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第2回紛争処理小委員会 議事録

特許庁総務部総務課
工業所有権制度改正審議室

  1. 日時:平成14年6月27日(木曜日) 15時00分~17時00分
  2. 場所:特許庁庁舎 特別会議室
  3. 出席者:大渕小委員長、中山委員、蘆立委員、秋元委員、伊藤委員、斎藤委員、作田委員、佐藤委員、竹田委員、中西委員、牧野委員、松尾委員、丸島委員、山下委員
  4. 議題:特許の有効性に関する審判制度等の在り方について
議事録

大渕小委員長

作田委員は遅れて来られるというご連絡があったようです。まだお集まりでない委員の方もおられますが、定刻となりましたので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会の第2回紛争処理小委員会を開催いたします。
本日は、皆様ご多忙の中、お集まりいただきしまして誠にありがとうございます。
まず、前回の冒頭にご紹介できなかった委員の方々のご紹介をお願いいたします。

広実審議室長

前回、御欠席された委員の方々のご紹介をします。
東北大学大学院法学研究科助教授の蘆立委員でございます。
それから、東京高等裁判所総括判事の山下委員でいらっしゃいます。

大渕小委員長

それでは早速、議事の方に入らせていただきます。
まず、本日の議題であります「特許の有効性に関する審判制度等の在り方」という論点につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。

広実審議室長

それでは、配付資料本文の「特許の有効性に関する審判制度等の在り方」と、その「参考資料集」に基づいてご説明いたします。
なお、竹田委員からも参考資料をいただいておりますので、それも配付しております。
それでは、本文についてご説明したいと思います。

【事務局より資料1、資料2について説明】

大渕小委員長

詳細、かつ、わかりやすい説明をどうもありがとうございました。
それでは、ただいま事務局からご説明のありました特許の有効性に関する審判制度等のあり方という点につきまして、これから質問、意見を含めまして自由にご討議いただければと思いますが、何分、論点が盛りだくさんですので、ご議論をスムーズにするために、まず、「資料1」の1.「特許の有効性に関する審判等を取り巻く状況と要請」から4.「行政機関による審理の意義」というイントロ的部分につきまして、ご質問、ご意見等をお願いいたします。――
今の点につき特にございませんでしたら、今のを踏まえた上で、ある意味では本日の議論の総論的部分になるかと思いますが、6ページの5.「特許の有効性に関する審判制度等の改革の基本的考え方」の部分につきましてご質問、ご意見等をお願いいたします。

竹田委員

きょう、配付していただいた文書について5分ほど説明させていただいてよろしいでしょうか。

大渕小委員長

どうぞ。

竹田委員

私が本日、この委員会に文書を提出して皆さんに配付していただいた趣旨は、その1ページの「はじめに」というところに書いてあるとおりですが、ご承知の知的財産戦略会議等、はたまた総合科学技術会議の知財専門調査会、経済産業省の産業競争力と知的財産を考える研究会等で、紛争の1回的解決を目指す方策も含めて、紛争の合理的解決を図るための裁判手続のあり方も含めた幅広い検討を行う、という報告がなされ、また、産業界を初めとして各方面から、紛争の1回的解決を目指すための方策を検討する必要性ということがいろいろ言われているわけですが、私から見てみますと残念なことに具体的な制度設計というものが示されていない。
この審議会で次の法律改正を考えるにしても、これらの戦略会議等で示されていることから見れば、将来の制度設計を全く考えないで法律改正は行えないと私は思います。そういう趣旨で、紛争の1回的解決に向けて特許庁と裁判所の権限配分について見直す制度設計をしてみればどういうものになるだろうか、ということについて私の意見を述べさせていただいたものです。
骨組みだけ言いますと、無効審判手続と、付与後異議制度を1本化して、特許取消審判手続を設ける。ただし、あくまでも特許庁の特許の有効性の見直しという視点から、請求期間も制限し、審理期間も制限する。
それに対する審決につきましても、取消審決についてはそれの東京高裁の訴訟提起を認めるけれども、請求人側の特許維持の審決に対する不服の申し立ては裁判上の手続は認めないと。
ただし、請求人については、侵害訴訟における特許無効の抗弁、あるいは不存在確認訴訟等によって特許の有効性を争うことができることにし、この点は、アメリカで現在行われていると言われているエストッペルによって再審査請求の申立人が侵害訴訟において無効の主張ができないという手続とは異なって、裁判上の主張を保障することによって調整しようという考えをとっています。
そして、侵害訴訟においては、特許無効の抗弁あるいは不存在確認訴訟においてその特許の無効を理由としての請求原因を主張することができ、それは相対効とするとともに、また無効とされた場合、無効の抗弁が認められ、あるいは不存在確認訴訟が認容された場合における再度の権利行使は、いわゆる権利濫用の法理によって制限し、それによって実質的な対世効を得ようという考え方が基本でできています。
で、最後のページにフローチャートをつけてありまして、現行制度と批判を対比してありますので、ご参考いただければと思います。
なお、説明として「フローチャートの説明と予測される推移」というものを書いてあります。
私は今のような考えをとって制度設計を考えたいと思っておりますが、侵害訴訟において特許無効について対世効を認めるという制度設計が可能か、その点についてどう考えるかということについても、13ページ以下で触れております。
それから最後に、本年度の法律改正というものにつきまして、将来の制度設計ということからみて矛盾することのないような、また、改正してはみたけれども、抜本的な見直しが再び迫られるような改正をしなければならないような事態を避けるような配慮をした法改正がなされることが望ましいという視点から、本年度の法改正についてどう考えるべきかという、私の意見を述べたものです。
ご参考にしていただいて、また、ご批判、ご意見をいただければと思います。以上です。

大渕小委員長

総論的な5.「……基本的考え方」の部分につきまして、ほかに、ご質問、ご意見等ございませんか。

山下委員

今、事務局からなされたご説明は、1本化するかどうかというのはともかく、基本的には、無効審判制度というのは特許庁に残すということが前提でのお考えなのでしょうか。
先ほどの竹田委員の話も絡んでくると思うのですけれども、それが違ってきますと、議論の仕方が大分違ってきますので……。

