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第21回特許制度小委員会 議事録

  1. 日時:平成17年12月16日(金曜日)16時00分から18時00分
  2. 場所:特許庁 特別会議室
  3. 出席委員:
    後藤委員長、相澤委員、秋元委員代理(長井氏)、井川委員、大野委員、大渕委員、笹瀬委員、澤井委員、志村委員、竹田委員、富崎委員、中村委員、長岡委員、前田委員、山口委員
  4. 議題:
    • 特許制度の在り方(論点整理)について
      • 権利侵害行為への「輸出」の追加
      • 分割制度の見直しについて
      • 特許庁の判定制度とADR機関との適切な役割分担について
    • その他
      • 損害賠償制度の在り方について
      • インターネットを通じた特許審査の手続書類の提供

開会

委員長

それでは、定刻になりましたので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会第21回特許制度小委員会を開催いたします。
前回は第20回では、特許制度の在り方ということで、具体的には、「先使用権制度の在り方について」、「特許制度の利便性向上について」、「特許庁の判定制度とADR機関との適切な役割分担について」という3つのサブテーマについてご審議をいただいたわけですけれども、本日は、特許制度の在り方の論点整理としまして、これまでご検討いただいた項目のうち、「権利侵害行為への『輸出』の追加」、「分割制度の見直しについて」、「特許庁の判定制度とADR機関との適切な役割分担について」という、この3点について、再度ご検討いただきたいと思います。それに追加しまして、まだ本小委員会では取り扱っていない「損害賠償制度の在り方について」、「インターネットを通じた特許審査の手続書類の提供」という、この2つの新しいテーマにつきましてもご審議いただきたいと思っております。全部で5つサブテーマがあります。
それでは、事務局より配布資料の確認をお願いいたします。

事務局

それでは、配布資料の確認をさせていただきます。本日の配布資料は議事次第、配布資料一覧、委員名簿、資料といたしまして、「特許制度の在り方」、以上でございます。よろしゅうございますでしょうか。

委員長

それでは、早速審議に入らせていただきますが、まずは、議事次第の2ですけれども、「特許制度の在り方(論点整理)について」ということで、3テーマありますけれども、これはそれぞれ時間をとってご審議いただきたいと思います。
まず最初に、「権利侵害行為への『輸出』の追加について」、事務局より説明を行っていただきます。よろしくお願いします。

事務局

それでは、第1の論点でございます「権利侵害行為への『輸出』の追加」についてご説明をいたします。
問題の所在でございますが、模倣品の国際的な取引というものが非常に増大をしており、我が国としても、これを国際的に防止をしていくことが必要であるということで問題意識を持っております。各国が模倣品・海賊版の輸出や通過といったものを規制することを内容にいたします「模倣品・海賊版拡散防止条約」というものの実現を目指して、それぞれの国が輸入で主に止めているところを、輸出についても、強力に模倣品の流通の大もととなります輸出や通過といったところまで規制を万全を期していこうということでございます。
本年7月に行われましたG8サミットにおきましても、小泉総理が「知的財産権の侵害の拡散防止に向けた国際的な約束をまとめていくべき」ということを提唱したところでございます。現在、輸出というものが特許法上明確に実施行為となっていないということがございまして、侵害物品の輸出に対して確実な差し止めができないということで、仮に輸出をするところで止めなければならないというような場合に、これを看過しなければならないという指摘もあるところでございます。このため、「輸出」を追加することが必要ではないかということが指摘をされております。
また、模倣品の国際的な循環についていいますと、例えば製造国から日本において積み替えられて第三国へ輸出をするような新たな手口が発生している。これによりまして、日本からの輸出というふうに偽装され、いろいろな輸入規制をすり抜けやすくなるとか、その模倣品が日本発であるかのように偽装されやすくなるといったものもきちんと規制すべきではないかという必要性が指摘をされております。
前々回の審議会におきまして、「輸出」を追加することについて検討いただいたところでございまして、現行法に「輸出」が含まれていない理由を踏まえて検討を行うべきではないか、侵害品の輸出による侵害として想定されるものを踏まえて検討を行うべきではないか。諸外国の輸出の取り扱いや、他国では輸出を規定していないけれども、特に我が国において規制する必要性、それから間接侵害の取り扱い、WTOの輸出制限の禁止との関係をどう整理すべきかといったところをご指摘いただいたところでございます。
順次、前回の論点につきましてご説明をしたいと思います。
まず、現行法の「輸出」の取り扱いでございますが、立法当時において「輸出」を規定していない理由は実ははっきりしないところでございますが、「輸出」が譲渡に含まれる場合が大部分であるため、「輸出」は譲渡の問題として取り扱えば足りるという学説があるところでございます。しかしながら、現行法では、侵害物品を国内から国外に送り出す行為が実施行為とされていないということで、例えば国内での譲渡、あるいは製造が秘密裏に行われて、それを立証することができない場合には、水際で把握ができて止めようと思っても差し止めができないといったことになっているところでございます。このため、「輸出」を侵害行為として規定をするということによって、侵害品の譲渡等流通を抑止するということが特許権者の経済的利益の保護の観点から適切ではないかと考えられるところでございます。
また、侵害品の「輸出」により発生する損害を踏まえた検討をすべきであるということで、「輸出」は侵害品を国内から国外に搬送する行為、輸出する行為であるというふうに捉えることが適切であるとした場合には、国内における行為によって発生した損害を前提にするということで整理ができるのではないかと思います。すなわち、侵害品の輸出による損害というのは、海外市場の損害を想定したものではないということでございまして、これは属地主義とも整合的ではないかというふうに考えられるところでございます。
海外の例でございますが、まずドイツについては、明文上の規定はございませんが、輸出行為はドイツ特許法では「流通」として考えられるとされております。またイギリスにおきましても、明文上の規定はございませんが、輸出行為は英国特許法の「処分」であるとか、「処分の申出」、「処分のためであるか否かを問わない保管」、こういったもののいずれかに該当するというふうに考えられております。アメリカでございますが、アメリカについても明文上は規定はございませんが、判例ではアメリカ国内での譲渡等、契約が行われた場合には、「販売」に該当とされております。
4点目でございますが、諸外国での「輸出」の取り扱いと、我が国特許法において、「輸出」を規定する必要性ということでございます。諸外国においては明文で「輸出」を特許権侵害行為としていないということでございますが、特許法それぞれの他の侵害行為に該当するとして輸出行為が規定をされているところでございます。
一方で我が国の特許法では、実施行為として生産・譲渡が規定をされておりまして、侵害品を国内から国外に送り出す行為を侵害行為として捉えるというのは、これは難しいのではないかということであります。このため、こうした国内から海外に送り出す行為を「輸出」としてきちんと規定することが必要であるというふうに考えております。
さらに、我が国が知的財産権の侵害の拡散防止を提唱しているということからも、輸出行為というのをきちんと防止するということは、こうした考え方からも整合的であるというふうに考えております。
それから5点目の間接侵害の取り扱いでございます。まず、現行の間接侵害、いわゆる「のみ品」についての規定でございますが、これは侵害行為の前段階の予備行為として、侵害行為として、例えば、物の発明にあっては、その製造等のみに利用されるものを規制しております。こうしたものについて考えますと、海外で侵害行為が規制されるというものについて、我が国の特許法で規制をするというのは適切ではないというふうに考えられるところであります。したがいまして、いわゆる、「のみ品」の規制について、間接侵害で議論されております従属説、独立説との整理という問題は必要なくなるのではないかと考えております。
続きまして、「譲渡等を目的とした所持」における「輸出」の取り扱いであります。小委員会におきまして、「譲渡等を目的とした所持」と、これを新たな間接侵害の類型として追加するということについて検討いただいておりますが、譲渡等の実施行為の前段階である「譲渡等を目的とした所持」が侵害行為であると位置づけられますと、輸出につきましてもそれと並びで、間接侵害行為として規定をしていいのではないかというふうに考えております。
続きまして、GATTとの関係であります。GATT第11条では、数量制限の一般的禁止ということで、関税等以外については、輸出規制をしてはいけないというふうになっております。ただし、その例外として、一般的な例外というものが定められております。この協定に反しない法令の遵守を確保するために必要な措置として例外規定が定められておりまして、特許権というものもその中に位置づけられております。したがいまして、特許権の輸出規制というのは、一般的例外に該当するものと考えられるところであります。
対応の方向といたしましては、「輸出」というものを特許権侵害として規定することについて以下のように考えております。
まず、模倣品を国内から海外に送り出す輸出行為というのは、これは模倣品の製造・譲渡の一連のものとして国内に行われる行為であるということから、特許権者が製造から始まって譲渡等を行う経済的利益を保護するという観点からは、その一連として「輸出」も侵害行為に追加することが必要であるというふうに考えられるところであります。このため、発明の実施行為に「輸出」を追加することが適当ではないかと考えております。また「侵害とみなす行為」として、「譲渡するために所持する行為」の追加と併せて、「輸出」についても、輸出するために所持する行為を追加することが適当ではないかというふうに考えております。
なお、輸出に関するアンケートをご紹介したいと思います。ユーザーニーズを把握すべくアンケート調査を行ったところであります。輸出する行為を特許権侵害とする必要があるかという質問に対しましては、それが「必要」という回答が87%、「必要ない」という回答が10%でございます。現段階で中間集計でございますけれども、かつ264件の回答でございますが、その「輸出」の追加というものについて、「必要」だとする回答が圧倒的ではないかというふうに考えております。
個別の事例といたしまして、同じアンケートで聞いておりまして、実際に第三者が特許侵害品と思われるものを特許権者の了解を得ずに輸出しようとしたとした事例があるということにつきまして、有効回答が103件でございますが、そのうち6件が、そうした事例があるという回答でございます。
続きまして、通過の議論でございます。「通過」という概念につきまして、3つの類型がございます。まず1つが領域の追加であります。海外からの荷物が単に我が国の領域を通過する場合、それから我が国を仕向地としない貨物が荷繰りの都合上、我が国に一旦陸揚げされて当初の目的地に運送される場合、それから3番目の類型として、我が国を仕向地として、一旦保税倉庫に置かれた貨物が必要に応じて改装だとか、仕分けが行われる。その後に、日本に通関されることなく、我が国を積み出し国とし海外に送り出す行為、この場合には輸出国というのが日本になるということでございます。
特に3番目の(c)の場合につきましては、模倣品が外国から日本に陸揚げをされて、積み戻された上でさらに輸出をされるということから考えますと、こうしたことをきちんと水際で取り締まりことが必要ではないかという指摘がされているところであります。この3番目の類型につきましては、その侵害品というのは、通関はされていないということでありますが、我が国を仕向地として陸揚げされているということから、我が国の領域内にあるものとして特許法の効力が及び得るかどうかというところがございます。この点については、特許法の効力が及び得ると考えてよいのではないかと考えております。
また、陸揚げされた保税地域におかれた侵害品の譲渡等を行うことも可能であるということでございまして、国内の侵害品と同様に我が国の権利者の利益を害する蓋然性が高いと考えられるところでございます。
したがいまして、一般的に「通過」と考えられる行為3類型のうち、(c)の類型、これについては「輸出」に該当する行為ということで、該当する侵害行為と考えることが適切ではないかということでございます。
パリ条約との関係につきましては、パリ条約を受けて、定められております特許法では、単に日本国内を通過する貨物、船舶、飛行機などに使用されるものについては、特許権の効力が及ばないということになっております。これは国際交通の便宜を考えて設けられた効力除外規定でありまして、この国内の列記事項には「日本国内を通過する貨物」は踏まないと解されていることから、パリ条約との関係は問題ないというふうに考えるところでございます。
「通過」につきまして、諸外国では、法律上、明文で規定しているところはございませんが、イギリスでは、侵害品の単なる通過についても、これを侵害行為とした判例がございます。この判決では、輸出目的で侵害品を輸出して航空会社の倉庫に保管するという行為が特許権の侵害行為とされたものでございます。またドイツにおきましても、「船から陸揚げされ、通関手続きを経ずに、再度船で輸出される場合」は侵害であるというふうに解釈されているということでございます。
以上でございます。

