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第1回意匠審査基準ワーキンググループ 議事録

  1. 日時 平成20年7月29日(月曜日)13時00分~15時00分
  2. 場所 特許庁 特別会議室
  3. 出席委員 水谷座長、琴寄委員、鈴木委員、橋本委員、船曳委員、牧野委員、山本委員
  4. 議題
    • 意匠審査基準の現状と課題
    • 優先権認否における意匠の同一の判断
    • 画像を含む意匠の審査運用案について

開会

川崎意匠課長

それでは、定刻になりましたので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会意匠制度小委員会第1回の意匠審査基準ワーキンググループを開催いたします。

私は本日、事務局を務めさせていただきます審査業務部意匠課長の川崎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

まず早速でございますけれども、お手元の資料配布をまず事務局的な確認をさせていただきたいと存じます。

本日の配布資料でございますが、お手元にまず配布資料一覧がございます。その後に委員名簿、資料1といたしまして、「意匠審査基準ワーキンググループの審議内容の公開について」、資料2といたしまして、「意匠審査基準ワーキンググループの設置について」という1枚紙がございます。資料3といたしましては2枚紙でございますが、「意匠審査基準の現状と課題」、それからクリップどめされております資料4「優先権認否における意匠の同一の判断(案)」、資料5といたしまして「画像を含む意匠の審査運用案について(案)」、以上でございますが、皆様のお手元には過不足ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、早速でございますけれども、この意匠審査基準ワーキンググループ、意匠制度審査基準改正は過去たびたび行ってきたわけですけれども、このような形での審査基準の検討というのは初めてでございますので、まず事務局の方から本ワーキンググループの設置の経緯について簡単にまず御説明申し上げたいと思います。

順不同で申しわけございません。お手元の資料2をちょっとごらんいただきたいと思います。

この意匠制度ワーキンググループが設置される経緯につきましては本年の6月18日、政府の知的財産戦略本部が決定いたしました知的財産推進計画2008において、特許審査の質・予見性をさらに高めるため、各方面の有識者から構成される委員会を設置して審査基準を定期的に点検すべきという旨の御指摘がございました。これは特許についての御指摘でございますが、もちろん意匠についても同様の問題意識を持っておりますので、そこで我々意匠部門におきましても、意匠制度小委員会の下部組織として本委員会でございます「意匠審査基準ワーキンググループ」を設置した、こういう経緯でございます。

その目的といたしましては、審査基準のさらなる的確性、予見性の向上を図ると同時に、審査基準の策定方法の透明化を図る枠組みを整備する、こういう目的で本ワーキンググループを設置した次第でございます。

一応、以上のような経緯でございますけれども、本ワーキンググループの設置につきましては手続上、本年の7月、今月でございますが、意匠制度小委員会、各位に本ワーキンググループの設置につきまして書面にて御審議いただきました。その結果、本ワーキンググループの設置が決定されております。

本ワーキンググループの座長でございますけれども、産業構造審議会の運営規定により、小委員会委員長が指名するものとされております。本ワーキンググループについては大渕哲也意匠制度小委員会委員長から、水谷法律特許事務所弁護士・弁理士でいらっしゃいます水谷直樹委員を御推薦いただいておりまして、水谷委員御本人にも御内諾をいただいておりますので、水谷委員に座長をお願いしたいと思います。

簡単ではございますが、では、水谷座長、一言御挨拶をお願いしたいと思います。

座長挨拶

水谷座長

ただいま御紹介いただきました水谷でございます。私は弁護士・弁理士として日々の業務をこなしているという者でございます。

本日はただいま御紹介がありましたとおり、優先権認否における意匠の同一性の判断の基準案、画像を含む意匠の審査運用案につきまして御審議いただきたいと存じております。忌憚のない御意見を賜れば大変幸いでございます。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

川崎意匠課長

ありがとうございました。

では、この後の議事進行につきましては水谷座長にお願いしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

委員紹介

水谷座長

本日は第1回のワーキンググループでございますので、事務局から委員の皆様方及び特許庁側の出席者の御紹介をお願いいたします。

川崎意匠課長

それでは、事務局の方より、委員の皆様をまず五十音順に御紹介させていただきたいと思います。

まず、社団法人電子情報技術産業協会、デザインの法的保護のためのタスクフォース主査、ソニー株式会社知的財産センター企画管理部担当部長でいらっしゃいます琴寄俊委員でございます。

琴寄委員

(起立一礼)

川崎意匠課長

続きまして、名古屋大学法科大学院教授、鈴木將文委員でございます。

鈴木委員

鈴木でございます。

川崎意匠課長

続きまして、日本弁理士会意匠委員会委員長・橋本・斎藤国際特許事務所弁理士でいらっしゃいます橋本清委員でございます。

橋本委員

橋本でございます。よろしくお願いいたします。

川崎意匠課長

株式会社東京デザインセンター代表取締役社長でいらっしゃいます船曳鴻紅委員でございます。

船曳委員

船曳でございます。よろしくお願いいたします。

川崎意匠課長

ユアサハラ法律特許事務所弁護士・弁理士でいらっしゃいます牧野利秋委員でございます。

牧野委員

牧野でございます。よろしくお願いいたします。

川崎意匠課長

日本知的財産協会意匠委員会委員長・キヤノン株式会社知的財産法務本部契約・渉外センター意匠・著作権課専任主任の山本圭一委員でございます。

山本委員

山本でございます。よろしくお願いいたします。

川崎意匠課長

本日は委員の方、全員御出席いただいておりますが、御都合により、鈴木委員が途中で御退席なさるとのことですので、皆様、御承知おきいただければと思います。

次に、特許庁側のメインテーブルにおります出席者を御紹介申し上げます。

まず、委員の皆様から向かって座長の左隣におります審査業務部長の武濤でございます。

武濤審査業務部長

武濤でございます。

川崎意匠課長

同じく、左手奥の方から御紹介申し上げます。

審査業務部方式審査課方式審査基準室長の小林でございます。

小林審査業務部方式審査課方式審査基準室長

小林でございます。

川崎意匠課長

総務部知的財産研究官の小林でございます。

小林総務部知的財産研究官

小林でございます。よろしくお願いいたします。

川崎意匠課長

審査業務部意匠課意匠制度企画室長の木村でございます。

木村審査業務部意匠課意匠制度企画室長

木村でございます。よろしくお願いいたします。

川崎意匠課長

同じく、意匠課意匠審査企画官の温品でございます。

温品意匠課意匠審査企画官

温品でございます。よろしくお願いいたします。

川崎意匠課長

審判部第34部門長の関口でございます。

関口審判部第34部門長

関口でございます。よろしくお願いいたします

川崎意匠課長

次に、委員の皆様から向かって右手奥から御紹介申し上げます。

審査業務部生活用品審査長の斎藤でございます。

斎藤審査業務部生活用品審査長

斎藤でございます。よろしくお願いいたします。

川崎意匠課長

同じく、審査業務部民生機器審査長の原田でございます。

原田審査業務部民生機器審査長

原田です。よろしくお願いいたします。

川崎意匠課長

同じく、審査業務部産業機器上席審査長の本多でございます。

本多審査業務部産業機器上席審査長

本多です。よろしくお願いいたします。

川崎意匠課長

最後に、私の左隣が意匠審査基準室長、遠藤でございます。

遠藤意匠審査基準室長

遠藤です。よろしくお願いします。

川崎意匠課長

以上でございます。

水谷座長

どうもありがとうございます。

皆様、よろしくお願いいたします。

審査業務部長挨拶

水谷座長

それでは、議事に入る前に、武濤審査業務部長から一言御挨拶をお願いいたします。

武濤審査業務部長

審査業務部長の武濤でございます。特許庁で意匠部門、それから商標、法律とか登録の事務部隊の部門を担当しております意匠の担当の部長として一言御挨拶、お礼を申し上げます。

本日は本当に水谷委員以下、委員の皆様方には割と短い期間でのお願いにもかかわらず、この7月の末のお暑い中、お忙しいときにこのワーキンググループに御参加いただきまして、誠にありがとうございます。

