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第2回特許権の存続期間の延長制度検討ワーキング・グループ議事録

  1. 日時 平成20年12月24日(水曜日)13時30分~15時30分
  2. 場所 特許庁 特別会議室
  3. 出席委員 相澤委員、熊谷委員、佐藤委員、高橋委員、田中委員、辻村委員、長岡委員、中冨委員、長濱委員、中村委員、前田委員、本山委員
  4. 議題
    1. アンケート結果の中間報告について
    2. 延長された特許権の効力範囲及び延長制度の対象となる処分について
    3. DDS技術及び薬事法上の審査について
    4. 延長制度の対象となる処分(最初の処分)により特許発明の実施の禁止状態が解除された範囲とDDS技術について

開会

長岡座長

定刻になりましたので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会特許権の存続期間の延長制度検討ワーキンググループ第2回を開催させていただきます。

本日は、お忙しい中お集まりいただき、大変ありがとうございます。

前回は、延長制度の対象分野とする条件につきまして、カルタヘナ法を例にして議論をさせていただきましたけれども、今回は、医薬品分野の延長制度について議論をしていただきたいと思います。

議論に入る前に、前回御欠席でありました委員の御紹介を事務局からお願いいたします。あわせて、本日の委員の御出席等の状況と配付資料の確認もお願いします。

前回御欠席委員の御紹介

田村審査基準室長

それでは、初めに、前回御欠席された委員を御紹介いたします。

まず、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の相澤英孝委員でございます。

次に、慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授の中村洋委員でございます。

本日は、すべての委員の皆様に御出席いただいております。また、政府の出席者として厚生労働省医薬食品局審査管理課の猿田専門官にも御参加いただいております。

配付資料について

田村審査基準室長

それでは、続きまして、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。

本日の配付資料は4点ほどございます。お手元のほうの資料1、「アンケート結果の中間報告」、資料2、これはパワーポイントの資料になりますが、「延長された特許権の効力範囲及び延長制度の対象となる処分について」、資料3でございますが、「DDS技術及び薬事法上の審査について」、資料4でございますが、「延長制度の対象となる処分(最初の処分)により特許発明の実施の禁止状態が解除された範囲とDDS技術について」の以上4点でございますが、不足等ございませんでしょうか。

それでは、本日も前回同様、御発言の際にはお手元のマイクの緑色のスイッチを入れていただき、マイクを近づけて御発言いただきますようお願いいたします。

長岡座長

ありがとうございました。

アンケート調査の中間報告について

長岡座長

では、早速、最初の議題「アンケート結果の中間報告について」に入らせていただきます。

では、事務局より御説明をお願いいたします。

田村審査基準室長

それでは、お手元の資料1を用いまして、前回のワーキンググループで御説明したアンケートの結果の中間報告をさせていただきたいと思います。

このアンケートは、平成20年度産業財産権制度問題調査研究の一環として、財団法人比較法研究センターに委託して行ったものでございます。こちらの資料1の3.アンケート対象内訳の3つ目をごらんください。前回のワーキンググループにて中冨委員からご提言がありました、日本バイオインダストリー協会に加盟している企業にもアンケートを送付させていただきました。この118社は日本知的財産協会に加盟している企業を除いておりますので、中小企業やベンチャー企業が多く含まれてございます。最終的には1,150カ所に送付しまして、回収率は5割近くとなってございます。

5.のところを見ていただきますと、延長制度の対象分野とすべき技術分野につきまして、医療機器分野に係る薬事法を初め幾つかの法規制について、延長制度の対象とすべきことへの賛否の回答がございました。それら法規制について、現行の延長制度の対象となっている医薬品・農薬分野と同等の条件を満たしているかどうか、現在調査しております。

次に、6.のところを見ていただきますと、カルタヘナ法を延長制度の対象とすべきか否かについて、カルタヘナ法に興味のある企業のうち、この法律を「対象とすべきである」とする回答は60、「対象とすべきでない」とする回答が33、「わからない」とする回答が76となりました。この結果に基づきまして、現在、業界の意見をさらに調査しております。これらの調査結果も含めまして、アンケート結果の詳細は次回ワーキンググループで紹介させていただく予定にしております。

資料1については以上でございます。

長岡座長

ありがとうございます。

詳細は次回ということでありますけど、何かこの段階で格段の御質問等ございますでしょうか。

では、次回、もっと深い分析を加えた結果を報告していただくということにさせていただきたいと思います。

延長された特許権の効力範囲及び延長制度の対象となる処分について

長岡座長

では、次の議題で「延長された特許権の効力範囲及び延長制度の対象となる処分について」ということで、本日の本題でありますけれども、医薬品分野の延長制度についての議論に移りたいと思います。

どうぞ、高橋委員。

高橋委員

この後、事務局から現在の延長制度についていろいろ詳細に御説明があると思います。ですが、前回の議事録を読まれた多くの方から、他の分野でこの制度に対する誤解がないようにきちんと発言しろという要望がありました。ですので、申しわけありませんがこの時点で発言させていただきます。

申し上げたいことは2点あります。1つは、前回の説明では期間延長という「延長」という言葉が使われています。確かに法律も「延長」なのですが、本来は、これは「回復」という考え方であるということを委員の皆様方に御理解いただきたいと思います。この制度を提案した工業所有権審議会の答申の中には、一度も「延長」という言葉は使われておらず、すべて「回復」です。特許権の登録によって得られた例えば丸い権利が、その処分を受けるために大きく侵食されて欠けてしまっている、その欠けた部分をどうか回復してほしいという製薬業界の強い希望から作られた制度です。丸い権利にさらにたんこぶのように何かをつけてほしい、くっつけてほしいという制度ではないと考えています。

前回、熊谷委員から、大正10年法の延長制度との比較で御発言がありましたが、熊谷委員がおっしゃるとおり、大正10年法は例外的に延長を認めるという制度でした。しかし、62年に作られた現在の制度は、特許期間を例外的に延長するというのではなくて、むしろ正常な期間に戻すための回復の制度だということ、これが根底にあるということを御理解いただきたいと思っています。

2点目は、「剤型」という言葉です。今日もたくさん「剤型」という言葉が出てきます。実は我々の技術分野では、「剤型」という言葉は製剤を外観から区別するタイプ、薬局方にこれは20数種類もう既に決まっていますけれども、そういった外観から区別するタイプを意味しています。したがって、技術的には非常に狭い用語でして、この点は昨年の競争力強化専門調査会で中山信弘先生も御指摘されていて、その結果として、報告書には「製剤技術」という言葉で修正されている部分もありました。今日の資料をすべて修正希望するわけでは決してありませんけれども、この外観から区別できるものだけではなくて、中身、外観からは区別できないけれども技術的な特徴を有する製剤、これもこのワーキングの検討対象であることを、ほかの通常製剤や医薬に携わってない技術分野の方にも御理解いただきたいと考えます。ちなみに、DDS製剤に限らず製剤技術というのは、医薬品を実用化する上で非常に重要なものであって、単なる有効成分の入れ物ではないということも併せて御理解いただければありがたいと思います。

以上です。

長岡座長

高橋委員、どうもありがとうございました。

では、本来予定していました事務局からの延長制度の概要について御説明をお願いいたします。

田村審査基準室長

それでは、お手元の資料2と3を用いて、特許権の延長制度というか回復制度なのかもしれませんが、そちらの概要とDDS技術及び薬事法上の審査について御説明をさせていただきたいと思います。資料3については、本日参加いただいております厚生労働省の猿田専門官と審査基準室の本間補佐から、後ほど御説明をさせていただきたいと思います。

それでは、初めに、お手元の資料2を用いて特許権の延長制度の概要を御説明させていただきます。それでは、お手元の資料2、よろしいでしょうか。

まず、2ページ目のほうを見ていただきますと、特許権の存続期間の延長制度というのが書いてございますが、前回のワーキンググループでも御説明しましたように、この制度は、安全性の確保等を目的とする政府の審査手続のために相当の長期間にわたって特許発明の実施ができなかった場合に、その侵食された特許権の存続期間を、5年を限度として回復する制度でございます。先ほど高橋委員のほうからお話がございましたように、期間延長と俗に呼んでおりますが、この制度自体、侵食された特許権を回復する制度だというところを御理解いただければと思います。

それでは、次の3ページに参らせていただきまして、特に本日話題になります医薬品分野の期間延長ということでございますが、この延長期間の考え方といたしましては、臨床試験の開始と特許権の設定登録の遅いほうの日から、承認が申請者に到達した日の前日までの期間を、特許発明の実施をすることができなかった期間として延長期間とすることとしております。

それでは、次の4ページに参らせていただきまして、今回の議論と関係の深い制度の概要について御説明いたします。初めに、延長された特許権の効力の及ぶ範囲について御説明いたします。特許法の68条の2には、こちらに書いてございますように、「処分の対象となった物(その処分においてその物の使用される特定の用途が定められている場合にあっては、当該用途に使用されるその物)についての当該特許発明の実施以外の行為には、及ばない。」と規定されてございます。この規定は、こちらに書いてございますが、逐条解説によりますと、「特許権者は何らの法規制もなければ特許発明の実施をすることができたにもかかわらず、第67条の2項の政令で定める処分を受けることが必要であるためにその実施が妨げられている場合に、当該特許権の存続期間の延長を認めることとするのが特許権の存続期間の延長制度の趣旨であるため、処分をうけることによって、発明の実施の禁止が解除された範囲と、特許発明の範囲の重複している部分のみに、延長された特許権の効力が及ぶ。」ことと説明されてございます。

つまり、処分を受けることによって特許発明の実施の禁止が解除された範囲を、特許法では、処分の対象になった物、あるいは物と用途の観点から特定しております。

次のページの概略図を用いて、もう少し具体的に御説明させていただきたいと思います。上の段の図になりますが、ある特許権が設定登録されても、処分、例えば医薬品の承認がおりるまでは特許発明の実施が禁止されていたと考えます。処分がおりて発明の実施の禁止が解除された範囲と特許権の範囲の重複している部分がありますと、処分がおりるまで発明の実施が禁止された期間が延長される期間になり、重複している部分にのみ延長された特許権の効力が及ぶことになります。つまり、処分により特許発明の実施の禁止が解除された範囲と延長された特許権の効力の及ぶ範囲は裏腹の関係にあります。

