものを変更して、受験を難しくすることになります。これはなかなか難しい議論ではないかなというふうに思います。
選択科目の免除については、現在、選択科目についての研究で論文により修士を取得した人を免除するということになっております。専門職大学院を入れる場合には、ここのところを変えないといけないことになります。専門職大学院は研究をしていないので、選択科目の研究をしたかどうかということを判定することができないという問題が出てきます。また、知的財産専門職大学院は必須科目について中心的に教育を行っているわけで、選択科目について中心的に教育を行っているわけではないので、どういう理由で、選択科目を免除するのかということも問題となります。そうであるならば、選択科目については、理科系の科目も含めて、(専門職学位であるか否かを問わず)修士以上を取得していれば選択科目は免除になるというような制度にするか、選択科目そのものを廃止するということが考えられます。
それから、先ほどの免除の中で、多枝を課した上で、例えば論文科目について広い範囲で免除してはどうかという提案がありました。職務専門職大学院について多枝試験を免除した場合に、クオリティーの保証はどうするのかという問題を多枝試験を最小限度の保証にするというご趣旨だと思います。これは1つの御提案としては面白いかと思いますが、論文だけ免除するという制度は初めてかもしれないので、検討を要する問題だと思います。
選択科目を維持する場合には、随時試験実施機関で見直しができるような制度にしていただかないといけないと思います。選択科目としている基準が不明確で、特許の対象となるべき技術であってもそれに対応する選択科目が抜けているというようなこともあります。現状を維持する場合には、柔軟な体制をつくっていただきたいと思います。

中山委員長

ありがとうございます。
どうぞ、坪田委員。

坪田委員

単純な質問なのですが、選択科目の免除を受けた人というのは17年度で受験者の45%と出ているのですが、残りの55%は選択科目を受けているのですが、その人たちが選択している科目というのは、弁理士の業務に関する法律、それを取っている人が圧倒的に多いのでしょうか。

稲垣秘書課長

おおよそ8割が技術系科目で受けています。2割ぐらいが法律で受けていらっしゃいます。

中山委員長

よろしいですか。

坪田委員

はい。

中山委員長

他に何かございますでしょうか。
それでは、一通り御議論いただきましたので、時間の都合もございますので、次の議題に入りたいと思います。

弁理士研修制度のあり方について

中山委員長

次は、「弁理士研修制度のあり方について」の資料に基づいて事務局から説明をお願いいたします。

稲垣秘書課長

それでは、資料2に基づきまして簡単に御説明させていただきます。
まず、資料2の2ページ目の(3)から御説明いたしますが、弁理士の研修制度に関する従来からの指摘でございます。
平成12年の弁理士法改正に当たっても実は研修制度についての議論はあったわけでございますが、当時は、ここにございますように、「弁理士の大幅増員が質的低下を招かないように義務化を含めた研修機能の強化を行うべきであるとの意見もあるが、弁理士会の自主研修の強化」云々を行った上で今後十分に検討すべきであるということで、当時は質的低下を招かないための義務的研修というのはしないという整理が一旦されております。
それから、弁理士の研修については2ページ目の真ん中にございますけれども、平成12年から13年の特許庁における懇談会での検討におきましても、弁理士会において研修、特に民法、民訴等に関する研修を抜本的に充実させるとともに、主要な研修については研修の受講履歴を公表し、これらの研修の受講を促すとともに、ユーザーが個別案件の専門性に対応した弁理士の選択が容易にできるようにすべきであるといったような指摘がされております。
それでは、3ページ目にまいりまして、今、日本弁理士会でどういう研修制度があるのかというのをお聞きしたものをここに簡単に書いてございます。弁理士会の会則56条でaからhまでにございますような研修が規定されておりまして、それに加えて58条で特に弁理士倫理に関する科目、その他の科目の受講はするように努めなさいとされております。それから、会則の59条で会員の研修受講歴を公表するということが定められております。ただ、実際には研修受講歴の公表はごく一部にとどまっているのが現状でございます。
4ページ目にまいりますと、今どういう問題が指摘をされているのかということでございますが、(1)の真ん中ぐらいからでございますけれども、弁理士試験においては、従来からも実務経験が受験資格、あるいは登録要件にはなっておりません。したがいまして、弁理士試験に合格した方は研修等を活用して自己研鑽をするか、特許事務所や企業に勤務し、OJTにより実務能力を習得するといったようなことで弁理士業務に必要な実務能力を向上させていたわけでございますが、最近の弁理士試験の合格者の増加に伴いまして、こういったような機会が相対的に減少してくるということで、実務経験が乏しい弁理士が増加して、出願人へのサービス低下が起きるのではないかということが指摘されているわけでございます。
まず、データ的に一体どうなっているかということでございますが、1にございますように、工業所有権に関する実務経験を取得する場としては何があるかといいますと、やはり特許事務所や会社の知財部というのが一般的であろうと思われます。先ほどの資料にもありましたけれども、平成13年から17年までにおきまして合格者の職種別内訳を見ますと、会社員及び特許事務所勤務者以外の合格者は毎年大体25%から30%程度というのが数字でございまして、この比率はこの5年間で特に変化はしておりません。したがいまして、最近実務経験のない方の割合が増えてきているということではないということでございます。
それから、17年度711名合格したわけですが、そのうち実務未経験者はどのくらいいるかということを推測しますと、5ページ目にまいりまして、会社員及び特許事務所勤務者以外の者を未経験とすれば170名程度。会社員の中には知財部、あるいはその他の工業所有権の実務経験に関連がある部もあれば、全く関係がない総務系等もあると思いますので、仮に会社員のうち半分が実務経験無しとすると、大体320名程度は実務未経験者と推測されます。
他方、2にございますが、弁理士事務所では一体これからどのぐらいの弁理士さんの増員が見込まれるのか。これはなかなかデータがわからないので、仮にということで弁理士会が17年8月に行われました意識調査を使わせていただきました。これは後ろの参考資料2-4というところについてございまして、あくまでも弁理士事務所の希望的な数字を足し上げただけのデータですという注がついてございますが、単純な積み上げをしますと、今後数年間で弁理士約4500名、補助者もほぼ同数程度の採用をしたいというのが調査で出ております。仮にこの数字が正しいとすれば、現在の人数、あるいは未経験者の人数程度の人数であれば、特許事務所に就職できないということはないのではないかというふうに考えられます。
ただ、これはあくまでアンケートなので、何が実際に問題かということをもう少し掘り下げて分析をしますと、また特に実際に問題となるのは実務経験がなくて弁理士試験に合格し、さらに特許事務所や会社に就職することなく、直接一人事務所を開設した場合というのが多分実際の問題なるのだろうというふうに思われます。
この観点から平成15年に弁理士登録した方529名全員について日本弁理士会に調査していただきました。これは特許事務所や企業で勤務経験がない方をピックアップしまして、これはなるべく前広にピックアップしましたので、企業で例えば知財部に勤めていましたという方は勤務経験があるというふうにしたのですが、どこの部署に勤めていたかわからない方はとりあえず勤務経験なしという、そういう前提で調査をしております。そういったような方の中で、登録後も特許事務所や企業に勤務せずに、すぐに一人事務所を開設した者は約20名、登録者全体で言うと529名のうちの4%程度であったということでございます。
それから、一人事務所を開いてもなかなか仕事がこなくて、その後に特許事務所や企業に就職してしまうという方もいらっしゃると思いましたので、その4%のうち継続的に一人事務所でやっている方がどのぐらいいるかということを調べたところ、2、3年後、17年末の時点で再調査したのですが、そのうち約半数が一人事務所を開設していらっしゃったということで、登録者全体の中では約2%ということでございます。
したがいまして、データ的に見る限りは実務経験がないままに、一人事務所を経営する者というのは少ないというのが実態でございます。
これは知財研のアンケートからも裏づけられておりまして、結局弁理士の選択方法としては、やはり評判、あるいは弁護士からの紹介ということでございまして、実務経験がない新人弁理士についていきなり出願を依頼する者はほとんどないのではないかということで、実務経験がないまま一人事務所を開設する者は少ないということと符合すると考えております。
他方、弁理士になった後の弁理士の継続的な研修でございます。弁理士会におきましては先ほど御説明したようないろんな研修をやられております。具体的にここに書いてあるような研修を相当人数をやっております。ただ、これは弁理士会の会員数6600名から見ますと、単純平均をすると1年間に1人当たり約0.5回分、1.5時間の研修しか受講されていないということになります。
7ページ目にまいりまして、それでは、日本弁理士会が今新人研修でどういうことをやっているかというのが(2)の1に書いてございます。ここに書いてございます用に、新人に対してe-ラーニング等も含めて相当な時間の研修を弁理士会でやっております。ただ、これは受講者が全体の合格者の7割ぐらい。修了認定書の受領者がそのうちのさらに75%ぐらいというような状況でございます。
今申し上げたようないろんな点を踏まえまして、弁理士試験の新たな合格者に対して義務研修を課す制度の必要性についてどう考えるべきなのか。検討に当たっては、知財人材全般の量的な拡大が求められているわけでございますが、義務研修を仮にやるとしても弁理士登録の前とするか、後とするかということにも関係するわけでございますが、運用の仕方によっては弁理士への新たな参入障壁、参入規制となり得るということにも留意して検討することが必要ではないかというふうに考えております。
それから、8ページの3でございますが、弁理士に対する継続的な義務研修につきましては、8ページ目の一番下にございますような17年度の弁理士会でも、ここにございますような最近におけるさまざまな法令や基準改正、条約改正等についても研修を行っているわけでございますけれども、こういったようなものにつきましては弁理士業務上必要な知識として修得しておくべきものであり、仮に義務研修を行う場合にはその対象とすべきではないかとも考えられるのではないかと思います。
ちなみに、他の士業についても調査をいたしました。
9ページ目の公認会計士でございますけれども、平成15年の法改正によりまして、公認会計士は毎年度必要な単位、具体的に40単位以上ということでございますが、その履修を義務づけられております。違反した場合には監査業務の辞退勧告、あるいは氏名の公表等が行われるということになっております。
司法書士制度につきましても、これは司法書士連合会の内部規則でございますけれども、司法書士さんは毎年12単位研修をやりなさいといったような義務が課されております。
そういったような状況を踏まえまして、9ページの四角にございますように、弁理士会における継続研修を会則又は法令において義務化をし、違反した場合の措置、例えば研修の未受講者に対しては氏名の公表、あるいは研修を受講するまでの間の業務の停止等を講ずることについてどう考えるべきかというのが論点でございます。
それから、10ページ目にまいりまして、弁理士の研修受講を促す措置として、もともと弁理士会の会則59条では会員の研修受講歴を公表するという規定があるわけでございますが、実はほとんど公表されていないのが現状でございます。
これにつきましては、ユーザーの弁理士を選ぶための観点ということも踏まえまして、また、先ほど御説明した報告書にも記載されているということも踏まえて、弁理士会において弁理士の研修受講歴を公表することが必要ではないかということも考えられますが、これについてどう考えるのかということもあわせて論点として議論をお願いできればと思います。
以上でございます。

