| 第2節 広く強く早い救済措置の実現 |
| 【1】 特許侵害に対する救済措置の拡充 |
侵害行為の立証の容易化 |
| 工業所有権侵害訴訟における侵害行為の立証の容易化を図るため、相手方が権利者の主張を否認するときは自己の行為を説明しなければならないこととする積極否認の特則の規定や、相手方の行為を立証するために必要な文書提出命令の拡充等の規定を設ける。その際、文書中の営業秘密が不必要に開示されることを避けるようにする。 |
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| (1) |
工業所有権侵害訴訟を提起する場合、権利者は、相手方による実施行為(いわゆるイ号)を特定して、侵害の行為があった旨立証しなければならない。特に、損害賠償請求訴訟として提起するときは、損害の額の立証に先立って行う必要がある。 |
| (2) |
しかし、例えば、イ号が相手方の工場内で実施されている技術のような場合には、権利者が訴状においてイ号を特定することは困難となる。更に、そのような技術は営業秘密と密接に関連していることも多く、民事訴訟法の規定によっても、関連する証拠の提出を求めることが難しい。 |
| (3) |
このような問題点を解決するためには、権利者のみでなく相手方もイ号特定に積極的に関与させ、イ号特定を迅速化することが必要である。また、侵害行為の立証に資するため、営業秘密の保護に十分留意しつつ、訴訟上必要な証拠が提出されるような制度を担保することも必要である。 |
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| 以下を骨子とする見直しを行う。 |
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権利者が具体的に主張した相手方の行為について否認するときは、相手方は、自己の行為について具体的に主張しなければならないこととする。ただし、例えば主張すべき内容に営業秘密が含まれている場合等は、相手方は主張を拒めることとする(積極否認の特則)。 |
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相手方の行為を立証するため、必要な書類の提出(又は検証の目的の提示)を命じることができることとする(文書提出命令の拡充等)。ただし、「正当な理由」(注1)があるときは、相手方は提出(又は提示)を拒むことができることとする(注2)。 |
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提出を拒む「正当な理由」の有無の判断は、裁判官のみのインカメラ審理により行うことができることとする(注3)。 |
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| (注1) |
提出を求められた書類中に営業秘密が含まれる場合には、裁判所は訴訟追行上の必要性と営業秘密の保護の必要性とを比較衡量した上で、提出を拒む「正当な理由」があるかどうかの判断を行う。 |
| (注2) |
この規定は、文書提出義務を定めた民事訴訟法第220条の特則と位置付けられるものであり、それ以外の文書提出命令の申立て、文書の特定のための手続、証拠として不必要な部分を除いた提出、文書提出命令に従わない場合の効果等は、民事訴訟法の規定に従うこととなる。 |
| (注3) |
提出を拒む「正当な理由」があるかどうか(すなわち、文書提出義務の有無)の判断は、民事訴訟法第223条3項の手続と同様、裁判官のみによるインカメラ審理により行う。また、当事者間で書類の開示を受けることについて合意がなされたような場合には、当事者又は代理人間で、その書類へのアクセスを認めあうことは、運用上可能である。 |
| (注4) |
営業秘密を含む書類が、証拠として提出されることとなった場合に、裁判所の訴訟指揮により、不必要な開示を避けることは、運用上可能である。 |
| (注5) |
口頭弁論の準備段階として、争点の整理,証拠の整理を行う「弁論準備手続」においては、公開の法廷外で、書証の取調べを行うことも可能である。
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| (注6) |
当事者が文書提出命令に従わない場合に、権利者の主張する相手方の実施行為の内容を真実擬制したとしても、それが実際の相手方の行為の内容と異なる場合には、差止め等の執行ができない、との指摘がある。ただし、こうした問題は特許に限らず、一般的に起こる問題である。 |
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| (参考1)侵害行為の認定のための訴訟進行と営業秘密 |
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○原告は、訴状において、相手方の侵害行為を、具体的に主張 |
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○被告は、原告が主張する具体的な侵害行為について否認するときは、自己の行為を具体的に主張。 |
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○当事者の申立てにより、相手方に対し文書提出命令。ただし、正当な理由があるときは、提出を拒むことができる。
○提出を拒む正当な理由を判断するため、裁判官によるインカメラ審理(場合によっては当事者を含む。)。
・営業秘密と訴訟追行上の必要性とを比較衡量。
○訴訟上提出された営業秘密は非公知性の要件が失われない限り「営業秘密」として扱う。
・当事者の不正使用等は、不正競争防止法違反。
・訴外第三者は、民事訴訟法第92条により閲覧等を制限。 |
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| (参考2)文書提出命令の拡充に伴う営業秘密保護についての整理 |
| 今回の改正の骨子では、文書提出命令の拡充が図られることとなるが、これに伴う営業秘密の取扱いについては以下のように整理することができる。 |
| ○ |
提出を拒む「正当な理由」は、営業秘密であることの他、訴訟追行上の必要性をも加味して総合的に評価。 |
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営業秘密を含む書類について提出を拒む「正当な理由」があるかどうかは、営業秘密を開示することにより書類の所持者が受ける不利益と、書類が提出されないことにより訴訟当事者が受ける不利益とを比較衡量して判断する。この「正当な理由」の判断は、裁判官によるインカメラ手続で行うことにより、営業秘密が不必要に開示されてしまう事態を防ぐことができる。(民事訴訟一般については参考条文1〜3を参照)
なお、侵害の立証とは異なるが、損害の計算のための書類の提出を拒む「正当な理由」(特許法第105条)については、これと同様の考え方が採られている。(参考条文4を参照) |
| ○ |
相手方が知り得た営業秘密を不正に使用した場合等には、不正競争防止法上の損害賠償義務が発生。 |
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| 上記インカメラ判断を経て提出された書類中の営業秘密については、その提出の目的はあくまで訴訟追行に限定され、開示を受けた当事者はその無断使用等をしないという私法上の義務があると解される。また、その営業秘密を用いてその提出者と競争関係にある事業を行うような行為は、提出された営業秘密の非公知性が保持されている限りにおいて、不正競争防止法違反を構成するものと解され、損害賠償責任を負うこととなる。(参考条文5,6を参照) |
| ○ |
訴外第三者に対しては、書類の閲覧等の請求ができる者を当事者に限定すること(民事訴訟法第92条第1項第2号)で、営業秘密の漏洩を防止。 |
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| 訴訟において提出された書類中の営業秘密は、訴訟追行のために訴訟当事者限りとして開示されたものであり、訴外第三者による訴訟記録の閲覧、謄写等を制限することにより、その秘密性は保証されることとなる。(参考条文7を参照) |
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| <参考条文> |
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(1)民事訴訟法第197条第1項 |
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次に掲げる場合は、証人は、証言を拒むことができる。 |
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第3号 技術又は職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合 |
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(2)民事訴訟法第220条 |
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次に掲げる場合は、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。 |
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第4号 前3号に掲げる場合のほか、文書…が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。
ロ 第197条第1項第2号に規定する事実又は同項第3号(1)に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書 |
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(3)民事訴訟法第223条 |
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1 |
裁判所は、文書提出命令の申立てを理由があると認めるときは、決定で、文書の所持者に対し、その提出を命ずる。この場合において、文書に取り調べる必要がないと認める部分又は提出の義務があると認めることができない部分があるときは、その部分を除いて、提出を命ずることができる。 |
