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第10回意匠制度小委員会 議事録

  1. 日時:平成18年1月25(水曜日)13時30分~15時00分
  2. 場所:特許庁 特別会議室
  3. 出席委員:大渕委員長、岡崎委員代理(松下氏)、勝尾委員、菅井委員、平野委員、牧野委員、水谷委員、光主委員、峯委員、山本(為)委員代理(高木氏)
  4. 議題:意匠制度の在り方について(報告書案)

開会

大渕委員長

定刻となりましたので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会第10回意匠制度小委員会を開催いたします。
前回までは、合計9回にわたりまして、意匠制度の在り方についての方向を示すべくご審議いただき、皆様から貴重なご意見を多数頂戴いたしました。
本日は、これまで合計9回にわたる議論を踏まえて作成された報告書、すなわち、お手元にあります「意匠制度の在り方について(案)」というものでありますが、これにつきまして、事務局において、先週の1月20日までの間、実施されましたパブリックコメントで提出されました意見などについての考え方を整理するとともに、「意匠制度の在り方について(案)」というこの報告書(案)を取りまとめるべくご審議をお願いしたいと思います。
それでは、まず事務局から配布資料の確認をお願いいたします。

田川審議室長

それでは、配布資料の確認をさせていただきます。本日の配布資料でございますが、議事次第、配布一覧、委員名簿、資料1といたしまして、当小委員会の報告書、「意匠制度の在り方について(案)」、資料2といたしまして、「パブリックコメントに提出された主な意見に対する考え方」、参考資料といたしまして、「パブリックコメント項目別の概要表」でございます。
なお、委員の方々には、そのほかパブリックコメントに寄せられました全体版をお配りいたしております。なお、このパブリックコメントの全体版の取扱いでございますが、一応個人名についても公表することを前提に意見をいただいておりますが、再度個人名の掲載について確認をしたいと思っておりますので、お取り扱いにはご注意いただければと思います。よろしくお願いいたします。

大渕委員長

それでは、早速審議に入らせていただきます。先ほども申し上げましたように、お手元にあります「意匠制度の在り方について(案)」に関して、本日の前半部分ではパブリックコメントで提出された主な意見のご紹介と、その主な意見に対する意見の整理についてご審議いただき、本日の後半部分では、それらの意見を受けまして、若干修正させていただいた報告書(案)について、再度時間をとってご審議いただきたいと思っております。
それでは、まず前半部分につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。

