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第11回知的財産政策部会 議事録

  1. 日時 平成19年10月24日(水曜日)10時00分~12時00分
  2. 場所 特許庁 共用会議室
  3. 出席委員
    中山部会長、青山委員、土肥委員、加藤委員代理(篠原委員)、中島委員、長岡委員、小野村委員代理(中村委員)、野間口委員、松尾委員、宮川委員、森下委員、諸石委員、山口委員、山根委員、山本委員
  4. 議題
    1. 知的財産政策を巡る最近の動向について
    2. 国際的なワークシェアリングに向けた取組について
    3. 通常実施権等登録制度ワーキンググループの検討状況について
    4. 審判制度の現状と課題について
    5. 特許関係料金の見直しの検討について
    6. 特許料等手数料における口座振替制度の導入について
    7. 技術情報の保護等の在り方に関する小委員会の検討状況について

開会

中山部会長

定刻になりましたので、ただいまから産業構造審議会第11回知的財産政策部会を開催いたします。

 

本日は御多忙中、御出席賜りましてまことにありがとうございます。

 

本日は知的財産政策をめぐる最近の動向、国際的なワークシェアリングに向けた取組、通常実施権等登録制度ワーキンググループの検討状況、審判制度の現状と課題、特許関係料金の見直しの検討、特許料金等手数料における口座振替制度の導入、技術情報の保護等の在り方に関する小委員会の検討状況について、事務局より報告をしていただく予定でございます。

 

盛りだくさんでございますので、よろしくお願いいたします。

 

それでは、早速議題に入りたいと思います。

 

まず事務局より配布資料の説明をお願いいたします。

間庭審議室長

配布資料の確認をさせていただきます。本日の配布資料は、

 

  • 資料1、知的財産政策を巡る最近の動向について。
  • 資料2、国際的なワークシェアリングに向けた取組。
  • 資料3、通常実施権等に係る登録制度の見直しについて。
  • 資料4、審判制度の現状と課題について。
  • 資料5、特許関係料金の見直しの検討について。
  • 資料6、特許料等手数料納付の口座振替制度導入について。
  • 資料7、技術情報の保護等の在り方に関する小委員会について。

 

以上7点でございます。

 

不足等ございましたら、おっしゃっていただければと思います。

中山部会長

よろしいでしょうか。

 

それでは、早速議題に入りたいと思います。

肥塚特許庁長官あいさつ
知的財産政策を巡る最近の動向について

中山部会長

まず最初に、肥塚長官からごあいさつをちょうだいするとともに、知的財産政策を巡る最近の動向につきまして簡単に御説明をお願いいたします。

 

質疑応答は、説明の後にまとめてお願いをしたいと思います。よろしくお願いします。

肥塚長官

肥塚でございます。常日ごろ、いつもありがとうございます。

 

今日はまた、お忙しいところをおいでいただきましてありがとうございます。

 

あいさつといいますか、むしろ資料1に沿って、全体についてごく簡単に御報告、御説明をさせていただければと思っています。

 

資料1でございますけれども、最近の私どもの課題、それから、後でいろいろ御審議をいただきます項目がどういう位置づけにあるのかということを示唆していただければと思っています。

 

2ページでございますけれども、いろいろな出願件数も増えていますし、それから、下にございますように、特許権の移転も増えております。これは1つは製品のモジュール化というような技術の高度化、複雑化、それから、企業、産業の構造が水平分業に移行していて、研究開発なども含めて外部のプレーヤーを使う。そういう意味では、知的財産をめぐる企業行動の多様化、あるいは知的財産の移転、あるいはライセンスの拡大というようなことが進んでいる。

 

ある雑誌を読んでいましたら、リクイディティー・オブ・イノベーションということが書いてありましたけれども、そのようなことが進んでいる可能性があるというふうに考えておりまして、これは4番目、この表でいいますと、4のところに書いてあります通常実施権等の登録制度の改善というのは、こういう背景のもとにあるのかと考えております。これは後ほど御説明する点でございます。

 

次のページでございますけれども、主要国の特許庁が直面している課題ということでございます。グローバル化が進んで、世界中の出願件数が増えている。166万件と書いてありますけれども特に外国の出願が増えてきている。分野でいうとエレクトロニクスでありますとか、医薬かと思いますけれども、一番典型的な例が、ちょっと小さくて恐縮ですけれども、アメリカの出願構造というところに書いてございます。一番上の赤いところが海外からアメリカへの出願で、中身を見ますと、三極からのアメリカへの出願も拡大していますし、中韓も拡大していますし、その他の国からのアメリカへの出願も拡大している。その次の欄の薄いブルー、アメリカ国内の出願も増えていますけれども、アメリカから海外への出願も増えている。こういうことであります。

 

日本は少し違いますけれども、基本的には同じで、日本から海外への出願というのも、後で申し上げますけれども、非常に増えているという状況であります。

 

中国なども、あるいはインドなどもそれぞれ出願が増えているという状況でありまして、こういう全体としての出願増が各国の特許庁間のワークシェアリングの推進、あるいは元からある制度調和を現実の方から後押ししているという状況にあろうかと考えています。

 

その中でも特に日米欧の三極間で出されている特許というのは拡大しているという状況にあるわけであります。

 

4ページ目でございますけれども、最近、私どもが関係しております国際関係で、一番左側がマルチでございます。WIPOではもちろんいろいろな議論が進んでおりますけれども、ここも9月の決定事項でいいますと、開発アジェンダでございますが、そういうところでございます。私どもが言っているPCTの料金減額のようものは継続議論ということになっていますし、それから、WIPOの制度調和の議論というのは、むしろその下にあります先進国と途上国との関係もありまして、先進国の会合で取り扱われているという状況にあります。

 

APECではいろいろな意味でのイニシアティブが行われています。真ん中に日米欧三極、それから、これは特許、商標ともでございますけれども、それから、右にいきますと二極でありますけれども、日韓、日中というようないろいろなくくりがございます。

 

その中で真ん中に書いてございますけれども、日米欧に中韓を加えた特許庁の会合が今年の5月に初めて開催されておりますし、それから、商標の分野におきましても、今月、商標の日米欧に中国を迎えるということで、三極が中国を取り込んで一緒に議論していこうという動きが出始めています。

 

それから、二国間で言いますと、日米、下にいきますと日印、あるいは各国とのEPAの交渉といったものもございます。

 

ここは狭い意味での知財、知的財産分野を書いてございますけれども、ここの外にWTO関係のTRIPSでございますとか、生物多様性条約といったような、そういった意味でマルチフォーラ化、このもっと左側の枠外に出ていくのかもしれませんけれども、そのような動きもあるというのが今、私どもが関係しております世界の全体の動きでございます。

 

それから、5ページでございますけれども、先ほど申し上げましたようなグローバルな出願増に対応するということで、各国庁間ワークシェアリングというものが進んでおりまして、それは下に書いてございますように、一次審査の結果、あるいは特許判断を利用するというような、いろいろな枠組みの議論が進んでおります。

 

それから、それを支えるためのネットワークの拡大ということで、もちろんサーチ・審査結果のネットワークの共有化は進んでいるわけですけれども、1つ課題がありますのは一番右下に書いてある技術的なことではありますけれども、優先権についての書類の電子ネットワークの拡大ということが課題にはなっております。

 

この点につきましては、3番目のところに書いてあります国際的なワークシェアリングに向けての取組ということで後ほど御説明を詳しくさせていただきます。

 

それから、6ページでございますけれども、今度はワークシェアリングでなくて国際的な制度調和でございますけれども、アメリカの特許法、御承知のとおり、特許法の改正の動きがあります。それと、かねてから続いている先進国間における特許制度調和というものが重なるか重ならないかというような状況にございます。

 

それで、ここにございますように、問題はアメリカの特許法の改正で、先発明主義が先願主義に変わりつつあるということですけれども、ここに書いてございます上から3つ目のグレースピリオドの取り扱い、それから、一番下の18ヶ月の全件公開といったあたりが米欧で考え方が違うものですから、調整が難航しているということでございます。

 

個人的に申し上げさせていただきますと、アメリカの特許法の改正と並行して制度調和の議論をどんどん進めていこうというような見方と、あるいはそれがアメリカの特許法の改正をむしろ支えていくのではないかという見方と、あるいは特許法を少し待って、その様子を見極めながら本気で交渉しよう、これはヨーロッパの一部の国ですけれども、少し見方が分かれているような気もします。

 

それから、個別の問題についていえば、先ほど申し上げましたように、グレースピリオドや18カ月の全件公開といったところが大きな論点になっています。

 

7ページのところは今までの経緯でございまして、8ページのところはアメリカの特許法改正の内容について書いてございます。御承知のとおり、下院を通り、今、上院でも議論されているということであります。幾つかの問題、懸念は持っておりますけれども、大きな方向としてはいい方向に向かって制度調和を進める方向には向かっているのだというふうに思っています。ただ、アメリカの中でも損害賠償の算定基準とか、幾つかのところで引き続きいろんな議論、ロビィングが行われているというふうに承知をしております。

 

それから、9ページでございますけれども、国際的な制度調和の中の手続面でいいますと、出願様式の統一といったようなことに、今取り組んでいるという状況でございます。

 

それから、10ページは途上国との関係でございますけれども、ちょっと省略をさせていただきます。

 

11ページでございますが、中国との取組ということで、11ページの右の図をご覧いただきますと、中国への特許出願件数というのが18万件ぐらいまで、ここにございますように急増しております。2000年ぐらいで見ますと7万件とか、8万件とか、それぐらいが10数万件、これも大変でございますけれども、私ども見ていまして相当大変だと思いますのは商標の方、特許も大変ですけれども、私どもが取り扱っています10数万件ずつ、私どもの商標部門が、よく電力とか、鉄でどれぐらい伸びているといいますけれども、私どもの商標部門がそのまま毎年1つずつ増えているような状況になっております。

 

よくエンフォースメントの分野が議論になりますけれども、そもそもの権利を付与する以前のところで非常に経済の成長に伴って件数が増えるということについて悩みを抱えておられるようでありまして、どれぐらい伸びる見通しかと伺ってみても、相当伸びるといいますか、これがどこでサチュレートしていくのかというのも必ずしも見えないような状況にあるということであります。

 

そういう中で、中国は、専利法も、商標法も改正の動きがあります。そういうところで私どもの意見をいろいろ申し上げるというようなこともやっておりますし、それから、先ほどのオペレーションといいますか、権利付与のところについて申し上げますと、先ほどの三極、特許も商標もそうですけれども、中国あるいは韓国を取り込もうということはやっておりますが、中国に対する協力について、三極でも合わせて一緒に話をしていこうということを進めているということでございます。

 

中国については以上でございます。

 

それから、12ページは模倣品、海賊版対策でございますけれども、ここについては省略をさせていただきます。

 