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3 |
裁判所は、文書提出命令の申立に係る文書が第220条第4号(2)イからハまでに掲げる文書のいずれかに該当するかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、文書の所持者にその提示をさせることができる。この場合においては、何人も、その提示された文書の開示を求めることができない。 |
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(4)特許法第105条 |
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裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟においては、当事者の申立により、当事者に対し、当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な書類の提出を命ずることができる。ただし、その書類の所持者においてその提出を拒むことについて正当な理由があるときは、この限りでない。 |
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(5)不正競争防止法第2条 |
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1 |
この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。 |
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第7号 営業秘密を保有する事業者(以下「保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の競業その他の不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為 |
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4 |
この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。 |
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(6)不正競争防止法第4条 |
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故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。… |
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(7)民事訴訟法第92条 |
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1 |
次に掲げる事由につき疎明があった場合は、裁判所は、当該当事者の申立てにより、決定で、当該訴訟記録中当該秘密が記載され、又は記録された部分の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製(以下「秘密記載部分の閲覧等」という。)の請求をすることができる者を当事者に限ることができる。 |
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第2号 訴訟記録中に当事者が保有する営業秘密(不正競争防止法(平成5年法律第47号)第2条第4項(5)に規定する営業秘密をいう。)が記載され、又は記録されていること。 |
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損害の立証の容易化(計算鑑定人制度の導入) |
| 侵害者の協力義務の下に、損害の計算を行えるような計算鑑定人の制度を設け、権利者の立証負担を軽減する。 |
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| (1) |
工業所有権の侵害による損害は、侵害者の経済活動を通して発生するものであるため、損害の範囲及び損害額を立証することは困難な場合がある。しかも、権利者の被った損害額を立証するために必要な事項は、侵害品の販売数量等、侵害者が所持する証拠によらなければ立証できないものとなっている。 |
| (2) |
こうした特殊の事情があることから、特許法第105条では、民事訴訟法の文書提出命令の特則として、損害の計算に必要な書類の提出を求めることができるよう制度上担保している。しかし、なお、以下のような問題があるとの指摘がある。 |
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提出される文書の量が膨大であり、経理・会計の専門家ではない裁判官、弁護士にとっては、文書を正確かつ迅速に理解することが困難。 |
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提出された文書が、略語を使って表記されたものであった場合や、コンピュ−タ管理された帳簿類の打ち出しデ−タであった場合は、その内容について説明を受けることなしには部外者には理解できないが、特許法第105条は文書提出者に説明することまでは求めていない |
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提出された文書に対して、民事訴訟法の当事者照会(第163条)や鑑定人の発問(民事訴訟規則第133条)等の制度を活用しても、相手方が説明に応じない場合には、文書の内容を理解できない場合がある。 |
| (3) |
このような問題点を解決し、損害の立証の迅速化及び効率化を図るためには、経理・会計的知識を持った専門家を活用するとともに、侵害者を損害の計算に協力させることが有効と考えられる。すなわち、侵害者の協力義務の下に、損害の計算に必要な書類を中立的な第三者(計算鑑定人)に見せて、損害の計算に必要な事項を裁判所に報告させるという制度を導入することが最も現実的である。 |
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| 以下を骨子とする見直しを行う。 |
経理・会計の専門知識を有する中立的立場の公認会計士等を裁判所が「計算鑑定人」として選任する。
当事者は、鑑定人に対して鑑定事項の調査に必要な説明をする義務を負うものとする(案1)、あるいは、鑑定人は、当事者に対し、鑑定事項の調査に必要な説明を求めることができるものとする(案2)。 |
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| (注) |
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鑑定の結果を判断するには、裁判官及び当事者がアクセス可能な書類に基づき鑑定を行う必要があるため、書類の提示義務については規定しない。もっとも、当事者が自発的に書類を開示することはあり得るし、鑑定人が自ら当事者の方に出向き説明を求めることもあり得る。 |
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当事者が鑑定に協力しない場合の真実擬制等の制裁措置については、鑑定への協力もしくは自発的な証拠開示のインセンティブを確保するためには必要であるとの意見もあるが、裁判所が直接関与しない行為を判断することは困難であり、規定しない。なお、当事者の協力が得られない場合には、弁論の全趣旨に反映させることで対応可能である。 |
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損害の計算に必要な書類の保存の手段としては、民事訴訟法上の証拠保全等が利用可能である。 |
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通常の鑑定人の場合には、明示的な守秘義務及びその義務違反に対する刑事的制裁は、設けられていない。 |
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| (参考)民事訴訟法における鑑定 |
| 鑑定とは、鑑定人の意見を証拠方法とする証拠調べをいい、鑑定人は自己の専門的知識を具体的事例に適用して得られる結論・判断を意見として報告し、裁判官の判断能力を補充する第三者である。鑑定人から報告された意見に基づき事実を認定判断するのは裁判所であり、鑑定人の意見を採用するかどうかは裁判所が判断する。なお、当事者も第三者も、鑑定人の鑑定調査を受忍して、これに協力する義務はない。 |
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損害額の立証の容易化 |
| 確信を得るに足る立証のされた事実だけでなく、裁判官の判断により、相当程度の蓋然性がある事実まで考慮して、実質的な規模の損害賠償の実現を図る。 |
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| (1) |
工業所有権の侵害による損害は、侵害者の経済活動を通して発生するものであるために、損害の範囲及び損害額を立証することは困難な場合がある。このため、特許法等においては、損害額の算定方法を具体的に規定し(特許法第102条等)、権利者による損害額の立証の困難性の軽減を図っている。
また、民事訴訟法第248条には「損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。」との規定が設けられており、損害額の立証が困難なケースの救済を図ることとしている。 |
| (2) |
民事訴訟法第248条には「損害の性質上」という要件(すなわち、慰謝料や死亡幼児の将来利得のように、一定の仮定を立てなければ損害額の証明が不可能なケースに限定)があるが、工業所有権侵害による損害額については、損害の性質上立証することが極めて困難であるとは一義的にはいえないため、民事訴訟法第248条の適用が可能であるのかどうかについては、議論の分かれるところである。
例えば、特許権侵害の中には、特許法第102条による算定方法の適用が難しいケースも存在する(下記 参照)。また、算定方法が適用されるケースの場合でも、損害額の算定にあたり立証の必要な数量(販売数量等)の捕捉が困難な場合には、損害額の十分な立証が困難である(下記 参照)。 |