中山委員長

ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして御意見、あるいは御質問がございましたらお願いいたします。
神原委員、どうぞ。

神原委員

弁理士の実務能力に絡む問題点について多少意見を申し上げます。
工業所有権の実務経験がない者が毎年3割程度、これは私どもよく認識しておりまして、長年にわたって大体その程度の割合で実務経験がない者が出てきております。しかしながら、問題はその割合ではございませんで、やはり絶対数ということになろうかと思います。この絶対数は30%としましても毎年変わってきておりまして、増えておりますので、これらがどんどんと蓄積されていくという状況になります。そういったところに1つ問題点があろうと認識しております。
それから、試験に合格して弁理士登録をして、その後どうするかという問題なのですが、確かに企業、あるいは特許事務所へ就職する者が大変多いわけでございますけれども、問題は就職できるかできないかではなくて、果たして本当に業務にスムーズに入れるかどうか、そこに大変大きな問題がございます。例えば特許事務所ではOJTという形で研修を積むわけでございますけれども、現状ではこのOJTにスムーズに移行できない。それだけの実務能力を持っていないという方が大変ふえているというところに1つ大きな問題があろうかと思います。
したがいまして、特許事務所、あるいは企業、会社に就職できるかできないか、あるいは、するかしないかということが問題ではなく、たとえ就職できたとしても、その後が問題であるという認識でおります。
それから、1人でいきなり事務所を開設するもの、これは確かに非常に少ないのですけれども、逆に言えばこういう人はほとんど問題がなかろうかと思います。といいますのは、実力があるという、自信のもとに開いておりますので、それほど大きな問題ではなかろうかと思います。そうではなくて、実力がないゆえに1人の事務所を開けない、そこに相当大きな問題があろうかと思います。ですから、大都市であれば、一人事務所というのは余り目立たないかもしれませんが、やはり都会から離れますと、どうしても一人事務所というのはかなり要求されるような状況にありますので、そういうところにも入っていけないというような問題が出てきていると思います。これも実務能力がないということに原因があろうかと思っております。
それから、もう1つ、先ほどのデータからまだまだ特許事務所も人を収容する能力があるのではないかというお話がございます。確かにデータ的にはその通りでありまして、外見からしますとまだまだ余裕があり、新しい弁理士がどんどん吸収できるというような状況にあろうかとは思うんですが、問題は現在特許事務所の約7割が一人事務所ということです。弁理士が1人しかいない、そういう一人事務所が果たして他の弁理士を雇えるかというと、仮に雇ったとしても実務能力をつけるために相当長期間の研修が必要、あるいはOJTが必要であるというような状況になりますと、これは直ちに雇えないということになります。即ち、やはり一人事務所から複数事務所への転換を図れないという問題がございます。
したがって、新しい弁理士がそれなりの実務能力を持っていないと、そういう問題が解消できないということになりますので、ここはやはり義務研修というものを経て、弁理士になっていただきたいというふうに思っております。
以上です。

