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第3回特許権の存続期間の延長制度検討ワーキング・グループ議事録

  1. 日時 平成21年2月9日(月曜日)15時00分~17時00分
  2. 場所 特許庁 特別会議室
  3. 出席委員 相澤委員、熊谷委員、佐藤委員、高橋委員、田中委員、辻村委員、長岡委員、中冨委員、長濱委員、中村委員、前田委員、本山委員
  4. 議題:
    1. 延長制度の対象分野の拡大について
    2. 延長制度の対象となる処分について
    3. 延長制度に関するその他の論点について

開会

長岡座長

ただいまから、産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会第3回特許権の存続期間の延長制度検討ワーキング・グループを開催いたします。

本日は、お忙しい中お集まりいただき、大変ありがとうございます。

今回は、第1回ワーキング・グループで議論しました「延長制度の対象分野の拡大について」、第2回のワーキング・グループで議論しました「延長制度の対象となる処分について」、そして、延長される特許権の数・回数等についての3つの議題で議論をさせていただきたいと思います。3つありますので、速やかな議事進行に努力してまいりますので、御協力、よろしくお願いいたします。

委員出欠状況と配付資料について

長岡座長

最初に配付資料の確認をお願いいたします。

田村審査基準室長

本日はすべての委員の皆様に御出席いただいております。また、政府側の出席者といたしまして、前回同様、厚生労働省医薬食品局審査管理課の猿田専門官にも御出席いただいております。

続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。本日の配付資料は、お手元の資料1といたしまして、延長制度の対象分野の拡大についてというペーパー。資料2といたしまして、延長制度の対象となる処分についてというペーパー。資料3といたしまして、存続期間延長制度改正案、こちらは日本製薬工業協会からの御提案でございます。資料4といたしまして、日本ジェネリック製薬協会から特許期間延長制度に対する日本ジェネリック製薬協会の取り組みについてというペーパーがございます。資料5といたしまして、こちらは日本製薬工業協会からのペーパーでございまして、特許期間延長制度の三極調和という考え方に対する日本製薬工業協会知的財産委員会の意見というペーパーがございます。最後に資料6といたしまして、延長制度に関するその他の論点についてというペーパーがございます。以上6点、過不足ございませんでしょうか。

それでは、本日も前回同様、御発言の際にはお手元のマイクのスイッチを入れていただき、マイクを近づけて御発言いただきますよう、よろしくお願いいたします。

長岡座長

ありがとうございました。

延長制度の対象分野の拡大について

長岡座長

早速ですが、最初の議題で、延長制度の対象分野の拡大についてということで議論をさせていただきます。

最初に事務局より資料の説明をお願いいたします。

田村審査基準室長

お手元の資料1について御説明をさせていただきたいと思います。前回のワーキング・グループで中間報告ということでアンケート結果について概要を御説明させていただきましたが、資料1の1.(1)から(4)までは前回と基本的に変わってございません。(5)のアンケート結果というところから御説明をさせていただきたいと思います。

遺伝子組換え生物については、カルタヘナ法に興味のある企業のうち、カルタヘナ法を「対象とすべき」とする回答が60、「対象とすべきでない」とする回答が33、「分からない」とする回答が76でございました。

また、遺伝子組換え生物以外でも、以下の分野について延長制度の対象分野とする要望がございました。1)といたしまして、医療機器の分野でございまして、「対象とすべき」という意見が5件、「対象とすべきでない」が1件、医薬部外品について「対象とすべき」という意見が3件、食品添加物については「対象とすべき」という意見が2件ございました。次のページにまいらせていただきまして、4)といたしまして、特定保健用食品につきまして、「対象とすべき」という意見が2件ございました。

これらのアンケートを踏まえまして、2.各分野についての検討をさせていただきました。これにつきましては、第1回のワーキング・グループで了承されました特許権の存続期間の延長制度の対象分野とする条件についてというペーパーの観点から検討させていただきました。これにつきましては、参考資料として5ページ目以降に添付させていただいておりますので、簡単に、こちらのほうをおさらいさせていただきます。1.の制度の趣旨を踏まえた前提条件の観点と、6ページ目にございます2.の政策的観点からの条件ということで、2つの観点から条件を設定させていただきました。

5ページに戻らせていただきまして、1.の制度の趣旨を踏まえた前提条件といたしましては、「(1)法規制による処分が、業としての特許発明の実施を禁止している」という観点、「(2)当該規制対象分野全体として、かつ、不可避的な規制審査期間があり、しかも、当該期間の短縮にも、安全性の確保等の観点からおのずから限界がある」という観点、あと「(3)安全性等の審査に農薬や医薬品と同程度の期間がかかる」という観点、の3つがございます。

6ページの政策的観点といたしましては、「(1)処分と関係する特許権者と第三者とのバランスを考慮する」、「(2)イノベーションの進展に寄与するか否かも考慮する」、「(3)国際的動向も踏まえる」がございます。このような観点から、2ページに戻らせていただきまして、それぞれの技術分野について検証をやらせていただいております。

まず、2ページ目の2.(1)医療機器からでございます。「医療機器については、薬事法に基づく承認を受けなければその製造販売ができない」ということで、条件1.(1)に適合と考えられます。

「また、その承認申請には、臨床試験による実験データが求められるため、当該審査期間の短縮にも、安全性等の観点からおのずから限界があるものと、一部の分野においては認められる」と、一部の分野ということでございますので、条件1.(2)について、対象分野全体としてというところについては依然として不明かと思われます。

「そして、承認のために必要な期間については、具体例として、治験届け日から承認日までに2年以上の長期間がかかった例が見受けられたが、一般的に医療機器の承認期間に2年以上の長期間がかかるかどうかは現時点では不明である」というところで、条件1.(3)については不明という結論になってございます。

「さらに、日本医療機器産業連合会における検討によれば、医療機器分野は一般的に製品のライフサイクルが短いこと等の指摘もあり、特許権を延長させる政策的な必要性が不明である」ということでございまして、政策的な観点の条件2.については不明という結論になってございます。

これを踏まえて事務局といたしましては、「したがって、医療機器については、今後、承認期間の実態が判明し、かつ、延長の必要性が認められた段階で、再度検討することとする」という結びになってございます。

次に、(2)の医薬部外品及び食品添加物についてでございます。これらについては、「それぞれ薬事法または食品安全法に基づく承認を受けなければその製造販売ができない」ということで、条件1.(1)に適合でございます。

「また、その承認申請には動物実験による実験データが求められるため、当該審査期間の短縮にも安全性等の観点からおのずから限界があるものと認められる」ということで、条件1.(2)に適合と考えられます。

「しかし、承認のために必要な期間については、医薬品の承認手続における治験届け日等に相当するものが存在しないため、有効成分の研究開発期間などの製品開発期間に類する期間の承認のために必要な期間と区別することができず、承認のために密接に関係した試験期間を特定することが困難である」ということで、条件1.(3)については不明ということでございます。

結論といたしましては、「したがって、医薬部外品、食品添加物については、今後、承認のために必要な期間が明確に特定でき、かつ、承認期間の実態が判明した段階で再度検討することとする」ということにさせていただいております。

(3)特定保健用食品についてでございます。これにつきましては、「健康増進法に基づく表示規制はあるものの、食品そのものの製造販売は禁止されていない」ということでございますので、条件1.(1)に不適合というところで、結論といたしまして、「特定保健用食品については、延長制度の対象分野とは認められないものとする」ということにさせていただいております。

(4)遺伝子組換え生物についてでございます。「遺伝子組換え生物については、カルタヘナ法に基づく承認を受けなければ第一種使用等を禁じられるため、その製造販売ができない」という点では条件1.(1)に適合と考えられます。

「また、その承認申請には隔離ほ場試験等における実験データが求められるため、当該審査期間の短縮にも、安全性等の観点からおのずから限界があるものと認められる」という点で、条件1.(2)に適合と考えられます。

そして、「承認のために必要な期間については、植物について8件の承認実績があり、その平均期間は2年3月となっている。ただし、特許権の存続期間が実際に侵食されたと確認できた事例」はブルージーン特許1件でございました。なお、「動物についてはこれまで承認実績がない」ということでございまして、条件1.(3)については追加調査中というところになります。

ここにつきまして、資料1の最後のページに別紙1というところがございまして、第1回のワーキング・グループで御説明したところと変更された点を御説明させていただきたいと思います。

植物について8件ほどございますが、8件目のカーネーション、こちらはサントリーさんの承認でございまして、承認日が2009年1月29日ということで承認がおりてございまして、所要期間が1年9月ということになってございます。

あと、前回、こちらのリストに入れさせていただいておりましたのが、その下の参考のところにございますダウ・ケミカルさんのトウモロコシの案件でございます。詳細に調査をいたしましたところ、こちらのほうは、ほ場試験中に事故が起こりまして、一度ほ場試験を中止したという事情がございました。3年11月という長い期間がかかっているということでございますので、特殊な事例ということで、平均値を出すときには、こちらを除外させていただいたという状況でございます。したがいまして、1回目のワーキング・グループでは平均期間が2年5月というふうに御説明させていただきましたが、このような操作をした後の平均期間は2年3月という状況になってございます。

また、本文に戻らせていただきまして、本文の3ページの最後の段落でございます。さらに関係団体に御検討をお願いしまして、「バイオインダストリー協会における検討によれば、遺伝子組換え植物の第一種利用等に係る処分を延長制度の対象分野とすることは、食料、環境・エネルギー分野のイノベーションの進展に大きく寄与するとして、特許権者の特許権を延長させる政策的な必要性が主張されて」ございました。しかしながら、遺伝子組換え植物に関しては、より関係の深い団体になろうかと思いますが、農林水産先端技術産業振興センターの検討結果といたしましては、「延長制度の対象分野とすべきであるとの意見がある一方で、特許権の存続期間が侵食された具体的実績が少なく、延長制度の対象とした場合の業界への影響が計れないため、慎重な検討が必要であるとの意見もあった。なお、動物については、これまでの承認実績がないため、延長制度の対象とすべきかどうかについて特段の意見」はございませんでした。以上で、政策的な観点の条件2.については追加調査中という状況でございます。

「したがって、遺伝子組換え生物については、特許権が実際に侵食された事例の調査をさらに進めた後、次回ワーキング・グループにて」、最終的な判断をさせていただきたいと考えてございます。

以上でございます。

長岡座長

ありがとうございました。

御質問とか御意見ございましたら、よろしくお願いいたします。

中村委員、お願いします。

中村委員

質問ですが、再生医療、再生材料というのは薬事法の関係で医療機器のほうに含まれてしまうのでしょうか。そのあたりの区分についての情報をお願いしたいと思います。

田村審査基準室長

再生医療材料で例えば皮膚のようなものであれば、その皮膚自体が効果・効能を持っていないようなものでありますと医療機器の区分になろうかと思われます。しかしながら、体にその細胞を入れたことによって効果・効能を持つようなものであれば、それは従来の医薬品、すなわち、既に対象となっている部分になろうかと思われます。