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侵害行為があったため、製品の値下げを余儀なくされた場合
製品の値下げには、侵害行為以外の要素も考えられるが、その要素に基づいて正しい損害額を計算することは可能であり、「損害の性質上極めて困難」であるとはいえないという考え方もある。 |
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製品に対する特許発明の寄与度、利益率の算定が困難な場合
寄与度・利益率は、その要素を正確に把握して計算すれば正しい額が得られるはずであり、計算不可能とはいえないから、「損害の性質上極めて困難」ではないという考え方もある。 |
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地域全体における販売の事実が認められる場合において、その一部の地域における侵害品の販売数量は立証できたが、さらにそれ以外の地域の販売数量を立証しようとすると高いコストがかかってしまい、一定の努力を払ってもなお全てを証明することが極めて困難である場 |
| (3) |
厳格な立証を求めると、損害賠償額の決定ができなくなるため、裁判官の判断により、実質的な規模の損害賠償を可能にすることが必要と考えられる。 |
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| 民事訴訟法第248条の規定が「損害の性質上その額の立証が極めて困難」との制約があることを踏まえつつ、当該規定が目指す考え方(損害額の立証が困難なケースの救済)を工業所有権侵害訴訟においても適用できるようにするため、以下を骨子とする見直しを行う。 |
| 工業所有権の侵害訴訟において、損害の発生していることが認められ、かつ、損害額を立証するために必要な事実を立証することが当該事実の性質上極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定できることとする。 |
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| (注) |
| ○ |
工業所有権侵害の場合には損害と損害額との区別は難しいことなどもあり、損害の発生自体の立証も困難との指摘もあるが、損害の発生は一般に事実問題と認識されており、工業所有権の侵害の場合についてだけ損害の発生についても証明度を軽減することについては、様々な議論もある。このため、その必要性については、今後検討を深めていくことが適切である。 |
| ○ |
特許法第102条の規定における要件についても本条の考え方は適用される。 |
| ○ |
主要事実のみならず、間接事実についても本条の考え方は適用される。 |
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| (参考)ドイツ民訴法第287条 |
| 1. |
損害が発生したかどうか、または、損害ないし賠償すべき利益の額がいくらになるかについて当事者間に争いのあるときは、裁判所は、一切の事情を斟酌し、自由な心証によって、その点について決定する。その点について証拠調べをすべきかどうか、また、どの程度すべきか、さらに職権で鑑定を命ずべきかどうかについては、裁判所の裁量に委ねられている。 |
| 2. |
財産上の争いにおいて、当事者間に債権額について争いがあり、かつ、それについて基準となる一切の事情を完全に解明しようとすると、債権の争われている部分の価値に比べて不相当な困難さを伴う場合には、前項の規定は、そのほかの場合にも準用される。 |
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侵害者利益の立証の容易化 |
| 侵害者利益の立証に当たり、侵害行為に要した経費の立証責任を侵害者に転換し、権利者による侵害者利益の立証を容易とする。 |
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| (1) |
工業所有権侵害訴訟において、民法第709条の規定に基づき逸失利益の賠償を請求する場合、権利者は、侵害行為と因果関係のある損害及びその額(すなわち、侵害行為なかりせば権利者が得られたであろう利益の額)を立証しなければならない。
特許法第102条第2項は、このような逸失利益の請求をする場合の立証の困難性に鑑み、その立証を容易にするために、昭和34年の法改正で設けられた規定であり、侵害者が侵害の行為により得た利益(侵害者利益)の額を侵害行為と因果関係のある損害額と推定するものである。これにより、権利者は、民法第709条により損害賠償を請求する場合に最も困難とされる因果関係の立証をする必要がなく、立証負担の軽減が図られている。 |
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| (2) |
しかし、特許法第102条第2項の規定による請求をする場合にも、以下のような問題が指摘されている。 |
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侵害者利益についての立証責任は権利者にあるが、その立証に必要な情報すなわち、侵害品の販売量、販売価格、販売に要した諸経費等は侵害者側に偏在している。 |
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特許法第105条の規定により、侵害者側から損害額の計算をするために必要な書類の提出がなされたとしても、その書類の記載のみでは、どの項目が実際に侵害に要した費用項目であるか、また、その項目中のどの部分が侵害に直接要した費用であるかを権利者が把握することは困難である。 |
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侵害者利益の算定にあたり控除すべき経費項目については、個々の事案に即して判断されるため、その範囲は必ずしも一定ではない。このため、権利者は、侵害者側の経費を立証しなければならないため、たとえ請求が認容されたとしても、賠償額は実際の損害額よりも少額となってしまう。 |
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| (1) |
侵害者利益の立証の容易化を図るためには、以下を骨子とする見直しが考えられる。
工業所有権侵害訴訟において、侵害者利益の推定による損害賠償を請求するときは、侵害者利益の額は、権利者が立証した収入の総額から侵害者が立証した侵害行為に要した経費の額を控除したものとする。 |
| (2) |
しかしながら、上記の考え方に対しては、以下の留意点に示すような論点も指摘されており、今後、必要に応じて検討を進めていく必要がある。 |
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| (留意点) |
| ○ |
昨年の法改正によって、特許法第102条第1項が新設されたことにより、同条第2項による場合よりも容易な立証方法が認められることから、それ以上に同条第2項についての立証責任の転換が必要かどうか、また、計算鑑定人制度の導入等により立証の容易化を図る一方で立証責任そのものを転換してしまうことは方針の整合性に欠けるのではないか、との指摘がある。 |
| ○ |
立証責任の所在は、法律の規定上の構成要件である主要事実について観念されるものであり、「侵害行為に要した経費」のような間接事実に関して立証責任の分配を行うことは、我が国の民事法体系に大きな影響を与えるのではないか、との指摘がある。 |
| ○ |
立証責任の一部を転換した場合、侵害者が立証に失敗したときや立証しなかったときに、侵害者の得た収入の総額を侵害者利益と認定することになり、経験則上問題である、との指摘がある。 |
| ○ |
そもそも、侵害に要したコストの厳密な計算は困難なものであるところ、立証責任を転換された侵害者がコストの立証を厳密に行おうとすると、かえって訴訟遅延を招くおそれがある、との指摘がある。 |
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| <参考条文> |
| 第102条(損害の額の推定等) |
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1 |
特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した物を譲渡したときは、その譲渡した物の数量(以下この項において「譲渡数量」という。)に、特許権者又は専用実施権者がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、特許権者又は専用実施権者の実施の能力に応じた額を超えない限度において、特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額とすることができる。ただし、譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を特許権者又は専用実施権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。 |
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2 |
特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額と推定する。 |
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| (参考2)米国の商標法及び著作権法における侵害者利益の算定方法 |
| 米国の商標法及び著作権法においては、侵害者利益の返還が認められているところ、侵害者利益の立証が困難であること等に鑑み、侵害者利益の算定にあたっては、権利者は侵害者の売上高を立証すれば足り、それから控除すべきコストの立証責任は侵害者側が負うこととされている。 |
| (1)米国商標法第1117条(a) |
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「・・・利得を評価する上で、原告は被告の販売額のみを立証することを求められる。被告は、経費の一切の構成要素を主張し及び立証しなければならない。」 |