田川審議室長

それでは、資料2、「パブリックコメントに提出された主な意見に対する考え方」に基づきまして、主な意見の概要及び考え方の整理をご説明したいと思います。なお、適宜参考1として、それぞれの項目別に意見をまとめておりますので、ご参照いただければと思います。
まず第1でございますが、権利期間の延長については、意見の概要として、権利期間を延長すること、また、既登録の意匠について、その権利期間を延長しないということについて賛成する意見が多数でございました。さらに権利期間については、欧州にならいまして、25年の権利期間を求めるという意見、あるいは商標権のように更新を可能とするということを求める意見、権利存続期間の起算日を出願日とすることなどを求めるご意見があったところです。また、権利存続期間の延長に伴う費用負担、登録料の問題ですが、これが過重なものとならないよう配慮を求める意見があったところでございます。
考え方につきまして、ご説明をいたします。
まず意匠権の存続期間を延長するに当たりましては、改正法の施行日に権利の存続期間、これを大幅に延長すると。例えば15年から25年に大幅に延長することにつきましては、現行法での権利者と施行後の権利との関係や第三者、やはり意匠権というのは非常に強い権利でございますので、第三者との関係でバランスを失することになるのではないかということで、公平性の観点を考慮する必要があるということでございます。それから、意匠権を現在15年維持している物品の分野については、電気電子機械器具、通信機械器具、こういった技術的なものも多いということもございまして、特許権の存続期間とあまり乖離することは技術開発を通じた技術の向上を阻害する面もあるのではないかと考えられます。こうしたことから、意匠権の存続期間については20年にすることが適当ではないかと考えるところでございます。
続きまして、半永久的な更新性でございますけれども、意匠権は特許権と同様、新たな創作を一定期間、独占権を与えることによって奨励する面がございます。その観点からしますと、パブリックドメインにどのように移していくかということも1つの重要な論点でございまして、商標権と性質を異にするのではないかということでございます。したがって、半永久的に維持できるようにするということにはなじまないのではないかと考えております。
それから、起算日を出願日とすることですが、意匠法においては、まず特許法との比較でございますが、審査請求制度が採用されていないということでございますので、出願日を存続期間の起算点とする場合には、登録までの期間が、審査の待ち時間の長短になるということでございます。出願人間における保護期間が異なるという不平等が生じるおそれがあることが1つございます。また、欧州が現在、欧州の起算日が出願日となっておりますけれども、欧州はご承知のとおり無審査登録制度を採用しておりまして、権利の発生時点は出願日となっています。また、審査登録制度を採用している我が国では権利発生時点は登録日ということでございますので、権利の発生時点から起算をするということでは欧州と同じです。したがって、権利の存続期間の起算日としては登録日を維持することが適当ではないかと考えているところです。
登録料金については、権利期間の延長による費用負担が過重にならないように合理的なものとすることが適当であるということでございます。
続きまして刑事罰の強化については、刑事罰を強化する方向について賛成する意見が多数でございます。しかしながら、意匠権等の知的財産権は法的安定性に欠けるということで、登録要件を明確にし、刑事責任発生の予測可能性を明確にすることが必要であり、また意匠権侵害の抑止は、これは罰金刑を中心にすべきであり、自由刑の強化というものは合理的ではない。あるいは企業がコンプライアンス体制を採用しているにもかかわらず、従業員が意匠権侵害をした場合、事業主の刑の減免等の規定を置くべきではないかといったご意見があったところでございます。
考え方としましては、まず法的安定性につきましては、審査制度を通じて意匠権の有効性が十分に審査をされており、法的安定性に欠ける権利とはいえないのではないか、また、登録要件についても法定をされているということであります。
さらに、刑事責任の予測可能性については、意匠公報等が公示されていることにより、民事上は過失が推定をされる。刑事上の侵害罪につきましては、これは過失の推定は働かないわけですが、現実に意匠権を侵害しているという事実認識としての「故意」が必要になってくるわけでございます。この故意につきましては、法律上明確な登録要件、これを公示する登録制度及び故意の要件によって担保されているというふうに考えられるところであります。
続きまして、自由刑を強化することは合理的ではないのではないかということについては、この産業財産権の侵害は経済的利得を目的として行われるということでございまして、侵害者にとっては罰金刑というのはコストとして判断されます。したがって、刑罰としての感銘力は自由刑に比して罰金刑というのは弱いということから、罰金刑を強化するとともに自由刑についても強化することが侵害の抑止のために必要であるということでございます。
続きまして、企業がコンプライアンス制を採用している際に、従業員の権利侵害行為について事業主の刑の減免制度等を考えるべきではないかということですが、事業主が過失の不存在を証明した場合は、免責となる余地があるということでございまして、これは単にコンプライアンス体制をとっていたか否かで判断されるものではないということで、事案ごとに個別具体的に判断されるべきものではないかと考えております。
続きまして権利侵害行為への「輸出」の追加でございます。
まず意見の概要ですが、「輸出」を侵害行為とする方向性について賛成とする意見が多数でございます。
一方で、「輸出」を侵害行為に追加する場合には、水際措置の関係でございますが、関係行政庁の連携や制度上の整備について制度の実効性も含め十分な検討がなされるべきである。あるいは「通過」につきまして実害が生じたケースや規制の実効性についてさらに分析をすべきではないか。また、「通過」について「輸出」に該当するということで侵害行為とすべきではないのではないかといったご意見も寄せられているところであります。
まず、この「輸出」、「通過」を規制する目的ですが、国際的な模倣品・海賊版の流通による被害を防止するという目的でございまして、各国が輸出・通過を規制することを内容とする「模倣品・海賊版防止条約」の実現を目指しているところでございます。模倣品等の輸出・通過の水際取締りの制度整備についても検討が進められているところでございます。
現在の意匠法については、輸出が侵害行為として規定されていないことで、国内での侵害品の製造や譲渡が秘密裏に行われ、輸出段階で侵害品が発見された場合に差し止めを行うことができないということもございます。そもそもの考え方では、意匠権者が意匠の製造、譲渡等を独占的に行う経済的な利益を保護する観点、模倣品対策のために輸出を侵害行為として追加することが適当であるということでございます。通過につきましては、我が国を仕向地として保税地域に置かれた貨物を通関することなく、再度「我が国を積出国として外国に送り出す行為」、原産地を偽って、日本からあたかも輸出されたものというふうに偽装するという、そういった手口が発生しているということでございます。したがって、侵害物品の通過として水際で取り締まる必要性が指摘をされているということでございます。こうしたものについては、一たん日本に陸揚げをされていることから、我が国の領域内にあるということで意匠法の効力は及び得る状況にあるということです。国内において製造された侵害物品と同様に、こうした貨物について譲渡等を保税地域において行うということが可能であるため、権利者の利益を害する蓋然性が高いことから、我が国から再度外国に送り出される行為、これは輸出に該当する侵害行為と考えることが適当であるということでございます。
また、制度の運用につきましては、輸出を水際で取り締まる場合には、濫用による弊害の防止を含め、その手続・運用に関する政府部内での調整・連携により、制度の適切な運用が図られることが重要であると考えております。
続きまして、意匠の類似範囲の明確化でございます。
論点は2つでございまして、類似概念の明確化、特に判断主体の問題でございます。
意見の概要でございますが、意匠の類似判断を明確にするために、意匠の類否判断の視点を需要者とすることにつきまして、これまでより類否判断の基準が具体的になってよいとするご意見、あるいは特許庁の意匠審査の類否判断を把握する参考となるほか、権利範囲の明確化になり意匠制度の明確化になるというご意見。類否判断の主体を需要者とすることに異存はないけれども、現行の判断基準と大きな差が生じないよう対応してほしいというご意見があったところでございます。
一方、類否判断の視点を需要者としても現行の類否判断を実質的に変更するものとはならない、類否判断の主体を需要者としても類似範囲の拡大や明確化に繋がるという論理的必然性はないということで、法改正で対応する必要はないのではないか。あるいは類否判断の主体を需要者とすることによって、意匠法が創作保護法としての立場を離れ、需要者の混同を防止するという商標法に近い考え方に傾くのではないか、そういうおそれがあるというご意見があったところでございます。
これに対する考え方としましては、意匠の類否判断は、これまでどおり、既存の公知意匠の参酌、意匠の要部の認定、意匠の全体観察等の複数の観点をまとめた総合的な判断が行われることに変わりはありませんが、意匠の類否判断の視点を需要者とするという趣旨でございます。これは類否判断の手法や基準が必ずしも明確でないというご指摘があるため、最高裁判例等に基づき、意匠の類否判断の視点を明確化するということでございます。これによりまして、関係者の類否判断の共通認識が形成され、意匠審査における類否の判断、意匠権の効力範囲の解釈に統一性をもたらすことに資するものということを考えているところでございます。
続きまして、審査判断の明確化(審査基準の見直し等)でございます。
意見として、意匠の判断基準を明確化するために、審査基準の見直しや拒絶理由通知への判断内容の具体的な記載、審査判断の材料とした参考意匠の添付は妥当であるというご意見、審査基準の整備と充実化、公知意匠データベースの整備・公表が急務であるというご意見、審査判断の明確化の施策は特許庁の意匠審査における具体的事案の類否判断を把握する上で役に立ち、この施策を登録査定の場合にも拡大してほしいというご意見がございます。そのほか、類否判断のベースとするために特許庁が保存する意匠審査用のデータベース、特に公知資料データの特許電子図書館(IPDL)等での一般公開を望むというご意見がございました。
意匠審査の明確化を図るために、審査基準を見直すとともに、審査判断を出願人に明確に伝えるために、拒絶理由通知への審査判断の理由付記等の施策を充実していくことが適当であると考えられるところでございます。また、特許庁が現在保有しております公知資料等のデータについても、その前提となるカタログ等の発行元である各企業が、使用許諾に関する協力をする等、そういった官民の連携を強めていくことにより実現できるものであるということでございまして、連携を強めていくことが必要でございます。
続きまして、画面デザインへの保護対象の拡大でございます。
まず意見の概要として、画面デザインの保護の必要性に関しては肯定する意見が多数でございました。一部には意匠権による保護は不要であり、現行の特許法、著作権法、不正競争防止法等で保護は足りるとするご意見、別法の下での保護もあり得るとのご意見が寄せられております。
