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第2回意匠制度小委員会 議事録

産業構造審議会 知的財産政策部会 第2回意匠制度小委員会 議事録

  1. 日時:平成16年10月15日(金曜日)14時00分~16時00分
  2. 場所:特許庁 特別会議室
  3. 出席委員:
    大渕委員長、岡崎委員、勝尾委員代理(下川氏)、菅井委員、茶園委員、平野委員、牧野委員、水谷委員、光主委員、峯委員、森山委員、山本(為信)委員、山本(建太郎)委員
  4. 議題:意匠制度の枠組みの在り方について

開会

大渕委員長

それでは、まだお見えでない方もおられますが、定刻となりましたので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会第2回意匠制度小委員会を開催いたします。
前回は、製造産業局デザイン・人間生活システム政策室からの説明を踏まえた上で、「戦略的デザイン活用の重要性について」という点と、それから「意匠制度の見直しに関する検討の視点」という点について御審議いただき、さまざまな御意見をいただきました。本日は、「意匠制度の枠組みの在り方」につきまして、皆様に御議論を行っていただきます。
それでは、まず、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

花木審議室長

それでは、配付資料の確認をさせていただきます。
事前に委員の先生にお配りするように努めているんですが、今回はちょっと直前になってしまいまして、またお配りしたものと若干変わっておりますので、申しわけございません。資料はクリップどめになっておりまして、最初に「議事次第・配付資料一覧」、その後に「委員名簿」に続きまして、今回の御議論の素材として、「意匠制度の枠組みの在り方について」ということで資料1を用意させていただいております。そのほかに、後ろに「TAKARAのデザイン戦略と意匠制度」につきまして、(株)タカラ様の方から資料をいただいております。
その後ろは、参考資料でございます。参考資料は4つございまして、1番と3番は比較的資料集的なものでございますが、参考資料の2と4は後で説明の中で引用させていただきたいと思っております。クリップを外していただかないとなかなかわかりにくいかと思いますが、以上、お手元の方は資料ございますでしょうか。

大渕委員長

資料の方はよろしいでしょうか。

大渕委員長

それでは、早速、議題に入らせていただきます。
初めに事務局から、前回の議論のまとめと今回の検討事項について説明を行っていただきますので、よろしくお願いいたします。

花木審議室長

それでは、資料1でございます「意匠制度の枠組みの在り方について」ということでございますが、最初にローマ数字のⅠ.として、前回の議論のまとめと今回の検討事項ということで書かせていただいております。
前回の議論でございますが、前回は第1回ということで、意匠制度ユーザーからの指摘、ヒアリングの結果を踏まえて、意匠制度の見直しに当たって大きな検討の視点としてどういうものがあるのかということについて御検討いただいたところでございます。
全体としては、デザイン保護のために、意匠制度の果たすべき役割については、制度の趣旨ですとか、保護対象、保護範囲等について、従来の枠組みにとらわれることなく幅広く、御検討を行うべきという御指摘だったかと思いますが、その中で特に前提として、意匠法によって保護されるデザインというのが、世の中広くあるデザインのうちどの部分なのか、その入り口をきちんと整理した上で議論にとりかかるべきではないかという御指摘があったところでございます。具体的にはこの下のところに書いてあるとおりでございまして、製造産業局からのプレゼンテーションを踏まえまして、委員各位からさまざま御意見をいただいたということでございます。
それでは具体的に今回ということですが、2ページ目でございます。今回は、意匠制度の在り方の骨格について御意見を賜ればと思っているところでございます。それに先立ちまして、前回の小委員会におきまして、意匠制度の利用の現状の中で、アパレルとか玩具といったデザインというものが消費者の購買意欲に直接結びつく、本来であれば意匠制度のユーザーとして大きな割合を占めることが予想される業界において、必ずしも意匠制度が使われていないということで、その辺の実態をヒアリングすべきという御指摘がございました。
事務局でそれぞれの企業をヒアリングしてまいったんですが、こちらの下の(a)から(e)に書いてあるような御意見がございました。どうして利用できていないのかということなんですが、1つは、権利化まで時間がかかって、商品の開発サイクルに間に合わない。それから、数が多くて、出願や登録のコストが見合わない。また、ライフサイクルの問題。さらに、意匠権にそもそも登録できないものが多いのではないかとか、業界の中でそういうルールが確立していない、そういった多様な声がございました。
こういった企業に、プレゼンテーションをということでお願いしたんですが、意匠制度を利用していないところにプレゼンテーションを頼むというのも難しいものがございまして、今回は委員長とも御相談させていただいて、玩具という業界ではあるんですが、非常にデザイン戦略や意匠制度を積極的に活用されている企業でございます、(株)タカラの吉田知財部長からプレゼンテーションをお願いすることといたしました。したがいまして、まずプレゼンテーションの方をこれからお願いしたいと思います。
その次に、意匠制度のあり方の骨格についての御議論をお願いしたいと思っているんですが、2点考えておりまして、1つは、これも前回の小委員会でお話がございました、デザインを保護するといったときに、その中で意匠法で保護するというのはどういう分野なのかということが第1点です。
それから2番目に、制度の骨格について各国の意匠制度を参照しながら、どういう制度がいいのかという点についての御議論が第2点ということでお願いしたいと思います。
以上でございます。

TAKARAのデザイン戦略と意匠制度について

大渕委員長

それでは、今事務局の方から御説明いただいたとおり、まず(株)タカラの方から御説明いただくことにいたします。お忙しいところお越しいただきまして、ありがとうございます。
それでは、(株)タカラの吉田部長、御説明の方をお願いいたします。

