平成22年6月1日
特許庁
知的財産高等裁判所特別部において平成20年5月30日に言い渡された平成18年(行ケ)第10563号事件の判決において、補正が許される範囲について一般的な定義が示され、その後の知的財産高等裁判所の判決でも一貫してその定義が引用され判示がなされております。
そこで、本年1月28日、産業構造審議会知的財産政策部会 特許制度小委員会 審査基準専門委員会の第4回会合において、大合議判決や後続判決を受け、現行の「明細書、特許請求の範囲又は図面の補正(新規事項)」の審査基準を改訂すべきか否かが検討されました。その結果、審査基準専門委員会は、「現行の審査基準に基づく審査実務を変更せず、大合議判決との整合性をとる」との観点から審査基準を改訂することを了承し、その骨子を示しました。
これを受け、平成22年3月に「明細書、特許請求の範囲又は図面の補正(新規事項)」の審査基準改訂案を作成し、庁内及び庁外において意見募集を実施し、寄せられたご意見等を踏まえて、「明細書、特許請求の範囲又は図面の補正(新規事項)」の審査基準を改訂しますのでお知らせいたします。
なお、審査基準専門委員会において結論されたように、今回の審査基準改訂により現行の審査基準に基づく審査実務は変更されません。
改訂審査基準は、平成22年6月1日以降の審査に適用されます。
「明細書、特許請求の範囲又は図面の補正(新規事項)」の改訂審査基準<PDF 251KB>
「明細書、特許請求の範囲又は図面の補正(新規事項)」関連箇所の改訂<PDF 158KB>
「明細書、特許請求の範囲又は図面の補正(新規事項)」の改訂審査基準(案)に寄せられたご意見について
<平成22年3月に作成した審査基準改訂案からの主な修正点>
・第V部第T節 4.2(1)
4.2(1)の例3(ディスク記録又は再生装置の事例)及び例4(矩形ワークの事例)が4.2(1)(a)〜(c)のいずれに対応するのか理解できるように、4.2(1)の記載を明確化しました。
<改訂審査基準の概要>
現行の審査基準に基づく審査実務を変更せず、大合議判決との整合をとるという観点から審査基準を改訂するために、審査基準専門委員会が示した骨子は以下のとおりです。(第4回会合 資料5「新規事項の審査基準の改訂について」参照)。
a.一般的定義の新設
「明細書又は図面に記載した事項」とは、当業者によって、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項であり、補正が、このようにして導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるときは、当該補正は、「明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」するものということができるという一般的定義を設けることとする。
b.「新たな技術的事項を導入しないもの」の類型についての整理
補正された事項が"明示的記載+自明"な事項である場合は、特段の事情がない限り、新たな技術的事項を導入しないものであるとした大合議判決を受け、"明示的記載+自明"な事項である場合は、「新たな技術的事項を導入しないもの」として補正を認めることとする。
また、現行審査基準の「各論」において「補正が認められる」とされているものは、「新たな技術的事項を導入しないもの」として補正を認めることとする。さらに、現行審査基準において「補正が認められない」とされているものは、「新たな技術的事項を導入しないものとはいえない」として補正を認めないこととする。
c.「除くクレーム」とする補正についての整理
「例外的に」という言葉を削除する。上記b.と同様、現行審査基準の「4.2(4) 除くクレーム」において「補正が認められる」とされているものも、「新たな技術的事項を導入しないもの」として補正を認めることとする。
d.審査基準のいずれの類型にも該当しないものの取扱い
現行審査基準に示されていない類型の補正について上記a.の一般的定義にしたがって判断する際の審査基準の適用に関する方策を、改訂審査基準に記載することとする。
今般作成した改訂審査基準は、併せて記載の整合をとることなども行ったものです。
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[更新日 2010.6.1]