保護対象につきましては、物品と意匠との一体性という従来の考え方に沿って保護対象を拡大することに対し、画面デザインそのものやアイコン、動的なインターフェースまで保護対象を拡大すべきという意見、あるいは「特定用途の機器」とみなされていた製品の多くが多目的化していることから、特定用途の機器の要件は除外されるべきとのご意見、諸外国では日本よりも広汎に画面デザインを認めているというご意見が寄せられたところでございます。また、一方で製造業への過度のクリアランス負担が生じることを抑制する観点から、汎用性の高いパソコン等にインストールされたアプリケーションの画面やインターネットを通じて表示された画面等を保護対象としないことが妥当とするご意見も寄せられているところでございます。
続きましてこれに対する考え方でございますが、まず保護の必要性については、これまでの小委員会でもご説明をしたところでございますが、家電製品、情報機器などに用いられてきた操作ボタンなどの物理的な部品から電子的なインターフェースに置き換わっております。こうした画面が機器と一体となって機器の機能を発揮することが一般化しつつあり、この画面デザインというものが需要者がその家電製品を選択する際に大きな要素となっております。こうしたことから画面デザインの保護を進めていこうということでございます。
画面デザインの保護につきまして、他法との関係ですが、著作権的な保護とすべきというご意見がございますが、これはデッドコピーに近いようなものでなければ侵害とされない場合が多いと考えられるという点がございます。また、特許法におきましては、技術・機能的特徴については保護できる可能性があるということでございますけれども、美感に関しては直接保護されないという可能性がございます。したがって、物品固有の機能を発揮するために表示されると現在想定しております画面デザインについては、意匠法によって保護することが適切であるということでございます。
また、海外の取扱いに関しては、グラフィック・ユーザー・インターフェース、アイコン等が物品との一体性を離れて保護対象とされている例が欧州等ございます。物品を基本として保護されている場合でございましても、コンピュータ表示画面上のアイコン、物品との連携を図っているもの、こういったものもあるわけです。諸外国の例につきましては、多様な物品や無体物であるソフトウエアまで権利が及ぶ可能性があることから、過度に広い権利を認めることとなる可能性があるため適切ではないと考えられるところでございます。現段階ではパソコン等にインストールされたアプリケーションの画面、インターネットを通じて表示される画面、これを意匠権の対象とすることは適切ではないと考えられるところでございます。これらの画面デザインの保護の在り方については、諸外国の制度の運用、国内の保護ニーズを踏まえまして、保護の効力について権利者と第三者とのバランスを考慮しながら、慎重な検討を行うことが必要であります。
続きまして、無審査登録制度の導入によるダブルトラック化でございます。
意見の概要ですが、ダブルトラック化を直ちに導入する環境にないとする結論に賛成する意見が多数でした。
他方で、審査登録と無審査登録それぞれによる保護の要請は、事業や産業の種類によって異なるため無審査登録制度に対する要望は審査登録に要する期間が短くなっても満足されるものではないというご意見、無審査登録による保護は非登録の保護よりも実効性があるということで産業界では期待されていると考えられるというご意見がございました。また、資金力の弱いタイポグラフィックデザイン開発者の保護のためには無審査登録制度の導入の要望が強いというご意見がございました。
意見に対する考え方としては、無審査登録制度と審査登録制度のダブルトラック化はデザイン保護の選択肢を増やし、出願人が自己のニーズにあわせて出願する制度を選ぶことが可能になるということで評価に値する枠組みであると考えられるところでございます。一方、無審査登録制度においては、無効となる可能性もある意匠であっても登録はされると。抵触する登録意匠が存在しているか否か、そうした事前のクリアランス・調査をするだけでなく、その権利自体の有効性を判断することが必要になるということでございます。こうした場合には、有効性を争うコストが過重になるということになりますと、製品開発を変更することを余儀なくされるといった事態も発生するといったことも懸念されます。こうしたコストが過重になることは、企業活動に悪影響を与える懸念もあるところでございまして、現在の意匠制度を取り巻く状況を考慮した場合には、迅速かつ簡便な保護制度の導入よりも、安定した権利関係の構築が重視される状況であるということでございまして、ダブルトラック化については、直ちに導入する環境にはないと考えられるところです。
続きまして、関連意匠制度の見直しでございます。
関連意匠制度につきまして、まず出願期間の延長に賛成する意見が多数でございました。ただし、延長の期間については、本意匠の意匠公報の発行までが妥当であるというご意見のほかに、1年半、2年以内若しくは3年以内、あるいは制限なしとすべきであるというご意見がございました。そのほか、本意匠となる出願の登録を繰り延べ、あるいは秘密を請求した本意匠となる出願の図面掲載公報発行前までその登録を容認すべきであると、そういったことにより、出願期間の調整を可能にしてほしいというご意見もございました。
また、自己の登録意匠に類似する実施品の意匠がその登録意匠の類似範囲に属することを確認し、それを公示する機能を持った判定制度の運用改善、確認制度の導入を検討してほしいというご意見、あるいは類似意匠制度を再導入すべきであるというご意見があったところでございます。
意見に対する考え方につきましては、現行制度で同日出願のみ認められている関連意匠の出願時期を長期にわたって許容した場合には、その本意匠、関連意匠、他人の登録意匠あるいは公知意匠が錯綜するということで、それぞれが抵触関係に立つ場合には非常に権利関係が複雑化するという問題がございます。従前、類似意匠制度が廃止された理由の1つにも、そうした権利関係の複雑化といったところが指摘されております。また、後日の関連意匠登録は結果として本意匠の権利範囲を事後的に拡大する効果があるということで、そういたしますと、第三者の監視負担が増加することも懸念されるところです。したがって、本意匠の意匠公報が発行された後、これらに類似意匠を保護することは新たな創作を保護するものではないということでございまして、関連意匠についての出願の時期的制限については、本意匠の公報発行までとすることが適当であると考えております。
また、秘密意匠については、その秘密にした期間、第三者に公示性を有しないということ、さらにその期間、関連意匠の出願も許容するということになりますと、先ほど申し上げました権利の錯綜がさらに複雑化することもございまして、秘密意匠自体が例外的な制度であることもあり、不適切ではないかということでございます。また、登録の繰り延べにつきましても同様の問題が生じるということが考えられるところでございます。
類似意匠制度の復活や権利範囲の確認につきましては、類似意匠の意匠権、これは独自の効力を持たないということから、類似意匠が類似範囲に属するか否かということを示すだけの機能しかないということで、権利の設定に直接結びつかないこの制度については、審査の迅速化の観点も踏まえて、さらに検討が必要ではないかということです。
類似範囲の確認については、現在の判定制度を活用することが有効であると考えられることから、利便性、実効性を高めるための検討を行っていくということが必要であると考えられるところです。
続きまして部分意匠の保護の在り方の見直しでございます。
まず、ご意見の概要でございますが、同一出願人による先願意匠の一部と同一又は類似する意匠、部品又は部分意匠について、現在同日でかつ同一人によるところしか認めておりませんけれども、これを後日も認めることについては賛成のご意見が多数でした。ただし、登録を認める期間については、先願の意匠公報の発行までとするのが適当であるというご意見。先願が秘密を請求した場合も含めて、先願の意匠公報か出願日から1年のどちらか早い方まで、そうした方法が妥当であるというご意見がございました。
そのほか、先願の登録の繰り延べ、秘密意匠との組み合わせによる期間の延長を可能にしてほしいというご意見がございました。
意見に対する考え方としては、これも関連意匠と同じ議論でございます。この期間を長く設定いたしますと、権利関係の錯綜が生じる可能性が非常に高くなるということがございます。さらに、さきの意匠の公報が発行された後、その登録意匠の一部を保護するということは、新たな創作を保護するものではないということもございますので、同一出願人による先願意匠の一部と同一又は類似する意匠の登録を認める期間は、先願の意匠公報が発行されるまでということで、公報発行後は、新規性がないということで拒絶することが適切であるということでございます。
秘密意匠についても、関連意匠と同様の考え方でございます。
続きまして、秘密意匠制度の手続の見直しでございます。
秘密意匠を請求できる時期を、最初の登録料の納付時にも可能にするということについては、賛成というご意見があったところでございます。しかし、登録料の納付時よりも、さらに時期を緩和して、「登録査定送達時より30日以内」とすることを要望するご意見もあったところでございます。
意見に対する考え方といたしまして、出願時に秘密意匠請求すべき出願と判断できなかった場合であっても、再度、秘密意匠を請求するか否かを判断し得るという、いわば救済措置ということでございます。原則としては出願時に判断した上で請求すべきものであると考えられるところでございます。
続きまして、新規性喪失の例外の適用規定の手続見直しでございます。
現在、新規性喪失の例外の適用を受けるための証明書の提出というものは、出願から14日となっております。これを30日以内に延長することにつきましては賛成のご意見が多数でございます。かつご意見としてございましたのは、新規性喪失の例外が認められる期間をそもそも12カ月にできないかというご意見でございます。あるいは、出願当初は、新規性喪失の例外の適用の申し立ての手続を必要とせず、新規性を否定する理由が発見されたときに、必要に応じて出願人がその適用の申し立て、あるいは証明書を提出し得る規定にできないかという意見もあったところでございます。
意見に対する考え方でございますが、このグレースピリオドを12カ月に延長したという場合には、新規性喪失の例外に該当するか否かが明らかになる前に、他人が意匠登録を受ける可能性が高まるということでございます。したがいまして、現在の審査期間が、7カ月程度ございますけれども、6カ月より長期にわたる期間を設定することについては慎重な検討が必要であるということでございます。この証明書の提出義務につきましては、我が国は審査主義を採用しており、出願人が新規性を喪失した事実を把握している場合というものは自発的に証明書の提出がなされることが必要ではないかということでございます。仮に証明書の提出を事前に行わず、後になり拒絶理由通知を受けたり、無効審判請求がなされたときには十分な証拠が得られない、そういうおそれもあるのではないかということでございます。
そのほか、この審議会では直接ご議論いただいておりませんが、特許と同様の情報提供制度を導入してはどうか、あるいは関連意匠に関する補正の時期の制限を緩和すべきではないかというご意見、それから、実用新案との調和、物品という観点で共通する意匠と実用新案を統合する、あるいは制度を調和するということについて調査・検討しておくべきではないかというご意見がございました。それから、意匠権の強さが、特許が実用新案と比較したときにどうなるか、見解を示してほしいとのご意見、3条2項の適用範囲、創作容易性の問題でございますけれども、これについて、3条2項の規定は改正されるべきではないか、あるいは現在の意匠法施行規則6条3項に定められておる特徴記載書、これが権利の解釈には用いられないということになっておりまして、それは「禁反言の原則」を否定するものであるというご意見があったところでございます。

