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第16回商標制度小委員会 議事録

  1. 日時:平成17年12月22日(木曜日)16時00分~18時00分
  2. 場所:特許庁 特別会議室
  3. 出席委員:土肥委員長、小塚委員、琴寄委員、篠原委員、鈴木委員、高澤委員、高部委員、竹田委員、根本委員、萬歳委員代理(白石氏)、松尾委員、本宮委員
  4. 議題:商標制度の在り方について(報告書案)

開会

土肥委員長

それでは、ちょうど定刻でございますので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会第16回商標制度小委員会を開催いたします。
前回は商標制度の在り方につきまして、「小売業等のサービスマークとしての保護」、「権利侵害行為への『輸出』の追加」、「コンセント制度について」の3テーマについて論点整理を行うべくご審議をいただき、皆様からご意見をちょうだいいたしたところでございます。
本日は、これまでの議論を踏まえ、事務局において作成した報告書「商標制度の在り方について(案)」につきましてご審議をいただきたいと存じます。
それでは、事務局から配付資料の確認をお願いします。

田川審議室長

それでは、配布資料の確認をさせていただきます。本日の配布資料は、議事次第、配布資料1枚になっておりますが、それと委員名簿、そして報告書案といたしまして、「商標制度の在り方について」、以上でございます。

土肥委員長

ありがとうございました。それでは、早速、議題に入らせていただきます。
本日は報告書「商標制度の在り方(案)」の全体についてということで、前半部分と後半部分について、それぞれ時間をとってご審議をいただきたいと存じます。
初めにまず前半部分について、事務局から説明をお願いいたします。