委員長

どうもありがとうございました。では、権利侵害行為への「輸出」の追加というテーマにつきましてご説明いただきましたけれども、以上のご説明を踏まえまして議論に移りたいと思いますが、ご自由にご意見をお願いいたしたいと思います。委員どうぞ。

委員

特許発明の実施に「輸出」を加えるということについては、私、これまでの審議会でも、属地主義その他の点から種々の問題があることを指摘してきましたが、その上に立って、我が国の模倣品対策という知的財産政策の一環として「輸出」も特許発明の実施に加えることが必要だということを、委員の皆さんが全員賛成というのなら、あえて異議まで唱えるものではないということはこれまで申しているとおりです。今日1点申し上げておきたいのは、101条との関係です。101条は、次の行為を侵害とみなす行為としてありますが、通常「間接侵害」という言葉で説明されています。これはこの報告書の中にもあるように、いわゆる予備的行為の段階で、1号、3号の、「にのみ品」にしても、2号、4号の発明の課題の解決に不可欠なものにしても、ここに書かれている行為で、特許権侵害行為が完結するわけではなくて、その行為の一部がなされた場合に、それを特に侵害とみなすという意味でこの規定ができているわけです。
それに対して、本日「侵害とみなす行為」として提案されている、特許権侵害物品を譲渡するために所持する行為、特許権侵害物品を輸出するために所持する行為は、特許権侵害という点においては、既に特許権侵害として完結している行為であって、現在の101条が規定している1号ないし4号とは性質を異にする行為だと思います。したがって、この規定は「侵害するものとみなす」ということですから、「みなす」という中にこれを入れるということについては、「輸出」を入れるのであれば、必要なことだと思いますが、1号ないし4号とは性質を異にするものですから、立法する場合においては、これは侵害とみなすという行為は特許権侵害品、既に予備行為でない侵害品としては完成している物品を、この目的のために所持する行為であるという意味では、項を別建てにして規定しないと、その点で混乱を招くのではないかというふうに思いますので、その点の立法上の配慮をお願いしたいということです。
以上です。

委員長

どうもありがとうございました。今のご指摘について。

事務局

今、ご指摘いただきましたように、従来の101条のいわゆるみなし侵害と、今回規定するものにつきましては性質が違うというふうに我々も理解をしております。商標法の規定等も参考にし、考え方にずれが生じないようにきちんと対処したいというふうに考えております。

委員長

ほかに。委員どうぞ。

委員

委員の意見と同様でして、なぜ「輸出」を入れなければいけないのかというところがよくわからないというのが実感でございます。
比較法について、ここで書いてあるところを見ると、「輸出」を明示的に規定してある国はないようですが、その理解でよいのかというのが1点です。それからアメリカの特許法では、輸出に関連するのは、271条(a)項ではなくて(f)項の問題ではないでしょうか。
102条の損害賠償の推定のところに「譲渡」と書いてあるわけですが、そこのところは、「輸出」はどうするのかというのが2点です。
保税地域から外へ出すことが輸出であるならば、保税地域の中に入れることは輸入であるという解釈に立っているのかというのが3点目です。

委員長

いかがですか。

事務局

お答えをいたします。
まず、1点目の諸外国における「輸出」の規定でございますけれども、説明資料にありますとおり、解釈上、読まれているという国があるということでございまして、その規定上、「輸出」というものを規定しているというのは、我々の方で調べました限りは、発見をしておりません。
それからアメリカの間接侵害のf項の問題というのは、ご指摘のとおり、間接侵害の問題でございまして、今回ご議論いただいています実施行為としての「輸出」というのとは、性質を異にするのかなというふうに思っております。
それから2点目の「譲渡」に関する損害賠償の推定規定でございますけれども、1項の推定規定につきましては、「譲渡」というふうに書いてございまして、類推適用が可能な場合、貸し渡しとか、そういった場合には類推適用がされるという解釈が現行法の理解だというふうに思っております。
この場合、「輸出」というのはどうなるかというご質問なんですけれども、輸出は、事実行為として国内から国外に送り出す行為として規定したらどうかという提案でございますので、そういう定義からいきますと、これを類推適用するというのは難しいのではないかというふうに思っております。
それから3点目の保税地域に入った場合に同じように侵害となるかというところでございますけれども、輸出について、こういった考え方をとりました反射的な効果としては、輸入についても、同様に解釈されるということが十分に考えられるというふうに思います。

委員長

どうぞ。

委員

秋元の代理で出ています長井といいます。よろしくお願いします。
私は前回出ていないのでよくわからないところがあるんですが、私の知識では、「輸出」というのは、吉藤さんの書いてあるような譲渡の問題としてすればいいというふうにずっと育ってきたもので、それが突然こういう規定を置くのはなぜかなと思って非常に理解できない。というのは、模倣品の対策が、条約の提言しているそれを実現するということはわかります。ここで言っているのは、それを超えて、模倣品とか海賊品の取り締まりに関係のない部分まですべてを含むことになりますね。ここでやると。それまでの手当てが本当に必要なのかということがちょっと疑問でして、模倣品絡みのであれば、何もこういう規定を置く必要はない。別のやり方が何かないのか。何で一般的なものまで適用するような、今までの解釈を急に変えるようなことが本当にあるのかと。そういうニーズが本当に産業界からあったのかなということで、私は製薬企業にいますので、余り模倣品とか海賊品ということにそんなに縁がありませんのでよくわからないことがあるんですが、解決策として、広く条文の一番もとになるところをいじるということの必要性が本当にあるのかなと。ほかに解決策はないのかと。レベルが初期段階で、今の時期にこういうふうに言うのは問題なのかもしれませんが、今日来て理解できないというのが正直なところです。ここまで広げる理由があるのかなということについて、例えばアンケート結果を先ほど言われていましたが、模倣品以外のもので、こういうふうに本法を改正する必要性があるのかと、そうしてほしいという声があったのかということについて、もし何かあれば教えていただきたい。

