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第5回意匠制度小委員会 議事録

  1. 日時:平成17年9月27日(火曜日)10時00分~12時00分
  2. 場所:特許庁 特別会議室
  3. 出席委員:
    大渕委員長、岡崎委員、勝尾委員、菅井委員、平野委員、牧野委員、水谷委員、光主委員代理(星氏)、峯委員、森山委員、山本(建太郎)委員、山本(為信)委員
  4. 議題:
    • 意匠権の効力範囲の拡大について
    • 意匠制度の枠組みの在り方について
    • 意匠権の強化について

開会

大渕委員長

おはようございます。それでは定刻となりましたので、ただいまから、産業構造審議会知的財産政策部会 第5回意匠制度小委員会を開催いたします。
本日は皆様ご多忙のところご参集いただきましてまことにありがとうございます。
今回、事務局に交代がございましたのでご紹介いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

田川審議室長

私、新たに制度改正審議室長に着任をいたしました田川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
そのほか特許庁の幹部交代がございまして、特許庁長官に中嶋長官、総務部長に野澤部長が着任をいたしまして新たに事務局に加わっております。本日は中嶋長官が海外出張により欠席でございます。
野澤総務部長から一言ご挨拶を申し上げます。

野澤総務部長

ただいまご紹介いただきました野澤でございます。ただいまお話ありましたとおり、9月6日付で中嶋長官とともに着任いたしました。代わりまして一言ご挨拶申し上げたいと思います。
この小委員会は、昨年7月に産業構造審議会知的財産部会の下に設けられまして、企業が戦略的にデザインを創作・活用できる環境を整備するために意匠制度の全般的な在り方についてご審議をいただいているところでございます。これまで4回の審議を経まして、昨年12月に中間的な論点整理ということでおまとめいただいたわけでございますけれども、これまでの議論によりまして、デザイン戦略の重要性、あるいは経済のグローバル化に対応した制度の見直しということに向けまして多く解決していかなければならない課題が指摘されてきたというふうに認識しております。
本年度はそういった課題につきましてご議論いただきまして、新たな付加価値の源泉となるデザインの保護強化、模倣品対策の強化という観点から意匠制度の在り方についての方向性をお示しいただければと考えております。
委員の皆様方におかれましては、大変ご多忙なところ恐縮でございますけれども、21世紀にふさわしい意匠制度を実現するためのお力をお貸しいただきたいというふうにお願いをいたします。
以上、簡単ではございますけれども、ぜひご審議のほどよろしくお願いいたします。

大渕委員長

ありがとうございました。
前回の第4回におきましては、それまで3回にわたってご議論いただいた事項を中間的な論点の整理案として取りまとめるべくご審議していただきました。本日は前回の中間的な論点の整理案を踏まえて、かつ「知的財産推進計画2005」にて、本年度検討が求められている事項のうち3項目を取り扱わせていただきたいと思います。それでは、まず事務局より配布資料の確認をお願いいたします。

田川審議室長

本日お配りしております資料は7種類ございます。議事次第・配布資料一覧、委員名簿。
資料といたしまして、資料1「意匠制度の在り方」。
それぞれ参考資料といたしまして、参考資料1「意匠権の効力範囲の拡大」、参考資料2-1「意匠制度の枠組みの在り方(各国における意匠制度)」、参考資料2-2「意匠制度の枠組みの在り方(デザインを保護する意匠法以外の知的財産権法)」、参考資料3といたしまして「意匠権の強化」、以上です。よろしゅうございますでしょうか。

