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特許・実用新案の出願と審査に関して(詳細情報)

特許にならないビジネス関連発明の事例集

平成13年4月
特 許 庁
特許審査第四部

1.本資料の構成について

 特許出願の審査の過程においては、その出願が種々の要件の少なくとも一つを満たしていないときは拒絶がなされ、拒絶の理由が発見されないときには特許が付与される(特許法第49条、第51条)。この種々の要件のうち代表的なものとして、次の三つが挙げられる。
  ・ 特許法第2条に定義される「発明」であること(特許法第29条第1項柱書)
・ 明細書の記載要件を満たしていること(特許法第36条)
・ 新規性・進歩性があること(特許法第29条)
 ここでは、これら代表的な三つの要件のそれぞれについて、具体的な事例を挙げて判断例を説明している。

(備考)
1. 各事例について複数の要件違反が存在する場合があるが、説明上、それらの要件違反のうち典型的な一つの要件違反に着目して説明を行っている。
2. 各事例は、説明用の図面と明細書の抜粋を紹介したものであり、実際の出願用の図面及び明細書を示すものではない。

目次

1.特許法上の「発明」に該当しないもの
 
事例 発明の名称 摘要
1−1 市場調査・分析方法A ビジネス方法自体を特許請求しているもの
1−2 市場調査・分析方法B コンピュータ等を単に道具として使用してビジネスを行うようにしたもの
1−3 市場調査・分析方法C ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されていないもの

2.明細書の記載が不備なもの
2−1.発明の詳細な説明の記載に不備があるもの
 
事例 発明の名称 摘要
2−1 電子広告システムA ビジネス方法がコンピュータ上でどのように実現されるのかが不明確なもの
   
2−2.特許請求の範囲の記載に不備があるもの
 
事例 発明の名称 摘要
2-2-1 電子広告システムB 特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載されたものでないもの
2-2-2 電子広告選択方法 コンピュータの動作方法であることが明確でないもの(人が行うビジネス方法なのか、コンピュータの動作方法なのか不明確なもの)
   
3.容易に発明をすることができたもの
3−1.公知の情報処理システムから容易に発明をすることができたもの
 
事例 発明の名称 摘要
3-1-1 電子プリペイドカードによる決済方法A 公知の情報処理システムを他の公知技術に基づいて設計変更したもの
3-1-2 電子プリペイドカードによる決済方法B 公知の情報処理システムを他の公知ビジネスに基づいて設計変更したもの
   
3−2.公知のビジネス方法から容易に発明をすることができたもの
 
事例 発明の名称 摘要
3-2-1 旅行予約処理方法 公知のビジネス方法を公知の手法でシステム化したもの
3-2-2 サービスポイント管理システムA 公知のビジネス方法を公知の手法でシステム化したもの
3-2-3 サービスポイント管理システムB 公知のビジネス方法をシステム化し、さらに、他の公知技術に基づいて設計変更したもの
3-2-4 サービスポイント管理システムC 公知のビジネス方法をシステム化し、さらに、ビジネス上の設計変更を加えたのもの
3-2-5 サービスポイント管理システムD 公知のビジネス方法をシステム化し、さらに、他の公知のビジネス方法に基づいて設計変更したもの
   
3−3.公知のビジネス方法又は公知の情報処理システムを単に寄せ集めたもの
 
事例 発明の名称 摘要
3−3 電子商取引方法 公知のビジネスと公知の情報処理システムを単に寄せ集めたもの

 

事例1―1 市場調査・分析方法A
(ビジネス方法自体を特許請求しているもの)
判断のポイント 客層毎に商品に関するアンケートを実施し、結果を分析・表示するというビジネス方法自体は、人為的な取決めや経済法則に基づくものなので特許にならない。

      

【特許請求の範囲】
 市場調査対象となる商品と調査目的を決定するステップと、
  アンケート対象者を客層毎に抽出するステップと、
  客層毎に、その客層と調査目的に対応する質問項目を決定するステップと、
  抽出された各客層のアンケート対象者に対して、対応する質問項目からなるアンケートを送付し、回答を回収するステップと、
  回答について客層毎にかつ質問項目毎にデータ集計するステップと、
  集計結果を、客層毎にかつ質問項目毎に提示するステップと、からなる市場調査・分析方法。