事務局

繰り返しでございますけれども、この「輸出」を追加する必要があるかどうかということについて、大多数の方が「必要である」というふうに答えられているというところがあります。それから実際に諭出の段階で止めようとした場合にどうしても止められないというケースもありまして、そういったところをきちんと手当てをすることが必要であるというふうに思っております。
それから模倣品対策については、模倣品と侵害品というのを区分けするというのは、これはなかなか難しい。特許法上は、それは侵害物品であるというふうに考えております。ということからしますと、かつ、そもそも「譲渡」に「輸出」が入るという考え方が従来オーソドックス、そこのところは実は明確ではないというふうに我々考えておりますけれども、仮に入っているということであっても、「輸出」というものをきちんと明確にして特許権者の権利をきちんと強化するという方向に考えるのが必要であるというふうに考えております。

委員長

委員どうぞ。

委員

正直言って、今の委員の話と一緒なんですが、輸出を抑えないことにより実害が発生して困っているかという具体的な声というのは、実は我々産業界のある部会の中では具体的には聞こえていないというのが1点。それから特許製品の場合、通常であれば、製造あるいは譲渡の段階で侵害品を抑えるのが普通であるだろうなというふうに思いますので、「輸出」を実施行為に含めることの積極的な必要性というのは、正直言ってよくわからない。アンケートがこうなっているというんですけれども、通常の産業財産権全般的な技術系の特許権みたいなものと、流通関係を見ている商標みたいなものでちょっと位置づけが違うのかなという感じはしています。
輸出と、反対側のベクトルの輸入品については、特許権を侵害するか否かの判断が税関で行われておるわけですけれども、現在の手続においては、特に輸入者の意見を述べる機会が十分に保障されておらず、改善が必要と考えている部分があって、もし現在の仕組みを、税関でのあれを変えずに、輸出差し止めが行われた場合に、輸出企業の意見が十分に考慮されないで輸出が禁止されてしまうようなおそれも多いんじゃないかと。
事実、我々の中で議論したときに、今まで実施行為に含まれていない輸出が実施ということで定義したときに、外国から予期せぬ使われ方をして、国内企業に無用の負担が発生するんじゃないかという声があります。多分、そこは、さっき冒頭で言いましたように、実際の実害のところが実感としてないので、そこら辺のところを多分恐れているんだろうなと思います。
入りと出のところで、ある意味で技術に関する権利侵害の判断が容易でない特許権について踏み込んでやるということを政策判断でやられるのであれば、水際において、特許権侵害があるか否かを公平に判断する仕組みの導入と併せて行った方がよいんだろうなと。そういう意味では、もう少し時間かけてもいいのではないかなという感じがしているんですけれども、そこら辺のところは、我々産業界では実害のところがないので、よく見えてないというのが正直なところです。

委員長

ありがとうございました。特に何かありますか。

事務局

まず現在、財務省で検討されております水際措置というのがございまして、この中では、有識者への意見照会だとか、当事者の双方の意見を聞く機会といったものが付与されるという方向で検討されるということでございまして、水際措置については、当省としては前進であるというふうに考えております。
ご懸念の水際措置に関する手続につきましては、経団連さんと経済産業省との間で認識共有のために来週にも意見交換をするというふうに承知をしております。

委員長

委員どうぞ。

委員

当社は、海外に対しまして60%、これからのいろいろな特許を外国に出しておるんですけれども、それを踏まえますと、70%、80%という可能性を持っております。確かにそういうところは今までは少なかったかもしれませんが、日本だけ特許とっていて外国はとらなくて、外国特許でありますと大変経費がかかります。日本だけとって、何とかしのいで出してしまえばいいという心配というのは、各企業は持っていると思います。ただ、それがどれほどかというのは、これから増えるんじゃないのかと、そんなような懸念を持つわけであります。
特に我々の場合、海外で展示会をしようと。それに当たって全部特許を押さえて、そして出展しようというときに逆の場合が起きるかなと。ここで、輸出でストップすることができるなら、この製品は特許違反じゃないかということで何だかんだといってケチをつけられて遅らせてしまうと、1年間を棒に振ってしまう。そういう懸念が出てきますので、つくった場合でも、どういうことで輸出を止めるんだという、書類その他が長くなるような形でつくられると、むしろ心配だと。ですけれども、輸出ということに対して、そういった規制も何もない。成田でそういうことがあるのを見ていても、そのまま出ていってしまうということはそのままいいかということになると、知的財産がそのまま流出して出ていってしまうという行為にストップを加えられないことになるので、ただ、それが違反行為かどうかということを、どういうふうにして取り締まってくれるのかというところが、2つ併せて心配なところであります。

委員長

ありがとうございました。ほかに何かこの件について、ご意見はありませんでしょうか。委員どうぞ。

委員

明確化の観点から確認だけさせていただければと思うのですが、今回輸出としていっておられるのは、要するに国内から国外に送り出す行為自体、つまり、送り出すという占有移転のような行為自体を輸出として捉えておられるということでよろしいでしょうか。すなわち、普通は、送り出し行為自体だけでなく所有権の移転を伴う譲渡という面もあるわけですが、方向性としては、単に国内から国外へ送り出すだけの場合については、新たに立法する輸出で対応し、それが譲渡でもある場合には、新立法で輸出として送り出し行為自体が入るのであれば、当然現行法でいう譲渡にも入ると解釈されるとして、このような意味では、輸出と譲渡の2つで考えることになるという理解でよろしいのでしょうか。

事務局

ここで今規定しようとしておりますのは、事実行為としての海外へ搬出する行為ということでございます。かつ一方で、譲渡という要因も含みますので、その両方が重なる部分というのは実際にはあり得ると思います。

委員

その関係で、新たに加えようとしている送り出し行為自体は、要するに立法でつくるかつくらないかという話ですが、譲渡というのは、明確化の関係で現行法の譲渡にも含まれているという現行法でも問題となる話なのか、それとも、今後の新立法でのみ問題となるのかというのが違ってくるのですが、対外向け譲渡のように広い意味では「輸出」と言えるようなものをどのように考えるのかという点については、現行法においては、解釈上必ずしも明確でないというご趣旨でしょうか。

事務局

現在は明確になっていないというふうに理解しています。

委員

現在でも対外向け譲渡が、現行法でいう譲渡の中に入っているとしたら、先ほどご懸念があったような問題というのは、現行法のもとにおいてもあるということになるのでしょうか。

事務局

そういうことだと思います。

委員長

ほかにいかがですか。
それでは、この第1番目の「輸出」に関しては、模倣品対策の強化が必要だということについては、異議のないところだと思いますけれども、発明の実施行為に「輸出」を追加するということが適切な対応かどうかとか、あるいは、それに伴って何かいろいろな問題が起こるのではないかというようなご懸念を持たれている方がまだ多いということのようでありますので、引き続き次回に向けて検討を続けていただくということにしたいと思います。
次の2番目のテーマに移りたいと思いますが、2番目は、分割制度の見直しについてということで、まず事務局の方から説明をしていただいて、またご議論をいただきたいと思います。では、よろしくお願いいたします。

