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第3回意匠制度小委員会 議事録

  1. 日時:平成16年11月17日(水曜日)10時30分~12時30分
  2. 場所:特許庁 特別会議室
  3. 出席委員:
    大渕委員長、岡崎委員代理(松下氏)、勝尾委員、菅井委員、茶園委員、平野委員、牧野委員、水谷委員、光主委員、峯委員、森山委員、山本(為信)委員、山本(建太郎)委員
  4. 議題:意匠の登録要件と効力範囲の在り方について

開会

大渕委員長

おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会第3回意匠制度小委員会を開催いたします。
前回であります第2回には、意匠制度の検討に当たり論点として指摘されました事項のうち、意匠制度の保護対象、これは意匠の定義ということでありますが、それと意匠制度のあり方、これは審査・登録制度の要否という点でございますが、この2点について御審議いただき、皆様からたくさんの御意見をいただきました。
本日は、第1回の制度小委員会において、「意匠の類似の範囲を拡大すべき」との意見や「類似の範囲を明確にすべき」との意見があったことから、このような意匠制度における類似の概念と関連意匠制度について御審議をお願いいたします。

配付資料の確認

大渕委員長

それでは、まず事務局の方から配付資料の確認をお願いいたします。

花木審議室長

それでは、配付資料の確認をさせていただきます。机の上にクリップどめした資料が2つ置いてあるかと思うのですが、一つが議事次第・配付資料一覧、こちらの方ですが、続きまして委員の名簿、それから、今回の資料ということで資料1、先ほど委員長からお話のございました「意匠の登録要件と効力範囲の在り方について」という資料を入れてあります。その後ろに、「意匠の類似範囲に関する事例紹介」ということで、後ほど、光主委員から御説明いただきます産業界の実態ということで資料をいただいております。その後ろに、参考資料1、2、3、4ということでついているかと思います。
それから、もう一つのクリップどめでございますが、資料3といたしまして、「不正競争防止法」につきまして、現在の改正の状況について御説明を後ほどいただきますので、その関係の資料をつけてございます。
以上でございます。不足等ございましたら、おっしゃっていただくようお願いいたします。

大渕委員長

資料の関係、よろしいでしょうか。

意匠の登録要件と効力範囲のあり方について

大渕委員長

それでは、早速、議題に入らせていただきます。
初めに、意匠登録の要件及び意匠権の効力範囲という点につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。

花木審議室長

それでは、資料1につきまして御説明をさせていただきます。
まず、最初のページでございますが、例によりまして、前回の議論のまとめと今回の検討事項ということで書いてございます。
前回第2回は、先ほど委員長からもお話がございましたように、意匠制度の、いわば外側といいますか、どのようなものをどうやって保護するかという点について御議論いただいたところでございます。
このうち、どのようなものをという意匠の定義につきましては、現行制度と同様、「物品」と一体化した意匠を対象とすることを基本とするという御意見が多かったと受けとめております。他方、欧州共同体意匠規則で対象になっている「製品」を対象とする案、あるいはデザイン要素としての認識が高まっている音や匂いといったものも考慮すべきではないかという御意見もございました。
一方、意匠の定義自体に「コンセプト」ですとか「シリーズとしての統一的要素」まで含めていくべきだという御意見は、さほどなかったというふうに理解しているところでございます。
また、どうやってという部分でございますが、枠組みについての御議論でございますが、やはり安定した権利とした活用したいという御意見、したがいまして、事前審査制度を存置すべきという御意見がある一方、事前審査なしで迅速・安価・簡便に権利発生を期待するという御意見、さらにデザインの的確な保護と迅速・安価な権利取得、そういった両用の御意見から無審査登録制度の方が望ましいという御意見もあったところでございます。
2ページ目でございます。今回でございますが、いわば意匠の内側というか、そのようにして発生した意匠権の効力はどうあるべきかという点について御議論をお願いしたいと思っております。この点につきましては、第1回の委員会で類似の範囲という観点から、これを拡大すべきという御意見、あるいは明確にすべきという御意見があったと認識しております。したがいまして、まずは、実際の企業活動の場において類似の判断というものが、どういう意味を持ってどう機能しているかという点につきまして、光主委員から、総合電機メーカー・株式会社東芝での事例を御説明いただきたいと思っております。
この後、また前回の御議論の中でも、意匠の効力につきましては、特に類似の関係で不正競争防止法、こちらが現在、再検討の作業がされておりますので、こちらの検討状況も踏まえるべきであるという御指摘がございました。したがいまして、その状況につきまして、経済産業政策局知的財産政策室の住田室長に本日来ていただいておりますので、説明をお願いしたいと思っております。
以上の2つの説明を踏まえまして、本日の御議論といたしまして、意匠法における類似の概念、さらに、類似の概念に関係する関連意匠制度について御議論をいただきたいと思っております。
こちらは、後ほど具体的に説明させていただきますが、一つは、1でございますが、審査の段階でどうあるべきか、それから、2番目に権利行使の段階でどうあるべきか、さらに、関連する制度といたしまして関連意匠制度についてどうあるべきか、この3点について主に御議論いただきたいと思っております。
それでは、ちょっと長くなりましたが、光主委員の方から御説明をよろしくお願いいたします。

光主委員

今、御紹介いただきました光主でございます。ちょっと風邪をひいていまして、声が詰まって聞きにくいと思いますが、申しわけないです。よろしく御了解いただければと思います。
それでは、きょう与えられたテーマですけれども、「意匠の類似範囲に関する事例紹介」ということで、企業から見た意匠の類似の事例紹介をさせていただきたいと思います。
今回、紹介させていただく事例は、電子情報技術産業協会の中に「デザインの法的保護のタスクフォース」という委員会をつくっていまして、そこで一応、実際に検討しまして、類似の幅の認識とか各社さんの意見をまとめたものが今回の事例の紹介になっています。実際、特許庁さんにおける登録事例を見ていただきまして、類似幅への認識が深まって、問題の共通認識がより具体的に深まればと考えております。
それでは、まず、釈迦に説法ですけれども、意匠の類否判断基準ということで御説明していきたいと思います。
まず、審査基準というものがございまして、意匠の類否判断ということで、特許庁さんが発行している基準の中に、「意匠の類否判断とは、両意匠が生ずる美感の類似についての判断をいう」ということで、具体的には、上記1、2というのは下に書いてありますけれども、「意匠に係る物品の共通点及び差異点の認定」と、注2というのは「形態」ですね。これについて「共通点・差異点を意匠全体として総合的に観察して、それらが両意匠の類似の判断に与える影響を評価することにより行う。それらの共通及び差異点、意匠の類否判断に与える影響は、個別の意匠ごとに変化するものであるが」とあります。
つまりポイントは、ちょっと赤で書いておきました「美感の類似についての判断」があるということ。この美感については、審査基準によりますと、美術品のように高尚な技能の要求ではなくて、何らかの美感を起こすものであれば足りるというふうに言われております。
次に、意匠全体として総合的に観察する必要があることが一応要件となっておりまして、次に、それらの個別意匠ごとに変化するものであると記述されております。
こういう基準があって、さらにその次の基準がございまして、一般的には、そこに書かれていますように1から5が一応書かれております。1は、具体的には、見えやすい部分は、相対的に影響が大きい。ありふれた形態の部分は、相対的に影響が小さい。大きさの違いは、当該意匠の属する分野において常識的な範囲のものであれば、ほとんど影響を与えない。4が、材質の違いは、外観上の特徴としてあらわれなければほとんど影響を与えない。色彩の違いは、形状・模様の差異に比して、ほとんど影響を与えないという基準が書いてあります。
では、この基準だけで具体的な類否の判断ができるかという問題に尽きるかと思います。この範囲で類否を判断するのは並大抵のことではないのではないかという考え方が若干ございまして、特に材質とか透明性とか、材質の違いとか、そういうものについてはどういうふうに考えていくのかとか、もう少し具体的な話がないものですから、一応、この基準のレベルで、今、類否判断が行われているということでございます。
その次に行きます。検討の視点としましては、こういう問題を特許庁さんは十分認識されているかと思っています。事前に、ユーザであれば企業はヒアリングにかけて、ニーズをまとめて今回の意匠制度小委員会で、第1回の小委員会の配付資料の中にそのことが書いてあります。1として、意匠登録要件の基準としての「類似」の範囲が狭いのではないか。2として、審査判断の透明性が確保されていないのではないか。どこが類似しているか、類似していないか具体的な記載がない。3として、その不透明を受けて審査結果の網羅的な蓄積がされにくいので、審査の判断の一貫性が見られないという指摘がされています。
御存じのように、意匠権は、権利範囲としては類似までその効力が及ぶわけですから、その範囲を明確化したいというニーズは、審査をする特許庁側も、出願人も、第三者も同じだと思います。予見可能性をできる限り確保する点は、この意匠権においても同様に必要であると思っております。
それでは、具体的にどういう事例かということを説明していきたいと思います。その前に、類否判断を行う場合、それぞれ個別の事情があると思いますので、よいとか悪いとか、ゼロイチの判断ではなくて、できるだけ客観的な目で見ていただいて、各審議会のメンバーの間で共通認識が、より具体的に深まればと考えておりますので、いいとか悪いとかという話ではなくて、共通認識が持てれば良いなと思っております。
それでは、具体的な事例をいきますと、まず、これは最初、コピー、スキャナー、ファクシミリ機能付プリンタの事例です。まず図を見ていただくと、最初の事例で図の見方を説明いたしますと、水色でくくってあるところが類似で丸印をつけております。バツ印は非類似の意味です。この例では、両者比較すると、全体的な基本構造は同じですが、操作部の上の部分に、横に線が入っているのがわかるかと思うのですけれども、線というのはどこかというと、ここですね。この線です。これが入っていないです。操作内部の操作ボタン等の構成が若干異なっています。ここが違いますね。この事例の場合は、前面中央の扁平ほぼラグビーボール状の形状がどの程度評価されているか。これですが、これもラグビー状になっていますね。
ただ、もう一つちょっと違うなと思ったのは機能が違う。これは持ち上がるのかもわかりません、影響としては。そこは、外観、機能的な要素をどこまで見るかという問題も含めて、こっちが類似で、これとこれが非類似という形態の一つの事例でございます。
その次は掃除機です。これは、パッと見た瞬間、何が違うのかと思ったら、よくよく見ると横長ボディですね。こっちは縦に長いですね。これは横長になっています。それで、後ろの構造は全く同じです。これは、本意匠とこちらの意匠とを見なければだめなんですけれども、そういう意味では、横長ボディと縦長というのですか、こういうボディとの違い、これが類似なのか、非類似なのかという問題です。他の形状は全く同じです。そういう事例でございます。
その次が炊飯器。これも、関連意匠としてあるのですけれども、これとこれとは、操作部は全く同じですね。これも同じ。何が違うか。よくよく見ると、上のふたが丸みを帯びています。これは平坦なんです。そこの違いだけなんじゃないかなと思われます。一瞬見た瞬間、この蒸気の出る出口が若干違うので、こっちも違うような気がしたのですけれども、よくよく見ると、丸みをおびているのと平坦との差異がここで一応出ているので、そういう意味で、操作部、共通部は類似判断に対して評価せずに、全体、ここが丸みを帯びているということで非類似判断されたのかなと思います。
その次がビデオテープレコーダー付ビデオカメラ、これも、パッと見た瞬間どこが違うのかというのは、私自身、見たときわからなかったんですけれども、よくよく観ると、前方形状多少異なるのも非類似で別登録されている。どこが違うかというと、ここですね。レンズのところ。それとレンズの下、このあたりですか、こういう形。この分野は、ほかの分野に比べると、大分、類似判断は厳しく、狭く解釈されているらしいので、そういうレベルで見られているのかなという例でございます。一瞬、これを見たとき、個人的に言うと、余り違わないのじゃないかなと思ったんですけれども、そういう事例でございます。
その次の事例が、これは類否判断でも、特に物品が非類似でデザインが同じ。要するに、こっちはテープレコーダー、こっちはプレイヤー、こっちはオーディオディスクレコーダーということだと思います。したがって、4件全部ばらばらで類似していないのですけれども、これとこれ、何が違うかというと、ここにテープレコーダーが入るのと、ここにオーディオディスクレコーダーが入るのとの違いだけで、ボタンの配置から、ほとんど同じという場合、そういう意味で物品非類似になっているのかなと思われます。物品類似は用途と機能で判断しますので、そこで非類似というふうに判断されているのかなという一つの例でございます。
その次に、車載用デジタルオーディオプレーヤー付ラジオチューナー。これも、どこが違うかというと、上にオーディオディスク挿入口の有無があるか無いかですね。こっちはないですね。パッと見た瞬間、あとボタンが違いますか、形状を見ると大体同じ。そういう意味では、操作ボタンの形状は違いますけれども、デザインコンセプトからすると、それらの違いがどの程度評価されるか、人によって差異が出てくるのかなと。この事例を見ても、JEITAの中で議論してもいろいろな議論に分かれる、一貫性がない。見る人によって全部違う意見が出てくるというのが現状です。
その次、これも全く形状は同じです。チューナー付オーディオプレイヤーですけれども、これも、先ほど言ったように、ここにCDが入る。オーディオディスクの挿入口がここにありますけれども、これはないです。こういうように、全体形状から見ると、基本的な形状は似ているのですけれども、つまみの部分が若干違う部分はあるんですが、これも、やはり相対的に見ると似ている。パッと見た瞬間似ているように思う事例でございます。
そういう意味で、いろいろな家電製品とかオーディオ製品とかを見ると、意外と類似の幅が、これらの事例を見ていただくと狭く感じられます。これは、JEITA参加メーカーから集めた事例でございまして、各社さんがお持ちになった事例をここでまとめて紹介させていただきました。
その次です。これは判例ですけれども、これは釈迦に説法で、皆さん、御存じだと思いますが、最高裁の判例が出ていまして、神戸製鋼さんの意匠権です。これは、ここにも書いてありますように、収納状態におけるブームが、キャビンと機器収納ボックスとの間に前下がりに設けられて、公知意匠に見当たらない新規な点があるということで、両意匠は、ブーム、キャビン、機器収納ボックス――これは、全部同じですね。エンジン、キャビン、ブーム、この構成及びその配置関係が一致して共通の美感が与えられているということで、これは類似であるとした最高裁の判決です。そういう意味では、配置関係が一致して共通の美感が与えられるといった判例であると思います。
そういう意味で、判例と特許庁さんの審査の創作性の考え方と若干違うのかなという考え方もありますけれども、裁判所では、やはり「混同説」というような考え方で、市場における混同があるかないかという考え方が、ある程度、司法の方で考えられているのかなと思います。特許庁さんは、創作のポイントはどこにあるかということで審査されているを思われ、そこの差異がここに出てきているのかなという感じは受けます。
最後ですけれども、そういう意味で、今まで事例で申しましたように、類否の判断基準、一貫性、透明性、正確性の把握が大変難しい。そういう意味で、類否判断基準の明確化が今後必要ではないでしょうかということでございます。それで、当該分野においてどのような基準で類否判断が行われているのか、明確に行われる必要があるのではないでしょうか。
もう一つ、2としては、「デザインの創作価値」と「意匠権の価値」のリンクですね。これは、デザインの創作の価値に応じた意匠権を確保したい。創作価値と意匠の価値はリンクしているはずです。こういうことから言うと、最終的には、下に書いておきましたけれども、拒絶理由通知の内容を充実化していただきたいという要望で具体的には類否判断のポイントを明記していただきたい。あと、出願人にとって特許庁側が考える個別・具体的判断基準の把握が可能になります。
2点目が、具体的事例において対応できるように、「意匠審査基準」における「意匠の類否基準」をブレイクダウンして、類否判断に関する運用基準というものの策定――狭くなるような策定は必要ないんですけれども、広くなるような策定が何かあれば御検討いただければと思います。
あともう一つ、3点としては、商品分野の斬新で独創的なデザインについては、類似幅を広く認定していただきたい。というのが産業界の意見としてあります。
私のプレゼンテーションは以上でございます。どうもありがとうございました。

