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第4回知的財産政策部会 議事録

経済産業省経済産業政策局知的財産政策室
特許庁総務部総務課制度改正審議室

  1. 日時:平成14年2月18日(火曜日)10時00分~12時00分
  2. 場所:特許庁庁舎 共用会議室
  3. 出席委員:
    中山部会長、小野寺委員、斎藤委員、笹島委員、庄山委員、長岡委員、中西委員、前田委員代理作田、松尾委員、宮川委員、森下(洋一)委員代理吉田、森下(竜一)委員、安田委員、山口委員、山根委員、山本委員、大渕小委員長、後藤小委員長
  4. 議題:
    • 特許制度小委員会中間とりまとめについて
    • 紛争処理小委員会報告書について
    • 不正競争防止小委員会報告書について
    • 経営・市場環境小委員会の検討状況について

開会

中山部会長

時間でございますので、ただいまから産業構造審議会第4回知的財産政策部会を開催いたします。
本日は御多忙中のところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
最初に、前回の部会以降新たに本部会の委員になられた方々につきまして、事務局から紹介をお願いいたします。

南技術調査課長

本日、総務課長がやむを得ない事情で遅れますので、私、技術調査課長をしております南ですが、私の方から御紹介させていただきます。
本日、新しい委員の方、欠席でございますが、千葉勝美前委員にかわりまして、最高裁判所事務総局行政局長の園尾隆司様が新たな委員となっていらっしゃいます。
以上でございます。

中山部会長

ありがとうございました。
本日は、昨年、本部会におきまして設置を決議いたしました四つの小委員会につきまして、これまでの検討状況を御紹介し、その成果をお諮りしたいと思います。

特許制度小委員会中間取りまとめ及び今後の進め方について

中山部会長

早速、第1の議題に入りたいと思います。
最初の議題であります特許制度小委員会中間取りまとめ及び今後の進め方につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