中山委員長

ありがとうございました。
他に御意見はありますか。
では、戸田委員、どうぞ。

戸田委員

私は義務研修という言い方が正しいのかどうかわからないのですけれども、登録前に何らかの実務的な研修は行うべきではないかと思っております。やり方は工夫次第でありまして、現在、任意でやっているような研修を全部義務化するとこれはかなり大変なことになるなというのは実感としてわかります。
私が申し上げたいのは、実務研修の導入です。例えば5ページに合格者の所属の実態が書いてございます。会社員が42.5%、特許事務所が33.6%。ということは、仮に会社の知財部にいないとしても、5割ぐらいは何らかの形で実務をやっている人たちですよね。そういう人たちは、論文式試験が受かって、口述試験にも受かって、それから2カ月ぐらいの間で明細書を1件書いて指導の弁理士の名前も書いて、弁理士会の研修所に送りなさいとか、情報研修館に送りなさいとかと言って効果確認をする。そういった形での実務の研修でいいのではないかと思います。
問題は、会社や特許事務所に属していない人たちであって、これは何らかの形で手当てをする必要があると思います。例えば事務所の方でインターンを受け入れるとか、企業の知財部でインターンを受け入れるとか、そこでもどうしてもだめな地方の方とかは集合教育をある程度行った上で、特許の明細書を1件書いてもらう。集合教育は長くやると問題でしょうから、2週間ぐらいやって、弁理士が指導するというような形の登録前の研修であれば私は可能ではないのかなという気がしております。

中山委員長

ありがとうございました。
相澤委員、どうぞ。

相澤委員

弁理士会は強制加入制度をとっております。ここで、登録前の義務研修をすると、これは参入規制のために研修を義務化しているのではないかというふうにとられるおそれがあります。
私自身は研修をするというのは良いことだというふうに思っておりますけれども、登録前研修には、参入抑制という制度的な問題があると思います。
もちろん、弁理士会が会員の質について責任を負うという立場はいいことだと思います。したがって、研修については、弁理士会が会則で規律すべきものであります。その場合に会則に根拠を与えるための法改正が必要であれば、そのことには反対ではございません。

中山委員長

他に御意見ございましたら、お願いします。
大渕委員、どうぞ。

大渕委員

研修を義務化するか等の点を考える前提として、義務化が提案されている研修のイメージが若干わきにくいので、具体的にはどのようなことを考えておられるのかお伺いできればと思います。私はこの審議会に入ったばかりなので、他の方はおわかりかもしれないのですが、我々がイメージしやすいものとしては、例えば司法修習がありまして、まず前期修習という導入的なものがあり、間に実務修習というのがあって、最後にまとめの後期修習があって、前期と後期は集合で、実務は各実務庁等に分散して行うということで大体のイメージがわくのですが、例えば7ページのような、実際に任意で弁理士会の方でやっておられる新人研修を拝見しますと、e-ラーニングはひとまずおきますと、基本的には座学集合研修というような感じであって、ここと先ほどの実務能力アップというあたりの関係が少しわかりにくいところがあります。仮に義務化する際の研修というのは具体的には、どのような形で考えておられるのかを教えていただければイメージがわきやすいのではないかと思います。

稲垣秘書課長

先ほど御説明しなかったのですが、参考資料2-2というところに、これは日本弁理士会の平成16年度の新人研修カリキュラムの実例をつけてございます。これを御覧いただくと、例えば座学集合研修というのは何かといいますと、明細書作成演習、審査対応実務演習、意匠登録出願の実務、商標登録出願の実務、あるいは、審判についての実務とか、そういったようなことでございまして、今弁理士会の方からも新人弁理士さんの実務能力が低下をしているので、こういった明細書作成演習であるとか、実際のやりとりの実務の勉強であるとか、そういったようなことについての研修をしたいというお話をいただいております。

中山委員長

神原委員、何か追加がありますか。

神原委員

現在私どもが考えております義務研修は実務能力をつけるための義務研修ということでございますけれども、現行の新人研修とは全く違った形で行おうというふうに考えております。あくまでも実務能力をある程度つけさせる。具体的には実際にOJTにかかったときにスムーズにそちらの方に移行できる程度までということなので、そう多くのものは望んでおりません。
しかしながら、やることは実務に直結した、端的に言えば明細書作成ですとか、あるいは中間処理の書類の作成ですとか、そういったものを主として実施することを考えています。
やり方としましては、e-ラーニングというものを最大限に利用しまして、どこでも受けられるということをまず前提にし、それからどうしてもスクーリングをしなければならない部分もありますけれども、それは回数なり時間を限ってスクーリングをするというようなことで考えております。
ですから、あくまでも実務のための研修というところにポイントを置いて、現在の新人研修とは多少というか、大幅に違ったものになる、というふうに考えております。

野坂委員

質問なのですけれども、新人研修、現在は5割くらいしか修了していないということなのですが、この理由は、要するに聞くまでもないと。私は研修は万能とは思わないけれども、研修を受けるまでもないという方が多いのか、あるいは時間的な制約があって受けられないという理由なのか、それがわかれば教えていただきたい。もう1点は、義務づけた場合、やり方、運用の仕方によっては新たな参入障壁となり得るというふうに書いてあるのだけれども、要するに能力の高い弁理士がたくさん増えてほしいというそもそもの問題意識の中で、義務化して、全体のレベルを上げるというのは、私はいい方向なのではないかと思います。それは全然参入障壁とは関係ないのではないかと思いますが、いかがなんでしょうか。

中山委員長

この点、神原委員どうぞ。

神原委員

そこは現在任意ということが最大の理由だろうと思います。さまざまな弁理士がおりますので、それがどういうふうな傾向にあるかまで把握してないのですけれども、最大の理由は、受けようが、受けまいが、それは任意であるというところにあろうかと思います。したがって、その結果が約5割というところに落ちついているのだろうと思います。
それから、もう1つ、科目の中には受けなくても済むというものも人によってはありますので、そういうことも含めてやはり必要ないと考える方もそれなりにあろうかと思います。どうしてもこれは受けなければというふうに自分自身を追い込んでといいましょうか、必要性を身にしみて感じて受けるという方が5割というふうな結果だと思っております。

中山委員長

今の補充ですか。谷先生、どうぞ。

谷委員

それから、事務所、企業等で働いている方はなかなか研修に出にくい状況もあるかと思います。
そして、もう1つは、全科目を習得するのではなくて、一部の科目だけをつまみ食い的に受講するだけで、絶対に全科目が必要だということではない。任意の研修になっていることも、1つの欠点かと思っています。