先ほども川崎意匠課長からありましたように、このワーキンググループは特許庁として、何も6月の知財推進計画に書かれたからやるわけではなくて、その前々からやはりこういう特許、意匠、商標の審査の透明性、そういったものをきちっと高めていくということはユーザー、国内外のユーザー、大企業、中小企業、個人、弁理士の方々、たくさんの関係者にとってより重要であろうという認識で、特許につきましては半年以上前からイノベーションに関する研究会を特許庁内で有識者の方にやっていただいておりまして、その中の提言にも入っているアクティビティの1つでございまして、私共もうすでに今年度の特許庁の業務の目標の中に特許、意匠、商標、それぞれこういった形のアクティビティをやっていくということを書いてございまして、商標につきましてはもうすでに先月、商標の小委員会で審査基準について御議論いただき、もうパブコメもスタートしているということでございまして、もちろん審査基準は少しテクニカルなものでございまして、今までもパブリックコメントとかいたしましても本当に限られた団体の方からの御意見をいただくというようなことでございまして、もちろん内容によってはそういう専門家の方にしかコメントをいただけないようなものもございますけれども、そうではあっても、なるべくこういった形でオープンにプロセスを可視化しながら進めていくことが国内のユーザーの方にも、それから今回、英語でもなるべくパブコメをするときに発信しようと考えておりますけれども、私ども、海外のユーザーもいるわけでございますので、そういった方にも見える形でやっていきたいと考えておりまして、そういう位置付けであるということをぜひ御理解いただければと思います。

恐らく今日議論の1つになります画面のデザインの問題につきましては、すでに海外のユーザーの方からも関心を寄せられている点もございますし、恐らく非常に重要な内容を含んでいるものでございますので、ぜひ忌憚のない御意見をいただいて、これからもこのワーキンググループを適宜開催させていただいて、皆様の御意見、それからそれ以外の御意見を取り入れて特許庁の審査プロセスをより良いものにしていくということでございますので、ぜひとも、お忙しいところとは思いますけれども、引き続き今回の議論も含めて御協力いただければと思います。

本日は本当にありがとうございます。

水谷座長

どうもありがとうございました。

それでは、まず議題に先立ちまして、本ワーキンググループの議事の公開について、事務局から御説明いただいた上で、皆様の御同意を得ておきたいと考えております。

では、お願いいたします。

川崎意匠課長

それでは、皆様、お手元の資料1をご覧いただきたいと思います。

ここには「ワーキンググループの審議内容の公開について」ということが書いてございますが、簡単に申し上げますと、産業構造審議会は運営規定がございまして、部会、小委員会、ワーキンググループを含めまして、原則公開となっておりますけれども、本ワーキンググループにおきましては、委員皆様方の率直かつ自由な意見交換を確保したいということから、会議自体の一般の傍聴は受け入れないこととさせていただきたいと存じております。

ただし、本日配布いたしました資料、そして本日会議終了後に作成いたします議事要旨、さらには発言者の皆様方の名前を記載いたしました議事録につきましては、この会議終了後、早急に特許庁のホームページにおいて掲載したいと考えております。

あと事務的な連絡で恐縮でございますが、皆様御発言をされる際には、申し訳ございませんが、お手元のマイクのスイッチをお入れいただき、御発言していただくようお願い申し上げます。

以上でございます。

水谷座長

ただいまの事務局からの説明について、何か御異議はございますでしょうか。

特にございませんようでしたら、議事に入りたいと思います。

議題
意匠審査基準の現状と課題

水谷座長

まず、議題1の「意匠審査基準の現状と課題」について、事務局より説明を行っていただきたいと考えます。

よろしくお願いいたします。

川崎意匠課長

それでは、引き続き、お手元の資料3をご覧いただきたいと存じます。

意匠審査基準の現状と課題につきましては冒頭から申し上げておりますように、意匠審査基準、従来は庁内でもって検討し、そのままパブコメをとって皆様方に公開をさせていただいたということでございますけれども、やはり昨今の特許庁と制度ユーザーさんの間で審査基準に関する共通した理解を持ち合うことがやはり必要だということから、さらに審査基準というのは結果的には審査の安定性、予見性を高める非常に重要なものでございます。したがって、その審査基準自体の予見性、的確性をさらに図っていくことが必要だというのが昨今の現状でございます。したがって、そういった中におきましては意匠審査部内だけで検討するのではなくて、外部の有識者の方々のチェック・アップ体制をやはり導入することによって、より良い審査基準の策定が必要ではないかというふうに我々は考えているところでございます。

以上のような観点から、このたびその審査基準を検討するということで審査基準の本ワーキンググループを設置させていたただいたということでございます。

では、今後の課題でございますけれども、本日、今回の第1回につきましては画像を含む意匠の審査運用、それから優先権の認否における意匠の同一性の判断という2つの課題を取り上げてございますが、決してこれだけで審査基準が完結するものではなく、さらに今後、社会、産業の実態、あとは国際的な動向の変化等に応じた審査基準、場合によっては意匠法自体も、制度自体も見直していかなければいけないことが当然予想されてまいります。そういった場合につきましては、このワーキンググループの皆様方にタイムリーに取り上げて検討していただきたいと考えておりますので、引き続き、来年度、このワーキング以降も皆様に御議論をしていただきたいというふうに考えてございます。

あとこのワーキンググループの後につきましては武濤部長の方からも話がございましたとおり、パブコメをもちろんとるわけでございますが、日本国内のユーザーだけではなくて、諸外国のユーザーにも目を向けて英語版のパブコメをとるということで今後もやっていきたいと考えているところでございます。

簡単ですが、以上でございます。

水谷座長

ありがとうございました。

ただいまの事務局の説明を踏まえて、個別の内容についてのコメントから検討の範囲や項目、論点の過不足まで何でも結構ですので、御意見がございましたら賜りたいと存じます。いかがでしょうか。特に意見はございませんでしょうか。

それでは、次の議題に移らせていただきたいと存じます。

優先権認否における意匠の同一の判断

水谷座長

次に、議題2の「優先権認否における意匠の同一の判断」について、まずは事務局より説明を行っていただきます。

お願いいたします。

遠藤意匠審査基準室長

それでは、お手元の資料4に基づいて、「優先権認否における意匠の同一の判断」について御説明させていただきます。

まずこの案を作成するに至った背景としましては、企業活動がグローバル化しているということもありまして、優先権の活用が増加し続けているということが1点としてございます。

中ほどのグラフを見ていただきますと明らかなように、過去7年間においても倍増の流れである。この3500件という数字は今現在の意匠の全出願件数から見ればほぼその1割に達するというような勢いにございます。また、新興国等からの出願も徐々にではありますけれども、増える傾向にあるというようなことから、今まで以上に難しい判断を迫られるケースが増加していくものではないかというようなことで、審査上の必要性からこの判断についての具体例をまとめたい、それがまず第1点、ございました。

次に、引用例がない場合、審査官は同一性の判断をしないで、優先権の主張はあるもののそのまま主張がなされていますというような形で登録している訳ですけれども、そうなりますと、優先権による実質的な同一性が認められた結果登録されたものか、あるいは引用例がなかったので、同一性は認められないのだけれども、そのまま登録になったのかというような優先権の判断に関する検証ができないというような事情がございまして、これらについて何らかの指針を示してほしいというような要望が強くございました。

以上のところから、これに対処するためにその方向性としては現在ある優先権の章のところに、新たに基本的な考え方を示して、また具体的な事例をなるべく多く取り入れて、それを紹介することにより明確化するという方向で対処していきたいと考えたものです。

添付の資料4の中ほどから後ろに現行の基準の中に追加するという形で、完成版というようなイメージを紹介してございます。案の4ページから従来の「101.3」というところを消しまして、ここに基本的な考え方を入れまして、それ以下に具体的な事例を7つの項目に分けて紹介していくというような形をとっております。

本日は内容が余りにも詳細な具体的事例にわたりますので、この内容についての説明は省略させていただきまして、あくまでここの表の方に用意しました2ページ以降、その要約版で説明させていただきたいと思います。

まず2ページの上のところの「3.」というところに、これは実際の基準としては「101.3」という項を起こしまして、ここを差し替えまして、そこで優先権等の主張の効果の認否における「意匠の同一」の基本的な考え方を明示してございます。ここをちょっと読み上げますと、(1)として「意匠の表現形式にかかわらず優先権証明書の中に我が国への意匠登録出願の意匠と実質的に同一の意匠が示されていればよい。」これは従来、意匠審査便覧15.07でこの基本的考え方を示しておりまして、それをほぼそのまま載せたという形になっております。2点目として、「優先権証明書の中に我が国への意匠登録出願の意匠と実質的に同一の意匠が示されているか否かは、その意匠の属する分野における通常の知識に基づいて、優先権証明書全体の記載内容を総合的に判断することにより行う。」3点目として、優先権証明書に記載された意匠の認定、例えば意匠に係る物品とか、物品の形態とか、あるいは部分意匠の場合ですと位置、大きさ、範囲等になりますが、これは第一国の法令等も考慮して認定を行うというような基本的な考え方を示してございます。