南技術調査課長

特許制度小委員会の御説明に入る前に、事務局からお手元にお配りいたしました資料の確認をさせていただきたいと思います。
本日は四つの小委員会の報告ということで、資料が非常に多ございますが、基本的に資料1から13まで、枝番もございますので、全部で15点ございます。過不足の御確認をいただければと思います。もし過不足ございましたら、申し出ていただければ係の者がお配りいたします。――よろしゅうございますでしょうか。
それでは、特許制度小委員会の中間取りまとめについて御説明をさせていただきます。お手元の資料の資料番号2-3、A4の横紙でございますけれども、「最適な特許審査に向けた特許制度の在り方について中間取りまとめ概要版」という資料を使いまして御説明をさせていただきたいと思います。
1ページめくっていただきまして、特許制度見直しの基本的視点ということでございます。皆さん、御案内のとおり、知的財産戦略大綱におきまして、創造、活用、保護という知的創造サイクルがスピードをもって拡大循環すれば、我が国の産業競争力を牽引する強力なエンジンとなるということが記載されております。
特許庁は、この創造、保護、活用のうちで保護をもっぱら受け持っているところでございますけれども、特許庁の一番の役目は迅速かつ的確な特許審査・審判を実現することと認識しております。二つに枝分かれしておりますが、左側が特許庁の行うべき役割ということで、まずは特許審査体制の整備と特許制度運用の見直しということを行うべきであるというまとめでございます。それから、右側でございますが、企業の知的財産関連活動についても知財管理強化に向けた企業の取り組みを促進すべきという提言になっております。
次のページをめくっていただきまして、それぞれの具体的な観点が書かれております。まず特許庁におきましては、特許審査体制の強化、先端技術分野等における創造的な技術革新の促進、ユーザーニーズに対応した早期の権利付与、国際的な権利取得の円滑化、この4点が課題として挙げられております。それから、右側、企業側の取り組みでございますが、企業等における戦略的な知的財産の取得・管理、出願・審査請求構造改革への取り組みと、この2点を挙げさせていただいております。
続きまして、4ページでございます。昨年の12月4日に公布されました知的財産基本法におきましても、そのような条文がございます。第14条に権利の付与の迅速化等という条文がございまして、ここの第1項で、途中はしょりますが、「国は所用の手続の迅速かつ的確な実施を可能とする審査体制の整備その他必要な施策を講ずるものとする。」ということがございます。第2項でございますが、「その実効的な遂行を確保する観点から、事業者の理解と協力を得るよう努めるものとする。」という条文がございます。あわせまして、第17条においては国際的な制度の構築、18条において新分野における知的財産の保護、こういったものが条文として挙げられております。
5ページに移らせていただきまして、ここから簡単に特許審査をめぐる現状を御紹介させていただきたいと思います。左下にございます図1、出願件数の推移が3極、特許庁のものが書かれております。日本におきましては、過去5年の年平均伸び率が3.2%という率で伸びております。米国におきましては11.3%、欧州特許庁においては年11.5%増ということで、各国特許庁とも急増しているというところが現状でございます。
続きまして、6ページでございます。ここは大学からの特許創出をあらわしたページでございます。グラフを見ていただきますと、左側が日本における大学、承認TLOからの出願件数でございますが、合わせまして、1,000件強、右側がアメリカの大学における特許出願ということで、5,000件強ということで、かなり開きがございます。日本の統計では大学の先生個人の出願や企業からの共同出願は含まれておりませんので、もう少し伸びるかと思いますが、いずれにしても、まだ米国と比べるとかなりの格差があるというところが実態でございます。
こういった中で、企業におかれましては、昨今の厳しい状況で技術開発が自前主義でいかなくなってきているというところから、大学における特許創出に対して非常に強い期待があるということでございます。それから、国立大学の法人化に伴いまして、国としても職務発明については大学が管理する機関帰属という方針を打ち出しております。こういったことから、より一層の大学からの特許出願の増加が予想されております。
続きまして、次のページでございます。これは国際的な特許出願の増加ということでございます。左の図6をごらんになっていただきますと、横棒の上側がそれぞれの国の国内での特許取得件数でございます。下が、その国が海外で取得する特許の件数ということでございます。日本は上が下に比べて非常に多いわけでございますが、諸外国はすべて海外での特許取得件数が多いということでございまして、欧米先進国では海外での特許取得を重視する傾向にございます。
それから、右側でございますけれども、これは国際的に特許を取る上で設けられております特許協力条約(PCT)に基づく国際特許出願でございます。これにつきましては、我が国も近年、指数関数的に増加しているということで、今後、国際な出願が増えていくのではないかというふうに予測しておるわけでございます。
続きまして、これは我が国の国内の状況でございますけれども、特許出願をして審査をする必要があるものについて、改めて審査請求という手続が必要になるわけですが、この審査請求につきましては、特許出願件数の伸びを上回るペースで増えてきております。この原因といたしましては、2002年10月に制度改正を行いまして、従来、出願から7年の間で審査請求するかを決めればよかったのですが、この期間が3年に短縮されたということで、その経過的な問題として、一時的に件数が増えてきているということ。それから、最終審査請求率の上昇。出願して最終的に審査請求されるものの率が近年、伸びてきているということです。こういったものが重なりまして、右側にございますように、審査請求件数が25万件前後に増えてきているということでございます。
先ほどちょっと御紹介しました審査請求期間の短縮というのが今後、こぶのように出てきまして、2005年がピークという予測をしておりますが、最大で現状の倍近くの件数まで伸びるという予測もございます。
続きまして、9ページでございます。そのような中で1件当たりの出願の重さといいますか、それが増してきているということでございます。左側は一つの出願に含まれる発明の数、請求項数の平均でございますが、これは毎年増えてきておりまして、2001年のデータでは7.6項の発明が一つの出願に含まれてきているということでございます。こういった中で、日本の特許庁の審査官は生産性の高い審査をしているわけでございまして、右側にございますように、米国特許庁、欧州特許庁と比べて、二、三倍の効率で審査をしているという状況でございます。
続きまして、10ページでございます。こういった出願、審査請求の急増ということがございまして、今後、審査待ち期間が長期化することが懸念されております。下の表の一番上に日本の数字がございます。審査待ち期間、審査請求をして実際に審査官が何らかのアクションを出願人に通知するまでの期間が2001年で22カ月という数字になっております。2000年と比べて若干伸びている傾向にございます。
この審査待ち期間の短縮というのは、基本的には左側にあります審査待ち件数に依存しておりまして、審査請求しても、自分の前に、こちらにあります47万件の審査請求の案件がもう既に列をつくって待っているという状況でございますので、この審査待ち件数をいかに減らすかというのが我々の課題になっているところでございます。こういった傾向は米国、欧州とも同様でございまして、アメリカも欧州もそれぞれ長期化の傾向にございます。
右側に最終審査期間というのがございます。この数値は最終的に特許査定になるか拒絶になるかという審査段階で決着がつくまでの期間でございますが、これにつきましては、我が国は2001年で27.1月、米国は24.6月ですが、欧州は46.1月ということでございます。
続きまして、11ページですが、ここからは先ほど冒頭で御紹介しました特許庁として行うべき施策について紹介をさせていただいております。
まず特許審査体制の強化ということでございます。審査をするのは審査官でございますので、特許審査官の増員と能力の一層の向上が必要になってきております。それから、事務の審査の効率化ということで、先行技術調査に関するアウトソーシングの拡充や審査補助職員の活用等、総合的な取り組みによって審査体制の強化に努めるべきということでございます。
ちなみに、下にございます図14は3極それぞれの特許庁における審査官数の推移でございます。米国、欧州については過去、審査官の増員を着々と図ってきておりまして、現在、日本の特許庁の約3倍の審査官数を抱える陣容を誇っている状況でございます。
それから、右側の図15でございます。既に我々は先行技術調査のアウトソーシングを進めているわけでございますが、従来、納品型といいまして、外部の調査機関がつくりましたサーチレポートを審査官が受け取って、それを参考にしながら審査をするというやり方でございますが、これですと、両者が同じ出願書類を読むというダブルリーディングを行う等の不効率が生じることから、より効率的な、我々は対話型と呼んでおりますが、外注先の検索者が審査官のところに行くなり、審査官が行くなりして、その技術内容をその場で説明しながら効率を上げるという対話型に現在、順次シフトをしているところでございます。それが表2のアウトソーシングの予算推移ということでございます。一番下に検索外注件数で、内数として対話型検索外注の件数がございますが、この効率的な対話型に順次シフトしているところでございます。
それから、審査補助職員につきましても、いったん特許庁をやめたOBを活用してレポートをつくってもらうなり、新しい技術とかバイオ等の専門的な技術について、その審査の補助をするような国際・新技術担当のポスドクの方とか、そういった方の増員を図っているところでございます。
次のページでございますけれども、これは先端技術分野における創造的な技術革新の促進という観点でございます。先端技術分野において、研究開発成果をタイムリーに保護するために対応の強化をしなければいけないということで、具体的には新しい技術が出てきたら迅速に審査基準等を公開して出願人が出願しやすいような環境をつくる、こういったことでございます。それから、下の絵にございますが、基幹的な発明について適切な権利確保を可能とするという観点から、従来、日本の運用が厳し過ぎるのではないかという御指摘を受けておりましたが、補正制度の運用の弾力化を図るということにしております。
次のページでございます。13ページ、ユーザーニーズに対応した早期の権利付与ということです。1986年に早期審査制度を開始したわけでございますけれども、現在、昨年のデータでこの利用が4,000件程度にとどまっております。この制度はすぐにも実施をする、あるいは既にしているものについて、あるいは外国に出願しているもの、中小企業、大学、TLOといったものを対象として早期審査制度を設けているわけですが、まだ利用が少ないということで、我々もまだ十分なPRができていないのではないかということで、この制度のさらなる活用を促進すべく努力をする次第でございます。
それから、14ページ、15ページでございます。これは国際的な権利取得の円滑化ということで、各国の審査制度・運用がまちまちですと、出願人に不便をかけるということで、基本的には、制度運用について国際調和を図っていくことが従前より出願人サイドからも言われているところでございますが、こういった国際的な運用調和の観点から今回、14ページにあります裏づけ要件の明確化、15ページにございます単一性判断基準の見直し、この2点についても国際的な調和の観点から見直しを行うことにしております。
続きまして、16ページでございます。ここからは出願人である企業サイドに協力を仰ぐ事項の紹介でございます。まず企業における戦略的な知的財産の取得・管理ということでございます。経営戦略の観点から知的財産を重視した企業行動を促すべく、参考となるべき指針を経済産業省で作成中でございます。これにつきましては、後ほど経営・市場環境小委員会の報告の中で紹介があるかと思いますので、説明を割愛させていただきます。
続きまして、17ページでございます。出願・審査請求構造改革への取り組みということでございます。これは下の図20をごらんになっていただきたいのでございますけれども、1次審査に対する戻し拒絶査定件数及び全査定に占める割合ということで、1次審査に対する戻し拒絶査定というのは何かといいますと、審査官が先行技術調査を行いまして、出願された発明に非常に似通ったものが見つかりますと、拒絶理由通知を出願人に送ります。これに対して、基本的には抗弁する機会があるわけですが、何の抗弁もなく、そのままあきらめるものが毎年4万件ぐらいございます。審査する案件の約2割に相当しております。
こういったものが基本的には出願人サイドで十分な調査を行わないで出願されているのではないかというふうに我々は考えているわけでございますけれども、何分特許庁のリソース、公共のリソースは限られているものでございますから、特許制度を我が国全体として最適な形で効率的に運用するという観点から、官民の協力のもとで総合的な対応をすべきということから、こういった出願構造の是正ができるような仕組みを考えようということでございます。その結果といたしまして、次のページの18ページでございますけれども、特許関係料金体系について今般、見直しをさせていただきたいということでございます。
18ページはそれぞれ料金のおさらいでございます。基本的に、特許では三つの料金から成り立っております。まず、出願料でございます。これは出願時点で支払う料金でございますが、発明奨励の観点から容易に出願できる程度の額ということで従来から設定されております。
2番目が審査請求料でございます。先ほどちょっと触れましたけれども、審査請求制度というのは出願人が特許庁に審査をしてもらうときに行う手続でございますけれども、その前に、一歩立ちどまって特許性や事業性について精査をするという適正な審査請求行動を出願人に期待できるような程度の水準に設定されてきているわけでございます。
最後、特許料でございます。特許権を取りまして、それを維持する間にお支払いいただく料金でございます。特許庁は特許特別会計という形で、基本的には受益者による費用負担で運営されているわけでございますけれども、先ほど御紹介した出願料と審査請求料と、この特許料を合わせて、特許制度全体が円滑な運用が維持できるための総経費を賄うような料金に設定されているというところでございます。
19ページは、今御説明したものをポンチ絵にしたものでございます。左上、出願料は現在2万1,000円いただいております。それぞれ審査請求料10万円、特許料36万円とございますが、その右側にあります括弧書きでございますが、これにつきましては、当庁で監査法人に入っていただきまして、それぞれ実費のコストを計算していただいた額でございます。出願料につきましては、実費よりも若干多目にいただいているということで、ペーパーレス等の効果によってコストが下がってきているということではないかと思っております。
それから、審査請求料につきましては、審査のために必要なデータベースをつくったり、先ほどのような審査処理促進のためにアウトソーシングを行うための経費等々ございまして、実際には25万円程度かかっているわけでございますが、いただいている料金は10万円ということでございます。
特許料につきましては、特許期間は出願から20年あるわけですが、一般的に平均しますと、9年から10年が平均の特許維持期間でございますが、その期間に支払っていただいている特許料が36万円でございます。この期間の実費額としては8万円ということで、基本的には特許された方が審査請求料を、審査の費用を補てんしている、賄っているという構造になっておるわけでございます。
20ページでございます。現在、こういった料金構造になっている関係で、2点ほど問題点を挙げさせていただいております。まず、アといたしまして、費用負担の不均衡の拡大ということです。今御説明したとおり、特許料で審査にかかるコストを負担して補てんしているということで、特許になる方は成績のいい方ですが、成績のいい方の特許料、特許率が高い出願人の支払いによって拒絶になるような出願の審査コストを賄っているということで、特許率の高い出願人と低い出願人との間の費用負担の不均衡が生じているということでございます。
それから、イとして、審査請求料による審査請求行動の適正化作用の低下ということです。先ほど御紹介したとおり、審査請求料というのは審査請求する前に一歩立ちどまっていただいて、特許性とか事業性を判断するために、リマインドするための料金ということでございます。先ほどの戻し拒絶査定が4万件ほどあるということで、この機能が十分機能していないのではないかということが考えられます。
次に、21ページでございます。こういったことから特許料金体系を見直しさせていただきたいということです。上の枠にございますが、特許性の高い出願を多く審査請求し、特許取得する出願人ほどトータルの負担が現行料金体系と比べ軽減するような料金体系にすることによって、企業の戦略的な取り組みに対するインセンティブの強化を図ろうというものでございます。
具体的には、左下にございますけれども、出願料は、先ほど御紹介した実費等を勘案して1万6,000円程度に値下げをさせていただきたい。逆に、審査請求料につきましては、実際のコスト等も勘案して、20万円前後から25万円前後に値上げをするということでございます。ただ、特許庁といたしましては、これで収入をふやそうという考えは全くないわけでございます。審査請求料の値上げに相当する特許料について値下げをするということで、結果的に特許料は18万円程度から10万円程度に値下げをするということでございます。
これをポンチ絵にしたのが右の概念図でございます。現行、上が特許になったもの、下が拒絶になったものということでございます。出願手数料を払って審査請求手数料を払い、特許になったものは36万円ほど特許料を払っていただく。拒絶になったものは審査請求の手数料を払って終わりということでございます。この審査請求の手数料を実費に近い形に上げさせていただいて、その分、特許料を値下げするということで、結果的には特許を取った方は従来と比べてライフタイムコストが下がるということで、特許取得に対するインセンティブが促進されるというような料金体系を考えているところでございます。
続きまして、22ページでございます。このような新しい料金体系の移行を考える上で、幾つか留意すべき点がございます。中ほどの黒ポツにございますが、審査請求料を値上げするということですが、手続的には特許料支払いよりも審査請求料の支払いが時期的には早く来るということで、先に審査請求料の引き上げの影響が出てしまいます。企業におかれましては、当座の特許庁に対する手数料支出が増えてしまうという問題があります。特許になると、その分引き下げ効果が後々効いてくるということでございますが、一時的な出願人の負担の増加を何らかの形で緩和すべきではないかということでございます。ということで、何らかの負担軽減措置を講ずることを検討するということでございます。
あわせまして、企業におかれましては、大企業であれば過去に出願した等々で何らかの緩和措置を受けることが可能でございますが、あまり出願していないような中小・ベンチャー、大学については、審査請求料の値上げがもろに効いてしまうということで、その分の支援策を拡充すべきということでございます。これについては後ほど御説明いたします。
それから、緩和措置の一つといたしまして、料金改定時に導入いたします審査請求料の一部返還制度を前倒しで適用するということでございます。これは次のページで、後で御説明いたします。
それから、現行料金が適用される特許権についても何らかの引き下げ措置を実施するということで、負担軽減を図ろうというものでございます。
次の23ページでございますが、審査請求後に取り下げられた出願に対する審査請求料の一部返還措置でございます。下の絵にございますように、現行では、いったん審査請求をして、途中で事業性がなくなった等の理由で取り下げをしても、いただいた審査請求料はそのまま特許庁の歳入となってお返ししないような制度になっています。こういったことによって、出願人にとっては権利取得の必要性がないようなものまで審査官が審査をするということになりますので、今回、審査官が着手する前に出願を取り下げたものについては審査請求料の一部を返還するということで、その取り下げを促進するような措置を導入しようと考えております。
続きまして、24ページでございます。こちらは中小・ベンチャー等への支援措置の拡充ということでございます。この点につきましては先般、本中間取りまとめについてパブリックコメントをさせていただきましたが、一番要望の多かった項目でございます。
現行でも中小・ベンチャーについては料金の減免措置は行っているわけでございます。例えば特許法では資力に乏しい個人及び法人に対しての減免措置、それから、産業技術力強化法におきまして研究開発型の中小企業についての減免措置が行われているわけでございますけれども、減額制度自体が余り知られていないということや、利用の手続が非常に煩雑であるということから、利用実績は余り芳しくございません。こういったことから、この制度の普及や利用の円滑化を図るとともに、先ほど御説明した対象の拡大についても前向きに検討しようというふうに考えております。
それから、下にございます大学の減免措置についても現在、減免措置を行っているわけでございますけども、国立大学が今度、法人化されるわけでございますが、これにあわせまして、既存の特殊法人等が今度、独立行政法人になるということで、これらの料金について若干のアンバランスが生じることになりますので、これについて何らかのバランスを取るような減免措置の整理というのも考える予定にしております。
最後のページは、現行の減免措置でございます。基本的に、国は同じ国の機関ということで、審査請求料と特許料1から3年目について免除となっております。独立行政法人につきましても、従来、国の機関だったということで免除になっております。大学、大学教員、これは公立、私立でございますが、それから承認TLO、これについてはそれぞれ半額でございます。認定TLOについては免除、資力に乏しいものについては半額あるいは免除等ということでございます。
これにつきましても今般、独立行政法人につきましては基本的に、従来、特殊法人については満額取っていたところが独立行政法人になるということもあって、基本的には他と同じように半額の免除にしていきたいというふうに考えております。それから、国立大学についても法人化にあわせて他の公立、私立と同じように半額の免除ということでそろえたいと考えているところでございます。
ちょっと説明が長くなりましたけども、御紹介は以上とさせていただきます。