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○ |
被告の販売額より何を控除できるかについては、判例上も一定していないが、裁判所は、一般管理費のような固定費までを控除することに消極的といわれている。(「固定費は、利益の計算で控除されない。」Roulo v. Russ Berrie & Co., 886 F.2d 931 (7th Cir, 1989)、「一般管理費を控除できる可能性はあるが、それは、侵害品の販売により実際に一般管理費が増加したことが証明された場合に限られる。」Maltina Corp. v. Cawy Bottling Co., 613 F.2d 582 (5th Cir. 1980)) |
| (2)米国著作権法第504条(b) |
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「・・・侵害者の利益を立証するには、著作権者が提出する証拠は、侵害者の総収入で足り、侵害者の側で、ここから控除されるべき費用や侵害された著作物以外のものに起因する利得部分を立証するものとする。」 |
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侵害者側が控除するべき費用の立証責任を尽くせなかった場合には、売上高全体が侵害者利益とされる。(National Broadcasting Co., Inc. v. Sonneborn,231 USPQ 513, 524 (D. Conn. 1985)等) |
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侵害者の利益の算定において、一般管理費等は、侵害品の生産コストと関係したものであることが示されない限り、控除されない。(Sygma Photo News, Inc. v. High Society Magazine, 228 USPQ 580, 582 (2d Cir. 1985)等) |
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「法律は侵害者の側に、「侵害以外のものに起因する利益部分」についての立証責任を転換してはいるが、本件の如く、全部の利益が侵害に起因しないことが明らかな場合には、侵害者側が非侵害のものに起因する利益を明確に示し得ないからといって、著作権者が全部の利益につき賠償を得られるものではない。」(Cream Records, Inc. v. Jos. Schlitz Brewing Co., 754 F.2d 826 (9th Cir. 1985)) |
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刑事罰の強化 |
| 詐欺行為により権利を取得したり、製品に虚偽表示を付して利益を得た法人に対して、法人重課を導入する。 |
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| (1) |
特許権その他の工業所有権の侵害行為等においては、一定の企業体の従業員等がその企業体の業務に関してこれを行うことが少なくないという実状に鑑み、この種の違反行為を防止することに資する趣旨から、昭和34年に、両罰規定を新設し、これを工業所有権の侵害罪、詐欺行為及び虚偽表示の各罪に適用することとしている。
両罰規定については、平成3年の法制審議会刑事法部会了承において、法人等業務主に対する罰金額と行為者に対する罰金額の連動を切りはなすこと(法人重課の導入)は理論的に可能との見解が示された。 |
| (2) |
工業所有権四法における両罰規定においても、平成8年改正で、商標権の侵害罪について、平成10年改正で、他の三法の侵害罪について、法人重課の導入が行われ、現在、両罰規定に規定される三罪(侵害罪、詐欺行為罪、虚偽表示罪)のうち、侵害罪についてのみ法人重課が導入されている。しかしながら、今日の法人等団体の業務活動に関連して惹起される犯罪その他の不法行為は多様化し、増加することが予想されることを考慮すると、侵害罪以外の二罪(詐欺行為罪、虚偽表示罪)に関しても、法人重課の導入の可能性について検討する必要がある。 |
| (3) |
詐欺行為罪と虚偽表示罪への法人重課導入の必要性については、以下のように考えることができる。 |
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詐欺行為罪(特許法第197条等) |
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特許庁における審査・審判は書面主義を採っている。詐欺行為の未然防止のためには、出願人より提出される書面の記載内容の真偽を一つ一つチェックをすることも一つの選択肢としてあり得るが、大量の書面が特許庁に提出されること、大半の書面は真正なものと考えられること、ユーザーからは迅速な処理が求められていること等を考慮すると、こうした事前規制型の選択肢の採用は現実的でない。
むしろ、大半の書面は問題がないことを踏まえれば、明らかに偽りの記載のあるものを除き、出願人の主張・記載は真実なものとの前提で特許庁における処理を進め、後に詐欺の行為があったことが判明した場合には厳罰で臨む方がより現実的である。
そのためには、詐欺行為に対する罰則が十分に抑止力をもったものであることが必要となるが、 |
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(a) |
特許、実用新案、意匠、商標の出願割合の高い大企業においては、詐欺行為が規模の大きい法人の業務の一環として行われる可能性が高いこと |
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(b) |
いったん詐欺行為により権利を取得した場合、法人がその権利を利用して獲得する利益は、個人の場合に比して、はるかに大きなものと考えられること |
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から、工業所有権四法の詐欺行為罪に対する罰則に法人重課を導入することが必要と考えられる。 |
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虚偽表示罪(特許法第198条等) |
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(a) |
工業所有権四法の虚偽表示罪と保護法益が重なる部分のある規定として、不正競争防止法の品質誤認惹起行為(第2条第1項第10号)があるが、同法違反に対する罰則には法人重課規定が導入されており(第14条)、法的整合性という観点から鑑みると、虚偽表示罪に法人重課を規定しないのは妥当とは言えない。 |
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(b) |
虚偽表示行為は、取引上の有利性を悪用する行為であり、社会の取引の安全を害し、公衆を誤認させるものであることから、社会的影響は大きくなる。 |
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これらに鑑みると、工業所有権四法の虚偽表示罪に対する罰則に法人重課を導入することが必要と考えられる。 |
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| 以下を骨子とする見直しを行う。 |
| 詐欺行為罪及び虚偽表示罪について、法人重課を導入する。 |
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| (留意点) |
| ○ |
詐欺行為罪について、これまで告発の実態があるのか、また「事後的救済」という許可制を伴う行政全般に係る問題の中で工業所有権犯罪についてのみ法人重課を導入する必要性は何か、といった指摘がある。 |
| ○ |
詐欺行為罪の処罰対象は、例えば銀行法の処罰対象(銀行)と比較できるような大規模法人であるのか、という指摘がある。 |
| ○ |
また、特許法の虚偽表示は、不正競争防止法の品質誤認惹起行為のように品質保証自体を誤認させるものとは異なるのではないか、という指摘もある。 |
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| (参考1)法制審議会刑事法部会了承(平成3年12月2日) |
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平成3年の法制審議会において、「両罰規定における法人等業務主に対する罰金額と行為者に対する罰金額との連動を切り離すことは理論的に可能であり、それぞれに有効な抑止力となり得る罰金額を定めることが出来る。」との基本的な考え方が示された。 |
| |
| (参考2)他の法令の改正の動向 |
| ・不正競争防止法(平成10年) |
: 3億円[300万円]以下
(周知表示混同惹起行為、商品内容の
誤認惹起行為等) |
| ・独占禁止法(平成4年) |
: 1億円[500万円]以下
(私的独占、不当な取引制限) |
| ・廃棄物処理法(平成9年) |
: 1億円[1,000万円]以下
(産業廃棄物の投棄) |
| ・証券取引法(平成9年) |
: 5億円[500万円]以下(相場操縦等)
3億円[300万円]以下(損失補填等) |
| :銀行法(平成9年) |
: 2億円[300万円]以下
(検査回避・虚偽報告)
3億円[300万円]以下
(業務停止命令違反等) |
| (注:[ ]内が自然人に対する罰金額) |
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| (参考3)不正競争防止法,銀行法との比較 |
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刑事罰の対象となる行為者 |
保 護 法 益 |
刑 罰 |
詐欺行為罪 (特許法) |
発明の作用効果を明らかにするためと称して、偽造した実験証明書等を特許庁長官に提出するなどして特許等を受けた者 |
国家的法益(審査・審判という国家作用に誤りなきを期すためのもの) |
3年以下の懲役又は300万円以下の罰金 (法人重課なし) (§197) |
虚偽の報告 (銀行法) |
銀行の業務又は財産の状況に関する虚偽の報告若しくは資料の提出をした者(§24 、 ) |