この考えを具体的に医薬品で見ますと次のページになります。6ページのほうを見ていただきたいと思います。薬事法上の処分は製品の単位でおりるため、実際に特許発明の実施の禁止が解除された範囲は、処分の対象となった製品の製造・販売になります。そのため、先ほど御説明した考え方に従いますと、延長された特許権の効力の及ぶ範囲は、特許発明の実施の禁止が解除された範囲と同じ範囲ということになります。

それでは、7ページのほうに移らせていただきまして、しかしながら特許法68条の2では、延長された特許権の効力の及ぶ範囲は、処分に対応する物と用途により規定されるすべての範囲に及ぶこととしております。そして、その物は有効成分、用途は効能・効果であると解釈されております。つまり、薬事法上の処分は製品の単位でおりますが、その製品と同じ有効成分と効能・効果を有するすべての製品、例えば下の図面では、有効成分である物質aから成る鎮痛剤であって、製品Aと剤型、用量・用法等のみが異なるすべての製品に、製品Aにおりた処分に基づいて延長された特許権の効力が及ぶことになります。それは、延長制度が導入された昭和62年、特許法改正時の内部資料によりますと、薬事法の本質が有効成分と効能・効果にあるからと説明されているわけでございます。

8ページのほうに移らせていただきまして、次に、延長された特許権の効力の及ぶ範囲と裏腹の関係にあります特許発明の実施の禁止が解除された範囲について、つまり延長制度の対象となる処分の考え方について、さらに詳しく御説明をさせていただきます。

特許法67条の3第1項第1号には、その特許発明の実施に67条の2項の政令で定める処分を受けることが必要であったとは認められないときには、延長出願を拒絶すべき旨の査定をしなければならないと規定されてございます。

昭和62年の特許法改正の内部資料によりますと、この条文の解釈として、「処分を受けることによって禁止が解除された範囲と特許発明(特許権)の範囲に重複している部分がなければ、特許発明の実施に当該処分を受けることが必要であったとは認められないため、拒絶査定を受けることとなる。」また、「仮に重複関係があったとしても、それ以前に別の同様な処分を受けることによって特許発明の実施をすることが出来るようになっていれば、後の処分を受けることは、特許発明の実施に必要であったとは認められないため、拒絶査定を受けることになる。」と書かれてございます。

9ページのほうに参らせていただきまして、こちらのほうに黄色い枠囲いで書いてございますが、こちらは経済産業省の大臣官房総務課に保管されている昭和62年当時の法改正の資料でございますが、そちらに医薬品を例にとって次のように説明されてございます。

「薬事法の本質は、ある物質を医薬品として(特定の効能・効果用)に製造・販売することを規制することにあるから、多数の特定される要素の中で、まさに、有効成分(物質)及び効能・効果(用途)が規制のポイントということになる。したがって、有効成分(物質)及び効能・効果(用途)が同一の医薬品の製造承認について、その他の例えば、剤型、用法、容量又は製法等のみが異なる製造承認が、いくつかあったとしても、その中の最初の製造承認を受けることによって医薬品としての製造・販売等の禁止が解除され、その有効成分(物質)と効能・効果(用途)の組み合わせについては特許発明の実施ができることとなったと考えられ、したがって最初の製造承認に基づいてのみ延長登録が可能であり、その後の製造承認は、特許発明の実施に当該承認を受けることが必要であったとは認められないこととなるのである。」と書かれてございます。

この考え方を次のページの図面で説明させていただきたいと思います。10ページに参りまして、言いかえますと、「特許発明の実施に処分が必要であったかどうかの判断は、延長された特許権の効力の及ぶ範囲を特定する『物(有効成分)と用途(効能・効果)』の観点から判断する。」ということになります。

具体的には、図面に示したように、有効成分である物質aを鎮痛剤に用いる最初の処分(製品Aの処分)によって、物質aを用いた鎮痛剤のすべての製品について、製造・販売の禁止が解除されたというふうに考えることとなります。

それでは、11ページのほうに移らせていただきまして、薬事法に基づいて、物質aについて鎮痛剤としての製品Aの処分を受けた後に、剤型のみ異なる製品Bの処分を受けたときについて考えます。最初の処分によって、有効成分aを鎮痛剤として用いるすべての製品に係る特許発明の実施の禁止が解除されたと考えますので、同じ有効成分及び効能・効果の製品Bに係る特許発明の実施の禁止もあわせて解除されたと考えます。したがって、特許法上では、製品Bに係る特許発明の実施には製品Bの実際の処分は必要がなかったと考えますので、延長制度の対象ではないということになります。

それでは、12ページのほうに移らせてもらいまして、この考え方は物質特許のみならず製剤特許について考えるときも同様でございます。薬事法上の処分1により、実際は製品Aについてのみ製造販売が認められますが、特許法上では、その後の処分の対象となる同じ物質aを鎮痛剤として用いる製品Bに係る実施の禁止状態が解除されたと考えますので、処分2は物(有効成分)と用途(効能・効果)という観点から、処分2を受けることが必要であったとは認められないと判断されるわけでございます。

では、13ページのほうに移らせていただきまして、この考え方は知的財産高等裁判所においても支持されております。例えば、特許権の存続期間の延長制度における延長が認められる要件、拒絶される事由、延長が認められた場合の効果などは、全体として矛盾のないものでなければならないというふうに判決の中で判示されております。

つまり、特許発明の実施に処分を受けることが必要であったかどうかは、物と用途の観点から判断するということが支持されたことになります。また、物は有効成分、用途は効能・効果であることも知的財産高等裁判所において支持されてございます。

次に、実際に知的財産高等裁判所において争われた2つの事件について紹介いたします。14ページに書かれてございますのは、平成17年(行ケ)10345号の事件でございます。この事件は、薬事法上の処分に基づく製剤特許の延長登録が拒絶されたものでございます。薬事法上の処分2は、それ以前におりた処分1により、子宮内膜症、子宮筋腫に使用される酢酸ブセレリンについてすべての禁止状態が解除されたために、「物(有効成分)と用途(効能・効果)という観点から処分を受けることが必要であったとは認められない。」というふうにこの判決の中で判断されてございます。

次の15ページのほうに移らせていただきまして、こちらの事件は平成18年「行ケ」10311号でございます。この事件でも、先ほどの事件と同様の理由で延長登録が認められませんでした。そして「特許法は、処分の対象になった用途に使用されるその物ごとに特許権の存続期間の延長登録の出願をすべきであるという制度を採用しているものと解される。」というふうに判示されてございます。

16ページのほうに移らせていただきまして、ただし、このようなDDS製剤の特許が常に延長制度の対象にならないというわけではございませんで、もし物と用途の観点で最初の処分としてDDS製剤を対象とした処分がおりたときには、その処分に対応するDDS製剤に係る製剤特許の延長対象になるというところを付言させていただきたいと思います。

では、17ページのほうに移らせていただきまして、最後に、日本の延長制度を欧米の制度と比較させていただきたいと思います。日本では、延長された特許権の効力は物(有効成分)と用途(効能・効果)により規定されてございます。例えば図面に示しておりますように、最初の処分では物質aを鎮痛剤として用いる範囲に特許権の効力が及びます。そして、その後に第2医薬用途の抗がん剤が処分されたときに改めて特許権の延長が認められ、新たに物質aを抗がん剤として用いる範囲に延長された特許権の効力が及ぶことになります。

一方、欧米では、延長された特許権の効力の及ぶ範囲は物(有効成分)のみにより規定されております。例えば図面に示してございますように、最初の処分により物質aについて延長期間中に処分されるすべての医薬用途に効力が及ぶ。そして、第2医薬用途の抗がん剤が処分されたときには新たな延長は認められないという制度でございます。

18ページのほうに参らせていただきまして、最後に、日本と欧米の延長制度の比較を医薬品の場合を例に説明させていただきたいと思います。左側が日本、右側の四角の枠内が欧米の制度になります。前提条件としまして3つの特許権、すなわち物質特許と鎮痛剤の第1医薬用途特許と抗がん剤の第2医薬用途特許があるというふうに仮定したいと思います。ここでは単純化するために、欧米にも同様な特許権があるとしております。また、有効成分の新しい処分1と、その処分1と効能・効果だけ異なる処分2を想定したいと思います。

このような場合、日本では有効成分もしくは効能・効果が新しい処分1、2ともに延長制度の対象となり、それぞれの処分に対応する特許権が延長され、延長された特許権の効力は有効成分と効能・効果の観点から特定されます。一方、欧米では、有効成分が新しい処分1のみが延長制度の対象となり、その処分に対応する特許権のうち1つのみが延長され、延長された特許権のすべてが効力範囲となります。

最後のページは、医薬品と農薬について物と用途をどのように解釈しているかを紹介しておりますので、後ほど御参照いただければと思います。

資料2の説明のほうは以上でございます。

DDS技術及び薬事法上の審査について

田村審査基準室長

続きまして、資料3につきましては、厚生労働省の猿田専門官と審査基準室の本間補佐のほうから御説明させていただきたいと思います。

本間審査基準室長補佐

それでは、資料3を用いまして「DDS技術及び薬事法上の審査」について御説明いたします。途中、薬事法上の審査につきましては、厚生労働省の猿田専門官から御説明いただきます。

初めに、DDS技術について御説明いたします。3ページになります。DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)は、薬物投与経路の最適化を目的とする医薬品の効果をよりよく発揮させるため、あるいは副作用を軽減させるために設計された投与形態の総称になり、幅広い技術を含みます。例えば、徐放化などをした放出制御製剤、難溶解性薬物の可溶化や新規投与経路による吸収改善を行う生体膜透過性改善製剤、そして薬物の生体内で標的部位に指向する性質を付与する薬物ターゲッティング型製剤があるといわれております。このDDS技術につきましては、昨年10月に知的財産戦略本部の知的財産による競争力強化専門調査会で取りまとめられました報告書におきましても、実用化、事業化されて、新分野、新用途、新市場が開拓されつつある革新的新技術として紹介されております。