大渕委員長

丁寧なご説明をありがとうございました。
それでは、以上の事務局の説明を踏まえまして、議論に移りたいと思います。この点について、どなたからでも結構ですので、ご質問、ご意見をお願いいたします。

峯委員

類似概念の明確化、類似の範囲の明確化の点でございます。ここにおいて、従来「看者」というように抽象的に記載されることが多かった。そこのところを「需要者」であるというふうに法律上明記したいという提案がされております。この対応を見ますと、需要者というふうに入れることによって類否判断の基礎、主体的基礎というものが明らかになって明確化されることになろうというような説明がされているわけですけれども、果たして需要者と入れることによって明確になるのかどうなのか、そこの理由づけをお知らせいただきたいと思います。

田川審議室長

まず、この考え方でございますけれども、問題意識としては繰り返しでございますが、意匠権の範囲の予見可能性というのが非常に狭いと、すなわち類否の判断の基礎というものがきちんと定まっていないのではないかということでございます。例えば看者ということである場合には、当業者、デザイナーなりある場合には需要者となるということでございます。これにつきましては、既に最高裁判例におきまして、需要者に与える美感というものを基礎とするということが既に定着をしております。それをはっきりさせることによって、類否判断の手法や類否判断の基準をつくる場合にも、まず、その主体というものをはっきりさせることによって、明確化が図られると考えているところでございます。

峯委員

今のご説明ですと、「需要者」と入れることによって判断主体が一義的に定まってくるというようなお考えのように思われます。ところが「需要者」という言葉を考えてみますと、例えば、このマイクロホン、マイクロホンの需要者はだれなのだといった場合に、これは流通段階、メーカーから問屋に行く段階では問屋の方は需要者かもしれない、あるいは問屋から販社を通して、例えば特許庁が購入する。その場合には特許庁が需要者になるかもしれない。あるいは個人的にこういうものをお店に買いに行く、その場合には個人のいわゆる生活者が需要者になってくる。
このように「需要者」という言葉を特定しても、その需要者というものをどこに想定するのか、これはまた個々ばらばらになってくるおそれがあると思います。判決例においても、ある場合には、例えば電線をブロックするプロテクターみたいなものですと、これの需要者は設備工事屋さんであるというような認定をしていたり、あるいは瓦であれば瓦屋さん、建築屋さん、あるいは瓦を取り扱う業者、これを需要者だというようになります。
そうすると各事案において、需要者がだれなのかということを個別に特定しかなければいけない。そういう作業がさらに加わってくるのではないか。その特定次第によっては、類否判断において、細かさ、視点というものがまた変わってくるかもしれない。とするならば、この「需要者」という言葉をいれることで創作者の目で判断するということを否定したいという趣旨だと、以前にお伺いいたしましたけれども、そのことを離れて、さらに需要者はだれなのだということについて、新たな問題を引き起こすおそれがある、そういう問題をはらんでいるのではないかと思いますが、それはいかがでしょうか。