その後、ここでいうと4.ですが、それ以下、この101.3の基本的考え方のもとに7つの項目ごとに分けて、それぞれについて事例を交えながら紹介し、説明を加えるというような形にしております。

まず(1)として「意匠に係る物品の記載が異なる場合」について説明を加えています。これは改定案では「101.3.1」という形で項をつくっておりまして、そこで基本的な考え方としては、願書の意匠に係る物品の名称等として記載が求められるものは各国で大きく異なることから、それらの記載が、各国の法令等の違いによってやむを得ないと認められる範囲においてはその点を考慮して判断をするということで、1)として、まず記載内容が必ずしも具体的でないという場合であっても、その願書の説明とか図面等を見比べて、実質的に想定される用途、機能に応じた物品の区分を記載すれば、これは実質的に同一と考えてよいというような考え方を示しておりまして、これについては原文の記載が「Graphical user interfaces」とされた操作画像に関する出願があったときに、実質的に同一と認められる例というのを追加してございます。

2)番目として、優先権証明書記載の意匠に係る物品の名称等が総括名称であった場合においても、我が国でその中に含まれる一の物品の区分を記載して出願した場合は同一性が認められるとしております。これについても原文が「bottle」とした優先権証明書の記載をもとに我が国で「包装容器」とする出願をした事例を挙げまして、説明を加えてございます。

次の3ページに行きまして、(2)として、これは改定案では「101.3.2」というふうに項を起こしてございますが、1つの出願に含まれる意匠の数が異なる場合について説明をしてございます。

これは基本的考え方としては一出願に含めることのできる意匠の数とか表し方についての手続きは各国様々であるので、一出願に含まれる意匠数が違っていたとしても、直ちに非同一であるとはしないという考え方で、1)として、実際に具体的に同一と認められる例として、優先権証明書に複数の意匠が記載されている場合、そのうちの1つの意匠を我が国への意匠登録出願の意匠とした場合は優先権の主張が認められる。

2)番目として、我が国で認められる組物の範囲の意匠が優先権証明書の中にすべて記載されていた場合に、それを抜き出して、我が国の組物の適当な構成物品からなる組物として出願するという場合も、これらの優先権の主張は認められるとしてございます。

反対に3)と4)のようなケース、実際に優先権証明書にない別途の意匠を組み合わせて組物の意匠として我が国へ出す場合、これは認められない。それから、複数の優先権主張に基づいてそれぞれを組み合わせてこれを1つの意匠として我が国への意匠登録出願した場合、これもまた認められない。この場合の認められない事例として、ボールペンのふたの優先権の証明書の意匠とボールペンの本体に係る優先権証明書の意匠、この2つの優先権証明書の意匠に基づいてそれを組み合わせた完成体としてのボールペンとして出願してきた場合は認められないということを事例3として加えてございます。

次の5ページの(3)、これは改定案では「101.3.3」という項を起こしておりますが、我が国においてはその意匠というのは六面図の開示が必要となっておりますが、他の国においては、必ずしもそのすべてが要求されているわけではございません。そのようなときに、我が国にとっては不完全な状態の開示の優先権証明書に基づいてそれをどのような形で出願するかというのが実際例として多くございました。その場合であっても、制度の違いというようなことを考慮に入れて上で、実質的に我が国に出願された意匠と同一の意匠というものが認められるかどうかによってその判断をすればよいと記載してございます。そのきの具体例としては、1)我が国への意匠登録出願が全体意匠の場合、不明な部分の具体的形態が、物品の特性等によってほぼ定形化されている等の理由により、総合的に判断して導き出すことができる場合、両意匠は、実質的に同一であるということで、その下の絵のような図例、時計用文字盤に係る事例4を挙げて説明を追加してございます。

また、次のページの中ほどに、このような限られた場合を除き、通常は不明な部分が導き出せない場合が多いということから、実質的に同一とはいえないという原則もあわせて明記してございます。

それから、下の方の2)ですが、開示のない図というものを破線で補って、全体意匠ではなくて部分意匠として出願するという場合もございます。このときもまたその形態が表されている部分以外の部分との位置・大きさ・範囲等を総合的に判断して導き出すことができれば、その部分両意匠もまた実質的に同一と認めてよいという記載をしてございまして、これについては折りたたみ式携帯電話の事例を5として挙げて、またその携帯電話の中の操作画像に関しての出願をした事例というのを6として挙げて説明しております。

次に7ページの3)の上に、位置・大きさ・範囲が導き出せない場合は実質的に同一とはいえないという原則も記載してございます。また、位置・大きさ・範囲が導き出せない例として、包装容器の模様に関する出願があったというような場合の事例7を加えて、これについても説明を加えてございます。

それから3)番目と4)番目ですが、出願された意匠から直接的にある特定の形態が導き出せるかどうかということではなくて、あくまでも出願の内容同士が同一かどうかという観点で比較しますので、当初の出願が部分意匠であると考えられるときに、これを全体意匠に係る出願であるとして我が国に出す出願は同一性がない。その反対もまた同様で、全体意匠から部分だけの請求範囲とする出願とすることもまた認められないという考え方で整理してございます。これについては認められない事例を8として、折りたたみ式の携帯電話機のケースを取り上げて説明してございます。

ただ、次のページにあるように、願書の記載を総合して、例えばこの左の図例でいいますと、一番下側の意匠の説明のところに、「この意匠登録出願は電子レンジのドア及び操作部について意匠登録を求めるものである」といったような記載から、その前面部分の形を請求した部分に関する請求であったということがわかれば、それをもとに部分意匠とするという場合、同一性は認められると記載してございます。

次の(4)として、これは改定案では「101.3.4」という項を起こして記載してございますが、原則は優先権証明書に記載されている意匠が我が国の意匠法第7条に照らして1意匠と認められる場合、それはもうそのままの形で出した場合でしか優先権の主張の効果は認められないということになると書いておりまして、優先権証明書において開示されていない組み合わせの出願とか、あるいは出願されているものが完成品であって、そこに使われている部品ごとに切り分けて出願してきた場合というようなものは実質的に同一とはいえないということになりますが、1)として、複数の取り替え可能な部品を組み合わせて完成品とするものであって、優先権証明書には図示されていない組合せについて、我が国への意匠登録出願に係る意匠とした場合は原則として認められませんが、優先権証明書の記載等から総合的に判断した結果、我が国への意匠登録出願に係る意匠の組合せの態様を含めて第一国において意匠登録を受けようとするという場合には、実質的に同一と認められるとして、事例10でボールペンを例にとり説明を加えてございます。

次の9ページの中ほど、2)ですが、ここでは優先権証明書にない別の部品を組み合わせて完成体とすることは同一とは認められないとしてございます。

3)として並列的に記載してございますが、優先権証明書に記載されている意匠が完成品の意匠である場合に、その完成品を構成する1つの部品について、我が国への意匠登録出願に係る意匠とした場合、両意匠は実質的に同一とは認められない。これについては認められない事例9として、自転車の優先権証明書をもとに、そのサドルを出願する場合は優先権の同一性は認められないということの説明を加えてございます。

次の10ページの(5)、これは改定案では「101.3.5」という項目を設けて新たに説明をしておりますが、意匠は形状、模様、色彩等の構成要素が結合した状態となっており、この構成要素が異なれば基本的には別の意匠と判断をしております。ですから意匠の構成要素を変更した場合は、通常は優先権主張の効果を認めることはできない。ただ、その構成要素の違いが、意匠の要旨の認定に影響を及ぼさないものであることが明らかな場合、両意匠は実質的に同一と認められるというふうにして、よくあるケースとして、第一国で図面で出願して、我が国については写真をもとに出願してくれというような場合が多々あるのですが、そういうようなことを含めて、実質的に内容に変更がないと判断できる範囲においては優先権の主張の効果は認められるとして良いだろうということを記載してございます。また、一見すると明らかに要素が異なっていても、願書の記載等によって結局両者同一の構成要素に係る出願であったというようなことが認められる場合、これもまた同一と認められるということで、ここには模式図としてあらわしてございますけれども、鉛筆の第一国出願で黄色い色が仮に付されていたときに、この左下のような意匠の説明によって、その色彩については意匠登録を受けないというような記載があれば、我が国において形状だけの出願とするという場合であっても同一性は認められるということでございます。

