よくわかる!産業財産権制度と特許庁の役割

 

テキスト版

ナレーション

私たちのくらしの中の多くのものは様々なアイデアや技術などをもとに作られています。
誰かのアイデアや技術などが私たちの便利で快適な暮らしを支えてくれているのです。

ところがアイデアや技術などを勝手に使われたり、まねされたりしたのでは、新しいものを創造しようとする創作者の意欲が失われてしまうばかりではなく、本来経済的利益を上げられる権利を失うことにもなってしまいます。
また、商品やサービスにつけるマークを勝手にまねされたのでは製造・販売元や商品自体の信用問題になりかねません。

そこで、こうしたアイデアやデザイン、マークを守るルールが産業財産権です。産業財産権制度には、特許、実用新案、意匠、商標の4つの制度があり、これらを扱っているのが特許庁です。

それでは産業財産権を守る制度や特許庁の役割などについて、わかりやすくご説明してまいりましょう!

皆藤慎太郎

こんにちは!「よくわかる!産業財産権制度と特許庁の役割」、ナビゲーターの皆藤慎太郎です。
特許について、しっかりと勉強してきました!産業財産権制度のこと、特許庁のことをとことん噛み砕いてご説明して参ります!

田崎日加理

アシスタントの田崎日加理です。
皆さんと一緒に学んでいきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

皆藤・田崎

さあ、みなさんもご一緒に、産業財産権制度と特許庁の役割について考えてみましょう!!

田崎日加理

さて、私たちには聞きなれない「産業財産権」ということばがでてきましたが…。

皆藤慎太郎

産業財産権とは知的財産権の中の権利のひとつなんです。

田崎日加理

知的財産権?

皆藤慎太郎

はい。それではまずこの知的財産権についてご説明していきましょう。 知的財産権とは、人が考えて作ったもののアイデアなどを財産として、創作者に一定期間独占的に与える権利のことを言います。 わかりやすく言えば「形になったアイデアを守る権利」ですね。

田崎日加理

なるほど、たとえば誰かが考えたアイデアを、ほかの人が先に自分が考えたと発表することによって、最初に考えた人の権利が失われる。そんなことが起こらないようにするためなんですね。

皆藤慎太郎

その通り。
そして、知的財産権には、特許権、著作権、営業秘密、商号など、様々な権利がありますが、そのうち、特許権、実用新案権、意匠権、商標権の4つの権利を産業財産権といいます。
日本の産業財産権は、特許庁で管轄しています。

田崎日加理

なるほど!それではさっそく産業財産権のうち、特許のことから学んでいきましょう!

皆藤慎太郎

それではまいりましょう!

皆藤/田崎

よくわかる、特許!

ナレーション

私たちの社会では、新しいものが次々と開発され、暮らしや社会活動の役に立っています。
これらの技術開発によって生まれた発明やアイデアを財産として守ってくれるのが「特許権」です。
特許制度は、出願人などに発明の独占権を認める一方で、その代わりにその発明を公表して、それをヒントに新たな技術開発を促進する制度です。

例えば(この)デジタルカメラには数百件の特許技術が詰まっています。
その技術の進展により画質や画像処理能力が飛躍的に向上し、手振れ補正などユーザーに対してより使いやすく、より高品質な製品作りを可能にしているのです。

皆藤慎太郎

特許技術がいかに私たちを豊かで便利な生活に導くか・・・
ここにひとつの歴史を見てみましょう。
こちらは携帯電話の変遷です。
1987年、日本初の携帯電話が誕生しました。

田崎日加理

かなり大きいですし、機能も少なそうですね?

皆藤慎太郎

そうですね。当初は何と900グラムもありました。
それがこちらのように各携帯電話メーカーの特許取得に伴ってだんだん形も洗練されてきたんですね!。

田崎日加理

今見ると昔のものは随分と分厚くて、ポケットにも入りきらないくらいだったんですね。

皆藤慎太郎

なんだか懐かしいですよね。

田崎日加理

うーん

皆藤慎太郎

最新の多機能携帯電話は本当に薄いですし、スタイリッシュですよね。

田崎日加理

いろんな事ができますからね。

皆藤慎太郎

そして、もう一つ大きな特許技術として、無線方式に関する特許の取得で、初期型のあの大きなで携帯電話では考えられなかったメール機能で写真や動画を送れるようになりました。
現在ではスマートフォンと呼ばれる多機能携帯電話も多くの人々に使われています。