中山部会長

本日は、特許制度小委員会の後藤委員長にも御出席をいただいておりますので、何かコメントがございましたらお願いいたします。

後藤委員長

特許制度小委員会の中間的な取りまとめの内容につきましては、今、事務局から御説明いただいたとおりで、つけ加えることは特にありませんけれども、私の方からは小委員会での審議の様子について一言だけコメントをさせていただきたいと思います。
今、御説明いただいた中間取りまとめのうちで、ごらんいただいたように、特許料金の改定につきまして非常に大幅な改定になっておりますので、小委員でもさまざまな議論がされました。
一方で、企業を中心としたユーザーサイドからは、知的財産戦略を持つ企業のインセンティブが強化されるということで、おおむね賛成という御意見が多かったわけですけれども、他方で、弁理士の方々からは料金改定だけではプロパテントという流れに反するのではないかという御意見も一部にございました。
そういう御意見を反映させながら議論を続けたわけですけれども、中間取りまとめの案としては、料金改定だけで迅速な審査あるいは的確な審査を確保するということではなくて、総合的な対策を立てて、その中で特許料金改定も重要な手段の一つとなりますけれども、そのほかにもさまざまな手段を動員して、総合的な対策を打って、的確で迅速な審査を実現していこうということになりました。
的確で迅速な審査ということに向けて、今御説明がありましたように、特許料金の改定だけではなくて、審査体制を強化するとか、審査基準の見直しを行う、運用の改善を行う等々、さまざまな総合的な対策を講じるべきだということで、この中間取りまとめに至りました。
私からのコメントは以上でございます。

中山部会長

ありがとうございました。
それでは、この中間取りまとめに関しまして御意見や御質問がございましたら、お願いいたします。

笹島委員

笹島でございます。
このテーマに関しまして、最初に審査官等の増員というのが挙がっていたのではないかと思います。これは難しいかもしれませんが、これは関係団体も含めて主張していく問題ではないかと思います。
それから、中小企業の支援策でございますが、その手続の煩雑さというのがありますので、アメリカのスモールエンティティ制度への手続の非常に簡素なやり方を御参考にしていただきたいと思います。
それから、審査請求前の出願人自らの判断が可能なように、民間調査機関等の育成等をお考えと伺っておりますが、ぜひともお願いしたいと思います。
以上です。

中山部会長

ありがとうございました。
ほかに御意見はございませんか。

庄山委員

庄山でございます。
特許体制整備の一貫としての特許料金体系の改定につきましては、基本的にはこれで結構かと思います。しかしながら、審査体制の整備としては、今のお話のように本質的には、審査官の増員がより重要であると思っております。
それから、この後で御説明があるのかも知れませんが、職務発明制度については、日本経団連でもよく議論されておりますので、ここで一言申し上げたいと思います。この問題をご検討いただく上では、産業界の意見をよく聞いていただき、現実を認識した上で進めていただきますよう得にお願い申し上げます。
最近、職務発明に関しまして,訴訟が増加傾向にあると聞いております。企業としましては、発明者に対する報奨制度の整備をはじめ、それ以外の適切な処遇をする努力は現在もやっておりますし、今後もやって参ります。この現実に対し、発明者に対する相当の対価の額が裁判所で一方的に決められるというのはいかがなものかと思います。発明者に対して発明をする場の提供、あるいは発明・特許を育成する組織・体制その他の努力があって初めて特許が生きてくるわけです。単に発明者だけに高額な相当な対価を支払うことになりますと、経営上の問題となるだけでなく、企業の自由度が失われてしまうのではないかと危惧しております。
現行の職務発明規定は、ドイツ以外、世界的には余り例のないルールでもございますので、大幅な見直しをし、発明者も含めてみんなが喜べるような制度作りを是非お願いしたいと思います。

中山部会長

ありがとうございました。
中西委員。

中西委員

中西です。
研究開発型企業の立場から見ますと、値段が上がるということについては何ら問題ないんですね。それよりは、知財を経営資源という位置づけて運営してきますから、より早く審査を、また質も上げていただきたい。そうなりますと、必然的に多国化のあれからみますと、審査官の補充、ふやすということは、このデータから見ても当然伺える。だとすると、上がった分の活用の道というものをもっと強力にやってほしい。お願いです。

中山部会長

ありがとうございます。
ほかによろしゅうございましょうか。

笹島委員

これは申し上げなくてはいけないんですが、当初、我が団体の方は、料金値上げの数字に対して高過ぎるという意思表示をさせていただいておりますので、よろしくお願いします。

中山部会長

ほかによろしゅうございましょうか。
それでは、産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会中間取りまとめを本部会の決議といたしまして、本部会の中間取りまとめとして決定することにさせていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございましょうか。
〔「異議なし」の声あり〕

中山部会長

ありがとうございます。
それでは、産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会中間取りまとめを本部会の中間取りまとめとすることに決議いたします。
なお、特許制度小委員会の今後の進め方につきましては、事務局から説明をお願いいたします。