大渕委員長

それでは、早速議事に入らせていただきたいと思います。
初めに「意匠権の効力範囲の拡大について」、事務局から説明をお願いいたします。

田川審議室長

それでは「意匠権の効力範囲の拡大について」、ご説明をさせていただきます。
ただいま総務部長からもございましたとおり、昨年の9月以来審議会でご議論いただき、かつ有識者の方のいろいろなご意見も伺いながら、論点の整理、検討すべき項目の整理をしてきたところです。
意匠制度の在り方につきまして、今回の問題意識でございますが、途上国の競争力が非常に強化をされてきており、それに伴い我が国の競争力の強化のために魅力あるデザインによる製品の付加価値を高めていく、それによる差別化が重要であるという観点がございます。
また、企業の経営戦略につきましても、ブランドの確立が非常に重視をされているということで、消費者の志向・感性に訴える、そういう訴求力のある製品、新しいライフスタイルを提案するような製品、また使いやすさ、環境問題、ユニバーサルデザインといったコンセプトもございますけれども、そういったものに力を入れている。そうした製品の企業の理念を表現するための手段としてデザイン活動を重視する、そういう企業が増えているということがございます。
一方で、そのデザインが重要になればなるほど模倣品という問題もまた大きな問題でございます。我が国にとりまして模倣品対策というのは非常に重要な問題で喫緊に対応すべき課題であるという観点です。
こうしたことから、デザインの保護、模倣品対策を強化すると。それによる産業財産権制度の利便性を向上させていこうということです。こうした検討を通じまして、制度全体の活性化、制度全体の質の向上をどうやって図っていくかということです。
今回ですけれども、まず最初に「意匠権の効力範囲の拡大について」です。お手元の資料1「意匠制度の在り方について」、これに沿いましてご説明をいたします。
まず第1の論点といたしまして、権利侵害行為への「譲渡等を目的とした所持」の追加ということがございます。
近年の模倣品の動向を見ますと、侵害が非常に組織化、巧妙化しているということで、それをどういうふうに取り締まるかということが非常に重要な課題になっております。現在は模倣品の流通拡散の最終段階である個々の譲渡の場面、これを侵害行為として押さえるということですけれども、それだけでは十分な効力を発揮し得ないということで、このために、その前段である模倣品の特定の場所での集積状態である、そういうふうに想定される所持・保管という行為を侵害行為の一つとする必要があるのではないか、そういった産業界からのご要望がございます。
意匠法について考えてみますと、侵害を構成する行為としては、まず実施行為として、登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品を業として製造し、使用し、譲渡し、貸し渡し、若しくは輸入し、又はその譲渡若しくは貸し渡しの申出(譲渡又は貸し渡しのための展示を含む。)をする行為、これがまず意匠法第2条第3項の実施行為として規定をされております。また、それらの行為をするおそれのある行為につきましては、差し止めの対象となっているところです。しかしながら、譲渡等を目的とする所持・保管は侵害に当たらないということになっておりますので、差止請求を行う場合には、譲渡の事実あるいはその譲渡のおそれがあるというのを立証しなければならないことになっております。こういったことは刑事上の取り締まりでも、個々の譲渡の事実を立証しなければならないということでございます。
これに対する対応の方向として、この譲渡等を目的とする所持を何らかの形で意匠法上の侵害行為の類型に追加をしようという案です。具体的には意匠法第2条第3項に規定をされております意匠の実施行為、これに意匠に係る物品を譲渡等のために所持する行為を追加し、これにより意匠権者が専有する範囲がその分拡大するわけですが、そういった対応をするべきではないかと考えているところでございます。
論点といたしましては、現在の実施行為は独占権を付与するに値するものを列挙しております。譲渡等を目的とする所持、これを実施行為とすることが適当かどうかという点がございます。
なお、商標法では、譲渡等のための所持というのが規定をされておりますが、これはみなし侵害行為となっております。ただし、意匠法の現在の考え方では、みなし侵害というものは、権利者がいまして、侵害者がいて、第三者の行為、これをみなし侵害と一つ類型化する考え方が中心になっておりますので、その考え方に基づきますと、これはみなし侵害よりも、むしろ直接的な実施行為に位置づけるというのが一つの整理ではないかと思っております。
続きまして、2点目の権利侵害行為への「輸出」、「通過」の追加でございます。
これも模倣品対策でございますが、まず問題の所在として、模倣品の流通が国際化・組織化しているということがございます。これによりまして、当然我が国の製品が海外市場においてその販売機会を喪失するということもありますし、また、模倣品が世界的に流通し、一旦、例えば日本から出てきたものが、日本へまた再輸入されると、そういったことをどうやって防いでいくかということが重要でございます。
本年6月のAPEC貿易大臣会合におきまして、日・米・韓共同提案による「APEC模倣品・海賊版対策イニシアティブ」というものが合意をされております。その中身でございますが、「模倣品・海賊版の輸入、輸出及び通過に際し、権限を有する当局がそれらの物品を捜査、差止、押収、破壊を行う上でのAPECとしての模範的なガイドラインを策定する」こととされております。そのほか「知的財産推進計画2005」におきましては、各国が模倣品・海賊版の輸出、通過を規制するということを内容にいたします「模倣品・海賊版拡散防止条約」の提唱を行うこととされております。
海外の事例を見ますと、諸外国、例えば欧州については、欧州では意匠権の範囲に「輸出」が登録意匠によって付与された権利に含まれるとされております。そういった国際的な動向も注視する必要があるわけでございます。現在、意匠権者は、ご承知のとおり、日本の意匠権においては輸出というものが入っておりません。また、通過というものも入っておりません。
対応の方向ですが、意匠法の第2条第3項に規定しておる実施行為に、海外の例も参考にし、意匠に係る物品を輸出する行為を追加してはどうかと考えております。
また、通過でございますけれども、ここで想定しておりますのは、典型的には一旦陸揚げをして、例えば積み替えを行ってまた再輸出をすると、そういうケースでございますが、国際的にはこの権利範囲にされている例はございません。法的に措置をすべきかどうか、引き続き検討を行う必要があるのではないかと考えております。
この対応につきましての論点でございますが、侵害行為として規制をされるべき実施行為に輸出や通過を加えることについて、属地主義の観点から適切かどうかという論点がございます。
その経緯でございますけれども、関連を持っておりますが、輸出や通過を権利侵害として規定する、何を保護するためにやるか、保護法益についてどのようにとらえるべきかという論点があると考えております。
3点目が税関における部品の取外しでございます。
問題の所在ですが、輸入者が自主的に意匠権の侵害物品から部品を取り外し、例えばバイクの外のカバーを外すことによって、意匠権に係る物品でない、そういう状態になった場合には、これは意匠権の侵害にならないということで輸入が可能になっているという現状がございます。このように一部の部品を外して日本に輸入をし、その後で市場に流通をしている修理部品等を加えて、これによって再度販売をするというのが可能という現状がございます。直接侵害をこういった行為は誘発する蓋然性が高いのではないかという指摘がございます。
一方で、こうした行為については、部品を取り外した部分品が国内に輸入された後に、例えば、それとは違う印象を与えるような部品を付加されるといった場合には、違う印象を与えるような製品として再度組み立てられると、意匠権を侵害しないようなケースも排除できないわけでございまして、現在の意匠法第38条に間接侵害がありますが、「業として、登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品の製造にのみ用いる物の輸入」との要件に該当するということを証明することは非常に難しいということでございます。
対応の方向ですが、現行の意匠法第38条、これは今申し上げましたとおり、「業として、登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品の製造にのみ用いる物の輸入」と、その規定に加え、例えば「登録意匠又はこれに類似する意匠について十分な知識を有しながら、当該登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品に容易に回復可能である状態にした物品を製造し、使用し、譲渡し、貸し渡し、若しくは輸入し、又はその譲渡若しくは貸し渡しの申出をする行為」として、間接侵害を規定すべきかどうかというのが一つ検討課題になるのではないかと思っております。
これにつきまして、論点としては、現行法においても、意匠権者は「自己の意匠権を侵害するおそれがある者」に対して、その予防、停止を請求することができるということで、こういった規定を活用することによって、実際には対応できる可能性も高いのではないかということもございます。
また、こうした部分品外しというのは、水際だけの問題ではなくて国内一般的な実施においても、そういったことが考えられるわけですが、国内の取引におけるニーズも考える必要があるのではないかと考えております。
4点目が、意匠の類似の範囲の拡大でございます。
現行の意匠制度においては、審査段階でまず新規性、創作非容易性を満たすことが必要になっているということでございます。判例上、新規性というものは、これは出願意匠と同一又は類似の物品に関連する公知意匠と比較をして、一般需要者の視点から見た美感の類否を判断するということになっております。創作非容易性、これはありふれたものを排除するための判断基準ですけれども、これは物品の同一、類似を問わず、公知の意匠やモチーフとの比較において、当業者の視点からみた着想の新しさや独創性を判断することになっております。つまり、審査段階では、新規性は一般需要者の視点、ありふれたものであるかどうかという創作非容易性の判断は当業者の視点で行うとなっております。
次にこの類似が関連する局面としては実際に権利行使を行う場合でございます。意匠権の効力というのは、業としてなされる登録意匠あるいは類似意匠の実施に及ぶと、これは意匠法第23条で規定されておりますが、判例上は、登録意匠に類似する意匠は、一般需要者に対して登録意匠と類似の美感を生じせしめる意匠に及ぶということで、登録意匠に係る物品と同一又は類似の物品について、一般需要者の視点から見るということになっているわけです。これが現行法の効力範囲についての整理でございます。
また、登録要件につきまして、審査の段階では平成10年の意匠法改正で、それまでは周知の意匠との比較でありふれたものを創作非容易性を判断することになっておりましたが、この要件を上げるということで、より独創性の高いものを保護するために、公知の意匠に基づいて当業者が容易に創作されるものは保護要件を満たさないということで、要件の厳格化を行っております。一方で、意匠の類否判断については狭く解釈をされる場合がございまして、非常に独創的なものでも類似の範囲が狭いのではないかといったご指摘もあるところでして、それが登録意匠の保護される範囲として不十分ではないかということがございます。また、類否類似判断については、その判断手法や基準が必ずしも明確ではなく、意匠権の行使、活用につながっていないのでないかというご指摘もございます。
対応の方向でございますが、(案1)、(案2)としておりますが、まず(案1)が審査段階での対応でございます。意匠権の登録要件に係る類似概念について、より広く解釈できるよう一律化した視点を確保するということで、現在、審決等において「看者」と抽象的に記載をされておりますが、これを最終需要者及び取引者を含む一般需要者であるという点を明確にするということで、意匠法の改正等の対応を考えていきたいというふうに考えております。
また、新規性、先後願に関する類否判断については、拒絶理由通知に、現在では情報が不十分ではないかというご指摘があるわけでございますが、引例と出願意匠の評価を踏まえた共通点、差異点の認定、一般需要者による意匠の視点を踏まえた出願意匠の特徴を簡潔かつ具体的に記載するとともに、審査の判断材料とした関連した参考意匠を添付して審査判断の明確化を行おうというのが対応の方向でございます。
それから、権利行使の段階につきましては、現在意匠権者が実施する権利を専有する範囲を確定する類似範囲について、判例では確定をいたしておりますが、そこを確認的により解釈できるように類否判断の主体を一般需要者として規定をするという案があるのではないかと考えております。
論点でございますが、これは(案2)についてでございます。権利範囲の類似概念について、例えば、ここに一般需要者の視点での類似を何らか加えた場合には、訴訟において要件事実の当てはめにさらに時間がかかるのではないかということが1点ございます。それから意匠権として意匠権者が実施する権利を専有する範囲について、既にこれは一般需要者の視点が明らかに判例で確定をしておりますので、あえてここに加えるということで、どのような実質的な効果が見込まれるかという観点があると考えております。
それから5番目、意匠権の物品間の転用までの拡張の問題であります。
これにつきましては、他社の非常に独自なデザイン、消費者に対して強い印象を与え、訴求力のあるようなデザイン、こういったものが非常に盛んになってきておるわけでございますが、そういった販売の過程におきましては、その商品の形態のみが一般需要者の間に広く知られるということになる場合があります。
そういった場合に、一般需要者に広く知られるようなデザインをほかのものに、ただ乗りといいましょうか、巧みに取り入れて模倣するという事例も多くございます。
現在の意匠法は、繰り返しでございますが、登録意匠に係る物品と同一又は類似の物品にしか及ばないということでございます。例えば、よく例としてあげられるのが、自動車のデザインをミニカーに転用するような場合、これは直接的にはこの権利の範囲には及ばないとされているわけであります。こうしたことから物品間の転用までを拡張することについて議論してはどうか、そういうご指摘をいただいております。
なお、そのほか、小委員会の場では、さらに登録意匠の範囲を、例えば公知の意匠といろいろ組み合わせて、よりもっと広げるべきではないか、そういったご議論もあったところでございます。ただし、権利の効力をいたずらに広げるというのも、安定性という観点では非常に問題もあるというところもありますので、今回の議論におきましては、具体的な模倣の実態が多くて、非常に強いご要望のある問題として物品間の転用について検討を行うことが適切ではないかと考えております。
対応の方法として(案1)、(案2)という2つの案を設けております。それぞれ効力範囲を類似の物品を超えて及ぼそうということでございます。
(案1)でございますが、これは権利効力の範囲について依拠性、つまりあるデザインに依存をしまして、それによって模倣を生じているというところ、そういった条件をつけることによって権利の拡大を図ろうということです。(案1)では依拠性を要件にしております。
(案2)でございますが、この依拠性、ある周知なデザインがあって、それをまねをする、すなわち依拠をすることに加えて登録意匠が周知であるといった要件を、さらに厳格に課すことによって権利の拡大を図っていこうという考え方でございます。
なお、それぞれの案につきまして、権利者の実施も保証する直接侵害行為、または実施行為に直接規定をするか、あるいは模倣を排除するだけの間接侵害(みなし侵害)とするか、そういう2つの選択肢があるかと考えております。
論点としましては、今まで非類似物品とされていた物品の業界間において不測の権利行使が行われることがあるのではないかということで、拡大された意匠権のメリットと、権利が拡大することによって不測の権利行使が行われるというデメリットをどう考えるかという観点が1点でございます。
2点目として、こういった商品の形態につきましては不正競争防止法の第2条第1項第2号、著名な商品表示につきましては、一定の保護が行われているところでございます。こういったことにより、保護できるのではないかという観点がございます。
そのほか登録意匠の範囲に値する保護法益、何を保護しなければいけないのか、明確にする必要がございますし、もう一点は、既に現在では類似範囲に及ぶということになっておるわけですが、ここにさらにその外延に新たな権利範囲の拡張を行うということにより、結果的に意匠権が狭くなってしまうのではないか、そういう論点もあろうかと思っております。