吉田氏

座ったままで失礼いたします。
「リカちゃん人形」や「人生ゲーム」でおなじみの、玩具メーカーのTAKARAから参りました。今日は、玩具メーカーとしてユーザーの立場から、弊社で行っておりますデザイン戦略と意匠制度についてポイント的にお話させていただきます。
お手元の資料2で、ポイントだけ書かせていただいています。今日はデザイン戦略と意匠戦略、それから、ユーザーの希望と大きく3つに分けてお話させていただきます。
私どものデザイン戦略と申しますのは、基本的に御存じのとおり、おもちゃといいますのは、これはおもしろくなければ製品として成り立たないので、おもしろいこと、楽しいこと、そういったものが視覚的に子供たちとかそれを利用する大人ですね、利用客の方に視覚的に一気に飛び込んでいかないとなかなか買っていただけないと、こういう宿命を背負っているものですから。
ここに書いてありますように、デザイン戦略のコンセプトは、おもちゃの中核であります「遊び心」ですね、「遊び心」で生活文化を創造していく。生活文化といいますのは、御存知のとおり、私共もおもちゃその他実用品以外のものをたくさんつくっておりますので、そういった意味でゆとりある生活を、やはり我々なりにつくっていきたいという理念で進めているわけです。
ちなみに、このコンセプトといいますのは、これは私共経営戦略の根幹でもあります。ですから、経営戦略イコールデザイン戦略という観点で私共はこのデザインに取り組んでいるわけです。そういった意味で、形にTAKARAの理念が反映していかないと、これは私共の商品にはそぐわないということになるわけです。
それから、2番目のキーワードとして挙げさせていただきましたのは、プロダクト・アート。「愉しみとうるおい」とこう書いてあるんですが、私共の商品というのは当然のことながら、手づくり品ではありませんので、あらゆる川下の技術を使った生産技術上の制約の下で、限りなく感性に訴えていくアートな創作活動ですね。そういったところをキーワードとして、現行制約されている生産技術の中でアートな活動をしていこうというのがキーワードとして取り込んでいるわけです。
このコンセプトとキーワードを取り込んだいわゆるデザインフレームといいますのは、ここにもっともらしく書いてあるんですが、私共が長年培ってきた「遊び心」の企業ノウハウというのは、冒頭に申し上げましたように、とにかくおもしろくなければ何ともこれ話になりませんので、おもしろいもの、楽しいもの、そこにはやはり感性に訴えていく遊びですよね。特に子供たちは非常に感性がシャープですから、そういった意味での「遊び心」というものをやはり感性の育成とともに育てていく。そういったところをさんざん売り上げ比率という形でダイレクトで影響を受けてきた会社ですので、それなりにノウハウを持っている。
このノウハウを「カタチ」にあらわして、豊かで楽しいライフワークをサポートする、こういうところが私どもの大きなデザインフレームになってくるわけです。
具体的な事例でいいますと、お手元に「商品案内」今日お持ちさせていただきました。例えば1ページ目、見開きのところです。「リカちゃん」というのが出てくるんですけれども、「リカちゃんの世界」に代表される既存玩具、これはまさに例えば着せ替え人形ですと、ファッションドールですよね。ですから、本当にデザインそのものが生命の商品になっているわけです。常に最先端の時代のファッションを取り入れて、その中で子供達の世界で、ミニの世界でそれを実現していくという世界観ですね。
それから、例えばラストページ、一番最後の方を開いていただいて、左側にちょっと写真が小さいんですけれども、私ども最近、玩具以外に家電、電気自動車、電気自転車、バイクとこちらの方にも今進出しています。そういった意味で例えばこのような「遊び心」でデザインをすると、TAKARAが家電をデザインするとどうなるかというような一つの例として、左側のページの上の段の「±0」と赤で入っているブランド名があるんですが、この一連の家電シリーズについては、これはデザイナーのお力をかりて、おもちゃ屋のTAKARAが家電を出すとこうなるよという一つの具体例です。
それから、その下の段へ行きますと、これもヤマハさんなんかとも共同で開発させていただいたんですが、TAKARAが電気自転車をデザインすると、やはりどうなりますかと。ここで、専門の方はごらんいただければすぐおわかりいただけると思うんですが、やはり既存にはない「遊び心」で実用品のデザインを、創作活動するとどうなるかというのが、こういう形での具体的な例として今日出させていただいたわけです。ですから、「遊び心」といいましても非常に抽象的な概念ですので、それが具体的な商品形態として一体どうなるのかということの一つの例として、これを挙げさせていただいたわけです。
これが全体的なTAKARAのデザイン戦略と言えるかどうかわかりませんけれども、終始一貫して経営戦略と一貫した形での活動をやっているということです。
では、それの裏づけとしての意匠戦略はどのように私ども制度として取り組んでいるのかということなんですが、先ほど申し上げましたように経営戦略イコールデザイン戦略という考え方をとっていますので、当然のことながら、デザイン戦略の中核は現状、工業製品である以上意匠権が中心になっています。アイデアそのものは特許権、実用新案権を十分に活用させていただいておりますが、やはりユーザー、顧客に、パッと見て「これは欲しいよ」と思わせるようなデザイン、「商品デザイン」というのは、やはり私どもとすれば「TAKARAの顔」そのものなわけです。そのようなデザインについては積極的に意匠権を取得させていただいていくという形で取り組んでおります。
これはもっともなお話なんですが、市場では当然のことながら、競争戦略上の大きな差別力に直結しています。それが市場でのブランド競争力を高めていく。それから、実際にこれをお買い求めいただいたお客の方からは、やはり所有された満足感、パッと見て「素敵だよ」、「おもしろいよ」と言って買っていただいたものは、やはり手にして遊んだときに相応の満足感を持って迎えていただけるという中で、本当のTAKARAというブランド信用力を高めていただくという形で、最終的にはこの意匠権のところで、TAKARAブランドの競争力と信用力を増大させていただいているということになろうかと思います。
さらに具体的な活用として、意匠権活用と保護強化という視点から、活用の具体例を簡単にポイント的に入れたんですが、やはり何と申し上げましても、私どもは川下商品ですので、おもしろいものが出れば、アッという間に模倣品が出てきます。ひどいのになりますと、内見会を開いて、発売前にもう既に中国の商品がパラパラと出始めるというようなすさまじい業界でもあるんですが、そういった意味で私ども一番まず考えているのは、「コックを締めろ」と書いてあるんですが、主にこれ、敵は中国です。
かつては台湾、韓国が主体だったんですが、御存じのとおり今は中国が圧倒的に模倣品の水源地になっております。これをやはり現地で、中国でたたかないことには何ともならない。そのときに当然のことながら国内出願がベースになっていきますので、国内の意匠出願をベースに中国出願をし、その権利下の中で現地メーカーをたたく、流通業者を摘発していくという作業が、当地の行政機関と一緒に、司法も含めてですが、実際に実行しているというところです。今のところそれ相応の効果は上げているかなと。特許権は非常に中国は遅いので、実際に使えるのはやはり意匠権が一番。商標権、意匠権が我々としては一番使い勝手がいいというのが現状でございます。
それから、その下の段で、「日の当たる道は歩かせない」と書いてあるんですが、これはそうは言っても相当数の模倣品が国内に持ち込まれてまいります。そういったときの防御、手だてというのは、実用新案も最近早くなっているので使い勝手はよくなってきているんですけれども、やはり意匠権を活用し税関の水際防止、流通での排除、強制捜査、法的措置等を一連の流れの中でノックオフの商品を排除していく。
ありがたいことに現在の国内の正規と言っては何ですが、ごく普通に流れている流通業者さんであれば、大体取引契約の中には、知的財産権その他の権利を侵害するものは取り扱わないという規定が入っていますので、これは私共商品の模倣品ですよと業者さんに持ち込めば、大体店頭から排除していただける。ただしその場合はやはり、そうは言っても、権利持っていらっしゃるんでしょうな、というお話になりますので、その場合は出願中であっても仕方がないので、権利取得されていれば一番いいんですけれども、登録もしくは出願中のものを提示するということで御納得いただいているのが現状です。
強制捜査の場合は、国内にある一定量は入っていますので、どうしてもさばかなければならないということになると、やはり裏ルートで俗に言う縁日とか、祭りとか、体育祭とか、そういったところの露天にバーンと出てくる。これは2~3日で全部撤去していくものですから、そこへ流している元のところを、司法の御協力をいただいて取り締まっていく。
なかなか面倒くさいんですけれども、ただここでありがたいのは、商標権と意匠権というのは非常に素人と言っては失礼なんですが、捜査官の人たちにはわかりいい。これが特許権、実用新案で請求の範囲で、要部はこうだああだと言ってもこれはなかなか御理解いただけにくいが、意匠権であれば、特に写真を主に私ども使わせていただいているんですが、デッドコピーの場合は、もうだれが見てもこれ似てるぜということになるわけでして、非常にその点での強制捜査の協力がこちらもしやすいし、実際に捜査する方もやりやすいと、こういうことだと思うんですね。
それから、水際防止として税関の方も特許・実案はなかなか、最近はよく御理解いただいているんですけれども、やはり商標、意匠権、外観の類似判定ですから、これは即効性が得易いということで、現状非常にありがたいんですけれども、私共の業界、特にTAKARAの場合は意匠権、それから、権利がおりる前は不正競争防止法を使わせていただいて、国内での正規の流通で模倣品はまず流れないというのが現状でございます。そういった意味で、「日の当たる道を歩かせない」とそう書いたわけなんです。
それから、「ライセンシーを守れ」ということを書いてあります。私どものTAKARAのコンテンツをワールドワイドで今活用していただいております。そういったときに特に海外の場合は間違いなく、自分の自国でのライセンシー保護はきちんと図れているんだろうなというのが前提になってきます。ただ、私どもも非常に足の早い業界ですので、ライセンス契約を交わすときに、「まだ出願中である」とこう言わざるを得ないケースも出て、ここは非常に弱いので、やはり海外でのライセンス活動、特に商品化権と称するものですね、この海外展開のときに意匠権でも構わないので何らかの権利、ライツがあれば非常にビジネスは円滑に進む。現状そこが若干ネックになっております。
ただ、これはビジネスですから、いずれ必ず権利がとれるんだということが分れば、自分の国で模倣品が中国から流れてきたときに、それを排除してもらえるんだという権利をTAKARAは持っているんだということがある程度説得できれば、出願中であっても若干は猶予いただけるかなと。具体的にはやはり先方の税関でのストップ、それから流通業者への圧力、法的措置の保証が求められます。それに応えるにはまず意匠権と、それから国によっては著作権、アメリカなんかは著作権を使わせていただいておりますけれども、その両方抱き合わせで排除していけるということになってきます。ただ、これは後から述べますけれども、そういう点で登録までのリードタイムは極力、できれば3カ月ぐらいでいただきたいなというのが本音です。
それから、もう一つは最終的には「マーケティング戦略とリンク」と書いてあるんですが、意匠制度とマーケティング戦略というのは不可分の関係になっています。私共のようなファッション商品は、視覚的な遡及力というものは絶対的な効果を持ってきますので、市場での差別化力、差別化戦略とデザイン、そのデザイン戦略の裏づけになっている意匠権の権利というものが一体的に顧客に遡及されていく。そういった中で、一番上の表にあるような「差別化力」というものにダイレクトでつながっていくと認識していますし、そのように実際に行使しているということになろうかと思います。
ですから、これもやはりマーケティングをやっていく上で、TAKARAにはどんな権利があるんだということは、実行部隊で宣伝広告販促部隊がそれを自覚しているのといないのとでは、当然のことながら迫力が違ってくるということだと思うんです。
以上が、私どもの意匠戦略上のポイントでございます。
3番目は、これは済みません、勝手に書かせていただきました。御批判は承知で。私共の足の早い業界の玩具メーカーで意匠制度を活用していくに当たっては、一つは現行の一出願の保護範囲の拡大というものはどうしても欲しいなと。現行では、関連出願、部分意匠その他いろいろ制度はおありになるんですが、できれば費用対効果ということを考えていったときに、一つの基本的な単一の意匠概念に含まれるような複数意匠は当初から類型として、一出願の範囲の中に認めていただけるような出願形式ですね。アメリカなんかでは今それを採っていると思うんですが、できればそういう形での出願形態を認めていただけると非常にありがたいなと。
その場合、件数が減るんじゃないかという懸念が起きるわけですが、私はこれは逆だと思うんです。現在、費用対効果の中で、年間に意匠制度に割ける予算も当然私共組んでいますから、そうなると逆に出願件数を抑えてしまうということになりかねないので。本当はもっと出願したいんですが、一出願の保護範囲が限られている現行制度では、この点についての検討がぜひいただけるとありがたいなというぐあいに思います。
ちなみに私どもも年間新商品は、その年によって違いますが、2500点から4000点という件数で今出ております。ただ、それはあくまでも「リカちゃん」の靴とか洋服まで入れての点数ですので、実際に売り上げにダイレクトで関係してくる新製品点数というのは大体150アイテムぐらい。年間100から150アイテムの商品点数がポイントになって来ます。
私共、ちなみに昨年度の意匠出願件数は、年間で225件申請させていただきました。ですから、重要アイテムについて約2件強の形で意匠出願で賄っている状況でございます。
それから、今申し上げました意匠出願の保護範囲の拡大と連動して、できれば、何と言いましてもリードタイムを短縮していただきたい。もう1カ月でも2カ月でもいいというのが急務な状況になっているものですから。特に中国は、非常に最近また早くなっています。そういった意味で、できれば3カ月程度で登録いただきたいなと。その場合に実用新案と若干違うのは、意匠の場合は当初からオリジナリティーに富んだデザインに取り組んでいますので、大体私共の登録の率は高いと認識しているんですが、まず無審査で構わない。登録の事実が欲しい。
特に、年間に出る重要アイテムの100から150のうち、50アイテムぐらいが最重要アイテムになるんですが、この種のデザインというのは、まず今までのものを繰り返すということはあり得ないので、同じデザインパターンで持ち込めば顧客に嫌われちゃいますので、やはり新しいデザインというのは必然的に生まれます。ですから、そういった意味では最初から登録していただいて、出願イコール登録という形でお願いしたいぐらいのものなんですけれども。
無審査制の導入で、できればリードタイムの短縮を図っていただいて、当然のことながら、法的措置をするときは自己責任になるんですが、できればお墨付きも欲しいと欲張っているものですから、そういうときは実用新案の改正法と同じように、1回はじゃあ要求があれば、その審査はやるよと。共通の理由があればそのときに出しますというようなものを併用してもし入れていただけるのであれば、これは非常にありがたいなということです。
それから、3点目は権利期間の延長ということなんですが、現行15年になっているわけですが、希望は20年、30年です。理由は、特許や実用新案の技術は陳腐化していくんですが、デザインというのは御存じのとおり、大正時代のデザインがまた復興されたり、昭和初期がという形でいろんな形でサイクル化してきますので、若干その時代時代にモディファイはされますが、その基本デザインというのは、そんなに陳腐化して捨てられていくものでもないというぐあいに認識しています。
そういった意味からすると、特におもちゃの場合は、早いものは3年、普通で5年ぐらいでサイクル化してくるんです。これはちょっと相矛盾するんですけれども、かつてのヒット商品が、5年たつとまた同じような形で出ていくということもよくあります。そういったときに、例えば5年目、10年目といったときにサイクル化していくときに、もう15年で権利が切れているよと。発売当時のリカちゃんの顔と今の顔とは大体、当初42年に発売したんですが、もう40年ですか、4回顔が変わっています。ですが、やはり好みですので、最近また、当初の顔がいいという声も間々出てきております。そのときは何もカバーする意匠権はないんだよということになりますので、できれば期間を延長していただきたいなと。
4つ目は、現行の関連意匠と部分意匠については、もし1番が認められるのであればこれは必要がなくなるのかなと思いまして、勝手に入れさせていただきました。
以上、ざっと御説明させていただきました。どうも失礼いたしました。