広実審議室長

6ページ目の一番上にも書いていますように、私ども事務局としては、竹田先生がおっしゃるように、将来的には特許庁と裁判所の権限配分の見直しというのはあるかもしれないわけですが、仮にそれがあったとしても、特許庁自らが見直す制度――それを当事者系で見直すか異議系に見直すかはともかく、それはそれで必要なのではないかと考えております。
アメリカなどは、まさに竹田先生がおっしゃった姿が80年代まで実現されていたわけですが、それにもかかわらず、当事者のニーズは、より簡易な見直しの手続を求めてきたのを見れば、ニーズは存在するという前提でこの紙をつくっております。

山下委員

ありがとうございました。

大渕小委員長

ほかに何かご質問、ご意見等ございませんか。

丸島委員

早めに退席させていただきますので、考えていることだけ申し上げたいと思います。
その前に1つ質問なんですが、1つの制度で期間を区切って、ある期間は「何人も」と、それ以降は利害関係というようなことは可能なのでしょうか。

広実審議室長

前例があるかという意味では、ないと思うのですが、制度的に不可能かというのは、更に検討する必要があります。
ただ、前例としてはそういう制度は余りございません。

丸島委員

可能であれば、今の付与後異議の間ぐらいは「何人も」ということで、その後は利害関係人ということで1本の制度がふさわしいなと私は思っているのですが、もし、不可能であるならば、ずっと「何人も」という形の方が望ましいかなと。
ただ、その場合に、争うための争いみたいなのを防ぐための何かは必要だろうとは思うのですが、原則その方向がいいのではないかなと。
それから、将来、1回的解決で裁判所で無効の抗弁ができるようになったとしても、特許庁に特許取消審判を残す方で賛成したいと私は思っているのです。予防法的な意味で、無効確認訴訟とか、差止め請求不存在とか、裁判所で確認を求めるというのは相当な利害関係といいますか当事者要件が課せられると思いますし、対世効も難しいようですから、予防法的にはやはり特許庁に残した方がいいのではないかと私は思います。

中山部会長

「何人も」という要件を例えば5年とか2年だけ課して、あとは利害関係人のみ請求できるとすることの問題ですけれども、なぜ「何人も」とするかという趣旨にもよるかと思います。特許権というのは万人に対して拘束をしているから、潜在的には「何人も」利害関係があるというように考えれば、途中で切るのはなかなか難しい。
あるいは、そもそも新規性・進歩性がないような特許が存在すること自体がおかしいので、請求人がある意味で公益代表として請求しているという意味もこめているということだったら、やはり途中で切るのはおかしい。
ただし、特許権満了後は、利害関係人だけが請求できるとしてもおかしくないと思うのですけれども、今のような理由だと、途中で切ることはちょっと難しい。
ただ、特に、特許の安定性ということはそれ以上に重要なファクターなのだということになれば、政策的理由で途中から、切ることも憲法違反ではないという感じはいたします。

牧野委員

質問させてください。この審判制度の見直しで訂正の関係に幾つか言及されておりますけれども、迅速化あるいは適正化ということからすると、訂正がいつまでできるかということが非常に大切だろうと思います。「参考資料3」の全部が訂正請求なり訂正審判にかかっているという関係がございますが、このあたりはこの席で議論をすることになるのでしょうか。

広実審議室長

はい、第3回以降でそのようにしています。

松尾委員

私も、これをこのまま1つ1つやっていきますと、今までの制度と余り大きく変わらないと思います。竹田委員の案を見てみましても、特許を無効とするためには取り消し審判と侵害訴訟で主張するのと両方ありますので、大きな流れはある意味で今と変わってないとも言えるわけで、したがって、1つ1つ詰めていかないと――全体像からやりだしますと意見がまとまらないと思うのです。そこで一応この事務局案に沿って進めていった方がいいのではないかと思います。
それと関連しまして、異議と無効の1本化というのも私は賛成ですが、無効の理由と異議の理由とが今までは極めて同じようなところにありますけれども、例えば、もし、異議の方の理由をぐっと制限したらどうかなと思うのですが、そのような考えは全然ないのですが、そういうことは問題になっていないのでしょうか。

広実審議室長

済みません、今のは、2本立ての制度の中で改善するという意味、つまり――異議をもっと狭くしたらどうかという意味でしょうか。

松尾委員

そうです。といいますのは、先ほど、同一人が異議と無効の両方やるというお話がありましたが、現実に6ヵ月の中で証拠を集めきれなかったり、特に人との関係でいろいろ資料を提出してもらうのに悪意ではなくても間に合わない。だから、訴訟の提起のこと、されるときのことを考えれば、両方やらざるを得ないのです。例えば仮処分が起こされるおそれがあるというようなときに、ゆっくり準備していては間に合わないので、異議の申し立てはする。そこで、後ろに異議の理由が非常に限定されているのであれば、当事者の方は安心できる上、じっくりと準備して無効審判の提起ができるわけです。
このようにして、1本の系列の中で、初めは期間が比較的短いものにして例えば、新規性だけでやるなど理由を絞るとそれなりのメリットがあって、それを2本と言うのか。理由が変わればある意味では1つの線の中で分けるというような考え方につながっていて意味があるのではないかなとも思うのですが、そういう考えは全然ないのでしょうか。

小林審判企画室長

今の実態はよくご承知の方も多いかと思うのですがご説明させていただきますと、現行の無効理由はかなり広範に無効理由を見ているわけですけれども、実際には、そこで争いが起きる冒認あるいは共同出願の規定違反というのはごくごくわずかでございます。1%以下と考えていいかと思います。ほとんどは新規性とか進歩性の欠如のような、いわゆる公益的理由でございます。
その中身をさらに見ますと、確かに新規性の欠如というものと進歩性の欠如というものは法律上は分けられるわけですけれども、実際には、その1つの争いの中で複数の理由が申し立てられることが非常に多いのが現状でございます。
理由を基に手続を分けるというのも1つの考え方としては確かにあるのかもしれないのですけれども、それをやりますと、実際に争っていることの実態が制度においてますます分断されてしまうというようなことも生じるのではないかということを危惧します。
したがいまして、もし、そういうことが起きたとしますと結局のところは今の制度併存の弊害がそのまま引きずられて、要は異議申し立てで理由が制限されているので結局はその溢れた部分について無効審判を請求しなければならないとか、さらには、実は同時に請求できていたはずのものが今度は段階を追って請求しなければならないということにもなりかねないということがございますまた、制度が併存していて、同時に係属しているものも同時審理ないしは併合審理ができないということの問題であるとか、異議申し立てで不成功だった場合に直ちに出訴できるのではなくて、結局もう1回無効審判を起こさなければならないとか、あるいは理由・証拠が制限されているがゆえに別な争いを起こさなければならないとかといった問題が解決できないのではないかという感じはいたします。