大渕委員長

丁寧なご説明ありがとうございました。
それでは、最初の「意匠権の効力範囲の拡大」ということであります。具体的な論点としては、1番として、権利侵害行為への「譲渡等を目的とした所持」の追加、2番として、権利侵害行為への「輸出」「通過」の追加、3番として、税関における部品の取外し、4番として、意匠の類似の範囲の拡大、5番として、意匠権の物品間の転用までの拡張という5点を含んでおりますが、これらの議論に入っていきたいと思います。
以上の点につきまして、どなたからでも結構ですので、ご自由にご質問、ご意見をお願いいたします。それでは、平野委員お願いします。

平野委員

ご説明ありがとうございました。資料1の「意匠制度の在り方について」の最初の文章を読んでいきますと、ここの部分で、基本的にこれは意匠の多分第2条だったと思うんですけれど、ここではやたらに「製品」、「製品」と書いてあるんですね。2条では、「物品」という規定だったと思うのですけれど、一つ一つに入っていく前に、「製品」と「物品」というのをどういうふうに分けられているのかというのと、後でソフトウエアというよりも画面のデザインとか、そういうのが出てくるのですが、そのときに「物品」とかという言い方があるのか、そういう大もとの話なのですが、どんなものでしょうか。

田川審議室長

まず、ここで「製品」といった言い方を最初のところでしておりますけれども、この意匠法というのは、そもそも産業財産権制度であり、かつ業として行う行為を保護することになっております。業として行っている行為というものを保護するという観点でいいますと、「製品」という言い方になるのではないかと思います。ただし、法律的な整理といたしましては、ここで意匠というものは物理的なものを現在の法体系の中では前提にしておりますので、物理的な意味で「物品」という使い方をしております。
したがって、実際に保護する法益というのは、「物品」でも「製品」でも、そこのところは大きく変わらないのではないかと考えております。

平野委員

要は同じ言葉だということでよろしいのですか、理解は。

田川審議室長

さようでございます。

平野委員

わかりました。

瓜本意匠課長

ちょっとお答えします。ワーディングの説明でよろしいでしょうか。

平野委員

はい。

瓜本意匠課長

あまりリーガルな説明ではないですし、皆さんを前に説明するのも釈迦に説法のような気もしますが、「商品」というのは、製品のうち実際に市場に供されているものだと我々考えていまして、「製品」は、市場に投入しているかどうかは関係なくて、それ以前であっても、企業が製品番号なり、製品名なりを付けて市場に提供しようと思って製造しているものをいいます。意匠法でいっている「物品」といいますのは、製品の中で、有体物の動産に限ったものをいう解釈をしています。要するに不動産とか無体物は含まれないという意味で、製品の中でもさらに限定されたものを物品というように考えています。
このようなワーディングの理解の上に立って、この文章を読んでいただければ、市場に投入したものをどうこうしようというときには「商品」と書いておりますし、その前の企業が市場に投入する前の開発とかを考える場合には「製品」というような言葉を使っているとご理解いただければと思います。
以上です。

平野委員

そうすると「物品」というのは製品の中の一部だという、要するにどっちが大きいかというと「製品」の方が大きくて、「物品」はその中の範囲は狭いですということでよろしいですか。

瓜本意匠課長

大体そのように理解していただいて間違いないと思います。

平野委員

そうすると、後で出てくるのかもしれませんが、画面なんていうのは物品なんでしょうか、製品なんでしょうか。

瓜本意匠課長

例えば、EU意匠規則の例を挙げますと、プロダクト、つまり製品のデザインといって製品には無体物も入るという整理をしています。日本では物品といい、無体物は入らないという理解をしています。

平野委員

後の論議ですね、これは。

大渕委員長

峯委員、どうぞ。

峯委員

峯でございます。前文、まえがきのところなんですけれども、ここの中でブランド戦略とデザイン戦略との結びつきというものが今回の保護強化の一つのキーワード、切り口になっているというふうに読めるのですけれども、その理解はよろしいでしょうか。

田川審議室長

一つの観点として、実際の企業の戦略として、ブランド戦略とデザイン戦略というものが結びつく形態もありますので、そういったところも視野に入れて検討するということだと考えております。

峯委員

というのは、もちろん視野に入れるのはよろしいのですけれども、ここのウエイトをどのぐらいに見ていくのか。ということは、結構意匠制度の枠組みを考える中で大きい位置づけになってこようかなと思うんです。これは平野さんがご専門なんですけれども、デザインを通じてブランドをつくっていくというときにおけるデザインのとらえ方と、環境にやさしいもの、使いやすいものを提供していこうというときのとらえ方とにおそらくずれがあると思うのです。もちろん後者もブランドにかかわってくる話ではあろうかと思いますけれども。どちらを重視するかによって保護の在り方、どのレベルの意匠を保護するの、どういう観点から保護していくのかに違いが出る。要するに新しいデザインができましたというときに、これをデザインとして評価するのか、大したことないよね、と言ってしまうのか、そこの切り分けが変わってくる余地があろうかと思うんです。
ですからブランド戦略とデザイン戦略が相互に連関し、これは確かにそうなんですけれども、そこの部分を今回の恐らく3条の解釈、改定、あるいは23条の改定というところに行ったときに見方が変わってくる場合があろうかなというふうに思います。

大渕委員長

前文のところに議論が集中しておりますが、その他の点も含めましていかがでしょうか。岡崎委員、どうぞ。

岡崎委員

1番目の「意匠権の効力範囲の拡大」という点について意見と確認事項を述べさせてもらいます。
まず、侵害行為の類型としまして、所持、輸出、通過とございます。私自身、通過については少し抵抗を感じております。一つは、パリ条約の関係で通過は侵害するものとは認められないと思います。それとの調整が必要であり、それが1点。もう一つは、実際上、通過を規制することに実効性が上がるのかどうかという点です。その2点から、通過を実施行為に入れるかどうか、すなわち、侵害行為に入れるかどうか、どう考えるべきかなという感じがしています。
それから、確認事項ですけれど、もし侵害行為の中に所持、輸出、通過を入れるとすれば、4ページの間接侵害、ここに実施行為が書かれていると思いますが、もし侵害の行為の中に所持、輸出、通過を入れるとなれば、この間接侵害の規定の中にも、ここにはまだないですけれど、所持とか輸出とか通過というのが入るのかどうか、それを確認したいと思います。