大渕委員長

御説明ありがとうございました。
ただいまの御説明に対する御質問等がございましたら、お願いいたします。
せっかくの機会ですので、どなたかございませんか。どうぞ。

勝尾委員
(代理下川氏)

日経デザインの下川です。
ダッコちゃんを、たしか数十年ぶりといいますか、10年ぶりですかね、復刻されましたけれども、その際にお持ちになっていた権利というのはどういったもので、また新たに出願されたようなこともあるんですか。

吉田氏

ダッコちゃんを復刻した段階では、裏づけされている権利は何もありませんでした。ですから意匠権も既に当然のことながら切れていますし、唯一商標権のみが残っていたという状況です。あれは当初のデザインを復刻したかったんですが、人種差別の問題等もいろいろあるものですから、時代のずれという中で、新しいデザインを新たに起こしたという状況です。

勝尾委員
(代理下川氏)

それはもう出願されているんですか。

吉田氏

もちろんそれは出願させていただきました。だから、権利としては意匠権と著作権の両方を私どもは主張させていただいております。

勝尾委員
(代理下川氏)

実際に類似品、模倣品というのは出たんですか。

吉田氏

出ませんでした。

大渕委員長

どうぞ。

山本(為)委員

どうも遅参しまして、私、山本光学の山本でございます。
今のタカラさんのお話で、我々は海外に特に興味がありまして、海外の意匠をどれぐらいの国にカバーされてとられているんでしょうか。1つの新しい意匠をおつくりになったときに、どれぐらいの国をカバーしておやりになってというふうなことを、お話できる範囲でお教えください。

吉田氏

主なマーケットですから、15カ国ぐらいでしょうか。それとノックオフ対策用としての、やはり中国、台湾、韓国にも出していますから。

山本(為)委員

イメージから言ったら、15カ国しかないのかと思うんですけど。

吉田氏

なかなかでも、おもちゃの場合は圧倒的にアメリカの市場が大きいので、あとはヨーロッパ、東南アジアが少しという程度ですかね。

山本(為)委員

世界のTAKARAブランドでも15カ国程度ということですかね。そうすると、それ以外の国はカバーしていないということですね。

吉田氏

なかなかマーケットとして成立しないものですから。

山本(為)委員

わかりました。ありがとうございました。

大渕委員長

どうぞ。

森山委員

御発言の中に、米国の場合には、玩具著作権で保護されるというふうにおっしゃっていましたが、あらゆる玩具はその対象になっているんでしょうか。

吉田氏

なっています。

森山委員

そうすると権利期間が非常に長いということですか。

吉田氏

そうですね。

森山委員

ありがとうございました。

大渕委員長

どうぞ。

平野委員

カタログの中で最後の方で、プラスマイナスゼロとか、ハイブリット自転車をつくられているという話なんですが、このとき、ハイブリットの方はヤマハさんとやられていて、プラスマイナスゼロの場合は深澤さんというデザイナーですね。そのときの著作権のとり方とか、特許のとり方というのはどういうふうにされていますか。例えば共同でやっているのかとか。

吉田氏

基本的には、すべての知的財産権はタカラの方に譲渡されるという契約で進んでいます。

平野委員

なるほど。ヤマハさんともですか。

吉田氏

イコールですね。

平野委員

イコール。全部、タカラさんがお持ちになる。

吉田氏

はい。

平野委員

ちなみに著作権その他の、意匠権もそうなんでしょうけど、そういう登録出願の費用、大体年間の予算をお持ちだということなんですが、差し支えなければ、幾らぐらい御社の場合はお持ちになるんですか。

吉田氏

大ざっぱに言いまして、約3億でしょうか。

平野委員

3億で、海外のものも含めて。

吉田氏

年間3億ですね。

平野委員

ありがとうございました。

大渕委員長

どうぞ。

岡崎委員

日本知的財産協会の岡崎と申します。どうもありがとうございました。
最後の、ユーザー希望の3点目につきまして、恐らく20年、30年と更新可能にすべきというのは、お気持ちからすれば、もっと長い期間を望むものと察します。リカちゃん人形のようにヒットしました商品というのは、20年、30年と言わず、もっともっと長くという気持ちがします。
一方、公共等の利益を考えたら、無期限というのもないだろうということで、有限期間として20年、30年と書かれたと思うのですが、リカちゃん人形のようにおもちゃ業界で著名になっているものでありましたら、不正競争防止法でも保護できると理解するわけですけれども、それでもやはり意匠権があるべきだというところは、どういう点から意匠権の方に重きを置かれるわけですか。

吉田氏

やはりプロダクトの製品ですので、私どもの玩具に著作権がどの程度波及するかということについては、これは我田引水でいろいろ主張しているに過ぎないので、これはもし本当に法的レベルでの争いになったときは、非常に大変かなと考えています。
あくまでも人形、例えばリカちゃんに限定すれば、工業製品にかわりないので、これに意匠権が存続しているということであれば非常に類似品は打ちやすい。著作権については、私共複製品の扱いという形で考えているんです。ですから、実際のリカちゃんの著作物は一体何かということになると、ちょっと横道にそれますが、原画・イラストですね、デザイナーが画いたイラスト、それから原型になっている型があるんですが、粘土から石膏で固めていくんですが、そういう原型があるんですが、その彫刻としての原型を、著作物として権利を主張している。製品はあくまでも、それの複製品であるという立場をとっているものですから。やはり工業製品は基本的には旧工業所有権法4法でカバーされることが一番適切だと思います。

岡崎委員

ありがとうございます。

大渕委員長

茶園委員どうぞ。

茶園委員

今岡崎委員が御質問されました保護期間と無審査制度に関して、2点質問したいのですが、まず、保護期間を一定の期間に限るということは、その後は誰もが自由に使えるようにするという趣旨なのですが、おもちゃ業界は特殊なのかもしれませんが、例えば他の会社が意匠権を取得したデザインを、自分たちも使いたいという、そういう要求や必要というものがないのか。あるとすると、保護期間を長くすればするほど使えなくなる期間が長くなりますから、この要求や必要が満たされにくくなるという問題が生じます。
無審査制度に関しては、ユーザー希望の中に無審査制を導入すべきだと書かれていますが、これは審査が行われることによって安定的な権利を取得するよりも、無審査によってできるだけ早く権利取得をすることの方がメリットがあるという御趣旨だと思うのです。この点は先ほどの御説明の中では中国との関係を非常に強調しておられましたが、中国との関係を度外視した場合に、それでもやはり無審査の方が望ましいとお考えなのか、その2点をお願いします。

吉田氏

わかりました。最初の点をもう一度後で確認させていただきたいんですが、後の点から申しますと、やはりベストは、短期間にお墨付きをいただくのが理想です。ただ、どうしても物理的に困難だろうという認識を持っているものですから、消極的な意味での無審査ということですね。リードタイムが欲しい、短縮させたいために、無審査ということを要望しているということです。基本的にはお墨付はいただきたいなと思います。もしこれが中国という対象がなくなったときはどうかというのであれば、これは別に3カ月である必要はないので、私は現行の6カ月、7カ月でも十分だという認識は持っています。
済みません、最初の御質問の趣旨は。

茶園委員

保護期間を限定するというのは、その期間を経過すればあとは皆が自由に使えるという、公衆に開放するということですね。ですから、保護期間を長くすればするほど、公衆に開放される時点が遅くなってしまう。保護期間を延長すべきだとおっしゃっていましたが、延長すると別のおもちゃ会社が創作したデザインが使えなくなる期間が長くなってしまうということになるのですが、そういうデメリットは、タカラさんのところでは特に感じられないということですか。

吉田氏

それぞれ、すみ分けていると言ってはおかしいんですが、ほぼ類似したものはそんなにお互いつくっていない。国内の場合は。例えばファッションドールということになると、多分タカラ今のところ1社に近いんじゃないでしょうか。あとはアメリカのマテル社のバービー人形に代表される程度というぐあいに、それぞれが。バッティングしているとすれば、変形合体玩具のB社さんと私どもとか、その程度です。そんなにはバッティングしてない、重複関係にはなってないかなと思います。
そういう意味ではむしろ先ほど申し上げましたように、できれば著作権の権利期間とイコールぐらいの意匠権の権利期間は欲しいですね。商品化権がこれほど世の中に定着してきていますので、今現実の運用として、リカちゃんに著作権はないのかというと、大体著作権はあるよという認識で今ビジネス界は動いているものですから。そうしたときに、先ほどお話も出ましたけれども、著作権や不正競争防止法でも十分じゃないかと言われると、やはり工業製品ですから、複製品の著作権や不正競争防止法だけの主張というのは弱くなってくる。やはり意匠権が欲しいなとこうなるわけです。

大渕委員長

どうぞ。

峯委員

峯でございます。1点お伺いしたいところは、今ずっとおもちゃ、玩具というところでタカラさんは意匠戦略を立ててこられました。このカタログを拝見しますと、最後のところに、プラスマイナスゼロという家電が乗っています。玩具についての意匠を考える場合と家電についての意匠を考える場合、出願戦略において何か違うところがありましたら、お聞かせいただきたいと思います。

吉田氏

基本的には変わらないですね。と申しますのは、デザイン戦略の基本コンセプトは、私どもの場合は「遊び心」が基本コンセプトになっています。ですから、これは家電であろうが、おもちゃであろうが、「遊び心」には変わらない。ただ、それをお使いになるユーザーが子供たちである場合、子供でも男の子、女の子、それと家電のような、実際これは大人対象ですから、大人を対象としたような場合の嗜好の違いというのがございますので、「遊び心」の表現は違ってくると思います。ただ、ベースにあるのは「遊び心」のコンセプトでくくっていますので、基本的にはそんなに変わらないと認識しています。