事務局

ご説明差し上げます。
資料の7ページになります。この分割制度の見直しにつきましては、前々回ご議論いただきました。具体的には、分割の時期的緩和ということにつきましては、基本的に賛成のご意見をいただいていると理解しておりますが、その濫用の防止という観点につきましては幾つかの意見をいただいております。今日のところは、濫用の防止、特に累次とか、あるいは長期にわたるような分割出願の制限に焦点を絞りましてご審議いただきたいと考えております。
まず、7ページの「現行制度」は省略させていただきまして、「分割時期の緩和」というところをおさらいの意味でポイントだけ見ておきたいと思います。
8ページには図面がございまして、その図面とその上の説明を見ていきたいと思います。今回、分割の見直しということで実効性のある多面的、網羅的な権利取得を可能にするために、特許査定後と拒絶査定後の一定期間内に分割ができる機会を提供する、という形で進めております。一定期間につきましては、その図面にございますように、査定から30日とすることを考えております。この30日としましたのは、1つは、第三者の監視負担増加を抑えるために必要最低限の期間とすると、もう一つは、特許査定の後、特許料を納付する期限、あるいは拒絶査定の場合の審判請求の期限がいずれも30日となっていますので、このような期間を考えております。以上が時期的緩和の概要になりますが、次に、濫用防止策について移っていきたいと思います。
濫用防止策につきましては、問題の所在としまして、他社製品の動向を見てその製品をカバーするような特許取得するようなケース、拒絶査定が確定することを回避しながら出願を継続させるといったようなケース、あるいは別の審査官による異なる判断を期待するといったようなケース、さらには訴訟の状況に合わせて分割出願の権利化を図るといったケースがございまして、今回、分割の時期的制限の緩和ということをしますと、そういった濫用的な利用というのが助長されるのではないかという懸念があります。
米国の継続出願の制度を見ましても、実際に継続出願を繰り返して大量の継続的出願が出されているというような問題点も発生しております。
そういう状況を踏まえまして、「対応の方向」のところになりますが、前回お示してあります2つの濫用防止策が考えられます。1つは、一定の場合の分割出願の補正制限、これは簡単に言ってしまいますと、米国にあります「ファースト・アクション・ファイナル」といったような制度に相当しております。この濫用防止策につきましては、前々回のご説明を差し上げたところと記載ぶりは少し変えてありますが、内容的には同じになっています。もう一つの濫用防止策としまして、累次・長期にわたる分割出願の制限がございます。
最初に9ページの(ア)の方を簡単に見ておきます。分割出願する場合、もとの出願と同じ拒絶理由が通知されないように、もとの出願の拒絶理由を十分精査することが分割するときには求められる、という仕組みをつくりたいということでございます。具体的には、分割出願するときに、もとの出願の審査で通知された拒絶理由を解消したクレームを作成する機会はあるわけですが、現実的には解消していないというようなケースが考えられます。こういった場合には米国のファースト・アクション・ファイナルのような形で、最後の拒絶理由通知後と同じような補正制限を課すという制度を導入することが必要であると考えております。こちらにつきましては、前回と内容的には同じということになります。
次の10ページの「累次・長期にわたる分割出願の制限」につきまして、特にご審議をいただきたいと考えております。権利化の時期を先延ばしするということを目的としまして、同じような発明を何度も分割するという濫用があるわけですが、そうした濫用に対しましては、例えば1つの出願から分割できる出願の数を制限するとか、分割の世代を制限するとか、あるいは一番もとの出願からの分割可能時期を一定に限るといった対策が考えられます。これで濫用というのはある程度効果的には抑止できると考えられるのですが、一方、濫用とも言えないようなケースについてまで権利化の道を閉ざしてしまうのではないかという可能性もあるということです。
例えば、情報通信分野での技術標準に関する特許について例をとってみます。これは前々回ご審議いただいた中では、標準化関係の特許であっても単に数を増やすだけの場合もあるし、あるいはホールドアップといった問題もあるということで、最初の出願からある期間に限った方がよいのではないかというようなご意見もございました。しかし、実際、情報通信分野の規格関係の発明につきましては、規格策定時期に合わせて出願を分割して必須特許をとっていくことが非常に重要になっておりまして、分割世代をある数で限った場合、そういう必須特許をとっていく戦略に支障が出る可能性も当然考えられることになります。
現実に、米国と比べて濫用が深刻かというと、そうでもないという状況がありますので、分割の世代数の制限とかを今直ちに導入することは適当ではないと考えられます。今後、分割時期の緩和とか、ファースト・アクション・ファイナル制度の導入を行った後の分割制度の利用状況を見ていき、それによって濫用が拡大しているというような状況があれば、先ほどの分割世代の制限といったところも考えていく必要があるじゃないかと考えております。
以上でございます。

委員長

どうもありがとうございました。今、分割時期の緩和についてですが、これは緩和という方向につきましては望ましいということで、これまでご議論いただいておりますけれども、それに伴って濫用を防ぐためにどのような措置が必要かということについてご議論いただきたいということであります。いかがでしょうか。

委員

分割時期についてちょっと一つだけ、あえて議論を戻そうと思いますけれども、弁理士会としてお願いというか、今後の検討課題でもよろしいんですけれども、お願いしたいんですけれども、特許査定後及び拒絶査定後に加えて、拒絶審決後の分割を認めるべきであると考えます。
その理想は大きくは3点ございまして、1つは、審決取消においては補正の機会が認められていないので、ご承知のように、拒絶査定審決後に審理対象を変更することができない。
2番目、現在の審判の審理においては、実務も含めて法的にも原則的に補正の機会を与えられていない取り扱いになっています。一旦審判に入りますと、保護に値する発明が保護できないというおそれが生じていると考えられます。
3番目、これは非常に訴訟効率上いいと思うんですけれども、審決後、拒絶審決されたと、出願人の方も、専門官庁である特許庁が特許に値しないと例えば判断した、それで納得して、以後外れてもいいから限定した権利でもとりたいという方がかなり多いと思うんです。したがって、結果として審決取消訴訟がかなり減少するんじゃないかと思われます。したがって、私は審決後でも分割のチャンス、もちろん、ある程度制限してもいいと思いますけれども、できればなというふうに弁理士会としては考えています。
それからもう一点ついでに申しますけれども、分割の濫用については、ある程度はやむを得ないと、積極的に賛成しませんが、ある程度やむを得ないというふうに考えます。
以上です。

委員長

ありがとうございました。分割について、さらに新しいご提案ですけれども、何かお答えすることはありますでしょうか。

事務局

審決後の分割につきましても今まで議論しておりますが、審決の後まで分割を先延ばしすることは、これも一つの濫用のような形で使い得るということになりますので今回は挙げておりません。ご意見がありましたことは、こちらで検討させていただきたいと思います。

委員長

ほかにいかがでしょうか。委員どうぞ。

委員

先ほどご説明ありました10ページの分割の制限のところなんですけれども、前々回では、子ども、孫というニュアンスで制限したらどうかという話があったと思うんですけれども、今回、中段のところ、とりわけ電機分野の情報通信分野とか、技術の標準化に合わせて、そのものが必須特許取得政略に支障が生じてしまうのではないかということで、まさにこの辺というのが産業競争力の強化というニュアンスで当たってくるんだろうと思うんです。こういうニュアンスで入れていただいたことというのは、歓迎したいなと思っております。
以上です。

委員長

どうもありがとうございました。ほかにご意見。委員どうぞ。

委員

私、情報通信分野の研究者ですが、このようにしていただくと非常にありがたいと思います。技術の標準化は、昔は、どちらかというと、各国が持ち寄って議論するというのが主流でしたが、最近はデファクトスタンダードが主流になってきますので、出てきたデファクトによってはかなり特許申請の流れが変わってくるということは事実です。また、日本だけで使われる特許というのは逆に減っており、必ずヨーロッパなりアメリカでも特許申請がなされてる傾向が増えていますので、そういう面では、アメリカやヨーロッパの濫用に関する特許の施策の動向を見ながら、実際にどういう状況が出てくるか見て判断していくことでいいと思います。つまり、現時点では、ウォッチをする必要はあると思いますけれども、回数とか制限することにより抑えるよりは、特に日本の場合は特許戦略が非常に重要ですので、戦略を妨げない、むしろ助けるような方法で検討していただけると非常にありがたいと思います。

委員長

わかりました。どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。委員どうぞ。

委員

私、前回、濫用のことを申し上げたんですが、確かに個別の企業から見ますと、必須特許を増やすことはいいことにもちろんなるわけですけれども、各社が全部やると、基本的にはゼロサムゲームになるところも相当あるということで、そうすると、結局、研究開発から得られる利益が、そういうコストを考えると減ってしまうということがあります。合成の誤謬といいますか、そういった面もあるということを認識する必要があって、ただ、どこまでが濫用で、どこまでが濫用でないかという線を引くのは確かに非常に難しい問題でありますので、そういう意味でここに書いてありますようにウォッチをして、必要があれば、制度改革をしていくということが重要ではないかと思います。

委員長

ほかにご意見ございますか。
では、この分割の濫用防止につきましては、基本的に特許庁の案で、分割世代数を制限するというようなことは当面は行わないで、もし将来的に必要があれば、そういうことも検討するということで、ファースト・アクション・ファイナルで濫用防止を対応するということで皆さん合意が得られたように思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。
では、これについてはそういうふうにさせていただきます。
次に、3番目の議題ですけれども、3番目は、「特許庁の判定制度とADR機関との適切な役割分担について」という議論であります。これについて、事務局より説明を行っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