田川審議室長

まず、所持、輸出、通過でございますけれども、特に通過については、ご指摘のとおり、海外でもそれを権利法の中で規制をしているというのはないようでございまして、これをどういうふうに考えるかというのは非常に大きな論点だと思いますし、実効性についても、関係当局といろいろと議論しなければいけない点かと思っております。
それから、直接侵害、実施行為に加えた際に間接侵害にも加えるべきではないかという点でございますが、今の法律の整理といいましょうか、所持又は輸出につながるような間接侵害というものが何らか類型としてあれば、そこはこの議論の射程の中に入れて議論していくべき話ではないかと思っております。

大渕委員長

ほかにいかがでしょうか。森山委員、どうぞ。

森山委員

4番目の項目の「意匠の類似の範囲の拡大」というテーマがあるのですが、たしか前回の委員会、この会議で、「類似」という用語、概念といってもいいのですけれども、意匠法の中で今は書かれていますけれども、全面的に押し出していくかどうかについてはやや検討が必要ではないかという意見があったような気がするんです。つまり同一、同一性の範囲ということと、類似の範囲という、権利の範囲、効力を強める方向とは、従来の考え方であれば類似という概念を消すということは何か狭められるような感じも持たれる方もいるかもしれないのです。けれども、必ずしも諸外国の法制を見ると、必ずしもそういうことではないわけで、類似概念とここに書かれているものは、依然そういう方向で進めるお考えなのでしょうか、質問です。

田川審議室長

お答えいたします。ご指摘のとおり、海外のそれぞれの意匠権の範囲などを見ますと、同一あるいは実質的同一というようなことで保護をされているケースが多いと認識をしております。それが広いか狭いかという議論は一つあるのか。それによって実質的な保護をされていると、実際そういうことかと思いますけれども、一方で日本では、同一を比較的狭く考えて、そこの周りを類似で保護するという考え方が定着をしておるという実態もございますので、類似範囲をなくして別の概念にするというのは、さらに大きな検討が必要になってくるかもしれない。今の類似概念の視点をはっきりさせる、あるいはいろいろな明確化を図ることによって類似範囲をもっとわかりやすくて、かつ実質上広げるといったことを目指していくべきではないかと考えております。

大渕委員長

峯委員、どうぞ。

峯委員

今のに関連しますけれども、その類似概念を整理していこうと、これは今回提案が出ているわけですけれども、現在出ている特許庁の逐条解説、あれを見ますと、3条のところでは、意匠は同一性の幅が狭いので同一のみを保護したのでは実質的な保護にならない。だから類似まで広げたのだと、広げたという考え方が出ていると思います。
他方、23条権利侵害の方、権利、効力、こちらでは、意匠というのは、特許・実用新案と同様に創作であるから、それにならって類似の幅まで効力を及ぼすものにしているというような説明があって、23条の立場で考えると、どうももともと創作だから幅があって、それを類似と呼んでいると。とすると、今、森山委員が話された同一性というものとほぼ同じ概念をとっているのかなと。
他方3条の方ですと、その概念とは全く別で、特別に広げたというような考え方が出ているように思うんです。今回ご提案の看者というものを事業者というふうに明らかにしたいといったところで、それはどっちの立場に立つのだということで、同じ問題は継続しようかなと思います。
その点、現在どちらの考え方を主に念頭に置いて、このご提案をされているのか、可能であればお答えいただきたいと思います。

貴田審議企画班長

逐条解説の中で書いてあることというのは、そういう意味ではやや違う観点から書いているように見えるのですけれども、今回の類似の判断主体というのを明らかにする中で、逐条解説の書きぶりについてももう少し整理ができればと思います。現時点で類似の範囲を考えるに当たっては、どちらかというと、もともと類似の幅というのは創作に付随してあるのだというような考え方に近いのではないかと思います。その点を含めてご議論いただいて今後検討していきたいと思っています。

峯委員

ありがとうございました。

大渕委員長

ほかにいかがでしょうか。特にないようでございましたら、本日は、非常にテーマが盛りだくさんでございますので、必要に応じて、また戻っていただくことにいたしまして、次に「意匠制度の枠組みの在り方」というテーマについての議論に移っていきたいと思います。それでは、まず事務局からご説明をお願いいたします。