峯委員

申しわけありません、デザイン戦略というよりも意匠の出願戦略。

吉田氏

出願戦略、ごめんなさい。家電の場合、現行私どもも全く家電と自転車の場合は新規参入なものですから、中国の脅威というのが今のところそんなにさらされていません。ですから、おもちゃほどの意匠戦略が必要だというぐあいには現状はそんなには認識してません。逼迫していないものですから。玩具のノックオフに対する意匠出願上の戦略の行使の仕方と家電や自転車とは、明らかに現状は違っています。違っているというのは、大ざっぱにやっていると、乱暴な言い方をするとそうなります。

大渕委員長

どうぞ。

平野委員

似たような話になるかもしれませんが、家電の場合はそうですねというのはわかりました。最近の玩具はIT関係、ある意味でCRTだとか、画面だとか、そういうのがありますよね。そういうものに対する意匠権というのはないわけですが、それは何か今手だてを打たれていますか。

吉田氏

著作権オンリーで。現行の制度では非常に難しいのかなと認識しています。

平野委員

その辺はどういうふうにお考えですか。

吉田氏

できれば、保護対象に入れていただきたいと思います。

平野委員

ありがとうございました。

大渕委員長

それでは、時間も押してまいりましたので、これぐらいにしたいと思います。
タカラの吉田部長、お忙しいところどうもありがとうございました。

意匠制度の枠組みの在り方について

大渕委員長

それでは、次の議題に入らせていただきますが、事務局の方から、「意匠制度の枠組みの在り方について」という資料について御説明をお願いいたします。

花木審議室長

それでは、説明をさせていただきたいと思います。
それに先立ちまして、前回第1回の委員会で御欠席でいらっしゃいました委員が今回お越しになっておりますので、御紹介させていただきたいと思います。
山本光学株式会社代表取締役社長の山本為信委員でございます。

山本(為)委員

山本でございます。

花木審議室長

それでは、資料1の方で、時間の関係もございますのでごく簡単に御説明させていただきまして、後で質疑の中でもし補足があれば御指摘いただいて、追加でということでやらせていただきたいと思います。
まず、3ページでございます。今回この会議におきましては、今いろいろ現行意匠法に対する御要望ということでたくさんいただいたんですが、大きな入り口のところから御議論いただきたいと思っております。
1つは、3ページの一番上のところですが、「我が国の意匠制度によって保護すべきデザインとは、何なのか」ということで、前回、プレゼンテーションで、デザインというのは非常に幅広くなっているという御議論があったかと思います。そういう中でデザインの保護というのは、意匠法がメインではありますが、意匠法に必ずしも限られるわけではありませんし、それから、法律的な保護が必要なもの、そうでないもの、多様なものがあるかと思います。
したがいまして、ここに書いてございますように、まずデザインとはどういうものであるかということを踏まえながら、そのうち意匠制度によって保護すべきデザイン、逆に申し上げれば意匠法が対象とするもの、意匠の定義とでも言ったものになるかと思いますが、それについてどういうふうにすべきかという点を第1点、御議論いただきたいというふうに思っております。
それからもう一点でございますが、飛びまして14ページでございます。意匠制度の在り方についてということで、本論の一番入り口の部分かと思います。「我が国の意匠制度は、どのようなものであるべきか」という点でございます。先ほど、無審査という御意見もございましたが、さまざまな審査の類型、登録の類型があり得るし、国際的には現にあるわけでございますが、そういう中でメリット、デメリットを勘案しつつ、どういうものがいいのかという点、この点について御議論いただきたいと思っております。
引き続きまして、若干補足をお手元の資料に基づいてさせていただきたいと思います。まず第1点の方でございますが、3ページのところでございます。現行の意匠法ですが、1.として現行意匠法における定義ということで、現行意匠法は、登録される意匠はここの3つの要件、すなわち物品性があること、視覚を通じて認識されるものであること、美感性があること、この3つが要件になっているかと思います。こちらについてどうなのかという議論をしていただきたいと思っております。
これは前回第1回の小委員会で、いろいろな委員から複数、意匠、デザインと言ってもいろいろある。そういう中で意匠権の対象になるもの、意匠法の対象になるものはどういうものかということをまず議論した上でないとちょっと議論は進まないという御指摘がありましたので、最初に御議論をお願いしたいと思っております。
資料3ページ、2.ですが、我が国意匠法における意匠の定義の変遷ということで、これは御参考ですが、現在のような意匠の定義、物品と一体化した意匠の定義というのは、大正10年法からずっとできております。その前は、物品と意匠と若干区分したような、意匠というのは物品に応用されるものというような定義であったということでございます。
それから、4ページの3.でございますが、それでは海外の意匠制度においては、どういうものが保護されているかということを簡単に書かせていただきました。
まず、EUの共同体意匠指令に基づく意匠の定義でございますが、5ページの上に書いてあるとおりでございます。こちらは(a)、(b)、(c)ございまして、製品の全部又は一部の外観、それから、こちらに書いてありますのは線、輪郭、色彩、形状、素材の特徴により構成される。
また、有体物に限っていないということで、日本の現在意匠法と比べますと、「物品」という言い方よりも「製品」ということで、一定の無体物も対象にしている。それから、「形状、模様、色彩」のみでなく、「線、素材の特徴」のようなものを対象にしている。また、こちらに書いてありますような画像シンボル、タイプフェイスといったようなものまで含むということで。逆に含まないものとしては、コンピュータ・プログラムは明文上除外されているわけでございますし、インテリアデザインとか、ランドスケープデザインとかそういったようなものは対象にしていないというふうに解されているということで聞いております。
また、米国はどうかということでございますが、米国は逆に物品と一体化したものということで、日本とほぼ同等の定義をとっているというふうに理解しております。
6ページのところでございますが、日本の定義と比較するとということで、基本的には非常に似ているわけでございますが、ただし、色彩については米国は書いていないということがございます。
海外との比較はそういうことですが、日本の国内法でも多様な法律がございまして、それぞれデザインに関連したものが保護されているということで、詳しくは立ち入りませんが、図で見いただければおわかりのとおり、特許法、実用法、著作権法、商標法です。また、先ほど御質問のございました不正競争防止法においても、著名表示にかかる混同惹起行為、あるいは商品形態模倣といった形で、一定のデザインが対象になっているということでございます。
12ページでございますが、したがいまして、本日の御議論の第1点といたしまして、意匠法が保護すべきデザインは、何かということについて、大きな方向性の御議論をいただきたい。前回の御議論でございましたが、デザインの概念というのが拡大してきている。また、企業活動の中での役割も多様化している。例えばということで、創作の背景にある思想とか製品開発を貫く全体的な目標とか、シリーズ化やグループ化された製品群に共通した統一的な要素、あるいは製品、商品の形態から醸し出される雰囲気、消費者に対するイメージといったものについて、保護すべきではないかというような御議論もあったかと思いますが、そういう点についてどうするのか。
また、仮にそうしたところにまで広げないで、やはり物品性が大事だという御議論があったとしても、その場合もそのウエートをどこに置くのか、あるいは置かないのか、独創性の高いデザインを念頭に保護するものなのか、あるいは他社と混同を生じない程度に差別化されたものであれば保護に値するのか、あるいは現在は対象になっていないわけですが、技術的な機能に基づく特徴のみのデザインといったものについてどう考えるのかというのは、そういった論点があるかと思います。
その際、2点書かせていただいておりまして、一つが意匠制度の目的との関係でございまして、やはり意匠制度というのは、産業の発達を目指すものであって、一定の方に対して排他独占権を与えることによって投資コストを回収するという機能が現在果たされているわけでございますが、そちらとの関係を意匠の対象を拡大する場合にどう考えるのか。
それから、事業活動への影響ということで、前回、製造産業局から御説明のございました戦略的デザイン研究会の方では、かなり幅広い意匠の範囲、具体的には類似の範囲ということで書いているわけですが、読み方によっては、上流にさかのぼれるような、比較的幅広い概念を保護するという考え方も読み得るかと思います。
そういう考え方をとった場合、こちらに書いてありますように、先発者、いわゆる先に取り組んだ方に対しては非常に強い権利が与えられるわけですが、フォロアーというか後発の方は、なかなか活動がしにくくなるということ。また、権利範囲が強くて、例えば全体的な目的とか思想というものが保護されるということになりますと、具体的にそれがどこまでなのか。前回の御議論でも、クレームのような書き方というのがあり得るのではないか、図面を離れてもあり得るのではないかという御議論があったかと思いましたが、その際不明確になるのではないかというような御議論、また意匠権が強いということで、競争制限にならないかという点の御意見もあるかと思います。その点も踏まえて御議論、この物品性、資格を通じた認識、美感性という3点について御意見をいただければというのが第1でございます。
第2でございますが、14ページ、意匠全体について。これは前回の資料1の中で書かせていただきましたが、意匠についてのユーザーニーズを整理すると、こういうことがあるのではないかということで、前回の御指摘も踏まえて若干追加させていただきました。
意匠の範囲をどうとらえるかというのは先ほどの御議論でございますが、そのほかにも、権利発生までの期間とか、コストの問題、また権利の強さ、審査の質の問題、権利行使の問題、その他外部サービスの問題、いろいろあるかと思います。こういうことも考えながら、どういう意匠制度がよいのかということについて御議論いただければと思います。
15ページでございますが、議論の前提といたしまして、意匠制度の類型ということで、御承知のとおりでございますが、4通りに分けさせていただきました。(4)というのが現在の日本の制度、いわゆる審査登録型で、強い排他的独占権を与えるパターンでございます。
対象的なパターンとして、(1)に書いてございます非登録型ということで、著作権とか、権利と言えるかどうかあれなんですが、不正競争防止法に近いようなそういった形のパターンもあるかと思います。
中間的なパターンとして、無審査登録、これも強い権利、弱い権利がございまして、弱い権利というのは、無審査登録で一定の権利は発生するんですが、排他的独占権までは必ずしも与えない。第三者が独自に創作した場合は権利が及ばないというパターン。
それに対して(3)は、強い権利としての無審査登録型で、第三者が知らずに開発した意匠であっても、権利が及ぶというパターンで分類させていただきました。
それから、諸外国でございますが、16ページ以降にごくごく簡単に紹介させていただいております。アメリカの場合、こちらは日本と同様の審査登録型であるということでございます。
また、中国は、無審査登録ということでございます。
それから、ドイツでございますが、ドイツの場合は、先ほどで言いますと(3)番目の無審査の強い権利というのをシングルトラックで採用しているということでございます。
また、韓国でございますが、こちらはダブルトラックで、無審査登録と審査登録型とのダブルトラックということでございます。1997年ですか、韓国の意匠法が改正されまして、一定の分野につきましては無審査制度、登録制度が導入されたわけでございます。対象としては、衣類とかそういった比較的ライフサイクルの短い商品。さらに2001年に韓国は意匠法が再度改正されまして、完全な無審査という形ではなくて、一定の意匠の登録要件だけ審査する。実体的な中身は見ないという形で改正されたかと思います。そういったダブルトラックのすみ分けの制度になっているということでございます。
それから17ページ、右側の欧州共同体でございますが、こちらもダブルトラックでございますが、非登録形型とそれから、すなわち先ほどで言いますと(1)のパターン、それから無審査の強い権利、(3)のパターンということのダブルトラックになっております。
こちらは非登録型で一定の権利が発生して、こちらは権利は短い、3年間というわけでございますが、登録型の方に、1年以内であれば乗り換えができる。逆に登録型の制度のグレースピリオドとして1年間用意されていると聞いておりまして、とりあえず非登録型で自然発生的に意匠権が発生いたしまして、それを強い権利に移すことができる制度になっているということでございます。
それから、イギリスも同じようにダブルトラックになっておりまして、登録の方は欧州共同体、同じ制度でございますが、非登録制度の方は若干欧州共同体の非登録制度より強い制度になっております。例えば権利の期間が10年から15年という形で、こちらは委員の先生方よく御存じかと思いますが、もともと著作権が非常に強かった。工業的なものについても著作権が及んでいて、非常に弊害が指摘されたということで、むしろその著作権から切り離すということで、意匠、非登録デザイン制度を導入したという歴史的な経緯があるわけでございます。
以上、参考にしていただきまして、18ページ、今申し上げました4種類のパターン、意匠制度につきまして、非登録型から審査登録型まで、さまざまなバリエーションにつきましてメリット、デメリット、それぞれ一長一短あるかと思います。また、こういったものをシングルトラックだけではなくて、20ページを見ていただきますと、ダブルトラック型ということで、複数あるいは3つの制度の組み合わせというパターンも検討の対象になるのではないかというふうに思っております。
非登録型と無審査登録型のダブルトラック、これはEU、あるいはイギリスでとられている制度でございますが、先ほど申し上げましたように、いったん弱い権利が発生していて、それを強い権利に状況を見ながら、売れ行きを見ながら、意匠の有効性を見ながら切り替えていけるというメリットがあるわけでございます。
また、無審査と審査のダブルトラックは、先ほど申し上げました韓国の制度があるわけでございます。
それぞれの制度につきましては、参考資料の2を見ていただきますと、今のシングルトラック、ダブルトラックの簡単な仕組みを図でお示ししておりますので、こちらを参考にしていただければと思っております。
また、参考資料の4でございますが、これはちょっと図が見にくいんですが、参考資料4のめくっていただいて2ページ目の下のところです。こちらで今御紹介させていただきました、それぞれの国の意匠の登録件数がどの程度かということで、参考にしていただければと思います。日本は、全世界で約30万件の登録があるわけでございますが、その中で今申し上げた国がどれぐらいの件数があるのか、特に最近、中国が非常に増えてきているのが読み取れるかと思います。
また、参考資料4の1ページ目の方なんですが、こちらはちょっと図が見にくいんですが、日米欧という3つのくくりで、今申し上げましたようなさまざま制度があるわけですが、そういう地域はどういう分類、どういう種類の商品に対して意匠が使われているのかということでございます。
特徴的な点を申し上げますと、まず、上から6番目のクラス6の家具というのが右側にあるかと思いますが、家具の登録は非常に欧州が多いということが読み取れるかと思います。また、欧州が多いのものとしては、その次のクラス9です。商品の輸送又は取り扱いのためのパッケージ及び容器というものは欧州が多いわけです。そのほかに、クラス2の衣料品についても欧州が多いわけでございます。
一方、我が国の意匠登録で多いものと言いますと、クラス14、記録、通信又は情報検索の機器ということで、いわゆる電気通信関係の機器、特に情報通信機器の登録件数が非常に多い。また、クラス23ですが、流体供給装置、いわゆるポンプのようなもの、衛生用、暖房用、換気用及び空調用の機器といった実用品が多い。これは前回の御議論の中でも御指摘があったかと思います。また、クラス25の建築ユニット及び建設部材、いわゆる建材的なものの登録が日本の場合は多い。また、クラス28の医薬品の登録が多いということで、それぞれ件数の多いものに見合った意匠制度になっているのかどうかということも勘案いただきながら御議論いただければと思います。
時間の関係もございまして説明ははしょらせていただきましたが、もし何か追加で御質問があればおっしゃっていただければ御説明させていただきたいと思います。