事務局

本テーマにつきましてご説明いたします。前回のご議論を踏まえまして、修正・再整理をいたしました。その点を中心にご説明したいと思います。
11ページでございますが、「現行制度の評価」ということで、まず、特許庁の範囲制度につきましては、前回と同様でございますので、省略いたします。
②の「現行の判定制度の評価」と、とりわけ機能的側面につきまして整理いたしました。特許庁の判定制度は最終的な紛争の解決機能を持っておりません。その前提となる事実判断、すなわち権利範囲の属否についての公的意見の表明でございます。請求人、被請求人の双方の意見を踏まえた適正な判断が行えるように被請求人の特定が求められるため、合理的な理由がある場合、例えば、自分の製品と自分の特許権が入るか入らないかというようなものを除きまして、請求人と被請求人の参加のもとで審理が行われます。現在年間100件程度の判定請求がされております。
その用途でございますけれども、その判定結果につきましては、税関での模倣品の輸入差止の申立ての際の侵害事実を疎明する信頼性の高い証拠、あるいは特許庁の判定結果を途上国の裁判所での鑑定結果と用いられた、そういう例も聞いております。
一方、日本知的財産仲裁センター、これは「判定」だけではなくて、「仲裁」、「調停」を取り扱うことから、総合的な知的財産についての紛争解決を行うことができます。すなわち民間型のADR機関だといえます。その判定につきましては、「センター判定」と呼ばれておりまして、当事者双方の合意の下で行われる「双方判定」、そして相手方当事者の参加、合意を得ずに行われる「単独判定」が設けられております。そして審理内容及び審理結果につきましては非公開でございます。権利の有効・無効を含め総合的に判断が行われるという点で特許庁の判定制度にはない機能を持っております。
これをまとめますと、次の12ページの表の1のようになります。左に特許庁の判定、右にセンター判定でございます。件数につきましては、両当事者が参加するものについて、特許庁の判定は96件、これは16年のものですけれども、センター判定の方は両当事者が参加するものは実績がございません。また、請求人のみが参加するものについては、特許庁は5件、センター判定では6件ということになっております。この審理の内容につきましては、先ほど申し上げたとおり、特許庁では権利範囲の確認だけでございますが、センター判定では権利の有効・無効も行われます。審理主体は、特許庁では審判官3人、そしてセンター判定では弁護士・弁理士各々1名でやられると。また、公開かどうかということでございますが、特許庁におきましては、結果につきましては公報を発行いたしますし、その途中段階の書類も閲覧可能と、一方、センター判定については非公開と、このようにまとめられると思います。
今般、特許庁の判定制度のユーザーに対してアンケートとヒアリングを行いました。これは別添の2にございますが、これは前回同様です。そこにおきましては、特許庁の判定を選択した理由としましては、「公的機関の判断」であるということを挙げる者が一番多く、その次に「審理の公平・公正性」、あるいは「費用の安さ」、「決定までの期間の短さ」がそれに続いております。特許庁の判定につきましては、公的機関による公平・公正な判断を安価かつ迅速に提供する役割を担っていると認識されておりまして、また、中小企業、個人が多く利用しているという現状がございます。
また、そのヒアリングにおきましては、センター判定が弁理士・弁護士によって行われておりますので、センター判定といわゆる弁護士・弁理士の方の行う鑑定との区別が明らかでないというような指摘もございますが、他方におきまして、センター判定は非公開を望むユーザーニーズに応えたものということは言えると思います。
こうしたことから、特許庁の判定は法的な拘束力はございませんが、両当事者の合意がなくても、相手方の意見を求めるデュープロセスを踏んでおりますし、訴訟と比べて安価、かつ簡便な手続で行政庁の判断を示し、紛争解決の糸口を提供するものと言えます。両当事者の合意がないと、双方の意見を踏まえた判断を示せないセンター判定とは機能や役割で大きく相違するものでございます。また、両者に対するユーザーニーズも違っていると評価できると思われます。
次に13ページの「視点2(費用的側面)」、それから「視点3(行政リソースの側面)」、「視点4(国際的側面)」つきましては、前回とほとんど同じでございます。省略させていただきます。
特許庁の判定をやめたらどうかというご意見もございますが、現状におきまして、特許庁の判定制度を廃止した場合、次のような問題点があると考えられます。
1つは、特許庁の判定制度のユーザーに対して行ったアンケートによりますと、仮に特許庁の判定制度を廃止した場合に、訴訟に向かうという意見が一番多く、その次に弁護士・弁理士の鑑定を利用して紛争解決を目指すというような結果が出ております。このため、特許庁の判定制度の廃止によりまして、主たる判定ユーザーであります個人、中小企業というのは、訴訟による紛争解決を目指すケースが多くなって、訴訟に伴う手間、あるいは費用の負担が増加することが懸念されます。
2つ目といたしまして、14ページでございますが、公的機関による証拠資料に対する強いニーズが存在しております。特に権利者が模倣品の輸入差止を申立てる際には、あるいは侵害被疑者に対して警告を行う際に用いる公的機関による証拠資料として特許庁の判定制度に対する強いニーズが存在いたします。仮に廃止した場合、有力な紛争解決のツールが減ることになると考えられます。
そして3つ、最後でございますが、意匠の権利範囲についての判断が困難になるということでございます。現在、意匠の権利範囲を判断するに当たりましては、意匠公報以外の公知資料、例えばカタログとかパンフレット、これらを参酌する必要がございます。著作権の制約がございますので、意匠権者が特許庁内部に蓄積されました、そのような公知資料をデータベースの形で利用することは現在できません。したがいまして、特許庁の判定制度を廃止しますと、意匠権者におきます侵害被疑物ですが、それが意匠権に属するか否かを正確に判断することに支障が生ずるおそれがございます。また、12月に開催されました意匠制度小委員会第8回におきましても、国内におきまして流通する模倣品対策として特許庁の判定制度の活用というのが検討されているところでございます。
そういう状況でございますので、今後の対応等といたしまして、現状におきましては、特許庁の判定とセンター判定とは、その機能・役割が異なっております。利用者側のニーズも相違しているということで、紛争解決の多様な選択肢を提供する観点からも、特許庁の判定制度を廃止することにつきましては、慎重な検討が必要でございます。現段階で廃止することは適当ではないと考えられます。
一方、民間型のADR機関を活性化するということは、多様な紛争解決手段を提供するという観点から好ましいことでございます。その環境整備といたしまして、民間型ADR機関の活性化を特許庁としても支援すると。そして特許庁における著作権の許諾がとられた意匠公報以外の公知資料、パンフレット等のデータベースを提供する、あるいは特許庁における判定手法の公表などの取り組みを行う必要がございます。こういうような取り組みを通じまして、民間型のADR機関の活用が十分に図られる、そういう状況に至った段階で、特許庁の判定制度との関係につきまして、改めて検討することが重要と考えられます。
以上でございます。

委員長

ありがとうございました。この件につきましては、前回までは、ユーザーの側ではかなり強いニーズがあるということと、それから、これがあることによってリーガルコストが節約できるので、国民経済的に見てもプラスである。これを維持するためにかかっているコストもそれほど大きくないというようなご意見と、民業圧迫といいますか、日本知的財産仲裁センターというものが存在しているわけですから、特許庁がそういうサービスをすれは、当然、特許庁の意見をみな求めることになりますので、結果的に民業圧迫になっているから廃止すべきではないかというようなご意見と双方あったかと思いますけれども、引き続き、ご意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

委員

大学の知的財産本部や大学発ベンチャーなど資金の少ないところでは、少しでも安い方がいいという思いがかなり強くありますので、コストがかからないというものを残していただきたいという思いはやはり強いです。
あと、民間型にしていくという観点で申し上げますと、今、ADR機関は1つしかないですよね。政府のものをやめて、民間型に変えても1つしか存在しないのであれば、競争的原理が働かないような気がしまして、数社あって初めて競争原理が働いて真の民間型になっていくのではないかなと思います。現在1つしかないのであれば、民間型に変えても、いわゆる大学の独立行政法人化をしても、人を全然変えないとなかなか動かないのと同じような状況で、私は身近でそれを常に感じております。競争原理をちゃんと働かせて真の民間型にするのであれば、数社つくって本当にコスト意識など、きちんと競争原理を働かせた上での民間型かなというような気がしています。ですから、もう少し後でもいいのではないのかなと思っています。