国家的法益(銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するためのもの) |
1年以下の懲役又は300万円以下の罰金 (§63 2号3号)、 法人に対しては2億円以下の罰金 (§64 2号) |
虚偽の答弁 (銀行法) |
立入り検査において、当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し者(§25 、 ) |
虚偽表示罪 (特許法) |
特許権を受けていない物に特許表示をしたり、その物を譲渡するなどして公衆を誤認させる等の行為をした者(§188) |
特許等に対する公衆の信頼 |
3年以下の懲役又は300万円以下の罰金 (法人重課なし) (§198) |
虚偽表示罪 (不競法) |
商品に原産地、品質等について誤認させるような表示をする等の行為をした者(§2 10号) |
公益(公正な競争秩序の維持) |
3年以下の懲役又は300万円以下の罰金 (§13), 法人に対しては3億円以下の罰金 (§14) |
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| <参考条文> |
| (1)不正競争防止法第2条(定義) |
| |
1 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。 |
| |
第10号 |
商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくはその表示をして役務を提供する行為 |
| (2)不正競争防止法第13条(罰則) |
| |
次の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。 |
| |
第1号 |
不正の目的をもって第2条第1項第1号又は第10号に掲げる不正競争を行った者 |
| |
第2号 |
商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量又はその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような虚偽の表示をした者(前号に掲げる者を除く。) |
| (3)不正競争防止法第14条(法人重課) |
| |
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して三億円以下の罰金刑を、その人に対して同条の罰金刑を科する。 |
| |
工業所有権侵害紛争における行政的対応の強化 |
| (1)判定制度の強化について |
| 工業所有権に関する紛争の早期解決を図り、紛争解決手段の充実強化を実現するため、当事者主義的手続を入れて判定制度を強化するとともに、裁判所が特許庁に技術専門的判断を求めることができることとする。 |
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| (1) |
判定制度は、ある対象物件等が、権利範囲に属するか否か、すなわち特許権等の工業所有権を侵害するかどうかの判断を特許庁において行うものである。
B判定の結果は、行政庁が行う一種の鑑定と位置づけられるものといわれている。したがって、その結果に不服がある場合でも、判定の結果自体について裁判所に上訴することは認められておらず、また、法的な拘束力もないが、事実上、社会的に十分尊重され、裁判所もまた有力な判断資料として利用するものと期待されている。 |
| (2) |
本年7月には、判定制度の利便性の向上等に資するべく、 判定における均等論の判断手法の導入、 判定期間の大幅短縮等を骨子とする新判定スキームによる運用が開始されたが、工業所有権侵害訴訟の迅速化の観点とも相俟って、判定制度の更なる充実が望まれている。
また、現行の判定制度においては、証拠調べ等の手続の根拠規定が法律上明確でない、との指摘もある。 |
| (3) |
このような問題点を解決するためには、適切な判定手続を確保しつつ、訴訟の迅速化の一助となるような制度的担保が必要と考えられる。 |
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| 以下を骨子とする見直しを行う。 |
判定制度について、民事訴訟法にならい、証拠調べ等の手続を整備する。
裁判所は、必要により、特許庁に対し、判定を求めることができることとする。 |
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| (注) |
裁判所が特許庁に対し判定を求める場合については、当事者が証拠調べ等について二重の手続負担を負うことのないように配慮する必要がある。 |
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| <参考条文> |
| (1)第71条 |
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1 |
特許発明の技術的範囲については、特許庁に対し、判定を求めることができる。 |
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2 |
特許庁長官は、前項の規定による求があったときは、3名の審判官を指定して、その判定をさせなければならない。 |
| |
3 |
前項に規定するもののほか、判定に関する手続は、政令で定める。 |
| 注) |
第3項の「政令」にあたる特許法施行令の第2章(判定に関する手続、第2条〜第11条)には、証拠調べに関しては規定されていない。 |
| (2)独占禁止法第25条 |
| |
1 |
私的独占若しくは不当な取引制限をし、又は不公正な取引方法を用いた事業者は、被害者に対し、損害賠償の責に任ずる。 |
| |
2 |
事業者は、故意又は過失がなかったことを証明して、前項に規定する責任を免れることができない。 |
| (3)独占禁止法第84条 |
| |
1 |
第25条の規定による損害賠償に関する訴が提起されたときは、裁判所は、遅滞なく、公正取引委員会に対し、同条に規定する違反行為に因って生じた損害の額について、意見を求めなければならない。 |
| |
2 |
前項の規定は、第25条の規定による損害賠償の請求が、相殺のために裁判上主張された場合に、これを準用する。 |
| (4)民事訴訟法第218条 |
| |
1 |
裁判所は、必要があると認めるときは、官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は相当の設備を有する法人に鑑定を嘱託することができる。この場合においては、宣誓に関する規定を除き、この節の規定を準用する。 |
| |
2 |
前項の場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、官庁、公署又は法人の指定した者に鑑定書の説明をさせることができる。 |
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| (2)課徴金制度の導入について |
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| (1) |
課徴金制度は、独占禁止法及び国民生活安定緊急措置法に見られるが、その法的性格は、 不当利得の剥奪、 経済的制裁といわれている。
こうした考え方に加え、昨今の特許流通の促進に伴う環境整備という観点からの必要性も考慮して、特許権侵害の抑止、市場における競争秩序維持のための行政上の措置として、課徴金制度を導入してはどうか、との意見もある。 |
| (2) |
上記に加えて、工業所有権に課徴金制度を導入する場合には、以下の点につき考慮する必要がある。 |
| |
独禁法との対比における具体的被害者の特定の差異 |
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以下のように、被害者の態様が異なるため、どのように整合性を付けるかが問題。 |
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・独禁法の場合は被害者が不特定多数にわたるため、違反行為による損害賠償を完全に行うことは困難。 |
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・特許の場合には具体的被害者は特定されており(特許権者=被害者)、被害者自らが損害を回収することは可能。(商標については、誤認混同等による不特定多数の一般消費者の被害も想定される。) |
| |
権利者の損害賠償請求権との関係整理 |
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懲罰的色彩をもつ課徴金によって法的秩序の回復を図るよりは、当事者の損害の回収を円滑に行えるようにする方が、資力を考えると妥当ではないか。
このような制度を導入すると、被害者の権利救済を妨げることになると思われるがどうか。 |
| |
二重処罰問題 |
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課徴金と刑事罰との併科については、憲法第39条上の二重処罰禁止規定に抵触するか否か等の論点がある。
(なお、独禁法においては、課徴金と刑事罰との併科も違憲ではないという高裁判決(平成5.5.21東京高裁判決、審決集40巻741頁、判時1474号31頁)があるが、特許法と独占禁止法との性格の相違があるので、特許法においても本件が妥当するか否かは不明確。) |
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| 課徴金制度の導入については、以上の事情を踏まえつつ、必要に応じて今後検討を進めていくことが必要と考えられる。 |
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弁護士費用問題 |
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| (1) |
先端技術等の高度専門的知識を要する特許侵害訴訟では、弁護士抜きの訴訟追行が困難であり、他の民事訴訟分野に比べ、弁護士の選任率は極めて高くなっている。しかしながら、民事訴訟法では弁護士費用の敗訴者負担が認められないため、弁護士費用の分だけ賠償額が減額されてしまい、十分な救済がなされているとはいえないとの指摘がある。