田崎日加理

今では当たり前の事が一つ一つの特許技術によって進化し続けているということですね。

皆藤慎太郎

はい、画質もかなり良くなりましたし、画像添付メールもだいぶ速く送れるようになりました。
本当にたくさんの特許技術とともに携帯電話の進化があるという事です。

田崎日加理

本当に便利になりましたよね!!携帯電話ひとつとっても特許技術の大切さがわかりますね!
特許を取るにはどうすればいいのか、その手続きはこちらです・・・

皆藤慎太郎

まずは、願書、明細書、図面など必要書類を揃えて特許出願します。
出願方法には、必要書類を特許庁窓口や郵送で提出する場合と、インターネットで出願する場合の2通りの方法があり、書面で提出する場合には別途、書面を電子化するための手数料がかかります。
現在では出願件数のおよそ97%がインターネットで出願されているんです。

特許庁で出願が受け付けられると、出願書類の不備などを審査をする方式審査が行われ、出願から18ヵ月後に、出願の内容が刊行物やインターネットで公表されます。
出願した人が「出願審査請求」という手続きをし、実体審査となります。
実体審査は特許庁の審査官が行ない、以前に同じような出願がなかったかなど厳正に審査されます。
この実体審査に合格すると登録の通知が送られてきて、特許料を支払って登録、となるのです。

田崎日加理

審査に合格しなかった場合はどうなるんですか?

皆藤慎太郎

不合格の場合はその理由が知らされるので、指摘された部分を修正すれば合格する場合もありますし、審査官の審査に納得できない場合は審判を請求することもできます。

田崎日加理

私たちの快適な暮らしを、誰かが考えた発明が支えているんですね。
特許の出願や登録件数は、年間どのくらいあるのですか。

皆藤慎太郎

出願は、年間約40万件、登録は、約20万件もあります。

田崎日加理

そんなにあるんですか!

皆藤慎太郎

そうなんです!そしてみなさんが出すアイデアは明るい未来への橋渡しなんですよ。

田崎日加理

続いては実用新案について学んでいきましょう!

皆藤慎太郎

よく質問のある特許と実用新案の違いについてもわかりやすくご説明します!

皆藤/田崎

よくわかる、実用新案!

ナレーション

実用新案は、物品の形状や組み合わせで、ちょっとしたアイデアでより使いやすくなるものなどを保護する権利です。
実用新案は機械・器具・日用品などを工夫する小さな発明、「考案」と呼ばれています。
たとえば、ランドリー周りにちょっとした収納があればいいのにと感じたときに洗濯機の上の空間を有効利用できたら・・と考えられたのがこちらのラックです。
また、取替え式モップのシートが簡単な工夫で、脱着しやすく、かつ、しっかりと固定できるようになったのも小さな発明、「考案」となります。

皆藤慎太郎

実用新案と特許はどう違うのでしょうか?もう少し詳しくご説明しましょう。
物や方法、物を生産する方法の「発明」が特許なのに対し、物品の形状・構造に関する「考案」が実用新案です。

田崎日加理

まったく新しいものを発明するのが特許で、今あるものを使いやすいように工夫するのが実用新案ということですか?

皆藤慎太郎

そうです。例えば、プレイステーション2の発明自体が特許で、横置き縦置きに合せてトレイ部分のロゴマークが回転できる技術が実用新案なんです。

田崎日加理

なるほど。それでは鉛筆自体は発明で、握りやすいように六角形にしたり、消しゴムをつけたりすると実用新案に該当するということですね。

皆藤慎太郎

特許の場合、「発明」という高いハードルがあります。
ところが実用新案はまさに小さな発明です。
「こうすればもっと使いやすいのに」とか「これとあれが一緒になると便利じゃない?」というアイデア。
このひらめきを図案化して、文章で説明すれば実用新案を取得できます。

田崎日加理

特許と実用新案の違いを表にまとめました。
特許は審査官が実態審査をするのに対し、実用新案では無審査ということですが?

