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特許から見た容器包装分野の環境技術の現状と今後の課題

平成12年8月

総務課企画調査室

調査の目的

大量生産、大量消費、大量廃棄というこれまでの経済活動や消費者のライフスタイルを変えていかなければ、現在問題になっている環境問題を解決することはできない。すなわち、消費型から循環型経済社会システムへの転換が必要とされる。このような環境に配慮し、持続可能な経済成長を実現して行くためには、環境問題に対する「社会的・制度的な取り組み」と、それを支える「環境技術」の開発が車の両輪となって働くことが必要不可欠である。

容器包装分野においては、「制度的な取り組み」として「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」(以下、「容器包装リサイクル法」)が、平成12年4月より完全実施されるという時機を迎えた。

そこで、本報告書では、「環境技術」について、経済的・社会的背景を踏まえながら、特許から見た動向とアンケート調査から得られた結果とを調査・分析し、正確な現状把握と、今後の課題を浮き彫りにした。

「制度的な取り組み」と「環境技術の開発」の役割を表す概念図

「循環型経済社会システム」の構築

「循環型経済社会システム」の構築

容器包装産業の規模

容器包装の出荷金額は平成10年(1998年)には約6兆4,000億円の規模である。これは、昭和37年の出荷金額の約14倍、昭和54年からの20年間でみても約1.6倍に増加しているが、ここ数年は不況を反映してマイナス成長が続いている。

包装資材・容器出荷金額の推移(平成元年~平成10年)

包装資材・容器出荷金額の推移

包装資材・容器出荷数量の推移(平成元年~平成10年)

包装資材・容器出荷数量の推移

データ出所:(社)日本包装技術協会統計資料(平成11年)

容器包装分野の環境技術関連特許出願動向

1.全体出願動向 注

平成3年に出願が急増し平成4年~5年が最も多く、平成6年以降はほぼ定常的に出願されるようになっている。この出願の推移は、わが国における環境関連法規の制定時期に影響を受けていることが推察される。すなわち平成3年月には「再生資源の利用の促進に関する法律」いわゆる「再資源化促進法」が制定された年であり、平成3年から出願が急増したのはこの法律制定の影響であると考えられる。この法律では、紙、ガラスに対して再生資源の利用促進を、PETボトルに対して分別の表示の指定を制定し、再資源化対策を定めている。

この法律の制定後は、制定前の平成2年に比べ約5.5倍に出願が増加している。

環境関連法規

再資源化促進法

容器包装リサイクル法

H3.10

H9.4一部施行(H12.4より完全施行)

資源の有効利用
事業者への指導

  • 再生し易い製品の製造
  • 分別回収のための表示
  • 再生資源の利用促進

資源の有効利用・廃棄物発生抑制 容器包装リサイクルは、製造・利用事業者が責務を負う。

  • ガラス
  • PETボトル

再資源化促進法制定以降も、資源の有効利用、廃棄物の発生抑制の観点から、年間400件~500件の規模で出願されている。これは環境関連の法律として、平成5年10月環境基本法が制定され、さらに平成9年4月「容器包装リサイクル法」が制定されたため、容器包装についての環境問題対応に関する認識が高まったことがうかがわれる。

特許出願調査において、容器包装分野の環境技術関連出願の定義を、国際特許分類B65D1/00~85/00「物品または材料の保管または輸送用の容器」が付与されている出願において、「環境」、「再使用」、「リサイクル」、「資源」、「破棄」、「再利用」、「ゴミ減」、「処理容易」又は「省エネ」のキーワードを含むものとした。

2.環境技術区分でみた出願状況

※環境技術課題と環境技術区分環境技術においては「再資源化促進法」制定以降の資源の有効利用に関する開発が活発となり、「廃棄物処理法」および「容器包装リサイクル法」の法制化の動きに対応して、資源の有効利用に加えて廃棄物の排出規制に関する開発が進められてきている。すなわち従来の「1R(リサイクル)」から「3R(リデュース、リユース、リサイクル)」への開発の移行である。この3Rおよび適正処理を加えた4区分を環境技術とした。