[説明]
 この発明は、商品に関する市場調査と分析を行うにあたり、客層毎にその商品に関するアンケートを実施し、結果を分析・表示するというビジネスを行う一連のステップに関するものであるが、顧客に対してアンケートを行うことにより市場調査及び分析を行うことは人為的な取決めに基づくものであり、かつ、客層毎に異なるアンケートを行うことは、客層毎に消費行動が異なるという経済法則を利用したものである。また、このビジネスを行う一連のステップは、コンピュータの動作方法であると把握することができないから、人為的な取決め及び経済法則のみに基づくものであり、自然法則を利用したものではない。
 したがって、この発明は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」にはあたらない。 (特許・実用新案審査基準第II部「産業上利用することができる発明」第1章1.1(4)参照)


事例1−2 市場調査・分析方法B
(コンピュータ等を単に道具として使用したにすぎないもの)
判断のポイント 市場調査・分析方法におけるアンケートを送付・回収するための道具としてコンピュータネットワークを使用したにすぎないので特許にならない。

【特許請求の範囲】
 市場調査対象となる商品と調査目的を入力するステップと、
 顧客管理情報に基づいて、アンケート対象者を客層毎に抽出するステップと、
 客層毎に、その客層と調査目的に対応する質問項目を決定するステップと、
 抽出された各客層のアンケート対象者に対して、コンピュータネットワークを介して対応する質問項目からなるアンケートを送付し、コンピュータネットワークを介して回答を回収するステップと、
 回答について客層毎にかつ質問項目毎にデータ集計するステップと、
 集計結果を、客層毎にかつ質問項目毎に端末に表示するステップと、
からなるコンピュータネットワークを利用した市場調査・分析方法。

[説明]
 この発明は、事例1−1の市場調査・分析方法の一部のステップで、コンピュータネットワークを利用している。しかし、このコンピュータネットワークは、アンケートの送付と回収を実施するための道具として用いられているにすぎず、この市場調査・分析方法を行う一連のステップをコンピュータが行うものではないから、この発明は全体として自然法則を利用しているとはいえない。
 したがって、この発明は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」にはあたらない。 (特許・実用新案審査基準第II部「産業上利用することができる発明」第1章1.1(4)参照)


事例1−3 市場調査・分析方法C
(ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されていないもの)
判断のポイント 市場調査・分析方法の一連のステップがハードウェア資源を用いたソフトウェアの情報処理であると把握できる程度に具体的でないので特許にならない。

【特許請求の範囲】
 コンピュータが、
 市場調査対象となる商品と調査目的を決定するステップと、
 顧客管理情報に基づいて、アンケート対象者を客層毎に抽出するステップと、
 客層毎に、その客層と調査目的に対応する質問項目を決定するステップと、
 抽出された各客層のアンケート対象者に対して、対応する質問項目からなるアンケートを送付し、回答を回収するステップと、
 回答について客層毎にかつ質問項目毎にデータ集計するステップと、
 集計結果を、客層毎にかつ質問項目毎に表示するステップと、
 を実行することを特徴とする市場調査・分析方法。

[説明]
 この発明は、事例1―1の市場調査・分析方法(ビジネスを行う一連のステップ)の全体を一見コンピュータが実行するものとして記載しているが、これらのステップをみると、コンピュータのハードウェア資源を用いたソフトウエアの情報処理であると把握できる程度に具体的ではないから、ビジネスを行う一連のステップがコンピュータの動作方法として実現されているとはいえない。
 したがって、この発明は「自然法則を利用した技術的思想の創作」にあたらない。 (特許・実用新案審査基準第Z部第1章「コンピュータ・ソフトウエア関連発明」2.参照)


事例2−1 電子広告システムA
(発明の詳細な説明の記載において、ビジネス方法がコンピュータ上でどのように実現されるのかが不明確なもの)
判断のポイント 発明の詳細な説明において、興味分野の抽出や広告データの選択などの処理を実現するために、ソフトウエアとハードウェアがどのように構成されているのかが不明確なので特許にならない。

【特許請求の範囲】
 …手段と、…手段と、…手段とを備えた電子広告システム。

【発明の詳細な説明】(サーバに関する説明部分の抜粋)
 …
 オンライン商店のサーバは、自己のページへのアクセス要求に基づいてその顧客が最も興味のある分野を抽出し、その興味分野に関する広告データを選択する。興味分野として「携帯電話」「コンピュータ」「インターネット」を抽出した場合は、「携帯電話」に関連した広告データとして、例えば、携帯電話を販売している関連企業のホームページへリンクしたバナー広告等を選択する。最後に、ページ表示用データに、選択した広告データを埋め込むことにより最終的なページデータを作成し顧客端末に送信する。
 …