中山委員長

相澤委員、どうぞ。

相澤委員

なぜ義務研修が参入規制にとられるおそれがあるかというと、研修の受け入れに関する提案がないものですからわからないのですけれども、例えば500人しか研修できないから500人しか登録できないということになると、参入障壁になります。研修制度というのはそういうふうに使われる可能性もあります。

中山委員長

清水委員、どうぞ。

清水委員

資料2-5を見ますと、平成12年の受講者数は100%になっているのですが、これはどうして100%が可能だったのか、その辺の事情がおわかりの方があれば教えていただきたいと思います。

戸田委員

随分前、自分が受かったときに、この新人研修に申し込みました。しかし、私は1日しか出ていないんです。そういう人が全部カウントされてしまっているわけです。すべて受講した人が100%ではないということだと思います。延べ人数で見ると何かしら1科目は受講しているという意味での100%ではないかなと思います。

中山委員長

それでよろしいですか。
神原委員、どうぞ。

神原委員

今、戸田委員がおっしゃられたのは全く正解でございまして、受講者数というのは、1科目でもあるいは1回でも出られた方の数です。
それから、修了者数というのが右の欄にございますけれども、これは完全修了ではございませんで、約6割修了ですね。ですから、科目数が10あればそのうち6科目修了した者、これを一応修了と仮に弁理士会が認定しておりますので、そういう数です。
完全に修了した人がどのくらいいるかというと、これは大変寂しくて、10から20%の間というのが実情です。

中山委員長

他に御意見ございましたら、お願いします。

稲垣秘書課長

先ほどの野坂さんの御質問にお答えしておきますと、例えば弁理士登録の後であれば、弁理士となった方に強制加入団体である弁理士会が質を高めるために研修をするというのは別に何ら参入障壁ではないと思うんですけれども、仮にそれを登録前とすると、結局先ほど相澤先生がおっしゃったキャパシティーの問題、あるいは内容を難しくするとか、いろんなことで結局修了できなかった、受けられなかった方は弁理士になれないんですね。ということになると、その運用の仕方によっては参入障壁という運用もできるということになります。

中山委員長

他にご意見ございますか。
谷委員、どうぞ。

谷委員

そういう見方もあるかと思いますけれども、我々としては最大限皆さんが受けやすい形で登録前の研修をしたいと思っております。それから、費用につきましても弁理士会で原則負担しながらやっていきたいと考えております。
1000名とおっしゃいましたけれども、試験と同じように、ある程度経験がある者に対しては免除ということも考えられるわけでして、1000人の研修生ということはそれ以上に合格者がいるような場合もあるのかもしれませんけれども、我々としては最大限そういう対応をすることで参入規制になるようなことはしない。とにかく実務能力担保のためのミニマムの研修をきちんとやるという、そういう覚悟でおります。

中山委員長

三尾委員、どうぞ。

三尾委員

義務研修のところでちょっとお話ししたいのですが、参考資料2-6なんですけれども、ここで他士業の関係の研修制度の記載があるのですが、弁護士のところで、登録後研修で義務研修があるというのは第二東京弁護士会だけというふうに書いてありますけれども、実は弁護士会は、10年後と20年後の節目ごとに弁護士倫理に関してだけは義務研修がありまして、何年かたって忘れたころに必ず義務研修の招集がやってくるという制度をとっております。このような形でどうしても必要な研修とか、例えば技術の進歩に伴って何年かおきに新たな研修が必要である分野に関しては、限定的に義務研修にして、それは強制的といいますか、全員が基本的には参加する形にするということも1つの手かなと思います。
それと私が所属しておりますのは第二東京弁護士会でして、ここに書いてありますように義務研修になっておりまして、これはかなり各弁護士、負担になっております。年間単位を計算して、できるだけ広く単位をかき集めるというようなことを毎年しておりまして、負担ではあるのですけれども、ある意味研修に対する目を向けるというか、継続的に勉強し続けるという態度をとり続けなければいけないというのは意義があるのかなと思いまして、1つのやり方であるかなと思います。
ただ、これがどこまできちんと履修ができているのかという成果の検証までは実は十分できておりませんで、各弁護士の報告にとどまっているということが現状です。
ただ、それであったとしても、義務ではないよりは研修を受けるという方向に向かっていきますので、意味があるのかなというふうに思います。

中山委員長

他にはございますか。
澤井委員、どうぞ。

澤井委員

私も何らかの形でちゃんと研修を義務化するというのはいいと思います。これだけニーズが増えてきたときに、先ほど言いましたように、企業はいろんな形で弁理士さんと共同してかなり長いスパンおつき合いするわけですね。そのときに、特に弁理士試験に受かった方がミニマムリクワイアメントでこれだけの能力はちゃんと備わっているというある条件をクリアしているというのが1つと、それから今三尾委員がおっしゃったように、受かった後でも何らかの形で最低限のことをリフレッシュしておくというのは、弁理士の信頼性を高める意味で非常にいいことだと思います。
それから、特に新人研修のところでどの程度にまでレベルを一定にできるかどうかわかりませんが、義務研修を課すことによって、特許庁にお出しする明細書などの質が揃うことが期待できます。現在問題になっているような審査の遅延なども、わかりやすい明細書が義務研修を通じて実現できれば、幾分かは解消され審査の迅速化につながるという副次的な効果も期待できるでしょう。従って、ある一定レベルの実務能力をつけさせるという研修は義務的にでもやった方がいいと思います。

中山委員長

谷委員、お願いします。

谷委員

登録前の義務研修ということとあわせて、既に登録している弁理士につきましても、今のお話にもありましたけれども、法律改正もありますし、技術の進歩もあるわけですから、常にそれにキャッチアップするために研修は我々としては義務としてやる必要があると思っております。ちなみに、この資料2-6で先ほど弁護士さんのお話がありましたけれども、我々の方の義務研修、これも約3000人が受けております。3名だけがまだ受けていない状況ですけれども、そこまで義務的に我々としても精いっぱい努力して対応しております。
ですから、登録前義務研修だけではなくて、登録されている既登録の弁理士さんについても同じように義務的に研修をやるということについては精いっぱい我々としても努力したいと考えております。

中山委員長

では、大渕委員、お願いします。

大渕委員

研修についてはそもそもどのような研修をするか自体が先ほどの話を伺っているとまだ検討中ではっきり固まってはいないようなのですが、義務化するかということも重要ですが、やはり研修を行う時期が登録前か後かではかなり大きな差があるように思います。研修した方がいいか悪いかと言えばした方がいいというふうになるわけでしょうけれど、その研修は任意か、義務か、あるいは登録前か、後かというところと組み合わせて考えないと、議論がかみ合わないのではないかと思うというのが1点であります。それから研修を仮に義務化した場合に、参加すれば済むのか、それとも修了認定を受けなければならないのか、例えば、一定の試験に合格しなければならないのかでまた大きく変わってくるかと思いますので、そこもトータルで考えていかなければならないのではないかと思います。