中村委員

こういった再生材料は医薬品と同じように研究開発が長い期間かかるので、例えば医療機器の分類だからというだけでなく、研究開発に実際にかかる期間というのも考えなくてはいけないと思います。今後は、iPS細胞の再生医療という話も出てきます。もしかすると、こういった再生材料、再生医療に関しては、医療機器の産業団体というよりは、製薬協とかバイオインダストリー協会とかそっちのほうが非常に近いような気がするので、そちらのほうから、どんなことを考えていらっしゃるかという話もお伺いしてみたいと思いました。

長岡座長

ありがとうございます。

前田委員、関連したことだと思いますので、どうぞ。

前田委員

本学でも人工補助心臓のベンチャーを起こしているケースがあります。今、牛で何週間かという段階にありますので、実績という意味では、治験までいって、どれだけ日数がかかるかということはまだ判らない状況です。ですから、数値としては、まだ上がってこないのですけれども、そういう研究をしている先生がたくさんいます。

なぜアンケートのところに数字が出てこなかったのかなといいますと、アンケートは大学技術移転協議会会員73機関に送られているのですけれども、ほとんどの工学系の大学にはTLOとか知財本部はあるのでこの協議会に入っているのですが、医学系の大学で年間20万かかる大学技術移転協議会に入っているかというと、入っていないのが現状です。東京医科歯科は入っていますが、医学部や、中村委員もおっしゃったような再生医療とか取り組んでいらっしゃる方の要望というのが、そんなに反映されていないのかなという気もします。

今後、要望が出てくるのではないかなと思いますので、実績の数からいって除いてもいいかなという見解でしたら、私、今まさにやっているという人たちを周りで見ていますので、今後の検討というところは十分入れておいていただきたいと思います。

長岡座長

ありがとうございます。

相澤委員、お願いします。

相澤委員

延長を認めるための政令で指定する基準として、平均的にという話がありましたが、その考え方に問題があると思います。侵食されている例があるのであれば、延長を認めるべきなのではないかと思います。

それから、今も御指摘ありましたように、医療機器については医薬品と同じ薬事法によって規制を受けているわけですから、これを同様の取り扱いにするということは十分な合理性があると思います。したがいます。しかも、将来を期待されている再生医療等を含めて、医療機器なのか、医薬品なのか限界が明確ではないというのであれば、医療機器も含めるべきであると思います。

そもそも、特許制度というのは、将来にわたって受けられる保護に対する投資の前提条件を提供するものでありますから、過去の実績にとらわれていると、将来の発展のための投資を促進するという特許法の制度の目的を達せられないことになるとと思います。

長岡座長

ありがとうございます。

辻村委員、お願いします。

辻村委員

カルタヘナ法の規制に関する特許権の期間延長ということについて一言申し上げたい点があります。

今まで皆さんがおっしゃったことと近いところですけれども、別紙1でカルタヘナ法施行後第一種使用の承認を得たものとしては9件というのは事実でありますし、そのうちで実際に特許権の実施ができなかったというのは私どもの青いバラのブルージーンの1件だというのは事実だと思います。

しかし、本課題の本質は知的財産の活用だけではなくて創造へのインセンティブをどう上げるのかというところも一つ非常に重要な観点だと思いますので、単なる事例、事実だけを見るのではなくて、先ほど先生もおっしゃいましたけれども、事実の背景にあるところもそんたくして、少し考えていただきたいと思います。

見ていただきますと、私ども以外はすべて外資系の企業で、しかも穀物系で申請承認を得ているわけであります。もともとカルタヘナ法による承認は植物体の環境保全、安全性を承認するだけで、申請者に何ら権利を付与するものではないわけであります。なぜ外資系は特許権による保護を必要としないんだろうかというところも含めて、いろいろ考えていただきたいと思います。彼らは、実際問題、市場を独占しているわけでありまして、研究開発を続けているわけであって、いわゆる時限のある権利として守られる必要はないわけです。そういうふうな状況もあるんだろうと思います。

この問題に関しては、実績という観点だけから考えるのではなくて、なぜこういう状況になっているのかとか、このままで本当にいいのか、日本企業にインセンティブを与えて、もっともっと研究開発、事業化ということへの意欲を起こさせるにはどうしたらいいんだろうかということも含めて、視野的には事例研究云々だけではなくて、広く検討をしていただければありがたいと思います。

この分野は将来、遺伝子組換えというところがキーになる技術であると思っていますし、海外での寡占の状態を打破するためには技術力、技術というのがキーになるわけであります。そのためには排他独占権に守られた技術は非常に重要だと思いますので、その辺のことも含めて検討していただければと思います。よろしくお願いいたします。

長岡座長

ありがとうございます。

熊谷委員、お願いします。

熊谷委員

毎回、同じようなことを申し上げて恐縮ですが、特許制度が技術開発のインセンティブを与えるということを否定するつもりは毛頭ないわけでございますが、特許法で20年間の存続期間が発明のインセンティブとともに社会、公共の利益という観点から規定されているわけです。そのことについての賛否も両論あるかと思いますし、20年の意味も考えていく必要があると思いますが、67条2項で規定している存続期間の延長制度は、20年の保護期間がインセンティブに寄与しているという前提のもとで、その間で実施ができなかった期間が相当な期間になるものについて、さらなる保護を与えるという観点から制度構築がされていると思いますので、新たな制度を設けることを反対しているわけではありませんが、存続期間の延長制度の趣旨は十分踏まえた上で延長対象等は考えていくべきではないかと思います。

長岡座長

ありがとうございます。

意見をいただいたわけですけれども、最初に、カルタヘナ法につきましては、辻村委員にプレゼンテーションしていただきましたように、かなり時間がかかるということも確かであります。そういう意味で、侵食されるという度合いは非常に大きいわけです。

ただ、現時点で過去の実績を見ると1例しかないのですが、相澤委員がおっしゃいましたように、特許制度の構築というのはイノベーション効果、つまり、将来へのインセンティブ効果を見ながら行うことも非常に重要であります。そういう意味で、今まで実績が余りないという原因も踏まえた上で、次回その分析も踏まえた上で、次回再度議論をするということでいかがかと思います。

次に、医薬部外品、食品添加剤については特に御異論はなかったと思いますので、現時点で必要性はないとの結論になると思います。そうしますと、残りますのは医療機器ということで、医療機器については確かに再生医療というのが出てきまして、医療機器の中にはかなり長期の臨床試験が必要であって、かつ開発期間も長くなるものも出てくるのではないかということの御指摘があるわけです。

他方、アンケート調査は製薬協も含めてやっておりまして、事務局が今まで調べた中では余り明確なニーズが出てきていないということも明らかでありまして、そのあたりをどう考えるかというところです。それから、医薬品にクラシファイされるものは当然、医薬品として保護延長ができるということがありまして、機器としての再生医療をカバーする改正を、この時点で行うべきかどうかというところはいかがでしょうか。

中冨委員、お願いします。

中冨委員

ある程度の基準まではここで議論をやっておいたほうがいいのではないかと思います。先ほどからお話になっている将来のインセンティブというそのものを考えても、今ある新しい物が将来、成果が出てきてから基準を施行するというのではなくて、私の関連するDDSなんかも、20年以上も、現行のままで来たわけです。そうすると、その期間、特許失効しているのもいっぱいあるわけで、そういう意味では、今のうちにディスカッションして決めておかなければいけない問題点がいっぱいあるのではなかろうかと感じております。

今の再生医療についても、とても薬事法的には医療機器とは関係がなく、私からしますと、まだ新しいガイドラインがはっきりしていないというのもあるでしょうけども、猿田さんがここにいらっしゃいますので、御説明いただけるかわかりませんが、いずれにせよ、薬事法や申請上との関連からしますと違うところが多くあります。再生医療事業会社のジェイテックは、実際、申請から承認まで3年以上かかっていますよね。ですから、医療機器で2年以上はかからないとすることから既に外れているわけです。

そういう意味でも、薬事法の関連あるいは審査上のガイドラインに関連して特許延長の問題を取り上げなければならないと思います。最初の新しい物が審査上時間がかかるということは良くありますので、そこら辺は考慮していただいて、どの基準でどういうふうに……。例えば、カルタヘナ法でも同じかもしれませんが、ある程度の基準を設けてディスカッションしておくべきじゃないかなという感じがするんです。

長岡座長

いかがでしょうか。

長濱委員、お願いします。

長濱委員

今の論点に関しまして、例えば再生医療関係の技術が将来的に医薬品に関連する可能性があると共に、一部は医療機器に関連する可能性もあるということは十分納得できるのですが、医療機器という観点からすると、医療機器の概念が現状ではかなり広い概念でして、再生医療が関連するであろう部分は、そのほんの一部ということになると思います。

一方、医療機器に関しては特許権の存続期間の延長登録の対象にすべきとの積極論が少なかった背景を考えますと、通常医療機器関係ですと、1つの医療機器を保護するために1件の特許出願で済ますということは少なく、1つの医療機器に複数の特許が関係するというのが一般的だと思います。そのような医療機器に関係する特許権の存続期間の延長登録が認められた場合にどう整理するのかというところが実務的には非常に問題になる部分であります。そのような理由もあって、医療機器に関しては、消極論といいますか、特に保留というのも消極論に近いと思うのですが、そういう流れのアンケート結果になっていると理解しております。

このような状況を踏まえて考えますと、医療機器に関しては慎重に検討していく必要があると考えております。

長岡座長

そうしますと、分類自体をどう行うかという論点もありまして、医療機器と再生材料を分けるというのも理論的にはあり得る。つまり、再生医療は対象として医療機器は対象にしないということも、あり得るかもしれません。この点を含め医療機器のところは、カルタヘナ法への対処の基本的な考え方も含めて、次回、もう一回議論するということでよろしいでしょうか。そのプロセスの中で、全体的に統一的に適用できるような考え方を整理した上で、議論をさせていただくということでよろしいでしょうか。

前田委員、お願いします。

前田委員

一昨年、本学主催で医学系大学の知的財産の人たち、55機関の方に集まっていただいて意見交換会をしたことがあります。ですから、本学はリストを持っています。本来は、医学系のところに聞かないと、声って上がってこないと思います。さきほども申しましたように、大学技術移転協議会に聞いているからと言われてしまうと、医学系でここに入っているところは、本学ぐらいしかないんですね。医療機器であれば本当は聞くべきなのかなという気はします。