松尾委員

裁判所で明らかな無効事由があるというのは、かなりの場合、新規性がないということにつながるのではなかろうかなと思います。また、警告状を送ってみたら「いや、無効事由があります」といわれ、何でこんなのが審判段階に出なかったのだろうというようなのが出されたりしますので、経験上、私はそう思ったのです。
もし、全体から見て私の経験した事案が多いわけではないということであるならば、私は1本化ということに賛成したいと思います。

大渕小委員長

今までも各論がかなり出ておりましたけれども、時間の関係もございますので、以下、各論を中心としてご審議いただければと思います。
まず最初に請求人適格の点につきましてご質問、ご意見等をお願いしたいのですが。

佐藤委員

私も基本的に1本化するということについて賛成でございます。ただ、そうなった場合に、今まで異議が4,000件のニーズがあったということを踏まえると、そこでは「何人も」ができるという制度であったがゆえに利用されてきた面が非常に大きいというように理解しております。
また、実際にクライアントたち、また弁理士会での議論を聞いていましても、簡易に争える手続というのは非常に魅力的であるということです。
それから、この事務局案の中にもありますように、当事者間の利害関係が非常に強いと表立ってなかなか争えないという面もあって、しかし実際は争いになる可能性があるという場合に、利害関係が縛られると実際に紛争が起きてからでないと争えないというようなニーズもあるということを考えますと、「何人も」という方向での制度設計が好ましいのではないかというように私は思っております。
その点については以上でございます。

伊藤委員

1人だけ素人なものですから初歩的なことを伺って申しわけないのですが、制度の趣旨としては先ほど中山さんがおっしゃられたようなことだと思いますが、現実に異議申立人に実質的な意味での利害関係がない、まさに純然たる第三者であるというような事案というのはあるものなのでしょうか。
それとも、建前はそうであるけれども実際には何らかの意味での経済的あるいは法律的な利害関係がある人がほとんどなのか、まず、そのあたりを伺えればと思います。

小林審判企画室長

実態からご説明いたしますと、11ページの(注1)と(注2)、それからその上の(iV)「業界慣行としての第三者申立て」というところあたりに書いてあるのですが、現在の異議申し立てでは、制度上何人も申し立てできるとしている関係上、利害関係についてこちらが職権調査をしたわけではないので、現実に第三者が利害関係をもっているかどうかというのはわからないわけでございますけれども、利害関係を問われる無効審判の方では個人名の申し立ては非常に少ない。
他方、「何人も」としている異議申し立ての方では個人名の申し立てが非常に多いという事実が、まず1つございます。
それから、これはユーザーサイドからのいろいろな情報も総合してということでございますけれども、取引関係とかライセンス関係があって、例えば子会社が親会社に対してとか、部品の製造メーカーが組立のメーカーに対してとか、いわゆる取引関係があるような場合に、ある種の業界慣行ないしは日本的な慣行なのかもしれないのですが、自分の企業の名前を伏せて別の人の名前で異議の申し立てをするというケースが非常に多いというように聞いています。
この個人名での異議申し立ての中には、かなりの部分そういったものが含まれているというように聞いております。
その場合、その異議申立人に着目しますと、利害関係はない可能性がある。もちろん、中山先生ご指摘のように利害関係をどう考えるかということで、特許は万人に対する効力があるのだという整理をすれば、個人であっても、例えば消費者としてとかという形で利害関係があるだろうと思いますが、実際に紛争が起きている、ないしは紛争が起きる蓋然性が高いという意味での利害関係だというようにとらえますと、その意味では利害関係がない個人の申立人というのは非常にたくさんいると。
ところが問題は、その申立人ではなくて、その申立人に頼んだ背後に存在している企業は、当然のことながら利害関係はあるわけでして、むしろ利害関係があり過ぎるほどあるからこそ、第三者の名前を使うというようなのが実態なのだろうと思います。

中山部会長

実数としてどのくらいあるかわかりませんけれども、業として実施をしていない業界団体が請求するということはあり得ます。あるいは消費者団体が、日本の場合、現在、特許にどのくらい興味もつ程度に成熟しているかどうかわかりませんけれども可能性はあるということです。
あと、学者がやる例もないわけではない。有名なカーマーカー事件は、ある学者がこんな特許はあってはならんという信念に燃えて本も書いている、無効審判も起こす、という例もありますので、ゼロではないという感じがします。

伊藤委員

なぜ、そういうことを伺ったかと申しますと、査定系である異議申し立ての手続の中で申立人の手続的な地位を強化して何らの主張・立証ができるような機会を与えるというのが、1つのアイデアとして掲げられているようなのですが、もし、お話のように、取引上どうも具合が悪いから第三者の名前で異議申し立てをするということがかなりあるとすると、せっかくそういう手続を設けてもそれが十分には機能しないのではないかと思ったものですから、質問をさせていただいたわけです。

中西委員

1本化ということについては我々の立場からしても賛成なのですが、ここに全然出てないのが、その時に発生するその費用も非常に重要な問題になるのです。現行のままいきますと、大分差が出るという予測ができる。素直に計算するとその差が5万近くなりますと中小企業また零細というのはなかなか大変だなと思います。なぜなら、新事業を創造するには特許出願を1事業あたり3~5件出願し、その費用はかなりなものになる。その上での上乗せ金となるので、とその辺の配慮・考慮というのはやはり必要ではないかなと思います。
それから、「何人も」の話があったのですが、実務レベルでいきますと、このダミーというのは頻繁に行われておりまして、取引関係、親会社・子会社、または、というところで現場の声としてはかなり頻繁に行われています。
以上です。