次に(6)として「101.3.6」という項を設けて記載しておりますが、意匠というのは国によって異なる図法によって表現するというようなことがございます。またその表現の手段といいますか、表現の方法といいますか、図面であらわしたり、見本であらわしたり、ひな形であらわしたり、あるいは写真であらわすというようないろいろな対応がありますが、その図法による違いとか、あるいはその表現手段が単に異なっているというだけでは、特に問題にせず、結果、そこにあらわされた意匠の形状、模様、色彩が実質的に異ならないというものであれば、その表現方法の違いについては問題にならないというようなことを説明してございまして、実際の事例では、異なる図法の事例として12を挙げて説明を加えており、また異なる表現方法については事例13を挙げて、そこで具体的なケースについて説明を加えております。

最後に(7)として、改定案では「101.3.7」という項を起こしてございますが、出願法域が異なる場合についてどう扱うかという点についても追加的に補足しました。これは現行のパリ条約においては実用新案に基づく優先権についてはこれを認めるという規定がございますが、特許出願、あるいは商標出願に基づく優先権の主張をして意匠登録出願ができるかどうかについては特に記載がございません。ですが、この点に関しては、我が国においてこれら法域間の出願変更は可能であるか否かに基づいて判断し、外国出願が特許出願であった場合は優先権主張の効果は認められるということを明記しました。また商標に関しては出願変更が認められていませんので、たとえ立体商標であったとしても、それをもとに意匠出願をした場合、優先権の主張は認められないと記載してございます。

以上、簡単ですが、優先権の同一性に関する判断(案)の説明を終わりたいと思います。

水谷座長

どうもありがとうございました。

それでは、議論に移りたいと思います。ただいまの事務局からの説明を踏まえて、個別の内容についてのコメント、あるいは検討範囲、項目、論点の過不足まで、どんな点でも結構ですので、自由に御意見を賜りたいと思います。どなたか御意見はございますか。

では、山本委員、お願いいたします。

山本委員

内容を見せていただく限り、非常に明確化されているという印象を持っております。これは外国企業のためのものだけではなく、日本企業が第一国で海外に出願して日本に第二国で出すとか、海外で開発された意匠を日本に出願する等にも十分活用できると考えておりますので、本件の趣旨及び内容に関しては、妥当と考えております。

ただ1点、問題の所在なのですが、これは現状の課題に対しての対応策という位置づけだと思いますが、日本の審査基準やガイドラインというものが、現状、英語化されていない。したがいまして、海外ユーザーに発信するような体制が整っていないのではないかという疑念を持っております。この問題というのは、海外ユーザーが日本の制度や仕組みを正確に理解していないことから生じている、これが問題の本当の所在ではないかということを考えておりますので、今後、これの施策とあわせて海外への審査基準、ガイドライン等の積極的な周知を図るべく対応を行っていく必要があるのではないだろうかと考えております。

以上でございます。

水谷座長

ありがとうございます。

先程の御説明中でパブリックコメントを求める際には英語バージョンをつくるということでしたが、只今の山本委員の御意見は、パブリックコメントだけではなくて、審査基準についても正式な翻訳であるのか否かは別として、外国のユーザーの日本の意匠制度に対する、アクセスを容易にするような、そういう施策はとれないのかと、こういう御意見だったと思うのですけれども、何か事務局の方で御意見はございますか。

遠藤意匠審査基準室長

今の山本委員の御意見はまことにもっともかなというふうに伺いました。これに関しては審査基準の英訳等の努力を重ねております。ただ、日本語特有の表現がある等、非常に英訳が難しいというようなことがございまして、努力をしているにもかかわらずなかなか成果物が出せないというような状況にはありますが、引き続き公開への努力を重ねていきたいと存じます。また、この英語版を、これについては要約という形にならざるを得ないのですが、パブコメをとるというような活動により、海外への周知を図る努力をしていきたい。

また、これは単に英語版というような形でつくるだけではなくて、途上国研修のような、我が国の意匠課の審査官が派遣される機会がございますので、そのような機会を用いて浸透を図っていきたいと考えております。

水谷座長

ほかに何か御意見はございますでしょうか。

橋本委員は日ごろ出願代理人として仕事をなさっていると思いますけれども、そういう立場から何か御意見はございますか。

橋本委員

私もこれを十分検討させていただきまして、すでに意匠課さんの方とはいろいろ打ち合わせしたのですけれども、今日ちょっと見てみまして、ちょっと1点だけ確認をさせていただきたいところが今出ましたので、ちょっと確認させていただきたいと思います。

第9ページの上の方の図面なのですが、先ほどの御説明で腕時計と腕時計用ベルト、ベルトの図が2つある場合に、意匠の説明で取り替えて使用することができるという記載があれば、そのベルトの部分を取り替えた出願を出すことができるという事例でございますけれども、これと第3ページの第一国出願が容器、それで我が国出願が飲料用容器の場合、例えば第一国出願が容器ですと、飲料用容器以外にも考えられると思うのですけれども、その場合にこの時点で初めの第一国で複数の出願が含まれているとして、ここで分割することはできるのかということだけちょっと御確認、それと、もう我が国に出願した時点でその1つに確定してしまうのかということをちょっと御確認させていただきたいと思います。

遠藤意匠審査基準室長

基本的に第一国において複数の意匠が含まれる、つまり我が国のいうところの意匠に係る物品の区分が複数存在しているというものですから、第一国から同時に区分に相当する出願を個々に出願するということはできると考えられますが、我が国に出願した後に関しては我が国の法制の考え方に沿って判断をしていくことになりますので、我が国において飲料用容器といった出願で一応完結的に1つの物品の区分が想定できるといいますか、そういうものとしての出願がなされていた場合は、そこから別のものを出願するということは要旨変更になるといいますか、分割もできないということになると考えます。という質問の答えでよろしいのでしょうか。

水谷座長

もう一つ、時計のベルトの例もあったと思われますが。

遠藤意匠審査基準室長

時計のベルトの場合も一たん我が国においてその1つの意匠として出願された場合は、そこにそれ以外の意匠というものはなくて、完成品の意匠だけですので、我が国の腕時計の出願からまた新たな組み合わせの意匠を出願することはできない。ただ、第一国においてこのような形で記載されているのであれば、少なくとも縦縞の腕時計の出願はできるでしょうし、場合によっては腕時計のところに使われている横縞の腕時計用ベルトも同様の構成を持ったという範囲のものであれば適宜取り替えるということからすれば、そういうベルトという単位も想定できると判断する余地はあるのではないかと考えます。

橋本委員

そうしますと、今のお話からすると、我が国に出願するときに同時に2件とか出すことが可能でしょうか。

遠藤意匠審査基準室長

優先権証明書にそれらの意匠の組み合わせが含まれていると判断されるときのことですので、そういう幾つかの単位というか、幾つかの組み合わせの意匠ごとに出願するということはもちろんできると考えております。

水谷座長

これ以外に何か御意見、あるいは御質問等ございますでしょうか。

牧野委員

ちょっとよろしいでしょうか。

水谷座長

どうぞ、牧野委員、お願いします。

牧野委員

ここで「実質的に同一」という言葉が何回か使われていますけれども、これは3条とか3条の2とか、あるいは9条などの場合の「同一」についても、「実質的に同一」という幅を持たせてこれからは解釈するということでよろしいのですか。今まで「同一」というと点的同一で、少しでも違うと類似で考えるといった解釈がされていたと思うのですけれども、その辺は特許庁として条文解釈の整合性を考慮されたのでしょうか。

遠藤意匠審査基準室長

ここでいう「同一」については、この優先権に関していうと、やはり実際にあらわされている形態、要素が必ずしも常にピンポイントで一致しているというような場合ではないことを想定してのこの記述でございますので、最終的にそういう細かい違いはあるものの、意匠の内容としては同一なのであるという意味合いから、実質的同一という表現をしているのだと御理解をいただきたいと思います。

牧野委員

細かい違いはあるけれども「実質的に同一」とみられる意匠は「同一」であると判断されること自体は、私も賛成なのですけれども、他の条文の解釈でも「同一」といえば「実質的に同一」まで含むのだという解釈になるのかということでございます。

遠藤意匠審査基準室長

実をいうと、その点については余り明確な整理のもとに使っていたわけではございませんけれども、実質的に同一ではないから類似だ、あるいは実質的に同一だから類似とはいえないというような類似の説明のときにそういう言葉を使って整理するということは現時点ではしておりません。