次に、薬事法上の医薬品の審査について、猿田専門官より御説明をお願いします。

猿田厚労省審査管理課専門官

厚生労働省審査管理課の猿田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

次のスライドになりますが、薬事法上の区分につきまして、平成17年3月31日付の薬食発第0331015号にお示しをしてございますことを図に示したもので御説明を申し上げます。こちらに説明してございますように、薬事法上の区分ということで左側の欄をごらんいただければと思いますが、新有効成分含有医薬品、新医療用配合剤。配合剤とは、有効成分2種類以上含有する医薬品でございますが、その次に新投与経路医薬品、新効能医薬品、新剤型医薬品、新用量医薬品、剤型追加に係る医薬品ということで分けてございます。実際の通知には、それぞれの、例えば新有効成分含有医薬品とは何かということが文章で説明されておるわけでございますが、実際にここでは、新有効成分含有医薬品であれば、有効成分も投与経路も効能・効果も用量も剤型もすべて新規でございますが、次々、配合剤、投与経路、新効能と違ったものに応じて、有効成分は同じでございますのですべて既知ということになってございますが、例えば、何かしら投与経路が新規であれば、投与経路新規、効能・効果も新規、用量も新規、剤型も新規となってございます。

次に、新効能医薬品になりますと、有効成分は同じものの、投与経路は新規になるということもございます。用量については、同じ場合もございますし、変更のある場合もあります。剤型についても、同じかもしくは新規ということになってまいります。

今回は、DDS製剤ということでございまして、主に新剤型ということになろうと思いますが、新剤型につきましても、有効成分は既知、投与経路、効能・効果も既知のものとなっております。用量については、DDS製剤化、徐放化することによって多くなる場合も少なくなる場合もございますので、新規もしくは既知。剤型については新規。これは*でお示しをしてございますが、徐放化等の薬剤学的な変更を加えることにより、用法等が異なるような新たな剤型にいたしますので、剤型は新規。こちら、2つ下に剤型追加に係る医薬品とございますが、こちらは除いてございます。

次に、新用量医薬品については、有効成分は既知、投与経路も既知。効能・効果につきましては、新たな効能・効果を付与される場合には新規、そうでない場合は既知。用量については、新たになりますので新規。剤型については、新規または既知。

その次、剤型追加に係る医薬品は、有効成分、投与経路、効能・効果、用量まではすべて同じもの。剤型については、新規ですが、2つ上の新剤型医薬品というものから除かれたものでございます。一番右側に臨床試験データの「要」「不要」という欄がございますが、こちらはかなり大まかに記しているものでございます。

次のページにお移りいただきまして、こちらは薬事法の区分におけるDDS技術の、あくまで一例でございますが、大体このような形で理解ができるのではないかということで整理をさせていただいております。

例えば有効成分がAのものがあって、まず上のラインから参りますが、経口剤の投与経路があるとします。効能・効果について、例えば鎮痛剤のものと抗がん剤のものがあるとすれば、鎮痛剤のラインから辿りまして、剤型は錠剤、カプセル剤がありまして、成分A、経口剤、鎮痛剤、錠剤のものが医薬品1で、これが最初の新有効成分含有医薬品ということで、臨床試験データもすべてフルセットで提出したものとします。次に、成分A、経口剤、鎮痛剤ですがカプセル剤ということで、剤型が異なることにした場合には、剤型追加に係る医薬品。例えば、経口投与して用法・用量も同じであって、錠剤がカプセル剤になったという理解により、剤型追加に係る医薬品ということで整理をしてございます。

次のラインですが、成分A、経口剤、抗がん剤の錠剤となった場合です。このときは、成分A、経口剤の鎮痛剤に比べて新効能。鎮痛に抗がんの効能が加わったということで新効能。その経口剤の抗がん剤がカプセル剤になれば、剤型追加に係る医薬品。成分A、経口剤、抗がん剤でターゲッティングDDSということになった場合には、主なラインでいけば新剤型医薬品でございます。場合によっては新用量ということが加わってまいりますが、ここでは新剤型医薬品ということで整理をしてございます。

次のラインでさらに下のラインでございますが、成分Aで経皮剤で鎮痛剤、ここで剤型として生体膜透過性改善DDSということで、皮膚に貼って製剤の成分が中に浸透して体内に到達するといった場合を想定した場合には、生体膜透過性改善DDSということが考えられ、この場合、今まで経口投与されていたものが経皮吸収されるということであれば、新投与経路医薬品ということになってまいります。

こちらは、あくまで一例として御理解のためにお示ししたものでございまして、下に*1と*2ということで、剤型追加に係る医薬品及び新剤型医薬品との注を加えてございます。

厚生労働省からは以上でございます。

長岡座長

どうもありがとうございました。

今2つの資料を事務局のほうから御説明いただきましたけれども、何か御質問とかございましたらいかがでしょうか。

どうぞ、高橋委員お願いします。

高橋委員

今日は医薬品なので、いっぱい発言させていただきます。

まず、全体として現在の制度を御紹介いただきました。この制度については、現在も多くの審判、審決取り消し訴訟が起きています。これは研究開発型企業が期待した制度運用が必ずしもなされていないということを示すのではないかと考えています。この点との関連で、資料2の7枚目以降に、延長された特許権の効力の及ぶ範囲に関する説明が続いています。しかし、この効力の範囲の解釈については異論があるということだけ御指摘させていただきたいと思います。少なくとも、侵害事件での司法判断はまだなされていないということは事実だと御指摘したいと思います。

次に、同じ資料2ですが15枚目、これは武田薬品、弊社の事件ですので、言いたいことは山ほどあるのですが、場所が違うので事実に反するところだけ指摘させていただきます。これは事前に御連絡すればよかったのですが、気がつきませんでした。「薬事法上の処分1」と書いてあります。そこに「剤型:注射剤」とありますが、これも下のと同じ(マイクロカプセル)というものをつけていただきたいと思います。この処分1で承認されたのは、1カ月にわたり有効成分を徐放するマイクロカプセルで、処分2は、その1カ月が3カ月に変わっているものです。その違いがこの処分1と処分2ではあります。事実を申し上げました。(注:ご指摘に基づいて資料2の15pを修正致しました。)

それから16枚目、これは事務局田村基準室長のほうから丁寧に御説明はあったのですけれども、確かに現在でも、DDS製剤で延長がされるケースがあるとは思います。しかし、一般にDDS製剤というのは、有効成分に係る通常製剤が承認を受けた後、開発が始まるのが一般です。ですから、このスライドにあるようなタイミングで製剤特許3が延長されるケースは稀だと考えます。ですから、DDS製剤の特許保護をどうするかというのがこのワーキングのテーマになっているわけです。ですから、ここにあるようなこういう場合もあるという御説明は検討のミスリードになるのではないかと思いますので、申し上げたいと思います。(注:ご指摘に基づいて資料2の16pのタイトルを修正し、資料の趣旨を明確に致しました。)

それから18枚目、これは欧米の制度、特に米国の制度との比較がされたのですけれども、参考のところに書いてある欧米の延長制度、これは最初の1行目、「欧米では、最初の処分かどうかは物のみの観点から判断している」と。この「物」というのは有効成分を意味するのでしょうが、米国の制度は有効成分の保護が法目的でして、明確に条文に書いてあります。ですから、日本と同じように運用によってそう判断しているのではないということ。それから、用途に関しても判断いたします。ですが、全医薬用途に及ぶという考え方なので、医薬の場合には、ここに書かれているような判断は不要ということになります。ですから、物のみの観点から判断しているというのは少し語弊があるのではないかなということで、念のため、他の委員の方々に誤解を招かないように発言させていただきました。

長岡座長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、熊谷委員。

熊谷委員

私もつまらぬことは指摘をしないということで、何点かちょっと確認をさせていただければと思うんですが、今、高橋さんのほうからあった、17、18ページでしょうか、アメリカの制度とかヨーロッパの制度と単純には比較できないので、結果だけ書いてしまうと、ミスリードになると思います。ヨーロッパの場合は、あくまで特許法上の延長制度ではないことを明確にする必要があると思いますし、アメリカの場合もFDAの処分なり承認を日本の薬事法と同じと考えていいのかという観点も含めて比較する必要があるのではないでしょうか。

7ページ、8ページですが、、特許権の効力は当然排他権ですから、実施が解除されていると解釈することは妥当ではないと思います。排他性を効力として持たせているのであって、別の第2の処分がなければ、特許法上実施ができないので、実施が解除されたとして整理することは妥当ではないとおもいます。

9ページ、10ページ同じでして、「禁止を解除する必要があった処分と認める」との表現も妥当ではないと思います。個人的には、処分については、余り特許法に持ち込まないほうがいいとは思いますが、「製造販売禁止を解除する必要があった処分」と表現すると、排他性と実施を解除の関係がイコールではありませんので、御整理いただければと思います。

 長岡座長

ありがとうございます。

どうぞ、相澤委員お願いします。

相澤委員

高橋委員、熊谷委員から御指摘の点は検討していただきたいと思います。なお、現行法の解釈につきましては、知的財産高等裁判所の判決があるわけですけれども、本当にこれでいいんだろうかということの問題を提起しておきたいと思います。現行法の解釈として、実施ができなかったことに対する回復制度ということで考えますと、DDS製剤のように新たな臨床試験等を必要とするものについては、期間侵食が起きているわけでありますから、期間延長を認めると解釈すべきではないかと思います。

長岡座長 

現行法をどういうふうに解釈すべきかという問題もありますけれども、先ず現状でどういうふうに実務が行われていて、今後どうすべきかというところにフォーカスを当てて、その後法制度との関係を整理することにさせていただかないと、法学者の方しか参加できなくなりますので、そういうふうにさせていただきたいと思います。

