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松永長官 2020年 年頭所感

2020年の新春を迎え、謹んで新年の御挨拶を申し上げます。

明治時代に特許、意匠、商標に関する条例が制定されて以降、日本の知財制度は大正、昭和、平成、そして令和と、5つめの時代を迎えております。時代は移り変わりますが、知財制度を通じて産業の発展に貢献する、という特許庁の基本理念が変わることはありません。

一方で、その基本理念を叶えるために特許庁が行うべき施策やサービスは、時代、国内外の社会情勢の変化、技術の発展やそれに伴う商習慣の変化などに対応しなければなりません。

AI、IoT技術の発展に伴い、デジタル革命の進行やプラットフォーム型ビジネスの台頭など、産業構造や競争環境がダイナミックに変化しています。そうした変化の中でもユーザーのビジネスを支えるべく、特許庁は全力を挙げて取り組んでまいります。

産業構造が「もの」から「こと」へと移行する中、「こと」の提供による新しいビジネスモデルが登場しています。「もの」を中心とするビジネスの保護を前提にした特許制度が「こと」の提供による新たなビジネスを適切に保護できているのか、侵害から守ることができるのかについて、より深く検討する必要があります。さらに、知財紛争の形態も多様化するとともに、新たな紛争処理ニーズも生じています。こうした変化を踏まえ、AI、IoT技術の時代において生じている、あるいは生じ得る様々な事例を分析することで、現行の特許制度の課題を検証し、新しい時代に即した特許制度の在り方を議論していきたいと考えております。

特許庁は、どのような要件を満たせば特許として保護されるか、ユーザーに対してわかりやすく提示するために、世界に先駆けてAI関連発明の審査事例を作成しました。また、AI関連発明の審査実務に関する国際シンポジウムを開催し、この審査事例を活用することによって、日米欧中韓の五庁の審査判断のポイントを明らかにすることができました。AI関連発明の審査は主要知財庁のみならず、新興国でも注目されています。日本がリードすることで、各国におけるAI、IoT関連発明の権利化に関する議論を促進し、日本企業の海外進出の手助けとすることができればと考えております。

また、ビジネスの海外展開には、各国における迅速な特許ポートフォリオの構築が重要です。その観点から、特許審査ハイウェイ(PPH)ネットワークの拡大を続けており、昨年は世界に先駆けて、インドとのPPHを開始しました。引き続き、グローバルなネットワークを拡大すべく活動していきます。

意匠に関しては、日本企業が持つデザインの力をもっとビジネスに活かしていただくべく、今年の4月1日から、意匠法の保護対象の拡充や関連意匠制度の拡充など、多くの変更点を含んだ改正意匠法が施行されます。これまで意匠法の保護対象は物品に限られていましたが、AI、IoT等の新技術を利用したサービスに関する画像デザインや、企業のブランド戦略に重要と思われる建築物・内装のデザインを新たに保護対象とし、またシリーズ製品等の保護に資する制度を拡充するものです。特許庁は、生まれ変わった新たな意匠制度を多くのユーザーに活用していただけるよう、周知に努めていきます。

特許審査に関しては、世界最速、最高品質を実現、維持してきました。一方で、商標出願件数は世界的な増加傾向もあり、特許庁は業務の効率化を進めながら審査処理を促進してきましたが、出願から権利化までの平均期間は延伸する傾向にあります。商標制度は模倣品対策として極めて重要であり、模倣に先立ち商標権を取得して皆様のビジネスの信用を守るためには、適切な審査期間が求められます。皆様のビジネスのスピード感にあわせた審査を行えるよう、特許庁は今後、更なる業務の効率化を進めるとともに審査体制を強化していくことで、商標審査の処理を促進していきます。

イノベーションの担い手である、大学や中小企業、ベンチャー企業に対して、引き続き強力に支援していきます。特に、昨年からは大学に埋もれた発明を発掘し、それが社会実装につながるよう知財面から支援する「知財戦略デザイナー」の派遣を開始しております。私は、大学に派遣された経験から、研究者が多忙であり、知財戦略を十分に検討できていない問題を感じておりました。そのような問題を改善すべく、知財戦略デザイナーは大学の研究支援担当者と協働して、研究者に寄り添った知財戦略策定支援を行っていきます。

皆様のビジネスをサポートすべく、特許庁は今年も動き続けます。皆様には、知財行政に今後とも御理解と御協力を賜りますようお願いを申し上げますとともに、皆様のますますの御健勝と御発展を心からお祈り申し上げまして私の新年の御挨拶とさせていただきます。

特許庁長官 松永明

[更新日 2020年1月6日]

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