花木審議室長

どうもありがとうございました。
それでは、引き続いて、知的財産政策室長から御説明を受けたいと思うのですが、その前に、今のプレゼンテーションに関しまして、後ほど意見交換をしていただきますが、今、御質問があればお願いしたいと思います。
それでは、また御質問があれば、後の意見交換のときにお願いいたします。
どうもありがとうございました。
引き続きまして、知的財産政策室長の住田室長から、不正競争防止法の改正に関する検討状況について御説明をお願いいたします。

住田知的財産政策室長

知的財産政策室長の住田でございます。よろしくお願いします。
お手元に資料3というものがございまして、かなり分厚い資料でございますが、関係ある部分はそんなに多くございませんので、資料3の本体と、その後に議事要旨というものがございますので、そちらを中心にごらんいただければと思います。
ただいま、産業構造審議会の不正競争防止小委員会の中で、不正競争防止法の改正について検討してございます。
大きく申し上げますと、資料3のところにございますけれども、3点ございます。一つは営業秘密保護の強化ということで、これは刑事罰の強化を図りたいということでございまして、海外での使用・開示、あるいは退職者のかかわるケース、さらには法人処罰と、この3項目ほどを検討していただいているところでございます。
この意匠の問題と関連がありますのは、その次の5ページ目から始まるところでございますが、模倣品・海賊版の防止という観点から、2条1項2号のケース及び2条1項3号のケースについての刑事罰の導入ということと、それから、8ページ目のところにございます水際措置の問題、さらには、9ページ目のところにございます形態模倣の民事的保護範囲の見直し、これが、模倣品・海賊版関係での検討の内容でございます。
そのほか、10ページ目以降のところで、その他ということで、データベースに関する民事的保護の見直し、さらには罰則規定の見直し、この項目がございます。したがいまして、きょうは、5ページ目から9ページ目までのところに関しての現在の検討状況をお話させていただければと思います。
まず5ページ目のところでございますが、これは2条1項2号の問題でございまして、主に商標の関係が強い部分でございますので、意匠の制度とは直接的な関係を持つものではございません。これは2条1項2号、現在の規定によりますと、刑事的な保護が図られているかどうかということが不明確になっているということでございまして、事例4から事例6にございますようなケースで、1号の誤認混同を生じていないようなケースにつきまして、2号で著名表示に関する冒用といったことをした場合に、これも刑事罰の対象にすべきような悪性のあるケースがあるのではないかという議論でございます。
この点につきましては、一定の悪性の強い場合、特に不正の競争の目的といったような主観的要件をもって対象を限定することによって、これも刑事罰の対象としていくべきではないか、そういう意見が比較的多く出されているというのが現状でございます。
それから、6ページ目のところでございますが、これが2条1項3号の関係でございますけれども、まさに形態の模倣ということで、意匠権と一番強く関係のある部分でございまして、この部分につきましては、もともと産業界からもかなり多くの声が寄せられていたものでございます。
事例7というところにございますのは、商標のラベルは張っていないんだけれども、外観が非常に似ているというようなケースでございまして、参考資料の方の10というところにございますようなケースでございます。かなり後ろの方にございます。参考資料10というところにございますのはルイ・ヴィトンのバックのケースでございますが、見ただけでは本物じゃないかと思うようなバックが売られている。あるいはフェンディの、これもバックでございますけれども、非常によく似たものが売られている。セリーヌのケースでも、同じようなものが売られているというのが現状でございます。
特に最近では、このバックに限らず、例えばスポーツウェアのようなケースもありますけれども、商標のラベルをはずして輸入をする。国内に入ってから別途輸入した商標ラベルをくっつけるといったこともございまして、形の上では、デザインとしては、全く同じような商品というのが入ってくるというケースがあるわけでございます。
それから、事例8の方は、主に玩具のようなケースでございますけれども、参考資料11というところにございますが、真正品と非常に似た玩具ということでございます。これは、技術的な進歩によりまして、玩具等でも三次元デジタイザーなんかを使って型取りをして、ほぼ同じようなものを中国でつくる。それを輸入して自社ブランドで販売をするというようなケースでございます。玩具の場合は、特にライフサイクルも短いわけでございますし、多品種少量生産であります。また、1点当たりの収益も少ないということで、意匠権を取得していないケースが多いということでございまして、これらについても刑事罰の対象にすべきではないかという議論があるわけでございます。
とりわけ、これらの行為は、往々にして、非常にある意味で反社会的な勢力が関与しているようなケースもございますから、民事でやろうと思っても、なかなか手ごわいといいますか、危険が生じるようなことがございますので、刑事的な対応が必要ではないかということが言われているケースでございます。
これらが、主に2条1項3号で刑事罰の対象にすべきではないかというふうに考えられるケースでございまして、前回の不正競争防止小委員会におきましても、いろいろと御議論をいただいたところでございます。
その際の御議論の中では、やはり刑事罰を導入する場合には構成要件を明確化すべきであるという意見があった一方で、そもそも民事の規定についてあいまいな部分が多いということで、刑事罰の導入には慎重であるべきではないかという御意見もございまして、両方の御意見があったということでございます。
ただ、一方で、8ページ目にございますが、海外からの模倣品・海賊版の流入というものの被害、これは、先ほどの例でも申しましたように深刻でございまして、特に水際での措置を講じてほしいという意見は、2条1項1号、2号、3号ともに強いわけでございます。これにつきましては、2号、3号の案件も、ぜひ水際差しとめをすべきだという御意見がございました。
一方で、本件は、措置をするということになりますと、関税法あるいは関税定率法の改正ということになりまして、財務省との議論になるわけでございますが、財務省の方での理論といいますのは、国内で民事的な手段でなく、つまり警察が関与して、その流通をとめるというようなものに限って水際でも差し止めをするという理解でございます。これは、そうしないと内外無差別ということにならないからだということでございまして、そういう話がございますので、先ほど申し上げました2条1項、特に3号の方につきまして、国内的な措置はまだ必要がないということになりますと、当然のことながら、水際での措置もできないということになるわけでございます。これは、水際の制度というのが内外一体ということを原則として、つまり、どのようなものであっても、公的なセクターによって訴追といいますか、差しとめなり刑事的な手段に訴えることができるというようなものでないといけないという内外無差別の原則を、これは大きな原則として堅持をしたいということでございますので、産業界からの要望が、特に水際のところにあるということはわかっているわけでございますが、先ほど申し上げたような国内的な措置とあわせて措置をすることが必要になるということでございます。
それから、9ページ目のところでございますが、形態模倣の民事的な保護範囲の見直しということでございます。これにつきましては、2条1項3号の現在の規定というのが、非常にわかりにくい部分が多い。特に保護期間について、商品の発売から3年までの期間というふうに書いてあることによって、その保護の開始の時期がどこなのかということ、あるいは終わる時期がどこなのか、3年が適当なのか、さらには、商品の形態につきましても定義がないものですから、内部の形態はどうなのか、あるいは無形物はどうなのかといったような点についてさまざまな議論があるわけでございまして、この点について明確化を図るべきだという御意見があるものですから、この点について議論をすべきだということになっておるわけでございます。
他方、これとあわせまして、実は知的財産研究所の方で、研究会のような形でこの点についてもいろいろ議論をさせていただいておりますけれども、その場での議論を紹介しますと、いずれにしましても、現在の規定という中で判断をしていけば足りるのではないかという御意見がございます。ただ、保護期間につきましては5年程度に延ばすべきだという御議論と3年で十分であるという御議論がございます。それ以外の点につきましては、現在の規定で十分なのではないかという御意見が多いわけでございます。
特に保護開始の時期につきましても、また発売前の行為の扱い、あるいは外国での発売をどう考えるかといった点につきましても、現行規定の中で、実務上、裁判で判断をできるという御意見が多く出ているということでございます。
なお、その商品の形態に関して、例えば画面のデザインといったコンテンツのデザインにつきましては、まずは、やはり意匠法の適用を考えるべきではないかという御意見も多くございます。また、意匠法の検討において無体物な扱いを議論すべきだ、画面デザインについても意匠法の検討を待つべきであるという御議論が、特に多く出されてございます。
と申しますのは、こちらの意匠制度小委員会の方で、今後の意匠法の制度のあり方についての見直しが行われているという点についての情報が、既に不正競争防止法の検討においても、皆さんが承知するということになっておりますので、やはり、そちらへの期待が非常に高いというのが実情でございます。
また、先ほどの保護期間の3年につきましても同様の議論でございまして、意匠制度の見直しの中で無審査登録制度のようなものができるのであるとすれば、やはり3年というのを今見直してしまうというのが本当にいいのかどうかという議論もございます。
また、商品の内部の形態については、容易に外からわかるというようなものについては保護対象に含まれるけれども、純粋な内部については、やはり現行法では保護は難しいのではないかという議論がございます。とりわけ、半導体の回路などにもございますような、ある意味でリバースエンジニアリングをしないとわからないような、そういう形態というのが、これは保護すべきではないんだという御意見も産業界の方からはあったわけでございます。
以上が、現在の商品の形態に関する検討の状況でございます。
その他、データベース等についても検討しておりまして、データベースの保護についても保護すべきだ。タイプフォントなんかの議論もあるわけでございますが、保護すべきだといったような議論が出ているところでございます。
以上でございます。