田川審議室長

それでは、報告書案につきまして御説明いたします。これまでの議論を踏まえて、事務局で整理をいたしております。
まず、「小売業等の商標の保護の在り方」でございます。平成4年にサービスマークの登録制度が導入をされまして、金融、運輸など、いろいろなサービス業の商標がサービスマークとして登録をされております。小売または卸売といったサービスにつきましては、商標法上は商品の譲渡をする行為ということで、商標法のサービス、役務の対象になっていないという実態がございます。
こうしたことから、例えば不特定多数の商品を扱うような小売業の場合には、他の業種と比較して、その商標管理のコストが非常に大きくなっているとか、あるいはその商標の選択の自由度というのが狭まっているという御指摘があるところでございます。現行法の保護の体系につきましては、商標法の「役務」というものは、他人のためにする労務又は便益であって、独立して商取引の対象となるものということになっております。現在の解釈では、小売又は卸売といったサービスにつきましては、「役務」というふうに扱われておりません。
一方で、実際に小売業の提供するサービスというものはどういうものかといいますと、譲渡を超えて本質的なサービスとして商品の品揃え、陳列などの購入の便宜の提供ではないかということでございますけれども、そういったことが商標法上の役務として認められていないということが1つ問題でございます。
国際的な動向を見ましても、ご承知のとおり、世界各国で小売業等の商標をサービスマークとして登録をするというのが国際的な趨勢でございます。また、ニース協定におきましても、小売業、卸売業の提供いたします商品の販売に伴う便宜の提供といった行為につきましては、役務と区分をされることになっております。
アメリカ、英国の例でございますけれども、それぞれに非常に広範な小売業、あるいは卸売業の登録を認めているという実態がございます。
続きまして、小売業のサービスというものがどういう性格のものかといいますと、近年の流通産業の発達によりまして、商品の種類を超えた非常に多様な商品を品揃えをし、これを販売するためにいろいろな独自の販売形態を持って付加価値の高いサービスを提供する小売業が発展をしているということでございます。
具体的に見ましても、例えば総合小売においては、独自の流通システムを持つとか、それによって非常に多数の品物を取り揃えるとか、あるいはカタログ、インターネットによる通信販売なども出てきている状況でございます。
消費者の視点から見ますと、小売業のどういうところを見ているかといいますと、個別の商品というところもございますけれども、やはり、品揃えであるとか、接客、店舗形態、業態などに注目をして、その小売業の選択を行っているのではないかと考えられるところであります。小売業の使用する商標というのは、こうしたサービスの出所を表示するものとして認識されているものと考えられるところでございます。
同様の卸売業についても、その対象が流通業者か、あるいは最終消費者といったところの差がございますけれども、基本的には同じものと考えられるところでございます。
次に、小売業のサービスマークと商品商標との関係につきましては、小売業のサービスマークというのは、まず、その目的について見ますと、他人の商品を含む多数の商品の品揃えであるとか接客、そういったものを提供するということで、そこに使われる商標というものも、そのサービスの出所を表示するものであります。
一方、商品商標は、取り扱い商品、その商品自体に着目をして、差別化を図って、その出所を表示する目的であるということでございます。
また、使用形態につきましても、小売業等におきましては、例えば店舗においては店舗名であるとか、あるいは広告、制服そのほか店舗の中で使われているいろいろな什器類に付されるというケースが多いと考えられます。一方、商品商標につきましては、具体的なその製造または販売の商品自体の出所を表示するものでありまして、具体的には商品または商品の包装等に付されて使用されます。こういった使用形態の差があるのではないかということでございます。
対応の方向でございますが、こうした状況を踏まえまして、小売業、卸売業の提供する役務をサービスマークの登録の対象として認めていくことが適切ではないかということでございます。なお、小売業の役務商標と商品商標、これは使用の目的、または使用態様対応が異なるということでございますので、その商標権をとるという段階においては、それぞれの特徴に応じて選択を行うということが適切であると考えております。
2点目の論点といたしまして、権利範囲の明確化のためにどういう表示方法をとるかということでございます。例えば、一般的に小売業というような表示では、これでは非常に広くなるということもございます。これにつきましては、具体的な運用の中でアメリカ、欧州等の諸外国の例を踏まえて明確性というものがはっきりするような取り扱いにしていきたいというふうに考えております。
続きまして、前回もいろいろご議論いただきましたが、審査での取り扱いについてでございます。
まず第1の問題といたしまして、使用意思の確認というのを挙げております。ご承知のとおり、商標出願におきましては、1つの区分で料金が定まっているということでございます。今回、小売サービスというのを認めた場合に、1つの区分の中で非常に網羅的な小売業、または卸売業の役務の記載というものが可能になるわけでございます。そういたしますと、例えば、小売と商品の間、これについて類似関係を前提にいたしますと、1つの類で網羅的に小売業の指定をすることによって、他人の登録を排除することが可能になるといったことも懸念をされるところでございまして、これはある意味、制度の悪用につながりかねないところではないかと考えております。
この問題につきまして、1つの考え方といたしましては、35類の中で小売のところをもう少し細分化をした区分をつくって、細分化された区分ごとに出願手数料や登録料を課すといった、料金によってこうした事態を牽制することができないかというアイディアがあり得ると思います。このアイディアにつきましては、実際の問題といたしまして、海外で出願されたものが日本に送られてくる国際商標登録出願、いわゆる「マドプロ出願」での料金徴収が、現在では、区分ごとにその料金を国際事務局に徴収をしてもらっており、対応が難しい点がございます。そのほか、我々が調べましたところ、区分の中でいろいろな料金の格差を付けているところもございませんので、こうしたところからは少し問題点があるのかというふうにも考えております。
こうしたことを考えますと、一つのやり方といたしまして、使用意思または使用実態の確認を行うということがあるのではないかと考えております。現在、商標法3条1項柱書きには、自ら使用する商標について、商標登録を受けることができるとなっております。この規定の運用を強化をするということで、例えば、使う意思があるかないかといったところをきちんとチェックをするということによって、ある程度の牽制効果が働くのではないかと考えております。
この場合に一つ論点として、現在の商品商標または小売以外のサービスマークにつきまして商標登録を出願するときに、この3条1項柱書き、要するに「自らが使用をする商標について」という部分に基づく使用意志や使用実態の確認の運用をどういうふうにするかということについては、きちんとした検討を行っていきたいと考えております。
続きまして、具体的な類似関係についての審査でございます。まず、著名商標との間で問題があるようなケースでございますが、これにつきましては、きちんと商標法の4条1項15号にあたる、著名商標が既にあった場合、その出願は拒絶をされるということでございます。
周知商標につきましても、4条1項10号(周知商標に基づく拒絶理由)を適用して登録をしないということが適当であろうと考えております。
この2つケースで拾えないようなケース、該当しないようなケースをどうするかということにつきましては、小売業の役務商標と商品商標につきましては、使用目的、形態が異なるということで、その出所混同の蓋然性というものは商品間、例えばお酒と焼酎の間であるとか、あるいは非常に近いサービスの間の関係と比較しますと、それほど高くないかもしれないと考えられるところでございます。
こうしたことから、特定の事業者の商品商標、商品を取り扱う小売業者の提供する役務という間に、同一または類似の商標が使用されたとしても、必ずしも一般的な出所混同を生ずるおそれがあると一律に考えることはできないとも考えますけれども、小売業者等に提供するサービスにおいて取り扱う商品の内容、あるいは小売業の商標の使用実態、使用対応によりましては、同一の事業者から提供されるものとして、出所混同が生ずる場合もあるというふうに考えられるところであります。したがいまして、商品と小売業者等のサービスが類似する場合があるということを前提にいたしまして、特定の商品商標との間で出所の混同が生ずるおそれがあると考えられる場合には、合理的な範囲で商品と役務の間で類否関係、抵触関係というものが生じないように審査の枠組をさらに検討していきたいというふうに考えております。
それから、小売業間の類否関係というものもございます。単一の区分の中で非常に多くの小売業というものが出願されるのが想定をされるところであります。しかしながら、これを一つの小売業という概念の中で、一つのグループとして同一、または類似というふうに扱うということが適切かどうかという問題がございます。これにつきましては、取り扱う商品分野あるいは小売の業態によって混同が生ずるかどうかといったところを実態に即して審査できるように、さらに枠組を検討していきたいと考えております。
最後でございますが、経過措置につきましては、この小売業、既に施行前に小売業のサービスマークとして、信用が蓄積しているといったところに配慮をする必要があるというふうに考えております。これにつきましては、例えば、出願日の特例、これはサービスマーク登録制度のときに、最初の日に集中しないようにある一定期間同日に出願されたものとして取り扱った措置でございますけれども、こうした措置や継続的使用権などの経過措置を念頭に置いて、混乱を生じないような制度設計にしていきたいと考えております。
続きまして、輸出の追加でございます。問題の所在につきましては、これまでご説明してきたところでございます。模倣品対策というのが非常に重要になっているということでございまして、これまで基本的には輸入の水際で取締を行ってきたということでございますが、各国とも、その大元になるところ、これを押さえるということが必要ではないかということでございます。我が国は「模倣品、海賊版拡散防止条約」というものを提唱いたしております。これは模倣品あるいは海賊版の輸出及び通過とを各国が規制して、世界全体で漏れのない模倣品対策をやっていこうということでございます。
小泉総理も「知的財産侵害の拡散防止に向けた国際的な約束をまとめていくべき」と提唱しておりまして、政策的に模倣品対策ということで権利侵害品の輸出の制限をしていこうという考え方を持っております。
この際に問題になりますのは、現行商標法の問題でございます。輸出行為が侵害行為として明確に規定をされておりませんので、例えば、商標を付す行為や譲渡の段階で侵害行為を捕捉できない場合、またはこうした行為が秘密裏に行われている場合に、商標権を侵害するものが輸出の段階で発見されるというケースもあるわけでございますが、こういったときに、差し止め等を行うことができないということでございます。
そのほか、通過についても侵害品が日本を経由して他国に行く場合に、日本からの輸出ということで偽装するというケースもり、模倣品の流通を防止するため通過というものも水際で取り締まるということが必要ではないかと指摘されております。
現行商標法の取扱につきましては、侵害物品を国内から国外に送り出す「輸出」行為はご承知のとおり、商標の「使用」行為に規定をされていないということでございます。
それから譲渡との関係につきましては、国内から海外へ侵害物品が搬送されるということによって、所有権の移転がなされ、こうした行為が譲渡に該当するか否かというところにつきましては、明確な裁判所による判断、または学説もございません。こうしたところから明確化を図っていくということが必要であろうと考えております。
海外の取り扱いを見ましても、ヨーロッパ等において「輸出」というものを侵害行為として規定する明文上の規定がございます。アメリカにおきましても、「輸出」自体は侵害行為に明記をされておりませんが、これは解釈上、「取引上の使用」というところに入るとされております。
対応の方向といたしまして、商標権の譲渡等を独占的に行う経済的な利益を万全に適切に保護するためには、「輸出」を侵害行為に追加するということが必要であると考えているところでございます。このため、こうした「輸出」というものを侵害行為として追加をすることによりまして、国内の侵害行為を抑止し、かつ水際においても侵害物品の取締を実効的に行うということが可能になってくるということでございます。
こうしたことから、標章の使用行為に「輸出」を追加するということが適当であると考えております。
それから、現在譲渡等を目的とする所持というのが商標上「侵害とみなす行為」として規定をされております。この輸出の前段階である「輸出を目的とする所持」、これにつきましても譲渡の前段階、あるいは輸出の前段階ということで同じような位置づけであると考えておりまして、「輸出を目的とした所持」というものを「侵害とみなす行為」に追加をすることが適当であろうと考えております。
なお、関連する事項としては、「輸出のための展示」というのは、譲渡のための展示であれば、例えば、店頭にいろんなディスプレーをするとか、あるいはパンフレットを配るといったことが考えられるわけでございますけれども、輸出という国内から国外に送り出す行為については、こうしたことは余り想定できないのではないかということで、使用行為として規定する必要では少ないのではないかといをことでございます。
それから、「侵害とみなす行為」との関係でありますが、ラベルや、広告物などの商標表示物の製造や販売等の予備的な行為などが「侵害とみなす行為」として規定をされております。しかしながら、国外でラベルや広告物等が使われるのは、国外で既遂になる行為でございますので、こうした行為まで商標法によって規定をするのは適切ではないと考えております。
通過につきましては、前回ご説明をした考え方のとおりでございます。(a)の領域通過、(b)の我が国を仕向地とせずに、貨物が荷繰り等の都合でいったん日本に陸揚げをされて、再度どこか第三国に輸出をされるケース、(c)のケースといたしまして、我が国を仕向地として、保税地域に置かれた貨物、これが仕分けだとか改装が行われた後に、通関をすることなく、我が国から輸出をされるものの3つのケースが考えられるところであります。この(c)のケースにつきましては、模倣品が製造国から日本に陸揚げをされて、積み戻された上で外国に輸出されるということで、例えば、日本発ということになりますと、第三国、外国での水際の取締が少し緩くなるとか、あるいは日本発ということで、日本の商標権を侵害するような模倣品というものが本物らしく見えるといった問題が生じております。
こうしたときにまず問題になりますのは、輸入という行為がどこで既遂になっているかという点でございます。これにつきましては、我が国の領域に陸揚げされた段階で商標権が及び得るという解釈をとることが適当ではないかと考えております。
また、陸揚げされて保税地域に置かれ放置されたものは、国内において侵害品について譲渡等を行うということが可能でもございますので、国内で製造された侵害物品と同様に権利者の利益を損なう蓋然性が高いということでございます。したがいまして、一般的な「通過」と考えられる行為のうち、我が国を仕向地として、いったん保税地域に置かれたようなものについては再度国外に送り出す行為を輸出に該当するものとして、侵害行為として考えることが適切ではないかというふうに考えるところでございます。
こうした考え方を受けまして、財務省におきましても水際の措置として、こうした形態の「通過」というものを規制する方向で、現在検討を進めているところでございます。
続きまして刑事罰の強化でございます。商標権の侵害に対する抑止力を高めていくことが必要になっているところでございます。現在の商標権侵害罪に対する刑事罰は5年以下の懲役、500万円以下の罰金ということになっております。
懲役刑と罰金刑の併科というものは規定をされておりません。法人重課につきましては、1億5,000万円以下と規定をされております。
まず、1つ目の方向といたしましては、この商標権侵害自体は財産権の侵害であって、経済的な利得を目的として行われるということでございます。懲役刑が課された場合には、経済的制裁である罰金を併科されない状況にあるということでございますので、併科にすることによって経済的な制裁も加えていこうということでございます。ちなみに著作権法及び不正競争防止法でも併科は導入されております。
法人重課につきましては、現在、1億5,000万円でございますが、これを不正競争防止法の法人重課額、最高額が3億円とされております。この知的財産権全体のバランスという観点から罰金刑の上限を3億円以下の罰金に引き上げることが適切であると考えております。
以上でございます。