南技術調査課長

特許制度小委員会に託されましたタスクの一つとして、先ほど庄山委員からも御紹介ありました職務発明制度について、見直しの検討が挙げられております。これにつきましては、知的財産戦略大綱におきまして今年度、いろんな実態を調査すべしと、それを踏まえて来年度中に職務発明制度の改正の是非、改正するとすれば、その方向性について結論を出すべしというふうに規定をされております。そのスケジュールにのっとりまして、我々、検討をする予定にしております。
お手元の資料4をごらんになっていただきたいと思います。これまで特許制度小委員会におきましてはさまざまな調査を行いまして、使用者側、発明者側にかなり大規模なアンケート調査をして、それを御紹介させていただいております。それから、諸外国の職務発明制度についても調査をして報告させていただいております。
今週、第6回の特許制度小委員会がございますが、これにつきまして、発明者の決定についての日米の判例調査の報告をさせていただく予定にしております。3月18日、第7回でございますが、これまで小委員会でいろいろ御意見をいただいておりますので、論点を整理いたしまして、今後の検討について、その課題を抽出したいと考えております。その後、二、三回審議をさせていただきまして、できれば、秋をめどに、その方向性についてパブリックコメントを募集させていただきまして、年内に取りまとめをしたいと考えているところでございます。
職務発明制度についてかなり集中的な議論をするということから、資料4の2ページ目をごらんになっていただければと思います。下の方に下線を引いた方、6名ございますが、この方々について新たに職務発明の審議をするという観点から追加をすることといたしております。
まず、日本経団連から丸島知財部会長、研究者の立場から丸山瑛一理化学研究所フロンティア研究センター長、法律関係で元判事でいらっしゃいます竹田稔弁護士・弁理士、契約法の観点から山本敬三京都大学教授、労働法の観点から土田道夫同志社大学教授、それから、使用者側、労働者側といたしまして、連合から須賀恭孝様、以上6名を追加いたしまして、これは今週の第6回からでございますけれども、職務発明について集中的に審議をしていく予定にしております。
以上でございます。

紛争処理制度小委員会報告書について

中山部会長

次の議題に入りたいと思います。
紛争処理制度小委員会報告書につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

木村審議室長

それでは御説明申し上げます。資料5と6になります。資料6は非常に大部でございますので、基本的には資料5、A3の色刷り1枚紙で御説明を申し上げたいと思います。
まず、紛争処理小委員会では、特許権をめぐる紛争について、より合理的かつ迅速な解決のあり方を模索してまいったわけでございます。御承知のように、特許権をめぐる紛争と申しますのは、大きく分けて三つのパターンがあります。
一つは特許が与えられる前の紛争。一番上の左のフローチャートをごらんいただきますと、拒絶査定8万件に対して、査定不服審判2万件となっておりますが、このルートで審理されるということになります。
それから、特許になった後の紛争といたしまして、一つは特許そのものの有効性を争うパターンでございます。これは特許査定11万件というところから線が上の方に伸びておりまして、異議申立て、無効審判、訂正審判という流れでございますけれども、これがそのパターンでございます。それから、特許になった後、特許権自身の侵害の有無を争うものが侵害訴訟でございます。今回の検討の中核と位置づけておりますのは、2番目の類型、特許になった後、特許の有効性を争うものを中心に考えておるわけでございます。
フローチャートの右に移りまして、現在、特許の有効性を争う争い方は大きく分けて2通りございます。権利付与というところから二つ矢印が出ておりまして、無効審判請求、異議申立てというのがございます。それぞれ審理を行いまして、特許権の取り消しないしは維持という審決ないしは決定がなされるということで、2本立てになっているということでございます。
特許異議の申立てにつきましては、件数的には、最近ちょっと減少傾向でございますけれども、4,000件程度出されております。それから、特許無効審判請求。これは当事者同士で争っていただくという構造をとってございますので、年間300件程度ということになっております。それから、平均審理期間でございますけれども、迅速化には鋭意努力をしてきておりますが、当事者に応答期間、を付与しなければいけないといった事情かということもございますので、現在、特許異議の申立てが12カ月、特許無効審判が平均15カ月で処理をしてきているということでございます。
今回、こういう制度を見直すということでございますけれども、下のところ、特許権等の有効性に関する審判制度のあり方という欄をごらんいただきたいんですけれども、基本的には、2本立てになっている無効審判、異議申立ての二つの制度を一本化してはどうかということで考えております。
と申しますのも、異議申立ては平成6年の改正以前は特許付与の前に異議申立てをするという手続がございまして、一種の公衆審査のような色彩を持たせておったわけでございます。したがいまして、制度の骨格といたしましては、沿革的に、何人とも申立てができるということ、ただし、登録から6カ月以内に申立てをする必要があるということになっております。
その場合、申立てそのものは特許権の有効性を再度審査する一つの契機という位置づけでございますので、あくまでも特許庁と特許権者で審理を行いまして、異議申立て人ご自身には特段の手続保障は与えられていないということでございます。
その結果、特許が取り消されるということになりますと、特許権者は、これに対して直接、東京高等裁判所に決定の取り消し訴訟を起こすことができるわけでございますけれども、異議申立て人にとって不利な決定、すなわち特許を維持するという決定につきましては特段不服申立ての道がなくて、その場合は無効審判を再度起こしていただく必要がある。そういうものでございます。
他方、無効審判でございますけれども、特許権の有効性をめぐって具体的な紛争が起こっていることを念頭に置いた制度でございます。したがいまして、明文にはございませんけれども、解釈上、利害関係人のみが請求可能であること。ただし、権利が存在する、あるいはそれが存在しなくなった後でも、利害関係がある限りいつでも請求が可能であるということ。それから、請求人と特許権者の間で具体的な紛争が現にあるわけですから、それを基礎として審理をする当事者系の構造をとった上で、これに職権で具体的な無効理由などについて探知するというのを付加した制度になっております。これにつきましては、いかなる審決が出ましても、それに対して裁判所に不服申立てが可能になる制度になっております。
制度の趣旨としては一見違うように見えるわけなんですけれども、実際の機能としては類似をしておりまして、具体的な紛争を念頭に異議申立てが起こされて、その結果、特許権が維持されるという結論になった場合、無効審判が再度起こされるということもあるわけでございます。一つの特許権に対して繰り返し攻撃がなされるということで、結果的に、紛争解決が長期化したり、特許権者側の応訴負担が発生するということがあるのではないかということで、制度そのものは重複感もございますし、むだもあるのではないかという趣旨で見直しをしてまいったわけでございます。
この際、これを統合して一本化して、新しい無効審判制度に移行したいということを考えております。その際、現行の無効審判の制度を基礎に考えまして、それに異議申立ての持っておりました機能も付加する形に考えておりまして、だれでも特許権の有効性について争うことのできる制度ということで、何人も審判請求が可能であることを明記してはどうかと。
すなわち、現行の無効審判と同様、いつでも請求が可能、請求人と特許権者で審理を進める当事者系の構造をとる、いずれの結果についても東京高等裁判所に出訴することができるようにしてはどうかということでございます。このように、今回の制度見直しの柱としては、紛争処理制度の一本化があるわけでございます。
今回の改正に関連してでございますけれども、無効審判の審理手続について改めるべき事項もあるのではないかということがございまして、それが攻撃・防御の機会の適正な確保ということでございます。非常にテクニカルな問題になるんですけれども、従来、無効審判を請求する際には、無効と考える理由ですとか事実をきちんと書くことが要請されるわけでございます。従来は、これをまともに記載していないような、ある種横着な審判請求があったということです。これですと、特許権者もどういうふうに反論していいかわからず、これが原因で審理が遅延するということがあったわけでございます。平成10年の法改正で、これを非常に厳しく、事後的に無効理由を追加することは原則としてできないという改正をしたわけでございます。
この効果といたしましては、1件当たりの審理期間は非常に短くなって効果があらわれておるわけでございますけれども、事後的に強力な無効理由が、すなわち「この特許は無効である」という証拠が仮に見つかった場合は、その無効審判ではそういう理由を主張することができませんので、また別途無効審判を起こす必要が生じるということで、全体の紛争の一回的解決という観点からは弊害も見受けられるということもございます。そこで、不当な審理遅延が招かれないということが前提ですが、それが確保される場合には無効理由・証拠の追加を例外的に許容する制度にしてはどうか、ということもあわせて制度改正をしたいと考えております。
それから、迅速・的確な審理のための運用の改善ということで、審理の充実化・迅速化を図るために口頭審理の実務の改善でございますとか、本年1月から本格導入しております計画審理の推進、それから当事者の応答期間の合理化等、諸施策をあわせて検討するということ。それから、特許付与後の第三者からの情報提供制度。今回、異議申立てを廃止するということに伴いまして、そういう制度をつくるということにつきましてもユーザーニーズを踏まえて検討すべきであるという御指摘をいただいております。それから、審査・審理の一層の充実ということは申すまでもないことでございます。
もう一つの大きな改正の柱でございますが、それが審判制度と審決取消訴訟・侵害訴訟との連携ということでございます。先ほど上の欄で一番右の訂正審判のところを御説明しなかったんですけれども、現在、特許権が成立した後に、当該特許に無効理由が含まれるということが明らかになったような場合は、権利を減縮いたしまして、その特許が無効にならないように、それを守るために訂正する、という手続を認めております。
ところが、平成11年に最高裁判所の判決が出まして、審決取消訴訟が起こされている間に訂正がなされるということが、これはあり得るわけでございますけれども、その場合は、訂正後の特許については、さらにそれが無効かどうかはまず特許庁で審理をすべきであって、裁判所は審理しないということが判決として出たわけでございます。
したがいまして、審決取消訴訟が係属中でも、権利者側の旗色が悪くなってまいりますと、特許庁に差し戻すということを期待して訂正審判請求を別途起こすということも起こりがちになってくるわけでございます。このグラフを見ていただきますと、先ほど申し上げた最高裁判所の判決は99年の3月に出ておりますが、このへんから顕著に異議や無効審判請求出訴中の訂正審判請求が増えている。黄色と水色のところですね、これが非常に増えているということがおわかりいただけると思います。これが、いわゆる東京高裁と特許庁の間の審理のキャッチボールと呼ばれておる現象でございます。
これを解決するために、どのようなことをやるべきかということでございまして、それが下の欄でございます。審決取消訴訟係属中の訂正機会の適正化ということで、現行が上の絵になっております。
まず、特許庁、緑の矢印がございますけれども、無効審判が起こされて権利無効の審決が出る。そうしますと、権利者は多くの場合、出訴されることになります。その審決取消訴訟が係属中に、黄色の矢印ですけれども、訂正審判を特許庁に別途起こす。その結果、権利の減縮が認められることになりますと、自動的に判決でもとの審決が取り消されるということになりまして、無効審判が再開されるということで、一見むだのように見える流れになってしまう。
特に訴訟が終わりのころになりまして訂正が認められるということになりますと、それまでの審理が一切むだになってしまうということもございますし、訂正審判という手続には、無効審判の請求人で、訴訟においては多くの場合被告でございますけれども、その人は関与できない構造になっておりますので、そこについても制度的な改善が求められるということになります。
したがいまして、今回、早期の事件解決という矢印の下でございますけれども、改正ポイントを三つ考えております。改正丸1という一番下のところで、まず特許の訂正を特許庁に対して請求できる期間を合理的に制限しようじゃないかと。要は、裁判で負けるかどうか、負けそうであれば訂正をやって特許庁に差し戻させるという、一種のふたまたがけといいますか、そういうものは原則認めないで、訂正をなさりたい場合は早い段階でやっていただくということを一つは企図しております。
それから、改正丸2というところで、訂正の請求があった場合は、訂正が具体的に認められる前であっても、裁判所は事件を特許庁に対して差し戻すことができる。実体審理をしないでも差し戻すという決定をできるようにしたいと考えております。
それから、改正ポイントの丸3でございますけれども、再開後の無効審判では、訂正とそれに対する相手方の反論をまとめて審理できるようにしてはどうかということです。これで審理そのものがかなり迅速化するということを私どもとしては期待をしておるわけでございます。
それに関連いたしまして、右側に求意見・意見陳述制度というのがございます。無効審判の審決取消訴訟は、いわゆる行政訴訟でございますけれども、特許権者と無効審判請求人の当事者同士で争われているという構造になっておりまして、争われる対象そのものは審決の違法性でございますけれども、審理において当該審決を書いた当事者であります特許庁が意見を述べることは現在基本的に、できない構造になっております。したがいまして、これを可能にするような手立てを講じること。もちろん、当事者同士で争っていただくという構造になっておりますので、この本質をゆがめない形で、限定的な形での意見陳述というものを今回、制度化することを考えてございます。
最後でございますけれども、侵害訴訟と審判の連携のあり方ということでございます。先ほど一番冒頭に申し上げましたように、整理の問題といたしましては、権利の有効性は基本的に無効審判、権利侵害は侵害訴訟という役割があるわけでございます。役割分担があるわけでございますが、侵害訴訟の中でも一部、権利濫乱用の抗弁を認めていくということで、有効性を判断してもいいと、そういう道が開かれてきているわけでございます。これにつきまして、両方の手続に並行的に関与していくというのは非常に煩雑であるとか、双方の判断が相違してしまうと、それは非常に困ったことになるのではないかというような、そういう御批判もあるところでございます。
これにつきましては別途、司法制度改革推進本部で検討が進んでおりますけれども、現在の役割分担を前提に特許庁としてやれることは何かということで、両者間の連携体制、情報共有の拡充についてしっかりやっていくべきだという御指摘を報告書の中でいただいておるところでございます。
私の方からの説明は以上でございます。