花木審議室長

どうもありがとうございました。
住田室長におかれても、この後も御出席いただけるということですので、また質問の機会もあるかと思うのですが、とりあえず現在の御説明について、差し当たり御質問があればお願いしたいと思います。
よろしいでしょうか。
それでは、資料の説明を引き続きさせていただきたいと思います。
意匠法の関係でございますが、資料1に基づきまして簡単に御説明をさせていただきます。
今回は意匠の類似の範囲及び効力の内容ということでございますので、2ページの2.の(3)にあるような3つの点について、先ほど申し上げたとおりですが、御議論をお願いしたいと思っております。
一つが法律上の問題ということでございまして、2つの場面に分けられるかと思っております。即ち、1でございますが、審査の段階、意匠の登録に当たって審査する段階において、法律上の類似ということが適当なのかどうか。これでは狭いのか、広いのかということ。
それから、2番目が2のところでございますが、権利行使の段階において、類似については権利が及ぶということになっているわけですが、それが広いのか、狭いのか。
また、12につきましては、今、法律上の問題と申し上げましたが、あるいは法律の問題というよりは、むしろ審査の基準なり、判断の一貫性なり、透明性なり、そういった点のほうこそ問題なのかどうかという点でございます。
それから、3というふうに書いてございますが、意匠権そのものの効力というよりは、意匠制度全体を通じて、関連意匠制度を使いやすくすることによって、実質的に意匠の効力が明確になったり、強化されたりするのではないかという御指摘もあるかと思います。こちらの点について、今回は御議論をいただきたいと思っております。
それぞれの点について、ごく簡単にかいつまんで御説明をさせていただきたいと思います。
まず、最初に登録の段階でございます。論点1、2ということで、3ページでございますが、登録に当たっての法律上の要件は現行どおりでいいのかどうかという点でございます。
まず1.でございますが、意匠登録の要件ということで、もう既に御承知のとおりでございますが、現行法、意匠登録の要件に当たりましては、意匠法第3条第1項及び第2項の規定に基づいて、新規性と創作非容易性と2つの基準があるわけでございます。
新規性につきましては、こちらに条文が書いてありますが、1号、2号が、いわゆる同一の意匠、こういうものは登録できません。それから類似した意匠、3号でございますが、これは登録できないということになっているわけでございます。
次、4ページでございます。(2)、二つ目の要件であります創作非容易性ですが、こちらにつきましては、条文を書いてございます。「前項の規定にかかわらず」ということで、1項で、同一または類似でないということであったとしても、こちらに書いてございますように、「その意匠が属する分野における通常の知識を有する者が、日本国内または外国において、公然知られた形状、模様もしくは色彩、または、これらの結合に基づいて容易に創作できるものについては登録できない」ということになっているわけでございます。
この2つが登録要件になっているわけでございますが、5ページのところを見ていただきますと、この要件は、実は平成10年に、御承知かと思いますが、改正されて強化されているわけでございます。5ページの真ん中のところでございますが、平成10年改正前は、「広く知られたものに基づいて創作をすることができたとき」ということでございます。現在は「公然知られた」ということで、広く知られたといいますのは、ある意味、誰でも知っている。公然知られたというのは、数人の方が知っていればいいというふうに解しておりますので、この点の基準が強化されたというふうに、創作非容易性の基準が強化されたということでございます。
具体的には、参考資料1をごらんいただきたいと思います。これは、意匠の審査基準から抜粋した事例でございます。イメージを持っていただくためでございますが、どういうものが意匠登録できないのか、容易に創作できるのかという判断基準でございます。例えば1ページ目の事例でございますと、いわゆるガスボンベのようなもので、このボンベの部分が角張っているもの、丸まっているボンベ、両方とも公然知られたものである。この部分を置きかえたようなもの、いわゆる置きかえの意匠、こういうようなものは容易に創作することができる意匠であるというふうに判断されているわけでございます。
また2ページも、フェンスでございますが、この貝の部分を動物の顔に置きかえているという置きかえのパターン、それから、3ページでございますが、寄せ集めということで、スピーカーですけれども、従来から公然知られたスピーカーボックスとスピーカーというものを単純に寄せ集めたようなものは、寄せ集めの意匠ということで、創作が容易であるということになっているわけでございます。
また4ページは、同じように、これは何らかの電気機器だと思うのですけれども、上と下の配置を逆にしたというようなもの、それから、5ページでございますが、これはコンクリート製の排水溝、側溝でございますが、こちら一つずつの単位を幾つか、10程度の単位に変えたという単位の数の増減等でございます。
そのほかにも、6ページは、丸とか四角とか、そういう単純な形を組み合わせただけのようなもの、あるいは7ページは、自然にそのままあるようなものということでございます。
それから、8ページ、9ページでございますが、8ページは、電卓が知られているときに、それをチョコレートに転用しているようなもの、あるいはオートバイがあるときに、これをおもちゃに転用するようなものということでございます。
以上のようなものについては容易に創作することが――公然知られていれば、容易に創作した意匠であるということで登録できないことになっているわけでございます。
平成10年にこうした改正が行われました結果、拒絶理由の内訳といたしまして、今申し上げた容易に創作したものであるという3条2項を理由とした意匠登録の拒絶は、この下のグラフの黒い部分でございますが、大体、平成11年までが3%~4%程度であったものが、ほぼ倍になっているわけでございます。そういうことで、平成10年に一度見直して、法律上の要件を見直して、意匠の登録段階の要件は一度強化したということでございます。こちらについて、さらに強化の必要があるのかどうかということについて御意見を賜りたいということでございます。
なお、6ページ、7ページは、最高裁判例というふうに書いてありますが、一言で申し上げますと、3条1項の要件というのは、一般の需要者から見た美感の類否を判断するものであると、三つ目のパラグラフでございますが、それに対しまして、3条2項は当業者から見て創作が容易であるということで、こちらが確立した解釈になっているということを御紹介させていただいているとおりでございます。
以上が、登録の段階の法律的な要件についてでございます。
また、8ページ、9ページでございますが、こちらは権利行使の段階についての御議論かと思います。権利行使につきましては、効力範囲を拡大すべきかどうか、あるいは拡大するに当たって具体的にどういう形で拡大すべきなのかということを御議論いただきたいと思っております。
現在の意匠権の効力範囲につきましては、意匠法第23条ということで、こちらに条文が書いてございますが、同一の意匠だけでなく、類似の意匠を実施する権利を占有するということで、類似意匠も意匠権の範囲ということになっているわけでございます。こちらにつきまして、類似しているかどうかということでございますが、こちらは、最高裁の判例に基づきまして、先ほど御説明したとおり、類似かどうかということについては、一般の需要者の観点から判断するということに、こちらが確立した解釈になっているわけでございます。
飛びますが、参考資料の2でございます。我々の方で、最高裁の判例等を見まして、どういう形で類否判断をしているのかということについて簡単に整理させていただきました。
1ページに書いたとおりでございますが、時間の関係もございますので、余り詳しくは御説明いたしませんが、いわゆる要部を考慮して判断しているということでございます。
具体的な事例で3つほど事例を挙げておりますが、3ページのなべの場合、下の表に書いてあるような基本的構成の態様はどうなのかということ、さらに、意匠の要部はどこなのか。それから、公知・周知との比較はどうなのか。その上で、共通点はどこであって、差異点はどう評価されるのかということで判断しているわけでございます。
このなべの場合は、図3になっている横長のふたと胴が結びついている部分、ここが要部であるということで、ここが違っているということで、類似するものと認めることはできないという判決が出ているわけでございます。
また、5ページはあんま器の場合でございますが、こちらも同様の要部についての判断をしておられる。
それから7ページの、これは金具だと思いますが、金具につきましては、接続部分の1の部分が要部であって、ここが異なっているということで判断をされているということでございます。
また9ページは、これは洗濯物干しか何かだと思うんですけれども、同じように要部に着目して、一般需要者ということで判断をしているということを御紹介させていただきます。
本資料の方に戻りまして9ページでございますが、以上のことに基づきまして、意匠権の効力範囲につきまして、先ほど光主委員の方からも、判例上と審査と比べると判例の方が広いのではないかという御指摘がございましたが、そういうことも踏まえながら、類似というだけでなく、さらに広げる必要があるのかどうかということについて御議論いただきたいと思っております。
一つの案といたしまして、仮に広げる場合、先ほど申し上げましたように、登録の段階は、類似であっても容易に創作できたものは登録できないというふうになっているわけでございます。それに対して、権利の範囲は類似のものにとどまるわけですので、一つの案として、容易に創作できるものについても、直ちに意匠権の効力が及ぶという考え方があるのかどうかということをこちらに提案させていただいているところでございます。
それから、10ページ、11ページ以降は、法律上の問題はさておいてということでございまして、もちろん法律上の問題もあるのかもしれませんが、むしろ審査・審判の判断手法の問題なのか、審査基準の問題なのか、あるいは判断の正確性・一貫性の問題なのかどうかということでございます。さらに類似の概念について、明確化や判断の容易化のための何らかの方法がとれないかどうかということでございます。
