特許庁ステータスレポート2019
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Part2 2018 Policy Outcomes第2部 2018年の施策成果JPO STATUS REPORT 2019Support Measures, Law Amendments, etc. 支援施策、法改正等1113標準必須特許に関する取組IoT(Internet of Things)の浸透により、通信規格等の標準規格の実施に不可欠な特許である標準必須特許(standard essential patent、SEP)を巡るライセンス交渉に変化が生じている。SEPのライセンス交渉に多様な業種の企業が関わるようになり、これまで通信業界同士で行われていたライセンス交渉は、異業種間で行われるようになり、クロスライセンスによる解決は困難となっている。特許の必須性やライセンス料率の相場観にも見解の乖離が生じている。このような状況を踏まえ、特許庁では、SEPのライセンス交渉に関する透明性・予見可能性を高め、特許権者と実施者との間の交渉を円滑化するための取組を進めている。1) 標準必須特許のライセンス交渉に関する手引き*1SEPを巡る紛争はグローバルに発生し、また、その法的な論点や実務上の問題は多岐にわたる。また、幅広い業種の企業がSEPを巡るライセンス交渉に関わりを持つようになっているため、交渉に慣れていない企業が交渉を効果的・効率的に進め、紛争を未然に防ぎ、早期に解決するにあたって役に立つような、適切な情報の提供が有益である。そこで、特許庁は、国際的な状況を分析し、交渉にあたって踏まえるべき考慮要素を整理して示すべく、「標準必須特許のライセンス交渉に関する手引き」を策定した(2018年6月公表)。 [写真20]• 国内外の裁判例や実務等の動向を踏まえ、ライセンス交渉を巡る論点を客観的に整理。• どう行動すれば「誠実に交渉している」と認められるか、効率的な交渉の在り方、合理的なロイヤルティを決定するための考慮要素などについて記載。• 「生きた」手引きとして、今後もアップデート。2) 標準必須性に係る判断のための判定の運用開始*22018年4月1日から、標準必須特許のライセンス交渉の円滑化や紛争解決の迅速化を図るため、特許庁の技術的専門性を生かし、特定の特許発明が標準必須特許であるかどうか(標準必須性)の判断のための判定の運用を開始した。3) 標準必須特許を巡る紛争解決に向けた国際シンポジウム(2018年3月、日本)特許庁は、経済産業研究所(RIETI)と共催で、SEPのライセンス交渉における課題について議論をするための国際シンポジウムを開催した。様々な立場の有識者が一同に会し、主要な論点について討論をすることで、グローバルな議論を喚起した。• 国内外の著名な知財有識者、司法関係者、企業の知財責任者が登壇。• 望ましいライセンス交渉のあり方、ライセンス料算定の考え方、紛争を解決する手段としての国際仲裁の可能性などについて、パネルディスカッションを実施。• 議論の様子はインターネット動画にて生配信*3(アクセス数は延べ27,000回以上)。*1日本語https://www.jpo.go.jp/e/system/laws/rule/guideline/patent/document/seps-tebiki/guide-seps-ja.pdf*2日本語https://www.jpo.go.jp/system/trial_appeal/hantei_hyojun.html*3日本語https://live.nicovideo.jp/gate/lv311499997

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