土肥委員長

ありがとうございました。それでは、以上の説明を踏まえまして議論に移りたいと存じます。どうぞ自由にご意見をお願いいたします。
基本的には、前回皆様にご了承いただいた、それをベースにしておりますので、内容的に大きく変わったというところはないんですけれども、例えば、3条柱書きあたりについて、少し厚めに書いておるところもございますし、こういうところは、恐らく実際にはユーザーの方、代理の方あたりの出願をめぐるビヘイビアといいますかね。このあたりの適切な行動が非常に求められるというか、重要になってくるんではないかと思うんですけれども、ご意見ございませんでしょうか。鈴木委員。

鈴木委員

それでは、資料の10ページの使用の意思の確認のところなのですけれども、企業の行動として考えられるのが、ハウスマーク等の著名商標を防衛的に出願する場合というのがあり得るのではないかと考えております。したがって、ブローカー対策ということで、これは厳格に審査するということであれば、統一的な審査をしていただいて、防衛的な出願も不要だと認識が定着するぐらい、そういう統一性を持った審査をしていただきたいと考えております。

土肥委員長

ありがとうございました。高部委員も挙手をなさったと思いますけれども、どうぞ。

高部委員

11ページのところで確認をしておきたい点があります。(c)のところで、特定の事業者の製造販売にかかる商品と、小売業者の提供する役務との間で、同一・類似の商標が使用されたとしても、必ずしも一般的な出所混同を生ずるおそれがあるとは評価されない場合があるということと、(d)のところでも4行目ぐらいですけれども、小売業の役務商標の間でも出所の混同のおそれが生じない関係があり得るという記述があるわけですが、これらの混同が生じない、生ずるおそれがない場合というのは、具体的には、どういう場合を想定しているのかという点を確認したいと思います。

土肥委員長

今の確認についてお願いします。

貴田審議企画班長

まず商品と役務の関係で誤認混同が生ずる場合とはどういう場合かということでありますけれども、基本的には、小売において主たる取り扱い商品というのが、何かというところで判断が行われるのではないかと。主たる取り扱い商品と商品が重なるような場合には、混同を生ずるおそれが高いことになろうかと思いますし、そこが違うということであれば、逆に混同のおそれが低いと評価されると考えております。

高部委員

すみません。私が聞きたいのは、混同を生ずる場合ではなく、生じない場合があるということが前提で記載されているので、混同が生じない場合というのは、どういう場合を具体的に想定されているのかという点です。

貴田審議企画班長

まず、商品と役務との関係におきましては、先ほど申し上げましたとおり、主たる商品が特定できないといったような場合、例えば、総合小売という場合が想定をされます。こうした場合につきましては、主たる商品を特定できないので、商品商標との間で混同が生じるおそれが低いと評価をされるんではないかと思っております。
それから小売役務間の類似関係につきましても、同様に今の例でいきますと、主たる商品というのが特定できない場合と、特定の商品というのが観念できる場合、例えば、総合小売の場合と、例えば靴の小売というような場合でありますとか、あるいは全く取り扱っている商品が違う場合、例えば、野菜の小売と自動車の小売というような場合、こういう場合には混同が生ずるおそれは少ないというふうに評価できるんではないかというふうに思っております。

土肥委員長

よろしゅうございますか。

高部委員

靴の小売と野菜の小売で混同を生じないというのは、当然、そうだろうと思いますけれども、総合小売というのはあらゆる商品を扱います総合小売りと特定の商品の小売とは、混同を生じるおそれがないとお考えでしょうか。

土肥委員長

多分、そこは十分詰めて今から考えていくことになると思うんですけれども、基本的には、そういう考えだろうと思います。つまり、商品の場合も34類ありまして、そのすべてについて見ているわけでないので、35類の中のサービスについても、1類の中にすべてあるんですけれども、そのすべてが類似関係にあるというふうに見ていくのではない、基本的に商品と同じようにパラレルに考えて、サービスの場合も小売の場合も考えると。その中を実際、どういうふうに見ていくかというのは、これからの審査基準等の策定、その段階で問題になるんだろうと思うんですけれども、基本は商品とパラレルになる。つまり、商品の場合も同様にサービスの場合も、そういう類似する場合も類似しない場合もあるだろうと。そういう見方だと思いますが。

高部委員

わかりました。そうしたら、ぜひ、審査の段階で、その点が反映できるような基準をつくっていただきたいと思います。

土肥委員長

根本委員どうぞ。

根本委員

私も役務と商品商標の類似について、11ページの部分ですが、著名商標と周知商標についてのプロテクトについては書かれていますが、企業側としては、例えば新商品を売り出していこうという際に、一気に大量の商品広告宣伝をテレビCMや雑誌等の媒体を通じて大々的に活動を開始していく企業が多く、ただし販売を開始した時点ではまだ商標法でいう周知著名を獲得してはいないという商標について、そういった形で広告宣伝に投資している商品の名前が、特定の商品の小売業、もしくは特定エリアの小売の名前と同一であるといった場合は、やはりその商品の出所の混同ということが少し心配に思います。もしくは売り出し始めの大事な新商品の商標の価値の希釈化というところも気にするところであります。
そうは言っても、ではクロスサーチをするということになりますと、我々企業側としては、商標の採択の場面で、何千、何万という小売業者といわばネーミングをめぐってのライバル関係になるということになるわけです。これは今述べた事と少し矛盾するのですが、一方ではそういった点で商品ネーミングの選択がこれまで以上に難しくなるのではないかという声も、マジョリティではないのですが、あったということも紹介させていただきます。

土肥委員長

ありがとうございました。ほかにご意見ございますでしょうか。松尾委員。

松尾委員

意見というよりもお聞きしたいのですが、先ほど10ページの使用の意思または使用実績の確認を行うというところ、あっさりと通過しましたけれども、これは具体的にどういうことを考えていらっしゃるんでしょうか。商標の簡素化条約との関係で、出願時に、資料を提出させるということはできないだろうと思いますが、確認を厳格にするということになりますと、具体的な運用の方法をどういうふうにお考えか、それを聞かせていただきたいと思います。

土肥委員長

この段階で何か……、お願いします。

芦葉商標制度企画室長

今、先生おっしゃられましたように、条約との関係で出願時に何か余計をことを負荷させるということはできないということになっておりますけれども、例えば、小売業商標の場合に、今回、役務の表示も検討中なんですが、何々業という業態がはっきり書かれるとすれば、通常、一般的に行われている何々業と何々業を同時に行っているかどうかというのは、大体、その蓋然性はわかるのではないかと思われます。通常同時に行っている業態以上のものが書かれている場合には、実際に行っていますでしょうかということを拒絶理由で確認させていただきたいというふうに考えております。出願のときではなくて、拒絶理由の応答として、それを確認させていただきたいというふうに考えてございます。

土肥委員長

よろしゅうございますか。本宮委員。

本宮委員

今の点に関連してですが、業務に関して、業務記載等が条約との関係で要求できなくなり、拒絶理由で対処ということになりましたけれども、ある意味実効性がなければ、拒絶理由をかけたけれども、実際、こういう書類を出していけば大丈夫なんだよというように、それでクリアできてしまえば、実効性は担保されないと思いますので、ある程度、実効性が担保されるような形を望みます。それはある意味、通常の出願にも同じように適用するということであれば、不使用対策といいますか、不使用商標が発生するという、その対策にもなると思いますので、ぜひ、その辺は実効性がある形を望むところでございます。

土肥委員長

ありがとうございます。まさにおっしゃるように、不使用商標の問題というのは当然あるわけで、全類を出願人というか、代理人の方が35類全部挙げるというようなことをやってもらうと、この制度はなかなかうまくいきませんので、ぜひとも弁理士会におかれましては、十分そのあたりを徹底していただいて、よろしくお願いいたします。