長岡座長

そこはヒアリングをするような可能性はあるかもしれませんけれども、今からアンケートをするのは難しいかもしれません。ありがとうございました。

延長制度の対象となる処分について

長岡座長

次の議題に移りたいと思います。延長制度の対象となる処分についてということであります。前回、DDS製剤を例に医薬品分野の延長制度の対象となる処分について議論いただきまして、案2を特許庁の事務局で用意していただきました。その後、前回の議論を踏まえて直していただいております。最初に、その説明をお願いいたします。

それから、日本製薬工業会の高橋委員から、案2に対するカウンタープロポーザルといいますか、独自の案を提案されるという申し出がありましたので、その後で御紹介をしていただくということにしたいと思います。

最初に事務局より案2の修正案について御説明をお願いします。

田村審査基準室長

お手元の資料2を用いて、前回御説明した案2の修正と、その提案制度の特徴を御説明させていただきたいと思います。

その前に前回のワーキング・グループにおける委員の皆様方の御指摘を簡単に整理させていただきたいと思います。

まず、延長制度の趣旨を踏まえて相当の長期間にわたって侵食された特許権を期間回復の対象とすべきであることが確認されました。その趣旨を踏まえると、医薬品の承認申請に臨床試験が必要な処分を対象とする案2の方向でよいことについて、多くの委員の同意が得られました。ただし、臨床試験の定義は厳密に行うべきとの御示唆もございました。

また、特許権者と利用者の双方のバランスに留意すべきであること並びに制度が必要以上に複雑化しないように留意すべきであるということも御指摘がございました。

以上の御指摘を踏まえまして、前回提案させていただきました案2に2点ほど修正を加えさせていただきました。次のページにまいりまして、1点目の修正は、臨床試験の定義として薬事法上の「新医薬品」にかかるものを採用させていただいたことでございます。2点目の修正といたしましては、延長の対象となる薬事法上の処分において着目する観点を医薬品の成分のみならず、すべての観点に広げることとしたことでございます。

次のページにまいらせていただきまして、修正点1の「新医薬品」とは、こちらの枠囲いの3つ目の丸に記載されておりますように、薬事法第14条の4第1項に規定されており、既に製造販売の承認を与えられている医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能・効果等が明らかに異なる医薬品として厚生労働大臣がその製造販売の承認の際に指定するものでございます。

「臨床試験」という広義の定義については、ヒトに対して行う実験のすべてが含まれてまいります。そうすると、所要期間が短いものまで含まれることになり、処分により相当の長期間にわたり特許発明の実施が妨げられていないような場合も含まれ得るとの意見に対応した修正でございます。これにより「剤型追加」のような所要期間が短い処分を期間延長の対象から排除することが可能になります。

次のページにまいりまして、修正点2の詳細でございます。前回、相澤委員から用量等が変更された医薬品の承認申請にも相当の長期間を要する臨床試験が必要であるとの御指摘がございました。そこで、薬事法上の処分の着目点を、前回の成分と効能・効果のみから、有効成分、その他の成分、効能・効果、用法・用量等の処分のすべての要素とさせていただきました。

次のページにまいらせていただきまして、今回の案の特徴を御説明させていただきます。期間延長の対象となる薬事法上の処分を「新医薬品」とすることにより、対象となる処分を相当の長期間にわたって特許権が侵食されるものに限定することができます。また、処分のあらゆる観点に着目することにより、有効成分及び効能・効果以外のDDS製剤等の画期的な製剤技術も手厚く保護可能となります。

昭和62年の制度導入時には、有効成分のみに着目した米国制度を考慮した上で、用途発明をより手厚く保護する我が国独自の延長制度としました。今回は当時の医薬用途のイノベーションを促進したのと同じように、昨今注目されるDDS製剤等の画期的な製剤技術のイノベーションも促進する提案となってございます。一方で、従来から延長制度の対象外となっている臨床試験が不要な「剤型追加」を制度の対象外のままとすることが可能となってございます。

次のページにまいらせていただきまして、薬事法の処分により「禁止状態の解除された」医薬品の範囲を「処分単位」、すなわち承認が得られた「製品」と、その製品を一部変更したものが「新医薬品」とならないものに限定しております。結果として、現行制度と同様に、異なる薬事法上の処分に基づき延長される特許権の「禁止状態が解除された」範囲が相互に重なることがございません。

次のページにまいらせていただきまして、現行制度と同様に、新医薬品の処分により「禁止状態が解除された」範囲を当該処分に基づいて延長された特許権の効力の及ぶ範囲、こちらの緑の部分でございますが、そういう形で対応関係をつけてございます。

次のページにまいりまして、9ページ目でございます。以上をまとめますと、今回の案は画期的な製剤技術等に関する特許権を延長制度の対象とできる一方で、「剤型変更」に係る製剤技術を延長制度の対象外としています。また、現行制度の考え方を踏襲することにより、異なる処分により延長される特許権の効力の及ぶ範囲が相互に重なることはございません。結果として、第三者の参入時期が変動することがないため、第三者に対して予期せぬ不利益を与えるおそれがございません。次のスライドで、この点を具体的に御説明させていただきたいと思います。

10ページ目の上部の枠をごらんください。処分1において医薬品Aが製造承認され、何年か後に処分2において医薬品Bが製造承認されたと考えてください。処分1及び処分2のいずれの医薬品も有効成分が物質aで、用途が鎮痛剤であり、添加剤として安定化剤bを用いています。相違するのは、処分1が通常の錠剤であり、処分2が徐放性等のDDS製剤であるということでございます。

上3つの特許の帯が今回の案に対応するものであり、下3つの特許の帯が、異なる処分によって延長される特許権の効力の及ぶ範囲が重なる場合に対応してございます。製剤特許2と5は安定化剤bに特徴を有する特許権であり、製剤特許3と6はDDS技術に特徴を有する特許権でございます。

今回の案では現行制度の考え方を踏襲しておりますので、処分2において延長される製剤特許2の効力はDDS技術を用いた範囲に限定されます。一方、異なる処分によって延長された特許権の効力の範囲が重なる制度においては、例えば製剤特許5が処分1の時点で特許されていないこのケースの場合は、処分2によって製剤特許5が延長されることになります。

処分1において製剤特許5が延長されなかったことを信じて安定化剤bに特徴のある製剤特許5の20年の期間満了を待って医薬品Aを製造販売しようとしていた第三者は、水色の帯の右端で参入できるはずだったのに、処分2により製剤特許5が延長されたことにより緑の帯の右端まで参入時期が不意に延長されることになります。異なる処分によって延長される特許権の効力の及ぶ範囲が重なる制度でございますと、第三者へのこのような不意打ちが頻繁に生ずることが懸念されるという問題点があろうかと思います。

以上でございます。

長岡座長

ありがとうございました。

最初に、この説明について御質問がございましたら、よろしくお願いします。

高橋委員、どうぞ。

高橋委員

ありがとうございます。

10枚目の絵ですけれども、(5)の製剤特許、このような延長が認められると、第三者にとって非常に不都合であるということがよく理解できます。ですが、(5)の製剤特許発明は既に処分1で、物質a、鎮痛剤、安定化剤bが入った発明として実施が可能になっていると考えられますので、ここに延長が認められ、かつ処分1の医薬品Aに効力の及ぶ延長が認められるという想定自体、かなり無理があるのではないかなと思います。こういった案がどこかから提案されているならばともかく、これを御説明された意図をもう一度御紹介いただきたいです。

田村審査基準室長

特許(5)の場合は、茶色の濃い部分が審査中で、薄い茶色の部分との境界で特許が登録になったと考えていただきますと、処分1の段階では、まだこちらは特許権になってございませんので、延長の対象にはならないというところは御理解いただけるかと思います。その後に登録になりまして、処分1と処分2の間に登録されたということでは、まだ登録になっていない特許権ということでございますので、処分2によって延長されるということが想定できるかと思われます。

これから高橋委員から御説明していただく案に対応させますと、B案のほうでは、この辺を配慮されたように書かれているようには思われます。本来は、これから御説明を聞かないといけないかと思いますが、例えば資料3の7ページの1.の最後の行に、「先に処分を受けた医薬品を特許発明の技術的範囲に含まないこと」というところをおっしゃっているのかとは思います。これについては、実際に薬事法上の処分を調べて、先にそういう処分を受けているかどうかというところを判断しないといけないかと思います。

ただ、薬事法上のこの辺の承認に関するデータは営業秘密ということで実際には第三者にお示しすることができないので、これについては審査ができるのかどうかわからない。少なくとも製薬協さんのお示しになられる予定のA案とB案には、そこの点が何も書いてございませんでしたので、まだ伸びていない特許権というところで考えますと、5番目の特許権の例は延長の対象になり得るのではないかと考えてございます。

長岡座長

こういう提案でもしあればこういう懸念があるということのみで、これが事務局の案ではありませんので、むしろ高橋委員に御説明をいただいた上で議論したほうがいいかもしれません。

ほかにいかがでしょうか。

高橋委員

今の御説明はよく理解できなかったのですけれども、少なくとも10枚目の絵で参考として書いてある5番目の特許がない事例が、この後、製薬協からお示しさせていただくイメージでございます。ですので、まさにこの資料で、製薬協の案が第三者にとって不都合、不利益を与えることがない案だということを、逆に御説明していただいたのではないかなと都合よく考えております。

それから、3枚目で新医薬品という新しい概念を提案されています。我々、新医薬品というのは再審査が義務づけられる医薬品というふうにとらえております。それが正しいとしますと、例えば前回話題になっていました大人用で承認を受けた医薬品について、その後、小児用で処分を受けた場合に、これには必ず再審査が義務づけられると考えています。それから、申請者が異なれば、どのように似ている医薬品でも、再審査の義務が課せられると理解しています。ですから、このあたりの薬事法の取り扱いを十分に考慮して、新医薬品というものを御提案されたのかどうか伺いたいと思います。

それから、もう一つだけ、ついでに申し上げておきます。2枚目の下から2つ目、「特許権者と利用者の双方のバランスに留意すべきである」と書かれています。もちろん保護と利用のバランスが重要な要件であることは理解しておりますけれども、特許法第1条の保護と利用のバランスを図るということは、あくまでも発明の奨励のための手段でありまして、特許法第1条は産業の発達に寄与すると、これが特許制度のゴールだと考えております。

これまでもそうですが、事務局からの提案に、産業の発達に寄与する、貢献するという観点が余り前面に出てなくて、むしろバランスのほうが前面に出てしまっているのは大変残念なことだと考えています。