10ページでございますが、意匠審査の現状ということで、現在は、年間約3万8000件の審査着手に対して61%、これは分野により異なるというのが、第1回で森山先生がおっしゃったとおりでございますが、61%が登録査定されているということでございます。
ただし、拒絶したものにつきましても、セカンドアクションの段階で、約半々で登録になっているということを紹介させていただいております。また審査に要する期間は、それぞれファーストアクション、セカンドアクションで7.7カ月、12.9カ月ということでございます。
審査の仕方でございますが、いわゆるバッチ審査ということで、10ページ、11ページのところでございますが、現在は、分野によって、この辺も多少異なるというふうに聞いておりますが、一定期間分をまとめて審査するということで、一括審査することにより判断の統一化を今図っているところでございます。
メリット・デメリットということでございますが、これは第2回の登録制度の議論でもございましたが、やはり、あらかじめ行政庁が判断するということに対してメリットであるという御意見があったかと思います。
また、バッチ審査で行うということで先行意匠調査を行政庁が行う、また、それが一定期間内に完了するということで、出願人の側から見た負担の観点から合理性があるのではないかということを書いてございます。
一方、デメリットというとあれでございますが、そういうバッチ処理ということでやりますので、いわゆる審判ですとか、裁判の段階のような1件、1件の細かい精密さ、正確さ、要部の判断といったところについて、現在の審査で十分なのかどうなのかということについては、なかなか限界があるのではないかと思っております。
また、同じ類似という言葉でございますが、先ほどの光主委員のプレゼンテーションでクレーン車の例もあったかと思いますが、実際に、その審査・審判、裁判の各段階で、法律上、同じ類似という判断でございますが、登録の段階は、若干狭いのではないかという御指摘があったというふうにも思っております。
類似につきましては、特許庁といたしましては、類否の判断は、基本的に、法律上同じ用語でございますので、同じように判断しているつもりではございます。そちらにつきましては、最高裁判例によって「一般需要者の立場から見た美感の類否」という確立した解釈が、繰り返しでありますが、ございますので、そちらに基づいて判断しているということでございます。
なお、裁判所の判例と申しましても二通りの考え方があるというふうに理解しておりまして、一つが混同ということで、需要者から見て取り違えるほど似ているのかどうかということを判断基準とするような事例がある一方、見た方の注意を引く部分に着目して判断するというパターンと二通りあると思っております。ただ、最近の事例は、先ほど御紹介させていただきました参考資料集にございますとおり、要部を基準に判断している事例が多いというふうに理解しております。
12ページも、上のところはそういうことでございまして、それから意匠の類否判断、実際に審査でどう行っているかということでございますが、こちらは、ごくごく簡単な説明でございます。先ほどの光主委員の説明とちょっとダブっていると思うんですけれども、まず、出願された意匠に係る物品と同一または類似する物品の範囲で先行意匠を調査しますということでございます。それで、先行意匠の中に類似する意匠があれば、最も類似する意匠を引用しますということでございます。
その際の判断につきましては、先ほど御説明が委員の方からあったとおりでございまして、見えやすい部分なのかどうかとか、ありふれた形態の部分なのか、あるいは大きさが違う場合に、それが常識的な範囲内なのかどうかというようなことで判断しているということでございます。
以上が、審査につきましての話でございますが、若干話がずれるんですけれども、13ページの(4)でございます。こういう判断、登録要件、効力範囲、両方につきまして、諸外国と比べてどうなのかということでございます。米国と欧州が書いてございますが、一言で申し上げますと、日本法とさほど、日本に比べて、アメリカなり、欧州なりが、意匠の類似の範囲が極めて広いとか、著しく異なっているということは基本的にないのではないかというふうに思っているところでございます。
米国につきましては、新規性と非自明性ということで基準になっているわけでございまして、非自明性の方で、かなりウエートを持って判断をされているというふうに理解しております。
それから、欧州につきましては、同じく新規性と、こちらは独自性という用語を使っているところでございます。
こちらにつきましては、余り詳しく、今回立ち入るつもりはございませんが、米国・欧州のそれぞれの制度につきまして、参考資料3のところで、幾つかの事例をもとに御説明をさせていただいております。一言で申し上げれば、先ほども申し上げたとおりでございまして、日本法と余り変わらないのではないかというふうに思っているわけでございますが、アメリカの場合は、2ページの下のところにございますが、日本法との違いといたしまして、「出願日から、出願人が3カ月以内に情報開示陳述書ということで提示をしなくてはいけない」ということで、いわゆる出願人の側が意匠の選考例について列挙しないといけないというところが若干違うのかなというふうに思っているところでございます。
それから、14ページ、15ページでございますが、不正競争防止法と比べて意匠法はどうなのかという話でございます。先ほど、住田室長からもお話がございましたが、意匠法につきましては、2条1項1号の混同惹起行為、それから2条1項3号の、いわゆるデッドコピー規制、形態模倣行為、この2つが関係するわけでございます。
まず2条1項1号につきましては、これは不正競争防止法の中で混同を惹起させるかどうか、混同するかどうかという表現になっているわけでございます。意匠法の類似と比べて、この不正競争防止法の混同が広いのか、狭いのかと考えたときに、混同の方が、言葉の意味からすると、取り違えるほど似ているというふうに解釈すれば狭いのかもしれませんが、実際の裁判例といたしましては、参考資料4でございますが、不正競争防止法の2条1項1号は、比較的効力範囲が広いというか、意匠法上は、必ずしも類似と見なされないようなものについても認められているところでございます。
参考資料4の1ページは衣類の事例でございますし、それから、もうちょっと有名なものといたしまして、4ページに、いわゆる数年前、話題になりましたパソコンのデザインが似ているのかどうかということでございます。これは、意匠の類似という基準で見たときには、類似ではないのではないかというふうに思われるものだと言われているかと思いますが、不正競争防止法上は混同ということで、混同があるということで認定されたものでございます。
それから、もう一つは形態模倣ということで、2条1項3号でございます。こちらは、不正競争防止法上は、いわゆるデッドコピー規制ということで、同一の意匠、同一のものということかと思いますが、実際には、判例上は、全くのデッドコピーということではなく、若干広く解されているのかなというふうに思っております。同じく裁判例は、先ほどの参考資料4の、こちらは有名な事例だと思いますが、6ページに3号の事件、9ページにカバンの事例ということでつけてございます。
ちょっと説明が長くなりましたが、以上が意匠法上の類似の御議論で、それが法律上の論点なのか、運用上の問題なのか、それから、法律上の問題である場合に、それは登録の問題なのか、権利行使の問題なのかという点について御議論いただきたいということで素材として出させていただきました。
それから16ページ以降は、意匠権そのものといいますか、本意匠の権利そのものではないんですが、関連意匠制度をうまく活用することによって、実質的に意匠の範囲を明確にしたりすることができるのではないかというお考えもあるかと思いますので、こちらについての御議論もあわせてお願いしたいと思っております。
関連意匠制度は、簡単に1.のところで書いてございますが、前回の意匠法改正の際に、類似意匠制度にかえて導入された制度でございまして、類似意匠との違いは、類似意匠が類似にのみ類似する意匠は登録できたのに対して、関連意匠は関連意匠にのみ類似する意匠も登録できないという排他項を認めているということで、権利の範囲が強くなったということが第1点でございます。
一方、意匠権の出願は、1.の(2)でございますが、「同日に出願された場合」ということで、出願の日にちを限っているわけでございます。
こちらにつきまして、17ページでございますが、平成10年改正前は類似意匠制度というのがありました。こちらについては、今申し上げましたように、類似意匠にのみ類似する他人の意匠というのは、本意匠の効力範囲には入らないということであったわけでございます。
これを、18ページでございますが、関連意匠ということで、いわば平成10年のときに、こちらの部分も意匠権の効力を強化するということで制度をつくったわけでございます。これにつきましての論点といたしまして、第1回のときにも申し上げましたが、我々の方で企業ヒアリングをした際に、論点1でございますけれども、後日の出願というのができないということにつきまして、非常に問題があるのではないかという御指摘がありました。したがいまして、後日の出願をできるということについてどうでしょうかということでございます。
論点2というのは、論点1と密接に関係しているわけですが、後日の出願を認めた場合、本意匠の出願と関連意匠の出願の間に他人が意匠を創作し、実施した場合、その権利との関係をどうするのかという点でございます。
それから論点3は、多少、先ほどの意匠権の効力範囲の議論と関係しておりまして、効力範囲として、類似に加えて容易に創作できたものまで効力範囲にするということが考えられないかどうかということを先ほど申し上げたのですが、そういう形で拡大し、さらに関連意匠についても拡大するということですね。ダブルで拡大するということが可能なのかどうかということについての御意見をいただきたいということでございます。
説明が長くなりましたけれども、以上でございます。