委員長

ありがとうございました。ほかにご意見ございませんか。委員。

委員

仲裁センターについて、関与している日本弁理士会の立場からいって、結論から申しまして、ここに書かれているように、特許庁の判定を直ちに廃止することは妥当じゃないと私も考えます。
その理由は、ここに書かれていますように、現在のところ結果として当事者系が特許庁は96件、仲裁センターは当事者系は0件ということです。ただし、これは今までの結果としてこうなったものであり、今ご指摘されたように、徐々に私どもも仲裁センターの機能を充実し、特許庁の判定制度に代われるように今後も検討したいと思っています。特許庁も行政の視点からご支援いただければ、近い将来変わり得るような機能を持ちたいというように考えていますので、よろしくお願いいたします。

委員長

わかりました。どうもありがとうございました。ほかにございませんか。

委員

別の観点なんですが、この結論はこれで結構なんですが、製薬業界としては、ADRも使っていないし、判定も使っていないので、どっちでもいいというようなこともあるんですが、ただ、判定とADRの機能は違うと。現実の企業の立場で現在、例えば民民同士の契約の争い、あるいは最近、特許庁が頑張ったおかげで発明者の問題、特に対価の額の争いということは水面下では非常に増えているんです。これは新聞報道とか裁判沙汰になるのはほんの一握りであって、ほとんどの会社は今はそういう問題を抱えているというのが現状なんです。そういうものの、例えば対価の額を発明者と会社が納得して、ADRに言って額を決めてもらうとか、そういう使い勝手というのがあるのかなと。というのは我々の内部では挙がっていまして、それをやってもらう場が裁判所以外はないわけです。発明者対会社、あるいは民間同士の契約上の争いについて決定をするのは法的には裁判所しかない。それじゃない、もっと双方が合意したらできるというのが、1つが世の中で今あるのはADRかなと思うので、判定の侵害の話とか、それ以外にも実は機能がある。そういうことについての産業界のニーズは、私はあると思っているんです。それに応えるべく、まだADRは機能していると思えないので、先ほどの委員の話もありますが、ここに書かれているADRを助けていくというやり方で、単にここにあるような資料を提供するというような問題の助けでは大した助けにならない。もっと具体的に、例えば特許庁の問題じゃないかもしれないですけれども、数か所つくるという委員の話もありますが、人の点とか資金面等も含めて援助するという、情報提供というような感じにこの援助は見えるので、プラスアルファでもっと積極的にADRを、ADRは役所じゃないから違うかもしれませんが、高めてもらって産業界のニーズに応えることをやってほしい。これは政策自体が悪いと言っているわけではなくて、これは結構ですと。ADRの活性化を国としても、もうちょっと力を入れてやってもらえないかなという要望です。

委員長

ありがとうございました。委員。

委員

前回も民業圧迫じゃないかという観点から申し上げさせていただいて、これは、結論はこのとおりでいいんでしょうけれども、今お隣もそうおっしゃったように、書きぶりが、これを見ると著作権による意匠公報以外の公知資料のデータ提供等ぐらいしか何もないので、これがいかんということです。
ただし、全体的な結論はこういうことなのだろうけれども、書きぶりがあまりにもずさんでちょっと誤解を招くだろうなというのが一つあります。ここの中で両当事者の件数が特許庁の方が多いということになっていますけれども、それは特許庁という公的機関が両当事者に声をかければ、公的にこれを無視したらやばいなというので来るだろうということもあるわけで、これはまさに民業圧迫の最たるもので、こんなものがあるからこそ、このADRで両当事者間のができないという側面が一つあるだろう。
それから費用的に安いということを委員がおっしゃいましたけれども、本当に安いのかというのは、これまた定かじゃないということをまず申し上げたい。それは料金自体は安いのかもしれないけれども、判定の迅速性、あるいは手続の面倒くささというものがあるのかもしれない。つまり前回の統計評価をされたときに、民間の場合に、当初の公表されている手続費用以外に総額で幾らかかるかというアンケート結果は出されていないわけですから、むしろ民間の方が迅速かつ的確な判断をして、たった6件だけれども、実は総額で見ると安かった可能だってあるわけです。何らここに安いということを示していなくて、安いということを示したデータを我々は持っていないという前提に立って書いてもらわなきゃいかんのじゃないか。そういう印象を与えるというのは大いに間違いであるということをまず申し上げたい。
それから、前回もおっしゃいましたけれども、こういうのを行政が公的に言うということについて、弊害、悪用があり得るということをどこかに入れておくべきじゃないか。つまり、トラの威をかるキツネじゃないですけれども、国なら国の判断ということをもって何らそれが法的拘束力もなければ、法的な何らかの実力を発揮するというものでもないにもかかわらず、単なる見解を出したに過ぎないにもかかわらず、しかも、それは裁判で厳密に争ってみればひっくり返るかもしれないような判定でしかないものについて、公的な権威というものをもって、ここに書いてあるとおり、税関等いろんなところで使われるということになっているようであると、あるいは海外等でも使われているということになっているようですけれども、これがひとり歩きして、実はこちらにおられる方は恐らく業界の方ばかりなので、そんなことは百も承知だという方がおられるのだろうけれども、中小の方とか、資金のない方とか、これを悪用して特許庁がこう言っているんだということで一方的に言われてびびっちゃう、あるいはつぶされちゃうということだって起き得る。それは特許庁の看板の重さが重過ぎて、本来、民の戦いにおいて、こういう形で介入するというのは望ましくないという視点があるべきではないかということを思うわけです。
以上のような観点から、ADRの利用というものは、長期的にはそちらを行くというニュアンスの③のまとめが本来あるべきで、こちらを見ると、何となく放っておいて頑張ったら検討してもいいねというのではなくて、方向としては、鑑定というものはなくすべき方向性にあって、ただし、現段階ではもちろんなくすことはできないけれども、そのために、どんな手段をとり得るかということを真剣に検討して、「慎重に検討して」という後ろ向きなやり方ではなくて、「真剣に検討する」ということをやるべきではないかと思う次第です。
以上です。

委員長

ありがとうございました。ほかにございませんか。委員。

委員

ここに記述されていない論点として、関税定率法の中で、水際措置において特許庁に対する意見照会という手続があります。特許庁に対する意見照会の基礎になっているのは、特許庁が権利についての判断をする機能を有しているということになるのだろうと思います。その機能を担っているのが判定という手続だと思います。そして、特許庁長官への意見照会に基づいて適切な水際措置を行うということがWTOのGATT1994及びTRIPSにおける水際措置に関する適正さを担保する機能をも営んでいるということがあるとおもいます。特許庁が侵害判断をする判定という手続を有していて、そういう機関が意見を述べ、それを尊重して税関当局が水際措置をするということで、全体として水際措置の適正さが担保されているという側面もあると思っています。
それからもう一つ、これは若干違う論点でありますけれども、日本知的財産仲裁センターというのがは、民業圧迫というコンテクストでいわれる民というのはちょっと違うのではないのかという気がします。仲裁は仲裁法に基づいて仲裁が行われます。その場合には、別に日本知的財産仲裁センターを利用する必要はなく、仲裁契約で仲裁人を選べば良いわけです。国際契約では、外国の仲裁機関を使うということも行われているところだと思います。そういう状態では、仲裁人は民であると言うことができるだろうと思います。仲裁で問題が解決される、ADRで問題が解決されることは、好ましいことだとは思っていますけれども、現状において、判定が民業を圧迫しているというのは、納得がいきません。

委員長

ありがとうございました。ほかにご意見ございませんか。委員どうぞ。

委員

民業圧迫というのは、私はそういう趣旨で申し上げたわけではなくて、何もADRだけを民と言っているわけではもちろんございません。付け加えますと、この判定というのが大きな権威をもって存在しているということは今後出てき得るいろんな仲裁の手段、多様性というものを圧迫するものになっていて、それが実は官による民間的な処理、多様性というものを育てるものに対して圧力になっているのではないかというのを民業圧迫という観点から申し上げた次第で、何もADRだけが民であるという観点から申し上げたのではないということをご説明したいと思います。

委員長

ありがとうございました。ほかにございませんか。ではお願いします。

事務局

一つの制度でございますので、委員がおっしゃるように悪用といいますか、悪い方向に使うということがあるかもしれませんが、我々としましても、判定の結果をどのように使われているかというのは今後、十分調査・検討して、もしそういう方向であれば、また何らかの処置を考えたいと思います。また、多分、大企業が使って中小企業をいじめているような印象の使われ方をされるのではないかというご懸念だと思いますけれども、現実には逆のケースの方が結構多くて、中小企業の方が大企業の方と紛争になったときの争いに使うというようなことも結構多くございまして、だから、いいんだということを申し上げるつもりはございませんが、いい面も悪い面も当然ございますので、その辺のところは今後検討していきたいと思います。
また、廃止の方向を打ち出すべきでないというご意見でございますけれども、確かに現状では、この分析にございますように、ちょっとやめるわけにはいかないということで、3年後にやめるかというふうに期限を区切るのもちょっと無責任でございますので、このような書き方にさせていただいております。もう少し廃止の方向ということであれば、その意味で考えますけれども、ただ現状、それから今後、民間のADR機関を我々としても活性化するような策を、ここでは2つしか挙げておりませんが、検討できるいろんな策を講じていきたいと思っております。