牧野委員

各条文において、「同一」という用語は実質的に同一のものも含む意味で用い、それ以外が類似の範囲なのだという解釈の方が理論的には一貫すると思います。結構でございます。

水谷座長

ただいまの点につき、アカデミズムの立場から、鈴木委員、何か御意見はございますか。

鈴木委員

非常に本質的な問題だと思うのですけれども、今ちょっとすぐにわからないのですが、要は、今回の基準が意匠法のいずれかの条文の「同一の意匠」、あるいは単に「意匠」という文言の解釈をすることになるのかということがポイントであろうかと思います。もしそうであるならば、意匠法のほかの条文における同一、例えば先願の規定における「同一の意匠」という言葉の解釈も同じような解釈をしないとおかしいという話になるかと思うのですけれども。

遠藤意匠審査基準室長

今回は外国で出願されたものに対して優先権の主張の効果を認めるかどうかという限りにおいての実質的同一という言葉を使っているということで、ご理解願いたいと思います。

水谷座長

ほかに何か意見はございますでしょうか。

それでは、残り時間の関係もございますので、議題の2につきましてはこのあたりとさせていただきまして、次の議題に移らせていただきます。

画像を含む意匠の審査運用案について

水谷座長

次に議題3の「画像を含む意匠の審査運用案」につきまして、事務局より説明を行っていただきます。

よろしくお願いいたします。

遠藤意匠審査基準室長

それでは、資料5をもとにしまして、「画像を含む意匠の審査運用案」について、御説明させていただきます。

まず本運用案の作成に着手した背景といいますか、その理由なのですが、(2)に記載してございます。

平成18年改正意匠法の施行によって、物品の機能を発揮するための操作に使用される画像が新たに保護されることになりました。この保護については、産業構造審議会の知的財産政策部会の報告書「意匠制度の在り方について」、運用の明確化が指摘されているというようなことから、平成19年4月に、意匠審査基準第7部第4章「意匠法第2条第2項に規定する画像を含む意匠」として公開を行ってきたものです。

ところが、これをもとにいざ実際に審査を始めようというような場合、あるいは外部からの問い合わせ等色々ある中で、この現行の基準の記載では語句の解釈をどのようにしたらいいのか、あるいはどこまでが一意匠と認められるのかというような点で明確ではない点が幾つか指摘されました。この内容をより明確にすることを望む意見が強く出されていたというのが現状でございます。

今回、この基準の策定をするにあたって、その基本的な方向性というのは、まずその2に記載してございますが、あくまでも画像を含む意匠については、現行の第2条第1項に定める物品の部分としての保護の枠内で画像を保護するのだという基本事項を確認しまして、その画像自体が単独で保護の対象になるわけではなく、従来と同様、物品の部分の中の一部分形態として保護されるのだという点をまず基本線として踏まえました。

その次の点として、その下の「また」という段落、2段落目に書いてございますが、平成19年4月の審査基準公開以後、寄せられた意見として、公開された内容をより明確にすべきだという意見はありますが、公開された基準の内容そのものが法令の規定と反しているというような指摘は寄せられてございません。したがって、これらの点を踏まえまして、今回検討する審査基準を改定するに当たっては、現在の審査基準の内容を拡充し、そこに補足的な記載等を追加することによって、運用の指針をより明確なものとしていきたいと考えて改定案をここに提案させていただいております。

論点としまして、この基準公開後に寄せられた意見の中で、やはり特に希望が多かった点としましては、第2条第2項に新たに規定された語句の解釈、それから一意匠一出願の考え方について、この2点が多く要望が出されました。ということから、この点を主に重点的に改定、あるいは拡充、補足案を検討したものでございます。

まず論点1としまして、意匠法第2条第2項に新たに規定された語句の解釈。

まず「第2条第2項にいう物品の「その機能」とは」と題しまして、ここの現在の基準の規定で「「その機能」とは」という点については、意匠審査基準74.1(3)において、『「その機能」とは、当該物品から一般的に想定できる機能を意味する。』と記載されてございます。しかし、この基準の規定では事例が提示されていないというようなことから、「一般的に想定できる機能」について理解がしがたいという意見がございました。特に、複数の機能を有する物品について、その複合した一つの機能がそれぞれ「一般的に想定できる機能」であるといえるのかといったような点の判断が困難という指摘がございました。また、複数の機能を複合した物品において新規機能が新たに開発されたとき、一般的機能といえないがために、拒絶になってしまうのではないかというような指摘もございました。

これについては【対応の方向】として、現行の基準74.1に対して、その(3)にアンダーラインで示したような語句を追加するということを検討してございます。

説明します。まず、「当該物品から一般的に想定できる機能」の理解を助けるために、例えば、『「電話機」であれば、通信回線を通じ、指定された接続先と音声通話を実現することが、「その機能」である。』といった記載を加えることが適切ではないか。また、複数の機能を物品自体が備え持つ複合物品については、それぞれの機能が「その機能」であるといえ、例えば『「カメラ付き携帯電話機」であれば、通話機能、画像撮影機能、撮影画像表示機能及びメール送受信機能等が「その機能」といえる』と付け加えるのが適切ではないか。

さらに、当該物品から一般的に想定できない機能が付加された意匠については、願書の記載等でその付加されている機能について明らかにするということを示し、それによって意匠登録を受けようとする意匠が一般的に想定できない物品の機能を有している場合においても、願書の記載等でどのような機能を有しているかを示すことで、その機能を発揮するための画像についても保護を受けることができる旨の記載を加えてはどうかというものでございます。

第2点目として、「機能を発揮できる状態」とは、についての検討でございますが、現行の審査基準においては、意匠審査基準74.1(3)(注)、注書きの部分において、『「発揮できる状態」とは、当該物品の機能を働かせることが可能となっている状態であり、実際に当該物品がその機能にしたがって働いている状態を保護対象に含まないことを意味する。』とし、括弧書きで幾つか事例を加えて記載がなされています。また、74.4.1.1.1(2)においても同種の記載がなされてございます。

ですが、この記載ですと、その機能が働くと同時に目的が達成されるものについては機能を発揮できる状態か否かの判断が可能ではあるものの、例えば給湯器の湯張り機能のように、物品の機能は働いているが、目的を達していない状態、ほかに例えば券売機のように複数の段階を経て目的を達成する機能の途中の状態については、機能を発揮できる状態か否かについての判断が難しいというような指摘がございました。また、複数の機能を有する物品についての機能を発揮した状態について、これについても明確化を求める意見が多くございました。

対応の方向としては、74.1の(注)の部分に、「機能を発揮できる状態」とは、以下、アンダーラインの部分を追加してはどうかという提案です。

さらに、74.4.1.1.1においても同種の内容の記載がございますので、ここについても全く同じ記載をするというような対応を考えてございます。

説明します。6ページの方をごらんになってください。まず、第2条第2項にいう「機能を発揮できる状態」の解釈を、『当該物品の機能を働かせることが可能となっている状態であって、その物品の使用の目的を達成していない状態』と、より明確にしてはどうか。その上で、『すなわち、「機能を発揮できる状態」には、当該操作画像が担う物品の機能が働いていない状態だけでなく、物品の機能が働き始めてから、その目的が達成される直前までの状態を含む。例えば、切符販売機であれば切符が発券されるまで、光ディスク記録再生機の「映像再生機能」であればコンテンツの視聴が可能となるまで、及び給湯器の「自動湯張り機能」であれば湯張りが完了するまで等の状態が、それぞれ「機能を発揮できる状態」と認められ得る』と、説明を加えるのが適当ではないか。

また複合物品について、『そのうちの一の機能について機能を発揮した状態で用いられる操作画像であっても、それが新たな別の機能を発揮させるための操作のための図形等を含む画像である場合は、当該物品の機能を発揮できる状態にするための画像と認められ得る。』と加えてはどうかというものです。

この点について若干補足説明しますと、改定案では「機能を発揮できる状態」には機能が働き始めてからその目的を達成していない状態までが含まれると書いてございます。これについて、実質的には機能を発揮できる状態であると同時に、実際にその機能を発揮した状態も一部含むものであるというようなことをいっているに等しいというような読み方も可能だとは思います。ですが、それを直ちに機能を発揮できる状態はもちろんのこと、発揮した状態も含むとしてしまいますと、条文でわざわざ「発揮できる状態に限る」と言い切っているところとの整合性が全くとれなくなってしまうということ、また、このような条文になった理由として、電子計算機等の情報処理機能以降の画像を保護しないということ、それからゲーム機においてはゲームの内容に関わる操作の画像は保護しないとしたことを考慮すると適当ではありません。そこで「機能を発揮できる状態」として、あえて機能発揮中であっても、まだその目的を達成していない状態であれば「機能を発揮できる状態」に含めるというような記載にしたということでございます。