(注)現状では、損害賠償請求事件において、損害額の約1割程度に相当する額の弁護士費用を、相当因果関係に立つ損害として損害の中に含ませることが認められている。 |
| (2) |
そこで、勝訴当事者の弁護士費用の一部を敗訴者負担させること、あるいは、権利者が勝訴した場合に、侵害者に対し弁護士費用の一部を負担させてはどうか、という意見がある。 |
| (3) |
一方、弁護士費用を訴訟費用として位置づけ、敗訴者負担とした場合、権利者は敗訴すれば相手方の弁護士費用まで負担しなければならず、特に財務基盤の弱い企業にとっては訴訟抑制につながるおそれもあるとの指摘もある。 |
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|
|
弁護士費用問題については、以上の事情を踏まえつつ、必要に応じて今後検討を進めていく必要があると考えられる。また、その際には、弁護士費用だけでなく、補佐人弁理士費用も含めて議論すべきとの指摘を踏まえることも必要である。
なお、弁護士費用の敗訴者負担については、近時、民訴費用制度等研究会において検討がなされ、今後、本格的検討が行われるべきとの提言がなされた状況であり、併せて留意する必要がある。 |
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| (参考)弁護士費用の敗訴者負担制度導入を巡る積極論・反対論の意見 |
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積極論の論拠
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・ |
弁護士費用が敗訴当事者から回収されないとすれば、実体法の与えている権利の内容が訴訟をすることにより減殺される結果となり、不公正・不正義。 |
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・ |
民事訴訟において必要的経費にあたるというべき弁護士費用を勝訴しても自ら負担するというのは不合理であり、敗訴者負担は国民感情に適合する。 |
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消極論の論拠 |
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・ |
敗訴の場合のリスクを考え、特に勝訴か敗訴かの見込みの立たない事件について、訴訟提起、上訴提起が控えられる危険がある。 |
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・ |
訴訟費用は紛争解決のための共益的経費であり、当事者の各自負担とするのが合理的。弁護士と依頼人との自由な契約で決定されるべき相手方の弁護士費用について、敗訴という一種の結果責任に基づいて一方的に敗訴者に負担させるのは、過度な制裁というべき。 |
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| 【2】特許裁判の抜本的機能強化 |
| 知的財産権訴訟が増加する中、知的財産権に係る紛争処理体制の強化が求められている。本年4月には、東京地裁の知的財産権専門部の拡充強化が図られたが更なる裁判所の知的財産部門の体制の充実・強化、技術的専門性の確保、更には特許裁判所の設置の検討を要望する声が強い。 |
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| (1)背景 |
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近年の知的財産権の重要性の認識の高まり、権利意識の高まり、知的財産権の保護範囲の拡大等の理由から、知的財産権訴訟は増加の傾向にある。日経産業新聞のアンケート調査(平成9年8月)でも、知的財産権の係争が今後減少すると予測する企業はゼロで、90%を超える企業が係争は増加すると予想している。 |
 |
知的財産権訴訟件数の増加の傾向の中で、本年4月には、東京地裁では知的財産権専門部が一部増設され、体制の強化が図られている。 |
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また、本年10月には、胃腸薬の製造方法に係る特許をめぐり、約30億円という高額の賠償を命ずる判決(東京地裁)が出され、注目を集めている。 |
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| (2)必要性 |
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知的財産権は、一定の政策目的に基づき認められる権利であり、基本的人権や所有権等と異なり、その権利を享有できる期間には一定の制限が設けられている。このため、限られた期間の中で、権利を十分享受するためには、権利の設定を迅速に行うことに加え、権利侵害が発生した場合には、速やかな紛争の解決が求められている。 |
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また、特許制度は、技術思想である発明を保護するものであるから、権利の有効性や侵害の判断には、発明の価値を評価するための、技術的、専門的知識が必要である。技術の高度化、ソフト化が進む今日、この傾向はますます強まり、現に、バイオ技術やコンピュータ関連技術に代表される高度技術に関する侵害訴訟あるいは審決取消訴訟が多々見られるようになってきている。こうした訴訟が、今後更に増加することを踏まえれば、裁判における技術的専門性の確保が今後の重要な課題と考えられる。 |
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経団連からは、迅速性・技術専門性の確保の観点から、専門裁判官の養成や大都市裁判所への集中配置が要請されているところである。 |
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上記を踏まえ、知的財産権の迅速かつ的確な保護を図り、適切な権利行使が実現されるよう、知的財産権に係る紛争処理体制の強化については今後とも引き続き検討していくことが重要である。
諸外国に見られるような特許裁判所(参考2〜4)について、その創設を求める声もあり、中長期的には、このような点も含め幅広い検討が引き続き行われることが望まれる。 |
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| (参考1)これまでの取り組み |
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○ |
本年4月に、東京地裁に知的財産専門部を増設
(第29部に加え、第46部を増設) |
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○ |
本年4月に日弁連と弁理士会が「工業所有権仲裁センター」を業務開始 |
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○ |
本年1月より無効審判の早期処理
(特許は12月以内、商標、意匠は6月以内を目標) |
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| (参考2)米国の連邦巡回控訴裁判所(CAFC)の概要 |
| (1) |
連邦巡回控訴裁判所(CAFC)は、特許侵害事件に関する解釈を統一し、法的安定性を図ることを目的として1982年10月に設立された。CAFCが管轄する事件は以下のとおりであるが、知的財産権訴訟については、連邦地裁の特許侵害訴訟に関する控訴審、特許商標庁の審判の決定に対する不服申立等を専属管轄している。 |
| |
連邦地裁の特許侵害訴訟に関する控訴審: 100件程度/年 |
| |
特許商標庁の審判(特許・商標)の決定に対する控訴審: 85件(1994年) |
| |
その他:1847件(1994年) |
| (2) |
CAFCの総定員は113名。裁判官は12名。それぞれ3名の補助員(Law Clerk)がつく。
また、法律、技術事項の補助員が数名。予算は18.8億円(1998年:1$=120円)。 |
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| |
| (参考3)ドイツの連邦特許裁判所の概要 |
| (1) |
連邦特許裁判所は、1961年7月に設立された。連邦特許裁判所では、特許庁審査部の拒絶に対する不服、特許無効の請求等の審理を行う。特許侵害訴訟については、地方裁判所、高等裁判所の管轄となっており、連邦特許裁判所では扱わない。
連邦特許裁判所で扱う事件数は、4195件(1995年)。 |
| (2) |
連邦特許裁判所の裁判官は、法律的構成員及び技術的構成員から構成される。特許事件の場合、3名の技術的構成員と1名の法律的構成員より構成される合議体により審理が行われる。総定員は290名(法律的構成員:63名、技術的構成員:80名)。 |
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| (参考4)英国の特許裁判所の概要 |
| (1) |
特許裁判所は、1977年に高等法院の衡平法部内に設立された。また、この特許裁判所とは別に、安価で、簡単、迅速な裁判所の提供を目指して、特許州裁判所が1990年に設立されている。特許裁判所では、侵害訴訟と特許庁審査部の処分に対する不服の訴訟を扱う。特許州裁判所は、侵害訴訟のみを所管している。 |
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・ |
特許裁判所:侵害訴訟112件(1993年)、・特許州裁判所:侵害訴訟81件(1993年) |
| (2) |
特許裁判所の裁判官は、Patents Bar(特許関係訴訟を専門とする法廷弁護士からなる組織)から選ばれる2名の専任裁判官と、複数名の他の部署との兼任裁判官より構成される。 |
| 英国における特許裁判のスキーム |
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| 【3】特許存続期間の延長登録制度の見直し |
研究開発への投資の回収を十分可能とし、新たな技術開発への再投資を促すべく、延長の条件を下記のように見直す。
「2年の足切り」の条件について、廃止を含めた見直しを行う。