大渕委員長

光主委員、住田室長、花木室長、限られた時間ではありましたが、丁寧な御説明をありがとうございました。

自由討議

大渕委員長

それでは、以上の説明も踏まえまして議論に移りたいと思います。本日の議題は、意匠の登録要件と効力範囲の在り方についてでありますが、関連意匠の在り方というものも関連論点として含まれております。このような本日の議題に関しまして、どの点からでも結構ですので、御自由に御意見をお願いいたします。御質問でも結構でございます。
水谷委員、どうぞ。

水谷委員

先ほど光主委員から、いろいろ具体的な事例を交えた御説明があったんですけれども、ちょっと伺いたい点は、意匠の類否を検討する際によく言われているとおり、混同説の立場に立つのか、創作説の立場に立つのかという前提の問題があるかと思うんです。
光主委員が示してくださった具体例を、一般の消費者の方にアンケート調査でパッと見せると、私の直感ですけれども、ほとんどの人が類似していると答えるのかなという感じがしております。そういう意味で、混同説の立場を前提にすると類似が認められる。これに対して、当業者であるデザイナーのような立場の方にお見せした場合には、結構、細部に対してこだわりをお持ちですから、これはこの点が違うから、やっぱり違うデザインだなというようなことになるのかもしれない。つまり、創作説の立場に立つと非類似になるけれども、混同説の立場に立つと類似になるというような――非常に乱暴な割り切り方かと思いますが、そういうような前提とする立場の違いにより、異なった理解につながるということになるのか。
あるいは、先ほど審査の時には、バッチ処理を行うというふうにおっしゃっていたので、そういう基本的な立場の相違ではなくて、非常に短時間に処理をしているので、結果的に、こういう登録例も生まれてくるんだというような理解でよいのか、その辺の審査の現場の実感というものをちょっと教えていただけないかなという感じがいたします。

原田意匠制度企画室長

審査の現場ということですけれども、特に審査のときに、混同説、創作説というように、審査官は別に意識は余りしておりませんで、当然、デザイナーの方は需要者を意識してデザインをされているわけなので、需要者から見てどうかというのと、プラス創作的にどういうところにポイントが置かれているかという両方の視点から見ているというのが現状です。
それで、短時間にバッチ処理をやっているからどうかという話ですが、先ほどの事例の中では、図面が斜視図だけで、一見見ると似ているように思えますが、実際には各図面を見ると、結構違う部分がありまして、必ずしもバッチ処理で効率性を追求しているために細部を見逃しているとか、そういうことはなくて、適性に判断をした上での結果だということです。
それで、追加ですけれども、いろいろコメントの中で、具体的な事例で、ここが違うから登録になったというような説明はつけられますが、本当は、それをしないと理解してもらえないというところに、問題があるのではないかということは実感しておりますので、光主委員が言われた明確化ということについては、こちら側も検討の余地が十分あるのではないかなと思っております。

大渕委員長

平野委員、どうぞ。

平野委員

今の御回答の話を聞くと、図面だと違って見えて、こういう実物の写真を見ると似ているというふうにも聞こえますね。

原田意匠制度企画室長

そういう意味ではなくて、出願された図面の一部の写真だけだと、創作の内容が適正に評価できないのではないかなと思うんですけれども、具体的に言いますと、例えば、一番最初のファクシミリのところですが、この図面だけだとよくわからないのですが、一番下のものは、上面が全部ふたなんですね。それで、先ほど指摘があったラグビーボール状のというような形状のところは、ここは実は穴があいているわけで、ふたをあけると、そこが穴になっていて、ふたを閉めた状態が、上のものと少し似ているのではないかなというふうに思われるかなと思うんですけれども、全体として出願されたものを理解すると、上のものとは非類似という判断をしたということで、図面だから細かくて、実物は似ているとか、そういうことではなくて、実物を見ても違うという判断です。

平野委員

ありがとうございました。

岡崎委員
(代理・松下氏)

本日、岡崎委員の代理で参っております知財協のヤマハ株式会社の松下と申します。よろしくお願いします。
意匠の類否についてですけれども、先ほどの家電さんの例というのは、多分狭い例を大分拾っていらっしゃったので、権利範囲が狭いんじゃないかということでまとめられた例だと思うのですが、私ども知財協の方では、いろいろなメーカーさんが集まっておりますので、いろいろな分野の製品を見て皆さんと検討しているのですけれども、物品分野で、いろいろ権利範囲というのが狭かったり、広かったりということで、一概にすべてが狭いということは言えていないというような見解になっております。
絶対的な広い、狭いというのは尺度がありませんし、今後、拡大すべきかどうかということも、その尺度がないために、一概に拡大してくださいとも言えないというところが現状です。
それよりも範囲の明確化といいますか、やはり審査資料の公開であるとか、最近は拒絶理由の通知のあり方についても、御努力でいろいろ運用の改定をしていただいておりますので、そういう方向で、範囲の明確化というところを突き詰めていけばいいのではないかということで、拡大というよりも明確化の方を知財協の方では望んでいる次第です。
以上です。

大渕委員長

峯委員、どうぞ。

峯委員

きょうの議論の方向性ですけれども、先ほどから類似という話があって、類似が狭いのか、広いのか、それで、少し広げるために3条2項的な考えを導入するかという方向で御提案がありましたが、まず類似という概念を残すのかどうなのか、必要なのかという基本的な話があるのではないか。
というのは、類似という概念を用いなくても、意匠は創作なんだというとらえ方をすれば、それで創作の同一性、意匠の同一性ということで効力の範囲が決まっていく。発明を把握するときに類似という概念はありません。実用新案にも類似はありません。これは、創作として一つの範囲を持っているからというふうに理解できます。ですから、意匠を理解するときも、創作として一つの範囲を持っているというふうに考えれば、類似という概念は要らなくなるという考え方もあり得るのではないかということになります。
そのために、私、第1回目か何かに言いましたけれども、出願書類をつくるときに請求の範囲を書くようにしたらどうか、創作の内容を、そこで言葉として開示する。そのことによって同一性の範囲を明らかにしていく。そのような出願の仕方、そして権利の範囲というものをリンクづけていく、こういう考え方があるのではないかというふうに考えております。その辺も御配慮いただけたらと思います。

大渕委員長

ほかに、どなたか。
水谷委員、どうぞ。

水谷委員

今の峯委員の御発言に関連して申し上げておきたいのですが、今のお話は、請求項的な発想を意匠制度の中に取り入れられないかということだと思うのですけれども、現状で、請求項は、もちろん意匠にはございませんが、それに多少でも関連するかなと思われるものがあるとすると、多分、特徴記載書だろうかなと思っております。請求項のような、いわゆる拘束力はございませんけれども。
意匠法施行規則の6条に「特徴記載書」の規定がございます。これによりますと、「意匠登録を受けようとする者は、特徴記載書を提出することができる」となっていて、他方で、6条の3項には、「登録意匠の範囲を定める場合においては、特徴記載書の記載を考慮してはならない」というような規定もある。ですから、現行制度は、単に請求項的なものが存在していないというよりは、むしろ、そういうものを考慮してはいけないんだという前提の制度になっておりますので、変えるかどうかという話は別にして、現行制度は、そういう理解でよろしいのかどうかという確認をさせていただきたいのですが。

瓜本意匠課長

特徴記載制度は、平成10年改正意匠法で入れさせていただいたのですが、そのときにも明確化の議論がありまして、やはり、同じようにクレームを入れたらどうかという意見があったわけです。
ただ一方、過去、大正10年意匠法ですか、あのときにも「登録請求の範囲」というのがあったんですが、ほとんどのケースが「図面に示す通りの」というように出願内容の全部を請求する例がほとんどでして実質的に形骸化していた、一方、審査を速くするということを考えますと、願書記載事項としてクレームを含めますと、審査官と出願人又は代理人とのやりとりが、結局頻発して審査処理が遅れるだけではないか、そういう懸念があったものですから、とりあえず、こういった特徴記載を中間的な位置付けとして入れさせていただいて様子を見たいというのが、言ってみれば特徴記載書制度導入の趣旨だったわけです。
ただ一方、法技術的にいろいろ問題があって、どういう位置付けにするかということを議論した結果、今のようなことになっているわけで、決して、意匠制度におけるクレームの存在を否定したいがために、現在のような書きぶりになっているのではないということであります。ですから、これがもし非常に使われて、非常に役に立つのであれば、我々としても次のステップに行きたいというのが導入当時の気持ちでした。

水谷委員

ありがとうございます。

大渕委員長

茶園委員、どうそ。

茶園委員

今、御説明いただいた類似の問題は、狭いか広いかという問題と、明確性を欠くという問題の2つがあると思うのです。この2つの問題は、共通する1つの原因があって、それは、そもそも意匠が何かとか、何を保護するかというのが明確でないということであると思います。
一方で創作であると言われているわけですけれども、御説明の中にありましたように、最高裁は類似の判断主体が一般需要者であると述べているわけでして、恐らく、裁判所はこれを無視するわけにはいかない。
そのために、混同説とか創作説という考え方の対立があるといわれているわけですけれども、意匠がどのようなものとして保護されるかということが明確ではない、整合的な考え方がまだ見出されていないから、より具体的な処理基準をなかなか出しにくいでしょうし、一貫した判断が行いにくいということではないかと思います。それで、何を保護するかというと、創作として保護するとか、あるいは1回目の委員会であったと思いますが、例えばブランドとして保護するとかの考え方がある。また、室長から、今度は模倣品対策としてこれを活用しようという意見が述べられました。これは、ブランドとして保護するとか、創作として保護するという考え方と排他的なものではなくて、両方とも成り立ちうることだと思うのですけれども、まず、意匠をどのようなものとして保護するのかについて、ある程度決めておかないと、どこまでの保護を与えるのか、混同が生じるところまで保護するのか、あるいは今回、提案されているような、登録意匠が属する分野における通常の知識を有する者が容易に創作することができる範囲までかは決まらないのではないか。最後のものは、恐らく意匠を創作として考えて、そこからの同一の創作体というところまで保護しましょうと考えられたものだと思うのですが、いずれにせよ、まず、この点をある程度議論しておかないと、保護範囲とか明確性という問題は、なかなか解決できないのではないかと思います。
以上です。