中山部会長

ありがとうございました。
本日は紛争処理制度小委員会の大渕委員長にも御出席をお願いしておりますので、何かコメントございましたらお願いいたします。

大渕小委員長

時間の関係もございますので、手短にいたしたいと思います。紛争処理小委員会の報告書の内容につきましては今、事務局から簡潔でわかりやすい説明がなされたとおりでありまして、特に私の方でつけ加えることはございません。
先ほどお聞きになっておわかりのように、紛争処理小委員会の審議のテーマは、代表的なものといたしまして、無効審判と異議申立ての統合ないし一本化、それから、この絵をごらんになってもおわかりのとおり、非常に複雑な審決取消訴訟係属中の訂正審判のあり方というような、特許などの審判訴訟制度の根幹にかかわるような重要な問題でありますし、理論的にも非常に複雑、困難な論点が多々含まれているものであります。
このような難問山積の中、小委員会の委員の先生方の熱のこもった御議論によりまして、無事審議を終えまして、本席上、資料6で配付されていますような詳細な報告書になっているわけであります。このような報告書として具体的に結実することができまして、私といたしましてもホッと胸をなでおろしている次第でございます。関係の皆様には本当にお世話になり、ありがとうございました。
この報告書につきまして、本部会におかれまして、よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。

中山部会長

ありがとうございました。
この報告書に関しまして御意見、御質問がございましたらお願いいたします。
よろしゅうございましょうか。
御意見もないようでございますので、この産業構造審議会知的財産政策部会紛争処理小委員会報告書を本部会の決議といたしまして、本部会の報告書として決定をするということにさせていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございましょうか。
〔「異議なし」の声あり〕

中山部会長

ありがとうございました。
それでは、御異議もないようでございますので、この産業構造審議会知的財産政策部会紛争処理制度小委員会報告書を本部会の報告書とすることに決定いたします。ありがとうございます。