それから、13ページでございますけれども、我が国の出願動向ですけれども、40万件ぐらいで横ばいで推移をしています。ただ、上のコラムの3つ目のところでございますけれども、日本人による内国出願と外国からの出願を比較したときに、外国からの出願の方がもちろん増えております。国内出願は横ばい、微減といったことでありますけれども、海外から日本への出願はかなり増えております。それは三極の中でも増えておりますし、韓国、中国からの出願も増えております。それから、五極以外からの出願も、2005年で見ますと5,000件ぐらいございます。そういう意味では国内の出願が増えている。

 

しかも真ん中の審査請求率のグラフについてですが、特に海外からの出願についてみると、2002年、2003年では、9割近い審査請求率の状況にあります。

 

それから、もう一方で、上の文字のところでいいますと4つ目でございますけれども、日本人の海外出願というのも実は非常に伸びております。ここにはグリーンで書いてありまして、一括して書いてございますけれども、三極内でいいますと、95年が5万4,000件でございましたのが、2005年には9万8,000件ということでありますし、それから、韓・中への出願というのも1万件が4万7,000件、5万件ぐらいになっている。それから、五極以外へは5,000件が9,000件ぐらいということで、そんなに増えておりませんけれども、いずれにしろ海外出願が増えているということであります。

 

そういう意味で見ますと、日本への外国居住者の出願というのと、日本の外国への出願が増えているということは、先ほど申し上げました、後ほど御説明します国際的なワークシェアリングの必要性というのも背景になっているのだと思っております。これは日本の例でございますけれども、どの国を見ても同じようであります。

 

ただ、1つだけつけ加えますと、五極以外、中・韓・三極以外への出願がやはり日本の場合は少ない。それはビジネスの実態を反映しているのかもしれません。

 

それから、14ページでございますけれども、これはかねてから申し上げておりますような審査請求、一次審査請求と審査請求の数の表が左側でございますし、順番待ちの期間を2006年には26.7カ月ですけれども、今の7年請求分と3年請求分が重なるこのこぶの部分においても28カ月台にとどめるということで頑張っているところであります。

 

ただ、先ほど申し上げましたように、少し内訳を見ていろいろなことを考えていく、内外といったものも必要があるかと考えております。

 

それから、15ページでございますけれども、そのようなことで、かねてからお話をしております任期付の審査官の確保、あるいはサーチの外注ということに取り組んでおります。

 

それから、もう1つ、そのような影響を受けまして、審判件数についても特許出願件数、あるいは一次審査の件数の増加の影響を受けて急増をしております。

 

これにつきましては、項目でいいますと、5というところで、後ほど審判制度の現状と課題というところで審査と合わせて審判についても問題といいますか、課題があって、どういうふうに考えているかということを御報告したいと考えております。

 

それから、16ページでございますけれども、これは情報システムの方でございます。

 

これはオンライン出願が霞が関では一番進んで、特許で97%ということまできているわけですけれども、非常に膨大なデータを処理をするということで、新しいシステムの導入にとりかかっております。その際、申請される方へのサービスを向上させる。これはワンストップのポータルでございますとか、インタラクティブな申請ということも考えたいと思っておりますし、後ほど御説明します口座振替といったことを使っていくということ。

 

それから、データの提供を外にどうやって円滑にしていくかということも考えております。

 

この点は、先ほど6番のところで、後ほど特許料金の見直しということと実は情報システムの場合、関係しておりまして、全体の収支状況などについてはそこで御報告をいたします。

 

それから、17ページでございますけれども、これは企業の戦略的な知財管理ということで、出願と特許査定、あるいは海外に出願されるもの、出願されたけれども、国際的に保護されなかったものという表が書いてございまして、そのような意味では意図せざる技術流出を防止する、あるいは企業の戦略というのが非常に重要になっているということでございます。

 

18ページは省略をさせていただきます。今までいろんな事例集でございますとか、過去1年間やってきたことが書いてございます。

 

19ページでございますけれども、中小企業、あるいは地域ということでございますけれども、やはり中小企業なり地域に対してきめ細かいお手伝いといいますか、対策がいるのかと考えておりまして、この分野は引き続き強化していきたいと考えております。特に海外に出願される、あるいは海外での模倣品対策というようなことで、大企業は大企業なりに大変でございますけれども、中小も海外展開が増えて、いろいろな問題を抱えておられますので、その辺のお手伝いをどうしていくのかということも課題かと考えております。

 

それから、農林水産省なども非常にこの分野、関心を持っておられますので、どうやって協力していくかということも考えなければいけないと思っております。

 

それから、20ページでございますけれども、知財につきまして、知財人材を6万人から12万人へという政府全体のいろいろな中でいろいろな対策をとっているということが書いてございます。

 

21ページは詳しい施策でございますが、省略をさせていただきます。

 

それから、22ページは、昨年、御審議いただきました弁理士法の改正、その後、試験制度あるいは研修制度について、今、審議会あるいは研究会、あるいは弁理士会といろいろ御相談をして実施ということをしっかりやっていこうと考えているところでございます。

 

以上が今日、御説明しようとしていることの背景及び全体の方向でありますけれども、個人的には、ここから先は少し個人的な見解もつけ加えさせていただきますと、グローバリゼーション、これは件数も非常に伸びてきていますけれども、南北問題というようなものもさっきもお話しましたCBDとか、いろいろなところで議論されている。

 

それから、海外を見ますと、イノベーションと知財というのは一体どういう意味があるのかというような議論が少しいろいろなところで議論されている気もしますし、それから、企業のいろいろな行動の変化、その中にはパテント・トロールと俗に言われるようなことについてどう考えるのかというようなことが、そういうグローバリゼーション、あるいはイノベーション、知財、さっき申し上げましたリクイディティー・オブ・イノベーションのようなことも背景として、欧州で見ますと、イギリスでゴアズレビューというのが昨年の12月に出たり、それからEPOがシナリオ・フォー・ザ・フューチャーというのを今年の4月に出したり、アメリカの特許法の改正の背景で、もちろん特許法の改正、判例というのは御存じのとおり、いろいろな動きがあるわけですけれども、その背景でいろいろな論文を出されているようでありまして、少し大きなトレンドについて勉強していく必要があるのかなというふうにも個人的には今、考えているところです。最後は蛇足でございますけれども、以上が全体の御報告と、今日、お諮りしようとしていることの背景でございます。

中山部会長

ありがとうございました。

国際的なワークシェアリングに向けた取組について

中山部会長

次に国際的なワークシェアリングに向けた取組につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

小柳国際課長

それでは、資料2の表紙をめくっていただきまして2ページのところでございますが、まず2ページの右上のグラフを見ていただきたいと思います。

 

世界の特許出願件数ということでございますが、160万件を超えているということで、青いところが国内出願、国内出願はもともと伸びているのですが、エンジの色とオレンジ色の部分、これが海外への出願ということでございまして、ここ10年間でほぼ倍増しているというところに特徴がございます。

 

それから、右の真ん中辺にあります欧州、米国、日本という三極間の相互に出願される特許出願件数についての件数の図がございます。

 

これは日米欧全体で、受付件数が約97万件ということでございますが、そのうちの24万件が重複しているというものを示している図でございます。大体4分の1ぐらいに相当するというところでございまして、この部分の出願につきましては、各庁がそれぞれ審査をしているという部分で、この部分について国際的なワークシェアリングの推進によって効率化を図ることができるのではないかということで、今、ワークシェアリングの協力を進めているというところでございます。

 

1ページめくっていただきまして、我が国の状況ということでございますが、右上のグラフが日本の出願構造ということでございまして、真ん中のところの薄い青が国内出願、それから、エンジの部分が海外から日本に来ている部分、それから、内数ではあるのですが、日本から海外に出願が増加ということで、若干濃い青が日本から海外に出ていく出願ということを示してございます。

 

このグラフだけを見ますと、出願動向としては全体としては横ばいというふうに見れるわけでございますが、審査請求された出願件数と、各1つの出願に含まれている請求項、クレームの数を掛けた実際のワークロードについて示したものが右下のグラフでございます。

 

これを見ていただくとわかっていただけるかと思うのですが、海外からの出願について、ワークロードの増加分として海外からの出願の部分が大きい。それから、日本発のグローバル出願についても、1996年からの比較で見ますと増えているのが御理解いただけるのではないかということでございます。

 

その増加分についてのワークシェアリングの推進ということで、これは先ほど示しました三極間の全体の話もそうでございますが、海外からの出願については、海外庁のサーチ・審査の結果を利用する。それから、日本発のグローバル出願についても審査結果の早期発信をすることで国際協力を進めていくというようなことをやっていく必要がある。

 

そうすることによりまして、左の一番下でございますが、審査処理能力の配分の最適化が図られるということで、我が国の出願全体に対する特許審査の効率化が図られるというふうに考えてございます。

 

1ページめくっていただきまして、ではそのためのワークシェアリングのシステムの構築ということでございますが、基本は、いろんな段階での情報共有ということで、いろんな意味での情報の相互利用を進める基盤を含めた協力を行っていくということでございます。

 

図の左の方に出願、サーチ、一次審査、権利付与と書いてございますが、各項目については、この後の方で具体的に御説明いたしますが、その各段階につきまして情報共有を図っていく。それによりまして、ワークシェアリングが進展すれば、グローバル出願の特許審査の効率化に寄与するというふうに考えてございます。

 

1ページめくっていただきまして、それでは、具体的にということでございますが、まずワークシェアリングを支える情報ネットワーク基盤ということでございまして、現在、優先権書類につきましては、三極の特許庁と、韓国の特許庁の間では、ある意味、信頼関係のもとに未公開書類である優先権書類を交換しているというところでございます。

 

これに加えまして、現在、WIPO、世界知的所有権機関で議論が進んでおります優先権書類のデジタルアクセスサービスという動きがございまして、従来の優先権主張の手続というのは、出願人が最初に出願をした第一庁から優先権書類を取得して、第二庁に出願人がみずから提出するといったことを、これが出願人は一応ただWIPOにそういう要請をするだけで、書類自体は自分が出願いたしました第二庁に自動的に送られるようなシステムをつくるというところでございます。

 

このようなシステムを構築できるデジタルアクセスサービスが今、検討中でございますが、これが可能となりますと、まず5ページの下に書いてございますとおり、特許庁間で直接的に優先権書類を交換するということで、出願人の方の手続負担、それからコスト負担が軽減されるというメリットがございます。

 

それから、優先権書類を電子データとしてシステムに蓄積・交換できて、世界的な事務処理、これは特許庁の立場でございますが、負担の軽減になるということでございます。

 

さらに付随的な効果といたしましては、他庁から優先権書類の要求があれば、第2国出願があったことをいち早く把握可能ということでございます。

 

そうしますと、それぞれの特許庁において優先的に審査すべき出願を即時に把握可能というようなことになるかと思います。

 

ただ、現在、WIPOで検討されている優先権書類のデジタルアクセスサービスについては、今、これを日本で実施していくためには特許法の面での手当てが必要かなというふうなところがございまして、今回、御説明をさせていただいているところでございます。

 