大渕委員長

今までの点に関連してでも、また別の点でも結構ですので、どなたかございませんか。
どうぞ、菅井委員。

菅井委員

自動車工業会の方ですけれども、商品の範囲は、ある程度絞られた世界でございます。繰り返し、繰り返しで3回とも同じことの主張となります。我々が権利化するというのは、やはり保護する、その保護に尽きるわけですね。審査の過程というのは権利化のためのものですから、余り細々としたことを述べるつもりはございません。しかし実際には、日常の仕事としては、類似の範囲というのは大変なわけで、実際に商品を守るという観点からすれば、他者の類似を排除したいわけですね。一方でマイナーチェンジの車は、どうしても統一性をある程度守っていくというお話も前回させていただきましたけれども、やはり同一の出願人、創作者と、模倣品も代表的な例としてございますが、単に第三者として競合にトライしてくるものとは明確に分けて考えられないかということが、ビジネスをやっている、かつ創作者の立場からすれば、そこは区別できるのではないかというふうに考えています。
そういう意味で、同一出願人あるいは創作者には広く認めてほしい。そこが、模倣品に対しても、あるいは類似の範囲を言う場合でも、特許法の中でも本人を除く規定というのはあるわけで、そういったものの導入によって、本当の創作者の権利範囲は、やはり強く保護したいという観点で、ぜひ考えていただくとありがたいなと思っています。
関連意匠が最後に出ておりますけれども、やはり今、同一の出願人・創作者にとっては、非常に使いづらい改正になってしまっているのではないかというふうに思っていまして、そこの点も、やはり同日の出願というのは、将来のものも一緒に出せというようなものに非常に近いものですから、そこはやはり、同一出願人に対してはもう少し緩和していただく。いろいろ間に、他人の第三者の意匠が入った場合の扱い等々ございますけれども、そこも、出願人の同一性の範囲をいかに保護できるかという観点をぜひ入れていただきたい。
以上でございます。

大渕委員長

どうぞ。

岡崎委員
(代理・松下氏)

ただいま、関連意匠についての話がありましたので、私どももこの点については意見を出しておりますので、ちょっと補足説明といいますか、現状どうなっているかというところをもう一回説明させていただきたいと思います。
現状は、関連意匠制度という同日でないと類似する意匠が出せないという法律になっておりまして、その弊害として、実施意匠というか、実施している意匠が登録になっていないということが問題になっているわけです。
その具体的な例としては、まずデザインを出願するときというのは、デザインを決定したときだろうと思うんですけれども、それが、すべて最終製品になるまで同じデザインかというと、いろいろな設計上の制約であるとか、車であると安全性の問題とか、そういう設計上の基準みたいなものをクリアしてデザインが生まれてくるわけで、最終デザインになるまでには、改変が行われて、最初の出願したデザインとはちょっと違ってきている。類似の範囲にはあるんですけれども、後日出願になってしまう。そのために登録になっていかないという例もありますし、2つ目としては、OEMを提供しているメーカーというのもございますので、本製品というものを登録すると、後からOEM商品として展開していく、類似する商品の登録ができないという弊害もあります。
三つ目としては、やはりマイナーチェンジと言っております継続したい基本デザインがあるのに、技術的な進歩とかで、ちょっと変えようといったときに、部分的に修正しましたマイナーチェンジの実施品の意匠が後日の出願となってしまうために登録要件からはずれてしまう。したがって、実施しているデザインの意匠が登録になっていないというところが弊害になっているわけです。
類似の範囲が広ければ、当初の出願の範囲にあるので、拒絶になってもいいんじゃないかという意見もあるんですけれども、実施品が登録になっていないということは、先ほど裁判の話もありましたが、結局、権利行使ができないということがあります。裁判所の判断とか、水際での税関の差しとめというのは登録意匠との関係で見ますので、実施意匠が登録になっていないということは、当初の登録の意匠との関係でしか見られないわけですね。そうすると、類似する自分の実施意匠との関係というのは見てもらえませんので、なかなか、そういう面では権利行使ができないということになってきてしまいます。その登録意匠と実施意匠のギャップが出てしまって、しかも、実施の意匠が登録になっていないというところが弊害になっています。
それと、登録になるということで公開の効果というのもあるわけですけれども、商品を実施すれば、物で公知になるからいいんじゃないかというふうに言われる方もあるんですが、やはり実施による公知と公報掲載の公知とは大分違いがありまして、特に、外国において無効資料としての証拠能力というのが大分違ってきます。
外国ですと、実施の公知というのは国内にとどまる国も中国のようにありますので、そういった意味では、実施ではちょっと証明はできないということで、やはり、そういった意味での証拠が得られないということもあります。
それと、聞いている話ですと、外国で審査が遅い場合、審査の促進資料として日本の登録を提出するという場合があるようで、実施意匠が、日本では拒絶されているために不利になる場合もあるというようなことも聞いておりますので、やはり、実施する意匠が登録になるということが一番、私たちが望んでいるところであります。
関連意匠については、以上です。

大渕委員長

峯委員、どうぞ。

峯委員

弁理士会としても、関連意匠につきましては知財協さんと同意見で、ぜひとも、後日出願というものについて配慮いただきたいと考えております。
それとあわせまして、3条の2の規定、特許法と違って、同一人にも適用されるという非常に厳しい規定になっております。この規定も、やはり関連デザインを出願し、保護を受けるという上で非常に大きなネックになっておりますので、この点についても再考いただきたいというふうに考えております。

大渕委員長

森山委員、どうぞ。

森山委員

類似や非類似というような実務には全く携わっていないので、その議論には深く立ち入れないのですが、きょうの冒頭からの御説明あるいは意見について一言申し上げたいと思います。
何人かがおっしゃったように、そもそも類似範囲が広いか狭いかという議論は、広そうな事例をもってすれば広いように見えるし、狭そうな事例を出せば、3万件の中で狭そうに見えるわけでありまして、言葉でなかなか言いがたいものだというふうにも思うわけです。結果的には、どなたも納得する絶対的な、正しい類似判断というものはこの世にないんだというのが、そもそも前提だと思うんですね。
それで、きょうのさまざまな御発言の中で、欧州も日本と類似に関しては、ほぼ概念的には同一であるという御発言があったかと思うんです。それは、字句の上ではそうかもしれないんですが、具体的な裁判になる、水面下のものあるいは裁判例等を見ますと、これは、実はほぼ同じだという実態ではなくて、相当に違うのだというふうに理解した方がよろしいのではないかと思います。
それから、前回から申し上げている登録が、さまざまな努力で80%ぐらいということは、別に悪いことではないのですが、この事態で、行政サービスとしてどこに、特許庁そして意匠課の情報あるいは英知、労力というものを選択・集中するかということについて、2番目に考えるべきだろうというふうに思うんですね。
それと、じゃ、類否については、法的整備もありますが、現実的に、だれが類否を決めるべきかということになろうかと思うんです。今のように全件、審査官が類否を決める関連意匠についても、類似、非類似、拒絶というようなことで決めるものが、やはり一番適切なのか。例えば先回、意見が幾つか出ました無審査寄託というようなことであれば、もちろん、最終的には裁判に行ったり、あるいは審判的なものに行くんですけれども、事前に当業者間で十分に、実態がこうで、これについてはどう考えるかという話し合いというか、攻防と言ってもいいんですが、なされると思うので、今のやり方よりは、むしろ創作を出願する人たちが、類否について深く関与するという事態は起こるだろうと思うんですね。ですから、この類否の問題については、だれが類否を判断すべきかというような観点から、前回の議論とあわせて考えるのはどうかということを御提案いたします。

大渕委員長

茶園委員、どうぞ。

茶園委員

住田室長にちょっとお伺いしたいのですけれども、先ほどの御説明で、不正競争防止法2条1項3号の改正に関する問題につきまして、例えば意匠法で無審査制度を導入するといいますと、今、審査を行っていても非常に速く処理されているわけですが、それよりもさらに速くなるだろう。それで、登録をしますから、恐らく、水際規制も対応しやすくなるだろうと思うのですけれども、御説明の中で、法益侵害性の高い模倣品被害のところで、例えば多品種少量生産というものについての御説明とか、あるいは両当事者間で信義則違反があるような事例を御紹介されていたのですが、例えばそのようなものについては、登録を――無審査制と言っても、登録なり、あるいは寄託というのを要求するわけでして、それさえも求めるのが難しいのだということになると、恐らく、意匠法では対応し切れない。そういうところまでも、今、議論されている中では対応すべきであるとされている、そのような模倣に対して、例えば刑事罰というのを科すべきだというようなことを考えて議論されているという理解でよろしいのでしょうか。

住田知的財産政策室長

したがいまして、私が申し上げたような事例につきましては、もともと非常に悪性が高い。特に不正の競争ということの観点から行きますと、非常に悪性が高いものですから、そういう観点から刑事罰を導入してはどうかということを御提案しているわけでございますけれども、もちろん、今おっしゃられたとおり、意匠法の制度の方が、無審査登録とか寄託という制度ができたとして、できた場合に、こちらの不正競争防止法でやらなければいけない部分というのは、非常に実質的な意味が小さくなってくるという可能性は十分にあると思ってございます。
ただ、今検討しておるものは、あくまでも現在の制度をベースに不正競争という観点からどうすべきかということで、次の通常国会を目指して検討しているわけでございます。したがって、将来的に意匠法が改正をされる場合に、関連する制度として、不正競争防止法についてどう扱うかというのは、それはまた、その際に御議論をいただくということになろうかと思います。

大渕委員長

ほかに、どなたかございませんか。
それでは、牧野委員、どうぞ。

牧野委員

意匠の登録要件と効力範囲との関係ですけれども、昭和49年の最高裁の判決を前提とする限り、登録意匠から容易に創作できる範囲の意匠というのは侵害にはならないというふうに理解せざるを得ないわけですね。類似の範囲ならいいけれども、類似じゃなくて、創作容易なものというのは権利範囲に入らない。
これでいいのかというのが、私の疑問でして、ここにも指摘されていますように、登録意匠から容易に創作できる範囲まで意匠権の効力を拡大するということは、本来そうあるべきだろうというふうに思っております。
しかし、そうしますと意匠法によって保護されるのが意匠の創作か、あるいは商品として世の中に出ていったときに混同される、そこを防止するのかという根本論にまた返ってきまして、私は、先ほど峯委員がおっしゃったような創作保護という面を、本来はもう少し強く意匠法は出すべきではなかろうかと思っております。
そして、意匠の創作ということになりますと、果たして、今の物品で拘束した類否の判断がそれでよいのだろうかという点にも議論は及んでいきます。創作された意匠が、物品が違うから類似じゃないというような話になってくると、非常に意匠の保護範囲、効力範囲というのが狭くなります。そのあたりを考えますと、先ほど菅井先生がおっしゃったような、保護される対象は何だろうかというところが決まらないと、どうも話がうまく進んでいかないというふうに思われます。この点は何とかコンセンサスを得て、その上で改正を考えざるを得ないのではないかと思います。
以上です。