委員長

よろしいですか。
それでは、この件については、長期的には競争的な民間機関が機能を負担することが望ましいということについては、皆さんのご意見だと思いますけれども、当面はそういう態勢にないので、特許庁の判定制度を有することもやむを得ないということで、しかし、放っておいても、特許庁の判定制度がある限りはなかなか民間の機関も育ちにくいので、積極的にそういうものが育つような環境をつくるなり、助成するなりということも検討すべきだというようなご意見があったと思いますが、そういうことでよろしいですか。
それでは、以上でADR判定制度についての検討は終わりますが、次に、大きな議題でいうと、ここから3番目の「その他」というところに入りますけれども、あと2つサブテーマが残っておりまして、まず4番目が「損害賠償制度の在り方について」ということであります。5番目が「インターネットを通じた特許審査の手続書類の提供」ということであります。この2つにつきまして、ご説明いただいて、またご審議いただきたいと思います。よろしくお願いします。

事務局

まず、「損害賠償制度の在り方について」でございますが、特許権等の産業財産権の損害賠償訴訟で侵害行為や損害額の立証が困難であるのではないか、実際に認定される損害額が低額であるということで十分に権利者が救済されていないのではないかという指摘がされているということでございます。以前からこういう指摘はあるわけでございますが、こうした指摘を踏まえて侵害行為の立証の容易化、あるいは損害額の立証の容易化のために平成10年以来、累次にわたってこの制度の改善が図られてきたところでございます。
「現行制度」につきましては、具体的にいいますと、まず損害額の立証につきましては、損害額の立証の特例につきましては、もともと(イ)にございます特許法102条の2項というのがございました。それに102条の1項及び3項というのが追加されております。
まず、特許法第102条1項でございますが、これは平成10年の改正によりまして加えられたものでございます。逸失利益の算定方法について、非常に市場構造が単純で、どちらかの利益が一方の損が一方の得というふうになるような構造であればいいんですけれども、侵害品の販売数量すべてを権利者が販売し得たということの立証ができた場合にしか逸失利益の賠償が認められていないということで、妥当な損害の補填がなされてないという状況であったところでございます。このため、102条の1項におきまして、それを救済するために設けられた規定でございます。具体的には、侵害者が譲渡した数量に権利者の単位数量当たりの利益額を掛け算したものを逸失利益とする算定方法を定めております。
(イ)でございますが、これは従前からの規定でございまして、侵害者が侵害の行為により受けた利益の額を請求する者が立証すれば、その利益の額が損害額であるというふうに定められているものでございます。
それから3項でございますが、これは実施料についての規定でございます。従来から実施料相当額を損害賠償額として請求できるというふうになっておりましたが、平成10年の改正以前は、通常の実施料相当という規定でございました。具体的には、「通常」という解釈で国有特許のライセンス料が参酌をされたりするケースがありまして、それは非常に低くなっていたということで、不十分な損害額の賠償しかできなかったということもございます。ここで「通常」という文言を削除いたしまして、個別具体的な事情に応じて実施料相当額というのが認定できるようになったということでございます。
それから特許法105条の3でございますが、これは平成11年の法改正で制定をされた規定でありまして、損害を立証するときに必要な事実を立証するということが難しいというときに、裁判所が相当な金額を全体の審理を通じて認定することができるという旨を明らかにしたものでございます。
続きまして、侵害行為の立証につきましてでございますが、2項目ございます。まず第1番目として、具体的態様の明示義務というのが104条の2項で平成11年改正によりまして新設をされております。これは権利者が相手方が侵害をしているという具体的な行為形態、これを否認するときは、その訴えられた側が自分の行為の具体的態様を明らかにしなければならないということでございます。これによりまして、具体的な侵害行為の特定というものについて、権利者だけでその責任を負うのではなくて、訴えられた側、両方がきちんとそのプロセスに参加しなければならないということになっておりまして、権利者の立証負担の軽減が図られております。そのほか、平成10年、11年につきましては、侵害の立証のための書類提出命令の申立手続及び営業秘密が踏まれる場合のインカメラ審理手続等が定められることになっております。
今回、私どもでデータの制約等で平成10年の1月から平成17年の6月30日について、損害賠償訴訟を訴えた方についてピックアップしまして、損害額の容易化が図られてきたかどうか、あるいは立証が容易になってきたかどうかなどについてアンケートを行っております。
まず、損害額の立証でございますが、平成11年1月から平成17年6月までの特許権または実用新案権の損害訴訟判決で損害賠償が認められたケースのうち、損害額の認定の根拠条文の割合というものが17ページの上に書いてあるところでございます。平成10年に導入をされました102条の1項が一定程度利用されているということが見てとれるところでございます。
続きまして、特許法第102条1行、2項の規定によって算定される損害額というのが、これが実際の損害額に見合ったものと考えられるかということで質問しております。これにつきましては、従来から規定をされています102条の2というのが、「実際の損害額を下回っている」79.2%というのが非常に多くなっておりますけれども、これに比較をいたしますと、102条1項という損害額の認定については、「実際の損害額にほぼ見合っている」ということで、この規定が使いやすくなっているのではないかということでございます。
それからライセンス料の規定3項につきましては、「裁判所が認定するライセンス料率の方が高い」というのが32%、「同程度である」というのが44%、「業界の一般的なライセンス料率の方が高い」とするのが24%でございます。従来問題としてございましたのは、1つには、業界の一般的なライセンス料というものに比較して、裁判所が通常の実施料として認定するものが低くなっているのではないかということでございます。そういたしますと、この裁判所が認定するライセンス料と、それから一般的なライセンス料と裁判所が認定するライセンス料がどう程度であるというものを加えますと76%ということでございますので、ある程度改善しているのではないかということでございます。
立証行為の容易化につきましては、具体的態様が侵害者の側から明示されるようになったというのが52%あったところでございます。そのほか文書提出の申立てを行ったことがあるという者は25%にとどまっております。ただし、これにつきましては、文書提出命令というものが既に規定されたということによって、自主的に侵害者の側から申立てが行われるということで、むしろ、改善ではないかという見方もできるかと思っております。
対応の方向でございますけれども、全体として見ますと、改善が図られているのではないかと考えられるところでございます。ただし、事例もまだまだ少ないということもございますので、現行運用制度を踏まえて、引き続き、この損害賠償制度における侵害行為、または損害額の実証の容易化については注視をしていきたいと考えております。
それから、インターネットを通じた特許審査の手続の書類の提出につきましては、これはご報告でございますけれども、現在、アメリカ及びヨーロッパにおきましては、2003年からインターネットで特許審査の手続資料というのを無料で閲覧することができるということになっておりまして、我が国もこういうことをやっていきたいということでございます。
具体的にいいますと、2011年に本格施行を行うのでございますが、2006年の初頭から試行的に無料提供を開始するということでございます。このうち、2006年から行うものにつきましては、2003年の7月以降に、特許庁から出願人等に発送された情報をインターネットで無料提供できるようにしていきたいと考えております。
以上でございます。

委員長

どうもありがとうございました。では、今の2点ですが、損害賠償の制度改正の効果についての調査をご報告いたしました。それとインターネットを通じた特許審査の手続についてのご報告ということですが、この2点につきまして、何かご意見、ご感想等おありでしたらお願いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
アンケートというのは、対象はどういう対象なのか、どうなっているんですか。

事務局

アンケートでございますが、これはデータの制約がありまして、平成10年の1月から平成17年の6月30日まで産業財産権4法の侵害についての損害賠償請求訴訟で、請求が認められたか、または一部認められたという権利者に対して行っております。全体で対象となるのが110程度でございます。回収の回答率でございますが、そのうち3割程度ということでございます。

委員長

どうもありがとうございました。委員どうぞ。

委員

こちらのⅣの損害賠償の在り方の方ですが、細かい点は別として、アンケート等、ないしは特許庁の方でまとめられた対応の方向性の方は、概ね私が認識しているところと符号するところでありまして、平成10年、平成11年の改正を経て、それに基づいた実務の運用の工夫等があって、このような形で全体として改善が図られているということですので、もちろん、個別の形でいろいろ工夫の余地等はまたあり得るところでしょうが、立法において大きく改正を行うというよりは、ここにありますとおり、現行制度の中でいろいろな運用上の工夫が図られていくので、それを見て今後も考えていくという方向性というのは非常に妥当なものではないかと思っております。
以上です。