1ページめくっていただきまして6ページでございますが、この部分はやはり情報ネットワーク基盤のところで、サーチ・審査結果の利用ということでございます。

 

これはドシエ・アクセス・システムと呼んでございますが、審査情報を他の国の特許庁に提供していくシステムでございます。現在、ヨーロッパ特許庁、米国特許庁、日本特許庁の間の三極のネットワーク上で審査情報のリアルタイムでの相互参照が可能となってございます。これに今、韓国の特許庁が一応参加できることになってございます。

 

これに加えまして、日本の審査結果の早期の世界に向けての発信ということで、図の右側の方でございますが、インターネットのウェブサービスということで、AIPNと書いてございますが、高度産業財産権ネットワークということで、合計今、30カ国の特許庁に審査情報を提供しているというところでございます。これは日英の機械翻訳機能付ということで英語での情報発信ということを実施しておるところでございます。

 

7ページでございますが、今、御説明申し上げたことを簡単に表にまとめてみたものでございますが、審査結果情報については、ドシエ・アクセス・システムとAIPNで対応しているところでございます。

 

それから、優先権書類についても、日米欧の三極、それから、韓国との間では二国間の電子的交換システムとができております。

 

ただ、その他の国に対する優先権書類の電子的な交換ということが今、未整備ということでございますが、これが今、WIPOで検討中のDASと書いてございますが、優先権書類デジタルアクセスサービスということで可能になるのではないか。このためには法改正が必要になると考えてございます。

 

1ページめくっていただきまして、それでは具体的な審査結果の方の相互利用の取組ということで御説明いたします。

 

一次審査結果につきましては、各庁間で相互利用を推進する。それでワークロード、コストの削減、特許の質の向上及び迅速な権利設定を図るということが目標になります。

 

日本におきましては、特に日本から海外に出願される特許出願について、日本の特許庁からの早期のサーチ・審査結果の発信を目指すということが目標になります。

 

現状を申し上げますと、審査請求を待っての審査着手、それから、審査待ち時間の長期化ということで、日本人の出願を他庁が先に審査に着手してしまうようなケースもございます。

 

それを踏まえまして、出願から一定期間内に審査請求された出願については、審査に早期に着手するということで、海外の特許庁での審査結果の利用を促進していくということでございます。

 

それによりまして、海外での日本企業の権利取得の効率化とか、権利の質の向上にも寄与できるのではないかと考えてございます。

 

米国にもSHARE提案というのがございまして、基本的には同じような枠組みで、第一庁の一次審査の結果を早期に発信していくということでございますが、それを図で模式的に示したものが8ページの下の図で示してございます。

 

それから、最後、9ページでございますが、これは最終審査結果の相互利用に向けた取組ということで、特許審査ハイウェイということで、これは自国で特許になった出願は、ユーザーの請求によりまして、他国で簡便な手続で早期審査を受けることができるという約束を基本的に二国間の間で取り決めを行っているというところでございます。

 

これによりまして、自国で特許になった場合には、海外での早期権利化、それから、加えて各国特許庁の審査負担軽減と、審査の質の向上にもつながるということでございまして、今、日米では、昨年の7月から試行を実施しておりますし、日本とイギリスの間ではこの7月から、それから、韓国の間では今年の4月から実施しております。

 

それから、先週、日独の間でということで、来年の3月までに試行を開始するということで両長官の間で合意に達してございます。

 

それから、現在、カナダ、オーストラリア、それから、EPO等の間でも実施に向けいろいろと検討を行っているところでございます。

 

今、特許審査ハイウェイのことを図で示したものが9ページになってございますが、自国と書いてございますが、特許査定をもらった段階で他国での審査を受けて早期審査ということで早期の権利化ができるというようなスキームということでございます。

 

以上、簡単でございますが、国際的なワークシェアリングに向けた取組ということで御報告申し上げました。

中山部会長

ありがとうございました。

質疑応答

中山部会長

それでは、ただいまの御説明に関しまして、御意見あるいは御質問等ございましたら、お願いいたします。

森下委員

システム自体非常に前進してきておりまして、大変いい試みだと思うのですが、1つ気になりますのは、日米欧内でやはり特許の範囲といいますか、取れる権利の範囲がかなり異なってきている分野がいまだに残っている中で、日本で出すと一番厳しいものが各国へ送られるということも場合によっては起こってくると思うのです。そうしますと、海外に、例えばアメリカへ出したものを日本へ持ち込んだ方がいいという考え方が実務的にはできてくると思うのですが、ある意味、審査の基準というのはかなり統一されないと、なかなかこのシステムの中で、どうしてもどこが一番有利かということを探っていく方向にいくと思うのですが、そのあたりの範囲の世界的な統一というのですか、統一基準的なところはどこまで動いているのかということと。

 

それから、各分野の審査の標準化というところに関して、特許庁としてどういうふうにお考えされているか。その2点を御質問したいと思います。

中山部会長

その点に関しては。

新井調整課長

今、御指摘のように、特に日米欧の中では、そもそも制度が多少違っているわけですから、それを背景とした運用も当然多少異なってくるわけです。ただ、それぞれの現在の枠組みの制度の中で、どこまで運用上歩み寄れるか、三極の中で審査基準の議論などさせていただいています。これは実務上に係る議論ですので、やはりそれなりの時間を要しますが、我々としては、できる限り運用面でもハーモすべく、議論を進めているところでございます。

森下委員

特に先端医療分野などは結構あって、アメリカの方が広くて、日本がやはり厳しいという状況で、これは知財本部等でもいろいろ検討が進んでいますけれども、依然としてやはりその状況は残っていますので、普通に考えると、アメリカに出願して日本へ持ち込んだ方が有利だというふうに考えてしまうと思うのですが、それは実務的な範囲内のお話でいくのか、それともこれから統一の方向でできるだけ努力をされるということなのか、その辺をお聞きしたい。

守屋特許技監

私の方から補足をさせていただきます。

 

今、森下委員のおっしゃられたように、先端分野、バイオ分野も含めまして、多少アメリカと日本、あるいはヨーロッパとの間での審査の違いが出てきているというのは事実でありますけれども、我々三極特許庁の中で、特に今、審査実務のハーモナイゼーションというプロジェクトがございまして、大きく2つ検討をしておりまして、1つは開示要件とクレームと、その開示の範囲をどうバランスさせるかという問題であります。

 

それから、実施可能にするにはどういう実施例が必要なのかどうかということをいろいろお互い、法律があり、それから、ガイドラインがございますので、それも対比して、違いがどこにあるか、それから、事例をあげまして、こういう場合はお互いどういう判断をするのだというようなことを比べながら、その違い、一致点を見て、事実をまずきちっと見た上で、どうこれを調整していくか、どういう判断基準がいいのかということを調整していこうというふうに検討しております。

 

来月、三極の会合がありますけれども、大体その比較のところは終了する段階になっておりますので、どういう点でお互いのガイドラインが違うのかということは、皆様方に御提示できるような方向になるのではないかと思っています。

 

それから進歩性のところの判断基準も、最近、アメリカの最高裁でKSR判決というのが出まして、それでアメリカの審査のガイドラインも新しく改定をされまして出されております。これも我々も研究をしております。私どもの方から見ますと、少し日本に近くなったようなガイドラインができたのかなと思っております。アメリカの中でもそのような評価がされていると思っていますが、それをこれからヨーロッパも含めまして対比して、どこに違いがあり、どこが一致点なのか、どういう進歩性のレベルでいいのかということを産業界の皆様方の御意見を踏まえながら検討していきたいと思っています。

 

それから、特許庁の中では、昨年来審判部で行っております進歩性の基準をどうするんだとか、判決も含めてユーザーの方々と議論をさせていただいていますので、今、森下委員の御懸念のところを、齟齬があればできるだけ是正するような方向で議論していきたいというふうになっております。

森下委員

どうもありがとうございました。

 

先ほど長官が言われたように、これからイノベーションをどう評価するかというのが非常に大きな問題になってくると思いますので、国益が損なわれないようにぜひよろしくお願いしたいと思います。

中山部会長

ほかに御意見、御質問ございましたら。

青山委員

ちょっと議論の趣旨がはずれてしまったら申しわけないのですが、先ほど長官の御説明の中で、知財政策を巡って本当にいろいろと精力的なお取組をなさっていらっしゃるということが大変よく分かったのですけれども、1点だけ、本当にささやかな暮らしの状況がどうなるかということでちょっと教えていただきたいのですが、昨今、非常に模倣品の問題が多くて、模倣品被害が80兆円にものぼるというような報道を見るにつけましても、例えば車の部品ですとか、家電製品の部品ですとか、そういったものの模倣品というものがあるとすると、非常に暮らしの安全・安心に大変影響を及ぼすことになってしまう。そういうときに、やはり日本の中にそういう模倣品を入れてほしくないというふうに思うわけですけれども、そういう部分についてのお取組について、ぜひお聞かせいただければと思うのですけれども、お願いいたします。

肥塚長官

今、おっしゃられましたように、私どもの中、それは特許庁に限らずですけれども、今、お話があったような、安全・安心といいますか、ブランドはそういう効果も持っているのだと思っていまして、そこに限った対策なり政策ということではありませんけれども、そういう問題があるのだということを強く認識しながら模倣品あるいは海賊版の問題というのを取り組なければいけないという議論を最近でも庁内でやっているところでございまして、対策についていえば、政府の本部のもとで、警察あるいは税関といったところの連携体制はかなり整ってきていると思います。

 

それから、この間も日中韓の税関の担当の会議が開かれていましたけれども、私どもだけで、権利の付与をするところだけではなくて、いろんなレベルの連携が深まっていると思っていまして、そのときに安全・安心、ブランドということを強く意識してやっていくという意識は強く持ってやっているつもりであります。

中山部会長

輸入という点に関しましては、今、長官から話がありましたとおり、財務省の関税外為等審議会、私が会長をしているのですけれども、そちらで審議しておりまして、従来に比べるとかなり実効性ある方法で止めているようになってきたと思います。ほかに何かございましたら。

松尾委員

質問なのですが、ひととおり御説明を伺ったあと、もう一度4ページのところを見直しますと、この評価というのはどういう角度から○とか、△とか書いていらっしゃるのか。資料2の4ページです。

 

この○や△の意味なのですが、例えば最後の相互利用に向けた取組で、利用性は◎で、先ほどの御説明だと、かなりこういうところは進んでいるというところはあるかと思うのですが、隣に今度は利用可能件数だと△になりますね。ちょっとこういうことを説明していただきたいと思います。

中山部会長

お願いします。

小柳国際課長

今の松尾先生からの御質問でございますが、まず特許審査ハイウェイの特許判断の利用性の◎というのは、基本的には第一庁の判断を尊重しながら判断をしていくということで、利用価値が高いということで◎をつけてございます。

 