政令で定める処分を特許存続期間の満了前6月以後であって特許存続期間の満了ま
でに受けた場合であっても延長を認める。 |
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| (1)現行制度の概要 |
法律の規定による処分を受ける必要があるために、2年以上特許発明の実施ができなかった場合には、5年を限度として特許期間を延長できる。なお、特許期間の満了前6月以後(すなわち、出願から19年6月以後)は延長登録の出願ができない。
法律の規定による処分は政令で定められており、現在、薬事法に基づく承認、農薬取締法に基づく登録がある。 |
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| (2)制度導入の経緯 |
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一部の分野では、安全性の確保等のための政府の法規制に基づく許認可を得るに当たり所要の実験データの収集及びその審査に相当の長期間を要するため、その間はたとえ特許権が存続していても権利の専有による利益を享受しえず、その期間に相当する分だけ特許期間が侵食されているという問題が生じており、これを解決するため、昭和62年の一部改正により本制度が導入された。 |
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通常、政府規制をクリアするためには2年程度かかるものと考えられ、この程度の特許期間の侵食であれば権利者の保護に著しく欠けるとは考えられないので特許発明を2年以上実施できなかった場合にのみ延長を認めることとした。 |
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また、その時代の技術水準に比較して保護するに値しなくなった発明に長期間排他的独占権を与えることは、産業の発展を目的とする特許法の趣旨に反するものであるから、延長制度を創設するに当たって、存続期間の満了日が無制限に長くなることのないよう、その上限を5年とした(米国における延長期間もその上限が5年であることを考慮)。 |
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さらに、特許期間満了直前に延長登録出願がなされた場合、公報発行が特許期間満了までに間に合わず、第三者に対する警告が十分になされず、期間満了を見越して特許発明の実施を進めていた第三者に不測の損害を与えるおそれがあるため、延長登録出願を特許期間満了前6月以後はできないこととした。 |
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| (3)延長の条件の見直し |
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2年の足切り |
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新たな技術を確立するには巨額の研究開発費が必要であり、短期間といえど発明の実施ができなかった場合には、研究開発費を十分に回収できないおそれがある。 |
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5年の上限 |
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発明保護(特許期間の長期化)と技術独占の弊害との調和が重要であり、経済のグローバル化の観点からも、他国の法制度との整合性が必要。そして、欧米においても延長期間の上限は5年であり、これを延長しようとする動きも聞いていない。 |
 | 存続期間の満了前6月以後の延長登録出願 |
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出願人は、法規制に基づく許認可の時期をコントロールできないことから、許認可の時期が存続期間の満了前6月以後であることのみをもって、延長登録出願を認めないとすることは酷である。また、第三者にとっては、延長の意思さえ確認できれば不測の事態は回避できる。 |
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| 特許存続期間の延長の条件を下記のように見直す。 |
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「2年の足切り」の条件を、廃止を含めて見直す。 |
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政令で定める処分を特許存続期間の満了前6月以後であって特許存続期間の満了までに受けた場合であっても延長を認める(処分前の延長登録出願を可能とする)。 |
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| (参考)製薬業界からの要望 |
上記制度に対して、日本製薬工業協会*1及び医薬工業協議会*2から見直しの要望が出され、これをまとめる形で、双方が加盟する日本製薬団体連合会から下記を内容とする要望書が特許庁に提出された。
・2年未満の延長期間の足切り(特許法第67条第2項)の廃止
・特許期間満了前6月以後の延長登録出願禁止(特許法第67条の2第3項)の廃止 |
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*1 |
日本製薬工業協会とは、研究開発指向型の製薬会社が加盟している団体。平成10年9月現在、85社が会員となっている。 |
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*2 |
医薬工業協議会とは、主として医療用の後発医薬品を製造・販売する中小製薬メーカー52社で構成される団体。 |
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| <参考条文> |
| (1)第67条(存続期間) |
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2 |
特許権の存続期間は、その特許発明の実施について安全性の確保等を目的とする法律の規定による許可その他処分であつて当該処分の目的、手続等からみて当該処分を的確に行うには相当の期間を要するものとして政令で定めるものを受けることが必要であるために、その特許発明の実施をすることが2年以上できなかつたときは、5年を限度として、延長登録の出願により延長することができる。 |
| (2)第67条の2(存続期間の延長登録) |
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3 |
特許権の存続期間の延長登録の出願は、前条第2項の政令で定める処分を受けた日から政令で定める期間内にしなければならない。ただし、同条第1項に規定する特許権の存続期間の満了前6月以後は、することができない。 |
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| 【4】申請による早期出願公開制度の導入 |
出願人が希望する場合に早期に補償金請求権を発生させることを可能とするために、出願から1年6月を経過する前であっても、出願人が希望する場合にその申請により出願公開を行う早期出願公開制度を導入する。
それに伴い、特許協力条約に基づく国際特許出願については、これまで国内において申請による早期公開制度が設けられていないこととの均衡をとるために出願から1年6月を経過する前に国際公開がなされたとしても補償金請求権の発生を出願後1年6月以降としてきた規定を改め、1年6月を経過する前にも補償金請求権の発生を可能とする。 |
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| (1)早期の補償金請求権の発生 |
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出願公開により、その特許出願の特許請求の範囲に記載された発明を実施している者に対しては、警告をなすことを条件として警告をなした後から特許権の設定の登録までの期間については、特許権の設定後に実施料相当額を請求することができる。 |
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しかしながら、出願から公開(1年6月)前の期間中、何らの権利も発生していない。 |
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一方、出願後、その発明を出願人が実施している場合に、その実施により第三者が模倣を行う危険性がある。 |
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近年出願から1年以内の実施を理由とした早期審査の申出がなされるものが増加する傾向にあり、出願後間もなく自己の発明を実施している者が増加していると考えられるが、その場合において、自己の実施の結果、第三者の模倣が発生したとしてもそれに対して何ら抑止力は存在しないこととなる。 |
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申請により出願公開を出願から1年6月より前に行うことで早期の補償金請求権の発生を可能とすることにより、出願後間もなくの模倣に対しての保護が可能となる。 |
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| (2)審査処理期間の短縮 |
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早期審査の進展による公開前審査が行われるようになり、出願公開前に特許査定がなされる案件が発生するようになってきている。また、平成11年1月1日以降の出願に対しては、公開前においても拒絶査定がなされるようになる。 |
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早期審査着手により出願後1月程度で特許査定がなされた場合には、出願から4月程度で特許掲載公報が発行されることとなり、異議申立期間は出願後10月程度で終了する可能性もある。 |