自由討議

大渕委員長

丁寧な御説明をありがとうございました。
それでは、今御説明があった資料1のペーパーには、イントロ的な部分や説明的な部分もありますが、論点としては大きく2点あります。一つがこのペーパーの12ページ、13ページにある、5.の意匠法が保護すべきデザインという論点、それから、もう一つが、14ページ以下にあります、意匠制度の類型ということで、登録あるいは審査関係でどういう制度の在り方がいいかという論点の2点があります。これらの2点は、論点として異なりますので、分けて御議論いただいた方がスムーズに進むかと思います。そこで、まず、前半の方の12ページ、13ページにあります、意匠法が保護すべきデザインということに関しまして御議論いただければと存じます。まず、先ほどの御説明についての御質問等から始めていただければと思います。
どうぞ。

平野委員

参考資料の4なんですが、1ページ目のロカルノ分類別各国登録というのは、何年度のあれでしょうか。ここら辺、去年あたりEUの中では随分変わったですよね。

花木審議室長

2003年だということです。

平野委員

ありがとうございます。

大渕委員長

御質問でも御意見でも、お願いいたします。どうぞ。

勝尾委員
(代理下川氏)

前回出ていなかったものでちょっと教えていただきたいんですが、論点の対象とすべき意匠の範囲というのがあるんですが、これは具体的にどういうことを指していますか。

花木審議室長

今申し上げたとおりでございまして、12ページに書いてあるかと思いますが、前回はデザイン政策全体について御議論いただきましたので、そういう中でデザインの保護が必要だとしても、意匠法で保護する分野とそうでない分野というのがあるのではないか。その際、御議論の中で出た例、あるいは今までのヒアリング等で出た例として、12ページの上に書いてあるような、比較的抽象度の高い分野にデザイン活動が及んでいる。そういうものについても何らかの保護が必要ではないかという議論があるのかどうか。
また、物品性を持つものについても、どういうものを中核的に独創性の高いデザインを保護すべきではないかという問題提起があったかと思いますが、それに対して独創性の高いデザインだけがメインなターゲットではないのではないかという御議論もあったかと思います。
したがいまして、そういういろいろなデザインの状況も踏まえながら、13ページにありますような現在の意匠法の対象、物品性、視覚を通じて認識されるもの、美感性があるもの、この要件が適切なのかどうか、この要件から漏れているものも保護すべきものがあるのかどうか、あるいはこの要件をもっと厳しくして、対象を限定して、その分きっちり保護するとした方がいいのかどうか、そういうような御議論かと思います。

大渕委員長

いかがでしょうか。意匠法が保護すべきデザインということで、一番具体的には最後に御説明がありましたとおり、現行法では、13ページにあるようなものとなっているわけですが、これを広げた方がいいのではないか、あるいは狭めた方がいいのではないかというふうに考えていただくと一番イメージがつかみやすいかと思われます。皆様のいろいろな観点、ニーズ等からして、こういうものは入れた方がいいのではないか等という観点から御意見をいただければと思います。
どうぞ。

山本(為)委員

私、前回出ておりませんので恐縮なんですが、これは各国がみんなデザイン制度、意匠制度が違うということで、その違うということは是としていろいろ今後運営していくのか、それともそれをISOのように一つのテーマにして各業界が今いろいろやっているのと同じようにこういうものも話し合うべきテーブルがあるのかどうか、ちょっと私は知識がないので教えていただきたいのですが。

花木審議室長

今、EUの中では統一に向けた動きがあると聞いておりますが、直ちに日本の法律について、ほかの国と意匠の対象を統一するという議論が今されているというふうには聞いておりませんので、日本法としてどういうものが適切なのかという御議論をしていただければと思っております。

大渕委員長

どうぞ。

峯委員

12ページに意匠制度の目的ということが掲げられておりますけれども、このような考え方によるのであればという条件つきの書き方になっています。この意匠制度の目的、産業の発達というのが最終的な目的になっているわけですが、昔の議論の中では、生活文化の向上というようなものも、たしか意匠法の目的の中に入れようという動きがあったというふうに記憶しております。今回、もし生活文化の向上というようなものを法目的に加えるのであれば、この対象その他考え方は若干の違いが出てくるのかなというふうに思うんですが、その辺のところは運営側として何か御意見、お考えがおありでしょうか。

花木審議室長

我々として特に具体的にどうこうという意見というよりは、むしろ意匠制度はどうあるべきかという御意見を賜りたい。ただ、現在は御承知のように産業財産権法、知的財産権法の一環として特許権等と並んでやっておるわけでございますので、そういう考え方からすると、現行の制度としては、まさにここに書いてあるように産業の発達というのが一番素直なのかなと。意匠が生活文化の向上に資するということ、目的として制度設計をすべきだということであれば、産業財産法というのとはちょっとまた毛色の違う法律ということになるのではないかと思いますが、何らかの予断を持って議論しているわけではありませんので、幅広く御意見をいただければと思っているところです。

峯委員

今生活文化の向上という話を申し上げましたのは、デザインというものは何なのかということを考えた場合に、当然そのデザイン、さっきのタカラさんの話ではありませんけれども、デザインされたものを使って気持ちよく生活するというところに行き着く場合が多々あるだろう。そういうところを見ていくのか見ていかないのかというようなことにつながろうかなと思います。
私としては、そういうところを見たような形、見ることのできるような形の枠組みができたらいいというふうに今思っているところであります。そのことが産業財産権法という枠組みの中で適当なのかどうなのか。これはまた産業財産権法だから、国民の文化の向上を入れてはいけない、産業だけのことを見なくちゃいけない、そういう理屈はないわけであって、商標法でもやはりこれは需要者の保護というのが入っているわけですね。ですから、その辺のところをもう少し幅広に考えていいのかなというふうに思っております。