皆藤慎太郎

はい。出願書類は、特許、実用新案とも作成方法・書式はほとんど同じですが、特許は出願の内容について、実体審査をしてから権利を与える 審査主義を採っているのに対して、実用新案では早く権利を与えるために、実態審査を行わない無審査主義となっているんです。

田崎日加理

そして権利の存続期間にも違いがありますね。

皆藤慎太郎

そうですね、権利が続く期間は特許が出願から20年あるのに対して実用新案は10年となっています。

田崎日加理

続いては意匠について学んでいきましょう!

皆藤慎太郎

意匠つまりデザインです!

皆藤/田崎

よくわかる、意匠!

ナレーション

意匠権とは、物品のデザインに対して与えられる権利です。
人の好みや趣味に強く訴えかける製品の外観のデザインは、ブランドマークなどの商標と並ぶ「商品の顔」と言えるでしょう。
意匠制度の目的は、物品のデザインの創作を奨励し、保護と利用を通じて産業の発達に寄与することです。
そして意匠権は新しく創作した意匠を創作者の財産として保護する ための権利です。
それでは、絵画などの「美術品」もその対象となるのでしょうか?
意匠権で保護されるのは量産が可能な工業デザインだけ、という条件があるので一品制作の美術品は意匠権の対象にはなりません。
典型的な物では「車」や「携帯電話」、「家具」、「筆記用具」、「包装容器」など、ほとんどの業種に関わる物品のデザインが意匠登録の対象となっています。

皆藤慎太郎

意匠権は、デザインを真似されないように守る、産業財産権です。
身近にあるいろいろなものが意匠登録されているんですよ!

例えば・・・これわかりますか?

田崎日加理

これはインスタントラーメンですよね・・・これのどこが・・

皆藤慎太郎

ここです。このくぼみ・・

田崎日加理

あー、これって卵を乗せるくぼみですよね・・
こういうものまで意匠登録されているんですね。

皆藤慎太郎

そうなんです。このようなユニークなデザインも意匠としての対象になるんです。

田崎日加理

ちょっとしたことですけど、りっぱな権利ですよね!

意匠登録にはどうすればいいのか、その手続きはこちらです・・・

皆藤慎太郎

まず、出願書類を特許庁に提出します。
その後、出願書類の不備などを審査する方式審査を経て実体審査となります。

田崎日加理

実体審査ではどのような観点で審査されるのですか?

皆藤慎太郎

審査のポイントは第一に、意匠が工業上利用できるものかどうか、新しい意匠かどうか、そして、だれでも容易に考えられないかなどです。

田崎日加理

実体審査を通過すると登録査定がおこなわれ、登録料を納付して、登録となるわけですね。

皆藤慎太郎

はい。そして意匠権が設定されたことを一般に知らせるため権利内容を記載した意匠公報が発行されます。

田崎日加理

自動車やペットボトルなどのデザインも意匠権で守られているんですね。

次は商標について学んでいきましょう!

皆藤/田崎

よくわかる、商標

ナレーション

私たちは、商品を買ったりサービスを利用するとき、企業のマークや商品・サービスのネーミングである「商標」つまりトレードマーク を一つの目印として選んでいます。
一方、事業者は営業努力によってよりよい商品やサービスを提供し消費者からの信用を積み重ねることによって商標に「信頼がおける」 「安心して買える」といったブランドイメージをつけていきます。
商標は、「静かなセールスマン」と表現されることもあり、商品やサービスの顔として重 要な役割を担っています。
このような、商品やサービスに付ける「マーク」や「ネーミング」を財産として守るのが「商標権」です。
商標は、使用する商品やサービスとの組合せで一つの権利として登録され、登録された商標をまねてほかの業者が使用することは禁じられています。

皆藤慎太郎

商標の特徴は権利期間にあるんですよ。

田崎日加理

商標の権利期間はどのくらいですか?

皆藤慎太郎

商標の権利期間は設定登録から10年間ですが、何度でも権利期間を更新できるので事実上商標権は永久に続く権利というわけです。
古いものでは、亀の子束子さんが明治45年から商標登録されています。

田崎日加理

明治45年というと、西暦では1912年…約100年前!

皆藤慎太郎

そうですねえ!
特許などは出願から20年で権利が切れてしまいますが、ブランド名や商品名は更新を続けることで、こんなにも永く使うことができるのです。

田崎日加理

みなさんも身近な商標を探してみませんか?