佐藤委員

今、費用の問題が出たのですが、審判になると確かに費用的には多分、今の異議よりは高くなってくるので、我々の弁理士の議論の中では、もっと簡易な形のものとして付与後の情報提供制度みたいなものをつくったらどうかということが提案されています。これは1本化しても審判の方に負担がかかるわけではなくて、ファイルの中に第三者が情報提供をしておいて、それを審判の時に活用するなり、また権利者が権利行使をする際に自分のファイルを見て、そういう問題がないかどうかをチェックさせる。また、第三者からすれば非常に簡易な手続で自分の言いたいことをある程度言えるというようなものもあってもいいのではないか、という案が出ているのですが、そのようなご検討はいかがでしょうか。

広実審議室長

その点については、先程、時間の関係で省略したのですが、19ページの7.は、主に利害関係を要求した場合を念頭に置いて考えた制度なのですが、公益的な特許処分の瑕疵の理由がある場合で、利害関係人が何も言ってこない場合、しかし、間違いというのは明らかにわかる、こういった場合に備えて特許庁みずからの特許の見直し制度ということも検討に値するのではないかという点を書いています。そういう制度の中で情報を提供したいという人のニーズを汲み取れるということは考え得ると思います。
また、「何人も」という案をとっても、この制度というのは考える余地はあると思います。

竹田委員

請求人適格の問題と、今、佐藤委員がおっしゃったこととは、審理構造と結びついていることだと思うのです。それが最初の出発点の、一体この制度というのを特許庁の見直しの方にウエートを置くのか、それとも紛争のいわば予防的な意味も含めて当事者が積極的にその手続に関与して無効の権利の有効性を争うのか、というところにまで関係してくるわけで、何人も請求できますよと。そのかわり、そういう情報提供などもみんなができて、その中で特許庁が職権主義を使ってどんどん審理をして、権利の有効性が問題であればそこで無効理由通知なり取消理由通知なりをして、公益的な立場から特許の有効性について考えていこう、ということを問うのであれば、今おっしゃったことはすごく整合性があって説明できると思うのですが、一方で「何人も」というのを取りながら当事者主義的構造を持ち込んで、その当事者の主張と、職権主義との関連をどうするかという問題。
それから、いわゆる一事不再理の効力をそのまま認めて「何人も」ということにした場合に何らかの弊害が起きてくる可能性はないか。
その理由で1度取消請求をして、一事不再理のために2度と争われなくなることによって起きる弊害というようなことがまた起きてくるかもしれない。
その辺のところは常に関連していると思うので、「何人も」という方は、この審理構造においても当事者対立的な構造よりも、特許庁と特許権者との対立構造により親しみやすいし、逆の場合は当事者の対立構造の方に親しみやすいだろうと。その辺は切り離して考えることができない問題ではないかなと私は思います。

秋元委員

今、竹田先生が言われたのはまさにそのとおりなので、それは分けて考えなければいけない問題ではないかと。
それと同時に、今、意見が出てないので私どもの業界の状況についてちょっとご説明しますと、ダミーを使うというのは非常に日本的な文化だと思うのですが、ダミーを使ったとしても、基本的には相手がだれであるかということは、医薬・バイオの私どもの業界では利害関係から相手が絞られますから当然わかってしまう。そうすると、ダミーを使うという意味は余りない。
もう1つは、異議申し立ての制度は当事者系でございませんから、特許権者の方はどのような反論・抗弁をして逃れてしまうかわからないということで、現実には異議申し立ては私どもの世界では余り役に立たない。無効審判、当事者系の方にもっていく。そうすると、今言いましたように、ダミーという考え方も余りとらないし、異議申し立てということも余り活用しない状況になっていると。
今度、現実にグローバルに考えたときはどうかというと、アメリカの再審査請求もそうですけれども、当事者というのはかなり明確にわかってくる。真の利害関係者がいるというのがある程度わかってくる。そのような状況で、日本での活動、それからグローバルでの活動を含めて、私どもはどちらかというとダミーは余り使わない。通常、当事者系でやっているというのが現状だということのご報告だけしておきます。

大渕小委員長

審理構造の点につきまして、先ほど関連しているというお話が出ておりましたので、そちらに移ってまいりたいと思います。ご質問、ご意見等ございませんか。

松尾委員

私が先ほど、この事務局案にのっとって議論したら、と申し上げましたのは、例えば竹田案ですと、管轄の問題も関係してきます。そうすると、今、抱えている管轄では弁護士会はこぞって反対するだろうとか、いろいろな問題が出てきますので、こういう構造まで考えるとするとなかなかおさまらないだろうというように思ったわけです。この段階では問題が大き過ぎると思いますので、そのことだけをお話ししておきたいと思います。

広実審議室長

補足したいという点がありますが、先ほど竹田先生が言われたように、「何人も」という請求人適格は査定系に親しみやすい。利害関係というのを緩やかにとるのは当事者主義的構造に親しみやすいというのは大変わかるのですが、そこが必ず演繹的に結論を出すべきか、ということなのです。
この制度の趣旨を、あくまで行政庁の自らの見直しという趣旨に置くと、演繹的に請求人適格は「何人も」になり、その構造は査定系だということかどうか、という疑問がありまして、逆に、平成6年の制度の改正では、2つの制度を併存させないといけないから、付与後異議はこういう制度趣旨、こういう手続、こういう構造と、付与後異議と無効審判の整理というのはまさに演繹的に行っています。
私どもの反省は、それを余りにも演繹的にやり過ぎたので実態上問題が出てきているのではないかということで、今回のアプローチは、逆に、まず、プラクティカルに個別のマターから考えてみた方が実態に沿った案が出るのではないかというものです。もちろん、個別にとった案が全体として理論的に整合しないという問題があるのかもわかりませんが、まず、実態論としてユーザーニーズはどっちが高いのかということを押さえた上でこの制度のあり方というのを議論させていただければと思うのです。