相澤委員

意見を申し上げただけです。

長岡座長

ほかにいかがでしょうか。

私、先ほど厚労省の猿田さんのほうから御説明いただいた薬事法上の区分との関係ですけれども、臨床試験データが必要かどうかということはここに書かれているわけですが、実際どの程度臨床試験が必要かどうか。それと医薬品の区分の仕方には強い関係があるのかどうか。つまり、例えば新有効成分含有医薬品というのは新規性のほうが高いので、それは当然にして臨床試験も非常に時間がかかるというふうに考えられているのか、あるいは新剤型というのは、例えば新規で用量だけなので、それほど臨床試験には時間がかからないというような推定はあるのか。どの程度期間損失が起きるかということとの関係で、何か整理されたものというのはあるんでしょうか。

猿田厚労省審査管理課専門官

期間損失に関しましては、例えば新有効成分含有医薬品であればすべての試験が必要となりますが、新剤型医薬品の場合は通知で示しておりまして、新有効成分含有医薬品であれば必要となるものの、新剤型の場合には要らない試験としては、構造決定及び物理化学的性質等といった試験ですとか、薬理作用に関する資料として、効力を裏付ける試験、副次的薬理・安全性薬理、その他の薬理といったもの、そして、急性毒性、亜急性毒性等に関する資料となっています。新剤型医薬品でも必要な資料として、人間に投与した場合の吸収、分布、代謝、排泄、その他の薬物動態ですとか、安定性に関する資料といったところになってまいります。新有効成分含有医薬品の申請では必要となるが、新剤型医薬品の申請では必要でない資料と個々の試験にかかる時間との関係は、それぞれの医薬品の成分及び剤型によって異なってまいりますので、一概にこれだけの期間が短縮されるということは申し上げられないところでございます。

長岡座長

ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、長濱委員お願いします。

長濱委員

今の点に関連して2点質問させていただきたく存じます。先ず、臨床試験データが必要か不要かで審査期間が相当違うと予想はできるのですが、実際どの程度違うのか、もしおわかりであればご教示いただけますでしょうか。それと、新剤型と剤型追加の区分に関して、申請する側は剤型追加だと思って申請したけれども実際は新剤型に該当するような場合もあると存じますが、区分の明確さが担保されているのかという点と、区分に関して争いになっているようなことがあるのかという点について教えていただければと存じます。

猿田厚労省審査管理課専門官

2点目の御質問でございますが、新剤型と剤型追加の点に関しましては、通知では、剤型追加では投与経路、効能・効果、用法・用量が同一ということになっていますので、例えば新剤型、恐らく今のお話では、DDS化することによってこれだけの便宜性が得られるということであれば、1日3回投与が必要だったものが1日1回になる場合には、用量等もおのずと異なってまいりますので、単なる剤型追加に係る医薬品というものとは区別されてくるのだろうと思います。実際に申請される場合に、個々の製造販売業者が疑義を持たれるといったことも想定されますので、医薬品機構で相談の機会を設けてございます。その点での争いということは聞いてございません。

長岡座長

ありがとうございます。

ほかに御質問等ございますか。よろしいでしょうか。

どうぞ、高橋委員お願いします。

高橋委員

念のため申し上げたいと思います。資料3のDDSの概要、これは3つに区分して御説明いただきました。確かにこれがDDSの機能といえると思いますが、あくまでも有効成分と一体になってこの機能が発揮されたときに有用な医薬品になるのであって、このシステム自体が完成すれば、あとは有効成分は何でも取りかえられるということではないということを念のため申し上げたいと思います。あくまでも医薬品は、そのシステムになじむ有効成分と組み合わされたときに医薬品になるということです。

以上です。

長岡座長

ありがとうございます。

延長制度の対象となる処分(最初の処分)により
特許発明の実施の禁止状態が解除された範囲とDDS技術について

長岡座長

どうもありがとうございました。理解はさらに深まったと思いますけれども、以上を踏まえまして、DDSへの対応をどうするかということをこれから議論させていただきたいと思います。たたき台となる資料につきまして事務局のほうで既に用意をしていただいておりますので、まず、その説明をお願いいたします。

田村審査基準室長

それでは、お手元の資料4を用いてDDS技術の取り扱いを中心に、延長制度の対象となる処分により特許発明の実施の禁止状態が解除された範囲のあり方を検討したいと思います。

それでは、資料4のほうの2ページを見ていただけますでしょうか。先ほど資料2を用いて説明しましたが、現行制度では、法規制に基づく処分を受けることによって、発明の実施の禁止が解除された範囲を特許法上で規定し、当該解除された範囲と特許発明の範囲の重複している部分のみに、延長された特許権の効力が及ぶことになります。これ以降、この考え方を「現行制度の基本的な考え方」というふうに呼ばせていただきたいと思います。

こちらのほうの考えにつきましては、熊谷委員のほうからも御指摘ございましたが、ここはあくまでも特許法上で考えたときに解除になった範囲というふうに考えていただければ幸いでございます。

現行の制度では、この解除された範囲を物(有効成分)と用途(効能・効果)の観点により規定してございます。例えば、有効成分である物質aを鎮痛剤として用いた点鼻液である製品Aについて薬事法上の承認がおりますと、特許権の延長制度においては物質aを鎮痛剤として用いる医薬品、すなわち剤型、用量等を変更したものを含むすべての医薬品について特許発明の実施の禁止状態が解除されたというふうに特許法上は考えるわけでございます。したがって、後から承認されたDDS製剤についての処分は、特許法上においては物(有効成分)と用途(効能・効果)という観点から見ると、特許発明の実施に必要であったとは認められないということになります。言いかえますと、最初の処分である製品Aの処分によって、特許発明の実施の禁止が解除される範囲が薬事法上の実際の範囲よりも拡大されているために、製品Bに係る処分が延長制度の対象外になるということでございます。

それでは、3ページのほうに移らせていただきまして、特許発明の実施の禁止が解除された範囲が物と用途で規定されることは、これと裏腹の関係にある延長された特許権の効力の及ぶ範囲が、物である有効成分と用途である効能・効果により規定されていることによります。この考え方に従いますと、延長制度の対象となる処分は、物である有効成分あるいは用途である効能・効果について新しい処分ということになりますので、対象となる処分は有効成分あるいは効能・効果が新しい医薬品についてのもの、すなわち臨床試験が必要な処分ということになります。この臨床試験については、資料3のほうで厚労省の猿田様のほうから御説明のあったところでございます。

それでは、4ページ目のほうに移らせていただきまして、一方、先ほど資料3を用いて説明しましたように、DDS製剤が該当する薬事法上の医薬品の区分は、新投与経路とか新剤型、さらには新用量と複数の区分にわたるということでございます。また、剤型にはDDS製剤のような新剤型の医薬品のほかに、臨床試験データを要しない、現在期間延長の対象から外れているような剤型追加に係る医薬品の処分、すなわち特許発明の実施ができなかった期間が極めて短いと思われるような処分を多数含むということにも留意していただかないといけないということでございます。

したがって、DDS製剤のような製剤技術に特徴のあるものを、有効成分、効能・効果のような1つの観点にまとめるということは難しいというふうに思われます。

5ページのほうに移らせていただきまして、以上説明したことを現行制度の基本的考え方に基づいて、特許権の延長制度におけるDDS技術のような製剤技術のみに特徴を有する製品に係る処分について検討する際の留意点をまとめると、ここに書かれた3点になるかと思われます。

1点目といたしましては、現行制度において対象となる処分は、臨床試験が必要なものに限られていました。これは実験によるデータの収集及びその審査に相当の長期間を要することから、存続期間を延長する制度の趣旨ということでは合致するということになるかと思われます。

2点目といたしましては、DDS製剤が薬事法上の医薬品の区分の複数に該当することでございます。

3点目といたしましては、剤型の観点を追加することによって、DDS製剤のような新剤型の医薬品のほか、臨床試験の不要な剤型追加に係る医薬品についての処分、つまり特許発明が実施できなかった期間が短い処分を多数含むことになるというところでございます。

したがって、新たな観点として剤型技術全般を追加するということは、この制度の趣旨からいって非常に難しいということになろうかと思われます。

このような整理のもとに6ページ目のほうに、現行制度の基本的な考え方に基づいて後続のDDS製剤の薬事法上の処分がおりたときに初めて、DDS製剤に係る特許発明の実施ができるようになったというふうに解釈するためには、最初の処分により特許発明の実施の禁止が解除される範囲を多少縮小させていただくということが必要になろうかと思われます。

例えば、こちらに書かれた案1では、1)臨床試験が必要な処分のみを延長制度の対象として、2)特許発明の実施の禁止が解除された範囲を薬事法上の処分単位(製品単位)とするというような特許法の改正をするということが一つ考えられます。

また、案2としては、1)臨床試験が必要な処分のみを延長制度の対象とし、2)特許発明の実施の禁止が解除された範囲を、処分の対象となった製品の成分と効能・効果の組み合わせと、その組み合わせを一部変更したときの申請に臨床試験の不要なものまで広げる特許法の改正をするということも考えられます。内容につきましては、後ほどさらに詳しく御説明させていただきたいと思います。

一方、案3といたしましては、特許権の延長制度がさらに複雑な制度になってしまうことを回避するために、現行制度をそのまま維持するというような選択肢でございます。ただし、その場合には、DDS技術のみに特徴を有する製品についての処分は、延長制度の対象外のままというふうになります。

次のページから、これらの3つの案、特に最初の2つの案について御説明をさせていただきたいと思います。7ページのほうを見ていただけますでしょうか。初めに案1でございます。延長制度の対象となる処分は、臨床試験が必要なものに限ります。また、特許発明の実施の禁止が解除された範囲は、薬事法上の処分単位、つまり製品自体というふうにいたします。

したがって、物質aの鎮痛剤の用途に用いる最初におりた処分によっては、特許発明の実施の禁止が解除された範囲は、物質aを鎮痛剤に用いる錠剤についてのみということになります。後から出てくる臨床試験が必要な処分、例えば、DDS技術のみが新しい医薬品製剤についての処分は特許権の延長制度の対象となって、その薬事法上の処分が実際におりたときに、その処分に関係する特許権を延長する機会が与えられるということになろうかと思われます。