[説明]
 この事例では、発明の詳細な説明には、サーバ(コンピュータ)の機能として「興味分野の抽出」「広告データの選択」といった処理が概略的に記載されているだけで、これらの処理を実現するために、ソフトウエアとハードウェアがどのように構成されているのかが記載されておらず、出願時の技術常識を参酌しても不明確である。
 したがって、発明の詳細な説明は、当業者が発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえない。 (特許・実用新案審査基準第Z部第1章「コンピュータ・ソフトウエア関連発明」1.2参照)


事例2−2−1 電子広告システムB
(特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載されたものでないもの)
判断のポイント 特許請求の範囲には電子広告システムが「広告メール手段」を備える点が記載されているが、発明の詳細な説明にはこの点が記載されていないので特許にならない。

【特許請求の範囲】
 …ページ記憶部と、…アクセス履歴記憶部と、…興味分野データ記憶部と、…広告データ記憶部と、…アクセス管理手段と、…興味分野決定手段と、…広告決定手段と、…ページ送信手段と、
定期的にアクセス履歴記憶部から顧客の興味分野を抽出・解析し、当該興味分野に関する広告を電子メールにて顧客端末に送信する広告メール手段と、

を備えた電子広告システム。

【発明の詳細な説明】 (抜粋)
 …
 オンライン商店のサーバ管理者は、アクセス履歴記憶部に記憶されたアクセス回数データを定期的に解析することにより、顧客が最もアクセスしたページに基づいて顧客が興味をもっている分野を推定し、その興味分野に関する広告を別途電子メールで顧客端末に送信する。
 …

[説明]
 この事例では、「広告メール手段」を含む電子広告システムが特許請求の範囲に記載されているが、発明の詳細な説明には、顧客が興味を持っている分野を推定して、その興味分野に関する広告を電子メールで送信する処理はもっぱらサーバ管理者が行うビジネスのステップとして記載されており、電子広告システム自体が広告メール手段を備えることは記載されていない。
 したがって、この発明は発明の詳細な説明に記載されたものではない。 (特許・実用新案審査基準第T部第1章「明細書の記載要件」2.2.1参照)


事例2−2−2 電子広告選択方法
(コンピュータの動作方法であることが明確でないもの)
判断のポイント 特許請求の範囲に記載された発明は、「電子広告システムの動作方法」とも「人が電子広告を選択する方法」とも把握することができるので特許にならない。

【特許請求の範囲】
 顧客端末から受信したアクセス要求情報から顧客会員番号とページ番号を認識し、認識したページ番号と顧客会員番号に基づいて、アクセス回数データを更新・記録するステップと、顧客会員番号に関するページ番号の中で最も多いアクセス回数データを有するページ番号を抽出するステップと、
 抽出されたページ番号に基づいて、興味分野データ記憶手段から興味分野データを検索・抽出するステップと
 抽出された興味分野データに基づいて、広告データ記憶手段から広告データを抽出・選択するステップと、
 を備えた電子広告選択方法。

[説明]
 この事例では、特許請求の範囲に記載された各ステップにおける動作主体が特定されていないから、コンピュータ(電子広告システム)が記憶手段と相互作用することにより電子広告を選択するという「電子広告システムの動作方法」として把握することができる一方、人が記憶手段を道具として用いて電子広告を選択するという「人が電子広告を選択する方法」としても把握することができる。
 したがって、この発明は「コンピュータの動作方法」又は「人がビジネスを行う方法」という2つの異なる概念を含んでいるために、特許請求の範囲の記載は明確ではない。 (特許・実用新案審査基準第Z部第1章「コンピュータ・ソフトウエア関連発明」1.1.3参照)


事例3−1―1 電子プリペイドカードによる決済方法A
(公知の情報処理システムを他の公知技術に基づいて設計変更したもの)
判断のポイント 公知の電子プリペイドカードシステムに、公知技術である電子証明書により正当性を認証する処理を付加したにすぎないので特許にならない。