以上です。

長岡座長

最初の新医薬品の論点について、いかがでしょうか。

田村審査基準室長

「新医薬品」の切り口としては、あくまでも侵食される期間が相当の長期間であるという切り口で考えてございまして、今おっしゃられました用量が変わるようなものについても侵食される期間は長いのではないかというふうに、こちらのほうでは考えさせていただいたという次第でございます。これにつきまして、実際の侵食期間についてはもう少し調査のほうを続けさせていただきたいと考えてございます。

長岡座長

いかがでしょうか。

では、次に高橋委員からカウンタープロポーザルを出していただいていますので、そちらを説明していただいて、それで議論をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

高橋委員

資料3をごらんください。これから、期間延長制度の製薬協案を御紹介いたしますが、その前に、現在、私は武田薬品の期間延長の訴訟代理人も行っていますが、これからお話しする内容は、製薬協から委嘱された者として製薬協の知財委員会の考え方をお示しするものであり、訴訟代理人としてのものではないということを、まずはお断りしたいと思います。

この資料の1枚目のサブタイトルをごらんになっていただきたいのですが、「医薬品産業全体の発展に寄与するために」と記載しています。後ほど資料5のほうでも制度の三極調和という意見に対する製薬協のオフィシャルな立場を御紹介いたしますが、その中でも触れているとおり、これから御説明する制度案が、後発型企業も含めた我が国の医薬品産業全体の発展に寄与すると信じるから、このように書いております。

製薬協案は、資料の3枚目をごらんになっていただきたいのですが、ここに示すような特徴を持っています。1つ目は「有効成分と効能・効果が同じ二回目以降の処分によって、物質特許が延長されることはない」こと、2つ目は「先に延長された特許権の排他的効力の範囲が、後の処分によって変動することがない」こと、3番目に「DDS製剤のように製剤技術にのみ特徴のある特許発明でも、その処分を得るために侵食された特許期間を回復することができる」こと、この3つの特徴を持っています。4番目は省略しますが、こういった特徴がゆえに製薬協案は、一番下に書いてありますように、「新規有効成分の研究開発を促進しつつ、同時に、今後一層重要となる製剤の技術革新に強いインセンティブを与えることができる」と考えています。

こういった特徴によって、既に承認された医薬品の積極的な効能拡大や新たな機能を持つ製剤、使いやすい製剤の開発促進が図られます。その結果、後に後発型企業に、このような広い選択肢の医薬品から後発品となるものを選んでいただけるような環境を、製薬協案では提供できると考えています。これが1枚目に書いたサブタイトルの心です。

4枚目をごらんになっていただきたいのですが、先ほど資料2の10ページにあったものと非常に似ています。ですが、真ん中に鎮痛剤という特許発明が書いていない2つの特許発明を並べたものを書いております。先ほど田村事務局長から7枚目のB案のことについてコメントいただきましたが、与えられた時間が10分ですので、製薬協案からは、A、B、C案すべて、それぞれ具体的内容を説明するということが難しいと考えます。そこで、3つの案いずれについても実現できる期間延長のイメージを、前回の特許庁案2と対比して示したのがこの図です。4枚目の図では物質特許と製剤特許があり、最初の処分1と次に有効成分と効能・効果が同じで製剤が異なる処分2があるという設定になっています。

まず見ていただきたいのは、製薬協案の物質特許化合物aが、処分1によって延長される際の出願から20年のさらに右側、延長部分の帯の幅です。これは延長された特許権の排他的効力の範囲を示すものですが、その幅は現在、最初の処分によって与えられる延長特許の効力として特許庁から説明されているそのまま、すなわち現在の運用どおりの幅を示しています。帯の長さは特許が登録されてから処分1がなされるまでの長さで決まりますけれども、この帯の幅は処分1の医薬品がどのような製剤であっても有効成分と効能・効果の範囲すべてに及ぶと特許庁からは説明されています。

製薬協案は、この物質特許の延長についての運用は現状のまま、そのままに維持し、別の製剤特許が登録されていて、かつ処分2がおりるまでその製剤特許の実施ができなかった、このような別な特許があれば、侵食された期間を回復してほしいという極めてシンプルな提案になっています。別の製剤特許が存在しなければ、処分2に基づく延長の機会は発生しません。

これに対して、上に示した特許庁案2では物質特許の帯の幅が狭くなっています。これは後の処分2で物質特許を延長するためにはすき間をあけなければならないからというのが、前回の事務局の説明でした。この図では特許庁案も製薬協案も、ともに物質特許と製剤特許の二つを並べていますので違いがわかりにくいのですが、特許庁案2は、製剤特許があろうがなかろうが物質特許の延長を認める仕組みと思われます。だからこそ、すき間をあけるための臨床試験や新医薬品といった新しい要件を探さざるを得なくなっているのではないかなと想像します。

それに対して製薬協案は、最初の処分で、化合物Aを鎮痛剤に用いる特許発明の実施は既に解禁されたと考えますから、2回目以降の製剤の処分2で物質特許の延長は考えません。また、処分2で使われているDDS製剤の発明が特許に値する、すなわち特許登録されたものでなければ、処分2によって延長できる特許はありません。処分2に基づき延長されるかどうかは、その製剤に係る発明が特許されるほどレベルが高いものか否かで、特許法の中で判断できるようになっています。このような制度設計にすることによって、先ほど3枚目の一番下でごらんいただいたとおり、製剤の技術革新に強いインセンティブを与えることができると考えています。

次に、この特徴を備えた具体的な提案が、なぜA、B、Cと3つあるのかを述べます。前回事務局からは、特許庁の実務が現行制度の基本的考え方に沿って運用されているように御説明がありました。しかし、現実の審査は必ずしもそうではないため、製薬協案も、6枚目には現行制度の基本的考え方から完全に離れて提案したA案、7枚目には現行制度の基本的考え方を踏襲しつつ、その例外として製剤特許を伸ばすB案、さらに8枚目は現行制度の基本的考え方を柔軟にとらえて現実の審査実務の考え方を取り入れたC案、これらを並列しています。このいずれの案によっても、4枚目に示したイメージを実現できます。

このイメージの実現を製薬協が強く望むその理由は、2枚目をごらんになっていただきたいのですが、この一番上に示すとおり、新規有効成分を含有する医薬品の開発成功確率が、近年急激に低下して、研究開発費の回収が難しくなってきているという実情があります。しかも、ようやく成功した新規有効成分含有医薬品によって開発コストを回収しようとしたとき、我が国の市場の特性ですね、これは新規医薬品の成長ピークが欧米に比べて低く、また遅くやってくるという特徴があります。

このような実態がありますので、5枚目に飛んでいただきたいのですが、5枚目の上の箱の1)にまとめたとおり、延長された物質特許の効力範囲が現行制度で説明されている範囲よりも縮小するような制度案には、製薬協は賛成できないという意見になります。同じ5枚目の箱の下、*1の4)に記載しましたように、現在、不十分な製剤技術の保護を検討することがそもそものこのワーキングの課題であったのに、その課題解決のために、現在与えられている保護を削ってでも製剤の保護を与える方向の提案というのは、製薬協としては本末転倒と考えます。

また、これは本日提案された修正案についても言えることですが、同じ5枚目下の*2に記載しているとおり、一律に規定できない薬事用語で登録要件や効力範囲を定める制度改正案には反対します。技術レベルの低い製剤の承認に基づく延長を制限するという目的もあって、事務局案は臨床試験や新医薬品ですね、こういった概念を持ってこられているのでしょうけれども、特許された製剤技術かどうかが、特許制度の中ではふさわしい基準とは考えられないでしょうか。製剤特許がない場合にも物質特許を延長しようとする特許庁の案に、今回の案もそうですが、だからこそ、薬事用語をいろいろ持ち出してこなければならなくなると推察しています。ここで思い切って、2回目以降の処分での物質特許の延長を頭から外して考えてみてはいかがでしょうか。

なお、5枚目の*2に「臨床試験を登録要件や効力範囲の解釈に用いると安定した制度にならない」と書いています。これは誤解のないようにお願いしたいところですが、特許期間延長制度を考える上で、臨床試験という観点が不要だと言っているのではありません。しかし、臨床試験の要否、内容や期間は、前回猿田専門官からもお話があったように、医薬品機構との事前相談でケース・バイ・ケースで決ってくるものであって、特許法上の要件として一律に規定することにはなじまない性質と考えます。

ですから、一般論として侵食期間が生じる原因の一つに臨床試験があるという理解は必要だとしても、事実として臨床試験が必要だったから延長登録出願ができるとか、臨床試験が必要ない医薬品の範囲にしか効力が及ばないというように、特許法の解釈を行うために使われることには反対します。

最後に、少し本質的なことを申し述べます。薬事法はある製品を国内で医薬品として販売することを制限していますけれども、特許発明の実施そのものを制限する法律ではありません。しかし、薬事法のこの制限により特許権者が利益を享受する機会が失われているという事実を特許法から見て、特許期間が侵食されていると把握して回復手段を与えているのが、この特許期間延長制度です。したがって、薬事法と特許法とがその実施と制限の部分で直接リンクしているわけではありませんので、前回の会合で熊谷先生から「薬事法の処分を余り特許法に持ち込まないほうがよい」という御発言がありました。私も全く同感です。

以上で、具体的な制度案の説明にはなっていませんけれども、そろそろ時間を超えているので、この辺で終わりにしたいと思います。

長岡座長

どうもありがとうございました。

事務局からの提案と製薬協の知財委員会の案の御説明を頂きました。最初に御質問とかございましたら、いかがでしょうか。

熊谷委員、お願いします。

熊谷委員

つまらないことで申しわけありませんが、2ページで御説明なさったものの出典がおわりだったら教えていただけますか。例えば89年からは、どのようなデータで3700分の1とか、2万となっているのかがわかりませんし、「9から17年」も何を対象にして、どのように計算しているかが明確ではありません。疑っているわけではありませんが、それを教えていただければということ。

あと、製品と市場の特性で、日本のピークが欧米よりも明らかに低くて、達する期間は欧米よりも長いということですが、これも何を根拠にしているのでしょうか。定量的なデータか何かがあるのでしょうか、それとも定性的にこう言われているということなのか、お教えいただければ幸いです。

余り細かいところはテクニカルになると思うので、1点だけお聞きしたいことが、5ページです。私も特許庁の案2でいいと思っているわけではないんですが、「新規有効成分の開発促進のために物質特許の保護が削られる」の保護という言葉の意味は、「実施ができる、できない。」という意味での保護と、「他者に対する排他性を与えるか否か。」という意味が混在し、あいまいになってしまっていると思うんですが、物質特許の保護が削られることによって実害が本当にあるのかどうなのか。

つまり、特許権者であっても、また新たな製造承認を受けなければ、実施ができないわけですね。保護が削られるというのは、論理的にはこの範囲が狭くなることは確かなんですが、実害というものがあるのかどうなのか。

