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PCT第4.17規則に規定する申立て手続の導入

-特許協力条約(PCT)の手続がさらに簡素化されます-(新たに導入される申立ての概要とQ&A)

平成13年2月

平成13年3月1日からPCTに導入される申立ては、規則に従って申立てを提出すれば、これまで各国指定官庁から要求されていた証拠の提出が不要となる新たな手続です。

概要

PCT国際出願では、出願が指定国(選択国)段階に移行したのち、出願人としての資格に関する証拠など数種類の証拠を提出するよう指定国の官庁から要求されることがあります。この手続は、通常数カ国の指定(選択)が行われるPCT国際出願にあっては、複数の官庁それぞれから同じ種類の証拠が要求される場合も多々あり、出願人にとっては手続的、経費的にも大きな負担となっていました。

このたび、本年3月1日から導入される「PCT規則4.17に規定する申立て」は、いくつかの指定(選択)官庁が共通して要求している証拠の提出を制限するものです。
つまり、PCT国際出願に際して、規則に定められた形式と内容(標準文言)に従った「申立て」を願書と同一の言語を用いて願書に記載すれば、その内容に関してはどの官庁からもそれ以上の証拠の提出を要求されない、という制度です。

PCT手続の概要

どんな事がらも申立てを記載すれば、その証拠を要求されることはないのですか?

  • 申立ての内容は一般的、標準的な事例に限られる
  • 申立ての種類は5種類(第4.17規則)
  • 申立ては標準文言のみ
  • 標準文言にあてはまらなければ申立てとしては認められない(第4.17規則)

そもそも国際出願に記載されたある事項に対して指定(選択)官庁が証拠を要求する手続は、それら官庁の国内法令に基づく権限として行われていたものです。その官庁の権限を申立ての提出によって制限するためには、申立ての内容が、多くの官庁が認めうる一般的、普遍的な事例である必要があります。
そこで、申立ては、いくつかの国に共通する5つの種類に限定し、しかも記載すべき内容についても標準的な文言があらかじめ決められています。この「標準文言」にあてはまらない事例は「PCT規則4.17に規定する申立て」としては認められませんので、指定国に入っても申立ての効果は得られず、そのような場合は、従来どおり指定官庁に証拠を提出する必要があります。

PCT規則4.17に規定する申立てにはどのような種類がありますか?

申立てには、指定官庁のいくつかが要求する証拠に関わる次の5種類が設けられています。それらは、いずれも本来は、指定官庁が国内法令に従い、条約が定める国内的要件として出願人から証拠を要求することが認められているものです。

maru01発明者の特定に関する申立て……願書に発明者の記載がない場合において、その国際出願の発明者が誰であるかを特定するための申立て

maru02出願し及び特許を与えられる出願人の資格に関する申立て……国際出願日において、その国際出願の出願人が出願人たる資格を有していたことを、その理由を掲げつつ行う申立て(発明者の特定に関する申立てとの組み合わせも可)

maru03先の出願に基づく優先権を主張する出願人の資格に関する申立て……国際出願日において、出願人が先になされた出願に対してパリ条約に基づく優先権を主張する資格を有していたことの理由を掲げつつ行う申立て

maru04発明者である旨の申立て……米国を指定国とする場合にのみ有効な申立てで、申立てをする者自らがその国際出願の最初の発明者であると述べる申立て(申し立てる者の署名が必要)

maru05不利にならない開示又は新規性喪失の例外に関する申立て……国際出願が開示された状況(博覧会、刊行物等)、日付等を掲げることで新規性喪失の例外を主張するための申立て

申立てはどこに提出すればよいですか?

  • 申立ては願書の任意的記載事項(第4.1規則)
  • 申立ては願書の一部として受理官庁に提出
  • 受理官庁は原則として、申立ての方式審査を行う義務はない
  • 受理官庁から申立ての訂正の通知が行われることもある(第26規則の3.2)

5種類の申立ては、国際出願願書に任意的に記載することができる項目として規定されていますので、原則として国際出願の願書の一部として受理官庁に提出していただきます。
そもそも申立ては、それを要求する指定官庁の手続を先取りするものですから、受理官庁は原則として申立てに関して方式審査を行う義務はありません。
しかし、提出された申立てが標準文言で作成されていないなどの不備が発見された場合には、受理官庁から(後に述べる補充、追加された申立てのときはWIPO国際事務局から)出願人に対し、不備を訂正するよう通知が行われることもあります。出願人の方は、申立ての標準文言を誤りなく記載してください。

申立てを提出する際に追加的な手数料が必要となりますか?

申立ての提出に追加的な手数料はなし

申立ての提出に追加的な手数料はありませんが、申立てが願書に記載されることで、願書の用紙の枚数が増えますので、結果として基本手数料がその枚数分だけ増えます。
ただし、願書用紙の枚数が全体で30ページを超えない場合は、従来どおり一定額で手数料は徴収されます。

願書に申立てを記載し忘れた場合、国際出願の後でも申立てを提出できますか?