ただ、△というのは、利用可能件数ということでございまして、もちろん件数自体はどうしても相対的な問題なのですが、例えば一次審査の数からいえば、特許になるのは当然数が少なくなってくる。それから、これは出願人が自らハイウェイを使いたいという意思表示をしなければいけないというのがございまして、利用件数自体は、相対的な意味では△になるということでございます。

 

そういった意味で、一次審査は両方○、○とついているのですが、これは一次審査といえども審査官の最初の判断がついてまいりますので、そこは尊重すべき点があるということで、○ということでつけてございまして、一次審査は当然基本的には、日本であれば審査請求があったものはすべて審査するということで、件数もかなり見込まれるということで○という評価を、そういった形で◎、○、△の評価をさせていただいております。

松尾委員

わかりました。

中山部会長

ほかにございませんでしょうか。

野間口委員

少なくとも産業界の立場で言いますと、話としては、よく以前から我々も理想的な形として感じていたわけですが、具体的な課題でアクションにつながる形でもってきていただいていると思います。この問題について日本の特許庁はかなりリーダーシップを発揮しながらやっていただいているなと思っていますが、具体的にワークシェアリングの俎上に乗って効果が出ている件数やトレンドのようなものを定量的に教えていただければと思います。そのトレンドみたいなもの。

 

それから、もう1つ、先ほど森下先生の言われた件にも関係しますが、相互利用をやってみた結果、こういうところはちょっと見直した方がいいとか、注意し合った方がいいとかいうような、PDCA的に特許庁の長官間の三極の会議等でそういうのが出てきているフェーズでもあるかと思いますが、そういうのがもしあるのかどうか、そういうのが出てきた場合、どう対応されるのか。その辺を教えていただければと思います。

中山部会長

お願いします。

新井調整課長

まず1点目の御質問のワークシェアリングの現実、効果はどうなのか、定量的にどうなのか、というご指摘ですので、それを踏まえてお応えしたいと思います。現在は、日米、それから、日韓、日英の間で、ハイウェイが進行しております。

 

まず日米についてですが、現在試行中ということで進めておりますが、日本からアメリカに行くもの、アメリカから日本に来るもの、現時点でトータル約330件ぐらいあります。そのうち日本からアメリカにハイウェイを使った案件というのが180数件あります。一方、米国の企業が日本の特許庁に対してハイウェイを使った案件というのが140数件、いうなれば日本の方がハイウェイを結構利用しているという状況にあります。

 

審査の期間も当然早くやるということで進めていますが、概ね申請があって数カ月、2、3カ月ぐらいで処理をしております。

 

また特許の成績についてですが、特許率が全体で50数%という中、ハイウェイ案件については、その案件数がまだ少ない上きちんと分析しきれておりませんが、恐らく通常の案件の特許率よりも結構高いのではと、と考えております。

 

それから、日韓につきましては、これも合わせて40数件ありますが、日本から韓国への利用が30件ぐらい、それから、韓国から日本への利用が10数件という状況で、これも日本の企業が韓国に対してハイウェイを相当利用しているというところがうかがえるかと思います。

 

日英につきましては、まだ安定期にきてないということで、まだ数的にはそんな多くございませんが、今後増えていくことを期待しているという状況でございます。効果も含め、定量的には現状以上でございます。

肥塚長官

まだそういう段階でございまして、これからまだ増えていくのだろうと思っています。今、野間口委員からお話がありましたように、PDCAといいますか、それがどれぐらいの効果を持つのかという、さっき申し上げましたように、日本の海外出願なり、海外からの出願というのはあるわけですから、どれぐらいの効果を持ってくるのか。

 

さっき森下委員のお話がありましたけれども、その判断がどう違うのか、どれぐらい実はロードという言い方が適当かどうか分かりませんけれども、というのは、そこがちゃんと評価して、どれぐらいの効果を最終的にできるのかというのは、常に見直しといいますか、それから、ドイツと始めましたけれども、例えば自動車部品とか、そういう分野ではかなり動きがあるかもしれませんし、そういうことも含めて評価をしていきたい。

 

それから、もう1点、今のそういうことを通じて、さっき技監から話しましたように、簡単ではありませんけれども、そういう今までも審査の基準についてのいろいろなやりとりがありましたけれども、今度は具体的なケースでそういうやりとりが出てくるわけで、そういう意味では、質といいますか、判断がどう違うのか。どこが同じなのかということが今までとはまた違った意味で見えてくるという効果もあるのだろうというふうに思っております。

中山部会長

ほかに何かございませんでしょうか。

山本委員

今の御質問ですけれども、全体的に増える特許出願件数に比べると、三百数十件というのはまだ少ないというふうに思うのですけれども、具体的にそれを増やしていく施策というか、そういったものはあるのですか。

新井調整課長

いろいろな国とハイウェイ関係を広げていく中で、全体の件数を上げていくというのはあろうかと思います。

 

それから、先ほど日本企業がアメリカに対して結構ハイウェイを利用しているような説明をしましたが、実はここまで至る間、ハイウェイシステムの制度そのものを産業界等の方々にもよくご理解いただくため、いろいろな局面でご説明させていただいた経緯があります。そういう活動の中で徐々に増えてきたということから、これからも、ハイウェイシステムについてよくご説明しご理解いただくことが必要かと思っています。

肥塚長官

そういう意味で言いますと、企業の皆様方のビジネスの判断がもちろん最優先、その中でこれはまず知っていただくことということと、それから、こういうふうに使っていただいている例があるのだということを、それは我が国でも、それから、相手国の中でもそうだと思うのですけれども、理解を広げていく努力を我々もやって、使っていただく件数がどんどん増えていくようにということをやっていきたいというふうに思っています。

宮川委員

資料2の6ページ目なんですけれども、もちろんサーチ・審査結果の相互利用とか、あるいは一次審査結果を共有するといった場合、やはり異なる国、それから、異なる言葉の国同士の問題ですので、どのような言語で情報を交換し合うのか、あるいは共有し合うのかというのは非常に関心を持っております。この右側の四角の吹き出しの中に日英機械翻訳機能付というふうに書いてありますが、やはりドイツ語とか、韓国語とか、その他いろいろな言葉でデータがあると思うのですが、そういう意味で、どのような形で言葉の問題を解決されようとしていらっしゃるのか教えていただけたらと思いますが。

小柳国際課長

基本的にはまず英語でということが共通になっているかということでございます。

宮川委員

では、データ等はみな英語で提供できるような形になっていらっしゃるのでしょうか。

小柳国際課長

基本的にはテキストデータになりまして、それを機械翻訳して、その都度、その都度、英語で利用できるような形にしているというところです。

宮川委員

ありがとうございました。

中山部会長

ほかに何かございませんでしょうか。

 

よろしいでしょうか。

 

ありがとうございました。

常実施権等登録制度ワーキンググループの検討状況について
審判制度の現状と課題について
特許関係料金の見直しの検討について
特許料等手数料における口座振替制度の導入について
技術情報の保護等の在り方に関する小委員会の検討状況について

中山部会長

それでは、次の議題であります通常実施権等登録制度ワーキンググループの検討状況、審判制度の現状と課題、特許関係料金の見直しの検討、特許料等手数料における口座振替制度の導入、技術情報の保護等の在り方に関する小委員会の検討状況につきまして、事務局より続けて説明をお願いいたします。質疑応答はその後で行いたいと思います。

間庭審議室長

資料3でございます。

 

通常実施権等に係る登録制度の見直しについて御説明させていただきます。

 

本件につきましては、7月に当部会の中の特許制度小委員会の中に通常実施権等登録制度ワーキンググループを設置いたしまして、現在、検討を進めております。

 

資料の一番最後のページに委員の名簿を載せてございますけれども、弁護士の竹田先生を座長にいたしまして、企業の方々、実務家の方々、知財法や民法の先生方、中山部会長にも御参加いただきまして、現在、検討を進めているところでございます。

 

資料の表紙をめくっていただきまして2ページ目、検討の背景でございますが、先ほど長官の方からも説明がございましたけれども、近年の知財をめぐるプレーヤー、あるいは企業行動の多様化に伴いまして、知財の流動化やライセンスの拡大とその重要性が高まっている。そういう現状を踏まえて、今回、検討を行っているわけでございます。

 

具体的に申し上げますが、まず知的創造サイクルの加速化ということで、知財を創造し保護するのみならず、きっちり活用していこうということで、その中で権利の流通ですとかライセンスを進めるような施策を私どもも展開してございまして、従前より特許流通アドバイザーの派遣ですとか、特許流通データベースの整備などによりまして、流通促進事業というもの、これは今、情報研修館の方でもやっておりますが、これを進めているところでございます。右下のグラフで特許流通アドバイザーも2006年度には累積9,000を超える人数となってございます。

 

3ページ目でございますが、そのようなことで、産業財産権の流通市場の拡大が見られるということで、左上の表で、産業財産権の売買譲渡額について出してございますが、2004年特許権が12億円程度、2005年が26億円弱というふうに拡大しているところでございます。

 

また、最近の動きといたしまして、下の方でございますけれども、信託業法の改正ですとか信託法の改正によって、知財信託ビジネスのさらなる活発化が見込まれる。先日の新聞でも知財信託で受益が出たというような記事も載ってございましたけれども、そういったことの活発化が見られるところでございます。

 

4ページ目でございますが、政策投資銀行では、知財権を担保にした融資というものを非常に活発に行っていまして、融資実績として2007年の3月末時点で件数300件、融資累計で190億円程度の融資が行われている。資金調達手段としても知財の重要性が高まってございます。

 

こうしたビジネスの動きに加えまして、現在、国境を越えた企業の再編ということで、M&Aあるいは事業譲渡の件数も増えてございます。左下のグラフでございますが、この折れ線グラフがM&Aでございますが、1996年に1,000件弱だったものが、2006年には4,000件近くにまでM&Aが増えているということでございます。

 

こういったM&Aの動きですとか、事業譲渡の増加も踏まえて、知財権の移転というものも件数が増えてございまして、右下のグラフでございますが、96年に2,400件程度であったものが、2006年には1万1,100件を超えるというようなことになってございます。

 

このような知財の流動化に加えまして、最近の企業の方の動きとして、5ページ目でございますが、自社の得意とする分野に集中的に経営資源を集中して、その他の分野については第三者からライセンスを受けるというような、研究開発における選択と集中が重要になっております。そういった戦略的なライセンスの動きが見られるわけでございます。

 

また、2番目の○にございますように、パテントプールみたいなライセンスビジネスの多様化、あるいは3番目ですけれども、大学のTLOにおきましては、特許になる前の出願段階の発明も含めまして、ライセンスをするというような動きも見られるわけでございます。

 

6ページ目でございますけれども、そのような中で、特許権者が破産したりあるいは特許権が譲渡されたりした場合に、ライセンス契約が解除されるという事業継続リスクというものも潜在的に増大しておりまして、ライセンシー保護のニーズが高まっているわけでございます。

 

そういったことを背景といたしまして、今回、現行の特許法でも通常実施権の登録制度がございますが、この制度をより利便性の高いものにする必要があるだろうということで、今回の検討を開始した次第でございます。