田川審議室長

そこは物品の性格によって、当然に需要者の性格というのは変わってくると思います。結局この需要者、ある物品にとって最も経済的な価値を評価し得る需要者というところが実際には判断の基準になってくるのではないかというふうに考えております。

峯委員

たびたび申し訳ありません。例えばペットボトルのデザインがあります。これはペットボトル、容器メーカーでデザインして製造して販売します。ペットボトルの容器メーカーから見た需要者、これは飲料水メーカーです。ところが飲料水メーカーというのは、このペットボトルを利用することによって、自社の商品イメージがどうなるのか、要するに最終需要者・一般生活者、彼らの目から見てこれはどう評価されるのか、それを考えて販売することになる。最終的に一般消費者は、コンビニ等々でこういったボトルを目にして購入するわけです。そういうふうに各段階ごとに需要者は変わってくる。そうすると、このペットボトルのデザインを容器メーカーが出願した場合には需要者は飲料水メーカーなのか。そして飲料水メーカーが出願した場合には、需要者というのは生活者なのか、そういうような話にもなりかねないと思いますが、いかがでございましょうか。

瓜本意匠課長

訴訟実務に関して個別の物品を例に挙げてお話しをいただいているわけですが、実際には、単にペットボトルという物品だけの問題ではないと思っています。その個別具体的なデザインと過去のデザインとの比較・評価をした上で、そこに創作された形状などの特徴点等を踏まえて総合的に全体観察するという実務を行っていただいていると理解しております。従って、抽象的に物品だけ挙げられても、それはおっしゃるとおり、需要者が誰かということを特定するのは難しいと思いますが、少なくとも私どもが見せていただいている訴訟の判例では、個別事案に基づいて適切な需要者、取引者が設定されていると信じております。

峯委員

課長がおっしゃるとおりだと思います。ただ、懸念するのは、需要者と言うことによって、この判断における需要者の認定、設定が妥当なのかどうなのかということがまた1つ問題点として挙がってくるおそれがあるということをご指摘させていただきたいということでございます。
それから続いて、もう一点、需要者に関してなのですけれども、ここでは現在の運用は変える予定はないという前提というふうに理解しておりますが、それはそれでよろしゅうございましょうか。

瓜本意匠課長

そのとおりです。

峯委員

現在、審査基準で「需要者」という言葉が書かれておりますが、現在特許庁における審決等々見ますと、「看者」というようなぼやかした表現、ぼやかしたというか、客観的なある想像上の観察者というような位置づけかと思いますけれども、そういう看者という立場において、まさしく課長がおっしゃられたように、周辺意匠を参酌してウエイトづけをして判断していく、そういう手法がとられているわけです。ところがここで一たん「需要者」という言葉が入ってきますと、客観的な看者、想像上の判断者である看者というものが需要者という市場における個々の集合体として、あたかも現実に存在し得る、あるいは現実に存在する観察者であるかのように位置づけられるようになりはしないか。そして、その結果として、市場における混同という面が強調されて、現在では運用を変えないというお気持ちかと思いますが、次第に、5年、10年経るうちに需要という言葉に基づいて混同というような方向に強く傾いていく、そういうおそれはないのでしょうか。

田川審議室長

ご指摘の点は、創作法である意匠法というものが、商標的な誤認・混同説に傾いていく可能性がないかということでございますけれども、意匠法自体が保護しようとするのは、当然そのデザインでございますけれども、実際にそれを評価するフィールドというのはやはり市場ということでございます。商標的な誤認・混同の方に傾くというよりも、意匠法の前提として、そうした経済活動というもの、あるいは需要者といったものを前提にした議論というものはそれほどおかしいものではないのではないかと思っております。

峯委員

今回の報告書、5ページにある「はじめに」というところを見ますと、その4行目です。「消費者の嗜好や感性に訴える製品、新しい生活スタイルを提案する製品、使いやすさや環境問題に配慮した製品等の開発に力を入れ、これらの製品の理念を表現するための手段としてデザイン活動を重視する増加しつつある」、こういう指摘がされております。この指摘、私のデザイン観とも、あるいは社会認識とも一致していて評価する次第でございますが、このような認識と、市場における需要者の目というところに拘泥する今回の改正というものがどうもリンクしないのではないか。
といいますのは、この「はじめに」に書いてあるデザイン観というのは、単に、最終的には市場が判断するということはあろうかと思いますが、市場で売れる、売れないという以前に、生活者にどういう提案をしているのかというようなところにも配慮したデザイン認識ではないかと思います。そうしますと、市場において需要者がどういう美感を看取するかということもありますけれども、どういう生活を目指して需要者が購入するのかという視点というのも当然出てくるわけです。
その際に、あくまでも需要者が市場において美感を感じるということになりますと、あくまで購買時点という時点にかなり焦点が絞られていく。ところがデザインというのは購買して終わるものではない。そこが商標との大きな違いです。商標は購買するときの目印ですから、購買時点で一応機能は一通り終わってしまうかもしれない。しかし意匠は、購買するのが目的ではなくて、その商品、そのデザインを使っていく、使うことによって豊かな生活、豊かな暮らし、これをつくりあげていく、このためにデザインが存在するわけです。そうであれば、購入時点だけに目を絞った類否判断、これが妥当なのか。
先ほどからおっしゃられている最高裁判例、これはかなり古いものです。古いもので、現在のデザイン観、これが出てくる前のものです。現在では様々なデザイン観が出てきていて、意匠法に関する書物においても、意匠法の目的のとらえ方において新しい見方も出てきております。そういう流れの中で、果たして数十年前のホース事件、これが現在でも妥当すべきものなのか。あるいはそれに基づいて、法律で数十年前に意匠の類似観を固定してしまっていいものなのかというところにかなり疑問を持っております。
以上は、意見ということで結構です。