【特許請求の範囲】
 顧客端末と店舗端末とに接続され、所定の銀行サーバにアクセス可能なコンピュータシステムにおいて、電子プリペイドカードにより決済を行う方法であって、
 前記コンピュータシステムが、  顧客端末から電子プリペイドカードの購入申込を受信したことに応じて、
(1)所定の銀行サーバにアクセスして、指定された顧客口座から購入金額を引き落とすステップと、
(2)電子プリペイドカード番号に対応させて、購入金額をカード残高金額として電子証明書と共にカード管理記憶手段に記憶するステップと、
(3)購入金額分の電子プリペイドカードを電子証明書と共に顧客端末に送信するステップと、
 店舗端末から、電子プリペイドカードによる支払いがあったという通知とともに、その電子プリペイドカード番号と電子証明書並びに支払金額とを受信したとき、通知された電子プリペイドカード番号によりカード管理記憶手段を検索し、対応する電子証明書と通知された電子証明書とを比較して同一であることを認証した場合にのみ、
(4)所定の銀行サーバにアクセスして、指定された店舗口座に支払金額を振り込むステップと、
(5)通知された電子プリペイドカード番号に対応する残高金額を、支払い金額分だけ減算するステップと
  を実行することを特徴とする決済方法。

[説明]
 公知の電子プリペイドカードシステムによる決済方法(図の@〜Gに相当する方法)と本願発明とを比較すると、本願発明においては、電子プリペイドカードの発行の際に電子証明書を添付し、かつ、この電子証明書に基づいて電子プリペイドカードの正当性を比較認証する機能を備えている点で相違している。
 しかしながら、公知の電子プリペイドカードシステムにおいて、管理センターが電子プリペイドカードの正当性を確認しようとすることは当業者であれば当然着想する課題であり、また、電子データの正当性を認証する技術として、電子データに電子証明書を添付することは通信システムにおいては公知のものであるから、前記公知の決済方法に電子証明書による認証機能を付加することは、当業者が公知技術に基づいて容易になし得たものである。 (特許・実用新案審査基準第Z部第1章「コンピュータ・ソフトウェア関連発明」2.3参照)


事例3−1−2 電子プリペイドカードによる決済方法B
(公知の情報処理システムを他の公知のビジネス方法に基づいて設計変更したもの)
判断のポイント 電子プリペイドカードの購入の際に、公知のサービスである購入金額に応じた一定割合のサービス金額を加算するという処理を付加したにすぎないから特許にならない。

【特許請求の範囲】
 顧客端末と店舗端末とに接続され、所定の銀行サーバにアクセス可能なコンピュータシステムにおいて、電子プリペイドカードにより決済を行う方法であって、
 前記コンピュータシステムが、
 顧客端末から電子プリペイドカードの購入申込を受信したことに応じて、
(1)所定の銀行サーバにアクセスして指定された顧客口座から購入金額を引き落とすステップと、
(2)購入金額に応じて一定割合のサービス金額を購入金額に加算したものを残高金額として決定し、電子プリペイドカード番号に対応させて、カード残高金額をカード管理記憶手段に記憶するステップと
(3)購入金額分の電子プリペイドカードを顧客端末に送信するステップと、  店舗端末から、電子プリペイドカードによる支払いがあったという通知とともに、その電子プリペイドカード番号と支払金額とを受信したことに応じて、
(4)所定の銀行サーバにアクセスして指定された店舗口座に支払金額を振り込むステップと、
(5)通知された電子プリペイドカード番号によりカード管理記憶手段を検索し、対応する残高金額を、支払い金額分だけ減算するステップと を実行することを特徴とする決済方法。

[説明]
 公知の電子プリペイドカードシステムにおける決済方法(図の@〜Gに相当する処理)と本願発明とを比較すると、本願発明のコンピュータシステムは、電子プリペイドカードの発行の際に購入金額に応じて一定割合のサービス金額を加算することにより実際に発行する電子プリペイドカードの金額を決定する機能を備えている点で相違している。
 しかしながら、プリペイドカードや回数券といった金券において、金額に応じてサービス分を上乗せすることは商慣行上の一般的なサービスであり、金券であるという観点において電子プリペイドカードは通常の金券と共通しているから、電子プリペイドカードに購入金額に応じた一定割合のサービス金額を加算するという商慣行上の公知のサービスを付加しようとすることは当業者が容易に着想し得る程度である。そして、この着想をシステム上で実現するにあたり特段の技術的工夫がなされているとは認められないから、コンピュータシステムが実行するステップとして電子プリペイドカードの購入金額に応じて一定割合のサービス金額を加算する機能を付加することは、商慣行上の公知サービスの単なる付加に過ぎず、当業者が容易になし得る設計的変更に過ぎない。
(特許・実用新案審査基準第Z部第1章「コンピュータ・ソフトウェア関連発明」2.3参照)