牧野委員

今おっしゃったような点からすると、付与後異議の場合に請求人の積極的関与の機会の要請と今おっしゃったような点からすると、付与後異議の場合に請求人の積極的関与の機会の要請というのがあるということからしても、当事者が自己の主張を十分にいえることを保証する必要性があり、また、紛争当事者間で特許の有効・無効が真剣に争われて主張・立証が十分になされた上での判断というのが的確な判断を導くものだろうと思いますので、審理構造としては当事者系の対立構造を基本にした方がいいだろうと思います。
そのときに、それでは請求人適格をどうするかという問題が若干かかってきますがそれはそれとして、先ほどおっしゃったような特許庁における職権見直しとかそういう制度もあわせて考えられるのであれば、かなりいい制度設計になるのではないかというように私は思っております。

佐藤委員

この新しく1本化した制度というのは、侵害訴訟まで行く前の事前予防的紛争解決の道だというように考えた場合、当然、当事者間においては侵害訴訟で争う前に有効・無効について議論を尽くしたいという要望というのは非常に強いというように思いますし、そうあるべきだと私も思っています。
そういう意味では当事者対立構造にした方が、お互いに納得いく争いができるのではないかと思います。
ただ、そうすると制度的に非常に重たくなってしまうということがもう1つ難点だと思うので、そこを、迅速性をどうやって担保するか、というところを運用なり仕組みで何とか工夫していくというのがよろしいのではないかと思います。
ただ、今申し上げたように、当事者対立構造になって審判構造が非常に重たくなるものですから、先ほど申し上げたような、もう一方で全く簡易な情報提供制度みたいなものを併存させるということで、重たい制度と軽い制度とバランスさせながら走らせるというのもいかがかと思っております。

竹田委員

今の点で質問があるのですが、その情報提供制度と新たにできる特許の有効性を争う制度との関連はどうなるんですか。

佐藤委員

基本的には、有効・無効についてきちんと議論をして明らかに結論を得たいという人は、当然、審判で争う。
ただ、結論までは望まないけれども、必要な情報だけはきちんと投げておきたいというようなやり方もあってしかるべきではないかと思います。
現にアメリカの場合もファイルの中に第三者が情報提供できる仕組みがあるわけですし、それと同じような制度があってもしかるべきではないかというように考えております。

竹田委員

情報提供すると、特許庁はどうするんですか。

佐藤委員

特許庁がそれを職権で取り上げて有効・無効にするかどうかというのはまた別問題であると考えます。少なくとも権利者にとっては、自分が権利行使をする場合に自分のファイルをもう1度見直して、自分のものに対して第三者から何らかの有効性に対する証拠が出てないかどうかということを知ることができるし、仮にそれが有効な証拠であれば、本人が侵害訴訟を起こすときに十分に検討してから侵害訴訟を起こすというような機能を期待できるのではないかというように思っております。

竹田委員

そうすると、1本化した特許の有効性を争う制度に関連して、その手続の中で第三者が情報提供できるということですか。
それとも、全く関係なしに特許庁が情報提供に基づいていきなり無効理由通知をすると。そうすると、それに対してだれがどう対応するのか、手続がなくなってしまうと思うのですが……。

佐藤委員

私はこの付与後の情報提供制度と審判とは全く切り離したつもりで申し上げております。

大渕小委員長

事務局から追加説明がございます。

小林審判企画室長

現在の工業所有権法の中にも、実は付与後の情報提供制度というのが実用新案制度にございます。これは施行規則レベルで定めておりますので法律事項ではないのですけれども、施行規則でそういうものを定めております。
他方、特許制度の方は異議申し立て制度がある関係で、あえて付与後の情報提供制度をつくっていないという趣旨でございます。
実用新案制度ももともとは審査主義をとっていたものですから付与後の情報提供制度はなかったのですけれども、平成5年に実用新案制度に無審査主義を導入したときに、審査をしないで登録される権利となるもちろん、その内容の歯どめは種々つけられているわけですが、無審査主義に移行したということを踏まえて実用新案制度にのみ付与後の情報提供制度を導入したという経緯がございます。
それが実際にどのように使われているかといいますと、今、佐藤委員のご説明があったのとほぼ同じ使われ方かと思いますけれども、第三者がその実用新案の有効性について疑義を抱いたときに自由にその情報を提供しておくことができる。
権利者の方は、自分の権利を行使しようとするときにその情報が参考になる場合がある。もちろん、それに基づいて実用新案の訂正というのもあり得るのかもしれません。
それから、第三者の方は別途、実用新案の無効審判が起こせるわけですが、その際に利用することもできる。
あるいはキルビー判決から言えば、侵害訴訟の局面で権利濫用の抗弁をするときの参考にもなるのかもしれません。そういった形で現在は運用されているという実態がございます。

大渕小委員長

審理構造に入りましたのは、先ほどの請求人適格がもう終わったという趣旨では必ずしもなくて、両者が関連しているので先に進んで両方を関連させてご議論いただいた方がいいということでありますので、審理構造も踏まえた上で請求人適格につきまして何かご意見等ございましたら……。

松尾委員

私が一番初めに申し上げました、非常に限られた理由による異議の申し立てというのは、今おっしゃった付与後異議で達せられる、そういう趣旨のものを私は考えていましたので、そうだと思います。
それとは別に、請求人適格ですが、先ほどのご説明でも11ページのところで、当事者が入る必要があるということと、濫用の危険ということをおっしゃったのですけれども、私ども、現実に審判等の代理をしておりますと、名前を出せない――出すと困る訴訟の問題もありますし、その他いろいろあります。
だけれども、濫用というのは、ここにあるような「十分な理由・証拠に基づかない異議申し立て」――無効審判でもそうだと思いますけれどもそういうのは「理由なし」とすればいいだけのことで、そんなに恐れる必要はないと思います。やはり「何人も」ということにすべきだろうというように思っております。