 

7ページ目は飛ばしていただきまして、8ページ目で現行制度の課題とございますが、先ほどのような背景との関係で、現行制度では特許権になった後の登録制度、通常実施権の登録制度はございますが、発明段階、特許を受ける権利の段階でそういったものを、通常実施権を保護するような制度がないというのが現状でございます。

 

また、その点につきまして、8ページ目の左下のグラフですけれども、特許権の移転の件数、先ほど申し上げましたように増えているわけですけれども、出願中の権利の移転というのも実際、統計を取りますと、上のオレンジ色のグラフでございますが、かなり増えている状況でございます。

 

また実際に企業実務において、特許権以外でライセンス契約等の対象としているもののアンケート調査でございますが、右下の棒グラフでございますが、やはり出願中の発明、考案というものが対象となっているという実態もございます。

 

9ページ目でございますが、先ほど申し上げましたとおり、現在の特許権に係る通常実施権の登録制度というものが必ずしも活用されていないということで、この表は登録率でございますが、特許でいえば1%程度。その原因というのは何かと分析いたしましたところ、ライセンスというのは企業の秘密に関わることですので、どことライセンス契約を結んでいるのか、そういったことは秘密にしておきたい。片や現行制度は、登録したものは全部開示というような制度となっている。そこのところで使い勝手が悪いという話でございました。

 

10ページ目でございますが、現在、先ほど申し上げましたワーキンググループで検討している対応の方向性について御説明申し上げます。

 

まず1番目として、出願段階におけるライセンス等の登録制度の創設ということで、出願段階でのライセンス、特許を受ける権利についてのライセンスについて登録制度を新たに創設して、登録すれば第三者対抗力を有するというようなスキームを新たに特許法に位置づける方向で現在、検討してございます。

 

これによりまして、左側の表でございますが、改正前ですと、特許権になった後の通常実施権についてのみ保護されるわけでございますけれども、改正後は、特許を出願段階で権利者が破産あるいは特許譲渡された場合でも、登録していれば保護されるというような制度を現在、検討してございます。

 

あと右側の枠でございますけれども、これは特許を受ける権利について、現在、それを移転した場合、届出が必要ということになってございますが、これも登録制度にする必要があろうという制度改正でございます。

 

11ページ目でございますが、現行の特許権の通常実施権の登録制度についてでございますが、先ほど申し上げましたような登録事項の秘匿化のニーズを踏まえまして、現在の登録事項のうち、通常実施権者の氏名あるいは通常実施権の実施の範囲、地域ですとか、期間ですとか、そういったものは一般には非開示にするという方向で検討してございます。

 

また、現在、定めがある場合は登録事項となっているのですけれども、通常実施権の対価を登録していただいているのですが、これは登録事項としては適当ではないだろう。変動もしますし、そういうことで今回、登録事項から除外する方向で検討してございます。

 

12ページ目でございますが、その他細かい話になりますけれども、サブライセンス、ライセンサーとライセンシー、さらにサブライセンシーといるような実態がございますが、そのサブライセンスについても一定の条件のもとで登録できるような運用改善を行う方向です。あるいは2番目の○ですけれども、現在、登録というのはライセンサーとライセンシーの共同申請が原則になってございますけれども、ライセンシーの保護の観点から、一定の場合、通常実施権許諾の公正証書があるような場合はライセンシー単独でも登録ができるように制度改正できないかということを検討してございます。

 

また、3番目として、これは細かい話ですけれども、登録申請を受け付けた日と実際の登録日にタイムラグがございまして、その間に二重譲渡とか、そういった他の権利変動があった場合、おかしなことになりますので、登録申請受付日を登録日とみなすような格好にしたいと考えてございます。

 

13ページ目でございますが、このような見直しによりまして、権利の流通、ライセンスの拡大、そういったものを更に私どもとしても後押しをしていきたいと考えてございます。

 

14ページ目でございますが、ワーキンググループはこれまで3回開催してございます。来週の月曜日(29日)になりますが、今の方向について、報告書の骨子案をワーキンググループの場で御議論いただきまして、その後、パブリックコメントを1カ月経まして、12月に報告書をまとめたいと思います。その後、特許制度小委員会を経まして、当部会にも再度御報告いたしたいと考えてございます。

 

私から以上でございます。

米津審判課長

資料4に基づきまして、審判制度の現状と課題について御説明申し上げます。

 

1ページをごらんいただきますと、御承知の方も多いと思いますが、審判制度の概要でございます。

 

審判の役割としては2つ書かれておりますが、1つは審査の上級審としての役割、もう1つは紛争の早期解決を支援するという役割がございます。

 

審査の上級審としての役割で典型的な例としては拒絶査定の不服審判がございまして、これは審査で拒絶になったものについて、その妥当性を判断するということでございます。

 

一方、紛争早期解決支援という面では無効審判というのが典型的な例でございまして、特許等の登録になったものの権利の有効性の判断をするという審判でございます。

 

それぞれ位置づけという欄に書かれておりますが、拒絶査定不服審判でいえば、年間約2万9,000件ほどの件数がございます。

 

また、無効審判につきましては、侵害訴訟が地方裁判所に提起されたものの対抗手段として出される場合が多いのですが、年間約500件ぐらいという規模で出されているということでございます。

 

特許庁審判部での判断に不服がある場合は、知財高裁等に訴えを提起できるということになっております。

 

2ページ目はちょっととばさせていただきまして3ページでございますが、拒絶査定不服審判についての請求の動向と審理期間でございます。

 

下のグラフをご覧いただければわかると思いますが、特許・旧実用新案につきましては、この拒絶査定不服審判の請求件数が増加しているということでございます。

 

一方、意匠、商標につきましては、漸減、若干減っている傾向があるということです。

 

一方の審理の順番待ち期間でございますが、FA期間と申しておりますが、特許・旧実用新案では、一旦短くなったのですが、またその後長期化の傾向にございます。2006年度は27.1月ということでございまして、意匠、商標につきましては短縮傾向で、2006年、それぞれ11.2月、19.6月ということでございます。

 

次のページは参考ですので割愛させていただきまして、5ページをご覧いただきたいと思います。

 

拒絶査定不服審判の審理結果、請求の成立率でございますが、特許と旧実用新案につきましては、この請求成立率、拒絶査定が取り消しになる審決の割合が大幅に低下しているということで、2006年度は43%ぐらいになっております。

 

一方、意匠についても低下しておりまして、50%台ぐらいになってきている。

 

商標につきましては逆に上昇傾向に最近ございますということでございます。

 

6ページでございます。

 

この拒絶査定不服審判が不服の場合、訴訟が出されるわけですけれども、審決取消訴訟の動向を示しております。

 

特許と旧実用新案につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、審判での請求の不成立率が増加しているにもかかわらず、出訴率、裁判所に出訴される率が3%前後と余り増えていないということでございます。

 

一方、拒絶査定不服審判の審決取消訴訟における審決の支持率、裁判所が特許庁の判断を支持したという支持率は、若干2006年は下がりましたが、高い水準にあるということで、85から90%は支持されているということでございます。

 

7ページでございます。

 

次に先ほど申し上げました無効審判につきましてのデータでございます。

 

審判請求の動向と審理期間でございますが、特許と旧実用新案につきましては、無効審判は、2004年に、最近では多少増加しておりますが、以降は減少傾向が続いているということでございます。

 

2004年に増加したのは、従来の特許異議申立制度と無効審判制度を統合しまして、新しい無効審判制度にしましたので、その段階で一旦増えましたが、以降、減少しているということです。

 

そして無効審判につきましては、特に早い処理が求められているということで、優先処理を行っておりまして、審理期間は特許・旧実用で10.8月、意匠では8.7月、商標で10.2月で処理をしているということでございます。

 

8ページでございますが、無効審判の審理結果でございます。

 

特許と旧実用新案についてでございますけれども、この無効審決の割合、無効審判を申立てられて無効になる割合、これが上昇をしてきておりまして、2006年では60%を超える割合で無効になっているということでございます。

 

9ページでございます。

 

無効審判の審決取消訴訟の動向でございます。

 

特許庁で判断した無効審決、これが審決取消訴訟で取り消される率なのですが、これは2003年以降、低下して、全体としては20%前後に低下してきているということです。特に無効審判の請求不成立、特許庁で権利が有効だと判断した審決の取消率ですが、昔は非常に高かったわけですが、2000年では75.6%ほどあったのですが、2006年には38.5%にまで低下してきているということでございます。

 

10ページでございます。

 

このような状況を踏まえて、審判部としてどういうような取組をしているかということでございますが、冒頭申し上げました審判の役割、審査の上級審あるいは紛争の早期解決という、この役割を踏まえると、審判請求件数が急増しているという現状においても、審理の迅速化、効率化と審理の質の維持・向上、これを同時に実現していくことが大きな課題と考えております。

 

また、制度を利用されるユーザーの皆様が非常に多様なニーズをお持ちでございますので、それにお応えしていくということも必要だというふうに考えております。

 

11ページでございますが、その中で審理の迅速化・効率化に関する取組はどういうのをやっているかということでございますけれども、まず審査・審判の判断基準を統一しまして、そしてなるべく審査段階で特許になるものをふやしていくという取組でございます。そのことによりまして、審査・審判全体として処理の迅速化・効率化を図れるというふうに考えております。

 

また、まとめ審理と申しまして、同一の審判請求人の方の案件を一括して審理するということをやっておりまして、効率化を図っております。

 

さらに審判調査員という審判官の補助をする方、補助者の数をふやしまして、処理能力を向上させている。

 

また、前置審尋と申しまして、これは審判の段階で補正が出た場合には、前置審査といって、もとの審査官に一旦戻して前置審査をやるのですが、その前置審査の報告書を審判請求人の方にお送りして、請求人の方に請求の当否の見直しの機会を提供するということもやっております。

 

あるいはペーパーレス化にも取り組んでいるということでございます。

 

12ページでございますが、次は審理の質です。審理の充実、質の維持・向上でございます。その取組でございます。

 

1つは、判決が出ましたら、その判決レビューということで、審判官にその判決の報告をして、知財高裁の判決を踏まえた厳正な審理をするように努めております。

 

また、無効審判では口頭審理を積極的に行いまして、当事者の皆様の納得感を得られるような審理を心がけております。口頭審理の実績は、2006年で147件でございます。

 

さらに法律アドバイザーとして現在、2名の弁護士の方をお願いしておりますが、法律研修等をやっていただいているのですが、この方々を今後、審判参与というふうに拡充いたしまして、研修に加えて、審判制度全体の運用への助言等をいただくようにしたいと考えております。

 

また、裁判所には調査官として審判官等が出向しておりますが、その経験のある審判官を活用して審理の充実に努めているということです。

 

あと、先ほど申し上げました前置審尋につきましては、前置審査での審査官の見解に対する請求人の反論ができるということですので、それも考慮した上で審理をするということで、質の向上にも役立つということでございます。

 