大渕委員長

意匠の根幹にもかかわるような本質論的な議論も出ておりますが、今の点に関連してでも、ほかの点でも結構ですので、どなたからでもどうぞ。

山本(為)委員

意匠の使い手の立場から申し上げまして、いずれにしても無審査の制度は、この意匠制度の意味がなくなるので、やはり創作者の努力といいますか、基本的にクリエイティブなものをつくれば、少なくとも、その分野における専門家の創作意欲というものを保護されるという一番大事な部分をまず保護できたら、かなりこの制度の意味合いが出てくるということを申し上げたいのです。
要は、クリエイティブなものがきちっと登録されて、そして権利行使をしていることによって、やはり模倣品であるとか、少なくともそのものをまねたものはできないということになりますので、そこのところは、非常に意味があるということなのです。
最近ですと、日本で物づくりしているものと同じような意匠品を、結局は業者が外国でつくらせて日本に持ち込み、それはまた安い値段でつくってくる。また、売り場も今、専門店もあれば、99円ショップのようなところもありますので、同じ目的のものを、意匠的には同じように見えるものをあえてつくって、品質は変えてつくったら意匠侵害でない、こういうふうに現実には世の中は流れているわけです。
しかし、少なくとも本物をつくった人は、きちっと自分の意思表示をすることによって法的に保護される、この関連意匠制度はやはり非常にいいことだと思います。この関連意匠の問題とかは、また次回、勉強してきて発言したいと思いますけれども、いずれにしても、非常に意義のあることであるということだけ発言させていただきます。

大渕委員長

どうぞ。

山本(建)委員

意匠制度や意匠法で何を保護するかというところに少し関係する意見ですけれども、意匠法で保護された商品、その権利を持っている企業が保護されて、結果として、創作されたデザインないしは創作者を保護されてデザインの価値を上げていくという話ですけれども、その中で、保護するということも一つ大事ですが、逆にデザインの価値を上げていくということの中で、もう少し世界的な目で、日本のデザインが長く、歴史的に、ある意味進化して、競争力を国際的にも持ってきているわけですけれども、この意匠制度が、そういうデザインの振興というんでしょうか、日本のデザインの力をつけることにも非常に影響してきていると思うんですね。そういう歴史もあったと思います。
それで、これからも、やはりこの意匠制度のあり方によって、日本のデザインのあり方にかなりの影響を及ぼすのではないかなということがあります。できてしまった結果としてのデザインを保護して、財産として守っていくということもそうですけれども、もっと前向きというんでしょうか、デザインを育てていくことについても、この制度がかなり影響しているのではないかなという気がしてならないわけです。
特にデザインの現場において、例えばデザイナーの立場として、ある現場を想像するんですけれども、自分がデザインしようとした分野に他社のもので、非常に幅の広い権利を取られていると行きようがなくなって絶望的になることもありますし、逆に、すごく競争の激しい世界では、一般的に幅の狭い範囲で登録されているということをデザイナーも知っていますので、これは、やれば何とかなるということで、結構甘くみてやってしまって、やはり通ってしまったじゃないかみたいなことがあって、その場合、非常に幅を狭く考えてやっているわけですね。それで、果たしてどちらがデザイナーのためになるか、ないしはどちらが日本のデザインの向上のためになるかということを考えていきますと、狭い袋小路の中を行って何とかつくってしまうというデザインが、本当にクリエイティブな、世界に通用するようなデザインを生む方向につながっていくのかということがいつも気になるんですね。
企業側からしてみると、リスクの非常に少ない、2匹目のドジョウをねらうというか、非常に今一番ヒットしているデザインのトレンドや、その中でデザインをしてくれれば、日本の市場構造というのが、似たようなものを何となく出すし、似たようなものを買っていくという国民的なベース、もちろん国民性もあるかと思うんですけれども、むしろデザイナーを、そういう非常に近い類似性の多い商品群をつくらせてしまっているのも、そういうところにあるのではないかなという気がしてならないんですね。
それで、これからの日本のデザインが、やはりもっともっと国際的に、つまり独自性のある、非常にオリジナリティの高いデザインを目指す方向でもし考えるとすれば、そこはデザイナーにとっては、ある意味では、もっと狭い世界へ入れというふうに企業の方からの命令でやるよりは、もっと広い、別のデザインを考えてくれと言われた方が、非常に精神的にはクリエイティブになれるんですね。
ただ、本当にそこで商品として社会に流通できて、ちゃんと事業としてヒットできるようなものがつくれる可能性は、逆に低くなっていくので、企業としてはリスクが高いわけです。ただ、そこをヒットしていかないと、これからのデザインはやはり、非常にまずいのではないかと思います。ですから、企業もそういうリスクをデザインに対しても考えるし、逆にデザインに対しても、もっともっとパワーをかけて取り組んでいかないといけないということになろうかと思いますので、そういうことも、ぜひ、この制度が影響しているということを考えながら、どちらかといえば、権利の幅みたいなものは、やはりしっかりと広目にとっておいた方が、デザイナーにとっては、むしろ日本のデザインの向上には寄与するのではないかなということを今考えております。
以上です。

大渕委員長

水谷委員、どうぞ。

水谷委員

今は、意匠の類似の範囲をどうするかについて議論していると思うんですけれども、お話を伺っていると、すべての場合ではないにしても、もう少し類似範囲が広く認められる場合があって然るべきなのではないかというような意見が多いのかなと感じております。
その関係で一言申しますと、先ほど複数の方がおっしゃっておられた関連意匠制度について、本意賞の出願と同時ではなく、後日の関連意匠の出願を認めるようにしてはどうかという御意見がございました。ただ、この点に関連して特許の場合で言うと、同一出願人が類似技術を後日出願した場合には、進歩性等の特許要件が認められない限り、同一出願人であっても出願が拒絶されるというのが基本ですので、仮に後日の関連意匠の出願を認めるということになると、基本的に特許とは異なる制度を受け入れるという、そのことの説明がないといけないのだろうと思います。
そうなりますと、発明と意匠の保護については、基本的に異なって然るべきという、何らかのコンセンサスがなければいけない。ということで、結構基本的な問題なのかなというふうに個人的には考えております。
また、その問題とは別に、関連意匠を後日出願できるように改めてもらいたいとおっしゃっていることの背景としては、やはり後日の関連意匠の出願を通じて、つまり関連意匠を媒介項として、本意匠の類似範囲を拡大していきたいということがあるのだろうと思います。
そうだとすると、本意匠の類似範囲が、ケース・バイ・ケースではあるけれども、もう少し広い保護範囲を享受できるような制度設計になっていたとすれば、何も迂遠に、後日の関連意匠制度の出願を認めるというような方向で、それを実現しなくてもいいのではないかというようにも個人的には考えております。
そういう意味で、類似範囲を拡大するための制度設計として、何を考えるのか。例えば、関連意匠の後日の出願を認めるというような形で類似範囲の拡大を認めていくのか、それとも、先ほど、牧野委員がおっしゃっていたような、登録意匠の保護範囲を、登録意匠に基づき容易に創作可能な範囲にまで拡大するというような方向で、類似範囲を、ケース・バイ・ケースではあるけれども、特定の意匠に限っては、もう少し広い保護を享受できるように、制度的に改めていくとか、あるいはクレーム制度を導入することによって同様の目的を達成するとか、そういう考え方も当然あるのだろうと思います。
基本的には、私、個人的には関連意匠の後日の出願を認めるというのも一つのやり方だとは思うんですけれども、こういう審議会ですから、やはり牧野委員がおっしゃったような方法とか、あるいは、先ほど峯委員がおっしゃったクレームの制度とか、その辺のところを検討するのが本筋ではないかというように個人的には考えております。

大渕委員長

茶園委員、どうぞ。

茶園委員

今の水谷委員の御発言に関連して、産業界の方とか、あるいは特許庁の審査をやっておられる方にお聞きしたいのですけれども、このペーパーにも提案されていますように、登録意匠に基づいて容易に創作できた意匠まで意匠権の保護範囲を拡大するとしますと、一体どうなるのかということです。
容易に創作できたということは、現在でも3条2項で定められております。
ただ、漏れ聞くところによりますと、3条2項というのは余り使わない、積極的に適用しないというような運用をされているということのようなのですけれども、もし効力範囲を容易に創作できた意匠まで拡大するとしますと、審査段階でも、3条2項というのが、むしろメイン――今は3条1項の方がメインでしょうけれども、2項の方がメインになってくるのではないかと思うのですが、それで、実際に審査がうまく機能するのか。
また、産業界において、審査が3条2項がメインになるとか、効力範囲がこういうふうに拡大するということによって、現在と比較してどのように変わることになるのか。以上の点について産業界なり、特許庁の方で何かありましたらお教えいただきたいと思います。

大渕委員長

それでは、どなたか産業界の方で、今の茶園委員からの御質問に対して……。
あるいは特許庁の側で、何か、今の茶園委員の御質問に対して……。
どうぞ。

瓜本意匠課長

意匠審査の実務の観点から、こうであろうということを簡単にお答えいたしますと、例えばクレームを入れた場合には、先ほども特徴記載書のことで発言させていただきましたが、非常に手間がかかって処理がおくれると思います。
一方、創作容易の審査に関しては、今の範囲では、何ら審査実務を変更する点はないので、ほとんど問題はないというふうに、今の段階では思っております。

大渕委員長

峯委員、どうぞ。

峯委員

意匠権の効力を創作容易の範囲まで及ぼすという考え方の根拠が、私、よくわからないんです。というのは、意匠の保護というのは創作の保護だということをベースに考えると、創作容易の範囲というのは創作していない範囲ですね。していない範囲というのは、その意匠出願人、意匠創作者が創作した範囲を超えた範囲、これが創作容易な範囲ですね。そこについて、どうして独占権を与えることになるのか、そこの仕組み、制度設計、その根拠づけが、私、よく理解できなくて困っているんですけれども、御説明いただけますでしょうか。

大渕委員長

牧野委員、どうぞ。

牧野委員

それは、恐らくは現実の創作者は気がつかなかったかもしれないけれども、その創作者が本来あるべき水準を持った創作者であれば当然に気がついていたであろうというところに根拠があるんじゃないでしょうか。