8ページのほうに移らせていただきまして、現行制度の基本的考え方、つまり法規制に基づく処分を受けることによって発明の実施の禁止が解除された範囲を特許法上で規定し、その解除された範囲と特許発明の範囲の重複している部分のみに延長された特許権の効力が及ぶという考え方に基づきますと、延長された特許権の効力の及ぶ範囲は処分単位ということになります。ここで、効力の及ぶ範囲を製品Aの範囲のみとすることは、実効性に欠ける可能性がございます。この権利範囲を均等論の解釈によって拡張し得るかもしれませんが、権利範囲の外延は極めて不明確ということになってしまうかと思われます。

では、9ページのほうに移らせていただきまして、案1を複数の特許権を用いて説明します。上から順に物質特許、医薬用途特許、錠剤、カプセル剤及びDDS製剤の3つの製剤特許を例に挙げてございます。薬事法上の処分の中で、最初に物質aの鎮痛剤として用いる錠剤について処分1がおりたとします。このとき、この処分と関係する特許権である物質特許、医薬用途特許及び錠剤の製剤特許について特許権が延長され、その効力の及ぶ範囲は製品単位ということになります。

次に、処分1の対象となった製品の剤型をカプセル剤に変更したものに対する処分2がおりたとします。このとき、処分2は剤型追加に係る医薬品に区分され、その申請には臨床試験が不要であるため、延長制度の対象外ということになります。

そして、処分1の対象となった製品の剤型をDDS製剤に変更したものに対する処分3がおりたとします。このとき、処分3は新剤型医薬品に区分され、その申請には臨床試験が必要になりますので、延長制度の対象になります。

したがって、この処分と関係する特許権である物質特許、医薬用途特許、そしてDDS製剤の製剤特許について、こちらの*のついた水色の部分の特許権が延長されて、その効力の及ぶ範囲は製品単位ということになろうかと思われます。

10ページのほうに移らせていただきまして、この案1の特徴をまとめますと、薬事法上のDDS製剤のように、製剤技術のみに特徴のある医薬品の処分を延長制度の対象とすることができるということが一つございます。さらに、延長制度の対象となる処分が増加、すなわち延長する機会が増加し、また薬事法上の処分の実態と特許法上の観点が一致する特徴がございます。こちらのほう、熊谷委員のほうから御指摘のありました、薬事法上実施できるようになった部分というのは非常に狭いというところを、現行では特許法の中で広く処分に対応して実施ができるようになったというふうに擬制しているというようなところの乖離がなくなるということであろうかと思います。

一方、薬事法上の一つの処分と関係する特許権の数が増加するということになります。また、一つの処分に基づいて延長される特許権の効力の範囲が縮小し、延長された特許権の権利主張の実効性が十分に確保されない可能性がございます。これについては、均等論の適用で解決できる可能性もないとはいえませんが、その場合であっても、この範囲の外延が実際に裁判所に行ってみないとわからないということで、非常に不明確だということになろうかと思います。そして、延長された特許権の効力の及ぶ範囲を分割することになりますので、欧米制度とさらに乖離するということになろうかと思います。

次に、この案1の留意点である効力範囲の実効性について改善した案2について御説明をさせていただきたいと思います。11ページのほうを見ていただければと思います。案2においても、延長制度の対象となる処分は、臨床試験が必要なものに限ります。そして、特許発明の実施の禁止が解除された範囲は、薬事法上の処分の対象となった製品の成分と効能・効果の組み合わせ、それに加えて、その組み合わせを一部変更したものであって、その申請に臨床試験の不要なものまでを加えた形にさせていただきたいと思っております。

したがって、物質aを鎮痛剤の用途に用いる最初におりた処分によって特許発明の実施の禁止が解除された範囲は、物質aを鎮痛剤に用いる錠剤の成分の組み合わせと、この組み合わせから一部変更した医薬品の申請に臨床試験が不要なもの、例えば単なる剤型追加に当たるカプセル剤に変更した製品まで広がっているというふうに考えたいと思います。

製品を成分と効能・効果の組み合わせと見ることで、新しい処分かどうかを判断するときの観点として成分と効能・効果以外のもの、例えば用量等は考慮されないことになります。したがって、用量のみに特徴のある製品の処分によって、新たに禁止状態が解除される範囲はないというふうに考えることになります。そして、後から出てくる臨床試験が必要な処分、例えばDDS技術に特徴を有する新しい医薬品製剤についての処分は、特許権の延長制度の対象となるということになるかと思われます。

12ページのほうに移らせていただきまして、現行の制度の基本的考え方に基づきますと、延長された特許権の効力の及ぶ範囲は、薬事法上の処分の対象となった製品の成分と効能・効果の組み合わせとその組み合わせを一部変化したものであって、申請に臨床試験が不要なものまで広がることにします。これにより、案1に比べると延長された特許権の効力の及ぶ範囲が広がって、また権利範囲の外延が明確になろうかと思われます。

次に、13ページのほうに移らせていただきまして、先ほど案1を説明したときと同じ複数の特許権を用いて、この案2について御説明をさせていただきたいと思います。延長された特許権の効力の及ぶ範囲以外は案1と同様でございますが、延長された特許権の効力の及ぶ範囲は、薬事法上の処分の対象となった製品の成分と効能の組み合わせと、その組み合わせを一部変更したもののうち、申請に臨床試験の不要なものまで広がるということにします。

現行の制度とここで比較しますと、医薬用途特許を見ますと、最初の処分、ここでは処分1によって延長された特許権の効力の及ぶ範囲が、これまでの有効成分と効能・効果で特定されていた範囲から、臨床試験が改めて必要な新剤型の医薬品が区別されるということになります。そして区別された部分については、新剤型医薬品の処分がおりたときに改めてその処分に基づいて特許権が延長されて、効力が及ぶということになります。このように考えますと、現行制度とそれほど変更のない案というふうに考えることができるかと思われます。

それでは、14ページのほうに移らせていただきまして、この案2では、薬事法上のDDSのように画期的な製剤技術のみに特徴のある処分を延長制度の対象にすることができるという特徴がございます。そして延長制度の対象となる処分が増加、すなわち延長する機会が増加するというような特徴もあります。そして、一つの処分に基づいて延長される特許権の効力の範囲が多少縮小するかもしれませんが、延長される特許権の権利主張の実効性自体は確保できるのではないかというふうに考えてございます。

一方、一つの処分と関係する特許権の数が増加するということが予測されるという点が留意点として書かれてございます。また、延長された特許権の効力の及ぶ範囲を分割することになりますので、欧米の制度とさらに乖離するというところも一つ留意点として挙げられるかと思われます。

15ページのほうに移らせていただきまして、3つ目の案は、特許権の延長制度がさらに複雑になってしまうというところを回避するために、現行制度をそのまま維持するというものでございます。この場合、これまでどおり、DDS技術のみが新しい製品についての処分は延長制度の対象外ということになるということでございます。

あと、16ページのほうにアメリカの延長制度が参考として書かれてございますが、アメリカでは、FDAでおりる処分は日本と同様に製品単位であるそうですが、延長される特許権の効力はその後に承認され、あらゆる用途の医薬品というふうになってございます。ヨーロッパでも同様の制度になっているということかと思われます。

17ページのほうに参りまして、有効成分のみに着目した新しい処分が延長制度の対象となり、しかも1処分について延長できる特許権は1つに限られております。

最後になりますが、本日は、先ほど資料2で御説明しました現行制度の考え方に基づきまして、DDS技術のみが新しい医薬品の処分を延長制度の対象とするかどうかに焦点を当てて議論をしていただきたいと考えておりますので、16ページ、17ページに書かれた観点での薬事法上の処分と特許権の関係、すなわち1処分で延長される特許権の数やその他の延長制度全般につきましては、次回のワーキンググループのほうで御議論いただく予定でございます。

以上でございます。

長岡座長

どうもありがとうございました。

非常にわかりやすく御説明していただいたと思いますけれども、かなり複雑な話なので御質問もあると思いますが、最初に御質問をいただきまして、それから御意見をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。最初に、御質問はいかがでしょうか。

どうぞ、相澤委員。

相澤委員

今、説明いただいた資料の17でのアメリカ合衆国の延長制度の記述について、鎮痛剤クレームは認められないのではないかと思うんですけれども、認められるようになったんですか。

田村審査基準室長

これは比較しやすいように書いてございますので……

相澤委員

これを公表されると、アメリカ合衆国では鎮痛剤クレームとか、あるいは錠剤のクレームが認められるというような誤解を招くおそれがあるので、注をつけて公開をするようにしていただきたいと思います。(注:ご指摘に基づいて資料4の17p及び資料2の18pに注釈を追記致しました。)

もう一つ、11ページの説明のところで、DDSの説明に関連して、用量を変えれば、臨床試験は必要になるのではないでしょうか。そうすると、それも延長の対象になるのでしょうか。先ほど用量のところの御説明が、ちょっとはっきりしなかったような気がするんですが。

田村審査基準室長

そこは結論から申し上げますと、製品の成分に変更があるようなケースについては新たな延長の対象になるというふうに考えてございまして……

相澤委員

そこで言う成分って何でしょうか。用量が変った場合に、臨床試験が必要になるのは、用量が変われば薬の効きが違うんだから臨床試験が必要になるということではないのでしょうか。したがって、用量が違う製剤にも、期間侵食の問題が起きのではないかと思って、そこを確認のために質問しました。

田村審査基準室長

多分DDSのような画期的な製剤のケースの場合は、徐放性という新たな技術を持ち込むことによって用量が変わるということになろうかと思いますが、それ以外に用量変更という点につきましては、子ども用のものと大人用のものの用量が違うというケースがございます。それとの区別をつけないといけないということでございまして、あくまでも有効成分とそれ以外の成分を見て、それ以外の成分のところが変わっているものについてだけ、臨床試験があれば延長するとします。そういう画期的な製剤の用量が違っている場合は、通常はその他の成分のところの部分が変わりますので、そこは新たな延長の対象にします。しかしながら、子ども用を大人用に変えたような用量変更については、成分が通常変わらないかと思いますので、そこは新たな延長対象にしないほうが、むしろ最初の処分の特許権の実効性という面では必要ではないかというふうに考えております。