また、裁判所との情報交換ということで、侵害訴訟におきまして、権利無効の主張等がよくなされておりますが、そういった証拠書類を特許庁の無効審判等にもフィードバックしていただいて、充実した審理を図っていこうという取組をしております。

 

あとは、先ほどご説明がありましたが、ユーザーと審判官の進歩性検討会にも取り組んでおりまして、充実の一環として取り組んでいくということでございます。

 

13ページは多様なニーズに対する取組ということで、まずは、早期審理制度でございまして、対象案件につきましては、全件1年以内に処理をするようにしております。実績は2006年で246件でございます。

 

次には無効審判事件につきましては、特に早期紛争処理の観点から優先的に処理をしておりまして、特許・旧実用で見ますと10.8月の処理期間ということでございます。

 

あとは審判の合議体が地方に出張しまして、面接審理ですとか、口頭審理を実施しておりまして、それぞれ地方面接142件、巡回審判32件を実施しているということでございます。

 

14ページはとばさせていただきまして15ページでございます。

 

ここは審査と審判の判断基準につきましてでございますが、審査で拒絶となった案件が審判で即特許となる事件の比率、下のグラフでいいますと、一番下の濃い青、そこが特許になっていますが、この比率が徐々に減少しているということでございます。逆に即原拒絶査定維持という一番上の薄い水色の割合が増えてきておりまして、要は審査と審判での判断基準の乖離というのが縮小傾向にあるということでございます。

 

最後、16ページでございますが、一応検討の方向と書かせていただいておりますけれども、このような審判の現状を踏まえまして、私どもとしましては、いろいろ運用面での取組を行っているわけでございますが、ここでさらにユーザーフレンドリーな不服申立て制度、審判制度としての在り方も検討すべきではないかということで、具体的には、特にと書いてございますが、特許の拒絶査定不服審判につきましては、現在、審査の方で非常に処理件数が増えていることに伴って対象件数が増えているということで、審判請求をされる方の御負担というのも急増しているのではないかと考えます。

 

現行では、審判請求期間が30日という法定期間になっておりますが、これは諸外国の例ですとか、国内の他の行政不服の手続の例と比べてみましても、若干短いのではないかという御意見もございますので、ユーザーの皆様の手続保障の観点から、この請求期間を見直してどうか、見直す必要があるのではないかというふうに考えております。

 

そしてそれはひいては審判の運用のさらなる効率化にも役立つのではないかというふうに思っております。

 

御参考までに諸外国の例として、アメリカでは3カ月、欧州2カ月、中国3カ月、国内の他の行政不服の例としては、行政不服審査法の審査請求期間が60日、公正取引委員会の不服審判請求期間60日、国税の不服審判については2カ月というようになっております。

 

私の方からは以上でございます。

小川総務課長

続きまして特許関係料金の見直しの検討につきまして、総務課長の小川の方から御説明させていただきます。

 

資料5の文字の割合の多い資料なんですけれども、これに基づいて御説明させていただきたいと思います。

 

特許行政につきましては、特許特別会計で賄われているわけでございますが、それは収支相償の原則のもとで、出願人からの出願料、審査請求料、特許料等の歳入によって、審査・審判の事務の歳出を賄うというような仕組みになっておりまして、中長期的には収支がバランスするというような原則のもとで運営されております。

 

前回、料金改定を行いましたのは平成15年に改正しまして16年に施行されていますが、このときの改正の考え方につきましては、特許率の高い出願人と低い出願人がいるわけなんですけれども、そんな中でのコスト負担の不均衡、そういうものを是正し、審査請求行動の適正化を促すというような観点から、出願から権利までの期間にかかる特許特別会計の収入全体を一定なるもとで出願料と特許料を引き下げ、審査請求料を増額をするというような改正を行わせていただきまして、これによって出願人が戦略的に審査請求を行うインセンティブの強化というものを図ったわけでございます。

 

今回につきましては前回の特許法の改正から3年を経過しているわけでございまして、この法律の附則に、次なる料金の見直し時期として施行から5年経過した後ということが書かれておりまして、その時期が近づいているということと、その法律改正が行われたときに、国会の附帯決議におきまして、この見直し時期、附則に書いてある5年経過した後というのにもかかわらず、施行状況を見ながら検討を行えということがありました。

 

そういうことも踏まえて、ことしの5月、経産大臣から、この料金制度全体についての見直しの指示というものが発せられたわけであります。

 

そういうことで現在、作業を進めつつあるところでございますが、今回につきましては現行の料金体系を前提としながら、4部門のそれぞれの収入と、それぞれの支出を部門ごと、または全体との両面で将来見通しを得ることによって、今後の見通し、料金の見直しというものを検討していきたいというふうに思っております。

 

1枚めくっていただきまして詳細でございますが、前回、料金改正を行った以降、この数年間のうちにどういう変化があったかということでございますが、収入につきましては平成13年度の審査請求期間の短縮、これによって審査請求件数の増大が見られているところでございますが、それがかなり予想を上回って増加をしているというようなことから、収入の増加が見込まれているところでございます。

 

また一方、支出につきましては、先ほど来、御説明にありましたような新業務システム開発が進んでおりまして、これが稼働する段階では、新業務システムに伴って業務の効率化というのが見込まれるマイナス要因がございます。

 

また、昨今の入札の随契の見直し、競争入札の導入、そういうものによって支出の減が見込まれるだろうというような変化が予想されるところでございます。

 

そういうような状況の中で、今回の見直しの前提ということでございますが、基本的には中長期的に収支がバランスをするというような前提の中で、一時的に起こっています審査請求の件数の増加、こういうものが中長期的にはある一定のレベル、安定的に推移する、我々定常状態というふうに言おうとしておりますが、そういうものに落ち着くというふうに考えられます。

 

その定常状態につきましては、前回の改正時と基本的には同じような状態になるのだろうというふうに考えておりまして、前回、想定いたしました将来的な定常状態における出願件数、特許査定率等についての見通しについては、前回の条件を用いてもいいのではないかというふうに考えております。

 

これに合わせて先ほどの業務効率化による支出削減効果、そういうものを反映させて、今後の見通しを今、分析しているところでございます。

 

以降、詳細の検討、まだまだ必要なところでございますが、今現在における試算をラフにお示しさせていただくと、(3)のところにあるわけですけれども、今回、合わせて4部門それぞれにおける中長期的なバランスというものを配慮して、4部門それぞれの収入と支出というものの試算も合わせて行っております。

 

それによりますと、おおよその試算結果でございますが、先ほどの定常状態におきましては、実用新案部門と意匠部門ではほぼ収支は均衡するだろう。一方、特許部門では収入が支出を上回る可能性が高い。いろいろ条件を変えて分析しますと、マイナスになる場合もある。ある程度幅が見られるということでございます。

 

一方、商標部門につきましては、収入が支出を年間200億程度上回る可能性があるというような状況でございます

 

今後、さらに詳細な分析を行う必要がございまして、行っているところでございますが、このような特会の全体としても、収入が支出を上回ることが明らかになった場合には、この4部門のうち、またそれぞれの料金、どの部分を引き下げるかというような検討に入る必要があるというふうに思っております。

 

とりあえず現段階におきます見通しをここで述べさせていただきますれば、前述したように、特許部門と商標部門で収入が支出を上回る可能性が見込まれるという状況がございます。及びここに示してありますように、特許部門においてコスト引き下げのニーズが高い、また、商標部門でも、魅力あるブランドの創出、活用を推進するための環境整備が必要である。そういうような声も強く聞かれているところでありまして、この特許部門と商標部門における料金の引き下げを今後、検討すべきではないかというふうに考えております。

 

ではどの部分を引き下げるのかということに関してでございますが、特許部門におきましては、次のページの図表1にあるのですけれども、権利の取得から維持にかかる総費用に関しましては、特許の部分におきましては諸外国と比べて低い状態になっております。

 

一方、図表2でございますが、この権利維持にかかる費用である特許料につきましては諸外国と比べまして後年度につきましては高くなっている状況もございます。

 

また、中小企業等からは、後年度の特許料について特に引き下げニーズが強いというような報告もございます。

 

というような状況の中で、まずは特許料を引き下げることを検討すべきではないかということを考えております。

 

一方、この権利取得にかかる費用の引き下げのもう1つの特許出願料についても、出願をしやすい環境整備を検討するべきではないかというふうにも考えております。

 

一方、審査請求料につきましては、前回の料金改正で引き上げておるわけでございますが、引き続き適正な審査請求行動を促進するというような観点からは、今回、料金水準を変更しないこととすべきではないかというふうにも考えておるところでございます。

 

2ページおめくりいただきまして5ページでございますが、商標部門につきましては6ページに図表3がございますけれども、他国と比較いたしまして、出願料、設定登録料、更新登録料というものが他国と比べると高額になっている状況はございます。

 

また、この商標のアンケートに関しましての結果、図表4でございますが、安価な商標維持、運用といったものに強いニーズがあるような報告もございます。

 

そういうものを踏まえまして、今後、商標権の取得・維持を促進するための出願料、設定登録料及び更新登録料の引き下げを検討するべきではないかというふうに考えております。

 

以上であります。

醍醐会計課長

特許料等手数料におきます口座振替制度の導入につきまして、資料6に基づきまして説明させていただきます。

 

1ページ目でございますが、オンライン出願と納付方法の実情についてまとめております。

 

御承知のように、特許庁ではペーパーレスを推進しておりまして、早くからネットワークインフラの活用を図ることで制度利用者の利便性の向上に努めてきております。

 

左側の下にございますように、オンライン利用率を見ていただきますと、特許・実用新案の関係で97%という高い比率でございます。これは、米国、欧州の57、33%に比べて高いものとなっております。

 

また、国内の行政機関全体のオンライン利用率を見ますと、15%と非常に低いものとなっております。

 

これに対しまして、右側の方に手数料等の納付の関係についてまとめさせていただいております。

 

手数料等納付につきましては、現在は安全性、あるいは手続の煩雑性に問題のあります特許印紙に基づく納付が99.7%を占めております。上にございますように、この非電子的な特許印紙で実施している理由といたしましては、これまでに国庫金に関します電子決済インフラというのが存在をしていなかったというのが大きな要因でございます。

 

続きまして2ページ目でございますが、この電子決済インフラの整備の関係につきましては、先ほど申しましたように、印紙等でやっておったわけでございますが、郵便局等の営業時間等ございまして、24時間いつでも納付できない、あるいは口座振替というのがございますが、具体的に金融機関から収納機関に入ったときのデータの接受というのが磁気テープ等にしかできないということでございまして、同時納が同視し得るネットワークがなかったという状況でございます。

 

16年の1月に至りまして、収納機関と金融機関を結びます電子決済ネットワークというのができたわけでございますが、これに従いまして、特許庁といたしましても、17年10月に電子現金納付を開始をしております。ただ、これは24時間納付可能でございますが、申請人が自分で1件ずつ納付番号を取得をして納付しなければいけない。あるいはATMなどを使っていただきますので、利用限度額が非常に限られています。