中山委員長

おっしゃるとおりです。
では、前田委員。

前田委員

弁理士に合格された方というのは企業に所属していたり、事務所に入っていらっしゃる方が多いわけですから、義務でないと、忙しい仕事に携わっている方はなかなか出席しにくいと思います。義務であれば、企業側も、事務所側も認めざるを得ないというふうになると思いますので、ぜひ義務にしてあげた方が新人の方自体も出やすくなるのではないかなと思います。
また、技術の進歩がとても著しいので、もちろん法律の新しいところの研修もさることながら、技術的なものの研修もぜひ入れていただけましたら、こんな発明ってあるのかというのがどんどん出てきますので、ぜひ技術の側の研修も入れていただけたらと思います。

中山委員長

他に何かございましたら。
谷委員、どうぞ。

谷委員

先ほど大渕委員から言われて、はっきりしないということなのですけれども、我々が今考えておりますのは、科目はちょっと置きますけれども、構想としては、どなたでも受けやすいようにする。例えばe-ラーニングを主体としてやっていきたい。e-ラーニングはただ単に受けっ放しということではなくて、受けた履修記録もちゃんと確保しますし、これは義務的にちゃんとチェックできるような形でフィードバックをつける。それに対してチューターをつけて、質問があったならば待機しているチューターが臨機に対応するという形で、単なる聴きっ放しということではなくて、多い人数に対していかにきめ細かく対応するかということを今工夫しながら、進めたい。現に4月からe-ラーニングもテスト的ではございますけれども、稼働していまして、その中でいろいろな試行錯誤をしています。工夫をして義務研修に皆さんが、新人も含めて受けやすい形のものにしていこうと考えてやっているところです。

中山委員長

先ほど大渕委員の話にあった修了試験といいますか、最後の試験はあるのかないのか、あるいはどんなものかという感触はいかがでしょうか。
では、神原委員、どうぞ。

神原委員

私の方から申し上げます。
修了試験というようなことまでではございませんで、研修の効果確認というふうな形で何がしかの最終チェック、これは今考えております。
ただ、例えば研修を受けた者が大半通るような程度のレベルのものを考えておりまして、事によると通らない人がいるかもしれないという程度のものでいいのではないかというふうに考えております。もちろんまじめに研修に出たということが前提になります。
それから、研修の免除ということも考えておりまして、これは先ほどお話が出ましたけれども、御自身が私は十分実務経験はありますというようなことを主張して、さらにそれなりの証明を持ってくれば、この方は免除することにしたいと考えています。そういうことになりますと、恐らく研修対象は毎年の受験生の半分以下ではないかというふうに予測をしております。
また、費用をどうするかのという問題もございますけれども、これは日本弁理士会が全部責任を持ってその費用を負担する、ただし、受講する方々からは受益者負担ということで何がしかの研修料はいただこうかというふうなことまで考えております。

中山委員長

時間の都合もございますが、相澤委員、どうぞ。

相澤委員

大渕委員御指摘の点で、登録前で、なおかつ、試験を課すということになると、弁理士試験の後にもう一度試験をやるということになるので、参入抑制の性格が強く出てくるのではないかと思います。

中山委員長

ありがとうございます。
時間の都合もございますので、今日のところはこのくらいでよろしゅうございましょうか。
ありがとうございます。

弁理士法に規定する業務について

中山委員長

それでは、次の議事でございます「弁理士法に規定する業務について」の資料に基づきまして事務局から説明をお願いいたします。

稲垣秘書課長

それでは、引き続きまして、資料3に基づきまして御説明したいと思います。
資料3の1ページ目から3ページ目は制度の概要を書いてございますので、時間の関係もございますので省略させていただきます。具体的に4ページ目から問題の所在と論点を御説明します。
まず、(1)特定不正競争の範囲の拡大についてということでございます。
平成14年の改正によりまして、弁理士は特定侵害訴訟については、法廷では弁護士さんと共同代理で業務を行うことができるようになっております。この特定侵害訴訟の対象でございますが、産業財産権、回路配置、特定不正競争に関する営業上の利益の侵害に係る訴訟ということになっております。
現在特定不正競争といたしまして、不正競争防止法第2条に規定する不正競争のうち、一定のもの、具体的には商品等表示、著名表示、商品形態、営業秘密のうちノウハウ等技術的性格を有するもの及びドメイン名に関するものに限定されていて、それ以外の不正競争についてはこの特定の対象外になっております。これについて拡大ができるかできないかというのが論点でございます。
それでは、具体的にどういうものかといいますと、6ページを御覧いただきまして、現在特定不正競争に入っていないものが第10号以下でございまして、10号、11号が技術的制限手段に対する不正競争行為ということで、コピー管理技術を無効にすることを目的とする機器やプログラムの提供行為といったようなものでございます。情報処理技術等に関する知識が必要なものではないかということでございます。
それから、12号は対象になっていますが、13号は原産地等誤認惹起行為ということで、ここに書いてございますが、7ページにいっていただきまして、商品や商品についての広告もしくは取引用の書類等に、原産地、品質、製造方法、用途もしくは数量について誤認するような表示をする行為ということで、商標権に関する知識が必要であるものと考えられます。
14号が競争者営業誹謗行為ということで、自己と何らかの競争関係にある他人の営業上の信用を害するような虚偽の事実を告げる行為ということで、誹謗を行った内容が仮に知的財産権を侵害していないにもかかわらず、虚偽の事実を流布するような場合には、その前提として警告の基礎となる特許権等の効力の及ぶ範囲を検討する必要があり、こういう事案の場合には知的財産権制度に関する知見が求められると考えられるのではないかと思われます。
15号は、代理人等商標無断使用行為ということで、外国の商標に類似する商標を同種の商品、役務に使用等する行為でございます。
論点としましては、これらの行為のうち幾つかのものについては全部又は一部に工業所有権に関する知見が必要となるものもあると考えられることから、こういったものについて弁理士の業務の対象とすることにつき、どう考えるかということでございます。
(2)が水際における税関長等に対する手続代理業務ということでございます。
現在、1に書いてございますけれども、平成12年の改正によりまして、水際における権利を侵害された方、つまりこれが輸入されると自分の権利が侵害されるという権利者については弁理士が税関長等に対する諸手続についての代理ができるという規定になってございます。
他方、2にございますように、これは権利者側の輸入代理手続のみであって、輸入者側については弁理士の業務とはなっておりません。これをどう考えるかということでございますが、10ページ目にございますように、いずれにしても知的財産権の侵害の問題でございますので、弁理士の知見が一定程度使えるのではないかということも考えられるわけでございます。
ただ、11ページにありますように、通関業法2条の規定にありますように、要するに輸入者から税関長に対する手続の代理については現状では通関士の業務ということになっておりまして、この通関士の業務との関係の調整について考慮する必要があるということでございます。
こういったような、弁理士が輸入者側、あるいは輸出者側もいずれ入ってくるわけでございますが、そういったような輸入者、輸出者の代理を行うことが適切かどうか。通関士の業務との関係についてどう考えるかということが論点でございます。
それから、12ページでございますが、外国出願関連業務でございます。現在、日本国特許庁への出願書類の作成手続は弁理士だけができるということになっております。外国においても同じでございまして、米国においてはいわゆるPatentAttorney、もしくはPatentAgentといった米国の有資格者のみが行うことができます。
他方、日本の出願人から依頼を受けて、米国の有資格者に対する仲介を行う業務、具体的には出願書類の翻訳文及びドラフトの作成、あるいは有資格者への媒介については誰でも行うことができるということになっております。
2にございますように、今の制度のままだと問題のある書類が多くなっており、外国出願関連業務を弁理士としての義務と責任を持って遂行する標榜業務として規定する必要があるのではないかという指摘がございます。
論点にまいりますと、まず実態はどうなっているかというと、実はこういう業務は弁理士に依頼するケースが大多数であるというのが、規定はございませんが、実態でございます。したがって、大多数が依頼しているのだから書けばいいじゃないかと思うのか、何もあえて今書く必要はないのではないかと思うのかは判断なのですが、そういう実態がございまして、13ページにまいりまして、bにまいりますが、外国特許庁へのこういったような手続については当該国の弁理士法によって規定しているわけでございまして、今議論になっておりますのはこういう外国有資格者に対する補助的な手続業務でございますが、そういったようなものを日本国の弁理士法で規定することが妥当かどうか。ちなみに、他国の法令でこういったようなものが規定されている例はございません。
弁理士法の目的との関係。弁理士法は、工業所有権の適正な保護及び利用の促進に寄与し云々と書いてありますが、これはあくまで我が国の経済及び産業の発展というのが弁理士法の目的でございまして、こういったような業務を規定することが適当かどうか。
それから、規定するとすると能力をどう担保するかといったような論点がございます。
14ページの四角の中に今申し上げたようなことが書いてございます。
それから、最後に、15ページに訴訟代理の単独受任の話でございます。
これは先ほど御説明しました侵害訴訟について弁護士と共同で代理ができるというのが今のスキームでございます。これにつきまして、従来、16ページのaにございますように、さまざまな場で弁理士さんについては信頼性の高い能力担保措置を講じた上で共同代理とすべきだということになっているわけですが、これを共同代理から一歩踏み込んで、単独代理もできるようにしていくのかどうか。また、そうだと仮にしても、それをいつ議論していくのかということで、17ページにございますように、現在では付記弁理士が誕生してからまだ3年でございまして、まだ件数が多くないという実態で、この問題について現在議論するのは適当なのか、今後十分知見を積んだ段階で議論するのが適当なのかというのが論点でございます。
以上でございます。