田川審議室長

ホース事件による最高裁判例、確かに昭和40年代の判例ではございますけれども、現在でもその考え方はほとんどの判例におきまして、踏襲をされていると考えております。その消費者の視点を見て、今回、私どもの問題意識というのは、まさしくデザインを保護するに際して、意匠権の範囲というものが予見可能性が低いのではないかというところにまず問題点がございます。それとご指摘のいろんなデザイン観の変遷というのはあると思いますけれども、デザイン観の変遷と権利範囲をどういうふうに解釈していくかということは、これは両立し得る議論ではないかというふうに思っております。いずれにしても現在の類否判断の実務というものが変更されるものではございません。あくまでもその予見可能性を高めるための基礎づけとして「需要者」ということを今回盛り込みたいということでございます。

大渕委員長

今の点に関連してでも、ほかの点でも結構ですので、ほかにございませんでしょうか。

牧野委員

今の類否判断の点ですけれども、確かに峯委員がおっしゃるように、法文上「需要者」という言葉を判断主体として規定した場合に、ともすれば物品の混同で類否を判断するという方向にいくおそれは私もかなりあるだろうと思います。ただ、このご提案の趣旨というのは、そうではなくて、むしろ判断主体を「需要者」と明確にすることによって、従来から特許庁の審査でもとられていた意匠の創作の保護という観点、これを維持していかれるというお話で、またそうでなければならないと思います。
こういう規定ぶりが出てきたのは、恐らく欧州意匠規則等の影響だろうと思いますが、要は需要者として、「需要者」という言葉を用いたから、直ちに非常に具体的な需要者が判断主体になるのではなくて、やはりそれは抽象化されたあるべき需要者みたいなものが判断主体となるのであろう。そうすれば、何とかこの法改正の趣旨は貫かれるのではないかと思いまして、私は消極的賛成という立場でございます。
以上です。

大渕委員長

ほかにいかがでしょうか。

岡崎委員代理(松下氏)

岡崎委員の代理松下です。需要者ということで明確にするというところはいいことだと思います。ここの目的というのはやはり明確化ということで審議されてきたと思っておりますし、私どもも明確化という観点で検討させていただいています。したがいまして、ここで権利範囲の幅とか、縮小とか拡大とか、そういうところに影響が出ることはちょっと困るなと思っているわけでして、そこのところは審査の判断が変わらないということで今確認をさせていただきましたので、そこのところを今後とも守っていただき、あるいは司法への十分な説明等を行っていただいて、あくまで明確化という目的に沿ったようなことであるということであればよいと思います。もし権利範囲ということに影響が出る可能性があるというのであれば、また、今後さらなる慎重なご検討をお願いしたいと思います。

大渕委員長

ほかにございませんか。峯委員、どうぞ。

峯委員

たびたび申し訳ありません。この類似の定義を入れることについて、あまり積極的なご賛成意見はないのかなと思われるのですが、明確化したいということが最大の目的であれば、1つの提案なんですけれども、例えば登録査定、このときに、登録査定するときに類似判断の参考に意匠を記載しなければならない、というような条文を入れて、先行意匠開示、これを特許庁に義務づける。とすれば、それを受け取った出願人権利者が、自分の周りにこういう意匠があるのだなと、自分の権利はこの程度のものなのだなということも理解できるかなというふうに思いますが、いかがでございましょうか。

瓜本意匠課長

お答えにならないかもわかりませんが、貴重なご意見として、今後の施策の参考にさせていただきたいと思います。

峯委員

今後とおっしゃらずに、今回、時間に間に合うのではないかなという気もしておりますが、ですから、例えばここにもし「需要者」という言葉を入れたとしても、登録査定において、そういうものが義務づけられている。とすれば、類似範囲というのは、公知意匠を参酌した上で考えるのだな、創作的に考えるのだなということが法律的に担保され得るというようにも思います。

田川審議室長

審査の実務において、いかに明確化を図るかというところについては検討をさらに深めたいというふうに思っております。

峯委員

よろしくお願いします。

大渕委員長

ほかにございませんでしょうか。特にないようでございましたら、今の点を踏まえまして、次の議論に進んでいきたいと思いますが、先ほどご紹介がありましたパブリックコメントの結果を踏まえまして、事務局の方で若干修正されたものが本日配布資料1でありますけれども、この資料1につきまして、まず事務局の方からご説明をお願いいたします。