事例3−2−1 旅行予約処理方法
(公知のビジネス方法を公知の手法でシステム化したもの)
判断のポイント 電話等の連絡手段をコンピュータネットワークに置換する等の一般的な手法により、公知の旅行予約サービスをシステム化したにすぎないから特許にならない。

【特許請求の範囲】
 コンピュータネットワークを介して顧客端末及び業者端末に接続されたサーバと、業者の端末アドレスを格納した業者データ記憶部とからなるコンピュータシステムにおける旅行予約処理方法において、 サーバが、
(1) 顧客端末から旅行計画データを受け付け、
(2) 旅行計画データに基づいて業者データ記憶部を検索することにより対応する業者の端末アドレスを取得し、
(3) 取得したアドレスに基づいて、業者の端末に、予約に必要なデータを送信し、業者の端末から、予約が受け付けられたことを受信したことに応じて、
(4) 旅行クーポンを作成し出力し、
(5) 顧客端末に予約番号を送信する
ことを特徴とする旅行予約処理方法。

[説明]
 旅行代理店が、顧客の希望する旅行計画を聞き、必要な交通機関や宿泊施設に電話やファクシミリなどで予約を取り、予約が完了するとクーポンを作成し、顧客に予約が完了したことを予約番号とともに知らせ、代金と引き換えに予約番号に応じたクーポンを顧客に渡すことは、一般的によく知られているビジネス方法である。この公知のビジネス方法を以下のように置き換え、コンピュータネットワークを利用したシステムとして実現することは、一般的なシステム化の手法である。
 ・代理店 → 代理店のサーバ
 ・顧客・業者 → 顧客端末・業者端末
 ・連絡手段(電話、ファクシミリ) → コンピュータネットワーク
 ・アドレス帳 → 業者データ記憶部
 したがって、本願発明は、旅行代理店が行っている公知のビジネス方法を一般的な手法でシステム化したものにすぎないから、当業者が容易に発明できたものである。
(特許・実用新案審査基準第Z部第1章「コンピュータ・ソフトウェア関連発明」2.3参照)


事例3−2−2 サービスポイント管理システムA
(公知のビジネス方法を公知の手法でシステム化したもの)
判断のポイント ポイントカードをICカードに置換する等の一般的な手法により、公知のポイントサービスをシステム化したにすぎないから特許にならない。

【特許請求の範囲】
 サービスの提供のために顧客に対して発行するポイントを管理するサービスポイント管理用のコンピュータシステムであって、
 累積ポイントを記憶する顧客用ICカードと、
 取引金額を入力する入力手段と、
 入力された取引金額に応じてポイントを発行するポイント発行手段と、
 顧客用ICカードから抽出した累積ポイントに発行されたポイントを加算して新たな累積ポイントを算出し、顧客用ICカードに新たな累積ポイントを記憶するポイント更新手段と、 からなることを特徴とするサービスポイント管理用のコンピュータシステム。

[説明]
 顧客が買い物をした場合、買い物金額に応じてポイント(あるいはスタンプ等)をポイントカード上に記録することは商慣行上よく知られているサービスであり、このポイントカードをICカードに置き換え、かつ、コンピュータによりポイントの発行とICカードの更新を行わせることは、一般的なシステム化の手法である。
 したがって、本願発明は、公知のポイントサービスを一般的な手法でシステム化したものにすぎないから、当業者が容易に発明できたものである。
(特許・実用新案審査基準第Z部第1章「コンピュータ・ソフトウェア関連発明」2.3参照)


事例3−2−3 サービスポイント管理システムB
(公知のビジネス方法をシステム化し、さらに、他の公知技術に基づいて設計変更したもの)
判断のポイント 公知のポイントサービスを公知の手法でシステム化し、さらに、公知技術であるパスワードによる比較照合手段を付加したにすぎないから特許にならない。

【特許請求の範囲】
 サービスの提供のために顧客に対して発行するポイントを管理するサービスポイント管理用のコンピュータシステムであって、
 累積ポイントを記憶する顧客用ICカードと、
 取引金額を入力する入力手段と、
 パスワードを入力する手段と、
 入力されたパスワードと顧客用ICカードに予め記憶されたパスワードとを比較照合する手段と、
 比較照合が成功したことに応じて、入力された取引金額に応じてポイントを発行するポイント発行手段と、
 顧客用ICカードから抽出した累積ポイントに発行されたポイントを加算して新たな累積ポイントを算出し、顧客用ICカードに新たな累積ポイントを記憶するポイント更新手段と、 からなることを特徴とするサービスポイント管理用のコンピュータシステム。