さて、商標登録にはどうすればいいのか、その手続きはこちらです・・・

皆藤慎太郎

商標登録の出願後、出願の内容が公開商標公報で公開されます。
提出された出願書類は、所定の書式通りであるかどうかの方式審査を受け、つづいて登録されるべき要件を満たしているか否かの実体審査を行い、審査を通過すると登録の査定が行われます。
そして、登録料を納めれば、商標権が発生し、商標登録証書が出願した人に送られます。

田崎日加理

商標は日々の暮らしにも密接にかかわっている権利なんですね。

さあ、ここからは特許庁の果たす役割について、実際に庁内をご案内しながら説明してまいりましょう!

皆藤慎太郎

私がご案内しますよ!
今回なんと、初めてカメラが入るところもあるんです!

皆藤/田崎

よくわかる、特許庁!

皆藤慎太郎

特許庁では、ここまでご説明してまいりました産業財産権の権利を付与する他にも、ユーザーのニーズに応えるため、たくさんの役割を担っています。
産業財産権施策の企画立案、国際的な制度調和と途上国協力の推進。特許法などの産業財産権制度の見直しや中小企業や大学などへの活用支援、産業財産権情報の提供など、日本の産業発展とみなさまの生活向上のためにさまざまな取り組みを行っています。

さて、今回は特別に、日ごろ入ることのできない、特許庁内の特許・意匠・商標審査室での実体審査の様子や、出願窓口、方式審査室、などもご案内します。
さあ、まいりましょう!

1階エントランスのこの像は高橋是清。初代特許庁長官です。
明治の初期から特許制度に関する資料収集を精力的に行ない海外の情報から特許の重要性を知ったことがきっかけとなって、明治18年、現在の特許法の前身である専売特許条例を公布しました。

こちらは日本の十大発明家のレリーフです。日本を代表する発明家たちに関する資料が展示されています。

あっ、この方!豊田佐吉さんです。世界のトヨタ自動車の創業者として有名ですよね。
当時広く使われていたバッタン織機の生産性と製品の品質の大幅な向上を図った木製の人力織機を発明して、日本で最初の特許権を得たそうです。
御木本幸吉さんは宝飾店「ミキモト」の創業者・・・何を発明したのでしょうか?
明治41年に真珠素質被着法の特許権を得たんですね。
この発明をきっかけとして日本の真珠養殖業は飛躍を遂げました。

さて再び、特許庁のご案内にもどりましょう。

ここは、出願を受付ける出願支援課です。
現在ではインターネット出願が97%を占めていますが、書面はこちらの窓口でも受け付けています。

さてここはTVカメラが初めて入るそうですよ・・・
・・いま行われているのは・・・方式審査ですか。
方式審査とは、…さっき勉強したばかりです・・・
特許出願,商標出願などの出願書類が、所定の形式や手続にそっているかどうかを判断する審査のことですね。

さてさて、特許、意匠、商標の実体審査の様子を、特別に見せていただけるということですので行ってみましょう!

特許の実体審査のフロアです。
日々厳正な審査がこちらでされているんですね。

デザインの写真や画像がたくさん貼られています。
そう、こちらは意匠の実体審査のフロアです。

ここでは商標・・トレードマークの実体審査をおこなっています。
ここは特許庁の16階の大審判廷です。
審判廷は、審判の手続きで使われる所・・・。
裁判所の法廷に似ていますね。
とっても重厚なしつらえです。

特許の権利はとても厳しい審査を行なっているのですが、それでも法律で決められた要件をきちんと満たしているのかどうかという争いが起きることがあるそうです。
審判廷では審判官の指揮のもと、特許権に疑問があって審判を起こした人が特許権を持っている人とお互いに意見を主張しあいます。実用新案、意匠、商標の権利についても同じですね。

2階には独立行政法人工業所有権情報・研修館があり、産業財産権の相談や特許情報などの産業財産権情報を閲覧することができます。

私たちは、発明やアイデアに囲まれて生活しているんですね!
みなさん、産業財産権制度と特許庁の役割についてよくわかりましたか?

私たちの生活にも密接に関係する権利のこと、これからもっと考えていきたいですね。

皆藤/田崎

それではまたお目にかかりましょう。
さようなら!

ナレーション

産業技術の発展とみなさまの生活の向上のために、産業財産権制度は、21世紀の日本にとって、ますます重要になっています。特許庁は、日本の産業の発展に向けた取組を積極的に進めています。

 


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