花木審議室長

目的というよりは、そういう御意見はもちろんあるかと思うんですけれども、生活文化の向上ということを大きく振りかぶったときに、生活文化の向上にやや遠いような意匠はこの意匠権で保護しなくていいかどうかとか、そういった議論もあるかと思いますので、したがって何をこの意匠の対象にするのかということを御議論いただきたいという趣旨で申し上げている次第です。

大渕委員長

茶園委員どうぞ。

茶園委員

御説明いただいた12ページと13ページに書いてあることについてですが、12ページでデザインの概念が拡大しているという例で挙げられていることと、13ページで具体的にどう考えるべきかという現行法の定義を分解されたものが、それぞれの意味は理解できるのですが、両者を合わせるとちょっとうまくかみ合ってないのではないかと思います。といいますのは、この例に挙げられているものの多く、最後の模様や色彩等の特徴はよく分からないので置いておくとして、それ以外のものは、現行の意匠法では保護対象は、特定の形態と捉えていると思うのですけれども、ここで挙げられている例では、それよりも抽象度を高めたものが考えられているのではないか。それも保護対象にすべきだという考え方も当然成り立ち得るのですが、例えばその場合には、抽象度を高めたいわばアイデアの方に近づけたものを保護対象にするのと、現在のような特定の形態を保護対象にしつつ、保護範囲を拡大するという方向で保護を図っていくのとの2種類のやり方があると思います。
こういう抽象度を高めたものを保護しようという場合に、例えば物品性がどうだとか、視覚性がどうだという問題は、うまくつながりが見えにくいというふうに思います。恐らく保護の対象の問題としては、今申したようなアイデアの方向に向うという抽象度を高めたものと、もう一つは物品性という要件があるがゆえに保護がされないものの2種類があって、物品性の問題とか視覚性の問題については、こうした要件があるがゆえに、特定の形態あるいはデザインという言葉の中に含めてもいいのかもしれないのだけれども、現行意匠法では保護されないものが対象になると思います。今すぐ思い浮かぶのは、タイプフェイスや画像デザインです。要するに、保護対象については2つの問題があり、それらを分けて考えた方が議論しやすいのではないかと思います。

大渕委員長

これは事務局の方で御用意されたペーパーですが、多分趣旨としては、自由に御議論を行っていただくためにいろいろなことを書かれているのであって、今言われたような抽象度を高める方向に持っていくのか、そうでないのかという点、あるいは現行の枠組の中でどうするのかという点について、余り最初から方向性につき決め打ちのようにせずに、前広に幅広く御議論いただくという趣旨でこのようなペーパーになっているのではないかと思います。そこで、抽象度を高めるかどうか、あるいは現行の枠組の中でどうするかといった点の双方につきまして、御意見をいただければと思っております。
どうぞ。

牧野委員

そういうことで議論の切り口はいろいろあろうかと思いますけれども、ここで13ページの「具体的には、下記の点について」と書かれているところだけについて私の考えを申しますと、物品性の問題は、現行のような物品との強い結びつきというのをなお維持することは妥当ではなく、克服されるべきものだというふうに既に皆さん認識されているのではないかと思います。画面デザインの保護は、「知的財産推進計画」においても、「2003年度中に結論を得る」とありましたけれども、画面デザインを意匠法上保護しようとすれば、どうしても物品性の拘束を弱めないとうまく保護の枠組みができないということになります。今ここでは、物品性の拘束を弱めることを前提に、それではどの程度の範囲で保護するのかという具体的な方向を皆さんで議論していただくことが必要と思います。そうするとおのずからどの程度抽象化したものまでが意匠法で保護できるのかという議論ができるのではなかろうかというふうに私は思います。
「視覚を通じて認識される」というのは、意匠としてやはり基本的なところでございましょうから、ここを外してアイデアまで保護するというのはちょっと意匠法では無理かなと思います。
美感性の問題は、全く機能的な意匠との関係ということでしょうけれども、これは現行法の考えを維持しても、そう不都合はないのではないかというふうに思っております。
以上です。

大渕委員長

ほかにどなたかございませんでしょうか。
究極的には意匠法が保護すべきデザインというものはどういうものかということについて、まず共通イメージを持っていただく必要があろうかと思います。ただデザインといっても、非常に抽象的に広い意味で使っておられる方もおられれば、そうでない方もおられて、議論が噛み合わなくなることにもなりかねません。ある程度の共通の基盤というか、土台をつくっていただいた上で議論していただいた方が議論が噛み合いやすいのではないかということであります。そこで、このような前広な形で出してご議論いただき、その上である程度議論が収れんしていくことを期待しているのではないかと思われますので、そのような観点から、いろいろな視点から幅広く御意見ないし御感触をお聞かせいただければと思います。
どうぞ。

山本(為)委員

先ほどターゲットは国内の問題でありますというお話でございましたが、我々物づくりをしておりまして、海外への販売とか、また海外からの流入ということが、交流という部分で地球が非常に小さくなってきて、情報化が進んでおりますので、できることならそういうふうな海外との整合性ということをぜひ日本から取り上げてやれたらと私は思っていまして、先ほどのロカルノ分類別のような資料はいい資料だなと思っています。できればこういうふうに業界ではっきりと、必要なところですからたくさん意匠を出しているわけですし、そういうところを中心にして分科会とか委員会をつくってもらって、それでそれぞれターゲットによって期間とかターゲットが違うとすれば、それはそれぞれで議論させたらきっとまとまると思うんです。その辺を逆に日本がイニシアチブをとってやれば、欧米に対してもこういう面のレベルが上がっていくんじゃないかと思います。
我々は、デザイナーを育てるのに費用がかかるとか、また実際にデザインするのに費用がかかるということを言うんですけど、同じようにヨーロッパの人やアメリカの人も感じているわけでして、ぜひ同じテーブルに立てるように日本から仕掛けていくということが私は必要だと思います。そういう観点はこのテーブルでは無理とすれば、別途御研究いただけたらなと思います。
いくら細かく詰めていても、業種によって全然違うことを言ってくると思います。多分ここにそれぞれの業種の代表の人が来たら、言うことは違うと思うんですよ。ですから、先ほどのタカラさんの言っていることは理解できますが、じゃあそれ以外の分野の人は違うことを言うと思うのです。だから、そこのところをまた別途事務局の方で御研究いただけたらなと思います。

花木審議室長

今回の議論の対象について、特に現行の意匠制度の対象としている物品性ということで余り問題がないということであれば、特にこれ以上議論していただくこともないと思うんですが、我々としては前回の委員の御議論の中で、例えば意匠法というのは、物だけ保護するのか、もっとコンセプト的なところまでカバーするのか、あるいは技術的な経営体についてはどう考えるのかといった、そういう枠組みについてからまず議論することが必要ではないかという御議論があったというふうに承知しております。したがって、その枠組みでどこまでカバーするのかというところがはっきりしないと、なかなか制度論に入れないかなということで提起させていただいたという趣旨でございますので、特にそこが問題ないということであれば、具体的に現状を基礎にしながら、若干類似の範囲ですとか、あるいはタイプフェイスとか多少にじみ出すような形の議論は、これから細かい議論に入っていく中でしていただくこともあるかと思います。今もしあればおっしゃっていただいても構わないんですが、大きな部分についてということでございます。
また、今山本委員のお話がありました国際的な整合性ということで、一応海外の制度もここに御紹介させていただいておりますので、この意匠の対象ということで言いますと、日本の制度というのは比較的アメリカと共通している。EUに比べれば若干狭いので、それをどうするのかという議論があり得るのかなと。ただ、業種ごとにそれぞれ違う意匠制度をつくっている国は、韓国の場合、確かに衣類や壁紙について無審査にしてるという例はありますが、ほかには我々が調べたところでは余りなかったので、そういう制度をつくることについては、逆に日本がそうしてしまうと国際的な整合性という意味で、かえって問題が生じるんじゃないかという議論もあるかと思います。

大渕委員長

どうぞ。

平野委員

今のお話で、じゃあ整合性をとるというのは、アメリカの意匠に関する考え方が国際的に進んでいるのかどうかという話ですよね。合わせるがゆえに、古い考え方にずっと合わせていますというのは、私は違うのではないか。ある意味で国益なり、日本の産業界の利益が上がるような国際競争の中で、どういうふうに考えるかというのをそろそろ日本も論じ合うべきではないかと思いますので、ただ協調するというのは、私は違うのではないか。
こういう機会ですので、国益なり日本の企業が国際競争力、特に狭くなってきているITの分野も、先ほどから出ています画面のデザインとかタイポグラフィーもそうなんですが、もっと日本の企業が闘い、頑張れるようなことが、国際協調の中でと言ったらおかしいんですが、逆に日本はリードする形で何かできないのかという論議があっていいというふうに私は思っています。

大渕委員長

森山委員どうぞ。

森山委員

保護すべきデザインの定義ということで、この12ページに書かれているものが、そのままいいという意味で発言しなかったわけではないんです。私が感じている問題は、参考資料の4で配付されました世界主要国の意匠登録割合及びその分野を見てみますと、日本のデザイン力、登録数、そして分野というものが明らかに一致していないということ。日本の高いデザイン力は、この意匠登録制度に実は余り反映していないのではないかという問題意識を持っているんです。
その理由は、EUのフランス、ドイツといった国々の出願数すなわち登録数は近年も堅調に推移している。OHIMへの出願等がありまして数は単純に比較できないと思うのですが、例えばフランスのデザイン力は日本の2倍だなどと考えている人は全くないし、あらゆるデータを見てもそういうふうにはなっていないと思うんです。そうするとデザイン力全体というものと意匠法、名前はいろいろあると思うんですが、その制度の利用状況から見て、非常に使いやすい法制度になっているものと、実は敷居が高いとかですね。特定の分野は出願できずに、結果的に登録されないというような、そういう乖離が起こっていると思うんです。
それで、よりこの意匠制度というものを利用していただけるようなものにするにはどう
したらいいかということを考えますと、EUが既にかじを切ったような、タイプフェイスやシンボルマークの登録、これは少し違うのではなくて、私に言わせればかなり大きく違うもので参考になると考えております。
それから、無審査寄託というようなことに関しても、私がたまたま99年度、2000年度に欧米のファッションの業界の権利活用について、特許庁からの委託研究などをいたしましたけれども、欧州のデザイナー、あるいはデザインオリエンテッドな企業の制度の利用率は極めて高く、その分野に関しては、タカラさんの発表もありましたが、日本とは全く違う制度とデザインの関係になっている。意匠法はデザインのある特定の分野だけを保護しようという態度でいいのか、あるいは今の審査制度というものは、広範な分野にとっては、出願あるいは登録、権利活用しにくいのではないかということをあわせて議論すべきではないかと考えおります。いずれにしても、日本のデザイン力と意匠制度の活用は非常に乖離しているということだけは共通認識としたいというふうに考えます。