[説明]
 顧客が買い物をした場合、買い物金額に応じてポイント(あるいはスタンプ等)をポイントカード上に記録することは商慣行上よく知られているサービス(ビジネス方法)である。
 このビジネス方法と本願発明とを比較すると、
相違点1: 本願発明ではビジネス方法がシステム化されている点、
相違点2: 本願発明ではパスワードを入力する手段と、入力されたパスワードとICカードに記憶されたパスワードとを比較照合する手段を備え、比較照合が成功した場合にポイント発行処理を行う点、
で相違している。
 まず、相違点1について検討すると、公知のビジネス方法におけるポイントカードをICカードに置き換え、コンピュータにポイントの発行とICカードの更新を行わせることは、一般的なシステム化の手法であるといえる。
 次に相違点2について検討すると、顧客用ICカードの所有者を確認しようとすることは当業者であれば当然着想する課題であり、また、所有者を確認するためのパスワードを予めICカードに記憶しておき、入力されたパスワードと比較照合が成功した場合のみ処理を進めることは、情報処理システムにおける公知技術にすぎない。
 したがって、本願発明は、上記の公知のビジネス方法をシステム化し、さらに、公知技術に基づいて設計変更をすることにより、当業者が容易に発明できたものである。
(特許・実用新案審査基準第Z部第1章「コンピュータ・ソフトウェア関連発明」2.3参照)


事例3−2−4 サービスポイント管理システムC
(公知のビジネス方法をシステム化し、さらに、ビジネス上の設計変更をしたもの)
判断のポイント 公知のポイントサービスを公知の手法でシステム化し、さらに、商慣行上よく行われている特別サービスとして、ボーナスポイントを追加する処理を付加したにすぎないから特許にならない。

【特許請求の範囲】
 サービスの提供のために顧客に対して発行するポイントを管理するサービスポイント管理システムであって、
 累積ポイントを記憶する顧客用ICカードと、
 取引金額を入力する入力手段と、
 入力された取引金額に応じてポイントを発行するポイント発行手段と、
 顧客用ICカードから抽出した累積ポイントに発行されたポイントを加算して新たな累積ポイントを算出し、顧客用ICカードに新たな累積ポイントを記憶するポイント更新手段とからなり、
 前記ポイント更新手段は、累計ポイントが所定ポイントに達したときにボーナスポイントを累計ポイントに加算する
ことを特徴とするサービスポイント管理システム。

[説明]
 顧客が買い物をした場合、買い物金額に応じてポイント(あるいはスタンプ等)をポイントカード上に記録することは商慣行上よく知られているサービス(ビジネス方法)である。
 このビジネス方法と本願発明とを比較すると、
相違点1: 本願発明ではビジネス方法がシステム化されている点、
相違点2: 本願発明では累計ポイントが所定ポイントに達したときにボーナスポイントを加算する機能を備えている点
で相違している。
 まず、相違点1について検討すると、公知のビジネス方法におけるポイントカードをICカードに置き換え、コンピュータにポイントの発行とICカードの更新を行わせることは、一般的なシステム化の手法であるといえる。
 次に相違点2について検討すると、いわゆるお得意さまに対して特別なサービスを行うことは商慣行上よく行われていることであり、また、お得意さまであるほど買い物の頻度や購入金額が多くサービスポイントが貯まりやすいということを考慮すると、所定のポイントに達した時点で特別サービスとしてボーナスポイントを発行しようとすることは当業者が容易に着想し得る程度のものである。そして、その着想をシステム上で実現するにあたり特段の技術的な阻害要因は認められない。
 したがって、本願発明は、上記の公知のビジネス方法をシステム化し、さらに、商慣行に従った設計的変更をすることにより、当業者が容易に発明できたものである。
(特許・実用新案審査基準第Z部第1章「コンピュータ・ソフトウェア関連発明」2.3参照)


事例3−2−5 サービスポイント管理システムD
(公知ビジネス方法をシステム化し、さらに、他の公知ビジネスに基づいて設計変更したもの)
判断のポイント 公知のポイントサービスを公知の手法でシステム化し、さらに、金融分野において公知である利子を加算する処理を適用したにすぎないから特許にならない。