  • 申立ては補充、追加が可能(第26規則の3.1)
  • 申立ての補充、追加の提出はWIPO国際事務局へ(第26規則の3.1)
  • 申立ての補充、追加は書簡を添え、ページごとに行う(実施細則第216号)
  • 出願人の資格に関する申立て、優先権主張に関する申立ては、国際出願日以後の事例は対象とならない(第4.17規則)

優先日から16ヶ月以内であれば、願書に記載し忘れた申立てを追加することができます。また、すでに願書に記載した 申立てに何らかの誤りがあった場合であっても、優先日から16ヶ月以内であれば、その申立てを補充することができます。
申立ての補充、追加を行う場合は、差し替えをページ単位で提出し、申立てを補充、追加をする旨を説明した書簡を添えて世界知的所有権機関(WIPO)国際事務局に提出します。
ただし、「出願をし及び特許を与えられる出願人の資格に関する申立て」及び「先の出願に基づく優先権を主張する出願人の資格に関する申立て」は、国際出願の日における出願人の地位、資格を申し立てるものです。したがって、国際出願日の後に出願人に変更があったとしても、そのような事例に対しては「PCT規則4.17に規定する申立て」を利用できないため、譲渡等を申立てとして後に追加することは認められません。

優先日から16ヶ月を経過後は、補充、追加しても申立ての効果は得られませんか?

  • 申立てが提出された旨は国際公開される(第48.2規則)
  • 申立ての補充、追加は、国際公開の技術的な準備期間に間に合えばよい(第26規則の3.1)
  • 国際公開に間に合わない申立ては指定官庁に直接提出する(実施細則第419号)

申立てを補充、追加できる期限を優先日から16ヶ月以内とし、さらにその提出先をWIPO国際事務局として規定されている理由は国際公開にあります。つまり、国際出願に申立てが記載されている場合、国際公開の技術的な準備期間に間にあう限り、申立てがある旨を国際公開することが規定されています。
したがって、WIPOが行う国際公開に間に合わない申立ての補充、追加は、もはやWIPOがそれを受理する意味はありませんので、直接その内容を国内的要件として要求する各指定官庁に提出してください。その後の申立てに関する取り扱い、内容の判断は、関係する指定官庁にすべてゆだねられています。

申立ては願書の言語でよいとのことですが、指定官庁から翻訳が要求されませんか?

  • 申立ての翻訳は原則として要求されない
  • ただし、条約上は、願書の翻訳文として申立ての翻訳文を要求することは可能(第49.5規則)

申立ては標準文言で作成されるため、原則的には指定官庁から翻訳文を要求することはありません。ただし、先述のように申立ても願書の記載事項に含まれる以上、指定官庁としてはPCT規則でいう「願書の翻訳文」として要求することは可能です。しかし、過度の翻訳文の要求は、申立ての本来の利便性を半減させるため、指定官庁は申立てが標準文言に合致したものであるとみなし、その効果を認めることが期待されています。

申立ての条約上の位置づけと効果を詳しく教えてください。

  • 国際出願の願書の内容(第4.1規則)
  • 申立ての記載の対象となることがらは国内的要件(第4.17規則)
  • PCTでは指定官庁が自国国内法令に従って要求できる要件を許容する(第27条)
  • 国内的要件とは例えば、出願に係る権利の移転、譲渡に関する書類など(第51規則2.1)
  • 願書に申立てが含まれている場合、指定官庁は合理的な疑義がない限り証拠を要求できない(第51規則2.2)
  • ただし、新規性喪失の例外の申立ては、実体審査に関係するため、指定国は証拠を要求することが認められている日本に提出できる申立ては新規性喪失の例外に関する申立てのみ

新たに第4.17規則で規定された申立ては、国際出願の願書に記載できる内容を規定するPCT第4.1規則の一項目に追加されることで、願書に記載できる内容のひとつとなりました。
また、この申立ての内容は、条約第27条を受けて国内的要件として認められた第51規則の2.1に例示されている事項をなぞる形で規定されています。併せ、第51規則の2.1も修正が加えられ、両規則の整合性が確保されています。
第4.17規則に規定する申立ての効果は、第51規則の2.2に新たに規定され、願書に申立てが記載されているときには、指定官庁は「合理的な疑義がない限り」その申立てに関する書類(又は証拠)を要求することができない旨を規定しています。ただし、新規性喪失の例外に関する申立ては、その内容が実体審査に関係するため、指定官庁が証拠を要求する権限は制限されていません。その他の4種類の申立てが、どの指定官庁に対して条約上の効果(証拠が要求されない)を有しているかの詳細は、WIPOが発行する「PCT出願人の手引き( The PCT Applicant’s Guide )」をご参照ください。
ちなみに、指定国としての日本は、新規性喪失の例外に関してのみ、それに関する申立ての提出に加えて、従来どおり特許法第30条に基づく証拠の提出が必要となります。それ以外の4種類の申立てに関する内容については、証拠をそもそも要求していませんので、申立ても提出する必要はありません。

申立ての標準文言は、具体的にどのような文言が規定されていますか?

申立ての標準文言は実施細則に規定のとおり(実施細則第211号~215号)

第4.17規則に規定する申立ての標準文言は、現在、別紙のような標準文言が「PCT実施細則( The PCT Administrative Instructions)」に規定されています。この標準文言は、今後PCTユーザーの方々の使い勝手を勘案しつつ、適宜に修正することが合意されています。
特許庁ホームページ(http://www.jpo.go.jp/indexj.htm)においても、標準文言の英語版と日本語版がともに掲示されていますのでご参照ください。

[更新日 2013年7月1日]

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審査業務部出願課国際出願室受理官庁

電話:03-3581-1101 内線2643

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