ただ、その辺の考え方につきましては、有効成分以外の成分をどこまで見るのかというところはもう少し検討が必要ではないかというところは、事務局としても意識しているところではございます。

長岡座長

私のほうも、その確認の意味ですけど、11ページ案2の中の下、「特許発明の実施の禁止が解除された範囲を、『処分単位』と、その製品の成分と効能・効果を一部変更した時の申請に『臨床試験の不要なもの』まで拡げる」ということで書いてありますけど、これとの関係でいうと、増量の場合とDDSの場合はどう違うのかというのがいまいちよくわからなかったんですが。

田村審査基準室長

製品の成分というところが、この11ページよりはむしろ12ページのほうを見ていただくとわかりやすいかと思いますが、ここでいっている成分は、有効成分である物質aとその他の成分物質b。物質bというふうに単純化しておりますが、b以外にも、c、d、eというふうにあろうかと思いますので、こういう成分が変わることによって用量が変わったようなケースについては、その他の成分が変わったわけでございますので、延長の対象とさせていただきたいというふうに考えております。

ただ、その他の成分においても、本当に画期的な製剤技術であるDDSのようなものについて、その他の成分が新たに加わったのか、そうでなくて単なる安定化剤ということでよく知られたようなものが加わったことによって、ちょっとだけ変わったのか。だから、ほとんど医薬品としては変わらないけど、期間延長のテクニックとしてそこだけちょっと入れたというようなものは、むしろ対象にしない、そういうちょっとした工夫も必要かもしれませんが、そういう意味での用量、そういうところは今の案では見ないというふうに考えております。

相澤委員

用量が違うというのは、薬として機能が違ってくることがあるのではないかと思います。だから、臨床試験を要求しているのではないかと思います。厚生労働省が臨床試験が要るとしている場合は、生体に対する薬としての働き方が違っていると考えられるので、臨床試験を要するような用量の変更については、延長申請の対象になってもいいのではないかと思います。

長岡座長

ほかに御質問。最初に御質問ということでお願いいたします。

高橋委員

では、質問ですが、3枚目でも出てきますけれども、5枚目をごらんになっていただきたいと思います。現行制度において対象となる処分は、臨床試験が必要なものに限られていたと書かれています。これは事実としてそうだったのか、そのようなもののみを延長としていたのかということを確認させてください。というのは、臨床試験が要らなくても効能・効果が追加される場合があります。まずそれが1点です。

それから、6枚目以降に案1の話が出てまいります。この案1で、延長対象となる処分は臨床試験の必要なものに限るとしているのはなぜなのか。案2については、大変苦労なさっている排他権というか、効力の範囲と実施の禁止が解禁された範囲を合わせようとされていて非常に精緻な御説明をされていると思うのですけれども、そうであるとすると、案1については臨床試験が必要という要件がなぜ書かれているのかがわかりません。

それから8枚目以降で、案1で「効力の及ぶ範囲は、均等論の解釈によって拡張し得る」とあります。特許権の権利判断には均等論は常につきまとうもので、必ずしも案1で起きることではないと思います。ただ、案1は医薬品そのものを対象として考えています。物と物との事物同士の均等という考え方は恐らくないはずで、特許発明か何かそういったものを介しての均等であるという評価がされるのが通常の均等の考え方だろうと思います。

ですから、この案1について、均等の解釈によって解決できる可能性があると10枚目には書いてありますけれども、どのような解決をお考えになっていらっしゃるのか、それを聞かせてください。

質問だけ申し上げました。

長岡座長

ありがとうございました。

では、3点御質問がございましたけれども。

田村審査基準室長

1点目でございますが、臨床試験の観点は現行制度には入ってないというところがお答えかと存じます。ただ、資料3のほうで御説明させていただきましたように、新有効成分と新効能・効果につきましては、基本的には臨床試験が必要というふうに考えてございましたので、結果的に、現行の制度はそこが新しくないと延長対象にはならないということでございますので、そういう処分というふうに考えたときには、臨床試験は基本的には必要なのかなというふうに考えてございます。

あと、臨床試験の定義というところもまだちょっと明確になってございませんが、そこは我々としての臨床試験というのは、いわゆるフェーズ1からフェーズ3まで行うようなちゃんとした臨床試験というのを念頭に置いておりまして、単に人を対象にする実験データをとるものをすべて臨床試験というふうに呼んでいるわけではございませんので、そこを考えていただいたときにどうなのかというところは、もう少し次回に向けて検討をさせていただきたいというふうに考えてございます。

あと、2点目でございますが、案1に臨床試験をなぜ入れたのかというところでございますが、先ほども御説明しましたが、単なる剤型追加のようなものが新剤型というものを入れるときに、剤型という切り口では同じということになってまいりますので、そういうものが入らないようにしないといけない。なぜ入らないようにしないといけないかというのは、第1回目の議論のときに、「相当の期間」というのが現行法にも書かれてございまして、そこは昭和62年の法改正当時に、「相当の長期間かかる」ということで2年以上というようなところがございましたので、「相当の長期間かかる」ような法規制というふうに考えたときに、この延長制度の対象とするときに単なる剤型追加をこの中に入れてしまいますと、そもそもの制度趣旨から逸脱してしまうのではないかというところで、臨床試験を条件として入れさせていただいたという次第でございます。

あと、3点目でございますが、案1のところに均等論というところが出てくるわけでございますが、御指摘のようにそこは裁判所に行ってみないとわからない部分ということでございますので、余りこちらのほうでとやかく言うような問題ではないかとは思いますが、案1では臨床試験を伴わないような処分が結果として期間延長の対象にならないということになりますと、臨床試験が必要な処分だけが延長対象になります。延長になった効力と効力の間が多少あいてまいりますので、そうしますと、あいた部分が新たな延長対象にならないという条件があれば、よりそういう均等論が認めやすくなるのではないかというようなところが、事務局のほうで少し考えたところという次第でございます。

そういう意味では、案2のほうでも均等論は当然あるのかもしれませんが、可能性といたしましては、延長の対象にならないあいた部分というのが案2の場合は非常に少のうございますので、むしろ案1のほうがあいた部分が多いということであれば、均等論が適用される余地が大きいのではないかというぐらいの話でございます。

いずれにいたしましても、均等論の適用につきましては特許庁がとやかく言う問題ではないということは御指摘のとおりかと存じます。

長岡座長 

ありがとうございます。

ほかに御質問。

どうぞ。

熊谷委員

頭の整理ですけれども、6ページの案3で、現行制度の維持も一つの選択肢ではないかと思います。「DDS技術のみが新しい製品に係る処分は延長制度の対象外」であるとされていますが、それは、正確ではなく、現行法でも、延長登録の対象にはなっていますが、延長登録の要件を満たさないとして事実上延長されていないということかと思います。(注:ご指摘に基づいて資料4の6pを修正致しました。)臨床試験の有無も同じで、延長登録の対象は何であって、延長登録の要件との関係で事実上排除されているか否かという観点で現行制度を位置づけないといけないのではないでしょうか。

次回以降の議論になるかと思いますが、有効成分の同一性をどのように考えるかという問題は、現行制度でもある問題かと思います。DDSで新たなものが追加された場合、それをどのように解釈するかは、案3においても同じような検討をしていかないといけないのではないでしょうか。用量の変更をどう考えるかは、案1、案2のもとでの検討ではなくて、先ほど相澤先生もおっしゃっておられた現行制度における解釈なり運用においても検討すべき事項ではないかと思います。

田村審査基準室長

まず、1点目でございますが、こちらのほうは先ほど高橋委員からも御指摘がございましたように、資料2のほうでは当然DDS技術に特徴のあるような製剤技術も対象であるというふうに御説明させていただきましたが、高橋委員のおっしゃるように現実問題としては、そういうDDS技術というのは後に出てくる技術ということでございますので、実態的には対象にならないということかと思いますので、その実態的というところをこちらのページ6のほうで表現させていただいたというところで、表現ぶりには正確さを欠いたかもしれませんが、実態的にはDDS技術はなかなかそういう対象になり得ないと。ただ、法律的、基準上の整理としては対象になるというのは、熊谷委員のおっしゃるとおりかと思われます。

2点目でございますが、現行制度においての解釈をどうするのかという御指摘でございますが、こちらにつきましては、多分製薬業界のほうでは、実際に今まさに審判が係属中のものとか裁判係属中のものというのがたくさんあろうかと思われますので、それを前もってこちらで決めて、こういうふうにするというのも非常に影響も大きいかと思われますので、今回のワーキンググループでは、現行制度は参考にはさせてはいただきますが、それについて裁判所とか審判での判断をプレジャッジするようなところまで検討するということはむしろ望ましくないかなというふうに考えてございます。制度的に画期的な製剤技術であるDDS技術を今後明確に保護していけるようなやり方はないかというところに軸足を置いて御議論いただければ幸いかなというふうに思っております。

長岡座長

ありがとうございました。

相澤委員どうぞ。

相澤委員

熊谷先生の御指摘の通り、現行法の解釈はいろいろあると思いますが、知的財産高等裁判所の判決があるので、それを前提として考えると、現行に問題があることになるので、制度の改善を考えようというのがこの会の趣旨ではないかと思います。この点について、現行法については係争中でもあり、ここで議論をしないというのも一つの考え方であるとは思います。

長岡座長

ありがとうございます。

高橋委員どうぞ。

高橋委員

1つだけ。今の相澤先生、熊谷先生の御意見に非常に感銘を受けています。というのは、今の制度の解釈が正しいかどうかではなくて、現行制度の基本的な考え方、これを堅持したまま新しい与えられた課題を検討し続けることがいいのかということは、少なくとも吟味しなければいけない問題ではないかなと思います。この考え方を維持しているからこそ、非常に複雑な御提案になっています。製薬協として、こちらからも提案しなければいけないところがありますが、現在の効力の考え方についてもいろいろ検討しておりますし、事業計画なんかが大きく変わるような事態も考えられます。ですので、今、製薬協では方向性は事務局に提案していますが、現行制度の基本的な考え方から外れた部分でも検討を続けております。それと、案2も含めて検討を続けていきたいと思っています。ですから、これを堅持するということが本当に必要なのかどうかも含めて考えております。