田川審議室長

それではご説明いたします。字句の修正をいくつか行っておりまして、そこからまずご説明いたしますと、まず、25ページでございますが、25ページの表の括りの中で、保護要件、日本のところ、一般需要者と2カ所なっておりましたところ、「需要者」というふうに改めております。
それから、「輸出」のところでございますが、前後して恐縮でございますが、13ページでございます。字句の修正、これにつきましては、12ページの下から13ページにかけてでございますけれども、「輸出」が「譲渡」に含まれるかどうかということについて、原案では、「裁判所による明確な判断は示されておらず学説も分かれておる」というふうになっておりますが、そこのところ、学説については、実はよく検証いたしますと、あまり明確にしたものがございませんので、ここは「裁判所による明確な判断は示されていない」ということにとどめたいと考えております。
それから、14ページ、属地主義との関係でございますが、2行目のところ、「いわゆる属地主義は、パリ条約等の解釈により」としておりましたけれども、属地主義とパリ条約というのは別個に論じられるケースもございますので、ここのところは、一般的な属地主義の解釈を示すにとどめたいということでございます。
続きまして、全体でございますけれども、基本的にはこれまでの報告書と同じでございます。対応の方向だけかいつまんでご説明をいたしますと、まず6ページでございますが、意匠権の強化につきましては、権利期間を15年から20年に延長するという方向でございます。
それから、既登録意匠の権利期間の延長につきましては延長しないということでございます。
8ページ、登録料につきましては、権利期間の延長による費用負担、これについて、平成10年の特許法の改正におきまして、10年以降の特許料の金額を平準化したケース、これを基本にして現在検討しているところでございます。
続きまして、刑事罰の強化につきましては、10ページにございますが、侵害罪の刑罰を5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に引き上げる。それから、併科を導入する。法人重課についても引き上げを行うということでございます。
12ページ、「輸出」につきましても、これを「実施」として追加をし、侵害行為とするということでございます。
そのほか、15ページ、まず第1が「輸出」の追加でございます。
それから、「侵害とみなす行為」への「輸出を目的とする所持」の追加を行う。
関連事項といたしまして、「輸出の申出」、これについては規定をする必要性は低いということでございます。
「侵害とみなす行為」との関係で、いわゆる製造にのみ用いられるもの、いわゆるのみ品といわれるものについては、これの「輸出」をどう考えるかということにつきましては、これをみなし侵害とはしないということでございます。
「通過」につきましては、いわゆる積み戻しといわれる形態について、水際で措置できるよう、こうした積み戻しの行為が意匠権の侵害であるという解釈を確定させたいと考えております。
続きまして、18ページは「譲渡等を目的とした所持」の追加でございます。
20ページにございますように、侵害行為への「譲渡等を目的とする所持」の追加を行うということでございます。これは侵害行為の取締りにおきまして、その具体的な譲渡等を行う予備的な段階も規制することによって実効性を高めようということでございます。
目的行為につきましては、「譲渡」、「貸渡し」、「輸出」といったものを想定しております。
続きまして侵害の位置づけとしては、これを間接侵害、みなし侵害として位置づけたいということでございます。
意匠の類似範囲の明確化につきましては、需要者の視点から、その類似というものを解釈するということについて、法律等で改正を行うということにしたいということを考えております。
類似範囲の明確化でございますが、このため、審査基準の見直しを行う。あるいは拒絶理由通知を出すときに、その拒絶の理由となった意匠の評価を踏まえた共通点、差異点の認定、きちんとした評価を書くということ。それから、出願意匠の特徴点を簡潔かつ具体的に記載することによって判断基準の明確化を行うということでございます。
税関等における部品の取り外しにつきましては、これはさらに慎重に検討していくということでございます。
続きまして、物品間の転用までの拡張につきましても、これもさらに検討が必要であろうということで結論づけたいと考えております。
画面デザインの保護の拡大につきましても、物品との関係を持つ物品概念というものを基礎にして、画面デザインというものを拡大していこうということで、外部のディスプレーに表示されるようなケース、こういったものについて保護対象を拡大していこうということでございます。
一方、保護対象とならないものといたしまして、パソコン等にインストールされたアプリケーションでありますとかインターネット等の画面、これは意匠権の対象とすることにについて不適当ではないか。ただし、これについては欧米における制度の運用でありますとか、国内の保護ニーズ、これを踏まえた上で慎重な検討を行うということでございます。
続きましてダブルトラック化につきましては、36ページ以降に書いております。
まとめといたしましては、先ほどの結論と同じでございますけれども、直ちに導入する環境にはないと考えられるということでございます。
今後、意匠データベースの整備といった意匠制度活用あるいは類似評価の環境が整備され、審査運用での対応を超える早期保護への強い要請が生じた場合、改めてその是非を検討することが適切であるということでございます。
続きまして関連意匠制度、これにつきましては、一方で現在のデザイン開発の現場におきます実態等も踏まえまして、一定期間延ばすということで公報発行までの期間、関連意匠の出願ができることにすることが適当であるということでございます。
続きまして、47ページ、48ページ、これは部分意匠の制度でございますけれども、これにつきましても、同一出願人、同日にしか認められておりません現在の出願、これを公報発行までということに期間を拡大したということでございます。
続きまして秘密意匠制度につきましては、現在、出願時に限られているものを登録料の納付時も秘密の請求が可能になるよう、これは救済的な位置づけで手当てをしたいというふうに考えております。
続きまして新規性喪失例外の適用でございますが、これは現在14日のものを30日に延長するということで考えているところでございます。
以上でございます。

大渕委員長

ありがとうございました。
それでは、以上の説明を踏まえまして議論に移りたいと思います。どなたからでも結構ですので、自由にご意見をお願いいたします。どなたかございませんでしょうか。岡崎委員代理どうぞ。

岡崎委員代理(松下氏)

画面デザインのところなんですけれども、前回のときに、ここは法改正が必要だということであったと思うのですけれども、その辺の条文がどうなるのかなというのがまだ見えてないところと、最初のころはいろいろ事例が載っていたのですけれども、最近事例もお示しいただけないので、どのくらいのことが進行しているのかというところを教えていただければと思います。

田川審議室長

現在、画面デザインの保護を拡大するために法改正の作業を進めているところでございます。現在の考え方でございますけれども、この報告書にございますラインに沿って法改正を考えておりまして、物品との関係をきちんと保ちつつ部分意匠として位置づける方向で現在検討しているところでございます。

大渕委員長

ほかにございませんでしょうか。

勝尾委員

今回はパソコンにインストールされたアプリケーションの画面やインターネットを通じて表示された画面等を意匠権者の対象にすることは適切ではないというふうにされているのですけれども、最近の流れを見ていますと、インターネットを通して、かなりいろんな業務を行うとか、そこが非常に窓口になっているというケースが流れとして増えてきていますので、そこのデザインというのは、ますますこれから重要性が高まるのではないかと思うのですが、著作権ではほとんど今のところあまり保護されない。意匠でも保護されないというと、そこにかかわっている創作者の権利が、どういうふうに今後守られていくのかというのがちょっと不安になるのですけれども、これは継続してご検討いただけるというふうに解釈してよろしいのですか。

田川審議室長

お答えいたします。インターネットを通じたいろいろな画面デザインがあるというのは、私どももその重要性というのは認識しております。具体的には、特にインターネットの場合には、保護の客体ははっきりしているのだと思うのですけれども、それを例えば侵害の場合にどういうふうに行使していくのかといったところが物品を基礎とする意匠法の中でなかなかいろんな難しい法的な問題もたくさんあるというふうに思っております。
一方、実際のゲーム、例えばゲームの開発をする場合に、意匠制度を使う場合にいろんな事前のクリアランスとか、そういった負担というものも指摘をされているところでございます。ただし、そうしたデザイン、今少し保護されてない領域があるということは十分認識をして、今後さらに国際的な動向なども見ながら研究をしていく課題かと思っております。

大渕委員長

ほかにいかがでしょうか。

瓜本意匠課長

すいません、最後にしようと思ったのですけど、皆さんが発言を考えていただく時間を遣わせていただけるのであれば、先ほどの峯委員のご質問に対する回答を少し確認・訂正したい点があるのですが。

大渕委員長

どうぞ。

瓜本意匠課長

先ほど、のぼせていまして、回答ぶりが適切でなかったかもしれませんので、確認をさせていただきたいと思います。意匠登録出願についての参考文献に関しては、既に意匠公報に参考文献の欄を設けて記載しております。それを勘違いしておりました。したがって、峯委員がリクエストされたのは、その意匠公報に掲載した参考文献についてイメージを見られるようにしてほしいということなのか、それとも内容をさらに精査するなりして、何らかコメントをつけるとか、そういうようなことをご要望されているということなのでしょうか。