本宮委員

わかりました。

土肥委員長

ほかにございますでしょうか。よろしゅうございますか、基本的なこういう内容、方向で。高部委員。

高部委員

輸出の関係で確認をしたい点があります。15ページでは、通過の関係で(a)、(b)、(c)と書かれていて、(c)については輸出に当たるという記載があるわけです。他方、輸出については、定義としては、一応、13ページの(2)で、侵害物品を国内から国外に送り出す行為と記載されているわけですけれども、15ページの(b)はどういう位置づけになるのでしょうか。

貴田審議企画班長

(b)につきましては、今回の考え方としまして、こういう陸揚げをされて、そのまま出ていくというものについても、輸出の文言上は該当する可能性はあると思いますけれども、ただ、実際にそこで国内の法益が侵害されているかどうかというところで、(b)のような行為については必ずしも侵害が発生していないケースというのがあり得るのだろうと思います。また、今回、水際の規制に当たっては、ここまでは対象としないということでございますので、そういう意味でも、ケース・バイ・ケースに最後はなるかと思います。

高部委員

輸出という用語は、輸入とある程度パラレルなものと考えられます。何をもって輸入と考えるのかということに関しては、陸揚げ説、通関説など、いろいろと議論がありました。今回、輸出を規定するに当たって、輸出の時点、つまり、輸入のときに陸揚げ説を採るか、あるいは通関説を採るかといった議論を、余りはっきり決めることなく入れるという趣旨でしょうか。

土肥委員長

どうぞ。これは質問ですので。

田川審議室長

今回のケースにつきましては、輸出について、どの時点でということでございますけれども、ここでは概念上、国内から海外に送り出す搬送行為ということでございます。そのときに通関時点かどうかというところは、実はここではきちんと整理をしておりませんけれども、概念上は、国内から国外に搬出する行為というふうに考えております。

高部委員

つまり、それによって、どの時点で既遂に達するかという点まで厳密に決めていないという趣旨ですね。

貴田審議企画班長

輸出の時点については、船積みなどの行為が行われた時点で、ここで言うところの輸出が行われたという評価がなされるんだというふうに思っております。この解釈との裏返しで、輸入についても、今回輸出を入れることによって、同様の解釈がなされるんではないかというふうに考えております。

高部委員

そうすると、従前の陸揚げ説を支持する見解と伺ってよろしいのでしょうか。

田川審議室長

そのとおりでございます。陸揚げ説です。

高部委員

ありがとうございました。

土肥委員長

松尾委員。

松尾委員

輸出の問題ですけれども、輸出の概念を、極めてある意味では常識的にとらえて、ここでみんな議論してきたと思うのですが、それは一つには、水際措置のために輸出を入れるべきである、あるいは入れたいという、はっきりした希望があって、みんな水際措置で必要ならば入れましょうというところに引っ張られていったのではないかと思います。今までの判例で輸出が問題になったのは、特許の間接侵害との関係で、幾つか最近、そういう判例が出ています。そういうことで特許法の小委員会の方では、かなり、問題を感じておられるのではないかと思います。
私が言いたいのは、商標法について、商標法だけではなくて、特許法や意匠法と同じように考えていただきたい。そして、議論は輸出は何かということで統一的にしなければならないのであって、簡単だからということで商標法だけを走らせるようなことはないように、ぜひ、していただきたいと思います。

土肥委員長

多分、ここでは竹田委員が両方の委員ではないかと思うんですけれども、何か今の点でございますか。

竹田委員

松尾委員がご懸念されていることは当然でありまして、特許制度小委員会でも、その点、特に間接侵害との関係ではいろいろ議論していまして、間接侵害に輸出そのものを入れるということはしないと。輸出を目的とする所持はみなし侵害として規定する。現在の特許法に規定している間接侵害は、まだ、その段階では侵害として完成していないものであるのに対して、今度輸出を目的とする所持をみなし侵害として加えると、性質が異なるものを侵害として加えることになるので、私は特許制度小委員会では、101条に規定することはいいけれども、それは従来の間接侵害とは違うみなし侵害であるから、それを同じ条項に並べて5号としては混乱を招くので、その点はきちっと区別してくださいということは申し上げています。松尾委員のご懸念の点は、特許法も商標法もやはり統一的に解釈できるように規定すべきものと思っています。

田川審議室長

他の特許権、それから意匠権についての整合性でございますけれども、我々としては、同じ考え方で統一的に解釈できるようにすることにしております。

土肥委員長

ほかにございますか。鈴木委員。

鈴木委員

輸出を侵害の一対応に組み込むというところに関する話ですけれども、侵害になるかどうかグレーな事例というので、地財協の内部でもヒアリングをしておりまして、その中で幾つか挙がってきた事例というのがございますので、ご紹介させていただければと思っております。
例えば、仕向国の言語にて製品の普通名称を書くという場合がございます。ただ、その言語が日本人にとって必ずしも一般的に理解されないような言語、例えば、スペイン語などでも良いのですけれども、そういった言語で書かれた場合、それが日本においては、ひょっとすると他人が類似商標を登録しているのかもしれないと。このような事例のときに、果たして侵害と言われてしまうのかというような心配があります。
それともう一つ、これはもう少しグレーに近いところだと思うんですけれども、例えば、電気製品などですと、日本では規格上使えないような製品というのがございます。これを無地の梱包箱に工場の中で詰めてしまいまして、搬送する場合にも一切外からは商標はのぞかれないような状態にして出してしまうと。こういった場合に、そもそも商標として機能しているのかなというところで疑問というのがございまして、確かに標章を付する行為というのはされてはいるんですが、そもそもこういった場合に日本国内において商標として機能しているのかどうか。そういったところに非常に疑問があるというところでして、例えば、不正な目的をもって行った場合に、輸出行為が侵害を構成する、というような検討の余地というのは、もうないのでしょうか。

貴田審議企画班長

基本的に商標法の中で使用として規定をするのがいいのではないかというふうに思っておりまして、不正の目的でというような限定を付けて規定をするということについては、現段階では検討しておりません。おっしゃったような事例で、例えば国内の商標権者が自ら登録はしているけれども、使用もしていなくて、明らかに不正の目的でもって、その輸出行為を何らかの形でとめようとするという場合には、権利濫用等の原則でそういった行為が、まさに逆方向からの不正ですけれども、濫用だと言われる可能性があると思いますし、あえてここで不正の輸出に限って規定をするという必要はないんではないかというふうに思っております。

土肥委員長

グレーの場合に関して挙げられたような例で止められると、これもまた困るというので、そこの部分の回答はありますか。

田川審議室長

個別の判断は最終的には、個別事情を見て判断ということになると思います。ご指摘のグレーなケースでございますけれども、今、直ちに、これが商標上どう解釈されるかという回答はございませんが、そこは少し実態をどう解釈するかということによるんだと思います。

土肥委員長

多分、商標権の侵害はないんだと思うんです。今挙げられたようなケースの場合に。だから、そこははっきりしているんだろうと思うんですが、それで止められると非常に困るんじゃないかなという、そういうご懸念ですよね。

鈴木委員

そうです。

土肥委員長

そういう意見のご紹介があったということで、ここは考えさせていただきます。ほかに。根本委員。

根本委員

小売のところで若干具体的な話なのですが、メーカーの方は企業アピールの場として、ホームページをよく立ち上げているんですが、その中で実際に商品を販売しているような場合があります。一般的に企業ホームページは大きく分けると2種類ありまして、まず、販売なしで企業自体を広告宣伝するような場合、ときには特定商品に絞って、その商品自体を宣伝するようなホームページもあります。
もう一つは、最初に申しあげた、そういった企業広告、商品広告の中で、実際に商品を販売するというような場合です。これは確認と質問なのですが、前者の販売なしの企業広告、商品広告といったような場合は、これは商品の広告行為ということで、商品商標さえ確保しておけば問題はないのかなと思っておりますが、一方、ネットで各種の商品を展示、紹介、品揃えするというような形の場合、小売業による品揃え、展示にも似ているのですが、商品商標さえ確保しておけば、セーフなのかということが一つ。
それから後者ですが、これは明らかに販売する行為ですが、メーカーが自ら製造したものを自らのHPで販売する、譲渡する。それも自社商品のみの品揃えによる販売ですけれども、こういったものは小売ということでの登録というのは必要が出てくるのかなと。もしくは、多角化している企業というのは、例えば、食品なり、そのほか薬なり、医薬品なり、様々なものを一つのホームページで販売している場合もあるのですが、こういった場合は、逆に総合的な小売みたいな形になるのか。ちょっとこのあたりをクリアにしておきたいなと思っております。