また、このようにすれば電子計算機にとってみれば物品の機能としては情報処理機能を発揮した状態がその物品の目的を達成した状態となりますので、自動的に、それ以降、どのようなソフトを使って文書を作成するか等はあくまでユーザーサイドの自由な使用態様の1つに過ぎない。情報処理機能を有する電子計算機の機能としては文書作成の状態がその作業に入る状態になった瞬間が目的を達成した状態と言い得る。また、ゲーム機等においてはやはりゲームの内容を、ゲームを遊べるような状態までするというのがゲーム機自体の目的、機能であって、その後、どのようなステージまで遊ぶかというのはあくまでユーザーサイドの問題である。なおかつ、そのコンテンツ側の問題であって、ゲーム機としての機能は発揮すると同時に、その遊べる状態にするという目的も達成されたという説明が可能となります。要は、基本姿勢としては物品としての機能を発揮できる余地がある操作画像に関してはなるべく広く間口を広げたいという意図のもとに、このような解釈というものを提案している次第でございます。

ただ、そういうふうな意図を持って説明を加えてはおりますが、自動湯張り機能についていえば、わかりにくいというような指摘がございましたので、場合によってはこの事例を差し替えるか、あるいはこれをすべてカットするかというようなことも現時点では考えてございます。したがいまして、本日においてはこの辺の変更を含めて、それを前提に検討をお願いしたいと思います。

また、現行の基準案は同趣旨の記載が何箇所かに分かれて記載されているということがございます。現時点での整理としてはそれぞれ同様の記載があったところには同様の変更を加えるという形としておりますが、ただ同じ内容が何箇所も出てくるというのは読みづらいというような印象もありますので、この点についてはどちらか片方を場合によっては参照という形に変更するとことも考えておりまして、この点についての体裁の変更というものも一応あり得るという前提で、検討をお願いしたいと思っております。

次に6ページの3)、操作についての説明に入りますが、現在の基準においては、審査基準の74.1(2)及び74.1.1.1(1)において、『「操作」とは、物品がその機能にしたがって働く状態にするための指示を与えることをいう。』と規定されてございます。ただ、これですと、例えば操作用の図形等が含まれず、物品の作動状態の情報のみが示されている画像、具体的にいえば自動車の運転でバックをする際に、その後ろ側の停車位置を確認するためのモニターに映される画像といったようなものですね。そういうようなものも結局のこと、操作に用いる画像だといえばいえないこともないということもありまして、そういう点について、これを操作のための画像といえるかという点が明確ではないというような指摘がございました。

それから、願書等の記載において、その「操作」の内容をどの程度まで記載すれば良いのかというような点も疑問点として挙がっておりました。というようなことから、対応の方向としては、74.1というところに「(2)操作の用に供される画像」ということで、従来の基準の文言の後、アンダーラインで示した記載をつけ加えてはどうかというものです。また、74.4.1.1.1の(1)にも同様の記載部分がございますので、これも同様な記載を加えてはどうかというものです。

説明します。まず、『操作のための図形が1つもなく、単に当該物品の作動状態を表示しているのみの画像は操作画像とは認められない。』と加えてはどうか。

また、画像を含む意匠において、当該画像が画像全体として「操作」の用に供するものであるかについての判断は、『願書の記載及び願書に添付された図面の記載から総合的に判断し、当該画像全体が、全体として、当該物品のどのような機能を発揮させるためのものか明確でない場合、又は、当該画像により行うことができる操作の内容が認定できない場合は、第2条第2項にいう「操作」の用に供するものとは認められない。』と明記してはどうか。

また、ここでいう「操作」については、『画像全体について特定されれば足りるものであり、画像に含まれる個別の操作用図形等がそれぞれどのような機能を発揮するためのものか、という点まで必ずしも詳細に特定されていることを要さない。』と補足説明を加えてはどうか。過度に記載負担が要求されることがないようにと考えての記載でございます。

以上、論点1の語句の説明についてはこの3点でございます。

次の論点として「画像を含む意匠における一意匠一出願の考え方」。

現在の意匠審査基準においては、意匠審査基準74.7において、『画像を含む意匠の意匠登録出願についても、意匠法第7条に規定する要件を満たさなければならない。』と説明し、そのほかの判断基準全般についてはどこそこを参照されたいというような記載で終わってございます。ですが、問題として、画像というのは少しずつ異なる画像を連続的に切り替えるということで、一見すると動いているように見えるというアニメーション効果を意図した画像というものもございます。そのような連続的な変化の様子が示された場合に、それをどのように扱うべきかについて明確化を望む意見が強くございました。

また、画像の形態における特性として、新たな図形等を追加するということが簡単にできる。また反対に、それを取り除くというようなことも簡単にできる。いってみれば、ある枠の中でその画像のいろいろな図形要素を変更するということがソフト1つで簡単に変更できる。図形等の増減について、あるいは変化の様相について、あるいは図面の図形の遷移というような変化のパターンが常に簡単につくり出せるというようなことからすると、1つの出願としてどこまでまとめて出せるのか、あるいはなるべく1つの出願で出したいというような疑問や要望に対して、どこまでを一意匠として認めるかが明確でないということがございました。

対応の方向としては、まず、現行の74.7.1.2というところの(3)に形態的な関連性が認められる場合と認められない場合について、単純な図例が2個載っているだけでしたので、これについて削除しまして、新たに74.7.1.3として、画像を含む意匠について、画像が変化する場合、つまりここで画像全般、アニメーション効果を含むようなことを意図した、少しずつ切り替わった図面が提出されていた場合全般について、説明を記載しました。

74.7.1.4において、複数の画像があった場合で一意匠として認められるというのはどういうときであるということを次に加えまして、さらに74.7.1.5で認められないものをその下位に項を分けて説明を記載してございます。認められるものの中には形態的な関連性が認められる結果、一意匠だという場合もございますし、新たな操作図形が加わった結果、複数の異なる画像とされ一意匠として認められないという場合もございます。そういった点もその下に説明してございます。

11ページの下から説明いたします。まず、原則として『画像を含む意匠について、1つの出願には1つの画像を表すのが原則である。』ここに「しか」と書いてありますが、これは誤記でございます。訂正をお願いしたいと思います。『1つの出願には1つの画像を表すのが原則である。』と明記してはどうか。この場合、少しずつ異なる画像を連続的に切り替えることで、動いているように見えるアニメーション効果を示した場合、同じ又は異なる操作のための複数の画像を含む意匠だと認定し、それらの複数の画像の中で、操作の内容が一致し、形態的な関連性があるといえる範囲においては一つの意匠とすることができ、形態的な関連性がない範囲においては、出願人は分割等により、複数の意匠権を得ることができる。これは74.7.1.3に記載してございます。

また、画像については、新たな図形等を追加することが可能であり、表示されていた図形等を削除することも可能である。比較的簡単に可能であるいう意味なのですが、この操作用の図形等が異なる複数の図形の画像の間では、それぞれの画像全体で行うことのできる操作の内容が異なる。したがって、操作用の図形等が増減する複数の画像を含む意匠については、それぞれの画像が担う操作の役割が違うことから、複数の異なる操作用の画像を含むとして、出願人は分割等により、複数の意匠権を得ることができる旨の記載を補充してはどうか。これについては74.7.1.5に一意匠として認められないものというところに記載してございます。

次に、それぞれの画像については、表示画面の表示範囲の制約の下、適切に操作用等の図形等を配することで創作がなされているということに鑑みて、図形等の要素が異なる場合、この場合の図形等の要素というのは必ずしも操作用図形に限りません。要するに、形態要素と考えてもらって結構ですが、それが異なっていた場合は、それぞれが類似するか否かという問題はさておきまして、少なくともそれぞれの画像はそれぞれの異なる創作の単位と考えます。このため、図形等が増減する複数の画像については、複数の意匠と認められるとする。これを74.7.1.5に記載してございます。

また、一意匠として認められない画像については、必要図に示された画像の理解を助けるための図と認められる範囲において、その変化の過程を示した図を参考図として追加することはできるということも記載してございます。