大渕委員長

ほかにどなたかございませんでしょうか。どうぞ、平野委員。

平野委員

先ほど牧野委員の方からおっしゃっていた、例の13ページの具体的には、下記の点でという話で私の方も意見を言わせていただきたいんですが、①に関しては、物品性というだけでは、日本の中のデザインもかなり物品のみということではなく、ある意味で考え方とか、先ほどから出ている画面との協調性とか、そういうのも出てきているというのが、実際我々デザインをやっていて、デザイン料という形でもらうものもどんどん変わっているというのが現状ですので、ただ形と色の、しかもそれが形のあるものに対してということではなくなっているということだと思います。
先ほどの中の話で、じゃあアイデアとか思想に関してという話があったと思いますが、審査の中で図面だけでというのに対して、もう少しそれに対する考え方というのを足してはどうかという話があったのではないか。前回の議論の中では。そういうことだと思って、決してコンセプトだけを書いて、それを審議してくださいというのではなかったような気がしますというのが私の記憶でございます。
それと視覚を通じて認識されるもの、これは確かに視覚というのが中心なのかもしれませんが、最近はそれにプラス、音とか、匂いとか五感に対して訴えるようなもの、特に視覚障害者の方に対するいろんなデザインも、見えるということだけではないということを私はやはり思っていますので、これは視覚を中心として、それにいろんな付随するものを含めて考えられるのではないかということだと思っています。
3番の美感というのは、まさに美感で美しいものということなのかもしれませんが、最近は、汚いものがいいという人もいるのかもしれないなということですが、これは言葉の解釈なので、私は3番の論議は余り必要ないのではないかなというふうに思いました。
以上でございます。

大渕委員長

どうぞ。

峯委員

今の平野委員のお話で、審査を図面だけでなくて言葉による補充ということ、前回私が発言させていただきました。それとの関連なんですけれども、現行意匠法においては、定義の中に思想という言葉、文字はないんです。特許の方では技術的思想の創作だということで、「思想」ということがはっきり書いてある。ところが意匠の方は、「思想」ということもないし、「創作」だということも余りはっきり書かれていない。
というところで、一つの考え方としては物品即意匠だというような非常に固まった狭いとらえ方、これが行われてきて、現在でもやはり一つの意匠というのは一つの形態なんだという考えがほぼ固まっている。そこのところを定義の中で「思想」というようなものを取り入れていくことによって、幅のある意匠のとらえ方、これが可能になってくる、そういうふうに考えております。

大渕委員長

それでは、時間も押してまいりましたので、次の論点に移りたいと思います。先ほどの資料で言いますと14ページ以下、特に15ページ以下の意匠制度の類型ということで、非登録型から始まって、いろいろな海外の制度なども参考にしつつ、様々なバリエーションがあり得るわけであります。この点について、御質問、御意見をお願いいたします。

岡崎委員

14ページの大きな課題として、審査制度か無審査かという論点があろうと思います。先ほどタカラさんからもありましたように、無審査の一番いいところというのは、早く登録できるというところだと思います。ただ、現行の審査におきましては、FA期間を7.7カ月から6カ月に短縮しようとしています。それから、早期審査でしたらもう4カ月を切っています。それから、模倣が起こったらさらに早い期間で審査がなされると、そういうような現状になってきていると思います。さらに特許庁さんの方で努力されて、その期間をさらに短縮していこうと聞いております。こうなりましたら、先ほどの無審査は早く登録できるというメリットは、現行制度での審査制度でも、どんどん達成できていっているのではないかと思います。
その反面、無審査でしたら、権利の有効、無効というのは非常に不安定になると思います。審査することによって一定の水準をクリアしたものが権利となり、それによって権利の安定性が得られるという意味で、やはり無審査か審査かと言ったら、審査制度をぜひ維持していただきたいと思います。
審査制度でしたらどうしても時間がかかるという問題は特許庁さんの努力で短くなっています。先ほど申しましたような早期審査、あるいは模倣対策のための審査ですか、そういう制度をさらに充実していただければ、発売以降の模倣品の対策として、対抗できるのではないかと思います。そういう意味でここに類型はいろいろございますけれども、現行の(4)番の審査登録型をぜひ維持していただきたいと思います。

大渕委員長

ほかにどなたかございませんでしょうか。どうぞ。

山本(建)委員

今の御意見と若干逆の意見になるかもしれませんが、私は無審査登録制度について、まじめに検討すべきではないかというふうに考えております。その一つの理由としては、少し抽象的な言い方で恐縮ですが、今回のこの議論そのものが、日本のデザインをブランド確立のためにひとつ有効な手段であるということを認めて、それを産業界の貢献につなげようということで、「ブランド」という言葉も先回の議論から出てきたように思います。
そして、先ほどのデザインが取り組む対象が、かなり思想であったり、理念であったり。つまりブランド戦略の中で、実際にデザインをやるときには、物の形に落とすハードの設計を行う前に、非常にデザイナーとしては理念とか、考え方とか、ブランドのコンセプトをしっかりと表現していくということにものすごくエネルギーを使うわけですね。そこにデザインのパワーが非常に傾注されてきているという一つ状況があります。
そして、先ほどタカラさんからの発言にもありましたように、中国問題は別としまして、国内では各社がブランドないしはイメージ戦略、デザイン戦略を立ててデザインをやっていこうということで、その戦略そのものが既に非常に他社との差別化を考慮したものになっているわけですね。当然、差別化しない限りアイデンティティーが構築されないので、ブランドもなかなか確立されていかない。そのためにデザインが駆使されていくという状況にあるわけですから、社内の中で既にデザインはブランドないしはデザイン戦略によって相当規制されて差別化されているわけですね。そういう企業の努力やデザインの状況の中で、差別化のためのデザインではないにしても、すごく差別化されたものがアウトプットされて出てくるような今の日本のデザインの状況になってきている。そういう意味ではかなりデザインのレベルが上がったというふうに言えるかと思うんです。そういう意味では今までのような制度のように、4万件に近いものがすべてしっかりと審査されてやる前に、むしろ無審査登録制度があった方が好ましいのではないかというふうに考えております。

大渕委員長

どうぞ。

勝尾委員
(代理下川氏)

非常に単純化した話をすれば、私はダブルトラックを真剣に検討すべきなんじゃないかと思います。現状の排他的独占権を与える意匠制度というのは、非常に多くの企業がメリットを感じていて、活用しているわけですね。ただ、一部の産業において使いにくい面があると。そういった産業に対して、例えば季節性の強いものであるとか、流行性の強いものであるとかに関しては、無審査登録型とかそういったものを新たに用意してあげる。そういうダブルトラックを真剣に検討するべきなんじゃないかと思います。

大渕委員長

どうぞ、峯委員。

峯委員

ダブルトラックが出ましたので、個人的意見ですが私もダブルトラック派としまして一言申し上げます。先ほど森山委員の方から、非常に使いにくいんだという話がありましたし、タカラの方からも、すべて出したいので、もっとたくさん出したいんだけれども、予算の関係で出せないという話もありました。ということは今の意匠制度というのが、かなり人によってはオーバースペックなのかもしれないし、あまり身近に使いやすいという形にはなっていない、これは間違いないことだろうと思います。これは弁理士として日常仕事をしていても、しばしば生じていることでもございます。
ですから、もうダブルトラックにして、しっかりした保護、現行意匠法、これはもちろん残す。そして、もう一方で簡易な規格といいますか、簡易な制度を設けましてダブルトラック化する。そして、ある一定の期間内、簡易な方から現行の審査登録制度への乗り替えを可能にする。こういうことによって、ヒット商品であれば、初め簡易な保護を受けながら完璧な保護に乗り替えられる、こういう意匠戦略も立てられるということになろうかと思います。
以上でございます。

大渕委員長

森山委員どうぞ。

森山委員

無審査の御意見とダブルトラックの意見が出ましたが、いずれにしても無審査という制度が、その制度全体であれ、部分であって選択可能であれ、必要ではないかという意見というのはデザイン界に強いというふうに私も認識しております。
それで前回も少し申し上げたんですが、登録率が非常に高く、8割というふうになっているので、審査が必要ないというふうに私は申し上げているのではなくて、それは特許庁の意匠課の努力と業界の精査された出願行動によって高い登録率が結果として生まれていて、究極の姿は、出願したものが審査をされても、すべて登録されるということが究極の意匠制度だと思うんですね。そのときには現在のような拒絶か、登録かという形の審査は必要ではなくなるということだと思うんです。とはいえ業界によってはさまざまな事情がありますから、ダブルトラックといった選択肢もあり得るでしょう。それと同時に先ほどの分野というものも、物品というものを超えるという、EUがかじを切ったような方向を深くどの範囲までか、を含めて検討すべきではないかと思います。

大渕委員長

平野委員どうぞ。

平野委員

非登録型なのか登録型、そして審査登録型なのかという、いろいろな論議があると思うんですが、現行法の中でもちろん、時間とお金というのが多分一番問題になっているんだなというのは、我々デザイナーとして全部デザインしたものを出すわけにはいかないぐらいに高い、それと時間がかかっているというのがあるわけです。
現行でも、デザイン保護協会の寄託制度というのもあるわけなんですが、デザイン保護協会の寄託制度は全く、ただ寄託しているだけですという話なので、そこのところと今の厳しい権利の主張ができる審査型というのと、トリプルトラックとは言わないですが、何かちょうど中間的な、もうちょっと権利がありながらということが必要なのかなと。それとダブルトラックでやっても、今のただ単に寄託というのは別として、あけてびっくり玉手箱ではない、何かの形で検索できるような、一般の人間がもっと検索できるような仕組みを充実しながら、何かダブルトラックができるのかなとか、そういう感じが私の中にはあるんですが。