先ほどおっしゃっていただいた薬事法と特許法が一体ではないというのはお話したことなんですが、誤解がないようにお話しておきたいのは、私は効力の規定に余り他の法律のことを持ち出すべきではないのではないかと申し上げました。どの範囲のものを延長登録の対象にするかということになれば、他の法律の規定を持ち出さざるを得なくなります。どこまで持ち出すか、どういう形で持ち出すかというのはいろんな御意見があるかと思うんですが、効力規定のところに他の条文の規定を持ち出すことの是非があるのではないかということを申し上げたかったのが1点です。

また、前回御指摘があった平成17年10月11日の知財高裁のDDS特許の延長登録が否定された、特許庁の審決が維持された判決をもう一度読んでみました。判決でも、今御説明があったように、一度物質特許が延長されている場合にDDSに関する処分がおりたときに、再度その物質特許を延長するかということと、物質特許ではなくてDDS特許に対して延長するかどうかということは、知財高裁も分けて考えるべきではないかと指摘しています。

ただ、現行法のあいまいさがあって、現行法のもとでは範囲等を決めるには68条2の効力規定のところに、物と用途という言葉が出ているだけなので、現行法のもとでは効力規定から考えざるを得ないということを知財高裁は指摘しているわけですから、ほかの条文で処分の範囲とかで整理ができれば、何も効力規定を改正しなくともいいという選択肢も個人的にはあるのではないかと思います。

そういうことを含めてお話をしたので、薬事法の規定を持ち込むべきではないということでなくて、持ち込むときに留意はしたほうがいいと思うんですが、何らかの形で特許法の中でも整理していかなければいけないということは、どのように制度設計しても出てくることではないかと思います。

長岡座長

ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

高橋委員

まずお答えしてよろしいでしょうか。

長岡座長

そうですね。

高橋委員

出典を書かなかったのですけれども、2枚目の成功確率の上2つは一昨年の日経新聞で出てきた数字でした。ほぼ近いものは、名前は忘れましたけれども、製薬協の研究所があります。そちらで毎年追いかけていて、「製薬協ニューズレター」の中に、5年間の成功確率という数字が出てまいります。2003年から2007年というのは、「製薬協ニューズレター」の最新号に書いてあったものです。ですので、この3つの数字、確率の出典は、上2つが日経新聞、下が「製薬協ニューズレター」ということで、合ってはいませんけれども、ほぼ同様の数字が「製薬協ニューズレターの過去分を追いかけていったら出てくるものと思われます。

それから、同じように製薬協の研究所がまとめています論文の中に、市場の特性1)、2)が定量的なグラフでもって示されていました。その分析結果の文章をここで使いました。申しわけありませんが、出典をすぐここでは申し上げられません。

熊谷委員

これは公開されている資料ですか。

高橋委員

製薬協のホームページでごらんになっていただけます。

それから、5枚目の保護が縮小されるというところ、「保護が削られる」ですね。こちらは、排他的効力の範囲が削られる、つまり前回の案2でいえば、臨床試験が不要な範囲までの排他的効力が与えられるという整理を事務局でされましたけれども、そうすると、臨床試験の定義によっては及ばない範囲も出てくるだろうという御説明がありました。だからこそ、再度延長の可能性が出てくるという御紹介があったのですが、その排他的効力の部分が削られると、これでは困るということを申し上げたつもりです、この5枚目では。

どんな不都合があるかですけれども、新規有効成分を開発したオリジナルの企業が、本来の特許期間のうちにその効力が及ばないであろうと推測される範囲の製剤開発を、排他的効力を維持するためだけというと言い過ぎですけれども、そのために本来の特許期間の中で多数開発し承認を取るという、ばかげた本末転倒の開発が行われるおそれが出てきます。

現状は、物質特許が延長された期間の間に本当に必要な改良製剤、DDS製剤では十分開発する力を我々は持っていませんけれども、配合剤でもそうです、本当にニーズを確かめながら製剤設計をしていくのですが、それが前倒しさせられることによって、有効成分を新規に開発した企業にとって、従来以上の負担が発生する可能性が出てまいります。そのことを保護が縮小されるという簡単な一言で申し上げてしまいました。

それから、他の分野の用語を余り持ち込まないということを私のほうで拡大して、熊谷先生の御発言を引用してしまったような形になって申しわけありません。登録要件と効力範囲、2つに分けてみますと、効力範囲のほうで他分野の用語を使うことによる不都合というのがより一層大きく出るんだろうなということは、製薬協の検討の中でも確認されております。

以上です。

長岡座長

ありがとうございました。

佐藤委員、お願いします。

佐藤委員

製薬協案の4ページの表でございますが、これも非常に単純でわかりやすくていいのでしょうけれども、これは我々にとって何のいいこともない案です。延長された効力はほかの製剤に絶対に及ばないということでしょうか。要するにDDSだけに及ぶということですか。

それと、我々が前から申し上げてきたのは、再審査のついた厚生省で認められた高度な新医薬品に限ってほしいというのが我々の案なのです。理由に関しては、後ほどジェネリック製薬協会の意見の中で述べさせてもらいますけれども、製薬協さんの案を見て、ほかに及ばないのだろうかという懸念と、再審査のつかない、どんな承認でも処分でもいいのかということだけが気になったので一言申し上げておきます。これがだめなら、我々としては困ったなという状況でございます。

以上です。

長岡座長

処分の内容についてということでしょうか。

佐藤委員

そうですね。処分の内容とその効力ですね。DDS製剤を例外的に伸ばすというB案ですが、例外的に伸ばして、どんなことが書いてあってもDDS以外には絶対及ばないということなのですね。

長岡座長

高橋委員、いかがでしょうか。

高橋委員

ここのA、B、C案については御説明できなくているのですけれども、特許発明としてのDDS製剤以外の範囲には及ばないと申し上げていいと思います。先ほどの資料2の10枚目の図にあるような、2番目の(5)の製剤特許の延長は製薬協では考えておりませんので、あの図の中での第三者への予測できないような不利益は与えないと考えております。

田村審査基準室長

製薬協案のほうを少し間違って理解していたのかもしれませんので確認をさせていただきたいのですが、我々は、製剤特許全般を対象にしているように考えていたのです。今の高橋委員の御発言ですと、そこはDDSに係るような製剤特許だけが、ここで言う製剤特許ということで御説明をいただいていると考えればよろしいわけでしょうか。

高橋委員

それは違います。ここで挙げたのは、処分2がDDS製剤なので、処分2で承認された医薬品Bを特許範囲に含むDDS製剤の特許発明ですね、こちらが延長されると紹介しています。特許になっている別の製剤があって、それが処分2として承認され、それまで実施できなかった別の特許発明があるのであれば、それも延長の対象と考えたいと思います。ただし、資料2の10枚目のように、処分を受けた時点でまだ登録になっていないからという理由で延長を認めるような仕組みにはなっていません。

田村審査基準室長

少なくともB案のほうはそういう思想が入っているんですが、A案とかC案にはそういうのが入っていないというところと、先ほども申し上げましたが、B案の場合も実際に審査をしようと思いますと営業秘密がかかわってくるということで、拒絶理由を本当に差し上げることができるのかどうか、そういうところはフィージビリティとして少し問題があるのかなと考えておりました。

あと、DDS製剤というのは非常に限られた分野でして、例えばここにあるような安定化剤に特徴がある製剤特許も製薬協案では製剤特許として対象にするという御提案になるわけでしょうか。

高橋委員

最後の点ですけれども、特許発明として医薬品をカバーし、承認までに実施できなかった期間があれば、それは延長の対象と考えたいと思います。

ただ、本日、最後に資料6の2で御審議される予定かもしれませんけれども、承認された医薬品と特許発明との関係は一定の距離があってしかるべきだろうなとは考えています。その辺は製薬協のA案、C案では明確には出していませんけれども、歯止めといいますか、そういったものは法律ではなくて基準とかそういったところで必要になってくるのではないかなというのが、現在検討中の製薬協案の課題です。

それから、誤解を与えてしまった理由に、登録要件のところがA案、C案では明確になっていないのですけれども、A案、C案の最後の留意点のところで、登録要件の規定の改正には触れていません。現在の67条の3第1項1号ですか、発明の実施のために処分が必要だと認められるような発明だけが延長の対象になるということを現行制度と変わりなく考えていましたので、資料2の10枚目のような(5)の製剤の延長は当初から考えておりませんでした。

長岡座長

わかりました。

ほかに御質問とか、御意見でも結構ですけれども、いかがでしょうか。

相澤委員、お願いします。

相澤委員

特許庁の資料2のところで、新医薬品という概念を使われています。第三者への予測ということを考えますと、延長登録を見れば延長された特許の権利の範囲がわかるということが必要であると思います。新医薬品であれば延長を認められるとすると、延長当時の「新医薬品」の概念が、薬事法の改正等で変更された場合に、延長の可否が変更されるばかりでなく、権利の幅も変わってくる可能性があります。それで、機能するのかというのが質問の1点です。

もう一つ、製薬工業会さんへの質問があります。どういうふうな特許出願をして、どういうふうな特許を取るかというのは各社のパテントポリシーの問題であって、十分に有効なパテントポリシーを使うことによって、御指摘されたような懸念が払拭できるのではないかと考えらますが、その点はどうお考えでしょうかということ。

製薬工業会さんのC案は現行法を改正しないという前提になっております。前にも申し上げましたように、私は現在の知財高等裁判所の裁判例には反対でありますが、現にこの裁判例の存在を前提に議論しているときに、この裁判例と違う運用を運用の提案することは、議論としていかがなものかと思いますが。

長岡座長

最初の点について、特許庁はいかがでしょうか。

田村審査基準室長

新医薬品の定義につきましては、厚労省とも御相談させていただきまして、基本的には、大枠は変わらないようなものではないかという感触はいただいているという状況でございます。今後、その辺についてはもう少し検討を詰めさせていただきたいと考えております。

長岡座長

高橋委員、いかがでしょうか。

高橋委員

製薬協案に対する御質問ですけれども、まずパテントポリシーで対応できないかということですが、現在の製薬協各社は、物質、新規有効成分を見出すことに研究所の人員も施設も皆、投資を配分している企業があるとします。この制度によって製剤開発にもっとシフトしなければいけないということになりますと、長期の事業計画や人員計画にも影響が出てきますので、かなり長い期間での経過措置といいますか、そういったことを考えていただかないと、非常にちぐはぐな部分が出てくるかなと考えております。

