特許庁ステータスレポート2019
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Part2 2018 Policy Outcomes第2部 2018年の施策成果JPO STATUS REPORT 2019Support Measures, Law Amendments, etc. 支援施策、法改正等1092法改正<特許法>日本では、知財権を十分に行使できるよう、知財訴訟制度の充実に向けた取組みが累次にわたって行われてきたが、証拠収集手続の実効性は欧米の水準に比べて十分とは言えず、中小·ベンチャー企業等にとって訴訟のハードルは依然高い現状にある。近年、諸外国では、更なる実効的な権利保護に向け、訴訟制度の強化が行われており、日本としても、諸外国の動向を見据えつつ、知財訴訟制度の不断の見直しを行う必要がある。このため、2018年10月以降、特許庁は、産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員会において審議を行ってきた。2019年2月に以下の内容を含む報告書「実効的な権利保護に向けた知財紛争処理システムの在り方」をとりまとめた。(i) 証拠収集手続の強化• 中立な技術専門家による現地調査を可能とする、査証制度を創設する。(ii) 損害賠償額算定方法の見直し• 権利者の生産·販売能力等を超える部分の損害を認定する。• ライセンス料相当額の増額を認める。<意匠法>近年、AIやIoTといった技術が浸透する中、日本企業が生き残っていくためには、デザインを中心に据えた戦略の重要性が益々高まっている。このような状況を踏まえ、政府は、平成30年6月に「知的財産推進計画2018」を策定するとともに、「未来投資戦略2018-「Society5.0」「データ駆動型社会」への変革-」を閣議決定し、新技術を活用したイノベーション及びブランド構築に資するデザインの保護等の観点から、意匠制度の在り方について検討していくことを表明した。 これらの着実な実行のため、2018年8月以降、特許庁は、産業構造審議会知的財産分科会意匠制度小委員会において審議を行ってきた。2019年2月に以下の内容を含む報告書「産業競争力の強化に資する意匠制度の見直しについて」をとりまとめた。(i) 画像デザインの保護• 操作画像や表示画像について、物品に記録・表示されているかどうかにかかわらず保護対象とする。(ii) 空間デザインの保護• 物品(動産)に加え、建築物(不動産)を意匠の保護対象とする。• 内装が、全体として統一的な美感を起こさせる場合は、一意匠として意匠登録することを認める。(iii) 関連意匠制度の拡充• 関連意匠の出願可能期間を延長する。• 関連意匠にのみ類似する意匠を登録可能とする。

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