長岡座長

中冨委員どうぞ。

中冨委員

今、お話しになった高橋委員の現行制度の解釈は、確かにこの会の基本的なところと思いますので、私もそういうような形(新しい課題を吟味するという)に関しては非常にいい話じゃないかと思います。

あと1点、田村室長のほうでお話しになった臨床試験の定義は、次回の会議のために一度ここで猿田専門官のほうからお話ししていただいたほうがいいと思うので、今お話しになった臨床試験の範囲が、例えばフェーズ1、2、3ありますが、どの程度のところをお話しになっておられるのかというのと、先ほどから単なる用量の違い等での臨床とおっしゃっていますけど、実際それは臨床試験の幅が随分違いますので、薬事法上にどう変わるかを教えていただいたほうがいいかなと思いますが。

猿田厚労省審査管理課専門官

今、委員から御指摘のございました点につきまして、こちらは平成17年の通知でお示ししているところでございますが、臨床試験の成績に関する資料については、別途定められた指針等を参考にすると大まかに書いてございまして、それぞれ申請医薬品の有効性及び安全性を評価するに足る症例数となります。全体の通知でございますので、概略的に書いてございます。この成分、この用量、これに効くものとなった場合に、それぞれに求められている症例数や必要な試験項目および試験内容は異なってまいりますので、その都度検討するということになってございます。

また、希少疾病用医薬品等については、疾病の患者数が少ないことにかんがみて、実施可能な症例数について検討するとなってございますので、一概に申し上げることはできませんが、この点につきましては、追って先生方にお示しをすることでよろしゅうございましょうか。

長岡座長

そうですね。

猿田厚労省審査管理課専門官

では、また後日、先生方にお示しをさせていただきます。

長岡座長

では、時間も30分ぐらいになりましたので、この提案について御意見をいただきたいと思います。

では、佐藤委員お願いします。

佐藤委員

私は、特許が保護されれば、その反対側の立場にあるジェネリック医薬品に満了した特許を利用する業界の人間でございます。現状の特許延長制度ですが、一番我々が問題としているところは、抗菌剤などにおきまして、各種起炎菌による疾患が、公知であるといいますか、第1用途とされていて、それに対しコレラとか腸チフスとかの簡単な効能を追加したり、また、中耳炎に対して外耳炎の効能を第2用途で追加するような単純な効能が追加される処分であっても、現状では特許延長の対象とされています。欧米では第2用途に対する延長制度はございませんので、日本では、この部分によっても安価なジェネリック医薬品の消費者への速やかな供給という面では大きな遅延が生じています。ジェネリック医薬品を供給するという立場の人間にとってはそういう言い方になるんだと思います。

特許庁さんが示された案1、案2の臨床試験について、もう少し意見を述べたいのでございますが、現状では効能・効果が同一であるということで、DDSはもちろんですけれども、錠剤から注射剤、注射剤から外用剤といった新投与経路医薬品とか新剤型医薬品への変更については延長されません。しかしながら、今後は第2案だろうが第1案だろうが、これらの変更も延長されますので、当然ジェネリック側の不利益というのは自然と増加してまいります。そういう意味でございますので、その増加する分を臨床試験に対して何らかの一定の制限をつけて、簡単な効能追加などに関しては特許延長の機会を減じるということで、つまり、DDSとかで増加する延長の機会を、簡単な第2用途による効能追加を減じることによって相殺し、ジェネリックと権利者双方のバランスという観点からも考えていただければありがたいと思います。

最後の結論ですけれど、この臨床試験について、例えば薬事法の第14条の4には、新医薬品に関しては再審査を受けることが必要と、そういうことが定められております。ですから、再審査を受けるような臨床試験であれば、DDSのことを考えれば、第2案でもやむを得ないと考えております。

以上、意見です。

長岡座長

ありがとうございました。

今、佐藤委員から、臨床試験についてかなり厳しい条件をつけるということなら、第2案ということでよいのではないかという御意見があったんですけれども、いかがでしょうか。

長濱委員お願いします。

長濱委員

実務的な観点から意見を申し上げたく存じます。先ず、こういった制度を見直すに当たってきめ細かく対応しようとすると、勢い制度が複雑化する傾向にありますが、そのように複雑化した際に判断基準として曖昧なものが入ってきてしまうと、実務上混乱を招く可能性があるという点が懸念されます。その観点から、臨床試験の必要性の有無の判断は、正直、特許権の存続期間延長登録出願をする側、あるいは特許庁が常に正確に判断するということはかなり難しいのではないかと懸念しておりましたが、よく考えてみますと、それはそもそも特許庁で最初に判断される事項ではなく、延長登録出願をする段階では既に厚生労働省によって判断されているわけですね。そういう理解でよろしいですよね。だとすれば、臨床試験の必要性の有無の判断に関して実務上混乱を招く可能性は低いと考えております。

それと、特許権の存続期間延長登録出願する側の負荷が、手厚い保護を受けるがために過度に高まってしまってもまた問題があると懸念しておりましたが、例えば案2の場合に、恐らく手続的にはそれ程負荷は高まらないと考えておりますが、そういう理解でよろしいでしょうか。

済みません、ちょっと質問も含んでしまいましたが、実務上混乱を招く可能性は低く、また出願人の負荷が過度に高まらないのであれば、案2は非常にいい案だと考えております。

長岡座長

ありがとうございます。

では、今の手続面といいますか、特に申請するほうについてはいかがでしょうか、何か事務局。手続面で大変になるかどうかというか、件数はふえるということになるんでしょうけど。データとしては新しいものはないということではないかと思うんですけど。

長濱委員

手続書類として新たに特別必要になるものとかは、それ程多くはないと理解しているのですが。

本間審査基準室長補佐

詳しくは検討していかなければいけない問題だとは思いますけれども、基本的には、承認されたときの手続の書類で済むかと思います。成分の情報がさらに追加される必要があるかと思いますが、基本的には変わらないのではないかと考えております。

長岡座長

どうぞ、前田委員お願いします。

前田委員

大学発ベンチャーがなかなか今苦しい状況にありますよね。水面下に潜っていてなかなか表に出られないで、投資も受けられないという状況の中、やっとやっとうまくいって、特許が1年ぐらいで切れてしまったりしたときに回収ができないわけですから、やはり手間暇をかけて承認を一生懸命受けようとした人が恩恵をこうむれる制度になっていたほうがいいと思いますね。現行だと、どうしても物質を持っている方のところに行ってしまいがちだと思いますので、やはり画期的な技術がこれからどんどん出てこなければいけないですから、その時間ロスした方にその恩恵が行くというような一致させた制度になっていればいいなと思います。

また、いわゆる物質をいろいろ苦労なさって見つけた方が、案1ですと漏れが出てくる状況になると思いますので、やはりそういう方たちは、臨床試験が要らない部分は、その人たちにいくようになったほうが好ましいと思いますので、案1より案2のほうが私はいいかなと思っております。

長岡座長

ありがとうございます。

相澤委員お願いします。

相澤委員

現在の特許法の運用では、用途発明についてかなりきめ細かい発明が認められているわけですから、効果・効能というのを広く考える考え方にしなければいけない理由は無いと思います。臨床試験が必要になる理由は、効果・効能が違うことにあるのではないかと思います。そして、DDS製剤を含めて一つの発明として認めているわけですから、それを認可があった場合に延長していく案2について、現在の特許法枠組みから何らの問題はないと思います。いろいろ細かい条件をつけていきますとだんだん乖離が出てくるので、さっぱりとしてしまったほうがいいのではないかと思っています。

ですから、この場合でいうと厚生労働省によって課される臨床試験によって期間が侵食する場合には、その期間の侵食に合わせて延長を認めれば良いと思います。ただ、非常に簡易な申請で認められるものについては、現実の侵食とがないとして、認めないというところよいのではないかと思いました。

長岡座長

熊谷委員お願いします。

熊谷委員

今、相澤先生がおっしゃったことと同じかと思いますが、制度の趣旨からすれば、何を延長対象とするのかというのがまずあり、67条2項の趣旨との関係で検討すべきかとおもいます。前回も御説明があったように、制度が創設された後に「2年以上」という要件がなくなりましたが、延長対象として指定すべきものは、本来の延長制度の趣旨との関係で検討すべきかと思います。

期間延長制度は、あくまで、政府規制により特許期間が侵食されたか否かという観点から設けられたものですから、画期的な発明は、特許期間が侵食されているのであれば延長を認めるということを議論すべきかと思います。前回もあったように、別の趣旨で新たな制度を設けるならまた別の要件があると思うんですが、現在の期間延長制度の対象とするかどうかは侵食期間が平均的にどれぐらいあるかが重要かと思います。

長岡座長

ありがとうございます。

中村委員お願いします。

中村委員

2点ほどお話をさせていただきたいと思います。まず1点は、これまで議論になっていた臨床試験の要件の話に関し、製薬業界の立場から考えると、どういった薬、どんな剤型ということは臨床試験の早い段階の意思決定にかかわる大きな要素だと思います。逆に言えば、臨床試験の要件がかなり不透明であるとすると、意思決定が遅れ、ドラッグ・ラグといったような問題を起こすかもしれません。なるべく早い段階でガイドライン的なもので透明にすることが、製薬企業の意思決定をより容易にするとともに、ドラッグ・ラグ解消につながる効果があると思っています。

次に、案2について、資料4の13ページの図に基づいて意見を述べさせていただきたいと思います。DDSの企業から見たとき、DDSの技術を、物質aについて治験をする際、ある製薬企業に売る状況もあると思います。こういった状況のときに、侵食されている期間に当たらない可能性があります。契約の仕方によって大きく思いますが、治験をしている間に製薬企業から一定のお金が入ってくるような契約だとすると、DDSの企業にとってみれば侵食されていない期間になります。

原則として侵食された期間を回復するというのが、これまでの議論だったと思います。製薬企業からその治験の期間でもお金が入ってくるような契約の場合だとすると、回復ということにはならない場合もあります。