田川審議室長

それでは、2点目の論点でございます「意匠制度の枠組みの在り方」につきましてご説明をいたします。
問題の所在でございますが、現行の意匠制度では、意匠権の発生前に行政庁による審査によりまして、新規性、創作非容易性、先願関係等の登録要件を満たしているということを確認をするという審査主義をとっておるわけでございます。
また、審査の結果、登録された意匠権の性質というものは、これは絶対的独占権、つまり一つのある範囲につきましては、だれか一人のみが排他的にその権利を有するという非常に強い権利の構成をしているところです。また、意匠権者は、業として登録意匠又はこれに類似する意匠を実施する権利というものを専有するということになっています。このため、侵害者が独自に創作をした場合であっても、登録意匠又は類似意匠について実施をした場合には権利侵害というふうにされているところです。
そのほか、権利というのは設定の登録によって発生する。設定の登録は意匠登録原簿に記載される。また権利者、権利内容は意匠公報によって公示をされるということになっております。
今回、無審査登録制度を導入することによってダブルトラック化を図るということにつきまして検討をしておるわけですけれども、その問題意識ですが、現在、意匠登録出願は出願後大体7カ月で権利化をされているということですが、市場に投入した後、早い段階で模倣品が発生するような商品や販売の流行が短期間で終了する、またはライフサイクルが短い商品については、現在の審査制度よりもより短い期間で権利化ができる仕組みが必要であるという指摘がございます。また、多品種少量生産を行っている物品については、コストの負担感が強いというご指摘もあるところでございます。
現行の制度の下で意匠登録出願を行っているユーザー・企業の中には、意匠を安定した権利として積極的に活用するために、事前の審査制度の維持というものを求めるニーズが存在する一方で、実際の使われ方について見ますと、自らの意匠が他人に権利取得されないような、いわば防衛出願的なケース、あるいは自分の意匠が他人の意匠又はほかの登録意匠と抵触しないというのを確認をしようというケースもあるというふうに指摘をされているところでございます。
こういった観点から、現行の審査登録制度よりも迅速かつ簡便な登録が行える制度を導入することにより、現在の意匠法の下では十分に保護されていない、そういったデザインの多様な保護のニーズにこたえていこうということとともに、出願人、第三者、国の適切な役割分担、費用分担というものを検討すべきではないかということでございます。
国際的な情勢を見ますと、各国とも当然デザインの保護に力を入れております。一方で模倣品対策、海賊版というのが非常に大きな問題になっております。ヨーロッパにおきましては、ご承知のとおり、デザインがマーケティングのツールとして非常に重要であるということになっております。このため、ばらばらであった欧州の意匠について調和を図ろうということで、1991年に工業意匠の法的保護に関するグリーン・ペーパーというものが公表されまして、共同体意匠規則案、あるいは意匠指令案というものが提示をされております。最終的に2001年には著作権型の非登録意匠権と無審査登録による意匠権というダブルトラックを内容とする欧州共同体意匠規則というのが採択をされております。そのほか、欧州各国の意匠制度につきましても、無審査登録制度を中心にシングルトラック、ダブルトラック、いろいろな形態があります。
豪州におきましても、2003年にデザイン法が成立をいたしまして、従来の審査制度が廃止をされまして、審査証明書の発行を条件として権利行使を認めるということになっております。
我が国につきましては、平成5年に不正競争防止法が全面改正をされ、商品形態の模倣が不正競争行為の一類型として規定(不正競争防止法第2条第1項第3号)をされております。さらに、17年の改正で刑事罰等の規定が導入をされております。禁止される行為でございますが、他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡すること、これが禁止をされております。模倣というものにつきましては、商品の形態に依拠して、それに実質的に同一の形態の商品をつくり出すということにされております。
ただし、不正競争防止法が強化をされておりますが、意匠権のように、権利の移転、実施権の設定、質権の設定等といった役割は当然果たし得ないということですし、国内において、最初に販売された日から3年を経過した商品については適用されないとなっているところです。
こうしたことから、不正競争防止法に基づく民事判決は現在までに大体50件程度、そのうち形態模倣については20件程度となっているところでございます。
こういったことで、我々といたしましては、一つはダブルトラック制度の幅広い保護のニーズにこたえるという観点から、ダブルトラックというものを検討していきたいと考えております。
対応の方向につきましては、私どもといたしまして、今いろいろな組み合わせが実際にはあるわけですが、現在既存の参考になるような制度をもとに四つの類型についてそれぞれの案をまとめているところです。それぞれの案につきまして、14ページからご説明をしていきたいと思います。
まず最初の一つの類型といたしましては、実用新案法型というものがございます。これは無審査で絶対的独占権を与えて保護しようというものです。現在の産業財産権法の体系におきましても、特許制度と実用新案制度というのはダブルトラックになっております。実用新案制度は早期保護のニーズに対応する観点から無審査で権利の設定登録を行って絶対的独占権が発生するということにしております。
こうした制度を踏まえまして、新たに意匠登録出願があった意匠について、方式審査、形式審査といっておりますけれども、これについては後ほどご説明いたします。そういった非常に定型的な審査をやって早期に権利の設定登録を行う。登録意匠については、実用新案法等を参考にして、現在の案では登録意匠又はこれに類似する意匠の実施を専有する絶対的独占権を認めるといった案を考えております。新規性、創作非容易性、先願といった保護要因については登録審査制度と同様にするという案でございます。
上のフロー図でご説明をしたいと思いますが、まず、無審査登録制度と審査登録制度でございます。審査登録制度については、これは従来のとおり、出願して方式審査、例えば図面があるか、出願人の名前が書いてあるか、そういった形式的な審査をいたしまして、その後、新規性を満たすか、あるいは創作非容易性を満たすかどうかといった実体審査を行い、登録、公報の発行を行うということになっております。
無審査登録制度につきましては、出願をいたしますと、最初に方式審査、次に形式審査と置いてあります。これは記載事項を定められたもので書いてあるかどうか、住所や出願人の名前が書いてあるか、図面がついているか、そういったところをチェックすることになります。
次の形式審査としておりますが、ここは意匠の定義、現在物品の形状等となっております。そういったものがきちんと最低限書いてあるか、具体的に書いてあるか、そういったところをチェックする。その後、登録をし公報が発行されるということです。それから、これにつきましては意匠評価書というものをからませることによって、より権利範囲のある程度事後的な確定というものを図るような、そういう仕組みも取り入れたいと考えております。これは実用新案法の技術評価書のメリット等を勘案したものでございます。
14ページ、下の方に書いておりますが、ご説明いたしますと、まず保護要件は審査登録制度と同様に新規性、創作非容易性、先願等を登録要件とするということでございます。
権利の効力は絶対的独占権ということで、現在の考え方では、登録意匠又はこれに類似する意匠にまで及ぶとしております。
権利期間は10年ということです。
両トラックの出願変更、または乗り換えという問題がございます。無審査に出したものを審査トラックに変更することができるかどうか。そこはこの案では許容するということにしておりまして、先後願関係についても、相互に先後願関係を見るような形にしたいと思っております。
無効審判請求については、現行の無効審判と同じ考え方をとっておりまして、新規性等、これは権利が成り立つ絶対的な要件として、例えば新規性を満たすか、創作非容易であるか、あるいは先願関係等について、これは何人も特許庁に請求することができるとしております。権利帰属等(私益的理由)としておりますが、これは本来ならば共有であるべきところが共有になっていない。あるいは冒認出願であるといった当事者しか知り得ない要件につきましては、利害関係人のみが無効審判を請求できるという現行と同じ考え方にしております。
過失の推定につきましては、何人も意匠評価書を請求することができ、請求によって特許庁が作成する意匠評価書を提示して警告した場合には、侵害行為について過失の推定するということにしております。
(論点)でございますが、実用新案制度では、権利の行使については実用新案技術評価書を提示して警告をすることが要件になっております。また、相当の注意をしないで警告、権利行使等を行った後に、実用新案が無効になった場合は、相手方に与えた損害を賠償する責めを負うとなっております。これにつきましては、実用新案制度の活発な利用を促進するという観点で障害になっているのではないかという指摘もございます。また、意匠評価書の請求、取得に要する時間を考慮しますと短ライフサイクル商品のデザインの早期保護という観点からは必ずしも適切ではないのではないか、また、権利行使の意匠の場合には視覚によって認識されるということで、実用新案(技術)の有効性の判断よりも容易ではないかということから、実用新案技術評価書に相当する意匠評価書の提示、警告は権利行使の前提としない、かつ侵害者による過失の推定に係らしめることにしてはどうかということが考えられるところでございます。
以上が(案1)、実用新案型でございます。
二つ目が審査請求型としております。一つの出願で無審査でいくか又は実体審査までするかという乗り換えを可能にする制度でございます。
これにつきましては、フロー図でございますけれども、まず出願自体は一つでございまして、それを以下、方式審査、形式審査、審査請求があった場合には実体審査をするということになります。審査請求しない場合には、登録、公報発行ということで無審査登録制度に対応する権利が発生をする。
一方で実体審査をした場合には、登録、公報発行、同じように権利が発生するわけですが、その二つのトラックで権利の内容を変えてはどうかという案でございます。
(無審査登録制度の概要)、16ページの下ですが、現行の特許法では、審査請求制度を採用することによりまして、特許庁による事前の審査を経て有効性を確定する必要がないと判断するものについては、拡大された先願の地位による後願を排除する、そういう効力のみを認めることとしています。一方で、審査請求に伴い特許が認められた場合には、絶対的独占権が付与されるとともに、出願公開後は補償金請求権の行使を認めるとなっております。
こうした制度のメリットを活かし、デザインについては模倣が容易であることや早期保護のニーズがあることから、新たに意匠登録出願のあった意匠について方式審査、形式審査を経て権利設定を行い、他人による登録意匠又はこれに類似する意匠の模倣を排除する権利を認めるという構成があるのではないかと考えております。審査請求があった場合には、現行と変わらない審査を行い権利の設定を認めようというものでございます。保護要件については、審査制度と同様に、新規性、創作非容易性、先願等を登録要件とするという案にしております。
権利の効力については、模倣を排除する、いわゆる「相対的独占権」ということにして、他人が模倣した場合に権利が及ぶということにしております。ここでは意匠の権利の範囲を登録意匠又はこれに類似する意匠としておりますけれども、ここについては、登録意匠あるいは同一のものだけに限るなど、ここはいろいろなバリエーションがあるのではないかと考えております。
権利期間は10年ということでございます。
両トラック間の出願変更につきましては、実質的なシングルトラックということで、出願変更については規定をしない。権利の乗り換えにつきましては、一定期間に限って、無審査トラックで登録されたものについて審査請求を認めるということでございます。
先後願につきましては、実質的にシングルトラックということで、先後願関係については規定をしないということでございます。
無効審判請求については、現在と同じ考え方を踏襲しようということでございます。(論点)ですが、1)デザインを適切に保護するという観点から、相対的独占権ということでいいかどうかという論点が一つあります。
2)無審査トラックの権利の有効性については、これは審査請求を行うことによるか、あるいは無審査で登録された権利の無効審判によるということになるわけですが、第三者の監視負担をどういうふうに考えるかということです。
3)審査請求により審査を行う場合には、現在よりも少し全体として審査がおくれる可能性もあるわけです。現在は出願順でどんどん審査をしているところを、審査請求順にすることによって、若干先後願関係が複雑になるというところもございます。こういった実務上の問題をどう考えるかということです。
4)審査請求型のシングルトラックではなく、相対的独占権が付与される無審査トラックと審査トラックというダブルトラック、すなわち初めから出願を分けて、その上で無審査トラックと審査トラックの乗り換えを認める、そういったことも可能ではないかと考えております。
次に参考にいたしました半導体集積回路法でございます。これは無審査で相対的独占権による保護をするというものでございます。
現行の半導体集積回路法におきましては、半導体の回路配置開発の模倣を防止するということで、独自に創作された半導体集積回路の回路配置について、無審査(形式審査のみ)で権利の設定登録を行い、回路配置利用権というものを専有する権利を認めております。ただし、これは他人が独自に創作したものには及ばないということで、結果的には模倣排除権のみを認めているわけでございます。
この制度を踏まえまして、創作非容易な意匠について意匠登録出願があった場合に、方式審査、形式審査を経て、早期に権利の設定登録を行い、他人が模倣によって登録意匠又はこれと実質的に同一の意匠を実施する行為を排除するという権利を認める案が考えられるのではないかということです。
フローをご説明をいたしますと、審査登録制度につきましては同じでございまして、出願、方式審査、実体審査、登録、公報発行ということです。
無審査登録制度については、出願し、方式審査、形式審査をし、そこで登録をする。一定期間については、出願の変更又は乗り換えにより審査登録制度に乗り換えることができるという制度でございます。
なお、これにつきましては、新規性の保護の要件につきまして、創作非容易性のみを半導体回路法にならいまして書いておりますけれども、例えば公知意匠と同一のもの、少し制限をされた新規性といったものも課すことを考慮してはどうかと考えております。産業財産権として保護する限りは、何かありふれたものという要件だけでいいのかという観点は考慮すべきではないかと考えております。
19ページにまいりまして、繰り返しになりますが、1)保護要件は、いわゆる相対的独占権ということで、創作非容易性のみを登録要件とすると現在の案ではしております。ただし、これは先ほど申したとおり、新規性の要件をさらに加えるとかいろいろなバリエーションがあり得るのではないかと思います。
2)権利の効力として、相対的独占権ということで、他人の模倣を排除するということでございます。
3)権利期間10年で、出願の変更を認める。
4)両トラック間の権利の乗り換えについては、乗り換え制度は設けないということでございますが、無審査トラックによる権利発生から一定期間であれば、同一出願人による出願人に限り、新規性を喪失せずに出願トラックにおける登録を可能とするということにしております。
5)先後願関係につきましては、審査トラックの出願は無審査トラックの出願に対して後願を排除する。ただし、無審査トラックの出願は後願を排除しないということでございます。この関係につきましては、抵触関係を規定することによって調整することを考えております。
無効審判、過失の推定については以上のとおりでございまして、(論点)としては1)新規性を満たさない意匠についても保護の対象となることについてどういうふうに考えるかということで、公知意匠に同一である意匠は保護すべきではないかという論点があると考えております。
2)権利範囲について、登録意匠又はこれに類似する意匠にまで及ぼすことも可能ではないかという観点がございます。
3)無審査トラックの権利の有効性につきましては、権利の無効審判によって判断するということになりますが、これについて、第三者との関係をどう考えるかといったところがございます。
4)登録日から一定期間について、新規性の例外を設ける、これをどういうふうに考えるかという論点もございます。
第4案でございますが、相対的独占権による保護として著作権法型が考えられるのではないかということで案をお示しをしております。
現行の著作権法につきましては、創作活動のインセンティブを確保することから、無方式で創作的表現について権利の発生を認めているところです。権利の内容については、複製権を規定して、結果的には模倣排除権ということになります。
この制度を踏まえ、独自に創作された創作非容易の意匠については、ありふれてないものにつきましては、公知になった日又は寄託した日から権利が発生するということにして、登録意匠又はこれと実質的に同一の意匠を実施する行為を排除する権利を認めるという案でございます。
上のフローでございますが、審査登録制度のところは従来と同じですが、著作権型の部分でございます。公知になった段階又は寄託、公開によって権利が発生すると、そういう法制になっておるところでございます。
1)保護要件につきましては、相対的独占権で、ありふれたものは排除をするということで、創作非容易性のみを登録要件としております。これは著作権法の考え方にあわせて、そういう置き方にしております。
2)権利の効力については模倣排除ということでございます。
3)権利期間は、公知になった日又は寄託の日から10年ということでございます。
4)両トラックの出願変更については、無審査で発生するということから、出願変更制度は特に設ける必要はないのではないかと思っております。
5)権利の乗り換え制度は特に設ける必要はないと考えておりますが、一定期間、これも新規性の喪失の例外にするということも考えられるのではないか。
そのほかの事項については、(案2)と同じ考え方をとっております。
(論点)として、1)新規性を満たさない意匠についても保護対象とするかという観点。
2)公知にすることにより権利が発生することから予見可能性をどういうふうに考えるかという点。
3)第三者の監視負担をどう考えるかというところがあるかと思います。
全体としての論点としては、無審査制度に係る意匠権、特許法との関係をどう考えるか。補完的な関係にあるのではないかということで整理できるのではないかと考えております。
無審査制度について、出願に係る手数料、登録料の料金について適正な水準を設定することが必要でございますけれども、同様に審査登録制度における料金についても見直しを行わざるを得ない可能性があるのではないかという論点があると考えております。
以上でございます。

