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糟谷長官 2021年 年頭所感

2021年の新春を迎え、謹んで新年の御挨拶を申し上げます。

新型コロナウイルス感染症拡大により、世界は未曾有の危機に陥り、日本経済も極めて大きな影響を受けています。
緊急事態宣言が出された昨年4, 5月には、特許・意匠登録・商標登録出願件数は、対前年比で大きく減少しました。昨年後半には、意匠登録・商標登録出願件数は前年並に回復したものの、特許出願は前年比減少が続いています。出願人の皆様に対するインタビューでは、半数弱の方が出願数を減少させる見込みと伺っています。売上減少に伴う出願削減により将来に禍根を残すこととならないよう、戦略的な対応をお願いいたします。

新型コロナウイルス感染症拡大により経済が大きな打撃を受ける一方で、リモート化・デジタル化は一層加速し、社会が求める製品・サービスのニーズ変化によって新たなビジネス機会が生まれるなど、イノベーションの重要性は、むしろ高まっています。リーマンショックの後、主要先進国の研究開発投資は速やかに回復したのに対し、日本ではショック以前の水準に戻るのに5, 6年を要しました。今回は、このような遅れを繰り返すことなく、イノベーションを促進する必要があります。

特許庁は、これまで、社会・産業構造の変化に応じて施策やサービスを対応させながら産業の発達を支えてまいりました。今後も、適切な産業財産権の付与を通じてイノベーション創出を支え、産業の発達に寄与するため、ユーザーの皆様に寄り添って自らの役割を果たしていきます。

1990年に世界に先駆けて電子出願を導入して以来、我が国の電子出願は、昨年12月で30周年を迎え、現在では、電子的な手続の率は約9割にのぼります。しかしながら、電子申請できず押印や紙の提出が必要な手続が500種以上存在すること、審判における口頭審理が対面実施に限られることなどから、コロナ禍においてユーザーの皆様に御不便をおかけすることとなりました。この反省を踏まえ、全ての申請手続をデジタル化することを決め、今年3月を目途に申請手続等デジタル化推進計画を策定する予定です。また、口頭審理のオンライン化の検討も進めます。

昨年10月には、コロナ禍で顕在化した課題への対応はもちろんのこと、産業財産権制度全般について、基本的・横断的な検討を行う場として、基本問題小委員会を立ち上げ、新たな時代にふさわしい産業財産権制度・政策の検討を始めました。2014年度以降赤字が続く特許特別会計についても、制度の持続可能性を高めるため、抜本的な業務プロセスの見直し・経費削減を前提に、必要な歳入を確保する料金見直し等の方策について検討を続けています。

イノベーションを支援するために、特許庁は、引き続き継続的な審査の品質向上に取り組みつつ、審査処理を維持、促進します。特許・意匠登録出願については現状の審査処理期間を維持します。商標登録出願については、海外の主要国と同様、出願件数が増加しており、これに伴い、出願から権利化までの平均期間は延伸する傾向にあります。そのため、今年度から任期付審査官補を採用するなど審査体制強化を実施しており、今後も体制強化を進めます。

意匠法改正によって保護対象となった「画像」、「建築物」、「内装」に関する意匠登録出願が昨年4月から開始されました。すでに800件を超える出願があり、10月以降、審査の上、意匠登録が始まりました。今後も、イノベーション創出、企業のブランド価値創出に資する意匠法改正内容の周知に取り組みます。

特許権だけでなく、意匠権、商標権を取得し、多角的に知財権利化する知財ミックスを戦略的に取り入れる企業が増加しています。自社の強みを守るために、どのように保護するのが適切か、企業に応じて知的財産の活用は変わり得ます。特許庁は、分野横断的に事業展開の時期に合わせて審査・権利化を行う「事業戦略対応まとめ審査」の実施等によって、知財ミックスを推進します。

イノベーション創出の重要な担い手であるスタートアップ・中小企業に対しても、引き続き強力に支援していきます。昨年7月に策定した第2次地域知財活性化行動計画に基づき、地域未来牽引企業等知財活用のポテンシャルが高い企業をターゲットに、経営戦略の段階から支援を開始し、知財戦略構築に向けた提案を行うとともに課題を抽出し、ハンズオンで事業成長までフォローアップ支援を実施しています。各支援企業からも高い評価を頂いています。

ビジネスのグローバル化には、各国における迅速な特許ポートフォリオの構築が必要です。今年1月には、45番目となるフランスとのPPH(特許審査ハイウェイ)を開始、引き続き世界の知的財産庁とのPPHネットワークの充実を図ります。また、特許庁が2015年からJICAを通じて専門家を派遣し、知的財産庁設立に向けた協力を続けてきたミャンマーでは、昨年10月に知的財産庁が一部オープンしました。引き続き、グローバルなネットワークを拡大し、皆様のグローバルな事業活動をサポートしていきます。

本年も、特許庁は、迅速・高品質な審査等を通じてイノベーションを促し、海外での権利化や予見性向上に貢献するなど、皆様のビジネスをサポートすべく全力で取り組みます。特許庁の行政に今後とも御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。皆様のますますの御健勝と御発展を心からお祈り申し上げまして私の新年の御挨拶とさせていただきます。

特許庁長官 糟谷敏秀

[更新日 2021年1月4日]

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