そういったことを考えますと、ただ単にすべてのものに対して緑色の部分(13ページ)をふやすというのではなくて、実際に治験の間にどんなライセンス契約になっているのか、どんな金銭の受け渡しとかあったのかというところも踏まえながら、上記の原則が適用できるかどうかを判断することが重要であると思います。これは細部の議論になりますので、実際に行われる場合には注意していかなければならないポイントかと思います。

長岡座長

ありがとうございます。

前田委員お願いします。

前田委員

実際にライセンスをやっている者として、例をちょっとお話ししますと、やはり画期的な方法にまず価値を見ていただいて、一時金をいただきます。その後、フェーズ1、フェーズ2に上がっていくときに、マイルストーン制でフェーズが上がるときにお金を下さいという契約をします。でも、ほとんどのものは収益に対して何%、売り上げに対して何%の取り決めとなってきますので、物が出てからでないとお金が回収できないのが今のところの現状かなと思っています。

田村審査基準室長

現行の期間延長制度について少し御説明をさせていただきますと、特許発明の実施というところは、現実に薬事法上の処分がおりて医薬品の製造・販売が認められないと、そこは実施可能になったというふうに考えてございませんので、特許権者の方がライセンスをするというところで実施可能だというふうには考えておりません。そういう意味では中村委員の御懸念の、そういうDDSを開発されたベンチャー企業さんとか大学さんがライセンスをすることをもって実施可能になったんだというような判断はさせてはいただいておりませんので、そこは特に懸念はないかなと思います。

あと、実際に期間延長制度の申請をされるのは大学の方とかベンチャー企業さん御自身、特許権者の方がしないといけないかということではございますが、実際の薬事法上の処分のほうは、特許権者からライセンスを受けたライセンシーの方が薬事法上のそういう処分を受けて、その失った期間が、結果、特許権者のお持ちの特許権の存続期間を侵食されたというふうに判断させていただいておりますので、2点目のライセンシーが実施するというところについても、期間延長という制度で十分手当てが現行でもできているというところかなと思われます。

長岡座長

DDSを開発した人と薬を開発した人が別でも、現状の制度で対応できるという御説明でした。

どうぞ、高橋委員。

高橋委員

臨床試験の要否を一つの切り口とすることは製薬協でも評価しておりまして、検討すると先ほど申し上げました。ただ、臨床試験というのが特許法上のイベントじゃないということで、薬事行政によって将来どのように変わってくるかわからないということ。それから、その臨床試験を行う者がだれかによって試験期間とか試験内容が変わってくるということで、かつ延長された物質特許だけを考えてみても、物質特許の延長登録を持っている人間にとって、そこにどんな権利の及ばない範囲が出てくるかが登録後の他人のイベントで左右されるということ、他人の行為によって変わってくるということ、そういったことから、臨床試験というのは一つの理屈上の切り口ではありますが、これで効力の範囲も登録要件もともに定義するということは極めて難しいのではないかと思っています。

そこで、製薬協も検討はしますが、先ほど申し上げたとおり、現行制度の基本的考え方で解禁された範囲と効力の範囲を一体として考えるということが本当に必要なのかも含めて、検討したいと思っています。今、製薬協の代表としてオフィシャルに案2に対して申し上げられる不安は、今申し上げたところです。

長岡座長

ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、熊谷委員。

熊谷委員

先ほどのライセンスの話ですが、ライセンスという切り口ではなく、69条の解釈はまだ確定していませんが、製造承認を得る前の臨床試験は、試験研究のための実施として実施できると解釈できると思います。権利者が臨床試験を実施する場合であっても、業としての実施ではないと解釈し、67条2項は、業としての実施のための法規制と解釈すべきではないでしょうか。将来的に特許権が付与され、業として実施したいがために、前もってライセンス料を払うか否かは、あくまで実務の問題であって、ライセンス料が払われたから、業としての実施が可能であってと解釈することはできず、臨床試験をし、製造承認を受けた後に製造することとは別に考えるべきかとおもいます。特許期間が侵食されているのは、あくまで業としての実施が侵食されていると解釈すべきかと思います。実務の問題と法律上の要件は、分けて考えるべきかと思います。

長岡座長

ありがとうございます。

では、田中委員お願いします。

田中委員

まず、検討の仕方の基本的方向性についてでございますけれども、現行法の解釈につきましては、御紹介のあったとおり、既に知財高裁の複数の合議体で同種の判断が繰り返されております。しかも、その後、これらの知財高裁判決の中には最高裁に対して上告受理申立てがされたものもあったと聞いておりますが、少なくとも最高裁が知財高裁の判断を覆したという事実はないというように理解しております。確かに現行法の解釈として、判例レベルではまだ未解決の論点もあるでしょうし、今後、知財高裁自身による判例変更や、最高裁による判断が示される可能性ももちろん皆無ではないわけですけれども、現在までの状況を見る限り、先ほどの平成17年10月11日の知財高裁判決等で示された現行法の解釈は、比較的安定した状況になっているように思われます。このことからいたしますと、行政庁として検討するのであれば、方向性としては、特許権の存続期間の延長制度はどうあるべきなのかという原点に立ち返って、あくまで立法論レベルの議論として、どのように制度設計していくのがいいのかという検討をすることになるのではないかと考えております。

その観点から見ますと、特許権の存続期間の延長制度の基礎にあるものとしては、やはり、「定型的に相当の期間侵食される」ということが一つのポイントになるように思われますので、そのような類型に当てはまるものをできるだけクリアに選別し、判定し、ないしは切り分けていくということになりますと、本日御提案のあった中では、いろいろな問題点も想定し得るのかもしれませんが、私は、案2の方向でよろしいのではないかと思っております。

若干補足いたしますと、現在の法律は、「物と用途」という観点から判断するように規定されているものと解釈されるわけですけれども、それは医薬品以外にも農薬やそのほかのものも政令で定められる可能性があり得るという前提で規定したことからそのような規定ぶりになったものと考えられるのでして、医薬品でいえば、それはまさに「有効成分と効能・効果」ということになるわけです。そして、医薬品について更にさかのぼってみていくと、定型的に相当の期間を要するという観点からすれば、やはり臨床試験というものが一つの核心に当たるものとして考えられるのであろうと思われます。医薬品を切り出した形での検討ということになりますけれども、この場合には、臨床試験の有無というところを一つの核心となる基準としてとらえるという方向性自体は、よろしいのであろうと思っております。

ただ、案2の方向性を支持するとしても、先ほど来、御指摘があるとおり、臨床試験の定義をどのようにするのか、どのような範囲のものを定型的に相当の期間侵食されたものとして延長制度に取り込んでいくのかなどといったところは、更に厳密に詰めた検討が必要であろうと思っております。

最後に1点、外国の制度との乖離が若干気になるところではありますけれども、医薬品の問題は薬事行政と一体不可分のところがございまして、薬事行政の側がどう運用されるかによって特許制度の在り方も影響を受けるというような関係であろうと思われます。その意味では、外国との比較についても、諸外国の薬事行政・特許行政を意識しつつも、日本の薬事行政との関係における日本の特許法の問題として、どのような類型のものが特許権の存続期間の延長制度に取り込まれるべきなのかといった判断があってしかるべきだと思われます。その意味で、外国の制度との乖離があるからといってそういう方向の改正案が直ちに採用し得ないということになるものでもないと思っております。

以上でございます。

長岡座長

ありがとうございました。

中冨委員お願いします。

中冨委員

今、田中委員がおっしゃったことは、ほとんど僕が言いたいことをおっしゃったんですけど、私も、第2案というのはかなり吟味された案じゃないかなと思っていますので、原則この案しかなければ、この方向で私も議論されたらいいのかなと思います。

また、同じように本当に薬事法上の問題との絡みがありますので、私自身はこういった処置(延長制度の改定のこと)をいち早く取り入れるというのは、日本にとって非常にポジティブになるんじゃないかと思います。そもそも日本においていろんな試験をしなきゃいけないというのが基本的に変わらないわけですね、何十年って変わってない。少しマイナーな修正部分もありますが、基本路線は変わっていません。もちろん、その処置を決定した後に、薬事法上の状況が変われば、またそれなりに改正、改定をやらなきゃいけないということになるんじゃないでしょうか。したがいまして、ここに厚労省の方がお見えになって説明していただいていること自体が、非常に画期的じゃないかと思います。

最後におっしゃっていたのは私も同感でして、海外との乖離があるということを留意点とされるよりは、むしろそれは考慮された上での日本で制度を変えなきゃいけないという立場でこの会議に私はおるつもりでおりますので、余りその辺を、強調されなくても、そもそももう乖離(薬事法上の)が起きているわけで、その乖離を避けなきゃいけない意味で今我々は議論しているわけですから、そういった点は余り気にされなくてもいいんじゃないかなというふうに感じています。

以上です。

長岡座長

ありがとうございました。

皆様の御意見を伺いますと、大きな方向性としては資料4の案2の方向でよいのではないかというふうな結論だったと思います。ただ、臨床試験をどのように定義するかとか、他分野との関連とか、検討すべき点はまだたくさんありますので、次回までに事務局にそうした問題点を整理していただきまして、次回、引き続き議論をさせていただくということにさせていただきたいと思います。

大変活発な御議論をありがとうございました。

では、最後に今後のスケジュール等につきまして、事務局からお願いします。

田村審査基準室長

本日は、どうもありがとうございました。

次回は、2月9日、15時から開催を予定しておりますので、よろしく御参加をお願いいたします。次回は、座長のほうから御説明のございましたDDS製剤についての論点整理も多少入れさせていただきまして、前回御審議いただきました延長制度の対象分野の拡大も含めて議論させていただくとともに、あと、資料の説明のときに御説明させていただきました処分と関係する特許権の関係について等、その他制度全般についても御議論させていただく予定としております。

以上でございます。

長岡座長

きょうは、大変お忙しいときに集まっていただきまして、ありがとうございました。

これで閉会にしたいと思います。

閉会

[更新日 2009年1月23日]

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