不正競争防止小委員会報告書について

中山部会長

次の議題に進みます。不正競争防止小委員会報告書につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

小宮知的財産政策室長

産政局の知的財産政策室長の小宮でございます。よろしくお願い申し上げます。
お手元に資料7及び資料8がございますので、これに基づいて御説明をさせていただきたいと思います。不正競争防止小委員会でございますけれども、昨年の6月から土肥委員長のもと議論を開始いたしまして、去る2月7日に最終回を終了いたしましてでき上がりましたのがこの報告書でございます。報告書、大部でございますので、概要につきまして、このA3の色刷りの1枚紙を用いまして説明をさせていただきたいと思います。
改正の方向性は3点ございます。一番重要なのは、ここにございます営業秘密の刑事的保護の導入でございます。釈迦に説法ではございますけれども、営業秘密というのは、ここにございますように、技術データ、製造ノウハウ、販売マニュアル、顧客情報等、事業に有用で管理された秘密情報でございまして、今から13年前に不正競争防止法に民事的な保護規定が導入されたところでございます。要件としては、ここにございますように、三つ。秘密管理性、有用性、非公知性という要件があるところでございます。
ところが、我が国の現状を見ていただきますとわかりますように、今や非常にグローバルな競争が激化をいたしますとともに、13年前におきましては、営業秘密というのは例えば金庫の中とかロッカーの中にしまってあることがほとんどだったわけでございますけれども、今やサーバーの中にあるといったこともございまして、営業秘密の流出による競争力低下の懸念が増大をしております。一昨年に、我々の方で知的財産協会及び経団連の企業に対しましてアンケートを取りましたところ、約8割の企業が何らかの形で刑事罰の導入に賛成をしていたところでございます。そういう意味では、非常にニーズが高まっているということが言えようかと思います。
他方、諸外国の状況でございます。90年代に入りまして、我が国が民事的な保護規定を導入した後、例えばアメリカもしくは、ドイツはもっと昔からございましたけれども、フランスといったヨーロッパ諸国、欧米諸国、それから、中国、韓国といった国までもが、この営業秘密の不正な取得・使用または開示についての刑事罰を導入しているところでございます。そういう意味では、この分野は日本が若干おくれを取っているという状況にございます。
そういうことを踏まえまして、この改正の方向性でございますけれども、ここに模式的にかきました二つのケースを対象に、親告罪としての刑事罰を導入することを検討しているわけでございます。
ケースIございます。外側の丸は企業の領域だと考えていただければ結構でございます。内側の丸が企業の管理のバリアでございます。ケースI場合は、不正な競争の目的をもって、不正な方法で保有者の管理を破って中に入ってきて営業秘密を取得し、使用・開示をするようなケースでございます。※印でございますように、例えば一たん示されたものであっても、営業秘密を正当に取得した後に媒体を持っていっちゃうといったような場合もこれに準じて考えることができるのではないかというのがケースIでございます。
他方、ケースIIでございますけれども、最初からアクセス権限がある、つまりバリアの中に入った人が、いわば企業をある意味で裏切って外で使用または開示をするというケースでございます。
それぞれにつきまして処罰を設けるということで検討をしたわけですけれども、留意点、下にございますように、この話は非常に昔から、内部告発の自由、報道の自由、職業選択の自由、この三つの自由が必ず引っかかるところになってきたわけでございます。今回、審議会の中でもいろいろな議論がなされましたけれども、この内部告発と報道の自由につきましては、ここにございますように、まず反社会的な情報、環境汚染等々と書いてありますけれども、これは営業秘密の要件が事業に有用な情報であると定義をされていることから、営業秘密に当たらない。したがって、こういうもので裁判を起こしたとしても、裁判所は守ってくれないということがはっきりしております。
さらに加えて、民事の場合と比べて刑事は謙抑的にやるべきだという議論がございまして、構成要件の中で、不正の競争の目的がある場合に限定することといたしました。具体的には、例にございますように、例えばライバル企業に営業秘密を渡すような場合、もしくはライバル企業からお金をもらって営業秘密をインターネットで流すような場合、こういう場合が考えられるわけですけれども、こういう場合には処罰をする。他方、これは委員会でも議論になりましたけれども、いわゆる愉快犯的にインターネットへ流すものについてはどうかということにつきましては賛否両論がございました。結論的には、こういうものは民事で対応していただくという形に整理をしております。
それから、職業選択の自由でございます。ケースIIの場合に、例えば元役員とか元従業員につきまして、この処罰の対象に加えますと、親告罪といえども、告訴権が営業秘密をもともと持っていた保有者にあるわけでございますので、気に入らない元従業員に対して告訴するぞとおどし続ければ、一生転職ができなくなるおそれなしとしないということでございまして、ケースIIの場合には元従業員を処罰しないという整理をいたしました。
他方、これもまた審議会の中でいろいろ議論が出ましたけれども、退職直前になって媒体の形で営業秘密を自分のフロッピーに写し取ったり、実物そのものを持っていってしまうようなケースも考えられるということで、このようなケースの場合には、ケースIの場合として処罰の対象にすべきではないかということで整理をしたわけでございます。
次に、右側の民事的保護の強化でございます。ここにございますように、特許法を含めまして産業財産権4法におきましては、平成10年、11年の法改正によりまして、侵害行為及び損害額の立証の容易化規定が導入されております。御存じのように、これを反映いたしまして、例えば特許裁判における損害額の認定も、平成10年以前の最高額が30億円だったわけでございますけれども、今や84億円といった損害額の認定が出るようになってきているわけでございます。そういう意味では、この二つの容易化規定が実際の裁判でも役に立っているところでございます。また、審議会の中でも、東京地裁の裁判長から、裁判訴訟式上もやりやすい規定であるといった評価も寄せられているところでございます。
残念ながら、不正競争防止法はこの二つの規定が入っておりませんでしたので、今回、特許法と同様な規定を導入したらどうかということで議論を進めまして、現行の産業財産権4法にある規定と同様の規定を入れることと整理をいたしました。
最後、ネットワーク化への対応でございます。昨年、特許法及び商標法の改正の際に、まさにネットワークを前提にして、プログラムが電気通信回線を通じて提供される場合が法制上、譲渡という概念にはまらないのではないかという議論をいたしまして、御存じのように、特許法、商標法の改正が行われたわけでございます。不正競争防止法にも譲渡もしくは物といった概念がございまして、これまた特許法、商標法にあわせる形で、電気通信回線を通じてプログラムを提供する行為が不正競争行為として読み込めるような明確化を行う必要があるという結論を出した次第でございます。
パブリックコメントの状況について若干御紹介申し上げたいと思います。パブリックコメントを先月の24日まで1カ月にわたっていたしまして、産業界、中小企業団体、労働組合、それから法曹界から、それぞれコメントをいただいたところでございます。基本的に、この法律について皆さん、賛成という評価でございました。
特に、それぞれの要件につきまして、多少意見の違いはあった部分もございましたけれども、例えば先ほど申し上げたような、例えば不正の競争の目的を構成要件で絞るといった議論とか、元従業員の処罰については、処罰をすべきでないといった人と、若干限定的でもいいから元従業員も処罰をするべきだといった人の違いが少し出ましたけれども、基本的に、審議会の報告書の内容を支持するコメントをいただいているところでございます。
簡単でございますが、説明は以上でございます。

中山部会長

ありがとうございました。
この報告書に関しまして御質問あるいは御意見ございましたら、お願いいたします。

森下(洋一)委員代理(吉田)

愉快犯の問題ですけど、愉快犯につきましては民事法上の対応で十分だという御判断だというお話だったと思うんですが、不正の競争の目的を持っているかどうかというのが愉快犯であるかケースI、IIに当たるかということの差異かなと思いつつ質問申し上げるんですが。
愉快犯について刑事罰が必要ないという御判断であるとしますと、愉快犯の行為そのものは法益を十分犯しているわけです。それが民事法上の対応だけで済むということであるならば、ケースI、IIの不正の競争の目的というものの有無が、民事と刑事罰の差異をもたらすほど法益上の差異があるとは考えられず、愉快犯についても同じように刑事罰で対応してもよさそうにも思うんですが、その辺の御議論はどういうことでしょうか。

小宮知的財産政策室長

そこはまさにバランスの問題だと思います。もっと広く目的を書くべきだという議論もありましたけれども、これを書きますと、明らかに取材の自由もくしは内部告発の自由を犯しかねない形にならざるを得ない。したがって、そこは審議会の中でもいろんな議論がありましたけれども、やはり守られるべき法益と、それに伴う副作用を比較考慮して、今回は、まさに不正競争防止法ですから、競争関係を変えるということが産業競争力強化の観点から見ると非常に悪いことであって、その周辺部分はとりあえず今回の段階は処罰の対象から外した方がいいんじゃないかということで小委員会は取りまとめられたわけでございます。

森下(洋一)委員代理(吉田)

愉快犯の行為の結果、広く世間一般の人がトレードシークレットを知ることとなり、それを活用することも多々行われることになるかもしれませんね。それはしょうがないということですか、刑事罰上は。

小宮知的財産政策室長

しょうがないということでございます。

森下(洋一)委員代理(吉田)

ありがとうございました。

前田委員代理(作田)

知的財産協会の前田委員の代理の作田でございます。
ただいまの小宮室長の御説明になかった点で恐縮でございますけれども、営業秘密の侵害を裁判所に提訴した場合の裁判の公開との問題であります。裁判所に提出した営業秘密での秘密性が裁判所で担保されなければならないと思います。
報告書を拝見いたしますと、36ページ第4章に訴訟上の営業秘密の保護強化という項があり、この問題は先ほどの審判制度と同じで、司法制度改革推進本部に委ねることが書いてあります。更に、当委員会としては、関係省庁に継続的に働きかけをすると書いてありますが、この委員会は解散された後、どのように取組まれるのかお考えをお聞かせいただければと思います。

小宮知的財産政策室長

実際の検討はこういうふうになっております。司法制度改革推進本部については民事訴訟上の営業秘密の保護について検討会で検討イッシューとして上がっていて検討が進んでいます。したがいまして、ここについては、御存じのように、産業界の代表も出席をしておられますが、そういう方々とも議論もしながら、司法制度改革推進本部に対していろいろと意見を申し上げていきたいと思っております。
問題は、刑事訴訟上の営業秘密の保護でございますけれども、御存じのように、憲法上、裁判の公開原則が極めて厳格に書かれている関係から、今のところ司法制度改革推進本部では刑事訴訟上の営業秘密の保護について検討する気が全くない状態であります。
したがいまして、我々としては法務省に対して、これは必要なんだという議論をやっていこうという考えでおります。この小委員会自体はもう終了いたしますけれども、この小委員会で出された結論を受けまして、当省として働きかけを行っていく所存でございます。

中山部会長

私は司法制度改革推進本部の検討会の委員ですが,検討会を代表しているわけではありませんが,一言補足します。
刑事裁判の公開は、恐らく憲法改正という話になってきます。これには非常に抵抗が多くて、恐らく一緒にやれば民事裁判の公開問題も吹っ飛んでしまうという状況で、とりあえずは民事をやって、仮に刑事をもしやるとすれば、その後にやらざるを得ない。両方を狙って両方とも葬むられるのでは余りにはもったない。以上は私の考えですが、恐らく検討会でもそうに考えているのではないかと思います。

前田委員代理(作田)