土肥委員長

これは既に詰めてお考えですか。

貴田審議企画班長

まず、前者のホームページで企業の広告というか、そういうものをしている場合ですけれども、これが商品についての広告だということがわかるのであれば、それは商品商標をとっていれば、クリアだということだと思います。それから、後者の自社製品を販売をしているとか、インターネット上で販売しているという行為についてですけれども、インターネット上の販売もここで言う、今回対象としているものに入るというふうに考えております。あとは単なる譲渡ではなくて、それ以上のきちんと小売サービスというものがあるかどうかという判断になるかと思います。それは特許庁における登録の段階では、なかなか難しいですけれども、きちんとサービスに使用されているということであれば、実際に権利として使うということが可能になるんだろうと思います。

根本委員

そうしますと、特定の小売ではなくて、百貨店のような小売の分類でとるというようなことにもなってくるということでしょうか。

貴田審議企画班長

そこの部分は先ほど申し上げた審査基準との関係もございまして、実態がどうなっているのかということを踏まえて、今後さらに検討していきたいというふうに思います。

土肥委員長

よろしゅうございますか。もしよろしければ、以上の3項目ですね。小売業等のサービスマークとしての保護、権利侵害行為への輸出の追加、刑事罰の強化、これも含めて、この3項目についてご了解をいただいたという扱いにさせていただきますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)

土肥委員長

ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。
それでは、後半であります「著名商標の保護の在り方」、「審査の在り方について」、「その他」の3項目についての議論に移りたいと思います。事務局からまず説明を行っていただきます。よろしくお願いいたします。