【特許請求の範囲】
 サービスの提供のために顧客に対して発行するポイントを管理するサービスポイント管理システムであって、
 累積ポイントを記憶する顧客用ICカードと、
 取引金額を入力する入力手段と、
 入力された取引金額に応じてポイントを発行するポイント発行手段と、
 顧客用ICカードから抽出した累積ポイントに発行されたポイントを加算して新たな累積ポイントを算出し、顧客用ICカードに新たな累積ポイントを記録するポイント更新手段と、
 定期的に利子ポイントを累積ポイントに加算する利子加算手段と
からなることを特徴とするサービスポイント管理システム。

[説明]
 顧客が買い物をした場合、買い物金額に応じてポイント(あるいはスタンプ等)をポイントカード上に記録することは商慣行上よく知られているサービス(ビジネス方法)である。
 このビジネス方法と本願発明とを比較すると、
相違点1: 本願発明ではビジネス方法がシステム化されている点、
相違点2: 本願発明では定期的に利しポイントを累計ポイントに加算する利子加算手段を備えている点
で相違している。
 まず、相違点1について検討すると、公知のビジネス方法におけるポイントカードをICカードに置き換え、コンピュータにポイントの発行とICカードの更新を行わせることは、一般的なシステム化の手法であるといえる。
 次に相違点2について検討すると、貯蓄や預金に利子を加算することは金融分野において日常的に行われているビジネスの一環であるから、貯蓄や預金と同様に経済的な価値を累積するポイントサービスにおいても、定期的に利子に相当するポイントを加算しようとすることは当業者が容易に着想し得る程度のものである。そして、この着想をシステム上で実現するにあたり、特段の技術的な阻害要因は認められない。
 したがって、本願発明は、上記の公知のビジネス方法をシステム化し、さらに、他の公知ビジネスに基づいて設計変更することにより、当業者が容易に発明できたものである。
(特許・実用新案審査基準第Z部第1章「コンピュータ・ソフトウェア関連発明」2.3参照)


事例3−3 電子商取引方法
(公知のビジネス方法と公知の情報処理システムを単に寄せ集めたもの
判断のポイント 公知の電子プリペイドカードシステムと公知のポイントサービスを単に寄せ集めたものであるから特許にならない。

【特許請求の範囲】
 顧客端末に接続され、所定の銀行サーバにアクセス可能なコンピュータシステムにおける電子商取引方法であって、
 前記コンピュータシステムが、
 顧客端末から電子プリペイドカードの購入申込を受信したことに応じて、
(1)所定の銀行サーバにアクセスして、指定された顧客口座から購入金額を引き落とすステップと、
(2)発行する電子プリペイドカードの番号に対応させて、購入金額をカード残高金額としてカード管理記憶手段に記憶するステップと
(3)購入金額分の電子プリペイドカードを発行するステップと、
 さらに、
(4)購入金額に応じてサービスポイントを発行するステップと、
(5)発行サービスポイントを顧客端末に送信するステップと、
 からなることを特徴とする電子商取引方法。

[説明]
 ネットワークを介して商取引を行う情報処理システムにおいて、顧客がオンラインショッピングの支払に利用する電子プリペイドカードを所定の管理センターから購入し、購入金額を所定の顧客口座から引き落とすという決済方法は公知のものである。
 また、顧客が買い物をした場合、その購入金額に応じたサービスポイント(あるいはスタンプ等)をポイントカード上に記録することは商取引上よく知られているサービスである。
 前者の決済方法は、電子プリペイドカードという商品をネットワークを介して購入するという商取引に関するものであり、後者のポイントサービスは商品購入に付随する商取引上のサービスに関するものであり、両者は商品購入という観点で共通しているから、ネットワークを介して電子プリペイドカードを購入する方法と、購入金額に応じてポイントを発行するサービスとを組み合わせようとすることは当業者が容易に着想し得る程度のものである。そして、その着想をシステム上で実現するにあたり、前者の電子プリペイドカードを購入する方法と後者のポイントサービスの組み合わせに特段の技術的な阻害要因は認められない。
 したがって、本願発明は、上記の公知の情報処理システムと公知のビジネス方法とを単に寄せ集めることにより、当業者が容易に発明できたものである。
(特許・実用新案審査基準第Z部第1章「コンピュータ・ソフトウェア関連発明」2.3参照)

[更新日 2001.4.2]
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