この問題は、営業秘密に関する不正競争防止法上の問題にとどまらず、特許権の侵害訴訟においても大変に重要な問題でありますので、是非総合的なご検討の程よろしくお願い申し上げます。

中山部会長

知的財産戦略大綱も非常に大事だと書いてございまして、そこには憲法問題もあるけども、やれということを書いてありますので、今後、検討は進められていくと思います。
ほかに御意見ございませんでしょうか。

森下(竜一)委員

大阪大学の森下です。
この及ぶ範囲内なんですが、これは大学とか、あるいは特に独立行政法人以降に関しては、そうしたような第三者機関に関しても及ぶという法律になるんでしょうか。それとも、民間企業だけに限定されたものなのか、その点……

小宮知的財産政策室長

別に限定はされていません。ただ、今の大学の現状を申し上げますと、営業秘密としての管理がされておりませんので、訴訟したところで全部大学は負けると思います。

森下(竜一)委員

今後、知的財産本部ができてくる中で、もしそういう話が出てきたときに、管理されると、あるいは現状で研究室でもし管理をしていると主張するような機関があった場合は範囲に含まれるという理解になるわけですか。

小宮知的財産政策室長

それはそうです。

中山部会長

ほかにございませんでしょうか。
よろしゅうございましょうか。
それでは、産業構造審議会知的財産政策部会不正競争防止小委員会報告書を本部会の報告書として決定をすることにさせていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございましょうか。
〔「異議なし」の声あり〕

中山部会長

ありがとうございます。
御異議ないようでございますので、この産業構造審議会知的財産政策部会不正競争防止小委員会報告書を本部会の報告書とすることに決議させていただきたいと思います。ありがとうございました。

経営・市場環境小委員会の検討状況について

中山部会長

次の議題に入りたいと思います。経営・市場環境小委員会の検討状況につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

小宮知的財産政策室長

資料9が概要版でございますので、この資料9に従いまして簡単に御説明をさせていただきたいと思います。コピーの仕方がちょうどめくると上下に並ぶようになっていますので、うまく見ていただければと思います。
知財戦略大綱の中で三つ、知的財産の戦略的な取得管理、営業秘密の管理強化、技術流出防止のための戦略的なプログラムを策定できるよう参考となるべき指針を今年度中に策定するべきだということが記されてございます。
1ページの下のところにございますように、例えば企業におきまして知的財産の取得管理への戦略性がちょっと足りないのではないかといった議論、それから、営業秘密、先ほど申し上げたように、法改正までして保護レベルを上げるわけですけれども、他方、本当に企業サイドで管理が十分になされているのだろうか。また、例えば模倣品の問題がございますけれども、模倣品をやっているところをつかまえてみますと、実は提携相手先であったといったような事例ということも踏まえまして、政府サイドにおきましても、いろいろと法改正をしながら保護レベル等々やっていく、上げていくわけでございますけれども、他方におきまして、民間レベルサイドにおきましても、いろいろと戦略的に対応していただいたらどうかというのが問題意識でございます。
まず、知的財産の取得管理の指針から御説明をしたいと思います。2ページでございます。研究開発と企業の競争力ということで、割合と近ごろいろんなところで使われているグラフが出ております。
まず下の左のグラフでございます。これは横軸に研究開発投資の対売上高の比率の80年代と90年代の比較、増減の率を書いてございます。縦軸が、これは全要素生産性と呼ばれる技術進歩率でございまして、日本だけ、ほかの先進諸国と比べて飛び抜けて下にある。下にあるだけではなくて、研究開発費のシェアが伸びているにもかかわらず生産性が落ちている。つまり、研究をすれどもすれどももうからないというのがマクロで示されているわけでございます。
他方、右側でございますけれども、研究開発費で営業利益を割った数字を横軸に置きまして、縦軸にROEを置いて、80年代までと90年代までそれぞれ相関を取ったところ、80年代の場合には余り相関がない。つまり、研究開発の効率性とROEは余り相関がなかったわけでございますけれども、90年代に入りますと、非常に相関が高くなる。これは何を意味しているかというと、新製品づくりをうまくやった企業が結局、ROEが高くなるということを示しているわけでございます。
そうしますと、この両方のグラフを見比べてみますと、知的財産戦略をしっかりやって、研究開発をうまく営業利益に結びつける必要があるという結論になるわけでございます。
次のページに飛んでいただきたいと思います。知的財産の選択と集中という題名になっておりますけれども、我々、知的財産の取得管理の指針をつくるに当たって、どういうものが知的財産の戦略を持っている企業なのかどうかということを抽出する必要があったわけでございます。
一つの分析が下の左でございますけれども、アメリカの特許分類に沿って、実は各社の特許の取得件数というのはCD-ROMで公開されておりまして、これをベースにいたしまして、各業種ごとに、どういう分野で特許が取れているかということを示したのがこのグラフでございます。恐縮ながら、プリンターとかコピー業界の企業を並べさせていただいたわけでございますけれども、ここで見ていただくとわかりますように、プリンティングと電子写真両方の分野でキヤノンさんが圧倒的な特許を取っておられるということで、知財戦略の観点で引き合いに出されることが多い企業でありますけれども、アメリカの特許の取得状況を見ると、それがある意味で証明されていると言えようかと思います。
それから、右のグラフで非常に字が小さくて読みづらくて申しわけございませんけれども、先ほど申し上げたように、営業利益を研究開発費で割った数字が非常に重要だということは前のページで申し上げたとおりなんですけれども、これを特許の取得件数で因数分解いたしました。横軸は研究開発投資額で特許の登録件数を割って、縦軸は特許の登録件数で営業利益を割ったわけでございます。
非常におもしろいことがわかってまいりましたのは、ITとか機械とかこういうクロスライセンスの多い業界は、営業利益はある一定レベルよりは上に行かない。そのかわりに、特許がたくさん取れる企業と余り取れない企業と差が大分出てくるということがわかるわけでございます。
他方、医薬品を初めとして素材業界の場合には、1件の特許を取る額は非常に高くなるわけですけれども、他方で、特許が大当たりをいたしますと、営業利益も非常にもうかるという体質が見てとれるわけでございまして、基本的に縦に並ぶ傾向が見てとれるわけでございます。そういう意味で、上の枠囲みにございますように、複合型技術と単体型技術では、知的財産戦略は違うということが見てとれるわけでございます。
そういうことを踏まえまして4ページでございます。知的財産取得管理指針、お手元に分厚いものが配られておりますが、概要といたしましては、この具体的な項目にございますように、知的財産戦略は事業戦略や研究開発戦略と三位一体で行う必要があるということで、そのポイントとして、基本理念戦略の策定をする、知的財産権をベースにした事業戦略や研究開発戦略の策定をする、社内の取得管理体制の構築をする、その他といったことについて、経営トップを対象にしたこの指針をつくったわけでございます。
もう1ページ開けていただきまして、次に営業秘密の管理指針についての御説明をいたしたいと思います。先ほど申し上げましたように、この法律のバックグラウンドと同様でございますけれども、IT化、人材の流動化が進みまして営業秘密が外部に出るリスクが高まっているわけでございます。6ページにございますように、指針といたしましては、企業が営業秘密の管理強化を行う上で参考になるように、営業秘密が法律上の保護を受けるために必要なミニマムな管理水準、それと紛争の未然防止等のための望ましい管理水準、それぞれを提示することといたしました。その際に、みずからの営業秘密の管理強化だけではなくて、他者からお預かりした営業秘密の取り扱いについても留意点を提示するということでございます。
まず、ミニマムの管理水準でございますが、判例を整理いたしました。保護される条文の要件としては、先ほども申し上げた三つの要件があるわけですけれども、今までの判例を見てみましても、右側にございますように、アクセス制限がなかったり、客観的認識可能性がなかったりということで、意外と民事の判例におきましても営業秘密の秘密管理性は厳しく判断をされているのが現状でございます。そういう意味では、各企業におかれても、少なくともそこまでのレベルがないと裁判所に持っていっても勝てませんということを示しております。
それから、7ページ以降、今度は望ましい管理水準につきまして、三つにわたって示してございます。最初が物的・技術的管理でございます。ここにございますように、秘密管理情報の区分、アクセス制限、客観的認識可能性、情報形態ごとの管理、施設等の管理といったことにつきまして、望ましい水準を示してございます。
それから、その次のページ、8ページでございます。人的・法的管理の場合には、まず自己情報の管理ということで、従業員・役員、派遣社員等、退職者、取引先と、それぞれのケースに応じまして行うべき手続を書いてございます。
それから、他者情報の管理でございます。一般的問題として、情報取得時、使用時の注意事項を書いておりますが、特に個別ケースとして、一つは転入者の問題。例えばコンタミネーションが起きると、知らないうちに訴訟に巻き込まれるおそれがあるといった問題。もう一つは、取引先との間での問題。この二つにつきまして、注意すべき事項を書いてございます。
それから、9ページでございます。3番目が組織的管理でございます。これにつきましては、近ごろはやりのマネジメントの標準規格の手法にのっとりまして、PDCAサイクルと呼ばれる、plan、do、check、actのサイクルに沿った形で望ましい組織的管理について記述をしております。管理策の策定をして、管理策の実施、それから監査をして見直しをするというサイクルでございます。3月14日に開かれる審議会におきまして、この組織的な管理のところについて、さらに標準規格に持っていく方が望ましいのかどうかというところについて議論を行う予定としております。
それから、10ページ以降、今度は技術流出防止指針でございます。ここにございますように、意図せざる技術流出が非常に増加をしている。つまり、海外、特にアジア諸国の場合に、投資をしたときに想定をしたレベルを超えて技術が流出しているといったものが結構見られているところでございまして、これをいかに防止するかというのが趣旨でございます。
七つのパターンがございます。ここにございますように、技術ライセンスは技術援助にまつわる技術の流出、海外生産の開始・拡大にまつわる技術の流出、製造に必要な部品や材料に化体された技術流出、その次のページにまいりまして、製造に必要な機械や設備に化体された技術流出、製造に必要な図面やノウハウの流出を通じた技術流出、ヒトを通じた技術流出、それから、その他といったそれぞれのパターンがございます。このパターンの分析をしております。
次に、12ページでございます。指針といたしましては、ここにございます七つの項目を柱とする対策事例を提示しております。この七つの項目も、先ほど申し上げたPDCAサイクルに沿った形で構成されておりまして、この枠にございますように、今後、標準規格化するかどうかについては検討する予定にしてございますけれども、まず基本方針の策定をいたしまして、それからマニュアルをつくり、組織体制の整備をする。さらに、次のページにまいりまして、具体的対策の強化をして、それから、情報収集・提供、社内教育の実施をして、フォローアップをして、組織の最高責任者による見直しをするといった形を構成しているところでございます。
実は、この指針のうち営業秘密管理指針については、去る1月30日の小委員会をもちましてファイナライズいたしまして、既に公表しております。それから、知的財産の取得管理指針と技術流出防止指針については現在、パブリックコメント中でございまして、3月3日でパブリックコメントを締め切って、3月14日にファイナライズをしたいと考えているところでございます。
あと、資料としてございませんけれども、さらにこのほかに知的財産の情報開示、いわゆる投資家に向けた情報開示のパイロットモデルの作成、それから、知的財産の信託については、金融庁の動きを睨みながら緊急提言の原案をこの間、上程したところでございますけれども、そういう金融周りの話についてもあわせて議論を行っているところでございます。
簡単でございますが、以上でございます。