 

それから、口座振替に係ります歳入以降、要するに収納機関に入ったあとの手続というのが非オンライン化という状況でございます。

 

こういう状況を踏まえまして、特許庁といたしましても、マルチペイメントネットワーク運営機構等に対しましてリアルタイムの口座振替の実現というのを要望した結果、今年の2月に至りまして、リアルタイムの口座振替というのが可能ということになった訳でございます。これによりまして、24時間、申請者は申請だけで納付が可能になります。

 

それから、国庫金歳入以降につきましても完全にオンライン化をされます。

 

このシステムができあがりますと、国庫金の中では本邦初めてとなりますリアルタイム口座振替という形でございます。

 

3ページ目でございますが、3ページは私ども昨年に利用者の方のニーズをアンケート調査をいたしました。2,000名の方にお聞きをいたしまして、新しい決済方法のニーズについてお聞きをしております。

 

右側にございますように、新しい決済方法で特に重視するものは何かということに対しましては、手続の簡素化というのが一番多い要望でございました。

 

下にございますように、利用してみたい新しい決済方法というのは、銀行口座の振替、自動引落しというのが一番大きい形で要望がございました。続きましてクレジットという形でございます。

 

それから、4ページ目でございますが、先ほど来から御説明しております、より簡便で安全面に配慮しました決済方法の提供、利用者の方のニーズ、それから、国庫金の電子決済インフラの整備、これが具備されたことによりまして、下にありますダイレクト方式によります口座振替制度を導入したいと考えております。

 

この表の真ん中にございますように、このダイレクト方式につきましては、申請人、それから特許庁、金融機関、財務省、日本銀行、これはすべてオンラインでつながります。申請者にとりましては、左側の真ん中にございますように、振替番号を記載するだけで24時間納付が可能になります。それから、瞬時にそれを終了いたします。

 

従来は1件ずつしか処理ができなかったのを、多件を同時に送信が可能ということで、申請人にとりましては極めて利便性が向上するということでございます。

 

それから、収納サイドに関しましては、右側にございますように、マルチペイメントネットワークを利用することによりまして、特許庁、金融機関、日本銀行、財務省、これがオンラインですべて結ばれます。したがいまして、納付の後の事務手続というのが全部オンラインでできるという形でございます。

 

先ほど申し上げましたように、これが実現いたしますと、国庫金の中では国内で初めてということでございます。

 

それから、5ページ目でございますが、口座振替以外に御要望のありましたクレジットの関係でございます。

 

クレジットにつきましては、特に都道府県、市町村等で逐次導入が開始されているところでございます。

 

クレジットカードにつきましては、真ん中にございますように、大手12社のクレジットカード会社で構成いたします公金クレジット決済協議会、ここが先月に「クレジットカード決済導入の手引き」というのを出してございます。

 

今後といたしましては、このような手引き、あるいはほかの公金の導入状況等を踏まえながら、PLT条約における外国出願人の直接行う納付行為、こういうものに対応できるように関係機関と調整し、理解を得つつ、早期に所要の措置を講じたいというふうに考えております。

 

それから、最後でございますが、冒頭、長官からも御発言がありましたが、さらなる電子化ということで、左上にございますように、専用のソフトを不要としてインターネット+Webでの申請を可能とするワンストップ機能、それから、3つ目にありますように、初心者でも簡単に申請して、申請書の作成ミスがゼロになるように申請ガイダンスとか、あるいはアシスト機能、こういうものを充実させるインタラクティブ申請機能、それから、右下にございますように、現在、紙でしか手続できない書類につきましても、制度が許す限りにおいてオンラインの手続を可能とする。こういうものを検討いたしまして、最終的にはオンライン出願率100%を目指したいと考えております。

 

説明は以上でございます。

中原知的財産
政策室長

私は資料7に基づきまして、技術情報の保護等の在り方に関する小委員会についてという小委員会の検討状況について御報告をさせていただきます。

 

当小委員会は、土肥先生を座長に検討を進めさせていただいておるところでございますが、これまでの私の前までの御報告は、いわば知的財産権として公開を前提として保護する制度でございますが、私どもが今現在、検討させていただいておりますのは、ある種企業情報というものを秘匿するような形で保護を図ろうという、御高尚のとおりでございますが、そういう制度の在り方についての検討でございます。

 

営業秘密というような形で、ある種公開することなく、企業の中に秘匿し、ノウハウのような形で秘匿して事業活動に役立たせていくということの重要性は、現在においてもいささかも減じることはございません。

 

しかしながら、こういったものと一見すると相矛盾するといいますか、最近、克服しなければいけない状況が起きているということかと存じます。

 

1つは、グローバル化という流れでございまして、ある種、外国の優秀な頭脳というものを我が国に取り込んでイノベーションに役立てていかなければいけないという、そういう背景がございます。総理もオープンイノベーションとおっしゃっておるわけですが、そういうグローバル化の流れに対応していかなければならないという状況がございます。

 

もう1つは、これもつい最近、言われていることではないのですが、一層顕著になっていること、それはIT化ということでございまして、グローバル競争が激しくなってくると、まさにスピードが命ということで、いかに情報のフローというものを早くして、迅速に市場に対応していくか。そのような対応ができないと国際競争に勝っていくことはできないのだという、そういう情報化という事情がございます。

 

それから、人材の流動化、いわば今までのような終身雇用というような状況ではございませんで、技術者の方々も、企業をある種、場合によっては転職をされるような状況がふえてきているわけでございます。

 

こういった営業秘密の保護と一見相矛盾しかねないような状況をいかに克服していくか、国民経済的にいかに制度構築をして克服していくかということが1つの大きなテーマになっているかと存じます。

 

めくっていただきまして2ページでございますが、そういう中であるにもかかわらず、そういう中であるからこそと申し上げた方が適切なのかもしれませんが、各企業の間では、昨今の新聞報道等でもこういった事件が幾つか報道されておりますが、いわゆる営業秘密というか、ノウハウが流出したのではないか。あるいは明らかに流出しているけれども確たる証拠が取れてないのだというような状況を伺っているわけでございます。

 

そこに書いてございますようなものの例、幾つか申し上げますと、外国企業とのジョイベンで開発していた技術というものが、従業員が退職して秘密保持契約に違反して転職先へノウハウを漏らした疑いがあるですとか、あるいは月曜朝の関西国際空港到着ロビーでは、従業員が帰国したところを目撃した。これはアルバイトで外国の競合企業に技術指導を行っている。これも内々に聞いたところによりますと、そういうことをやる人は顔見知りになっているようでありまして、「また会いましたね」なんて言って空港であいさつをしているというような状況だというようなことも伺ったりいたします。

 

こういうようないわゆる従業員による営業秘密の流出事例というのは、企業の方の御懸念として感じているリスクはあるということでございまして、その後の2ページから3ページなどのアンケート結果などによっても、これは顕著なわけでございます。

 

流出の経路といたしましては、例えば3ページの(4)に書いてございますようなことでいいますと、技術データという形で流出したりですとか、あるいは人の移転ということによって流出した事例等々があるわけでございまして、技術流出先としましては、中国、韓国、そして日本の順に、流出の懸念の指摘があるわけでございます。

 

それで4ページにまいりまして、私どもこういった問題を検討するにあたりましては、これまで、不正競争防止法の改正によって、あるいは営業秘密管理指針の策定といったことによってできる限りの努力はしてきたつもりではございます。

 

しかしながら、こうした御懸念や現状があることを踏まえまして、まず実態がどうなっているのかということを押さえ、技術情報のフローが、政府、企業、大学等々でどのようになっているかという全体のピクチャーを描くことを目指しながら、制度として対応できるもの、あるいは企業の御努力によって対応いただかなければいけないものといったような役割分担、すなわち、制度、実務慣行の役割分担に関する考え方を明確にし、必要があれば何らかの改善措置というものを御審議いただきたいというふうに考えております。

 

それで当小委員会におきましては、これまで実際にかなり企業秘密にあたることもお話しいただきましたので、ペーパーには記してございませんが、幾つかの不祥事を経験した企業の方から、どういうことが起こったのかというようなヒアリングをさせていただいておりまして、まずそういったヒアリングを通じて現状把握に努めているというところでございます。

 

私から以上です。

中山部会長

ありがとうございました。

質疑応答

中山部会長

それでは、ただいまの説明に関しまして御意見、御質問がございましたらお願いいたします。

長岡委員

2点だけコメントないし御質問です。1つは、通常実施権なのですが、先ほど長官がおっしゃいましたように、ライセンスとか、技術市場の発展というのは非常に重要であり、非常にいい改革の方向だと思うのですけれども、1つは疑問があります。対価を登録事項からはずすということなのですけれども、例えば倒産をした企業の評価をするには対価は必要でないのか。また、対価をはずしてしまいますと、もう一度ライセンスをするときに、ライセンス再交渉になってしまいますね、そうするとロイヤリティー等が当初よりも上がってしまうというような可能性も十分あるのではないか。私は、第三者に非開示でいい前提では、登録事項から除外する必要があるのか疑問に思った点が第1点です。

 

それから、2番目は料金の問題なのですけれども、最初の長官のプレゼンテーションでありましたけれども、今後とも請求項がふえていくことではないかと思います。それで請求項の審査の限界コストが反映をきちんとされているのかどうかが重要になります。また、日本と比べてアメリカは非常に請求項が多いわけで、それは日本の請求項の料金制度との関係でどう考えるか。特許あたりの審査請求料の水準に加えて、請求項に応じてどのように料金設計していくかというのは非常に重要な課題ではないかなと思います。

 

以上です。

中山部会長

それでは、お願いいたします。

間庭審議室長

通常実施権についての御質問についてお答えさせていただきます。

 

この件については、ワーキンググループでも議論になったところですけれども、まず企業のライセンス契約の場合、通常実施権1件ごとの対価というのをなかなか出していない。ライセンス全体としてノウハウの提供等も含めて、対価というものが決まっており、通常実施権1件の対価というものが必ずしも明確でないという実態がございます。

 

あと、なおかつ対価というのが経済状況に応じて変動しやすいものですので、変動してまた対価が変わったら、ではいちいち登録し直すのかという議論もございました。

 

さらに対価については、これは不動産賃貸借の場合ですけれども、その不動産賃貸借の方も対価は登録事項ですけれども、それについて第三者に対抗できるかできないのか学説上、定かではないというような実態もございましたので、審議いたしまして、今回、対価は登録事項からはずそうということになった次第でございます。

 

その点、ロイヤリティー等について、再交渉するようなことも生じることになろうかとも存じますし、また価値評価のところについては、事前にデュー・デリジェンスをおそらくきっちりされますので、実務上は問題ないと思うのですけれども、対価については、これは必ずしも引き継がれないという意味では、権利譲渡後のロイヤリティーについてまた再交渉していただくようなことも生じるかとも存じます。その点について御指摘のとおりでございますが、対価の性質を考えまして、今回、登録事項からはずすこととした次第でございます。