もう一つ、C案についてですけれども、先生が御指摘のとおり、法律が変わらないのに運用が変わったということで裁判所が判断を変えるとは考えにくいので、C案も延長特許の効力の規定の改正は必要と考えます。ですから、法律改正はA、B、C案いずれの場合も、いずれかの部分で必要になると考えております。

以上でお答えになっていますでしょうか。

長岡座長

ありがとうございました。

中冨委員、お願いします。

中冨委員

先ほどから話に出ている、薬事行政法上の用語とこの関係は、私自身は必要と思うので、それを採用して、さらに詳細に、例えば新医薬品で再審査期間を必要とするもの、並びに先ほど除外の話(剤型追加の意味)がありましたけれども、そういう除外規定を設けることで定義すればいいのではないでしょうか。

1つ高橋委員にお聞きしたいんですが、用語で臨床試験ということを省いたほうがいいとおっしゃいました。これも行政用語といいますか、審査上臨床試験の用語は必要なことだと思いますが、これを使うと行政内容にケース・バイ・ケースなので、不適切じゃないかという話がありましたけれども、実際それを使わないとすると、代わりの用語にどういうものがありますか。

長岡座長

いかがでしょうか。

高橋委員

臨床試験を使わないというのは、法律解釈の場面で臨床試験がその解釈に使われてはおかしな話になると申し上げています。一般論として、制度は臨床試験が必要だからこそ長期間かかり、その後の行政審査の部分も含めて実施できない期間が発生してきます。ですから、臨床試験が不要というのではなくて、それでもって侵害、非侵害が判断されるような使われ方はよろしくないのではないかと申し上げました。先ほど誤解がないようにと申し上げたのは、まさにそこの部分です。

現状も、延長の審査に臨床試験の有無は恐らく必要だとされていないはずです。実施できなかった期間があることが、延長登録の要件になっています。ですから、現状と同じ審査を求めたいと思っています。

長岡座長

中村委員、お願いします。

中村委員

今までの話をお伺いしていると、資料2の10ページの5番の解釈が異なっているのではないのかと思います。ここにいる皆さんで違う解釈のまま議論してもなかなか難しい部分があると思います。時間も限られていますので、解釈について関係する団体で詰めていただいて、同じ解釈の下で、議論をするのが一番いいのではないのかと思います。

長岡座長

ありがとうございます。

それは私から申し上げることかもしれません。今日は2つの案を提起していただいて、製薬協の案のほうも必ずしも明確でないところもあるように思いますし、特許庁の案も新医薬品の定義の問題といいますか、それが安定した法概念、安定したクライテリアとして使えるかどうかということもあります。それから、製薬協の案ですと、臨床試験との関係ありますけれども、規制によって失われた期間損失を回復するということときちんと合っているかどうか、そういった点についても少し検討が必要のように思います。

したがって、そういった点も踏まえて、今日はかなり基本的な考え方は出していただきましたので、これから第三者とのバランスということもありますので、そこも含めて議論した上で、今後、案を詰めていきたいと思います。したがって、次回にもう一度きちんと整理した上で、引き続き議論をさせていただきたいと思います。そういうことでよろしいでしょうか。

延長制度に関するその他の論点について

長岡座長

延長制度に関する次の論点に移らせていただきたいと思います。

最後の議題ですが、推進計画2008には延長する特許権の数及び回数などを含めた制度全般のあり方について総合的な検討を行うということになっております。本件につきましては、日本ジェネリック製薬協会の佐藤委員と日本製薬工業会の高橋委員より御説明をしたいという申し出がございましたので、お願いしたいと思います。その後、事務局の資料の御説明をお願いしたいと思います。

最初に佐藤委員からよろしくお願いいたします。

佐藤委員

資料4の特許期間延長制度に対する日本ジェネリック製薬協会の取り組みということで、我々が過去にどういうことをやってきたかということを簡単に御説明申し上げます。

2002年には、お国がジェネリック医薬品の使用促進策、これは医療費の抑制策から出たものですが、そういう促進策を受けまして、当協会は特許庁とか知的財産戦略本部に対して、特許延長制度について、いろんな問題がありますので、改善をお願いしますという要望をしてまいりました。

第1に、2004年ぐらいから始まった要望ですけれども、これは特許庁の小川洋長官あてに出したものでございますが、当時、安価で良質なジェネリック医薬品の普及は医療費の国民負担の軽減に資するということを御説明申し上げて、我が国の特許権の存続期間の延長制度は欧米の制度と比較して特許権者が過大に保護されており、ジェネリック医薬品の市場拡大の隘路となっているということを指摘いたしました。そして、欧米並みに特許期間の延長は最初の処分(承認)のときに、1つの特許で、かつ唯一の機会だけとすると、要するに最初の処分の1回だけにしてほしい、しかも1件だけにしてほしいということを要望したわけでございます。

このときにつけた表ですが、当時、先発医薬品が2兆3500億円ありまして、これはすべて特許が切れていて後発品が販売されているのですが、それらがすべて後発品に置きかわると、1兆円近くの薬剤費の削減になりますよという表を我々の業界でつくったものでございます。

これに関して参考資料の表1ということでつけておりますが、お国の財政制度等審議会の資料によれば、後発品により1.3兆円の薬剤費削減とされています。我々は1兆円ほどでしたけれども、これは調査方法と年度が少し違うということで、それぐらいの乖離はございますけれども、そういう効果はあるということを財政制度等審議会の資料でも出されております。

2番目は、1番目の要望と同じですけれども、2007年の知的財産戦略本部あての要望書でございます。知的財産推進計画2007を踏まえて、分野別の知的財産戦略策定のために意見募集があったのですが、そのときに我々は意見を述べさせていただいた要望書の骨子です。

当時、甘利経済産業相がこういうことをおっしゃっておられるということをとりあえず紹介しました。「知的財産権について、イノベーションを奨励するため保護する一方で、後発医薬品(ジェネリック医薬品)などの形で消費者に低価格で製品を提供することも重要であり、双方の間には「適切なバランスが必要だ」」と、大臣が、イノベーションも大事であるけれども、後発品のことも考えたらどうですかという意見をお述べになっておられるということを紹介いたしました。

その後の説明ですが、これは骨太の方針2007に盛り込まれた案でございますけれど、後発医薬品のシェアを2012年度までに30%以上に引き上げるという内閣で決められた方針です。こういう方針があるからこそ、我々は知的財産でもバランスが必要だし、特許期間を1製品につき最初の製造販売承認に限り1件の特許を対象として延長することとし、後発医薬品の市場参入の機会をふやしていただきたいという要望書を知的財産戦略本部に提出させていただいたという次第でございます。

それから、参考資料の2としてジェネリック医薬品のシェアを示しています。これは骨太の方針で30%に引き上げるということをわかりやすくするために、過去のジェネリック医薬品のシェアを示したもので、16、17、18%というのが過去の推移でございます。これを2012年度には約倍の30%ぐらいにするというのが、政府の目標でございます。こういうぐあいに後発医薬品に関してはかなり期待があるということで、我々もその期待にこたえていかなければということを痛切に考えております。

それから、3番目の表です。これは特許権の延長制度について日米欧の制度の比較という形で、過去に公表されている資料に新たに少しつけ加えた表でございます。

ここで延長期日の計算ですが、日本の場合は、治験開始日と特許登録日のいずれか遅いほうとなっておりますけれども、とりあえずは治験開始日から承認日までのすべてが回復されます。

米国に関しまして、真ん中に示してございますけれども、治験から申請までの日数を自動的に2分の1にして、それから承認期間の日数を足します。だから、日本の場合に比べれば0.5a+bとなります。しかも、非精励日、要するに怠けた日にちはさらに引きますよというのがアメリカの制度です。

どうしてこんな怠けた日にちを引くというような、詳しいことが書いてあるかといいますと、アメリカの場合、この制度はFDA、つまり厚生省みたいなところが、「これだけ日にちがかかりました」という計算をするから、こういう怠けた日数は引きますよということが言えるのだと思います。このようにFDAがかかわっています。日本では特許庁と当事者の間で日数は決まります。

欧州の場合は、特異ですけれども、特許出願から医薬品の承認日までの期間をaとしますと、それから自動的に5年を引き、a-5と計算します。特許出願日から医薬品の承認日までに8年かかったということになれば、それから自動的に5年を引くという方法がヨーロッパの計算方法です。これは日本の三極比較の表中では紹介の少ない部分だろうと思って、あえてこれらつけ加えて紹介させていただきました。

それから、特許期間の延長期間は各国とも5年以下ですが、アメリカとヨーロッパに関しては一定のキャップをかぶせてあって、これ以上は認めませんよということになっております。

延長できる特許ですけれども、日本の場合は承認された製品に関するすべての特許、物質であろうが、製法であろうが、用途であろうが、1つの承認に基づき複数の特許が延長できます。幾らあってもすべて延長できます。米国の場合は、製品に関する物質、製法特許などのうち申請人の選んだ1つの特許、要するに一個だけですよということです。ヨーロッパの場合は、基本特許となっておりますけれども、基本特許がいろいろある場合は1つだけ選びなさいとされ、結局、一個だけです。

同一特許の延長できる回数ですけれど、日本の場合、有効成分または用途について、最初の承認であれば何回でもできます。一部制限はございますけれども、同一効能以外の場合は何回でも延長できます。ヨーロッパ、アメリカでは1回のみということになっております。要するに、何回承認されようが最初の1回だけでという制度になっています。

それから、延長された特許権の効力ですが、日本では御存じのように、承認された物及び用途ということにされています。ヨーロッパでは特許全体という考えかたで、医薬品としての使用に特許権が及ぶということが書かれております。

以上、日本の場合、外国の例から見れば、十分過ぎるほど保護されているのではなかろうかと考えております。なぜヨーロッパとかアメリカが先発品に厳しいのであろうかといいますと、恐らく先発とジェネリックの利益の調整を図った結果であろうと、いわゆるバランスだと私は信じております。

以上で、簡単に説明申し上げましたが、先ほどの製薬協さんの意見もございましたけれども、製薬協さんの都合だけであり、我々のことは何も考えていただいていないのですが、せめて我々のことも考えていただきたいと思います。

それで、4番目につけた表でございますが、これは日本独自の特許延長制度というタイトルをつけさせていただきました。1番のエノキサシン、これは抗菌剤でございますけれども、1)で示した効能・効果が第一用途とされていました。この用途の満了が98年9月25日ということでありましたが、これに外耳炎という効能が追加されまして、2年10月特許延長がされまして、この結果、2001年7月までの2年10カ月間、後発品の市場参入がおくれたという事例として書いてあります。これはごく一握りの事例でございまして、たまたまこれを抜き出しただけでございます。