作田委員

ユーザーの立場から一言お願いと質問をさせていただくのですけれども、まず、紛争の1回的解決というのはちょっと置いておきまして、現在の異議と無効審判を1つにしようと、ここまではいいのですが、そのときに、先ほど来、竹田先生ほか議論がありますように、裁判所等の役割においてこの新しい審判制度を審査の正当性の確保ということに重きを置くのか、無効審判の対立構造でのしっかりとした審理を行うのに重きを置くのかということになるわけです。
そうすると、どちらかを原則としてやるべきであって、両方のいいとこ取りをすると、ミックスのことをお考えになるのか。立法論・立法趣旨としてはあくまでも審査の正当性を確保するのだというようなことになると異議申立て寄りになり事前防止という意味に置くと無効審判寄りになっていくわけですけれども、ユーザーの立場は、審判制度を使いやすいようにということを考えると同時に、特許権者の立場も考えなくてはいけないわけで、権利の安定性というようなことも考えると余り利用しやすくても困る面がございます(笑声)。
それはさておきまして、どちらかというと異議申立て寄りの制度設計をして、将来的には私人間の紛争解決という意味での1回的解決は裁判所の方にもっていくというようなことを前提に考えるべきではないでしょうか。
そのときに問題になるのが、裁判所の方の態度がはっきりするまでの過渡的な措置というものを考える余地があるのかないのかということなのです。例えば請求期間にしてもそれに大きく影響すると思うのです。私人間の紛争解決の方を有効性を含めて裁判所でやっていただけるのであれば、請求期間というのも有限でいいだろう。それがないという現時点においては請求期間を設けるのはおかしい、というような議論になると思うのです。
そういう過渡的な措置ということをお考えいただけるのかどうかということなのですけれども。

山下委員

今のご意見に絡むのですけれども、先ほど来伺っていますと1本化することに賛成だという意見が多かったのですけれども、賛成の方が、イメージとしてどういうことをもっておられるのかというのが私ちょっと疑問になったのです。
先ほどのご意見にありましたように、今の裁判所と特許庁との職務分担が変わって、現在特許庁が行っている無効審判が基本的に裁判所の方に来てしまうという構造を考えない限り、1本化すれば、1本化したものは基本的には恐らく無効審判の形にならざるを得ないだろうと思うのです。
1本化が結構だという立場に立つとすると、特許庁と裁判所の職務分担を根本的に変えるということにするか、無効審判だけが残って今の異議はなくなるか、その選択をするということになるだろうと思うのです。
先ほどの事務局のご説明ですと、異議の方は減ったといっても4,000件、無効審判の方はふえたといっても300件ということでしたか、これがどのようなことになるのか。非常に素朴に考えますと、無効審判は余り利用されてないけれども、異議の方は随分利用されているではないか。そういう利用がされているものを何でなくするんじゃ、こういう見方もあるのではないかというような気がしました。
1本化するというのはいいぞいいぞというのは、ムードとしては何となくわかるのですけれども、本当にそれがいいことなのかどうかというのも考えてみる必要があるのではなかろうかと。こんなに利用されているものは残すべきじゃないか、という見方もあるのではなかろうかという気もするのです。
そのあたりのことをどのようにお考えで1本化に賛成しておられるのか、私はちょっと知りたかったのです。

大渕小委員長

今ご質問もありましたので、ユーザーの方が中心になるかもしれませんが今の点についてご意見等ございましたら……。

佐藤委員

私は1本化に賛成ということを先ほど申し上げましたので、今のご質問についてお答えいたしたいと思います。
異議申し立てが利用されているのは、1面で非常に簡易な制度だということで数が多く出されているということは事実だと思います。
ただし、今回の事務局案の中にも説明がありますように、異議申立人は最初に証拠と主張をするだけで、それ以後は関与できない。そのために結論に対して非常に不満が残る制度設計になっているということが、意見として非常に強く出ています。
そうしますと、これをさらに改善してもっとしっかり申立人が関与する付与前の異議申し立てのような形にすると、結局は無効審判と構造的に非常に似てきてしまうことになって、それならば、あえて2つ併存させておく必要はないのではなかろうかと。
そういう意味で、ちょっといいとこ取りですけれども、異議申し立てのある程度の利便性と、無効審判のしっかりした審理ができるという構造をうまくミックスした形で何とか1本化できないだろうかという方が、我々弁理士会の中では多数を占めております。
先ほどご指摘がありましたように、4,000件もありました制度を何でなくす必要があるのだという議論も、我々弁理士会の中にも確かにございます。その点に関しましては、むしろ後者の方を重点に置いて、簡易な制度については、先ほどちょっと申し上げました情報提供みたいな形でもう1つ道を開くとかいうような形で整理してみたらどうかというのが、意見の中の大勢を占めているということでございます。

大渕小委員長

ほかの方で先ほどのご質問に……。

松尾委員

さっき、数字をちょっと忘れましたが、同一人が異議の申し立てと無効審判とを起こしているのは何十%とおっしゃいました?

広実審議室長

4ページ目の一番上の数字で、同一権利に対して異議、無効が306件で、そのうち同一人が114件でございます。

松尾委員

私が1本化に賛成だと言いましたのは、異議申し立てに対しては当事者の相手方が意見を言えないということでどうしても不満が残るので、本当に重要にものについては、もし、異議で成立しなければもう1度無効審判を起こさざるを得ない。そういうむだなところを考えて両方と申し上げたのです。
もう1つ、基本的には裁判所に行ってから審決の中でいかにも不合理な理由づけで覆るのが多いので、私は、1本化というときには、無効審判の審理のあり方について、法律家を入れるとかそういうことをやって、取り消されるような審決を出さない工夫もしていただきたい、実はそう思っていた次第です。

広実審議室長

今おっしゃられた審決の信頼性の向上というのは、1ページ目の(3)にもありますように、今後の検討の中で議論していきたいと思います。
それから、作田委員からあった、この制度改正は過渡的かということですけれども、制度改正で法律を国会に出す以上は、現在の立法事実というか社会状況を前提にベストの解決策を出す、というように考えています。
もちろん、将来的な見通しを立て、それに反しないような、もう1回180度方向を向き変えるという改正は我々も当然やりたくはない、そういう感じでおります。
もう1点、制度趣旨を、特許庁の見直しか紛争解決か、どっちかに割り切るべきではないかとおっしゃっていました。そのご意見は我々も理解できるのですけれども、海外の動向等をいろいろ調べていると、制度というのは生き物なのでこういう見直し制度にも多元的なニーズがあって、運用しているとユーザーサイドから圧力といいますか、あるニーズが強く出されてきて、それを受けて変貌している、というのがアメリカの制度の最近の展開でもあるのではないかと思います。
先ほどの繰り返しになりますけれども、日本でも、平成6年の改正で制度趣旨をきれいに分けた2つの制度をつくったわけですが、そこでのユーザーニーズの変化があるのではないか、そういう問題意識を持っております。