大渕委員長

丁寧なご説明ありがとうございました。
この「意匠制度の枠組みの在り方」というのは、ページ数としてはかなり多いわけですけれども、テーマといたしましては、無審査登録制度の導入によるダブルトラック化というこの1点に尽きているわけでありますが、この点につきまして、どなたからでも結構ですので、ご質問、ご意見をお願いいたします。

峯委員

たびたび申し訳ありません。言葉の確認なんですけれども、34で、保護の要件でしたか、創作非容易は排除しますということですね。論点の中で、同一は排除した方がいいのではないかということが挙がっていますけれども、ロジックとして創作非容易なものはだめだよ、同一はいいよ、どうしてそういう発想が出てくるのか、ちょっとそこの説明いただきたいということと、同一は保護対象になり得るわけですよね。創作非容易のみを保護要件にするという書きぶりを理解すると。
その点と、それから現状の3条1項1号ないし第3号の関係と3条2項の関係でいうと、3条2項、これを創作非容易というふうに言い換えるならば、3条2項には当然3条1号から3号のものもダブって入っている。要するに括弧書きで1号から3号のものを除くというふうに法的にも整理されているわけで、創作非容易性の中には1号から3号もダブってくるものが結構多い。そして、また現在の審査、審判の判断でいくと、類似というものの判断はかなり創作非容易の判断にダブった思考方法をとっている。そうするとここで創作非容易性だけを見ましょうというふうにあえて挙げてきたことがよく理解できないのですけれども、その辺ご説明いただけませんでしょうか。

貴田審議企画班長

1点目の創作非容易というものを入れながら、同一のものを排除すべきではないかというところに矛盾があるのではないかというご指摘だと思うのですけれども、おっしゃるとおり、創作非容易というふうにしてしまいますと、同一のものというのはそこの要件にはじかれてしまうと思いますので、あえてそれを入れる必要はないのかもしれないのですけれども、ただ、先ほど申し上げましたように産業財産権として新規性の要件というのがあった方がいいのではないかという議論もございます。また、創作非容易ということでいけば必ずしも入れる必要はないのですけれども、著作権のような形で考えた場合に、独創性というか、独自につくったということを要件にするということもオプションの中には入ってくるのかなというふうに思っていまして、そう考えたときに、同一のものを排除するということは確認的に書いておいた方がいいだろうということで、あくまで確認的ということでご理解をいただければと思います。

峯委員

そうすると、ここに創作非容易性のみを登録要件とすると書いてありますけれども、この言葉というのは、現行3条2項を引き移したという理解とは少し違う、いわゆる著作権で独創性というような概念に近いという理解でございましょうか。

貴田審議企画班長

ここで書いている「創作非容易性」という言葉自体は、現行の制度でも使われている概念を引き続き使った方が定着しているのでなじみやすいだろうということで、今の制度と同じ概念を想定しております。ただ、今、少し著作権の話を申し上げたのは、いろんなそういう意味ではオプションがあり得るので、確認的にそういう同一のものは入れないということをあえて規定をするというオプションも考えられるのではないかということであります。

大渕委員長

ほかにいかがでしょうか。森山委員どうぞ。

森山委員

どなたも発言がないので伺いたいと思います。今、四つの案が出されていますが、今、四つのタイプがありますけれども、これはどの案に近づけて実施するのか。どういう決め方を、今、四つのタイプがありますけれども、今後されるのか、検討の方法等についてお教え願えればありがたいのです。ダブルトラックについては、私もその案を提案した一人でありますので、精緻にご提示いただいたことに感謝します。