田川審議室長

まず、「著名商標の保護の在り方」につきましてご説明いたします。
著名商標の問題につきましては、商標権の効力が、登録商標と同一または類似の商標について同一または類似の商品または役務に及ぶということになっておりまして、その禁止権というのが類似の範囲にまで及ぶということになっております。
一方で周知あるいは著名な商標というのは、例えば、類似の範囲を超えた商品、自動車について著名なものが、そのほかのお酒であるとか、ビールに使われるというケースについて、他人が使用するということについて、混同が生じるというようなケースもありますし、あるいは信用失墜行為といったものも想定されるところでございます。
現行の商標法では、類似の商品の範囲では対処できない非類似の部分について、防護標章登録制度を設けております。
しかしながら、この防護標章登録制度ついては、出願数が比較的少なく、かつその効力範囲が固定化されているということでございまして、むしろ、商標権自他の効力を現在の類似の範囲を超えて拡大するということが必要ではないかというご指摘があるところでございます。
諸外国の取り扱いにつきましては、欧州共同体商標規則、それからイギリス、アメリカの例を挙げています。
まず、欧州につきましては、禁止権の範囲ですけれども、共同体商標との同一性、または類似性のための公衆の側に混同を生ずるおそれがある場合に禁止権があるということになっておりまして、混同のおそれという概念で整理をしております。 さらに、商標の名声を不正に利用するといういわゆるダイリュージョンの場合には、非類似の商品に商標権が及ぶということになっております。
英国におきましても、基本的には同一類似の範囲で商標権というのが侵害とされるわけですけれども、登録商標の名声にただ乗りするような場合、あるいはそれを害するような場合には、非類似の商品に商標権が及ぶということになっております。
アメリカのケースですが、これは混同のおそれということで商標権侵害の判断をしております。それは実際の使用される商標の強さ、顕著性といいましょうか、それと商標の類似性あるいは商品の近似性などを総合的に実態を判断して勘案されるということになっております。
さらに著名商標の希釈化、あるいは汚染といったものについては、連邦商標希釈化法によりまして、差止請求が可能ということになっております。
我が国の状況につきましては、著名商標の保護は、不正競争防止法、それから防護標章登録制度、この2つでカバーをしているところでございます。不正競争防止法につきましては、ご承知のとおり、需要者の間に広く認識されているいわゆる周知な商標について同一または類似の商品等に表示を使用するということによって混同を生じさせる行為、または著名な他人の商品等表示、ここに商標も入りますが、これに同一または類似の商品等表示を使用する行為を不正競争行為として、差止請求権、損害賠償請求権を認めておるところでございます。
また不正競争防止法につきましては、平成17年に水際措置の対象になるとともに、著名表示の冒用行為について平成17年に刑事罰が導入されているところであります。
防護標章制度につきましては、昭和34年に導入された制度でございますが、この制度につきましては、自分が使わない商標についても、横断的に保護を受けようというものについて、既にある商標登録をベースにしまして、類似しない範囲についても登録をすることができ、商標権の禁止の効力というものを、非類似の商品まで拡大をするというのを可能にしております。これによりまして、著名あるいは周知な登録商標につきましては、予め出所の混同を生ずる範囲を明確にして、この防護標章と同一の商標を使用した場合には、商標権侵害となるということでございます。
なお、防護標章登録制度でございますが、現在の登録件数といたしましては、区分数では1万8,519件ということになっております。また、マークでどれぐらい登録されているかということにつきましては、715件ということになっております。ちなみに、日本の有名商標を集めた『日本有名商標集』、これで著名商標として記載されておりますのは、2,182件ということになっております。
対応の方向につきましては、商標権の禁止効力を混同を生ずるおそれのある非類似の商品まで拡大することにつきましては、需要者の信用の保護に資するものであるということでありまして、商標法の目的に沿うものであるというふうに考えるところでございます。
一方で、登録によって安定的な権利関係をつくっていくという商標権の特質、つまり、禁止権の範囲が予測可能であり、予測可能性が高いという商標法の特質や不正競争防止法で相当程度保護されているということを踏まえますと、さらに検討を行うことが適切であるというふうに考えております。また、この場合に混同を生ずるおそれの有無にかかわらず、類似、非類似の商品に商標権の禁止行為を拡大するということにつきましては、不正競争防止法の法目的との相違を踏まえて、さらに検討していきたいというふうに考えております。
続きまして、防護標章登録制度でございますが、これにつきましては、現在登録によって権利が公示されるということでございまして、この公示性によりまして、一定のニーズが存在をするということになっております。このため、防護標章登録制度については、引き続き維持をするということでございますけれども、当然に商標法の効力の拡大、これの検討とあわせて、その必要性について検討していきたいということでございます。
しかしながら、1点問題といたしまして、周知性・著名性というものが防護標章登録制度の前提になっておりますが、登録期間が10年間になっておりまして、10年間固定されているということについて問題の指摘をいただいております。これにつきましては、引き続き、登録時にきちんと著名性のチェックを厳格に行うということにいたしたいと考えているところでございます。
続きまして、審査の在り方でございます。コンセント制度と相対的拒絶理由をどういうふうに考えるかという問題でございます。まず、コンセント制度につきましては、ご承知のとおり、権利者の同意があった場合には、職権主義のもとで行われます審査官の類否判断を補完して、取引の実情に合わせてより適切な判断を確保するということでございます。したがいまして、出願された商標に類似する先行商標があっても、当事者間の同意があった場合には、それを反映させていこうということでございます。
現行法では、いったん拒絶をされた場合に、もともと権利を持っている人が登録をし、もとの別の拒絶をされた人に譲渡等をするという手続が利用されているということもございます。
コンセント制度につきましては、非常に前向きなご意見がある一方で、需要者の保護の観点から、複数の混同を生ずるおそれがある商標が登録されるという観点では、問題があるのではないかというご意見があったところでございます。そのほか、当事者が混同を生じさせるようなコンセントを付すということは、想定しがたいということで、実害は生じないのではないかというご意見があったところであります。
諸外国の例でございますが、いわゆる完全コンセント制度、あるいは留保型コンセント制度という2つ類型に分かれるところでございます。
イギリスにつきましては、先行の登録商標の商標権者が同意をしたという旨がある場合には、これをそのまま受け入れて、拒絶をしないという制度が採用されております。こうした制度につきましては、2つの商標の当事者間で紛争が生じていないということでございますので、出所の混同を生ずるおそれが少ないということを前提にしていると考えられるところでございます。
アメリカにつきましては、これはいわゆる留保型コンセント制度をとっておりまして、混同を生ずるおそれがないという理由、あるいは、その混同のおそれを生じないというようにするための当事者間の取り決めというものを記載した同意書を提出し、これを参酌して登録するかどうかというのを判断するということでございます。
オーストラリアにおきましても、同意書を参酌する留保型コンセント制度が導入されております。
コンセント制度の評価及び対応の方向につきましては、英国で採用されておりますいわゆる完全型コンセント制度につきましては、2人の当事者の同意があれば、混同の生ずるおそれがあっても登録が認められるということでございますので、需要者保護の観点が図られないという可能性があると考えられるところでございます。
一方でこうした同意を行うということについては、商標権者自身の利益に反するということでございますので、実際には混同を生ずるような場合には、同意をされないということでございますし、実際に混同が生ずる場合を想定した何らかの措置が必要になるというふうに考えられるところであります。
米国型の留保型コンセント制度でございますが、米国では使用主義に基づいて、その審査等が行われておりますので、具体的な混同を生ずるおそれを判断をするということが必要になってくるということでございます。同意書に付された証拠のみから判断する場合、これはやはり一定の限界があり、適切な判断が担保されない可能性がある。また、非常に個別の事情に立ち入るということになりますと、審査の遅延にもつながるという点にも留意が必要であろうということでございます。
さらにオーストラリアの制度につきましては、統一的な判断を担保しようとする場合には、結果的に混同を生ずるおそれを判断することなく、同意があった場合には、登録を認めることになり得るということでございますので、審査における裁量の要素が大きくなるのではないかという点にも留意をする必要があるということでございます。
コンセント制度全般につきましては、日本で行っております職権主義でございますが、こうしたものが取引の実情を踏まえた、より適切を判断を行うことということからは一定の意義があるというふうに考えられるところでございます。これにつきましては、当事者の同意によって混同を生ずる可能性がある複数の商標を登録するということになるということで、需要者の保護の観点、この商標法の一つの目的からいたしますと、さらに検討を行うことが必要であるというふうに考えております。
コンセント制度のニーズの背景の一つとして、類似に関する審査基準が実態に即していないのではないかということも考えられるところでございます。この審査基準につきましては、取引の実情をきちんと反映をさせるということで、今後必要な見直しを行っていきたいというふうに考えております。
さらに現在、商標登録出願をいたしまして、その拒絶理由通知が来ると、それに対して、その出願人からの意見書というもののみを受け入れているわけでございますが、これに加えまして、その引用商標権者、拒絶されるもとになった先願の商標権者からの説明書といったものも取引の実情を知る上で非常に参考になるのではないかということで、この引用の商標権者の説明書の提出ができるような措置を考えていきたいと考えております。
続きまして、審査事項と手続の在り方ということでございます。どの国もそうでございますが、絶対的拒絶理由、公益的な拒絶理由として、公序良俗に反するものとか、あるいは公的機関のマークなどが拒絶理由になっております。
それから、相対的拒絶理由といたしまして、抵触する他人の先願等があった場合に、出願を拒絶するという2つ要因がございます。 現在は、この2つ拒絶理由について、審査を行って商標が登録された後は何人も異議申立を行うことが可能ということになっております。出願商標と他人の登録商標との類似につきましても、一般的、抽象的な混同を生ずるおそれの有無という観点から、職権審査が行われておるところでありま
す。
一方でこうした審査によりまして、結果的に市場において具体的な出所の混同を生じないという場合であっても、登録が過大に拒絶されている場合があるのではないかという指摘があるところであります。こうしたご指摘を踏まえて、この絶対的拒絶理由、それから相対的拒絶理由について、審議をいただいたところであります。
小委員会では、特に相対的拒絶理由の判断の在り方について検討いただきまして、現在の職権審査において、いわゆる定型的に相対的拒絶理由をみるという手法には特に問題はないという意見、あるいは企業の規模とは無関係に審査による安定した権利付与が可能になるという現行の審査制度を望む意見があったところでございます。
一方で相対的拒絶理由につきましては、一律に職権審査を行うのではなく、異議申
立に基づいて行うような、いわゆる異議待ち審査についての評価と
いたしまして、ユーザーの監視負担の増大、あるいは事後的な負担が増大するという
ご意見、あるいは無効な権利が登録をされるということによる混乱、こういった弊害
があるのではないかというご意見があったところでございます。
対応の方向といたしましては、相対的拒絶理由について、当事者からの異議申立によって審査を行う制度につきましては、需要者保護の観点から市場における出所混同のおそれの回避、あるいは商標選択の自由度、コスト負担、権利の安定性、こういったものを踏まえまして、その必要性について慎重に検討を行うことが適切であるというふうに考えております。
最後でございますが、商標及び使用の定義でございます。
まず、商標の定義といたしまして、現行の商標法では、いわゆる識別性という商標の要素が明確に規定されていないということでございます。これにつきましては、アメリカ、あるいはイギリス等では識別性というものが規定をされているということであります。その結果としまして、社会通念上、識別機能を持たないようなものも商標というふうに認識をされているのではないかといったご指摘があるところでございます。
検討の内容でございますが、小委員会では、識別性を商標の要素として規定をするということについて検討をいただいたところでございます。この議論におきましては、商標の定義が関連する条文が非常に多い、定義規定の変更が個々の条文との整合性を保つよう配慮すべきである、または商標の定義として、匂いあるいは音といったもの、これも含めるべきではないか、それから、商標の定義に「業として」という要件を含めることが適切かどうかということについて検討をいただいたところでございます。
この検討の中では、商標の定義に識別性を追加することについて、前向きなご意見があるという一方では、現行の定義によって、特段、実務上の支障は生じていないというご意見があったところでございます。
対応の方向といたしましては、識別力を有することが前提になっているということは、これは判例等において既に確立をしているということでございます。現行の規定で特段の実務上の障害も支障も生じていないといをことであります。また、定義を見直すということで、これまでの判例との整合性、あるいは実務への影響といったものも考慮する必要があるということでございます。こうしたことから、判例あるいは定義規定に関する条文との整合性というものを踏まえて、さらに検討を行うことが必要であるということでございます。
なお、単色、一つの色からなるような商標、または匂い、音からなる商標につきましては、実体的な要請が不明確ということで、必要性についてさらに検討をいたしたいと考えております。
最後の使用の定義につきましては、使用の定義というのはご承知のとおり、随時追加をされてきておるところでございます。このため包括的に使用の定義というものを規定するということについて検討をいただいたところでございます。その際に、罪刑法定主義の観点から刑事罰の対象として、十分な明確性を有しておく必要性、あるいは主要な定義というのが非常に多くの条文に及ぶということで、個々の条文への影響の検証、それから音声による使用を使用に含めるべきか否かという点について検討をいただいたところでございます。
現行の定義規定につきましては、その立法経緯・内容等十分に検証して、包括的な規定の方法について検討すべきではないか。そもそも「使用」の定義ということではなく、現在、使用の定義として商品、または商品の包装に商標を付す行為等、いろいろ規定されておりますけれども、むしろ、侵害行為として規定する方が適切ではないかといったご指摘があったところでございます。
検討の内容といたしましては、こちらにつきましても現行法の規定で特段問題が生じていないのではないかということで、さらに検討を行っていきたいというふうに考えるところでございます。
以上でございます。

土肥委員長

ありがとうございました。それでは、以上の説明を踏まえまして、この3点に関し議論に移りたいと存じます。前回同様、ご自由にご意見をお願いいたします。
この3点につきましては、コンセントの部分については、本委員会においても、近時の本委員会においても議論をちょうだいしたところでございまして、前回ご承認いただいたように、こういう形でまとめさせていただいておる。こういうことでございます。
著名商標については、はるか昔の議論でありまして、継続的に検討していこう、こういう現在の制度のもとでなお検討していこうと、こういうことでございますし、商標の定義、使用の定義については、やはりここをいじるというのは大変なエネルギーが要るわけでありまして、昨今では個人輸入とか、ああいう業要件のところの関係もあって、本当は問題があらわになっているところなんですけれども、そこのあたりのニュアンスが、このトーンでは出ていないかもしれないんですが、しかし、検討を続けていこうというまとめ方になっておりますので、これでお認めいただけますか。本宮委員。