中山委員長

ありがとうございます。
本日、弁護士の三尾委員から意見の提出がございまして、お手元にお配りしてございます。このペーパーにつきまして三尾委員から簡単に御説明をお願いいたします。

三尾委員

意見ということでお手元に提出させていただきました。本件に関しましては、関連の業務ということで弁護士に非常に関わりが深い問題であり、日弁連の知財関連委員会や業務の関連委員会等でかなり議論いたしました。お手元の意見はあくまで個人意見ではありますが、各委員の先生方の概ね共通した意見であったと考えております。
あくまで手控えで作成していたものですので、内容的に不備があるかもしれませんが、そのあたりは趣旨として御理解いただければと思います。
まず最初に、今回の議論の対象になっております特定不正競争の範囲の拡大について意見を述べさせていただきたいと思います。
結論としては、現段階で拡大するのは妥当ではないというふうに考えておりまして、また必要性もないのではないだろうかというふうに理解しております。
基本的な意見としては、ペーパーに書いてある通りなのですが、不正競争防止法が規定する不正競争行為というのはいろいろ議論もあるところではありますが、少なくとも当事者対立構造を前提としまして、不法行為性の色彩が強い紛争であるという前提で考えております。
したがいまして、基本的には紛争性があるということで、私ども弁護士が主に担っていくべきではないだろうかという議論がなされております。前回の12年の改正ではそういう前提の中であっても、技術的分野に限って弁理士さんの方の知見を使わせていただくことは非常に有用であるという観点から改正がされたというふうに理解しております。
今回議論になっております対象のうち、例えば同法14号ですが、これに関しましては、従来権利侵害の警告書ということが主に問題となり、この警告書を発した場合、その後、裁判になりまして、権利が非侵害、無効等であるという結論になった場合でも自動的に14号に該当するというようなことではなく、いろんな事情を総合的に判断しながら違法性の有無を裁判所で決めていくというような対応になっているかと思います。
したがいまして、民法や民事訴訟法等の知識も必要になってきますし、訴訟構造を前提として進められるものでございますので、弁理士さんの専門性ということよりは、むしろ法律的な素養と判断が必要であるということから、14号というのは今回拡大するべきではないというような意見を述べさせていただいています。
その他につきましても同じように専門性や知見はそれほど必要ではないのではないかというようなことから、拡大の必要性はないというふうに考えております。
次に、水際の輸入者代理なんですけれども、現在水際手続というのは、皆さんも御存知かと思いますけれども、財務省や経済産業省等でその手続のあり方自体に関しましてもいろいろ議論がなされているところであるかと思います。従来のように単なる行政手続という考え方から一歩脱しまして、当事者対立構造もあり得る、法律手続に非常に近い手続であるという認識がされ始めており、手続保障等についてもいろいろ改善するべき点はあるのかなというように考えます。実際、財務省や経済産業省では有識者による意見も参考にして判断するというような手続もとられておりますし、今後もさらに手続的には変わっていくのではないかというように考えられます。
したがいまして、そのような手続自体の変化に応じて検討するべきであるということもございますし、さらに申し上げますと、現在認められております申立人側の代理という点につきましてもそれほど実績を蓄積しているわけではないというようなこともありますし、その点も含めまして現段階で拡大を検討するということは時期尚早ではないかというふうに考える次第であります。
3番目としましては、外国出願の関連業務なのですが、これも先ほど事務局の方から御説明がありましたとおり、弁理士さんの大方の業務になっているという事実もございますし、独占業務でないものをあえて業務として加えるということについて不都合もあるかと思いますので、これについても必要性はないというふうに考えております。
最後に、訴訟代理の単独受任についてなのですけれども、これにつきましては日弁連の方からさんざん今まで意見書を何回も出しておりますので、その意見書に記載してありますとおり、単独受任については慎重に検討するべきであるというふうに考えます。
以上です。