田川審議室長

今後の検討する際の座標軸といいましょうか、視点でございますけれども、権利のまず強さの問題が一つあるかと思います。絶対的な独占権にするのか、相対的な独占権で、例えば模倣対策としてはいいのかといった権利の強さ、これをどういうふうに考えるかというのが1点かと思います。
それから、もう一点としましては、実際にワークする仕組みになるかどうかということでございます。いろいろな実際の実務、実務というのは、ただ単に特許庁だけではなくて、ユーザー・第三者の方々が参加したシステムとしてワークするものであるかという点が2点目かと思います。3点目といたしましては、新しい、今あまりこの制度を使ってない方だけでなくて、既存のユーザーの方にとっても使い勝手のいい制度となるようにできるかどうか、そういったところから検討していくことになるのではないかと思っております。

森山委員

ありがとうございました。また、次回以降、この問題について委員各人がどの案がいいと考えるかというような意見を述べる機会があるというふうに理解してよろしいのでしょうか。

大渕委員長

今までも出ていましたけれども、今回はこういう具体的な詳細な形で提示されております。現時点で直ちにで詳細に意見を述べていただくというのもある意味で無理な面もございますので、これはこういう形で出されたものを踏まえて、またさらにご検討いただくということになろうかと思います。ただ、せっかくの機会でございますので、今日このような詳細な形でご提示されたところに対してご質問、あるいは、とりあえずのご意見などをいただければと思います。
岡崎委員、どうぞ。

岡崎委員

質問でございますけれど、17ページ5)でございます。これはパターンの2番目ということで、「無審査トラックで登録された意匠についての審査請求を認める」とこう書かれていますけれど、これは登録になった後にのみ審査請求はできると、そういう意味なのか、それとも一定期間の中であれば、出願の当初であろうが、出願中であろうができるのかどうか、その点、確認させてください。

田川審議室長

現在考えております案は、これは出願中でも、登録になった後ということではなくて、ある一定期間において審査請求ができるという案でいいのではないかと考えております。

岡崎委員

わかりました。

光主委員代理(星氏)

この論点の中でも一部書かれていると思うのですが、第三者との監視負担というところが非常に気になっております。実際に製品ができる過程の中で、意匠のクリアランスを当然我々もやっているわけですが、時間との戦いというのはあるわけですね。製品の発表時期は既に決まっていて、それまでに開発しなければいけない。その中できちんと第三者の権利をクリアにした上で製品化していかなければいけない。
その際に、こういった無方式のものが出てくると、傷のある第三者の意匠権を審判に上げてつぶしたら良いのではないかと思われるかもしれませんが、恐らくそういう時間的なゆとりはないと思います、現実の場として。となると、傷があるかもしれないのにもかかわらず回避するという萎縮効果が働くというところを非常に危惧しております。ですからその点を十分に検討していただきたいとJEITAとしては思っています。
意匠課長さんがいらっしゃいますけど、非常に審査の方も短くなり、頑張ってやっていただいておりますし、今は出願料1件1万6,000円、図面は5万円ぐらい、CAD等やるともっと安くなるかもしれません。登録料も特許等に比べると安いところもありますし、FAも約7カ月、早期審査もございますし、その辺も含めて慎重に対応いただきたいというのがJEITA側の意向でございますので、十分ご検討いただけたらと思います。

大渕委員長

菅井委員、どうぞ。

菅井委員

どちらかというと産業界の意見が続いたので、最後に私も、産業界の意見を申しますと、一つの方法として、以前からダブルトラックの審査というのがあるのだろうなというご意見を申し上げておったのですけれども、今回この四つの案、それぞれダイレクトに、理解まだまだできてないのですけれども、権利を得るということと行使をするというところの両面で考えますと、むしろ先進国というのはデザインをある程度大事にする、日本の中でも同様にそれは同じですと。そういう意味では、そんなにやたらめったらと増えるものではないだろうという前提なんですが、最近のどうしても気になるのは中国の実際の出願状況を見ていますと、商標、意匠、実用新案、ここに物すごい出願が集中しているわけですね。それは物すごいというか、本当に我々びっくりするくらいの出願が出ていると。それはほとんど無審査ですね。
基本的にその権利の中で、我々、先ほども出ましたように、調査をしていくという観点も、彼らも必死になって調査していますし、日本の法律の中でいけば、登録審査されているわけですから一定の権利は大丈夫。それが無審査の、いうなら権利化の話と行使の話が一緒に我々産業界で考えたときというのは、どうしても冒認ですとか、実際に実施しないけれども、山のように出ていったものをどう守っていくかという方にむしろ非常に気になるわけですね。我々の業界でいけば、そんなにむだな出願が膨大に出るということはないだろうと、何のために出すのだという部分になりますので、そう考えますと、むしろ当初から言っているように、基本は審査制度の中でしっかり権利の安定性を重視していきたいという主張なんですけれども、もう一つ、業界の特殊性、そういう意味では、ある程度出願人が選択できるという部分でいくと、幾つか提案かございますので、そういう選択肢はあるのかなというふうに見ております。
ただし、今の欧州と日本と、あるいは途上国を分けて考えますと、必ずしも日本はまだ先進国であるにもかかわらず、欧州のような環境にはないのではないかと私は思っておりまして、できれば審査中心のものに継続して検討いただければと、引き続きではありますけれども、思っております。むしろやるとしたら、物品の形状なり物品性という意味では、少し議論はいろいろと出ているのですけれども、そういったものについては認めていって早い時期の権利行使を可能にするということは考えられるのかなと。これは繰り返しになりますけれども、そんなふうに思います。

大渕委員長

ほかにございませんでしょうか。繰り返しになりますけれども、このテーマにつきましては、本日四つのパターンを示しした形での詳細な具体的なオプションというものについてペーパーを事務局でご用意いただきまして、少し前にはお送りしてあるかとは思いますが、すぐにご意見を述べていただくといってもなかなか難しいという事情については、こちらの方としても承知しているつもりでありますので、また、これを踏まえて今後いろいろご検討いただければと思います。その前提として、今日の段階でもう少しこの点を確認しておきたい、質問しておきたいというようなことがございましたら、せっかくの機会ですので、どの点でも結構ですので、どうぞ。

勝尾委員

「一定期間内に限り」という言葉がたびたび出てくるのですけど、具体的にはどれぐらいの期間を考えていらっしゃるのか、教えていただけますか。

田川審議室長

幾つかの手続で、一定期間であれば、例えば出願の乗り換え等できるというふうにしておりますが、特にここは審査登録制度のフローとの関係が大きいかと思っております。そういったところを勘案しながら、さらにご要望などもお伺いして検討していきたいと思っております。

勝尾委員

ありがとうございました。

大渕委員長

岡崎委員、どうぞ。

岡崎委員

もう一つ、質問ですけれど、四つのパターンとも無審査でありますけれど、登録日より10年と長い期間のように設定されています。一方、不正競争では3年という期間が限定されています。こういう審査を経ずに形だけでなった権利を10年も保護するという趣旨、それはどの辺にございますでしょうか。

田川審議室長

これにつきましては、一つの決めといたしまして、現在の意匠権が15年となっておりますので、それを少し弱めようということで10年ということで仮に置いているところでございます。これにつきましては、権利の内容自体ともかかわってくる問題かと思いますので、いろいろなご意見をいただければと思っております。

大渕委員長

ほかにございませんでしょうか。この問題は非常に重要な問題でございますし、いろいろ詳細な案を本日事務局からお示しされましたので、これを踏まえて引き続き、今後もご検討いただくということにいたしまして、時間の関係もございますので、次の大きなテーマでございます「意匠権の強化」というテーマについての議論に移ってまいりたいと思います。
それでは、まず事務局よりご説明をお願いいたします。

