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審議会

資料2

特許侵害に対する救済措置の拡充について

平成10年10月19日
特    許    庁

A損害の立証の容易化(計算鑑定人制度の導入)

1.現状と問題点

  

 特許権等の侵害訴訟においては、侵害者側に損害の計算に必要な証拠が偏在するという特殊の事情があることから、特許法105条では、民事訴訟法の文書提出命令の特則として、損害の計算に必要な書類の提出を求めることができるよう制度上担保している。しかし、なお、以下のような問題があるとの指摘がある。

@

提出された文書の量が膨大で、一般的に経理・会計の専門家ではない裁判官、弁護士には、文書を正確かつ迅速に理解することは困難。

A

提出された文書が、略語を使って表記されたものであった場合や、コンピュ −タ管理された帳簿類の打ち出しデ−タであった場合は、その内容について説明を受けることなしには部外者には理解できないが、特許法105条は文書提出者に説明することまでは求めていない。

B

提出された文書に対して、改正された民事訴訟法上の当事者照会等の制度を 活用しても、相手方が説明に応じない場合には、文書の内容を理解できない場合がある

 

2.改正の方向

 

 上記に指摘した問題点を解決し、損害額認定の迅速化及び効率化を図るためには、次のことが必要であると考えられる。

@

相手方に協力義務を課すこと

A

経理・会計的知識を持った専門家を活用すること

 これら全ての条件を満たすためには、相手方に協力義務を課し、損害の計算に必要な書類を中立的な第三者(鑑定人)に見せて、その第三者から損害の計算に必要な事項を裁判所に報告させるという制度(計算鑑定制度)を導入することが最も現実的であると考えられる。具体的には、以下のような見直しを行う。

 

 特許侵害訴訟における計算鑑定制度を実効性あるものとするため、

@経理・会計の専門知識を有する中立的立場の公認会計士等を、裁判所が「計算鑑定人」として選任する。

A当事者は、鑑定人に対して鑑定事項の調査に必要な説明をする義務を負うものとする。もしくは、鑑定人は、当事者に対し、鑑定事項の調査に必要な説明を求めることができるものとする。(なお、説明義務に加え、必要な書類の提示義務についても規定してはどうかとの指摘がある。)

B鑑定人は、鑑定に際し知ることのできた秘密について、守秘義務を負うものとする。(義務違反の場合の制裁規定が必要。)

C裁判所は当事者の申立てにより、損害の計算に必要な書類の保存を命ずることができるものとする。(なお、民事訴訟法上の証拠保全や文書提出命令で対応可能ではないかとの指摘がある。また、保存命令を設けることとした場合、手続規定や命令違反への制裁、保存に要する費用負担をどうするかとの指摘がある。)



参考2


(注)

 なお、審議会においては、当事者が鑑定人に協力しない場合についての議論がなされ、鑑定への協力もしくは自発的な証拠開示のインセンティブを確保するためには真実擬制等の制裁が必要との意見が出されたが、一方、一私人である鑑定人に協力しない場合に制裁が可能なのか疑問、協力しない場合は文書提出命令や弁論の全趣旨に反映させることで対応可能等の指摘がなされている。


(参考)民事訴訟法における鑑定

 鑑定とは、鑑定人を証拠方法とする証拠調べをいい、鑑定人は自己の専門的知識を具体的事例に適用して得られる結論・判断を意見として報告し、裁判官の判断能力を補充する第三者である。鑑定人から報告された意見に基づき事実を認定判断するのは裁判所であり、鑑定人の意見を採用するかどうかは裁判所が判断する。なお、当事者も第三者も、鑑定人の鑑定調査を受忍して、これに協力する義務はない。 

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