さらに、これらとは反対に一つの意匠として認められる例として、74.7.1.4に一意匠として認められるものは図形要素が異ならず、かつ操作の内容も変わらない範囲のものであれば一意匠として認められると記載してございます。

さらにこれらの考え方を明確にするために、複数の画像が一意匠として認められるもの及び複数の画像が一意匠として認められないものについて、現在ある事例を拡充してはどうかということで、以下に【事例集案】として提示しております、まず複数の画像が一意匠として認められるものとして例を4つほど追加してはどうかと考えてございます。

それについては、一意匠として認められる理由というようなものを画像中の右側に四角の枠で囲って説明してございます。また、複数の画像が一意匠として認められないものとして、認められない例を4つ追加してはどうかという提案でございます。

17ページに行きまして、(3)その他の拡充案、これ以外の部分に関しては現在の基準では従来の物品と同様に取扱うということで、大部分、その範囲の記載で終わっているものについて、特に画像特有の、画像を含む意匠において特に生じやすいと考える以下の点については追加的に記載を加えるべきではないかという提案でございます。

まず1)として意匠に含まれる画像中に物品から独立したコンテンツが表示されている場合、対応の方向としましては、74.4.1.1.2という現行基準の2)のところにアンダーライン以下を追加してはどうかというものです。

そしてその次のページにありますように、実際に出願するに当たってはどうしたらいいかという参考となるような事例を追加してはどうかということです。

説明します。画像を含む意匠において、単に映画等のコンテンツのみが受動的に示される場合だけでなく、例えば、録画再生機において、現在の放送を視聴しながら録画の予約をするための操作画像のように、操作のために用いる画像の一部に映画の一場面等の物品から別の独立したコンテンツが表示されるというケースが多くあると考えられます。このような画像については、操作のためのものとなり得ることはなり得るのですが、当該コンテンツについては意匠に係る物品から独立したものであるから、『当該コンテンツ部分については意匠を構成しないものとして取扱うもの』とするとしてはどうか。

ただ、この種意匠を構成しないものについては、一般に方式指令の対象ですが、画像を含む意匠において、その一部がコンテンツであるか否かという点の判断は、願書の記載とか願書に添付された図面全体から総合的に判断する必要があるということで、手続き上の単なる不備を正す方式指令にはなじまないと考えて、『物品から独立したコンテンツを含む意匠については、画像全体が操作画像として認められる意匠であっても、第3条本文の拒絶理由を通知する。』としております。

また、この際にどう対応したらよいかの点について、このコンテンツを削除して、説明のための参考図等でコンテンツ表示部であることを示す補正は意匠の要旨を変更しないものとすると記載しております。

なお、これについて若干補足しますと、このようなコンテンツだと判断された部分に関しては、意匠を構成しないものであるけれども、あえて削除を要しないという、そういう取扱いもあろうかと思います。ただ、その場合、一応見た目上は模様というか、図形要素がそこに加わってあらわされるということになりますので、権利の内容が出願人の意図とは異なるものと解釈されてしまうというような恐れがあるのではないか。また画像表示部というような性格上、他人の著作権に係る画像等が不用意に写り込んでしまうというような恐れもあるというようなことからして、これらを予防的に防ぐ措置を講じる必要があるのではないか、そういう配慮からこのような取扱いをした方がいいのではないかと考えております。

2)として、意匠に含まれる画像中に他人の商標や他人の販売する製品が含まれる場合、これについても、74.6に現行の基準では他の事例を参照というような趣旨の記載に終わっていましたが、画像表示部があるという事情から考えまして、やはり先のケースと同様、他人の商標とか商品が不用意に写し出された形で登録になってしまうというような危険性が高いのではないか。したがって、これについても確認的に書いておいた方がいいのではないかという考え方のもとに追加してございます。

最後に「ゲーム機の取扱いについて」ということですが、ゲーム機の取扱いについては、74.1の3)のところに新たに追加してはどうか。また、74.4.1.1.2というところに「ゲーム機の取扱い」という記載がございますが、これをアンダーラインのような形に修正してはどうかというものです。

説明します。ゲーム機について、ゲームの画像については従来からゲーム機能を発揮した状態の画像であるため、保護対象とはならない。一方、ゲーム機本体の設定用の画像は保護されることが明記されておりました。ただ、やはりその記載が対比するような状態で書かれていませんでしたので、今一わかりにくいというようなこともございましたので、これは本来の趣旨に添ってもう少しわかりやすい記載を心がけたという程度の修正でございます。

以上、画像を含む意匠の審査運用案に関する説明を終わります。

水谷座長

ありがとうございました。

それでは、議論に移りたいと思います。

ただいまの事務局からの説明を踏まえ、そして、ただいまの説明は多岐の点に及んでおりましたけれども、説明内容についてのコメントから項目、論点の過不足等々まで、いずれの点でも結構ですので、自由に御意見を頂戴したいと思います。どうぞお願いいたします。

琴寄委員、お願いします。

琴寄委員

私ども、JEITAですけれども、この画像デザインにつきまして非常に関心を持っておりますユーザーの1つであると思っております。19年の4月に導入後、実務的にどのように出願・権利化していくかということでいろいろ悩んでおりました。このたび、基準が明確になるということは大変好ましい状況で、ありがたいと思っております。また、早期に基準を明確化しなければならないという要請というものももちろん理解はいたしております。

その中で御説明いただいた資料全般にわたるそもそもの話として確認させていただきたいことがございまして、御説明いただいた内容というのは大きく分けて2条2項関連と7条関連ということになるかと思うのですけれども、2条2項関連ということでいわゆる機能を発揮できる状態ということについての、そもそもの立法趣旨を踏まえた基準というものがどのようなものであるのかというところが業界としても悩んでおりまして、先ほど審査基準室長からも御説明があったかと思うのですけれども、保護対象というのをPCに使用するアプリケーションソフトウェアですとか、インターネットを通じて表示される画像については今回の保護対象にならないという部分が審議過程でありまして、それに基づいて機能を発揮できる状態という条文が出てきたのではないかというふうに理解しております。

そういう意味で、今回の基準そのものの改定自体は一定の見識のもとに作成されておりますので非常に理解はできるのですが、機能を発揮できる状態という文言をもって、ある意味、限定した形で審査基準ができているようにも感じておりまして、そのあたり、立法趣旨からして、その範囲である意味限定した形で基準を制定するということにつきまして、どのようなお考えのもとにそういう形で制定したのかというのをお伺いしたかったというのが第1点でございます。

2点目として、7条関係で一意匠一出願ということで、もともと今回の画像を含む意匠を法改正で入れるということになりまして、そこでこれまでの実際の物品の動的意匠等々と平仄を合わせるということを考えますと、確かに変化する画像というのは1つの意匠とは言いづらいというところは私どもよく理解しております。ただ、そもそも画像意匠というのは1つの状態であるという部分という特性というよりは、ある一定の法則なりをもって変化していくという部分が当然の如くあるというふうに理解しておりまして、そのあたりをどう保護していくのかというところが1つの保護の論点かなというふうに思っております。

先ほど来申し上げておりますが、今回の基準というのもある程度限定的ではありますけれども、ある一定の見識を持って作成されておりますので、そのこと自体については理解はいたしておるのですけれども、正直な話、もう少し保護について柔軟性があるような内容であっても良いのかなというふうには感じております。この場で議論するのが適切なお話ではないかもしれません。さらに、法改正が必要である、あるいは、今回、こういう形で新たな審査基準ということで導入はしていただくという形になるかと思いますけれども、その後、改定ですとかいろいろな形で考えていかないといけない検討課題かなとも、ほかの委員の方々がどうお考えになっているのかというのは存じ上げませんけれども、そのような形で私ども業界としてはある程度考えておりまして、そのあたりを引き続き検討課題というような形で御検討いただきたいというふうには思っております。

遠藤意匠審査基準室長

それでは、先ほどの第1点目、立法趣旨についてどのようなものかというような御質問であったかと思うのですけれども、基準室としてはまず2条2項の語句に一定の解釈を与えて、それによって審査官等にばらつきがなく、また出願する側にとっても一定の理解のもとに出願戦略が立てられるということがまず一番大切なことではないかというふうに考えました。裁量の範囲というのが余りにも多いということは権利の安定性とその予測可能性等についても支障が生じるのではないか。そういう視点が1つございまして、それ以外に、一定の制限は加えながらもなるべく間口を広げなくてはいけない、そういうときにこの条文のこの記載というものに関しては、パソコンに関するソフト的な内容、コンテンツ的な内容によって、意匠であるハードが束縛されることがないようにという業界からの強い要請があったがゆえにそのような形になったと聞いておりましたので、その解釈については、ゲーム機のコンテンツとか、パソコンの情報処理機能に係るソフトのようなものは現行の基準の制限を維持しつつ、その範囲でなるべく間口を広げたいと、先ほど申し上げたような趣旨での改定案を提示したものでございます。