本宮委員

今回のこの中で、かなり取引の実情という言葉が出ているんですけれども、それと関連するかどうかは別ですが、1つは28ページの「異議待ち審査」の議論をしたときに、不使用の抗弁も併せていろいろ議論したと思います。これは使用対策なり、不使用という大きい問題があると思うのですけれども、「不使用の抗弁」というようなことも対応の方向で議論されていたと思うので、そういうのも含めて、というようなフレーズがあった方がいいのではないかなというのが1点です。
それと、コンセントのところの前の方ですけれども、コンセントの26ページに引用商標権者からの説明書の提出というのがあるのですが、果たして引用商標権者が説明書を出してくれるんだろうか、自分が相手方にもらってくるというのであれば別ですけれども、「説明書を書いてね」と言って書いてくれるとは思えないので、それは一つの手段としてあるとは思うのですが、ほかに説明書等とか、もう少し取引の実情がわかるような何かがあればいいというようなスタンスの方がいいんではないかなという点と、あとそういう意味では、取引の実情を見ていくということであれば、先ほどの小売業のところでは、3条1項の柱書きを適用していくということで、入り口である程度使用意思がないものを排除していこうというスタンスが見えるんですが、出口の方もしくは登録後の方も不使用商標がネックになっている部分があると思いますので、取引の実情と絡めて、今回、類似商品役務審査基準の見直しがありますけれども、それと絡めるような形ででも、不使用が整理されて、それで取引の実情にマッチングするようなシステムを構築するという、そういう観点からの見方もできるのではないかなという意見でございます。

土肥委員長

確認いたしますけれども、確かに不使用の抗弁については、本委員会において議論したところなんですね。全体の議論の開始2年前ですね。そこから今日までの全体のまとめという、そういう性質のものであれば、今、本宮委員がおっしゃったように、まさに議論したことでございますので、反映していただければというふうに思います。
それから、2点目の26ページの表現の部分ですけれども、ここは非常に重要な部分でして、これはまさに主語は「説明書が」ですよね。提出された場合、誰かということではなくて、とにかく、誰かが引用商標権者の説明書を提出したと。主語から言うと、説明書が提出されたということで、従来なかった「説明書」という言葉を、このコンセントのところに書いてまとめたという、そういう部分なんで「等」があると多分よくないんだろうと思うんですけれども、非常に重要な部分じゃないかと思うんですが、何かコメントはありますか。よろしいですかね。
3番目のところがわからなかったんですが、3番目のご意見というのは。

本宮委員

25ページ、26ページ、この辺でかなり「取引の実情」というのが言葉として出てきていると思います。取引の実情を反映させた審査ということであれば、先ほどの小売業のときに3条1項柱書きで使用意思を確認し使用意思がないものを入り口で排除していくわけですが、登録になっているものに関しては、実際、取引の実情の判断を阻害するような要因もまだあるわけで、そこの整理をつきやすくするような、ある意味、不使用商標の整理に資するような運用の方向というんですか、それも検討できないのかなと。

土肥委員長

今のご意見に対して……。50条を議論していないですよね。

本宮委員

していないですね。

土肥委員長

要するに、出口の話として使用、不使用を考慮した審査の出口論、入り口は3条柱書きですよね。

本宮委員

そうですね。今の登録はその分類の全ての商品を書いているのがあるわけでして、それと自分が出願したものとの関係で、取引の実情が全て見えてくるかどうなのか。少ない商品同士であれば、取引の実情を見ながら、というような形がとれると思うのですけれども、多い商品同士で取引の実情を見るような形が、今の実態としてあると思いますので、「取引の実情」という言葉がかなり出てくるのであれば、登録になっている方に関しても、例えば取消審判をかけやすくするとか、そういうのもあると思うので、もう少し不使用関係のことを入れられないのかなというのが、その内容です。

土肥委員長

先行された商標登録のうち、使用されないものも当然あるんだけれども、そういったものも考慮、織り込んだ上での審査ができないかということのようですけれども。いかがですか……。それは宿題にさせていただきます。どうぞ竹田委員。

竹田委員

「取引の実情」という言葉は確かに繰り返し出てきておりますし、これは侵害訴訟における、つまり、現実の使用しているもの同士の類否判断の場面と、商標法4条の類似性の判断の場面とで、同じ取引の実情といっても、言っている意味が同じではないと思います。そのことを踏まえた上ですけれども、取引の実情を職権主義に基づいて、審査段階で詳細に審査することは現実に不可能なことですし、それを求めるということをここで書いているのではないでしょう。そうすると、先ほどの説明書があわせて提出された場合を含めて、誰かが何らかのアクションを審査の方に起こした場合において、それを審査していくことが、多分、審査の実情からいうと限度で、それ以上のことを求めようとしても、できないだろうと思います。ただ、そういう点を踏まえて、いわゆるコンセント制度との関係で、取引の実情の1つとして先行商標権者との間の同意書を1つとして見ていく。そういう形で審査が行われるのは妥当だと私も思いますが、そのことと先行商標が不使用であるために商標法の4条の類否判断に、それを配慮して類似性がないから登録するということは、全然違うことであって、それを認めるのは明らかに間違いです。

本宮委員

実際には、そういう形の展開ではなく、取引の実情を見れるような状況にするためには、不使用商標が存在する状況は余り好ましくないだろうと。そのためには、不使用商標を整理するような、例えば、3条1項柱書きの適用がありましたけれども、ほかにもいろいろ本来は考えるべきなんじゃないかという、そういう意見でございます。ですから、4条1項との関係での問題ではございません。
それともう一つ、説明書に関してですが、説明書の提出があったという事実は、閲覧ではなく、どこかに残るような形で明示されないと、何でそれが登録になったのか、その状況がすぐにわからないと思いますので、審査官がそれを考慮したか、しなかったは別として、提出があったという事実が分かるようなシステムを考えていただけるとありがたいかなと思います。

土肥委員長

この点はどうなんですか。外からわかるように……。

芦葉商標制度企画室長

ここで書いています説明書というのは、説明書という書類が新しくできるということではなくて、意見書の中に当事者の説明があってもいいという趣旨ですので、新たな書類ができるということは想定してございません。

土肥委員長

意見書のあったことは出ると。

芦葉商標制度企画室長

意見書のあったということは、従前から記録がありますので、その意見書の内容いかんによって審査官の判断が行われているという実態は変わりませんので、新たに説明書という書類ができるということを想定しているわけではございません。

土肥委員長

ほかにございますか。小塚委員。

小塚委員

今のところは重要なところだと委員長がおっしゃったので質問をいたしますが、この26ページの上から3行目には、「説明書を参酌すべきであると考えられる」と、こうありまして、1行下を見ますと、「説明書の参酌を可能とする運用について検討する」とあり、その方向に従って審査基準の見直しを行うというのがまとめでございますが、これは微妙にニュアンスが違うと思いますけれども、少し趣旨を明確にしていただいた方がいいのではないか。要するに、説明書をどの程度の重みをもって参酌するということで審査基準を直されるのか、明確にされた方がよろしいのではないかと思います。

土肥委員長

おっしゃるように、少しご説明だとコンセントとの関係で出てきた部分で、意見書の一態様として当事者の出された説明書は審査官は十分見させていただくという趣旨ですよね。運用についても、そのような運用をすることで、いわゆるコンセントについて利用者のニーズがあるけれども、それに特許庁としてはできるだけ対応していくと。こういうことだったと思って、この文書になっているんじゃないかと思うんですが、先ほどどららかというと、従来と何ら変わらないというようなことだったので、その辺もし何かあれば補足していただければと思います。