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この場合には、本件出願の直前になされた出願(下記の例での乙出願)は、出願公開がなされていないため、特許法第29条の2に規定する要件を満たしていない旨の異議申立の根拠とすることができないこととなる。 |
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今後、公開前審査の割合は増加する方向であり、このような状態は、異議申立制度の形骸化にもつながりかねず好ましくないが、出願公開の請求により、出願から1年6月以前にも公開を行う制度を導入することで、異議申立が可能となる。 |
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また、公開前に拒絶査定がなされた場合には出願公開がなされないこととなるが、出願人の中には当該特許出願の公開を希望する場合がある(特許法29条、29条の2の後願排除効を求める場合)。早期公開制度を導入することにより、出願人の希望により出願公開を行うことができる。 |
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| (3)諸外国の状況 |
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出願公開制度を採用している、欧州特許庁、ドイツ、英国、イタリア、スウェーデン、中国、韓国等においても、出願人の請求により1年6月以前の出願公開を行う早期公開制度を採用している。 |
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| (4)特許協力条約における早期国際公開との関係 |
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特許協力条約に基づく国際特許出願は、国際手続段階において、出願から1年6月経過後に国際公開がなされるが、同条約では出願人の請求により1年6月より前に国際公開を行う早期公開制度が設けられている。しかしながら、国内法において申請による早期の公開制度を採用していないため、1年6月より前に国際公開がなされた日本を指定国とする国際特許出願についての補償金請求権の発生時期は、出願から1年6月以降に発生するよう規定することで、国内の出願公開との均衡を図っている。(特許法第184条の9、10) |
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国内出願に対して、申請による早期公開制度を導入するに際して、国際特許出願と国内出願の均衡を図るための規定を改め、国際特許出願の補償金請求権の発生を出願から1年6月より前であっても可能とする。 |
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| (1) |
出願人が希望する場合には、出願から1年6月より前であっても、請求により出願公開を行う早期公開制度を導入する。 |
| (2) |
早期公開制度の導入にあわせて、国際特許出願の補償金請求権の発生時期の制限を改め、出願から1年6月より前であっても補償金請求権の発生を可能とする。 |
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| <参考条文> |
| (1)第29条の2(特許の要件) |
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特許出願に係る発明が当該特許出願の日前の他の特許出願又はであつて当該特許出願後に第66条第3項の規定により同項各号に掲げる事項を掲載した特許公報(以下「特許掲載公報」という。)の発行若しくは出願公開又は実用新案法第14条第3項の規定により同項各号に掲げる事項を掲載した実用新案公報(以下「実用新案掲載公報」という。)の発行がされたものの願書に最初に添付した明細書又は図面(第36条の2第2項の外国語書面出願にあつては、同条第1項の外国語書面)に記載された発明又は考案(その発明又は考案をした者が当該特許出願に係る発明の発明者と同一の者である場合におけるその発明又は考案を除く。)と同一であるときは、その発明については、前条第1項の規定にかかわらず、特許を受けることができない。ただし、当該特許出願の時にその出願人と当該他の特許出願又は実用新案登録出願の出願人とが同一であるときは、この限りではない。 |
| (2)第64条(出願公開) |
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1 |
特許庁長官は、特許出願の日から1年6月を経過したときは、特許掲載公報の発行をしたものを除き、その特許出願について出願公開をしなければならない。 |
| (3)第184条の9(国内公表等) |
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1 |
特許庁長官は、第184条の4第1項の規定により翻訳文が提出された外国語特許出願について、特許掲載公報の発行をしたものを除き、国内書面提出期間の経過後(国内書面提出期間内に出願人から出願審査の請求があつた国際特許出願であつて条約第21条に規定する国際公開(以下「国際公開」という。)がされているものについては、優先日から1年6月を経過した時又は出願審査の請求の時のいずれか遅い時の後)遅滞なく、国内公表をしなければならない。 |
| (4)第184条の10(国際公開及び国内公表の効果等) |
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1 |
国際特許出願の出願人は、日本語特許出願については国際公開があつた後(優先日から1年6月を経過する以前に国際公開があつたときは、優先日から1年6月を経過した後)に、外国語特許出願については国内公表があつた後に、国際特許出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後特許権の設定の登録前に業としてその発明を実施した者に対し、その発明が特許発明である場合にその実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。当該警告をしない場合においても、日本語特許出願については国際公開がされた国際特許出願に係る発明であることを知つて特許権の設定の登録前(優先日から1年6月を経過する以前に国際公開がされた国際特許出願については優先日から1年6月を経過した後特許権の設定の登録前)に、外国語特許出願については国内公表がされた国際特許出願に係る発明であることを知つて特許権の設定の登録前に、業としてその発明を実施した者に対しては、同様とする。 |
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| 【5】 裁判所と特許庁との侵害事件関連情報の交換 |
特許庁が侵害訴訟に関連する審判事件を把握し、その審理を早期に終了させるために、特許権等の侵害事件に関する訴訟が提起された場合に、裁判所が特許庁にその旨を通知し、裁判が終了したときも同様にその旨を通知する。
また、裁判所が関連する審判事件の請求の有無及びその審理状況を知ることができるように、裁判所から特許庁に対して訴訟が提起された旨の通知があった場合には、特許庁から裁判所に当該侵害訴訟に対応する審判請求の有無及び審決があったときは、その旨を通知する。 |
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| (1) |
知的財産権のうち、特許等審査を経て権利を設定される工業所有権については、利害関係人と権利者との権利の有効性をめぐる紛争解決のために無効審判制度が設けられている。この無効審判は、特許等侵害訴訟の対抗手段として請求されることが多く、かつ、侵害判断の前提となる権利の有効性を審理する制度であるため、侵害訴訟よりも早く結論を出すことが要請される。 |
| (2) |
しかしながら、侵害訴訟において侵害の判断がなされ、損害賠償請求を支払うべき旨の判決が出た後に、権利無効の審決が出されるケースも生じており、無効審判の審理期間については、無効審判の請求の理由の要旨を変更する補正を認めないこととする改正(平成10年法改正事項)をはじめ、口頭審理の積極的活用、庁内手続の見直し(並行処理、送達要処理期間の短縮)などその短縮化に向けて様々な施策を実行しているところである。 |
| (3) |
また、侵害訴訟について、裁判所は必要がある場合に特許庁の審決が確定するまでその裁判手続を中止することができる旨規定されており(特許法第168条第2項)、迅速な特許紛争の解決のためには、侵害訴訟に関連する無効審判の早期処理が求められる。 |
| (4) |
このように、裁判所に提起される侵害訴訟に関連する審判事件の処理は特に迅速性が求められているところであるが、特許庁においては侵害訴訟の提起の事実を把握することができない。また、裁判所においても特許庁において審判請求がなされているか否かについては、個々に問い合わせる以外にはその事実を知ることができない。 |
| (5) |
侵害訴訟の提起の情報を特許庁が把握することができれば、対応する無効審判等において口頭審理を活用するなど早期の審理終結を図ることが可能となる。そして、裁判所においても、提起された侵害訴訟に対応する審判事件が特許庁に請求されていることを把握することができれば、訴訟の中止についての判断を行う上で有用な情報を得ることができる。 |
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| (1) |
裁判所において侵害訴訟の提起があった場合には、その旨を特許庁長官に通知し、当該訴訟が係属しなくなったときにも特許庁長官にその旨を通知する。 |
| (2) |
裁判所から侵害訴訟の提起の通知があった場合には、対応する審判事件の請求の有無及び審決がなされたときはその旨を裁判所に通知する。 |
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| <参考条文> |
| 現行の特許法において、裁判所から訴訟の提起の旨を通知する規定としては、特許法第180条がある。 |
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第180条 |
裁判所は、前条ただし書に規定する訴の提起があつたときは、遅滞なく、その旨を特許庁長官に通知しなければならない。
(注)前条ただし書に規定する訴とは、無効審決取消訴訟をいう。 |