中山委員長

ありがとうございました。
ただいまの事務局の説明と三尾委員の御意見について何か御質問、あるいは御意見がございましたらお願いいたします。
神原委員、どうぞ。

神原委員

最初に、今御説明いただいた三尾委員の御見解についてちょっと申し上げたいと思います。
まず、特定不正競争が弁理士の業務に入ったいきさつ、平成12年の改正のときの話でございますけれども、技術的性格を有する場合ということに限られてお話しされたように思いますけれども、必ずしもそうではなくて、知的財産に密接に関するもの、当時は工業所有権でしょうか、そこに密接に関するものもという考え方もあったかと思います。具体的に申し上げますと、2条1項1号から3号まで、これはまさしく技術的な問題ではございませんで、工業所有権に密接に関するものという観点で入っているものと思います。4号から9号に関しましては確かにおっしゃるとおり、技術上の秘密ということに制約されているのは間違いございません。そういうことが1点ですね。
それから、例えば14号のことでございますけれども、今現在私どもは弁護士さんと一緒に特定侵害訴訟については代理をできるという立場におります。しかしながら、例えば特許侵害の場合に、この14号の不正競争ということで反訴が出てきたというような場合に、現在私どもはそれに関与できません。したがって、同じ事件でありながら、侵害の本訴の方には代理人となるけれども、反訴については手がつけられないというような非常に不合理な場面が起こっております。内容的にはまさしくそう大して変わらない。確かに特許に関することであるということになりますので、そのあたりも何となく不合理であるなというところから、14号についても求めています。ただし、その範囲はあくまでも14号全体にわたるものではなくて、知的財産に関するものに限るというような考え方を持っております。
それから、外国出願関連業務についてですけれども、これは先ほどの事務局からの御説明の方も含めてお話し申し上げたいと思います。まず資料の12ページの外国出願関連業務についてというところの論点のところなんでございますけれども、私ども必ずしも外国出願関連業務という言葉そのものが適切というふうには思っておりませんで、ただ、なかなかいい言葉が見つかりませんので当面これを使っておりますけれども、いずれはきちんとした言葉に置きかえなければいけないという認識は持っております。
それは別にしまして、ここではアンケート結果のお話が出てまいりました。3の論点のところです。最後の4行です。ここで「外国出願業務を「単なる翻訳業務に過ぎない」と考えている出願人は少数であることがうかがえる」とありますが、実はこのアンケートは1つの問いに対して複数の解が用意されておりまして、幾つ選んでもいいですよというようなアンケートの結果です。したがって、そういう観点で他の回答を見てみますと、他の業務と包括的に委任しているから弁理士に頼むという回答が30から40あります。これは中小企業と大企業で違いまして、そういうパーセンテージが出ております。それから、もう1つ、技術的内容を適切に翻訳してくれるからという理由で弁理士に頼むという回答が約30%あります。ここを全く切り捨ててしまっていいのかというところが1つ問題であろうかと思います。私どもとしてはそういうパーセンテージのものがあります以上は、少なくとも問題であるという認識を持つべきではないかと考えております。
それから、次のページの13ページ、ここに(b)というのがありまして、外国有資格者の補助的業務というふうにいきなり出てまいりますけれども、これは大変に私どもとしては納得できない表現でございます。私どもが行っているのは決して外国有資格者の補助的業務ではないという認識を持っております。もちろんこの内容はどういう意図か、詳細にはわかりませんけれども、一般的な解釈とすれば、多分外国有資格者の要請に応じて、あるいは指示に応じて例えば明細書のドラフトをつくるとか、そういう作業を想定されると思うんですが、まさしくそういったものとは全く違うというのが私どもの考え方です。
では、何を行っているかといいますと、日本に依頼者がおりまして、出願人になるわけですけれども、この依頼者の意向ですとか、要望ですとか、指示ですとか、そういったものをすべて含めて外国有資格者に情報として提供するということをしています。その情報をどういう形で提供するかといいますと、先ほどの要望、指示、意向、そういったものをすべて踏まえた書類をつくりまして、例えば、その代表的なものは出願で言えば出願の明細書のドラフトになりますし、中間処理で言えば意見書とか補正書、そういったもののドラフトになるということになるのですけれども、そういう形でとにかく情報伝達ということに大きな役割があるのではないかと考えるわけです。外国の有資格者にとってみますと、その情報伝達がない限り、仕事を開始できない。そういう状況にありますので、やはり外国有資格者の業務と、国内における私どものここで言っております外国出願関連業務とは全く別個のものであるというふうにとらえるべきではないかというのが私どもの考え方です。
現に私どもが通常やっております作業は、例えば出願について言いますと、出願の明細書、図面、これらをきちんとそろえまして、さらには発明者のサインを受けたディクラレーションまでつけて、それで外国の方に送っています。外国の有資格者はそれに基づきまして、もちろんチェックはいたします。そして、誤りがあれば、それは発明者の了解を得て直すというような作業はあると思いますけれども、それも私どもを通じて行うという仕方になっております。
したがって、仮に主従関係を言うとすれば、どちらかといえば私どもが行っている外国出願関連業務が主で、外国の有資格者が行っている業務はそれに基づいて行う従という関係が、極端に言えばあるのではないか、そのくらいの意識を持っております。
そういったことから言いますと、ここで言われておりますような外国有資格者に対する補助業務という括り方は大変納得ができないというところがあります。
それから、もう1つ、これは矛盾点といいましょうか、この資料のとらえ方としましては、最初に必ずしも外国出願関連業務というのが単なる翻訳的なものではないと位置づけてありますが、その次の方では逆の位置づけになっているように思います。したがって、そのあたり、多少矛盾があるのかなという気がしておりますので、そこも御検討いただきたいと思います。
以上です。

中山委員長

ありがとうございました。
他に御意見ございましたら、お願いします。
清水委員、どうぞ。

清水委員

裁判所の方に関連しますので、一番最後の単独訴訟代理の件からまずお話をさせていただきますが、現状のところ3年間の実績ということで、共同代理としてはよくやっていただいている方がおられることは承知しておりますけれども、今後拡大して、付記弁理士の資格のある方全員に関して、単独の訴訟代理ということになりますと、やはり時期尚早というふうに裁判所としては思っております。もう少し経験を積まれた方が増えて、大体の方が法廷で1、2度共同代理をされているということが実現した段階で、そろそろということはあり得ると思いますけれども、現状では、本当によくやっていただいている方は顔と名前がほとんどわかるぐらいの人数しかおられませんので、一律に拡大するということは現状では無理ではないかと思っています。
もう1点、特定不正競争の拡大について、妥当か、妥当でないかということではなく、必要性の観点からの意見なのですが、現状で、弁理士さんが不正競争防止法に基づく請求しか行わない事件を担当される可能性と必要性がどれだけあるのかという点で、疑問を感じております。現実には商標法とか意匠法、あるいは回路の著作権、こういったものが訴訟物として請求されている場合に、その中で不正競争防止法の請求もあるというときに、共同代理で関わっていることはあろうかと思いますけれども、それでも今の段階で数は非常に少ないと思います。そこのところで、さらに不正競争行為の範囲を拡大する必要性がどれだけあるのかという観点から、やや疑問を感じている次第です。