芦葉商標制度企画室長

趣旨といたしましては、今、委員長のおっしゃられたとおりであるというふうに理解しています。そのとおりでございます。

土肥委員長

そうですか。そういうことのようでございますので。松尾委員。

松尾委員

まず、全体としての感想ですけれども、この「その他」というところには、随所に「慎重に検討する必要がある」という言葉が出てきます。これは、15年にこの委員会を始めてからの総括をしているようですけれども、初めは先ほど例えば、商標の定義で委員長が、これをいじるとなると非常にエネルギーが必要だと言われましたが、当初はそのエネルギーの必要なことをやろうという意気込みが、皆にあったと思います。ただ、いつの間にか慎重に検討するということで終わっているというのが、私は非常に寂しく思います。私はまだエネルギーがありますので。
打ち切りよりも、検討するということで結構なんですが、そういうものの考え方が随所にあらわれているのではないかなと私は思います。一例を挙げますと、著名商標の保護の在り方というところですが、この問題の所在ですけれども、ここに挙げられたところでは、商標法のことを中心に書いてありますが、英国にしても、米国にしても不正競争防止法という、日本のような法律がないわけです。そういうことも書かないで、ただ、商標法と著名商標の保護の規定との関係だけを書いているという非常に不正確でミスリーティングであると同時に、悪く言えばごまかしがあると思います。それで防護標章登録制度の問題にしましても、これは防護標章制度というのは、周知・著名と大体書いてありますけれども、周知・著名ではなく、法律上は、周知の商標だけです。不正競争防止法の2条の1項の2号で言っているような、著名商標を保護するというのは、もともと防護標章制度の趣旨ではなかったはずです。そこら辺も非常にあいまいに記載されております。
それから、22ページのところに、それでもこのままでいいのかという反省から、10年固定で防護標章制度を見るのではなくて、更新時に著名性をチェックするというのことが記載されております。それはないよりも非常にいいと思うんですけれども、以前、防護標章制度を廃止しようかどうしようかというときにも、こういう同じような議論がなされていました。私は著名性のチェックを厳格に行うというとき、現実のどういうふうに行うとしておられるのか。今までどうしてそれができなかったのか、そこまでよく考えて検討して、それでこういう文書をつくっていただきたいものだと思います。

土肥委員長

どうもありがとうございました。この点は審議室長からすると3代前の話で、かなり昔の話なものですから、恐らく貴田さんより前の時点での検討じゃないかと思うんですけれども、我々継続的に委員としてやっておりますので、おっしゃるようにもう少し従前の議論を盛り込む形でまとめるということがいいのかもしれませんけれども、恐らく、事務局は事務局でいろいろ思いがあって、こういう形でおまとめになっているんだろうと思いましたので、最終的にもう一度預からしていただきまして、松尾先生がおっしゃるようなことについては、できるだけ努力させていただきますので、どうぞこのところはよろしくお願いいたします。
ほかに何かございますでしょうか。高部委員どうぞ。

高部委員

もう少し見直していただけるのであれば、例えば、30ページにおいて、商標の定義規定が、現行の規定でも実務上の支障は生じていないと記載され、そのような説明をされたわけですけれども、実務的には、必ずしもそうではありません。ですから、問題がないという書き方は、少し抑え目に書いていただいた方がいいかと思います。

土肥委員長

これはまさにおっしゃるとおりでございまして、宿題がどんどん増えていきますけれども、そこは責任を持ってまとめのときに考慮させていただきます。根本委員どうぞ。

根本委員

防護標章制度の22ページのところなのですが、私も防護標章制度の維持というのは賛成ですけれども、理由としまして、過去に委員会でご意見あったかもしれませんが、防護登録されている商標は不使用取消審判の対象にならないということと、類似する他人の先登録商標があっても、その上から登録できるというようなメリットもありますので、企業としては、そういった点も大きなメリットと感じております。そのような防護標章制度自体の長所を少し触れてもいいのかなとも思っております。
それから、もう一つ、小売業商標についての使用意思のところですが、我々企業としては、企業名称ということで、ほとんど全分類で出願する場合や実際の商品の周辺、類似しているような商品にも出願する場合、もしくは実際に販売している商品と類似しているような名称をプロテクトの意味で出すというようなことも多くの企業で行っておりますので、このようなところが先ほどの使用意思のところを踏まえてご検討いただければなと思っております。

土肥委員長

鈴木委員も冒頭におっしゃったハウスマークとか、そういったようなものの保護のところの関係で出てくるんだろうと思うんですけれども、さりながら、一方で使わないものを登録するというのは、やはりそこは報告書との関係ではできるだけお控えいただきたいと、こういうことなんですけれども、ハウスマークについては、企業のニーズとして、幅広く保護していきたいということも十分わかりますので、どういう形で最終的に、そこを盛り込めることができるかどうかを含めてわからないんですけれども、本日のところは、貴重なご意見としてちょうだいをするということにさせてください。
ほかにございますでしょうか。鈴木委員。

鈴木委員

報告書の記載とは直接関係ないんですけれども、この考え方のもとで、法律の改正というのが行われることになると理解しています。そこで最も早いタイミングでということになると、やはり再来年、2007年の1月1日あたりの施行、この辺を目標にして作業をされるということで理解してよろしいでしょうか。

田川審議室長

今の我々の見込みといたしましては、1つのタイミングとして、小売のサービスマークについては、ニース協定の発行に合わせるというのがひとつの考え方かというふうに思っております。

土肥委員長

よろしゅうございますか。宿題の締め切りというか、目標の目途になる記述というのは、ニース協定の改訂版のそれに合わせるということのようでございます。ほかによろしゅうございますか。後半の部分については、本委員会においてなかなか余り議論できなかったところでございますし、恐らく、事務局もそのまとめに関しては気合が少し欠けたのかもしれませんけれども、そこを含めて基本的な方向性としては、ここでお示ししたようなもので、商標制度の在り方という報告書をまとめていきたいというふうに考えております。
この後半の3点につきまして、基本的な方向性としては、ご意見をちょうだいした部分については、できるだけ盛り込んでいきたいというふうには考えますけれども、その余のところは大体今ある形、あるいはご意見をいただいたところについても方向性としては、こういう方向性で報告書をまとめさせていただきたいと存じますけれども、それでよろうしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)

土肥委員長

ありがとうございました。それでは、いただいたご意見というものを踏まえながら、この報告書というものをつくらせていただきます。そうでない部分については、基本的には、この形ということにさせていただきますし、それからいただいたご意見のものについても、場合によっては最終的な報告書の中への盛り込みというのが、できない場合もあろうと思いますけれども、そのあたりの必要な修文については、私に一任していただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。ご異論ございませんか。ありがとうございました。
それでは、この報告書につきましては、今のような形で事務局において必要な修文を加えていただいた上で、報告書案として各方面からの意見募集手続を行っていく。こういうことになります。意見募集を求めるということもここで了解を受けるわけですか。

田川審議室長

ご報告でございます。

土肥委員長

わかりました。それでは、そういう手続も行っていくということになると思いますので、どうぞご了解をいただきたいと思います。
それでは、最後になりましたけれども、今後のスケジュールについて事務局から説明がございましたらお願いいたします。

田川審議室長

今後のスケジュールでございますが、事務局では今日のご審議におきまして、ご指摘いただいた点を踏まえまして、必要な修文を委員長ともご相談しながらつくっていきたいと思っております。その上でパブリックコメントの手続を行わせていただきます。次回の小委員会につきましては、パブリックコメントによりまして、寄せられました意見等を参考にし、再度ご審議をいただき最終的な報告書としてまとめたいと考えております。なお、次回の開催日時につきましては、2月7日火曜日、13時30分にて御案内をさせていただいているところでございます。場合によりまして、開催日時を再設定する必要がある場合には、再度調整をさせていただきたいというふうに考えております。
以上でございます。

松尾委員

パブリックコメントがいつで、どれぐらいの期間かというのはわかりませんでしょうか。

田川審議室長

パブリックコメントにつきましては、28日に出しまして、1月27日までという予定でございます。

土肥委員長

それでは以上をもちまして、産業構造審議会知的財産政策部会第16回の商標制度小委員会を閉会させていただきます。本日はありがとうございました。委員の皆様におかれましては、よいお年をお迎えください。


閉会

[更新日 2006年1月30日]

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