肥塚長官

今の料金のところですけれども、平均値では少し増加の傾向にあるのですけれども、今、マージナル・コスト、厳密な意味でこれをもとに計算できるかどうかというのはなかなか難しい問題ではあるのですけれども、実際のコストの方と、今、長岡委員がおっしゃったのは、インセンティブ設計として両面あるのだろうと思うので、今のところは少し考えさせていただければというふうに思います。

中山部会長

対価については、今でも余り利用されてないようですし、そもそも通常実施権の対価というのは非常に難しいので、1個の契約で純粋な通常実施権にプラスしていろんなことも入っていて対価になっているので、では本当の通常実施権の対価とは何かとつきつめると非常に難しい面もあるのではないかと思います。

 

ほかに何か。

山本委員

口座振替制度は画期的ですばらしいと思います。

 

私の質問は、今の特許関係料金の見直しなのですけれど、例えば一律に下げるのではなくて、スモール・エンティティーで、ベンチャーとか、ここで議論することではないかもしれませんが、ベンチャーとか中小企業の出願等の維持費を減らすとか、あるいは一時的に支出が増えるのかもしれませんが、審査順番待ち期間はやはりまたちょっとこぶが来て増えるので、任期付審査官をふやすとか、そういったことの検討はあり得ないのでしょうかという質問ですが。

肥塚長官

どうやって効率化を、まず後半の方ですけれども、よくそこも考えてみなければいけないと思っています。

 

サービスのレベルというのは一番大事だろうと思っていますので、そこは今のお話だけに限らず、そう考えたいと思います。

 

それから、前半の中小企業、あるいはベンチャーのところですけれども、私もそういう御意見があるのも知っておりまして、それから、今の制度が必ずしも使いやすくないというような声も聞いております。

 

ただ、我々の方でもかなり中小企業の方にきめ細かくいろんなインタビューといいますか、接触を強めていまして、どの部分に困っておられるのか、審査する段階なのか、あるいは出願料の問題なのか、海外の問題なのかとか、そのようないろいろな対応は考えられるのだと思っていまして、また次回にでも、中小企業の方が持っておられる問題点と対応、その中の一環としての料金ということで、できれば考えたいなと思っていまして、それは次回でもし機会がありましたら、中小企業についてのそのようなことも御紹介できれば、あるいは別途また御報告いたしますけれども。

中山部会長

任期付の審査官は、今度100人増やして合計500人増やすことになりますけれども、これも知的財産戦略本部でさんざん議論して、私なども強く主張してやっと500人増えました。現在、国をあげて公務員を減らしているところに500人増やすというのは画期的なことでありまして、これは非常に大きな成果だと思っているので、これ以上はなかなか……。

肥塚長官

私が申し上げたのは、人という意味ではなくて、サービスレベルを上げる方法という意味で、人はもうこれ以上はなかなかという点は、中山先生がおっしゃるとおりです。

中山部会長

最大限増やしたと思っておりますので。

松尾委員

たくさんあって嫌われるかと思うのですけれども、ちょっと簡単なところからします。料金のところで、商標について、不使用の商標がたくさんあるけれども、特に更新登録料を下げても問題はないと思われるということが資料5の5ページに書いてあります。日本の不使用商標の数が多いということは、ほかの国に例がないほどの問題なので、十分検討していただきたいと思います。それが1点です。

 

それから、審判制度の現状と課題について資料4の中で、法律アドバイザーという審判参与会というのを審判制度運用についての助言などを行ってもらう予定であるということが書いてありますが、具体的にどういうイメージをしておられるのかお聞きしたいと思います。特に私、審判、審決を見ていて、法律家として気になるのは、審決に引用されている特許法の条文、特許法というのは非常によく変わっていますね。その条文がどう考えても間違いでないかなと思われるケースもありますので、そういうところはぜひ法律アドバイザーにお願いしていただきたいと思います。

 

それから、職権審査の関係で特許法の152条、153条、その関係で、特許庁の考えている職権審理の範囲というのはどういうことなのかなということが何回か気になる事案がございますので、このあたりも法律家に見ていただいたらどうかなと思います。

 

それから、次は通常実施権の登録制度の見直しという問題で、方向としては私は結構かなと思いますけれども、具体的なイメージがわかないのは、対価の問題は別としまして、ライセンシーの氏名等、こういうものを登録事項にはするけれども、一般には公開しないとありますね。そうすると一体どうなるのか。通常実施権の設定があるということだけを表示するのか、どうなるのか。特に原簿との関係で決まっている事項がいろいろありますが、それが具体的にどうなるのか教えていただきたいと思います。

 

そして11ページのところに、非開示のものについては、利害関係人は閲覧可能であると書いてあります。この利害関係人の範囲というもの、これから多分検討されると思いますが、今、書いてあるものは非常に狭いと思いますので、ここら辺、御検討いただきたいと思います。

 

それから、通常実施権等の登録について、まずその点で、アンケート調査でも、手続が煩雑だから登録を行うことをしない、少ないという点が出ております。これは1つは単独申請の問題で、それを今度、修正するというふうに出ておりますけれども、単独での問題として公正証書の作成で真正さを担保するということが書いてあります。これがどういう範囲の公正証書になるのか、公証人法の何条のことを考えていらっしゃるのか、そこら辺をはっきりさせていただきたいと思います。

 

といいますのは、公正証書というのはいろいろとあります。8ページのところに判決が出ていて、権利移転についての真正性の確保で公正証書がなく単独であると問題であると書いてあります。しかしこの判決の場合には、(今高裁に係属していますが)、印影は真正ですが、印鑑を不正入手して偽造したらしいですけれども、その場合、どう公正証書で真正を担保するのか、ということを考えないといけないと思います。

 

それから、手続が煩雑ということは、1つはライセンサーとしては、やはり登録したくないのですね。それは消すのがあとでやっかいだからだと思います。

 

それでライセンシーの方が公正証書等で登録がやりやすくなるのであるとすれば、何らかの方法で今度ライセンサーが通常実施権が切れた後、消しやすくするような、そういう制度も考えるべきではないかなと思います。

 

それから、もうあと1点だけですが、サブライセンスのところで、12ページに改正の方向というのが書いてあります。こういうのができること、サブライセンスの登録ができることは大いに結構だと思うのですが、ここのライセンスの登録に係る見直しのところに1と2が出ておりますが、改正の(1)のところには、特許権者からライセンシーへの実施許諾に係る授権を証する書面と、それからライセンシーからサブライセンシーに対する許諾証書の両方を見せるということだと思います。そうすると、私は法律ができたころからずっと専用実施権はともかく、通常実施権については、そのサブライセンスというのは法律は予定してないというふうに学んできたと思うのですが、この(1)を見ると、法律には規定してないけれども、そういう形のサブライセンスを事実上認めることになるのだなと思いますので、その点を確認させてください。

 

それから、改正の(2)の方に書いてある方ですが、これですとライセンサーが親会社ライセンシー、子会社ライセンシー、それが第三者のためにする契約という形になるとあります。こういうものもあるかもしれませんけれども、これだと子会社ライセンシーと特許権者ライセンサーとの間のライセンス契約、実施許諾になるのであって、普通、世間で一般に言っているサブライセンスとは違うと思います。違うなら違うでいいのですけれども、そういうものであるということを確認させていただきたいと思います。

 

それから、とにかくいろいろ問題がありますので、この問題につきましては、書面で、パブコメのときか、その前かに意見を、出させていただきます。

 

以上です。

小川総務課長

料金の関係で商標の不使用商標対策の関係ですが、何がこういうことに効いていくのか、例えばここで料金とか、いろんな運用の面も御紹介させていただいておりますが、少しトータルに考えて、今後、制度設計の段階で考えていきたいと思っております。

米津審判課長

審判の参与の話でございますけれども、実際には先生が御指摘のとおりいろいろな問題が出てくると思います。我々は法律面が余り強くないので、そのところでこのアドバイザーというか、参与の方のお力を借りるということで、条文間違いとか、職権審理範囲のことはもちろんですけれども、それ以外にも例えば裁判所から指摘されている事項として、請求項が多くあったときに、その請求項の部分確定の問題とか、そういういろいろ大きな問題がありますので、そういった問題を逐次法律の専門家の方のアドバイスを得ながらやっていきたいと思っております。

松尾委員

2人では非常に少ないので、もっと増やしてください。

米津審判課長

申しおくれましたが、一応8名程度に増やそうということで今、考えております。

間庭審議室長

ライセンスについていろいろ問題があるというようなお話でございまして、まず登録事項を一般に公開しない件でございますけれども、具体的なイメージがわかないというお話ですけれども、原簿をどうかくすかとか、それはまた細かいことは後々検討していきますけれども、原簿のライセンシーの名前ですとか範囲のところ、期間ですとか、地域ですとか、そういうところは見られないように原簿からかくすというようなことを今、想定してございます。

 

また利害関係人については、これは今後、どの範囲なのかというのはまた検討していきますけれども、参考になるのは昨年の産活法の利害関係人の範囲だと考えてございます。

 

あと単独申請の公正証書で真正性を担保するということで、ちょっとどういう範囲の公正証書かということでございますが、この点についてはすみませんが、まだ検討が追いついていませんので、そこのところは今後、検討したいと思っております。

 

同じく単独申請を認めた場合の実施権が切れた後に抹消する制度も検討したいと思っております。

 

サブライセンスにつきましては、御指摘いただきましたけれども、これは通常実施権というものが特許権者に対する不作為請求権であるということを前提として考えてございますので、ライセンシーからサブライセンシーへのサブライセンスというのも特許法上になりますと、ライセンサーからサブライセンシーへの通常実施権の設定ということに現行の法制上は帰着せざるを得ないということを前提に今回、運用を見直すということで御理解いただきたいと思っております。

中山部会長

サブライセンスに関しては、条文に書いてありませんし、またいろんな本を見るとできないと書いてあるのが多いのですけれども、若干ミスリーディングで、要するに通常実施権というのはあなたに対して特許権を行使しませんよという約束なんですね。サブライセンスというのは、あなたが指定した第三者に対しても私は権利行使しませんよという約束で、契約自由の原則ですから、それは本来、できるはずです。それを今度、特許法上どう位置づけるか、ということを、現在議論をしたわけでして、元来、サブライセンスが特許法上は書いてないけれども、できないというわけではないと思います。

 

ほかに何かございませんでしょうか。

 

よろしいでしょうか。

 

大分時間を超過いたしておりますので、本日、予定の議題は以上で終了したいと思います。

 

本日、事務局より御説明いただきました各論点につきましては、今後、各小委員会において具体的に審議をしていただいた上で、再度本部会において御議論をちょうだいするという予定にしておりますので、委員の皆様方にはよろしくお願いいたします。

 

それでは、以上をもちまして産業構造審議会の第11回知的財産政策部会を閉会いたします。

 

長時間の御審議ありがとうございました。

閉会

[更新日 2007年11月21日]

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