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特許・実用新案の出願と審査に関して(詳細情報)

特許から見た金融ビジネス
−日米の金融技術力格差−

  
<この記事に関する問い合わせ先>

特許庁総務部企画調査課
電話:03-3581-1101 内線2154
E-mail:PA0920@jpo.go.jp
  



平成11年6月
特許庁

 近年のコンピュータ技術、通信技術の進歩、インターネット利用者人口の急激な拡大・増加にささえられ、主にこれら基礎技術と経済法則を利用する経済システム(ビジネスモデルが密接に関連をもった特許が出現してきており、この流れは金融ビジネスにも広がっている。

1.金融ビジネスにおける主要技術

 邦銀と米国の主要銀行を比較すると、邦銀は以下に挙げる(1)不良債権の処理、(2)デリバティブ開発力、(3)業務効率管理について、相当程度の後れを取っているといわれている。これらの3点を実現するために必要となる金融ビジネスにおける主要技術には、「セキュリタイゼーション」、「デリバティブ」、「VAR」、「ALM」がある。

金融ビジネスにおける主要技術を示した図

(ア)セキュリタイゼーション(証券化:Securitization)
 銀行、企業などが所有する(住宅ローン、自動車ローン等)債権を証券の形で流動化し、不特定多数の投資家に販売、資金の調達を行うこと。

(イ)デリバティブ (金融派生商品:derivatives)
 通貨、金利、債券、株式を対象とした、先物、先渡、オプション、スワップといった取引の総称。

(ウ)VAR (Value at Risk)
 投資をするときに見込んでおくべき妥当な想定損失額。200万円の保有株式において、1日で損失額が30万円以上となる日が、過去統計的に5%あった場合、「VARは30万円」という言い方をする。

(エ)ALM (資産負債の総合管理:Asset Liability Management)
 銀行であれば、預金と貸出しの金利・期間を把握して、どの程度の流動性ないしは金利リスクを負っているかを理解した上で必要な調整を行い、リスクの最小化と収益の最大化を図ること。

2.金融ビジネスにおける主要技術の日米特許比較

主要技術 日本特許出願 米国特許
セキュリタイゼーション 特許出願なし 様々な担保による証券化が特許となっている
デリバティブ 特許出願なし 新規なオプション取引などデリバティブ自体
VAR 単一取引におけるリスクの把握 複合取引により生じるリスクの把握
ALM 金利変動に基づくオーソドックスな管理 キャッシュフローに基づく統合管理

(1)セキュリタイゼーションに関する特許:
(日本特許出願)
対象案件なし
(米国特許)
Pat. No. 5,806,048  (Mopex, Inc.)
→ 新型のオープンエンド型投資信託。証券化して一日一回でなく何回でも取引できるようにする。リアルタイムの価格計算によって可能とする。
Pat. No. 5,802,501  (Graff/Ross Holdings)
→ 不動産などの証券化。貸契約部分と残りの部分とに分けて価格を算出する。賃貸契約部分は借家人の組合が購入。残りの部分を投資家に販売。長期の賃貸額変動などを想定。
Pat. No. 5,870,720  (米国個人)
→ 借入れ担保の不動産の市場評価額が下落してしまったときにリストラクチャリングを行って二層化する。現在の市場価格相当の元本の部分と残りの部分に分割。賃貸住宅公社(Cooperative Housing Corporation)の不動産の評価損にも対応。
Pat. No. 5,745,885  (Human Capital Resources, Inc.)
→ 奨学金制度に代わる投資プログラム。投資家が学生のプロフィールと就職すべき業界の将来性などをみて学生のポートフォリオを作って投資する。

(2)デリバティブに関する特許:
(日本特許出願)
対象案件なし
(米国特許)
Pat. No. 5,884,286  (米国個人)
→ 新型のオプション取引。オプションの行使期間の制限を撤廃。売買する玉に時刻の変数の概念を付加し割引の対象とする。
Pat. No. 5,884,274  (Walker Asset Management Limited Partnership)
→ 通貨先物など外貨取引のための保険。通貨の種類・その市況・ボラティリティなどから自動的に掛金の額を算出。
Pat. No. 5,557,517  (米国個人)
→ 新型のオプション取引。オプションの行使期間の制限を撤廃する。売買する玉に時刻の変数の概念を付加。

(3)VARに関する特許:
(日本特許出願)
特開平10-222488号 (株式会社日立製作所) (審査請求待ち)
→ 金融資産のリスク管理に関して、デリバティブを含む資産のVARで示される最大予想損失額のモデル構築の際に、VARの変動要因である市場環境や保有する資産の構成に適合したモデルを算出する方法。
特開平9-81640号 (株式会社日立製作所) (審査請求待ち)
→ 金融機関などが保有する金融資産のリスク分析において、デリバティブを含む資産のVARで示された最大損失額を具現化する将来の事態または市場環境の変化を表すシナリオを検索する方法。
(米国特許)
Pat. No. 5,819,237  (Financial Engineering Associates, Inc.)
→ ポートフォリオ分析。複数の候補取引に基づいて起こりうる影響をVAR尺度で求めるときの尺度決定の演算。演算手法を見直して最小限の再計算で済ませる。


(4)ALMに関する特許:
(日本特許出願)
特開平5-225222号 (株式会社日立製作所) (審査請求期間終了)
→ 将来の金利動向を勘案した資産負債の動的分析(シミュレーション)方法及びシステム。
特開平4-308967号 (株式会社日立製作所) (審査請求期間終了)
→ 外部情報(金利変動)に対応して、資金量の推移に関するパラメータを変更し、収益の推移を最適化する資産負債管理システム。
(米国特許)
Pat. No. 5,649,116  (Servantis Systems, Inc.)
→ 銀行用の統合意志決定システム。予め定めたリスクリミットを越えた取引を検知して警告したり拒否したりできる。
Pat. No. 5,774,881  (EFI Actuaries)
→ 経済状況に基づいたキャッシュフローシミュレーションにより最適資産配分を行うシステム。
Pat. No. 5,812,988  (Investments Analytic, Inc.)
→ キャッシュフローを予測してリスクとリターンをシミュレーションして資産配分を行うシステム。

[更新日 2001.1.6]
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