田川審議室長

それでは「意匠権の強化」につきまして、存続期間の延長と刑事罰の強化2点につきましてご説明をいたします。
まず、存続期間の延長でございますが、現在ご承知のとおり設定登録から15年というふうに規定をされております。一方で、ブランド戦略の一環として、新たな付加価値の源泉となる優れたデザインが開発をされてロングライフ、非常に息の長い製品が増加をしているということもございますし、また、過去のデザインが再度リバイバル・ブームに乗って商品化されるという事例も増加しているようでございます。
現在、具体的な意匠権の保有期間の統計を見てみますと、まず登録から3年間保有するものと15年間保有するものが多くなっております。15年間期間満了まで保有されるものが約16%ということでございまして、これは特許権の現存率よりも高いということでして、意匠権の長期保護のニーズというものが少なからずあることを示しているのではないかと考えております。
したがいまして、現在設定登録の日から15年と規定されておる意匠権の存続期間について、登録日より20年とすべきではないかというのが対応の方向でございます。
論点といたしましては、現在の産業財産権法はいろいろなバランスを考慮しながら制度が設計をされております。権利期間についても、権利を与えて創作者の利益を保護すると、これによって産業の発展に資するということで、一定期間の独占かつ排他的な支配権を付与することにしておりますが、一方で、それは第三者の営業活動の制限ないし不利益ということもございます。そういった観点で、第三者との関係においてバランスのとれたものといえるかどうかという点が1点でございます。
2点目が、権利の効力発生が、特許法では設定登録からということで、権利の存続期間の計算の起算日は特許法では出願日となっております。これにあわせて何らかの手当てをすることが必要かどうかという論点が2点目でございます。
3点目として、登録料が現在は1年から3年、4年から10年、11年から15年ということで3期に分けてかつ累進的な価格体系となっております。これをさらに20年まで延ばした場合にどのような登録料の改定が適切かという観点がございます。
2が刑事罰の強化でございます。
例えば模倣品の意匠権侵害に対する抑止効果を高めるということで見ますと、意匠権侵害は現在3年以下の懲役、300万円以下の罰金ということになっているところでございます。これは特許、商標が5年以下の懲役又は500万円以下の罰金とされていることからの公平の観点、さらに一層の抑止力を高めるという観点からは引き上げは必要ではないかという指摘がございます。
また、次の論点ですが、これは対応の方向にありますが、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金の懲役刑と罰金刑の併科の導入にかかわる問題でございます。現在、起訴時には結果重大・犯情悪質と判断された場合には懲役刑に相当ということで公判請求をされ、多くの事件では執行猶予付の懲役刑が科せられるということで罰金は科せられないわけでございます。
一方、それ以外のもの、結果が重大で犯情悪質と悪質でないものについては略式手続ということで請求をされるということで、50万円以下の罰金ということになるわけでして、そういたしますと、懲役刑のときには罰金刑が科されないということもありまして、経済的な制裁に欠けるのではないかということがございます。したがいまして、これを懲役刑と罰金刑の併科を導入すべきではないかということでございます。
それから、意匠権侵害罪の罰則規定を特許権侵害と同等に厳格化されると。この5年以下500万円とした場合には、両罰規定において法人についても重科があるわけでございますが、特許法では1億5,000万以下の罰金刑となっております。現在意匠権につきましては、1億円以下の罰金刑となっておりますので、その点をバランスをとるべきではないかという対応の方向でございます。
論点といたしましては、現行の意匠権と同等の刑事罰を規定しております実用新案法、不正競争防止法における形態模倣の罰則規定とのバランス上問題がないか、こういった点が論点になるかというふうに考えております。

大渕委員長

ありがとうございました。
それでは、今のご説明を踏まえて議論に移りたいと思います。今の点に関しましてのご質問、ご意見をお願いいたします。どなたかございませんでしょうか。

光主委員代理(星氏)

累進的な料金の体系のことなのですが、論点としても挙がっております。倍々ゲームではないですけれど、1年から3年が8,500円で、4年から10年が1万6,900円、11年から15年から3万3,800円に上がっていくので、その後、どうなるかというのは我々も非常に気になるところです。
このペーパーの最初にも模倣品対策ということを一つの柱として挙がってございます。実施が終わった後でも一定期間ある程度保持したいという気持ちはあるのですが、一方、我々は営利企業ですから、予算等の関係もあって、社内で放棄調査をやりながら、お金との関係で権利を捨てざるを得ない場合があります。ですから料金がもう少し安くなり、リーズナブルになると、その模倣品対策というところにも有効に働くと思います。この点を含めて十分料金体系をご検討いただけたらというのがJEITAの要望としてございます。お願いいたします。

大渕委員長

山本委員、どうぞ。

山本(為)委員

存続期間の問題なんですが、最近リバイバルとか、過去のものも非常に人気が出てきているわけなんですが、実際我々自分たちの興味のあるものに対しての興味の時間は、実際30年ぐらいだと思うんですね。そうすると、この存続期間の15年を20年にするというのは本当は30年にしたいけど、20年にするのか、そこのところをちょっと聞きたいなと思っています。この前、送っていただいた資料では、ヨーロッパでは40年とか書いていませんでしたでしょうか。
だから、これは世界の整合化を図ろうという考えであれば、あえて40年でもヨーロッパと同じようにした方がいいのではないかと私は思うので、払いたい人はそれで費用を払うし、払いたくない人は落としていけばいいわけですから、そこのところのお考えを聞かせていただけたらと思います。

田川審議室長

参考資料3に海外の権利期間についてまとめておりまして、ヨーロッパでは、出願日より5年、最長25年となっております。

山本(為)委員

EUの中で、あったように記憶していますが、そうではなかったですか。

田川審議室長

ヨーロッパでは最長25年となっております。

山本(為)委員

実際はもっと長くしたいけれど、まず20年というお考えでしょうか。

田川審議室長

これについては、権利者の方からすると、長ければ長いほど、いいという視点も一方でありますけれども、一方で独占をどこまで認めるかというバランスの問題かと考えております。現在は欧州が25年、そのほかアメリカでは14年となっております。そのあたりを勘案しまして、一つの案として20年というのが考えられるのではないかと考えております。あとは特許との関係も少し意識して20という数字を設定をしているところです。

山本(為)委員

もう少し言わせていただきますと、ブランドとか商品は、実際に我々が関心のある時間を超えて次のデザイナーとか、次の創作者が考えるわけですね。そのとき、実際過去のものを認めてやらないと、それは公知になったということになり認めてもらえないと、結局ここのところが非常に不公平な気がするので、できれば、できるだけ長い間認めてもらうという考えに立ちたいなと思うのです。

大渕委員長

ほかにございませんでしょうか。
それでは、この「意匠権の強化」の部分はこれぐらいにいたしまして、本日取り扱いましたテーマで、ほかのテーマの議論をしているうちに、また何かいろいろご質問、ご意見等が出てこられた方もいらっしゃるかもしれませんので、ここで本日のテーマ全体につきまして、何かご質問、ご意見をいただく機会をつくりたいと思います。いかがでしょうか。

光主委員代理(星氏)

細かいところで申し訳ないのですけれども、4ページ目の(2)対応の方向のところに条文案がございまして、「十分な知識を有しながら」となっています。これは一つの歯どめになっているようですが、十分な知識というのは、具体的にはどうような場合を想定されているのでしょうか?単に認識しているような状態では不十分で、さらに何か加わるのだと思うのですが、教えていただけたらありがたいと思います。

田川審議室長

ここでは、さらに検討が必要かと思っておりますけれども、何らかの歯どめが必要だろうということで、例えば当業者であれば十分できるようなものと、そういったところを一つの要件として加えております。ただし、これについても、さらにいろいろ検討を深めていきたいと思っております。

大渕委員長

ほかにございませんでしょうか。
それでは、本日のテーマにつきましては、また今後も検討を続けていただくことにしまして、時間もなくなってまいりましたので、本日の委員会はこれくらいにしたいと思います。
最後になりましたが、今後のスケジュールについて事務局からお願いいたします。

田川審議室長

それでは今後のスケジュールにつきましてご説明をいたします。次回、第6回の小委員会につきましては、10月14日(金曜日)10時から、次々回、第7回につきましては、11月7日13時30分から。繰り返します。次回第6回が10月14日(金曜日)10時から、その次の第7回が11月7日13時30分からそれぞれ開催を予定をしております。
それ以降の日程につきましては、再度皆様のご都合をお伺いして、事務局で調整をさせていただきたいと思っております。

大渕委員長

それでは、以上をもちまして、産業構造審議会知的財産政策部会 第5回意匠制度小委員会を閉会させていただきます。本日も熱心なご議論をありがとうございました。

閉会

[更新日 2005年10月25日]

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