大渕委員長

どうぞ、菅井委員。

菅井委員

私は自動車工業会の代表として発言させて頂きます。先ほどの物品性のお話については全く異論がなかったので発言しませんでした、意匠制度自体に対して、先ほど意見もあったように権利の安定性については、工業製品の中でも非常にお高いものを結構長くつくり続けているという観点からすれば、安定性のある権利というのは非常に大事であると考えています。
一方、前回、多少触れましたが、現在、非常に多様なニーズが混在しているというお話をさせていただきました。先ほどお金のお話と短期間での登録というユーザーニーズに関する話が出ましたが、基本的には賛成ですが、更にもう一つの観点を考慮して頂きたいと考えています。先ほどタカラさんの話にも出ました権利期間の件、これを加えて考えあわせますと長く権利主張できる法的根拠が欲しい商品が幾つかあるというニーズです。先ほどトリプルトラックというお話がありましたけれども、権利の安定性も欲しいし、息の長い商品ニーズには長い権利期間が何とか確保できないのだろうか。そして短期間での登録を含めて大きな三点のニーズが存在すると言うことです。
例えば、権利期間の観点で言えば先ほどタカラさんから紹介があった著作権で保護する、あるいは商標で登録し保護する方法もございます。又、私どもの例で、先ほどアシモ君が何で商標なんだろうかという事例も出ているわけですけれども、色々と模索をしながら、権利期間が長く様々な場面で権利行使を可能な安定的権利を何とかして取りたい。商品を防衛していきたいという観点でいくと、どういう法的根拠が最適かを意匠権にとどまらず必死になって求めているところだと思います。そういうユーザーニーズに応えるためには本来の工業的デザインを保護すべき意匠法の範囲で定める必要があると考えています。柔軟性と言うと何でもありということになってしまうのかもしれませんが、権利の安定性を基本にして、費用の観点、短期での登録、そして権利期間の保護期間もあわせて、むしろもっと柔軟でもいいのかなと考えております。
先ほど短期間の保護というのは、どうしても中国の模倣品対策に焦点を当てることになりますが、私どもの業界でも大変深刻でございます。攻められるときも予測されますが、一定の安定性があり、短期間でも簡易な審査などを何とか達成できないものだろうかと考える次第です。USPのIDS制度に準じた、先行技術の開示義務を課した簡易審査登録など非常に欲張った要求ですが、ユーザーの深刻なニーズとしてそのように思います。
以上です。

大渕委員長

光主委員どうぞ。

光主委員

電子情報産業協会代表としての意見としましては、実体審査を入れた現在型の審査登録型を希望するというのは業界の意見でございます。この理由は、どういう立場で見るかによるんですが、やはり権利の安定性というのが今も出ましたが、もう一つは無審査にするといろんな人がメーカー等に権利行使してくるという懸念があります。要するに権利者の立場、事業を行なう立場によって考え方が全部違うと思います。この様な理由から実体審査の方が良いという理由の一つであります。
ただ、先ほど定義の部分で画面デザインの話が出ましたが、これは産業界として画面デザインの保護につきましてはいろいろな議論があります。これにつきまして、物品性の問題としてどう考えるかということはもう少し議論して、それとこの実体審査との関係をどのように考えていくかということをもう少し議論する必要があるのかなと思っています。そういう意味では例えば、私の個人的な意見になるかもしれませんが、その部分をダブルトラックにして、無審査という考え方というやり方もあるかと思います。したがって、物品との絡みでダブルトラックをやっていくという考え方も一つあるのかなと思っており、産業界でも一部議論しております。
従いまして、物品を分けることによって無審査の部分と実体審査の部分とどういうふうにリンクしてくるのかなというのは整理できてないですが、何かそういう考え方も一つあるのかなという意見も一応産業界では出ております。ただ、今現在、我々が出ているJEITAという協会においては、やはり実体審査というと権利の安定さと、無審査による権利の不安定性、それによる権利の行使という懸念、そこをミックスした考え方で動いていますので、最終的には先ほど言った実体審査、権利の安定性を願っています。ただ、問題なのは類似の幅をもう少し広げてやってほしいということの希望はあります。
以上でございます。

大渕委員長

ほかにどなたかございませんか。水谷委員どうぞ。

水谷委員

今、無審査による登録という点が何人かの方から出ておりましたが、無審査の場合、登録までの期間が短いとか、あるいはコストが非常に安価で済むというメリットがありますが、権利行使の段階をどう処理していくのかという別の問題があると思うんです。まだ、そこまでの細かい話までしない方がいいんじゃないかと思っていたのですが、何かそういう雰囲気になってきたので少し申し上げたいと思いますが、この場合に、無審査ですから、本来の登録要件というか、登録に足る価値があるかどうかわからない状態で登録されている。登録の権利を得た方は、当然お墨付きを得たということで権利行使をしてくる。ところが権利行使を受ける側からすると、本来の審査を受けた権利なら、もちろん無効審判という方法はあるけれど、とりあえず有効な権利だろうな、というふうに受けとめられるだろう。しかし無審査登録だと、これは少し品のない言い方をすれば、海のものとも山のものとも知れないというような側面があることも否定できない。そういう権利の行使を受けた相手方は、どう対応するのかという問題が、仮に無審査型を考える場合の各論としてあるんだろうと思います。
その場合に、従来からの実用新案法のように、特許庁が評価書を事後的に発行する。つまり、特許庁が事後的に後見的な関与をして、無審査によって登録された権利の権利行使を後見的にコントロールするという考え方が一つあると思いますし、それから、別の考え方としては、もうそういうことはしないで専ら司法による審査に委ねるという、著作権法型のコントロールですね、それをとるのか。どちらかによって無審査で権利を取得して、その後の権利行使のやり方の容易性とか効率性が変わってくるだろうと思うんです。もちろん無審査の場合でも登録されていますから、事実上のお墨付きがあって、それの後光効果さえあればいいんだと、具体的な権利行使までは期待していないということであれば別ですけれども、やはり権利行使は当然前提になっているということだと思います。それから、これとは別にEUの意匠制度のように、そもそも審査を行わないということを前提にしたダブルトラックの場合は、当然事後的なチェックを行うということは極めて重要になってきます。つまり審査した上で登録される強い権利というのは、そもそも存在していないわけですから。
このように考えると、無審査型の制度を真剣に検討するのかどうかということも、今大分意見が分かれているようですが、国際的な流れを見ると、全く無視するというわけにもいかないんじゃないかという気がしておりまして。そのことを前提にすると、やはり権利行使の部分をどうするのかということは、併せて検討していった方がよいというふうに考えております。

大渕委員長

どうぞ。

山本(建)委員

小さな質問でもよろしいでしょうか。前回のこの会で、係争になるのが年間約20件というふうにお聞きしました。係争ではなくて権力行使の件数、係争以外に……

花木審議室長

裁判事例ですか。

山本(建)委員

裁判事例ですね、になる前に権力行使の何らかのトラブルみたいなものというのは、係争以外にもあるんでしょうか。権力行使の数は、件数で言えば20件というふうに考えてよろしいんでしょうか。

花木審議室長

我々事務局としては、ちょっとそこはよくは……。

水谷委員

私は実務家ですけれど、20件裁判所で意匠関連の事件があるとすれば、少なく見積もってもその100倍、あるいはそれ以上あると考えていただいた方がいいと思います。控え目でも100倍ですね。特に意匠法の場合、いろんな方からおっしゃっておられるように、侵害であるのかないのかという予測性がはっきり言って余り高くないんですね。だから、裁判所まで持って行って、いざ黒白つけるかというところになると、攻める方も、守る方も結構ためらうんです。それは、例えば特許権行使をする場合に比べても、よりためらうんですね。そういうことがありますので、潜在的な部分というのは、特許係争の訴訟にならない潜在的部分がどのくらいあるかというのと比べても、意匠の潜在的部分の方が、別に統計があるわけではないんですが、実務家の感覚としては、ずっと倍数が多いというのが正直なところですね。

山本(建)委員

ありがとうございました。よくわかりました。

大渕委員長

茶園委員どうぞ。

茶園委員

ダブルトラックにするといったお話があったと思いますが、日本では既に不正競争防止法2条1項3号によって、非登録型は持っていると言えると思うのです。ですから、さらに意匠法自体をダブルトラックにしたら、結局トリプルトラックということにならざるを得ないと思うのです。そうであれば、例えば無審査登録制度を導入するとしますと、それは2条1項3号に比較して具体的にどういう違いえお持たせるのか、逆に言うと違わないものでは新たに設ける意味がないと思いますので、それをどうするのかと考えますと、保護期間を変えるということになるのか。そうなると制度全体として極めて複雑になってくるのではないかと思いますし、そもそも2条1項3号があるという状況で、審査登録制度を持ちつつ無審査登録制度をさらに追加するというのは、具体的にどういうメリットがあるのかという点が疑問です。ただ、先ほどタカラさんがおっしゃったように、例えば対中国関係とか模倣品対策ということで登録という事実が極めて重要であるということが実際にあるのだとしますと、そこには大きなメリットが認められるでしょうから、そういう場合にはかなり重複的なものになるのだけれども、無審査登録制度を新設するということに意味があるかなというように思います。

花木審議室長

茶園先生のおっしゃったとおり、20ページのところで、ダブルトラック型の意匠制度についてということで、資料の中で不正競争防止法との関係ということで、留意が必要ということであるかと思いますが、現状では今おっしゃったような内容と、あと水際の税関の差し止め効果があるかないかというところが不正競争防止法と意匠制度の大きな違いとして、実務上もかなり使われているということでございます。
ただ、こちらについては現在、不正競争防止法についても水際を措置すべきではないかという御議論もあるというふうに聞いておりますので、その状況によっても変わってくるのかなというふうに思います。

大渕委員長

ほかにどなたかございませんか。
それでは、そろそろ時間も過ぎましたので、本日の委員会はこれぐらいにしたいと思いますが、この際何か特に御発言がございましたらお伺いいたします。
それでは、これぐらいにいたしまして、最後に今後の審議会の日程等について事務局から御説明をお願いいたします。

花木審議室長

次回でございますが、既に御案内させていただいているかと思いますが、11月17日の10時半から、またその後年内でございますが、12月17日の10時半から予定しております。具体的な内容は、本日の御議論も踏まえまして、制度の大枠の議論をもう少し深掘りできるものがあるのかどうか、検討して御相談させていただきたいと思っております。
以上でございます。

大渕委員長

それでは、以上をもちまして産業構造審議会知的財産政策部会第2回意匠制度小委員会を閉会させていただきます。本日も熱心な御議論をいただき、ありがとうございました。

閉会

[更新日 2004年11月29日]

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