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審判請求・異議申し立て

前置報告を利用した審尋について


平成20年7月
特許庁 審判部

知的財産の重要性がますます高まり、知的財産を巡る高額訴訟が増加するとともに侵害訴訟における権利濫用の抗弁を認容する判決が増加する中、より安定性の高い権利の付与に対する要請がますます強くなってきており、特許庁審判部においても、権利付与前の審判である拒絶査定不服審判について、審査部の上級審として審査結果のレビューを適切に行うことが求められています。

一方、特許庁審判部の現状としては、特許・実用新案の拒絶査定不服審判の審判部への移管件数が急増しており(平成19年度は対前年比11%増)、加えて、審査部においては、任期付審査官の大幅採用を含む特許審査の処理促進に向けての諸施策が本格的に実行に移されていることから、これにより審査処理が進めば、今後も、特許・実用新案の拒絶査定不服審判の審判部への移管件数がさらに増加することが予想されます。

こうした状況の中、より安定性の高い権利の付与という上記の要請に応えるため、審判部としては、拒絶査定不服審判案件についてさらに効率的な処理を進めながらも、より一層、審理を充実させるための施策を講じることが必要な状況となっています。

一方、前置審査の取扱いについて審査部では、「審査基準 IX.審査の進め方(10.前置審査)」を定めるとともに、前置審査における協議の活用(平成13年5月より全件対象)によって前置審査の質の向上に取り組むことにより、前置報告書の内容の充実化が図られており、審判部においても、質の充実した前置報告書を従来より一層有効に活用することにより、審理を円滑に進めるため、平成16年度より、審判請求人に対して、前置報告の内容を審尋により送付し、審査官の見解に対して反論の機会を与える「前置報告を利用した審尋」(以下、「前置審尋」)を試行的に行ってきました。

この試行によって、審判請求人の反論も考慮して審理を進めることで、審理・判断を充実させるとともに、拒絶査定不服審判の審理負担を軽減して上記審査部の処理能力の増強に伴う拒絶査定不服審判の請求件数の増加に対応する上で、一定の効果を上げてきたものと考えられます。

そこで、審判部における審理の充実化や審理負担の軽減をより一層促進するとともに、審判請求人に意見を述べる機会を均等に与えて手続保障を図ること等を目的とし、これまで事件ごとに前置審尋の要否を判断してきた運用を改め、前置報告書が作成され、平成20年10月以降に審理着手時期に至る事件については、原則全件に対して前置審尋を行うこととします。

1.前置審尋を送付する対象

前置審尋の送付は、原則として前置報告書が作成された事件の全件を対象とします。なお、審尋を送付する際に、前置審尋を行うか否かについて、前置報告の内容や事件の経過にまで立ち入って検討することはありません。

(注1)前置審尋送付の対象外の事件について

早期審理の申し出があり、その対象となった事件については、審決に至るまでの期間の短縮を図るため、前置審尋送付の対象から原則除外します。

2.前置審尋を受け取った場合の審判請求人の対応

(1)回答書の提出期限(指定期間)について

回答書の提出期限は、国内の審判請求人については60日、在外者については3ヶ月を原則とします(前置審尋の起案書の冒頭部分に記載されます)。

(2)回答書の提出について

前置審尋に対して回答書を提出する場合は、前置審査の報告書に示された理由に対応する審判請求人の反論を、争点として整理した形で示していただくなど、審判請求人の主張が明確に理解でき、拒絶査定不服審判事件を効率的に処理できるような回答書を作成して頂きますようお願いします。

なお、回答書が提出されない場合でも、それのみによって、審理・判断が審判請求人に不利に働くようなことはありません。

(注2)早期審理の対象事件について

早期審理の対象事件については、前置報告を利用した審尋の送付の対象から原則除外されます。そのため、早期審理の対象とされた事件について、前置報告の内容を知りたい場合には閲覧請求をする等して、前置報告の内容に意見がある場合に上申書によって早めに意見を提出するようにしてください。

(注3)補正案について

前置審尋は拒絶理由通知ではないので、審判請求人は、審尋に対する意見を回答書により述べることはできますが、補正の機会が与えられるものではありません。前置審査での審査官の見解に対して、これを回避する補正案が回答書により提出されたとしても、補正ができるのは原査定が維持できず、新たに拒絶理由が通知された場合に限られるので、審判合議体が補正案を考慮して審理を進めることは原則ありません。ただし、補正案が一見して特許可能であることが明白である場合には、迅速な審理に資するので、審判合議体の裁量により、補正案を考慮した審理を進めることもあります。

(3)審判請求の取下げについて

前置報告書の内容を検討した結果、審判の手続継続の意思がなくなった場合には、審判請求の取下げの手続をとって頂きますようお願いします。審判請求を取り下げる場合には、できる限り前もって、その旨を審判長又は審尋書の末尾に記載された審判官にご連絡ください。(取下げを行う旨を記した回答書を提出してくださっても結構です。)

(4)問い合わせについて

審尋書に示された前置報告の内容についての問い合わせは、審尋書の末尾に記された審判官名の問い合わせ先にお願いします。(前置審査の報告をした審査官には問い合わせをしないようご注意ください。)

(5)その他

前置審尋が送付された後の面接も、「面接ガイドライン【審判編】」(特許庁ホームページに掲載)に沿って、通常の面接と同様に運用されます。

3.前置審尋に対する回答後(期間経過後)の審判合議体による審理

前置審尋は、着手予定時期の数ヶ月前に送付し、前置審尋に対する回答書が提出された後(あるいは、指定期間が経過した後)は、当事件に速やかに着手するよう運用します。

また、前置審尋に対して審判請求人の反論が回答書として提出された場合には、審判合議体は、前置審査での審査官の見解とともに、審査官の見解に対する審判請求人の反論を参酌して審理・審決を行います。

なお、前置審尋に対する回答書が提出されなかった場合でも、審判合議体は、審査官が前置報告した原査定を維持すべき理由が適切であるか否かを審理し、回答書が提出されなかったことのみによって、審判請求人に不利な判断をすることはありません(審査官が前置報告した拒絶の理由により特許性がないことが明らかであるにもかかわらず、審判請求人からの回答書による反論がなされなかったときには、審判合議体が、審判の手続継続の意思を電話により確認する場合があります。)。

  • <この記事に関する問い合わせ先>
  • 特許庁審判部審判課審判企画室
  • TEL:03-3581-1101内線:5851
  • E-mail:お問い合わせフォーム

[更新日 2008.7.10]

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