作田委員

過渡的という言葉はちょっと悪かったので、過渡的な法律をつくってくれというのではなくて、要するに、請求人適格であるとか期間であるとか審理構造であるとか、そういう個別の議論をするときに、今の状況ではこうだけれども、将来はこうあるべしというようなのが、特に審理期間の問題など個別には出てくるのではないでしょうか。
で、どちらかに寄せるというのは、今はそれぞれにそれぞれのメリットがあるということで、2本あるものを1本にするためには審判制度というものにどこか軸をつくっておかないと、全部いいとこ取りで寄せ集めたら大変重いものになってしまうのではないかという意味合いでございます。

中西委員

ユーザーの現場という立場から今のお話に意見があるのです。この異議申し立てなどは我々からすると「ちょっと邪魔だな」という程度で「これは真剣に向かっていかなければいけない」という、質の問題が明らかにあるわけです。
1本化することによってかなり質の向上を図っていくということになると、迅速なスピードににつながってくるのではないかというようにも考えたわけです。以上です。

伊藤委員

また素人臭いことを伺って恐縮ですけれども、査定系の方で考えるとか当事者系の方で考えるというのは、1本化するということが前提ですね?
考え方はもちろん両方それぞれあり得ると思うのだけれども、例えば査定系の方に1本化して、審決取消訴訟では特許庁が当事者になるということによる訴訟遂行の負担増が考えられますよね。
他方、当事者系の方にすれば、当然、両当事者の主張・立証の態様によって手続の進行が決まってくるというような問題があると思うのですが、現実的な制度として両方の選択肢があり得るという前提で考えていいのですか。
例えば、現状の異議申し立て事件も無効審判事件もすべてを査定系にしてしまって、訴訟における場面では特許庁が訴訟当事者として訴訟遂行の負担を引き受けるというようなことも、現実的にあるという前提で考えていいわけですか。
素朴なことで申しわけないのですけれども、私が申し上げている疑問はご理解いただけますでしょうか。

小林審判企画室長

審決取消訴訟のところだけに着目して申し上げます。もちろん、どの程度の件数かということにもよるかと思うのですが、特許庁の対応能力以前の問題として、異議申し立てのような査定系の構造をとって、しかも特許の取り消しをした場合も特許の維持をした場合もいずれの場合も、特許庁が被告になるのか、まず、そこをどう考えるのかだろうと思いますが、その場合に、今の異議申し立てのように特許を取り消したときにその特許権者が原告になって特許庁が被告になるというのは自然だと思うのです。
逆に、特許を維持したときに異議申立人の方が原告になって被告が特許庁と、そこまではあり得るのかもしれないのですが、そのときに肝心の特許権者の立場・位置づけがどうにもすっきりしないような気がしていまして、それなら竹田先生の案のように特許維持のときには異議申立人は不服を申し立てられないというように本当にするのか。これをやると、では、異議申立て人は一体どこで争ったらいいのだということになりますので、それも多分取りにくいだろうと思います。
そのようなことがあって、これは論点の形でペーパーの中にも提起させていただいておので、むしろご議論願った方がいいのかもしれないのですが、査定系への1本化は若干取りにくい制度ではないかというような感じはしています。
それよりもむしろ、基本系を特許権者と無効審判請求人という形で置いておいて、行政審判ですから必ず職権主義をとるだろうと思いますので、審判段階ではそのような当事者対立構造をとりつつ職権主義のもとで行うという形で、審決取消訴訟に行くときには基本系は当事者の対立とする。
そのうえで考慮すべきなのは、そこで行政庁が何らかの形で参加する必要があるのか、あるいはそれが適切なのかどうか、というような形にしていった方がいいのではないか、という感じは正直、持っております。

竹田委員

特許庁と裁判所側の委員としては山下委員だけですので、山下委員の個人的見解でもいいのですがぜひお聞きしたいのです。
私自身としては、先ほどお配りした文書のような制度設計から1本化した上で、「何人も」にして、査定系にして、請求期間を制限しようという考えですけれども、これがもし、1本化して「何人も」にして、当事者系にして、それに対応するとしたら、審判事件、審決取消訴訟についても相当な数のものをしっかりとした審理構造で処理しなければならないことになるわけですけれども、それには十分耐えられますよということが言えるのですか、その点をちょっと聞いておきたいと思うのです。

小林審判企画室長

新しい制度の形が決まっていない以上、正確なその件数の見積もりというのはできないわけですが、実は暫定的なヒヤリングで、仮に「何人も」ということで請求の期限の制限がないという前提でどの程度の件数になるかについて、何社かの感触を伺ったところ、現在の異議申し立てと無効審判の件数の合計以上になる、と答えたところは、当然のことですが、無い。
他方、現行の異議申し立て無効審判の合計数を下回る、というように答えたところはかなりある。
それから請求の時期につきましては、期限の制限がない以上は、本当に問題になったときに申し立てるという行動に移る、ということで、ピークが後出しになると答えたところがかなりある。
そのようなことで全体としてみると、今よりは減るのではないかという感じをもっております。
それから、当事者対立構造の審理の仕方と、査定構造の審理の仕方で審理の負担がどれだけ変わるかという点については、正直申しましてそれら両者の間に大きな違いがあるというようには実は余り考えておりません。なぜかといいますと、現在の査定構造の異議申し立ての場合には、異議申立人が申し立てて提出した理由・証拠に基づいて、合議体がその職権での取り消し理由を再構成することになっておりまして、それは、出てきたものを初めて見て再構成するわけですので、正直なところ、かなり手間がかかる。特許権者は当然のことながら訂正請求ということで特許の内容を変更することが多いわけですので、それでまた再構成をするというようなことで、査定系のものが負担が軽いとか、あるいはそちらの方が迅速にできるとかいうことは実際には余りない。
現在の無効審判と異議申し立ての審理の期間をみましても、審理期間については実は差がほとんどなくなってきているというようなこともありまして、その辺のところが大きな負担になるというようには考えておりません。