中山委員長

ありがとうございます。
他に御意見ございましたら、お願いします。
戸田委員、どうぞ。

戸田委員

ユーザーの立場で申し上げますと、御議論がありましたように、特定不正競争範囲の拡大、水際の輸入者代理、最後の訴訟代理の単独受任、これは確かにまだ時期は早いかなという気がいたします。
1点、外国出願関連業務のところは、コメントさせて頂きます。三尾委員御指摘のようにあえて独占業務ではないものを加える意味があるのかというところはあるのですけれども、実態としてはほとんど特許事務所にお願いしているのは事実です。だから書かなくていいという議論と、だから書いたらいいんじゃないのという議論と両方あると思います。
それと、もう1つ、外国出願と言ってしまうからいけなくて、優先権主張なりをして日本出願に基づいて日本国外への発送などを行なう日本で行っている行為なわけです。例えば特許業務法人の定款に書いておかないと、きちんと業務として行うことができないのではないかという議論もあるわけですね。ですから、外国のための仕事をしているということでなくて、あくまで日本で、日本発の、日本出願をベースに手続をしているわけです。日本で行っている行為をきちんと業務範囲に書いておくという意味はあるのではないかなと思います。実態的には国際出願の代理とほとんど変わらないことをおやりになっているのではないかなと思います。国際出願というのは、日本特許庁にお出しする書類ということであるので、専業の範囲で認められていると思うんですけれども、ほとんど同じことをやっていらっしゃると思います。そういう意味では、個人的には標榜業務にお書きになっても差し支えないのではないかなと思います。

中山委員長

では、谷委員どうぞ。

谷委員

今の戸田委員のお考え、私、大賛成です。
それから、あと少し外国出願の話を補足しますと、13ページで弁理士法の目的との関係ということですが、これが外国関連の業務が我が国の経済、産業の発展ということにどういうように関連するか。まさに外国で特許を取ることがこれから非常に我々にとって大事な仕事になってくるわけですから、まさに弁理士法の目的と100%整合していると思います。
能力の担保につきましても先ほど御案内の弁理士会の研修の中では外国関連の研修のカリキュラムは既にやっているわけで、これについて、我々は非常に重視しております。
もう1つ申し上げますと、e-ラーニングというシステム。これは外国の、例えばアメリカの知的所有権法協会、すなわちAIPLA等とコンテンツの交換もして、お互いの研修もやっていこうとしています。そういうことも考えているわけでして、能力の担保については我々は非常に重視して現状でももちろん対応しているわけです。
もう1点申し上げます。先ほどの統計データ、13ページのデータを見ますと、ほぼ特許事務所、弁理士さんが外国関連の仕事に関わっている。ですから、書いてもいい、書かなくてもいいというお話があったわけですけれども、実態的に関与している場合に、これを標榜業務として書くことは我々の弁理士法の中にあります倫理等の規定にかかってくる。また、我々の中で倫理規定に反するような行為をした者は会の中でそれに対処できるようになるという点もございます。
以上です。

中山委員長

相澤委員、どうぞ。

相澤委員

日本法の中に外国特許出願業務を規定することには違和感があります。賛成、反対はともかく、不正競争防止法については、規定しないと業務としてできないということなので、主張の筋はわかります。しかし、外国特許出願業務は規定しなくてもできるということですから、なぜ、規定したいのかということが明確でないという感じがいたします。

中山委員長

他に御意見ございましたらお願いします。
神原委員、どうぞ。

神原委員

外国出願関連業務という言葉は、何回も言いますけれども、余り適切なものとは思っておりません。そのうえで、これをなぜ標榜業務にしたいのか、私どもがそう思っているかといいますと、これは日本で生まれた知的財産を日本だけでなく、国際的に保護することは今、日本の国是とも言っていいほど重要な事柄だと思います。そのためには日本国内でその元となる基礎をしっかりとつくらなければいけないということも確かだろうと思います。そのときに、今現在確かに弁理士がその仕事に携わっているわけですけれども、あくまでも法律上の弁理士の業務として行っているわけではありません。
そういった観点からしますと、もっともっと質を高める必要があるという観点から見ますと、それなりの理由づけというか、根拠、それが必要であろうというふうに思いますので、弁理士の標榜業務という形にして、弁理士の義務と責任というものをはっきりと反映させて行うことがやはり外国出願関連業務の質の向上にまさに効果的につながるのではないかというふうに考えております。これが私どもがこれを主張する理由です。

中山委員長

他に何かございますか。
三尾委員、どうぞ。

三尾委員

先ほどのお話なんですけれども、実際に業務としてやっていらっしゃるということですので、法律に書いてあるか、書いてないかにかかわらず、弁理士の業務として、もちろん弁理士倫理の問題にはなると思いますし、質を高めるということも同様に必要であろうかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

神原委員

確かに弁理士が行っている業務であることは間違いないのですが、やはりそれは弁理士の名前を使って行う標榜業務ではなく、もちろん独占業務ではありません。そういうことからして、いろいろな面で弁理士法に書かれた、例えば第4条1項から3項までの業務とは違うという意識がどうしてもありますので、そのあたりをどうするかということです。そこが結局プラスの方に作用すればいいのですが、必ずこれはマイナスの方に作用します。法律に規定されていない業務であるという認識がありますので、そこあたりが問題だと思います。
それから、もう1つ、弁理士の業務でないとなりますと、いろんな規定の適用ができないという場合も起こってまいります。したがって、そういったことはまさに依頼者の方に不利益として返るおそれがありますので、そのあたりもきちんと弁理士の業務として法律上に明記されることの効果が出てくるのだろうと思います。

中山委員長

他に御意見ございませんでしょうか。
大分活発な御意見をいただきましたが、今日のところはこのくらいでよろしゅうございましょうか。また次回以降も議論を続ける時間があろうかと思います。

その他

中山委員長

それでは、時間も過ぎておりますので、本日の議事はこれで終了させていただきたいと思います。
今後の委員会のスケジュールにつきましては事務局から説明をお願いいたします。

小林弁理士室長

次回の委員会の開催でございますが、事前に皆様にお伺いしてございますけれども、7月12日、水曜日、午前10時からということでよろしいでしょうか。

中山委員長

それだけですね。

小林弁理士室長

以上でございます。

閉会

中山委員長

以上をもちまして、産業構造審議会知的財産政策部会第2回弁理士制度小委員会を閉会させていただきます。
長時間にわたり、熱心な議論をありがとうございました。

[更新日 2006年7月7日]

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