次に、画像にとって動くのは必然であろう。したがって、その点のことを一定程度考慮した上で考えるべきではないか、またそれが現時点でちょっと無理があるというならば、今後さらに検討をしていくことが必要であるというような御意見だろうと理解しましたが、画像については、やはり意匠法上、提示される形としては、結局紙面といいますか、平面に表した二次元的な図形というような形でしか提示できないというような現状も考えますと、それらをつなぐ時間軸といいますか、新たな尺度を用いないと、それをつないで動的という形で特定させるということは非常に困難であるというふうに考えておりまして、これらをつなぐ幾つかの要素が他にあり得るのではないかという点も考えてはみたのですが、今のところ有効な、しかも明確に規定できるような中心軸というものを発見することができない状態で、現行ではこういう整理にするのが一番明確な、しかも不公平さを出さないとりあえずは最善の方法だと判断した結果でございます。

川崎意匠課長

続いて、若干補足でございますけれども、琴寄委員の方からも、今後の法改正の球である、あるいは今後の審査基準の改定により、まさに動き方、アニメーションの保護の方向性をぜひ検討していただきたいという御意見というふうに受け取りました。

ただ、いずれにしても、その点につきましてはまだ議論が十分煮詰まっておりません。したがいまして、このワーキンググループでの今後の課題になる可能性もございますし、また単なる保護の問題だけではなくて、今、基準室長も言いましたけれども、出願の開示の方法の技術的なブレークスルーもしなければいかん。それから、さらにはそれが登録になった際の登録意匠及びそれに類似する意匠の範囲をアニメーションの場合にどういうふうに考えていくのか、侵害というのは一体どういうものを侵害というのかという法的な面での解釈等、いろいろなまだ超えなければならないハードルが多々あるかと考えております。したがって、まさに次の課題としてはそこをこの当委員会等を通じて研究していきたいというふうに考えております。

水谷座長

これ以外にどなたか、どうぞ、船曳委員、お願いいたします。

船曳委員

私がどういう立場でここにいるかというのを自分なりに考えますと2つあると思います。1つはデザイナーといいますか、創造性豊かな製品を産み出す、そういうクリエイティブな力をどう産業の中に高めていくか、これが1点かと思います。それからもう一つ、私、長年Gマークの審査をしておりまして、これはどちらかというとユーザーの立場から利便性の高い、社会的に意味ある製品を推奨するということです。

その2つにちょっと今関わっていることだと思いますので申し上げたいのですが、まずいま直近のところのお話は、私はやはりユーザビリティということでぜひ考えていただきたいと思っています。これは今まで、やはり特許というのは製造業の方々のある意味権利を守ることによって産業に資するという、本来そうだと思いますので、ユーザーの方からというのは、どちらかといえばまだまだこれから取り入れられていく視点かと思うのですね。

今の話の流れで若干そのことで感じましたことなのですけれども、ユーザビリティということで言えば、それがアニメーションになることによってよりユーザーサイドにとって理解しやすいものになっているかどうか、これが重要だと思うのですね。それは時間軸が入ってきて、その時間が入ることによって、ある画面からある画面へと変化するその意味がすごく重要だということがあると思うのです。

そのことを意匠法の中で表現する方法は非常に難しいと思います。現在までの意匠法の積み重ねがありますから、その言葉との整合性とか色々なことがあるので、もう皆さんお考え尽くした上でこれだというのもよくわかるのですけれども、もう一回ユーザビリティの観点から、例えば「ビジネスモデル」という言葉を持ち出しますけれども、そういうモデルというような形でもって、表現できるのではないかと思いました。Aという画面からBという画面に飛ばしていく。この飛ばしていくところに実はクリエイティビティがある。画面上のグラフィックな処理ではなくて、ここからここへ思考の飛躍をさせる。その思考の飛躍がユーザーにとって非常に直感的にわかりやすかった。多分、これが素晴らしいデザインだと私は思うのですけれども、そこのところを、もう一度繰り返しますけれども、より理解しやすい容易な操作画面、それから間違いを起こしにくい操作画面、そういうインターフェースというものがどういうふうにできてくるのかということをもっともっと実際の製造に関わる方々、そういうデザインセクションの方々からもコメントというか、ヒアリングをしていただいて、それをこういう部会の中で文言に落とし込んだときに、どういう文言が適切かということを、これからのことだと思いますけれども、ぜひそういう方向性で見ていただけたらなと思います。

それから、先ほど遠藤様の方から、6ページのところで自動湯張り機能、この事例を、わかりにくかったので事例から削除するか別の事例を持ってくるかというお話があったのですけれども、サプライサイドからはどういう機能目的なのか、それからユーザーサイドから見るとこの機能はどうなのだということを考えて、わかりやすいように整理していただくと良いのではないかと思います。例えば多分先ほどから御説明があったゲーム機とそれからコンピュータ、情報機器の中でのことが製造業界の方から問題になっているよということであれば、それをもう最初からもっと明快になさったらいかがかなと思うのですね。サプライサイドからいえば、こういう点で意匠が守られるべきだということなど、明確にその点が書き込んであれば分かり易い。今後、例えば家電業界に新たに挑戦してみようという方々がこの特許法、意匠法について目にしたときに、何が多分恐らく一番わかりやすいかというと、始めのところにピンポイントで何の目的でこの意匠法が制定されているのかが書いてあれば、これは自分たちに関連した法案だな、いやこれはユーザーをある程度見た上での法案なのだなというようなことがわかってくると思うのですね。

すみません、言葉足らずなのですが、何を一番強調したいかというと、何の目的のためにある法令か、だれの目的のためにある法令かということが、それぞれの条文のトップのところでもうちょっとわかりやすくありますと、今後、こういった意匠法を利用される方々にとって親切なのかなというふうに思いました。

水谷座長

どうもありがとうございました。

それでは、残り時間も少なくなってまいりましたので、議題3についてはこのあたりで終わりにいたしまして、次の議題に移らせていただきます。

今後の予定等

水谷座長

次に議題4につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

遠藤意匠審査基準室長

それでは、今後のスケジュールについて御説明させていただきます。

まず、本日検討いただきました基準案については、先ほど課長からも報告申し上げたとおりに、日英両言語でパブリックコメントを求めたいというふうに考えております。

ただ、日程の関係もあることから、英語版については要約というような形になろうかと思いますが、本日直ちにその英訳といいますか、その要約版の作成に着手いたしまして、できれば8月中旬ごろから約1月間、パブリックコメントにあてて、それらを取りまとめながら9月から10月上旬にかけて第2回のワーキンググループを開催したいというふうに考えております。

具体的な日程については委員の皆様の御予定を伺った後で、改めて連絡させていただきます。

また、現在、基準等につきましては紙とPDFで提供というのをしておりますが、ユーザーの方々の利便性向上のためにハイパーテキスト化を行うというようなことが庁内的、全省的な方針となってございまして、これについて具体的なスケジュールというのは特に定まってはいないのですが、次回のワーキングのときによい御提案等がございましたら、ぜひ御意見を伺いたいというふうに考えております。なるべく使いやすく、そしてなるべく広く浸透できるような形で、わかりやすい形で公開したいというふうに考えております。

以上です。

水谷座長

ありがとうございます。

ただいまの説明に対する御意見、御質問等はございますでしょうか。

特にございませんようでしたら、今後の日程として、ただいま審査基準室長からもお話がございましたけれども、本日頂戴しました議論を踏まえまして、私と事務局とで本日の基準案に対しさらに必要に応じて修正を加えた上で、パブリックコメントを付させていただきたいというふうに考えております。この点について御異議ございますでしょうか。

〔「異議なし」の声あり〕

水谷座長

ありがとうございます。

それでは、そろそろ時間となりましたので、以上をもちまして産業構造審議会知的財産政策部会意匠制度小委員会、第1回の意匠審査基準ワーキンググループを閉会させていただきます。

本日はお忙しい中、まことにありがとうございました。

閉会

[更新日 2008年8月29日]

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