峯委員

今のお答えですと、創作容易という言葉を使わなくても、創作の同一性という概念で処理できるのかなという気がするんです。
それで今回、運営側からも3条2項的な拡大がどうなのかという提案がペーパーで出されておりますけれども、その辺については、やはり牧野先生と同じ考え方なのか、また別の根拠なのか、お答えいただけますでしょうか。

花木審議室長

ちょっと御質問の趣旨がはっきりわからなかったんですが、創作していないから、どうして保護していないのかと言われれば、類似でも、別に類似といっても、類似を創作していなくても今は保護されているわけですね。それと、基本的に余り変わらないんじゃないかと思うんです。
逆に、創作同一性というものと創作容易というものの考えの違いがあれば、ぜひ教えていただきたいと思います。

大渕委員長

お答えになりますか。

峯委員

余り私ばかり占領してもあれなんですけれども、今、室長の方から、類似の範囲は創作していないんだけれどもというお話がありましたが、類似というのは創作の範囲なんだという考えで見ると、創作しているから類似の範囲が保護されるんだという結論になるだろうというふうに私は理解しておりました。
そこで、創作容易というのは創作していないんだからということで違和感を感じていたということでございます。

大渕委員長

どうぞ。

光主委員

創作容易性というのは、基本的には、公知あるいは公然の意匠から容易に創作できたもの、当事者がどのレベルまで創作できるかというか、その分野における当事者レベルというのは、やはりそれだけのその分野の意匠権のデータベース化しているものがあって、それ以上のものがあれば、ある程度創作性があるという、そういう考え方として、捉えることができるんじゃないかなと私は思っています。したがって、意匠の容易遂行の判断を検討していくというのも一つのやり方なのかなと思います。

峯委員

ぜひ、この場でというか、この議論で参照していただきたい判決例が1つあります。これは牧野委員が出された判決ですけれども、意匠法4条の新規性喪失の例外、この適用を受けるときの同一性の範囲、意匠の同一の見方というものについて判断した事案がございます。「端子盤事件」という名前で公刊されていますので、ぜひ御参照いただけたらと思います。
具体的には、かなり形が違います。だけれども、4条(改正前)の適用を認めた、同一性があるというふうに判断した事案です。

大渕委員長

先ほどの茶園委員の方から、クレーム制度を導入した場合、あるいは、創作容易性の範囲まで効力を拡大した場合につき、産業界や特許庁はどのように考えるのかというご質問があり、これに対して、特許庁からは、クレーム制度では非常に手間がかかって遅延につながるのではないか、そして、3条2項の関係では、今までの範囲では、余り問題ないのではないかという御回答があったのですが、先ほどの茶園委員の御質問は、特許庁と産業界に対して出されておりましたので、産業界の方からは、どなたかご発言はありませんか。

菅井委員

これも、非常に相反する要求が両方あると思うんですね。それで、意匠の場合は、確かに審査の過程の中でいきますと、何らかの特徴点を書く、あるいは審査の段階でそのやりとりを残す。これは、非常に有効だと思っていますし、独創的なデザインは、むしろそんなことは要らないというふうになると思います。
類似のものはどんどん商品あるいは意匠として、新たな創作物として出てくる。そうなったときにどこが違うのかという部分が、必ずしも、きっと権利者と審査官の間には共有化はできていないだろうと予測をしております。そこのコンセンサスという意味では、何らかの表示をするということは、お互いにどこが違うから、この意匠に創作性を認めるということが明確になる。
一方、確かに登録にならないと権利行使できないわけですけれども、我々企業は、権利行使するときに、やはり広く欲しいわけですね。これが明確になればなるほど、実は不利に働くわけです。単純に登録にはなってほしい。だけれども、権利行使するときに、それが履歴に残っていると、当然、模倣者というのは、最近は随分と賢くなってきていますので、そこを抜けば大丈夫と。通常、よく言われる部品をはがすとか、先ほど、マークを取るとか、いろいろ悪知恵が働くわけですけれども、そういったものの手助けになってしまう。ここは非常に、権利者としては「全体です」という主張をしていきたい訳です。実際に裁判の中でいきますと、そういう主張になってくるんですね。それで、実際に権利行使するときは、当然責められるわけですから、そこが明らかであればあるほど不利に働く。そこは非常に相反していまして、また、先ほど出ました創作容易の範囲は、これは失礼な言い方かもしれませんけれども、審査官と我々担当者でも、きっと特定は難しい。むしろ、当事者でいるならばデザイナー同士ぐらいのレベルに行かないと、きっとここを議論するのは難しいのではないかなというふうに思っています。
ですから、正直申し上げて、権利行使のときは、当然、容易性というのは権利者として主張したいわけですね。ただし、審査段階等では、恐らく、そこを議論するのは、著しく困難であろうと私は思います。
業界も例えば登録するためには、ポイントは明確にしたいが、むしろそれよりも、権利行使のことを考えて、そこは書きたくない、履歴も残したくないというのが今の体制ですね。
以上、最後の部分は個人的な意見も入れさせてもらいました。

大渕委員長

ほかに、今の点に関しまして、どなたかございませんか。
どうぞ。

光主委員

今の議論は、特許ではファイル・ラッパー・エストッペルの議論だと思います。やはり審査の過程で、ある程度公知例が多くくると、権利解釈のとき広くできない。審査経過を見た権利範囲ということになると思いますので、逆に言ったら、今の意匠制度がシビアに審査されているということは権利が狭まっているということですから、その範囲で行使しようと思ったら、その範囲の権利しかないという理屈に当然なるわけです。それを権利行使する立場からすると、やはり広くとりたいという気持ちはありますから、審査の類似判断レベルをもう少し広くというふうに考える事になります。

大渕委員長

これは、たしか、先ほど特許庁の方でまとめられたペーパーでは、従前の類似の範囲に加えて創作容易性の範囲も効力範囲とするというように、アディショナルに増やすという形での御提案だったかと思うのですが、牧野委員が先ほど言われたのは、同様に現在の類似の範囲に加えて創作容易性の範囲にも効力範囲を広げるということなのか、それとも、容易創作性の方だけで行くというのか、その辺はいかがでしょうか。

牧野委員

従前の意匠の類似というのは、非常に長い歴史を持っておりますので、なかなかそれを全部はずしてしまうというのは難しいように思いまして、今の条文ぶりから言えば、プラスとしてつけ加える方がよいのではないかと思います。
ただ、平成10年改正のときにも、たしか議論になったと思うのですが、3条1項の3号を取ってしまって、特許法と同じように、公知あるいは公用の意匠から容易に創作できたものは拒絶されるという形にすることも検討されたのだろうと思います。しかし、そうはならずに2項だけの改正ということになってしまったような経緯があったと思います。
もしも、そういう条文の書き方になれば、効力の範囲のところは、別に類似は言わなくてもいいということになるだろうと思います。

大渕委員長

それでは、今の点以外でも、本日の論点に関しまして、どなたかございませんでしょうか。
どうぞ。

菅井委員

これも2度目くらいの発言になってしまいます。部品意匠の件です。先ほど来の、本来の創作の大きさというのは広く欲しい。これは、完成車という世界でいけば、そういう主張で一貫しているわけですけれども、一方で、そこにまつわる部品の意匠からしますと、これもまた相反することになりますが、細かくても構わないから、とにかく登録したい。これは、前回の議論の中でもいろいろな形態での保護を考えていただきたいという中の、部品の意匠にどれだけ創作性を単品で認めていくかというのは、議論の中からすると、きっと追いやられそうな心配を実は業界ではしておりまして、完成車という世界も当然ございますけれども、パーツのビジネスというのは、実は完成車の数以上に交換していくものですから多く市場に出回ります。そういう意味で、狭くてもいいから欲しい物品という観点の類似性、これは当然、多少変わったらやむを得ない、逃げられてもやむを得ないという覚悟の上での主張あるいは業界の事情を、もう一度、ぜひこの中には入れていただきたい。
やはり、完成車のものとの創作性の大きさといいますか、当然、部品が集まって1つの完成車になる場合もございます。バンパーですとか、ヘッドライト単品ですとか、でも、目が違うと随分車は違います。そういった意味での部品の意匠は、多少範囲が狭くても、ぜひ登録できるような制度も考慮いただきたい。
以上でございます。

大渕委員長

それでは、時間もなくなってまいりましたので、本日の委員会はこれぐらいにしたいと思いますが、この際、何か特に御発言がございましたらお伺いいたします。
平野委員。

平野委員

先ほどプレゼンテーションで、車載用チューナー付オーディオの話をされていたと思うんですけれども、私、たまたまこのオーディオ――私がやったのではないんですけれども、車載オーディオのGマークの審査の部門長をやっていまして、先ほど、追加でという話がありましたが、これは同じメーカーであれば、我々、「Gマークでいいね」と当然言うんですが、万が一、これが違うメーカーがこのとおりやってきたら、こんなオリジナル性がないものはGマークからははずすと。逆に言えば、クレームというか、こんなものは出すなというふうな体質で我々は審査するんですね。
それで、ほかの委員の方の御意見も同じだと思うんですけれども、やはり、これはシリーズという形で、当然、世の中のニーズと技術の変化によって、同じシリーズの中のデザインをずっとし続けているというふうに考えた場合は、我々は同じメーカーだからいいなというふうに判断するんですが、何か、もうちょっと、そういう具体的に関連とか類似という話の中で、やはり事例を持って少し検討していかないと、多分、皆さんのここで思っている類似なり定義というのが、各委員の中でいろいろな違いがあるのではないかなという感じがしますので、ぜひ、ちょっとこういうケースをうまく使いながらお互いに話せた方が、論議がまとまっていくのではないかなという気がします。
最後ですが、私はそういう意見でございます。

次回日程について

大渕委員長

それでは、時間の関係もございますので、以上といたしまして、あと、最後になりますが、今後の審議会の日程等について事務局から御説明をお願いいたします。

花木審議室長

次回第4回でございますが、12月17日金曜日の10時半から予定させていただいております。場所はこちらでございます。
今まで、第1回から第3回までを通じて、大きな観点から御議論いただきましたので、そういうものについて、論点ということをまず取りまとめをさせていただきたいと思っております。
それで、個別具体的な論点については、法制的にいろいろ難しい問題もあるかと思いますので、そういう点を含めて、来年度、個別の論点について深入りした議論が必要だというふうに思っております。そちらの進め方については、現時点では未定でございますが、次回の委員会までに、ある程度のスケジュール調整をさせていただき、御意見をいただきながら決定してまいりたいと思っているところでございます。

閉会

大渕委員長

それでは、以上をもちまして、産業構造審議会知的財産政策部会第3回意匠制度小委員会を閉会させていただきます。
本日も、熱心な御議論をありがとうございました。

[更新日 2004年12月10日]

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