峯委員

そんな難しいことまで要望しておりません。登録査定のペーパーの中に、周辺意匠ということで記載いただくということをお願いしたいということでございます。現在、公報に記載されている場合ございますけれども、公報には記載されても登録査定の紙には記載されない。ですから、そこに記載いただきたい。それから、公報に記載されている場合ありますけれども、あれも実は拒絶理由通知を受けながらも公報に先行意匠として番号が書いてない場合もございまして、その辺がかなりまちまちになっているというふうに理解しております。ですから要するに審査の段階で何かしらの周辺意匠、これはサーチされることになろうかと思いますので、原則全件に情報をつけていただきたいということでございます。

瓜本意匠課長

おっしゃっていることの意味は、わかりました。

大渕委員長

ほかにいかがでしょうか。

牧野委員

よろしいでしょうか。

大渕委員長

牧野委員、どうぞ。

牧野委員

先ほどの類似範囲に関する報告書(案)ですけれども、需要者というのを類否の判断主体とするということになりますと、ややもすれば、需要者の目から見た類似と類否というのは商標等の類似と一緒ではないかという誤解が極めて生じやすいことは間違いないだろうと思います。ですから、このような誤解を避けるために、例えば、24ページの対応の方向の類似概念の明確化の第2段落の「また、意匠の類似概念は、意匠制度の根幹をなす……」とある「意匠制度」の前に、そもそも意匠制度は意匠の創作を奨励して産業の発達に寄与するという目的の下に設けられているのであり、決して商品の混同防止を目的とするものではないのであって、意匠の類否判断は、意匠の創作の奨励ないし意匠創作の保護という理念の下でなされなくてはならないという趣旨を明記すべきだと思います。その方が、先ほど来の峯委員のご懸念等も払拭できるのではないかと思います。
以上です。

大渕委員長

今のご指摘は、要するに24ページの4.(1)の類似概念の明確化という部分の2番目のパラグラフの1行目、「意匠制度の根幹をなす」という部分あたりに、今言われたような説明を入れて、先ほどの趣旨を明確にするというご趣旨でしょうか。

牧野委員

はい。

大渕委員長

今の点についていかがでしょうか。

峯委員

このペーパーが採用されるのであれば、今の牧野委員のご意見を入れていただければありがたいと思います。

田川審議室長

ご意見を踏まえまして、修正をさせていただければと思います。

牧野委員

よろしく。

大渕委員長

ほかにいかがでしょうか。ほかにございませんでしょうか。
それでは、特にこれ以上、ご意見もなく、議論も出尽くしたように思いますので、これぐらいにいたしまして、本報告書(案)につきましては、委員よりご指摘いただいた点を踏まえて事務局にて必要な修文を加えた上で、本小委員会の報告書(案)とさせていただければと思います。恐縮ですが、必要な修文については、委員長である私に一任していただければと思います。必要に応じて個別にお伺いすることはあるかもしれませんが、最終的には委員長である私にご一任いただければと思いますが、そのようなとり進め方でよろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)

大渕委員長

ありがとうございました。
それでは、今のようにいたしまして、本報告書(案)に必要な修文を加えた上で、本小委員会の報告書とさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、最後になりましたが、本報告書の取りまとめに当たって、特許庁の中嶋長官にご挨拶をいただければと思います。

中嶋長官

中嶋でございます。最後まで大変活発なご議論いただきまして厚く御礼を申し上げます。
お聞きするところによると、これは一昨年9月からいろいろ紆余曲折があったのでございますけれども、本日が第10回目ということで大変長い間、委員の皆様方には、お忙しい中、ご出席いただきましてありがとうございました。
今さら申すまでもないのですけれども、この意匠の話は、今、小泉内閣で知的財産推進計画というのを、2003年から始まって2003、2004、2005と来て、ことしも2006をいずれ来ることになりますけれども、その中で特許のみならず意匠、商標含めて知的財産の制度全般をもう一度整備していこうということであります。
特に意匠の場合は、これは昨年も申し上げたかもしれませんけど、問題意識2点ございまして、1点は、21世紀日本の企業・産業が先進国の地位を保ち続けるためには、世界の消費者・ユーザーにデザインの面でも訴求力を持って差別化をしていくと。それがひいてはブランド戦略にもつながるのだろうという、いわば攻めの面ですね。もう一点は、言わずもがなですけれども、中国とか東南アジアを中心に模倣品の問題が依然として大きな問題ですし、いろんな対策は講じているわけですけれども、やはり今後も続くと思うのですね。そういう意味で、その面でもより強い制度にできないかとこの2点でございます。
この小委員会で、この報告書にも盛られておりますように、第1点目のデザインの保護の強化という面では意匠権の存続期間の延長でございますとか、あるいは画面デザインの保護というような点、それから、模倣品対策という面では、模倣品の輸出の禁止とか、刑事罰の強化といったような面、もちろんそれ以外にもいろんな内容が盛り込まれてございますけれども、そういう大変充実した内容の報告書をいただけることになりまして心から御礼を申し上げます。
もちろん知的財産推進計画という方向性もございますけれども、もう一つは、今、経済産業省全体で、春から夏にかけて新しく新経済成長戦略という仮称でございますけれども、いろんな今構造改革と盛んに数年間というか、やってまいりましたけれども、あるいはやりつつありますけれども、一体その後、どういう成長の姿を描いていくのかという点を、もう一度全般的に考えようという作業をやっております。その中でも、結局日本の持てるリソースを最大限に活かすというと、リソースというのは人・人材と資金、物、物は設備とか、それから技というか知恵、ここに技術とか知的財産が入ると思うのですけど、もう一つ、別の意味での知恵というのは、5番目で、これはトータルのこういった様々なリソースをうまく使いこなす総合的な経営力というか、いずれにしても、そういう日本の持てるリソースをフルに活用していくということだと思うのですけれども、その中で知恵といいますか、技といいますか、技術といいますか、あるいは今回ですと、こういったデザイン力といいますか、というのが大変大きなファクターにもなると思いますので、今回の報告書につきましては、もちろん私ども早急に法案が提出できるように作業を進めてまいりますけれども、また、今後ともこういった分野で貴重なご意見、アドバイスをいただけるようにお願いいたします。
どうもありがとうございました。

大渕委員長

どうもありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、産業構造審議会知的財産政策部会第10回意匠制度小委員会を閉会させていただきます。本日もご熱心なご議論をありがとうございました。

閉会

[更新日 2006年3月14日]

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