2番目の塩酸ベニジピンに関しては、最初の承認、1)で書いた第一用途での高血圧症、狭心症に対して、第二用途の腎実質性高血圧症が物質特許1件と、用途特許2件の計3件の特許で、各々1回ずつ延長された事例でございます。これも特許が満了するまで後発品は参入することはできませんでした。

あとは似たようなものでございますが、最後の特許が満了するまで後発品はなかなか参入できません。一番下のレボフロキサシンでも第一用途に1件の特許が1回延長されて、第二用途以降、2)3)4)5)の用途がございますけれども、これらには2件の特許が、物質特許と用途特許ですが、これらが4回追加されたことになっています。

1番上のエノキサシンで申し上げましたが、外耳炎の特許期間が満了するまで後発品は市場に出すことができません。たった一つの効能が追加されたために、我々としては、1)の満了した効能ですら発売できないような状況です。今回申し上げました第二用途以降の用途はすべて再審査のつかない単純な効能追加です。それでも、我々は何年も市場参入を待たされるという状況に陥っております。

それで、延長制度を考えるときに、新薬でもいいし、再審査でもいいし、特許庁と当事者以外の方たちが認めたような基準があっていいのではないかと思います。要するに、今の延長期間の決定は、当事者と特許庁のやり取りで決めております。それで文句があれば裁判をする。裁判することは自由が、我々第三者にわかりにくいので、そこに何かわかりやすいものを取り入れていただいたらと存じます。製薬協さんの案でも、特許庁さんの案でも、どちらでもいいのですが、わかりやすい基準を入れていただければ非常にありがたいということでございます。

以上です。

長岡座長

ありがとうございます。

時間も制約がありますので、お三方に全部説明していただいてから議論をしたいと思います。

高橋委員、お願いします。

高橋委員

資料5をごらんになってください。これは、2月2日に南特許技監あてに、製薬協知財委員会の委員長から提出させていただいた書面です。特許期間延長制度の三極調和という考え方に対する、正式な知財委員会の意見をまとめています。

この書面は、長くなりますので、重要なところだけ拾って読み上げたいと思います。構成は、1番が総論、2番が各論、最後の9ページに結論が書かれています。それぞれの章ごとに、最も言いたいところは最初の段落にまとめてあります。

総論を読み上げます。「日本製薬工業協会知的財産委員会(以下、当委員会という)は、合理的理由もなく「三極調和」を唱え特許期間延長制度を欧米に揃えることに反対し、わが国の後発型企業も含めた医薬品産業の発展のため、ひいては国民の健康福祉の向上に貢献するために、現在の制度を維持・改善していくことを要望する」。先ほど佐藤さんから製薬協のことしか考えていないと御指摘されましたけれども、製薬協は製薬協で、ジェネリック製薬協のことも考えているつもりではおるんですが、まだ考え方が足らないんだろうということなのかもしれません。

その下に、「日本の特許制度は、単なる排他権のみを付与する欧米の制度とは異なり、特許発明の実施を積極的に促すことにより直接的に産業の発達に貢献することを目的とした、欧米とは異なる固有の制度である」と、特許法をこのように理解しております。「そして、その中で設けられた特許期間延長制度も、特許発明を実施する権利が侵食された現実の期間を回復するという考え方に基づいた、発明の実施を保証するわが国にこそ相応しい制度である」と位置づけております。

2ページの一番下のパラグラフに飛んでいただきまして、「日本の現在の特許期間延長制度は、医薬品の承認が特許期間満了後になってしまった場合にはもはや延長登録出願ができない点、医薬品の有効成分または効能・効果についての最初の承認時にしか延長登録ができない点」、これは現在、このワーキングで検討を続けられている点です。ほかにもありますが、「未だ不十分な点はあることは否定できない。しかし、日本の制度は医薬品が承認を受ける度に複数回、複数の特許を延長することに特徴がある制度であり、その結果、新規有効成分の開発だけでなく、開発困難な追加効能の取得や関連技術の開発に、強いインセンティブを与えるなどの優れた側面を持っている。このような優れた側面は欧米の制度にはないものであり」という特徴を指摘しています。

3ページの2の上の3行ですね、「現在の医薬品が承認を受ける度に複数回、複数の特許を延長できる優れた特徴を堅持したまま、前記の不十分な点を見直し改善していくことを、当委員会は特許庁に強く要望する」というのが総論です。

2番目、各論は(1)が三極制度の相違、5ページですが、(2)複数回延長について、6ページに(3)として複数特許の延長について、それぞれそのメリットや合理的な理由を掲げております。

3ページに戻り、2の各論、(1)三極制度の相違です。くしくも、先ほど佐藤さんが三極の期間の計算の仕方について相違点を御指摘されていました。「当委員会は、日本の特許期間延長制度が、業界内の妥協や単なるインセンティブとして例外的に設けられた欧米の制度とは根本的に異なり、特許発明を実施する権利が侵食された期間を回復させ、十分な特許期間を保証するための、適切かつ合理的な制度であると考える」と。この下には米国が先発型企業と後発型企業の妥協の産物であるということ、先ほど佐藤さんも指摘されていましたけれども、そういったことを書いています。

それから、4ページ目、中段あたりから「欧州の延長制度は、侵食された特許期間を回復することを目的とする制度ではない」と考えているところを示しています。なぜならば、「延長期間の計算に登録日を考慮していない」からです。「特許が何時登録されようと延長期間には無関係である」というのがヨーロッパの制度の特徴です。しかも、4ページの下から7行ですか、「特許法の外に追加で作られた保護制度であって」、特許制度のものではないということも指摘されています。

そのように、4ページの下2行ですが、「三極のなかで最も遅れて成立した欧州が米国とも日本とも全く異なる制度を採用したことは、三極で同様の特許期間延長制度を持つことが困難、または合理的でないことを意味する」のではないかと指摘しています。

続けて、ちょうど真ん中あたりですけれども、「日本の制度は、単純に褒美やインセンティブを与えるために特許期間を延長する例外的取扱いではなく、出願から20年という制限の中で、登録によって本来与えられるべき権利の専有期間を原則どおり十分に保証する期間回復のための制度であるところに、欧米との決定的な相違点がある」と述べています。

次に、複数回延長についてです。「当委員会は、一つの特許が複数回延長される現在の特許期間延長制度が、追加効能の取得のために実施できなかった実際の期間に応じて延長期間が決まるため、むしろ最初の承認で一律に延長期間が決ってしまう欧米の制度に比べて適切かつ合理的であると考える」という考え方を示しています。

6ページを見ていただきますが、下から8行です。「追加効能毎に複数回の延長を認めるわが国の特許期間延長制度は、先発型企業が開発が困難な効能取得に挑戦するための大きなインセンティブとなっており、未だ有効な医薬品のない疾患に苦しむ患者の期待に応えるための力を、先発型企業に与えていることは疑いようがない」と考えています。

3番目の複数特許の延長についてですが、こちらは7ページ目に移り、「当委員会は、複数特許が延長される現在の特許期間延長制度が、発明の実施を保証する日本の特許制度の本質に基づく基本的なものであり、かつ新規分野の医薬品創製に欠かせない関連技術の開発も促す重要なものと考える」としております。

この7ページ下のほうでは、工業所有権審議会の答申を引用しておりまして、続く8ページの上から2行、「このように、工業所有権審議会の答申は、承認を取得するために実施する権利が侵食された特許期間を、侵食された範囲および期間に応じて回復するという簡潔明瞭なものであるため、実施できなかった特許が複数あればその複数の特許が延長されるのは、むしろ当たり前である」と考えます。

さらに、8ページの下から10行目あたりですが、将来の話をしています。「将来が期待される遺伝子・核酸医薬等の分野においては、低分子化合物に比べてその有効成分の複雑さから製剤等の関連技術の開発難度が格段に高いために、医薬品を創製できずに終わってしまうこともあり得る。医薬品が承認を受けるために必要なこれら複数の関連技術が特許発明として登録されている場合、有効成分の発明と同様に特許期間が回復されることに何ら不都合は見出せない。むしろ、これらの特許が延長登録の対象から外されることで医薬品創製のための関連技術開発へのインセンティブが不十分となり、医薬品の開発自体を断念するに至る不利益のほうが大きく、これは新規に開発される医薬品の数の減少、後発型企業の市場参入機会の減少にも繋がりかねない」と解釈しています。

最後の結論として、「以上のとおり、日本の特許期間延長制度は、欧米とは異なる法体系の特許制度と、これに相応しい立法趣旨に立脚した固有のものであり、わが国の後発型企業も含めた医薬品産業全体のこれからの発達、ひいては国民の健康福祉の向上に必須のものである。したがって、当委員会は、外国と日本の制度に相違する点が多いとしても、これを指摘する声に惑わされることなく日本に相応しい特許期間延長制度の更なる追求を、特許庁に強く要望する」という内容になっております。

以上です。

長岡座長

ありがとうございました。

ちょっと時間が押してしまいますが、事務局のほうでお願いします。

田村審査基準室長

資料6に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。

まず、現行制度の運用についてということで、1.の(1)に書かれてございますが、先ほど佐藤委員から御指摘ございましたように、欧米では1つの処分に対して特許権は1個、そして1つの特許権は1回に限り延長されるということでございますが、我が国の場合は1つの処分に対して関連する特許権はすべて延長の対象になります。それと、1つの特許権については処分ごと、すなわち用途ごとに数回延長ができるという制度でございます。

この考え方といたしましては、(2)に特許権者と第三者の利益を考えたものだということで、まず特許権の数についてでございます。延長された特許権の効力の及ぶ範囲は処分ごとに物(有効成分)と用途の観点から規定される範囲、「特定の範囲」に限られているということで、これにより、一の処分に対応する複数の特許権が存在していても、これらの延長された特許権の効力の及ぶ範囲は「特定の範囲」に限られている。そういう意味で、1つの処分に対応する複数の特許権をすべて延長しても第三者への影響は制限されていて、両者の利益の調和を配慮したものではないかと思われます。

2)といたしまして、一の特許権の延長できる回数についてございます。現行制度では、特許権の効力の及ぶ範囲を物(有効成分)と用途の観点から規定される「特定の範囲」に限られているということから、これによって一の特許権の複数の処分に基づいて延長しても「特定の範囲」については延長される機会は1回のみということで、その後は当該特許権の満了時期、第三者の参入可能時期が明確になるという意味で、1つの特許権を複数回延長したとしても、第三者参入可能時期を明確にしており、特許権者と第三者の利益の調和を配慮した制度というふうに考えてございます。

(3)でございます。延長制度を変更する場合の留意点といたしまして、現行制度のように延長された特許権の効力の及ぶ範囲が処分ごとに規定されていて、異なる処分に基づいて延長された特許権の効力の及ぶ範囲が重複しないような制度、すなわち延長される機会が1回のみということであれば、現行制度と同様に特許権者と第三者の利益の調和を配慮した制度と言えるかと思われます。