中山部会長

ありがとうございました。
本日は経営・市場環境小委員会の長岡委員長にも御出席をいただいておりますので、もしコメントがございましたら、お願いいたします。

長岡委員

指針の内容については、非常に的確に説明していただきましたので、特につけ加えることはありませんが、大綱では三つの指針について非常に短期間でつくるようにということで、かなり大変だったわけですけれども、小委員会のメンバー、それから知財室の非常に少数のスタッフの勤勉で、やっとパブリックコメントにかかったという状態です。
2点目ですけれども、技術流出自体は貿易とか投資とか人材交流があれば、必ず流入も流出も起こるわけでして、この指針は、海外での契約履行がうまく担保されないとか、そういった問題があって、意図ないし想定した技術流出以上のことが起きている問題に企業が自発的に対処していく、そういうことに対しての指針をつくるということで書いてあります。
以上です。

中山部会長

ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして御意見、御質問がございましたら、お願いいたします。

庄山委員

庄山でございます。
管理指針の規格化(JIS化)はこれから議論されるとのことでございますが、その場合、企業に自主性を持たせることが非常に重要であると思いますので、この点をよく御議論いただきまして進めていただきたいと思います。これから議論されるということでございますけれども、その目的といいますか、あるいは、これはそれぞれの企業の自主性が非常に大きなところだと思いますので、その辺のところをよく委員の中で御議論いただきまして進めていただきたいと思います。

中山部会長

ありがとうございます。
ほかに御意見、御質問ございましたら……。
よろしゅうございましょうか。
それでは、本日予定しておりました議題は以上でございますけれども、本日の議題でも、あるいはそれ以外の知的財産政策全般に関しまして何か御意見がございましたら、まだ若干時間がございますので、ちょうだいしたいと思います。何か御意見ございましたらお願いいたします。
森下委員。

森下(竜一)委員

最初の審査員の増員あたりの話なんですけれども、ぜひ先端技術分野の審査員の充実をお願いしたいと思います。これは審査員の対象数が非常に少ないというのはよくわかるんですけれども、恐らく今後特許数のふえてくるのは先端技術分野ですし、特にその領域の審査が欧米と比べたときにおくれている傾向にあるのではないかという気がいたします。ドクターなり、そうした専門知識を持った方を積極的に活用してくださればと思います。

小野特許技監

今の森下委員の御指摘でございますけれども、私どももバイオとかIT技術等に関しましては、そういう分野の十分な知識を持った審査官を採用するようにしております。現在、審査官の9割以上が修士でございます。ドクターの前期課程の方、後期に入ってという方も何人か採用させていただいております。基本的には、そういう者を集中的に採用していくということを努めております。
以上でございます。

中山部会長

ほかに何か御意見ございましたら……。

安田委員

東大の安田です。
最後に御説明になった資料の2ページと3ページにある統計資料ですが、大変興味ある内容だと思います。件数的というか、調査対象から見て、どのくらいの信頼度かということについて何かございますか。90年代になって相関が非常に出てきたということが興味としてありますけど。

小宮知的財産政策室長

これは一勧総研行ったもので、サンプル的には25社ぐらいのサンプルであります。だから、それをどういうふうに評価するかというのはあります。左の方はOECDのデータなので、国別のデータです。

中山部会長

よろしいでしょうか。
ほかに……。よろしいでしょうか。

総務部長あいさつ

中山部会長

本日は太田特許庁長官がどうしても抜けられない用事で御欠席でございますので、平井総務部長から一言あいさつをお願いいたします。

平井総務部長

恐縮でございます。総務部長の平井でございます。
特許庁長官の太田は今現在、国会の用務で本部会には時間的に間に合わないので、私がかわりましてごあいさつ申し上げます。
闊達な御議論をいただきまして、長時間、本当にありがとうございました。中山部会長初め後藤小委員長、大渕小委員長、長岡小委員長、また御欠席でございますが、土肥小委員長に改めて厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
御案内のとおり、本日の、主として特許法の改正、不正競争防止法の改正はもちろんでございますが、現在の知財政策の基盤にありますのは、昨年7月に内閣の戦略会議が中山部会長を起草委員長として取りまとめた知財戦略大綱にすべて集約されているもののほんの一部でございます。これを受け、今通常国会に何と5省6本の知財関係の法律が提案され、又はその予定でございます。
その6本のうちの二つが特許法と不正競争防止法の大きな改正でございまして、それ以外にも専属管轄関係で民事訴訟法あるいは農水省の種苗法、水際対策としての財務省の関税定率法、それから、間に合えば文部科学省からの著作権法の改正と、そういった6本も一度期に通常国会に知財関係で出るというのは、これまでになく珍しい。データはございませんが、恐らく本邦初演ではないかと思います。ただ、それとても戦略大綱から見ますとほんの一部でございまして、知財戦略はまだ一歩一歩進めている状況でございます。
ここのところ、これで一段落という話はほとんどございません。先ほど各委員から御指摘いただきました職務発明の問題、その他もろもろ、議論に出ませんでしたが、小委員会でも医療ワーキンググループの今後の扱い等々、これから法律の改正まで至るような話とか、運営あるいは運用といった観点でやらなければいけない話、特許庁固有の問題も多々ございますし、その他不正競争関係、他省庁関係も多々ございます。
したがいまして、委員の各位におかれましては、引き続き御指導、御協力を賜ることをお願い申し上げまして、本日のごあいさつとさせていただきます。本当にありがとうございました。

部会長あいさつ

中山部会長

私から一言御礼申し上げたいと思います。
非常に短時間にもかかわらず、このような大部で、かつ立派な報告書をまとめていただきまして、各小委員会の委員長あるいは委員の皆様方に厚く御礼申し上げたいと思います。
ただいまの総務部長のお話に尽きていると思います.この報告で一応の取りまとめをしたわけで、恐らく法律にすべきものは法律になると思いますけれども、これは知的財産戦略大綱に記載されている一部であり、近々、知的財産戦略本部も設けられると思います。戦略本部というのは知的財産戦略大綱に書かれていることをしっかりやれということのお目付け役といいますか、それに拍車をかけるという役割だと思います。
したがいまして、当審議会も、これからますますいろんな課題が出てくるということになると思いますけれども、今後ともよろしくお願いいたしたいと思います。ありがとうございました。

中山部会長

以上を持ちまして、産業構造審議会の第4回知的財産政策部会を閉会といたします。本日は長時間にわたりまして御審議をありがとうございました。これで閉会といたします。

閉会

――了――

[更新日 2003年4月14日]

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