委員長

どうもありがとうございました。ほかにございますか。委員どうぞ。

委員

現行法では、損害賠償を損害てん補というふうに考えているわけです。損害てん補という以上は、このようにならざるを得ないと思います。問題点は、損害賠償は損害てん補機能しかないので、侵害発生を抑止する機能はないというところにあります。ただ、知的財産の損害賠償だけでの問題ではなくて、日本の損害賠償制度がいわゆる経済的な違法行為に対する制度としてどうなのかという問題の一つであります。

委員長

ありがとうございました。ほかに。

委員

侵害のところは内容に問題があるわけではないんですが、アンケート結果について、回答が二、三割と、それをもって効果があるとする、そういう感覚がちょっと理解できない。残りの七、八割は役立たないという声かもしれません。そういうのは何もわからないと。こういうのを特許庁として、効果があったという数字を使えない数字だという理解をしてほしいんですね。私の常識では、会社であったら、こういうアンケート結果で回答率が二、三割だと、これで効果があったと外部に言うデータとしては使えない。使うなら別のデータをもう一回とってやるとか、それは印象だけなので言い過ぎかもしれませんが。
それからもう一つ、これと別にインターネットの方でよろしいですか。

委員長

はい、どうぞ。

委員

ここのことをやるのは、アメリカとかヨーロッパはもうやっているわけですから、どんどんやるのは当たり前で、遅きに失しているというぐらいのところだから一向に構わないんですが、これと別に、インターネットで情報の提供ということで、現場のというか、実務の方で言われたことがあると言っておいてくれと言われたのは、分割出願で親をたどるというときに、直線的に親、子、孫と縦の一列は孫からすぐ引けると。横のつながりが引けない。要するに分割とかいっぱいあって網のようになっている。それを一網打尽にパッとはかると、そういうようなシステムに非常に苦労しているというのがあるので、そこを何とかしてくれないかというのが1つと、もう一つは、これはかねて私がずっと言っているんですが、PCT出願で各国移行というときの移行したかしないかのことが非常にわかりにくい、時間がかかる。これは実務上非常に重要な問題なんです。
例えばライバルの特許があって、それは各国移行したかしないか。要するに権利化に進むのか、断念したのかというジャッジなわけですから、判断したら直ちに外部からチェックできてわかる体制が望ましいんですが、なかなかそれが見えない。特許庁さんにも、前から私は個人的にもいろいろ言っているんですが、なかなか難しい面がいろいろあるようですが、あえてインターネットとか、こういう情報の提供という意味では、こういう包袋ということだけではなくて、そういうのもありますので、そういうニーズに応えるべく前向きで取り組んでいただきたい、こういうことです。

委員長

ありがとうございました。アンケートの回収率については、最近、私は統計審議会の委員もやっておりまして、政府統計が非常に回収率が低くなって、最近のセンサスが一番いい例なんですけれども、なかなかプライバシー意識の高まりとか難しい面がありまして、回収率が低くくて悩ましいところではあるけれども、統計的に言えば、確かに二、三割の回収率で、どの程度母集団の傾向を推し量れるのかというのは極めて疑問なところでありますので、回収率を上げるような努力を今後はするように、ぜひとも事務局の方でお願いいたしたいと思います。
2点ご指摘いただいた、分割で親を追えるようにと、PCTの話については何かございますか。

事務局

ご要望の点については、業界とのコンタクト等により伺っておりまして、我々の方としても、そのような要望があるということは認識しているところでございます。また、今後最適化計画完了時には大幅に機能アップするわけですけれども、それに向けてできる範囲の中で改善はしていきたいと思っています。ですが、コストあるいは全体の要望の中での選択になっていくということはご承知おきいただきたいと考えております。
以上です。

委員長

ほかに何かございますか。委員。

委員

損害賠償のアンケートは非常におもしろいんですけれども、102条の2項で実際の損害額を上回っているというのが8%ぐらいありますね。これは推定規定ということですので、侵害をされた方は、実際にはこういう損害額じゃないといって覆すこともできるのではないかと思うんですけれども、こういうケースは実際どうなったかというのを、つまりライセンス料で本来考えるべきじゃないかと思いますけれども、これは非常に細かい点なんですけれども、こういったケースはどうなったか、もしご存じだったら教えていただきたいと思います。

委員長

いかがですか。確かに上回っているというのが8.3%あります。

事務局

個別のケースにつきましては、どういう事例かというのは、今手元にございませんので、後ほどご報告します。

委員長

委員。

委員

先ほどの委員のご指摘ですけれども、回収率がどこに書いてあるのかよくわからないので、回収率も明確に書いて出さないと、このアンケートは全員が回答したように思われるといけません。そこはきちんと書いておいていただきたいと思います。

委員長

どうもありがとうございました。ぜひともそのようにお願いいたしたいと思います。

事務局

アンケートにつきましては、もともと母数というのが限られているということもありますし、そこでいろんな回収の努力をやっておりますけれども、なかなかそれに協力していただけないというところもございます。できるだけ、回収率を上げようとは思いますが、それに協力していただけないというところもございます。できるだけ、回収率を上げようとは思いますが、ここで大きな傾向というのは読み取れるというふうに思いますし、かつ一つの評価としてあり得るのではないかというふうに我々としては評価しております。

委員

私の発言は、評価の問題ではなくて、数はきちんと書いてくださいというお願いです。

委員長

そのとおりだと思います。ほかにございますか。委員どうぞ。

委員

素人感覚から言うと、きちんと評価できないんだと思うということは認識していただいた方が、今、胸を張ってきちんと評価できるというのは、やはり違うと思う。なぜならば、ちょっと申し上げさせていただきたいのは、これは知財推進計画にも書いてあることですけれども、法律家さんがいっぱいいるので怒られちゃうかもしれないけれども、日本の法律というのは、大体、悪いことをされた側があんまり救われない法律制度になっているんですね。名誉棄損だって何だってそうですけれども、訴えられたら大体損するんですよ。痛い目を見るということになっていて、知財だって適正と世間が認めてくれる損害額にやって近づけるという努力までやっていなくて、本来なら3倍、4倍ぐらいもらったってよさそうな気もするけれども、基本的に侵害した方が得になるようなケースもいっぱいあるというのが現状にあって、ここで損害額を上げるという流れがあったということを考えると、損害賠償額をきちんと見積もりたいという、なるべく実態に近づけたいという流れがあったことを踏まえると、今のおっしゃるような胸を張れるような現状でないものを踏まえて、これを引き続き注視するというのは、また、これは非常なる不安感がぬぐい去れないんです。
それで、それはどうしたらいいかということを、皆さんのご意見も伺って個別具体的ないろんな判例を調べる、判決を調べてみるだとか、あるいはその判決の個々の額の推移を見てみるとか、客観的に調べられるようなものを特許庁として真剣に調べなければ、これはある種の調査会社等に思いつきのアンケートをポンと投げて、それでやるというのでは、いかにも法律の所管官庁としては、怠慢というそしりを免れないのではないかということを感じる次第です。

事務局

我々はアンケート以外にも捕捉的に、当然、判例の調査であるとか、ヒアリング等もかみ合わせて評価をしたいというふうに思っております。

委員長

あくまでもアンケートの回収率に二、三割というようなアンケートに基づいた判断であるというきちんとした限定は付けるべきだというふうに私も思いますので、そのようにお願いいたしたいと思います。
ほかにございませんか。
それでは、この4番、5番の問題については、これでご議論を終わりたいと思いますが、本日の議論を振り返りまして、最初から通しまして、何か特にご発言がおありでしたらお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。

委員

最初の点ですけれども、全体、模倣品対策ということが出てきていることはよくわかるんですけれども、輸出の中の中身のところで、「模倣品」と書いてあるところと「侵害」と書いてあるところがあって、基本的には「侵害品」だというふうに認識をしているので、そういう意味では少しコンフュージング、「侵害品」に統一していただいた方がいいんじゃないかなというふうに思っております。

事務局

ご指摘を踏まえて、そこは修正をしたいと思います。

委員長

ほかにございませんか。よろしいですか。
特にご意見がございませんようでしたら、本日の小委員会はこれで終了いたしたいと思います。
最後に、今後のスケジュールについて、事務局の方から説明をお願いいたしたいと思います。

事務局

それでは、今後のスケジュールでございますが、次回は12月27日、年末お忙しいところ大変恐縮でございますけれども、27日10時30分から、その次々回につきましては、来年の2月3日10時30分から開催を予定いたしております。よろしくお願いいたします。

委員長

それでは、以上をもちまして、産業構造審議会知的財産政策部会第21回特許制度小委員会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。

閉会

[更新日 2006年3月7日]

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