今回の資料2の案は、現行制度の上記2点を維持したものであるから現行制度と同様に、上記調和を配慮した制度かと思われます。しかしながら、上記2点の調和を失ったような制度になる場合には、特許権者と第三者の利益のバランスが現行よりも特許権者側に傾倒する可能性もございますから、延長される特許権の数・回数についても見直す必要があると考えられます。

もう一点、3ページの2.にございますが、安全性の確保等を目的とする処分と、延長対象となる特許権との関連性ということでございます。現行制度では、特に医薬品分野では有効成分と効能・効果の2つの観点に技術的特徴のある特許権が処分に対応しているというように判断することができたわけでございます。上記観点は薬事法において特に重要視される観点ということになろうかと思います。

ただ、今回、DDSを入れることによって製剤を対象とすると、上記有効成分、効能・効果に限らず、医薬品を構成するすべての要素、例えば添加剤等まで観点とすることになって、この観点に技術的特徴のある特許権は多岐にわたるということになります。これについては別紙にて後で御説明させていただきます。

一方で、安全性等の審査において重要視される項目と特許発明の技術的特徴とは必ずしも一致しないという留意点がございます。そこで、処分において重視されているとは言えないような技術的特徴のある特許権まで当該処分によって延長する必要があるのかどうかというところを御検討いただかないといけないかと思います。

なお、本ワーキング・グループの延長対象分野として検討されている遺伝子組換え生物についても、関連する遺伝子というのが、例えば青いバラですと10個ぐらい遺伝子が絡んでいるということで、この辺についても御検討が必要かと思われます。

別紙のほうでございます。別紙の1.に薬事法上の処分がございます。有効成分、効能・効果というところがございます。有効成分としての例はアスピリン、オキシグルタチオンがございます。効能・効果については解熱鎮痛剤、眼科手術時の洗浄というのがございます。従来は、ここに注目していたわけでございますが、今後は添加物、例えば高分子化合物であれば、ここにあります乳酸重合体ですとか、添加剤2の低分子化合物ですとグルタミン酸、塩化マグネシウムというものにも注目していかないといけない。

想定される特許発明といたしましては、ケース1でございますが、化合物D群から選択される化合物を含むポリマーC群の苦味防止剤という特許発明が対象になるかどうかというところを考えていかないといけないかと思われます。化合物D群については下の詳細な説明に書いてございますが、グルタミン酸が化合物D群に包含されること、さらに乳酸重合体がポリマーCに包含されることが書いてございます。このポリマーCの苦味を防止するために化合物D群のグルタミン酸を加えているということで、医薬品にも、化粧品にも、食品にも使えるというところの記載がございます。薬事法との関係では、ポリマーC群に含まれる乳酸重合体を用いて徐放性とした有効成分a(アスピリン)からなる解熱鎮痛剤において、乳酸重合体の苦味をなくために化合物D群に含まれるグルタミン酸を用いているという、そういう薬事法の処分との関係があるような特許権ということになります。

ケース2のほうでは、薬事法の処分、一番下を見ていただきますと、目の洗浄剤としてオキシグルタチオンを使ってございますが、それの安定化するために塩化マグネシウムを添加しているということです。それを上位概念化したような特許権である、安定化剤である塩化マグネシウムを含むような化合物D群から選択される化合物を含む塩基性化合物の安定化剤と、そういうふうな特許権が処分と対応するのかどうかというところも検討していかないといけないかと思われます。

以上でございます。

長岡座長

ありがとうございました。

私の不手際で時間が過ぎてしまったんですけれども、今の御説明について御質問とかコメントございますか。

本山委員。

本山委員

資料6のほうで、今回、変更を行うということで円滑な運用に支障があるおそれがあるということで検討するということなんですが、今回、薬の分野の中で議論されているので、ややともすると、薬の分野だけどんどん改良発明とかそういうところが延長されていくというところで若干懸念されるところもあります。他の業界、技術分野との関係も考慮していただきたいということと、そこを考慮するに当たり、何を延長の対象にするか、どういう特許を延長するかについて前提条件ですね、最初の資料にありましたけれども、それをしっかりしておかないと議論が発散するのかなという気がしますので、よろしくお願いいたします。

長岡座長

ありがとうございます。

相澤委員、お願いします。

相澤委員

もし、処分があった場合に延長する対象を限定したいのであれば、対象を限定するということも考えられるかもしれない。現在の枠組みを変えて、延長の対象を飛躍的に拡大する場合に、どれかを特定しないと、関連するものが広がり過ぎるということについては、御指摘の懸念も理解できます。ただ、現在提案されている制度であれば、さらに、限定する必要があるのかはっきりしないと思います。

長岡座長

今の点ですけれども、先ほど佐藤委員から、事実上、すべての特許が切れないと参入できないという問題を御指摘されたんですけれども、これについてはどうなんでしょうか。特許制度と厚生労働省の規制のあり方が絡むところがあるんですけれども、本来の趣旨としては、新たな用途のみが特許で保護されているはずですけれども、事実上、そうでないというケースもあるという御指摘だったと思うんですけれども、そのあたりはいかがですか。

相澤委員

薬事法における処分は、処分の対象とされている医薬品が実施できるようになったと考えているので、その処分ごとに延長されるということについては、その処分の対象が実施できなかったということは明らかなので、延長を認めることは差し支えないと思います。

ただ、延長の対象を拡大すると、その処分と関連する特許権をどこまで認めるかとについて、室長から御指摘がありましたように、不明確さがでてきます。例えば、医療機器を対象にしますと、医療機器に使われる車輪の特許権はどうするのかというように、関連を限定する必要がある場合も出てくるのではないかと思います。そういう場合に、特許権者が延長する特許権を特定をしなさいということも考えられるのではないかと思います。

長岡座長

わかりました。

熊谷委員、お願いします。

熊谷委員

もう時間がないので一言だけですが、今回、特許庁の御提案された案と製薬協から御提案の案があるわけですが、その2つの案の是非を考える際に、資料6で御説明いただいたようなことも含めて、今後、具体的に御検討いただければと思います。

また、繰り返しになりますが、あくまで現行法においては効力規定のところにのみ物と用途という言葉が出てくるので、それを盾にと言ったらおかしいんですが、それを根拠に知財高裁は、現行においては画期的なDDS製剤の延長登録を認めないという判断をしているわけで、個人的には、相澤先生がおっしゃったように、私も承服しがたいところはあるんですが、出されている以上は、それを前提に考えれば、他の規定のところで延長の対象なりで工夫することによって画期的なDDS製剤を延長対象とし、かつそれによるいろいろな弊害を最小限に食いとめて除去するというオプションもあるかと思いますので、選択肢として御検討いただければということを申し上げておきたいと思います。

長岡座長

中村委員、お願いします。

中村委員

今まで話をお伺いすると、かなり個別の話から全体にかかわるような議論まであって、ただでさえ複雑なものがより複雑になっているという感じが否めません。

このワーキング・グループは、お伺いしたところ、今年度までということでしたが、3月だけではなかなか議論が収束しない感じがします。次回は今後どういうふうに議論を今後進めていくのかを、ここにいるメンバーだけでも確認しないと、結局は何も残らず、意見を言い合っただけで終わってしまうことが一番懸念されることかと思います。

長岡座長

ありがとうございます。

中冨委員、お願いします。

中冨委員

何のために延長制度を認める必要があるかという質問があるように、こういう議論になると、時間がかかるのは仕方がないと思います。但し、納得するような形で閉めなければいけないわけで、議論を無効にしてゴー・バックする事態は避けなければならないと思います。

最後に田村審査基準室長から御説明いただいたところですが、薬事法上、これは剤型追加に値するんでしょうか、それとも新薬に値するんですか。最後のところの想定される発明特許のケースからは、苦味剤を変えるぐらいでは剤型追加になって臨床試験を必要としないのではないかと思うんですが、そのあたりはどうなんですか。

田村審査基準室長

これはケース・バイ・ケースによるかと思われます。例えばケース1ですと、徐放性にしたというところにもし特徴があれば「新医薬品」ということになりますし、もしそこに特徴がないということであれば、おっしゃるように「剤型追加」ということになるかと思います。それが薬事法とはリンクしていないというところが問題点ではあろうかと思われます。

中冨委員

確かに苦味剤とか安定剤というのは一つの製剤手法ではありますが、私から考えると、それほどのイノベーションではないのかなという感じでいます。そういう製剤も認めてもらいたいという気持ちは根底にあるんですが、何がイノベーションなのか、私は、人の体の中に薬物が入った場合、吸収された血液の薬物濃度が、動態や分布が変わってしまうということで、全く違う物質(技術)としてとらわれるべきであり、このことが私が申しているDDSなんです。

ですから、それが違わなければ臨床試験は必要ないわけです。それはジェネリックの場合も同一でして、臨床試験は必要がありません。そこが1つのキーになっているんです。これが基準の中で1つのキーファクターになるのではないでしょうか。

先ほどから難しいとおっしゃっているのは、オーバーラップしているところがいっぱいありますので、わかりづらくしているのは事実だと思うんですね。前回のお話もお聞きして、せっかくいらっしゃっているので、猿田さんにその辺を御説明いただいたら良かったかなと思いますが、その辺が実感として委員の中にもわからないところがあるのではないかなと感じておりますので、次回は、その辺ははっきりして、用語あるいは考え方を明確にして議論をしていただきたいなと思います。

長岡座長

ありがとうございました。

非常にたくさん活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。論点と問題点はかなり明らかになったと思いますので、きょう御議論いただきました点を次回までに事務局に整理していただきまして、イノベーション促進のためにどういう制度にあるべきかという原点に立ち返りまして、先ほどの延長制度の対象となる処分とあわせて、この問題も次回に議論をさせていただきたいと思います。

その他

長岡座長

スケジュールについて、よろしくお願いします。

田村審査基準室長

本日は時間延長をして御議論いただきまして、どうもありがとうございました。

次回は3月24日火曜日、15時から開催を予定しておりますので、よろしく御参加のほうをお願いいたします。

次回はカルタヘナ法に基づく植物についての第一種使用等の承認を延長制度の対象とするかどうか、さらには医療機器についてもう少し議論を深めるというところ、そして、今回御審議いただいた延長制度の対象となる処分について、及び処分と特許権の関係について引き続き御審議をいただく予定でございます。

以上でございます。

長岡座長

ありがとうございました。

閉会

長岡座長

以上をもちまして、第3回特許権の存続期間の延長制度検討ワーキング・グループを閉会いたします。本日はありがとうございました。

[更新日 2009年3月6日]

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