秋元委員

今、請求時期の問題が出たのですが、さっき作田委員が言われたように、将来像というものでかなり動くことも確かです。それと同時に、2年とか何とかという議論は恐らく「資料7」の無効審判の特実のところが10ヵ月というところにピークがあって大体2年だろう、という話で来ているのかもしれないのですが、最大ピークより後ろの方はむしろ数が少ないですから全体として考えた場合それほど審理の負担にはならないだろうと。
私ども考えたら、むしろ後ろの方に非常に重要な案件が入っているのではないかと。特に製薬業界はどこかとライセンス交渉をしていますと2年などという時期はすぐにたってしまいますし、研究開発期間も極めて長いですので、業界としてはむしろ後ろに来ている方が重要ではないかということをぜひつけ加えさせていただきたいと。

大渕小委員長

そろそろ時間がまいりましたが、論点として残っているのは、請求理由と請求期間ですが、本日はここで閉会にしてこの論点を全部次回に回すか、本日、少しだけでもご感触なりとも伺って、本格的には次回にやるか、という2つの選択肢があるのですけれども、委員の方々のご予定は、あと若干ぐらいであれば延長できるのでしょうか、それとも、次の予定が入っているということなのでしょうか。もう少し続けてよろしいでしょうか。――
では、そういうことでもう少し続けさせていただきます。もちろん、ご予定のある方は先にご退出いただいて結構でございます。
それでは、請求理由につきまして、どなたかご意見ございますでしょうか。

作田委員

時間で退席しなくてはいけないものですから、済みません。
きょう、特許庁さんのご丁寧なご説明と、竹田委員からの論文も拝見しまして、ユーザーとして個別の要件についていろいろ意見を申し述べることもさることながら、次回、それぞれの項目についてこのようにしてほしいというものを出させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

大渕小委員長

請求理由につきまして何かございませんか。

牧野委員

請求時期は、先ほど申しましたような当事者対立構造をとるということを前提にすれば、私は請求時期の制限はない方がいいだろうと思っております。
先ほど秋元委員がおっしゃったようなことが恐らく本当だろうと思います。重大な特許についてはそのニーズは後になって生ずることが多い。それをシャットアウトしておいて、裁判所の明白な無効事由というところにもっていくぐらいなら、請求時期の制限なしで特許庁で判断していただいた方がいいだろう、そういう感じがいたします。

大渕小委員長

今、請求時期のお話も出ていましたが、請求理由、請求時期、どちらでも結構ですので……。

松尾委員

共同出願とか冒認出願の件は全部整理できるかどうか私もまだ未検討ですが、移転請求権という形にして、地方裁判所の普通の事件として扱う方が適切だと思います。これはほとんど証拠で固まっていくような事実関係の問題ですから、その方がいいかと思います。
それから15ページですが、特許後の条約違反とか、特許後の特許権の共有違反とかは、具体的にはどういうものがあるのか教えていただきたいと思います。

小林審判企画室長

具体的な事件は手元にないのですけれども、条約違反自体が、実は念のために置いてある規定で、ある種の空文ですので、後発的理由であれ何であれ、条約違反のものは恐らくないと思います。
ただ、後発的理由として、特許された後に特許権の享有違反になるケースはあり得るだろうと思います。要するに権利関係が変わったので権利の享有をすることができる能力を後で欠くことになるというケースは当然あると思います。

中山部会長

今の松尾委員の冒認に関する発言の件ですけれども、普通裁判所で移転請求というのも可能ですけれども、場合によってはそれにプラスして、無効理由にして、かつ請求人適格を利害関係人に絞るという手もある。ですから、普通裁判所にもっていったからこっちはなくしていいということでは必ずしもなくて、両方あり得るということです。

松尾委員

そう思うのですけれども、この判断が特許庁でうまくできるかというと、私は非常に疑問に思っております。そういうところから、特許庁から外していただいた方がいいのではないかなと思いました。

中山部会長

私も基本的には昔からそう思っているのですけれども、ただ、移転は要らない、消しちゃえばいいのだという需要もあることはあると思うのです。その需要を全く無視していいかという話なのです。

山下委員

あえて異を唱えるようですけれども、冒認とか共同出願の場合、そう簡単に地裁でできるかという問題もあろうかと思うのです。というのは、これは職務発明などにも絡むのですけれども、一体だれを発明者に認定するかというのはそう簡単でない場合がかなりあり得るだろうと。事件によっては、はっきりわかっていて通常事件になじむ、文字どおり合意があったかどうかというだけなどというのもあるのですけれども、争い方によっては、普通の進歩性などの判断よりもっと難しいだれが発明者かという事件のときには、地裁にもっていくのはいいにしても、何か手当をしておかなければいけないのではないかという気はしますね。

松尾委員

それはそうだと思います。非常に難しいんです。どこまでできていれば発明があった、とか、着想がどこまでかとか、発明の完成とか、そのように難しいことですから、審判制度においても法律家を入れるとか、あるいは裁判所の方にもちゃんとした専門委員を審理に参加させるとか、いろいろなことをあわせてゆっくり考えていただきたいと思います。

大渕小委員長

ほかに何かございませんか。――
それでは、次回もまた行いますので、本日の議事自体としてはこれぐらいにしたいと思います。
事務連絡をお願いいたします。

広実審議室長

きょうの論点は、全体の姿、トータルな姿という考え方の中でもう1回議論をしていかないといけない問題かと思っておりますので、本日いただいたご意見を踏まえまして、事務局でより深い議論ができるような案を用意したいと思います。
次回の小委員会は、来月・7月17日水曜日の午後3時からの開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

大渕小委員長

それでは、以上をもちまして第2回紛争処理小委員会を閉会させていただきます。
本日は長時間のご審議ありがとうございました。

-了-

[更新日 2002年7月17日]

お問い合わせ

特許庁総務部総務課工業所有権制度改正審議室
電話:03-3581-1101 内線2118
FAX:03-3501-0624
e-mail:PA0A00@jpo.go.jp

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