環境技術課題

環境技術区分

リデュース(Reduce)
(廃棄物の発生抑制)

  • 材料少量化、軽量化
  • 部材省略化、部品点数減少

リユース(Reuse)
(再使用)

  • リターナブル
  • 別用途への再利用
  • 詰め替え

リサイクル(Recycle)
(再資源化)

  • マテリアルリサイクル注1(同じ製品の原料として、別の製品の原料として、分別し易い構造)
  • サーマルリサイクル注2

適正処理
(環境負荷低減)

  • ごみ減容(ごみの体積縮小)
  • 環境負荷物質の最小化(脱塩素化、生分解)

環境技術の出願推移

出願動向

各技術ともに平成3年に出願が急増している。平成3年時点では、「適正処理」の出願がもっとも多く、翌平成4年は「リサイクル」の出願件数が大きく伸びている。これらに比して、「リデュース」、「リユース」は、出願件数自体は少ないものの、特に「リデュース」については、環境技術4区分中に占める出願比率が増加していることから、廃棄物の発生自体を抑制する方向に技術開発がシフトしてきていることをうかがわせる。

注1「マテリアルリサイクル」とは、材料の再利用を行うもの。

注2「サーマルリサイクル」とは、ごみ焼却時の熱エネルギーを再利用するもの。

環境技術区分別の出願割合

環境技術区別の出願割合

環境技術区分別に見ると、「分別し易い構造」、「ごみ減容」、「リターナブル」に関する出願が中でも多く出願されている。

「分別し易い構造」については、紙容器と内袋との組み合わせ、段ボールと緩衝材を分離化し易くするなど分離後の材料を単一素材、またはリサイクルし易い状態にする技術が出願されている。

「ゴミの減容」は、廃棄物として排出する際に体積を縮小化するものであり、押し潰し、折り畳みなどをし易くする構造を付与する技術が出願されている。「リターナブル」では、リターナブルに特化した技術開発ではなく、出願内容を見ると再使用可能という記載にとどめたものが多い。

各環境技術区分の年別出願動向

各環境技術区分の年別出願動向

3.容器材料別の出願状況

容器材料別出願状況

出願件数別の出願人分布

材料別に見ると、プラスチック材料が最も多く38%を占めている、ついで紙24%、段ボール16%である。金属、ガラスにおける出願は少ないことが判る。

4.出願件数別の出願人分布

昭和63年~平成9年までの環境関連特許出願における出願人と特許出願数との関係を調査した。出願人は1,677人であり環境対応の特許に関して多くの出願人が関心を抱いていることが判る。

5.出願件数20件以上の企業名

企業分類

企業名

出願数

容器包装メーカー

大日本印刷株式会社

240

凸版印刷株式会社

218

株式会社吉野工業所

118

レンゴー株式会社

26

東洋製罐株式会社

20

材料メーカー(紙、フィルム、樹脂等)

王子製紙株式会社

31

積水化学工業株式会社

28

三菱樹脂株式会社

24

三井化学株式会社

24

ハードメーカー(家電、情報機器等)

松下電器産業株式会社

78

ソニー株式会社

39

三菱電機株式会社

35

コニカ株式会社

35

株式会社富士通ゼネラル

32

株式会社リコー

32

株式会社日立製作所

26

富士写真フイルム株式会社

22

三洋電機株式会社

22

株式会社東芝

21

キャノン株式会社

20

アンケート調査

1.容器包装分野における環境技術の特許・実用新案出願の割合について

国内外への出願割合

上の図は、出願人に対して、平成11年の出願を対象に、容器包装分野の特許、実用新案の出願のうち環境技術に関する出願の割合がどの程度であるか1.0%、2.約10%、3.約20%、4.約30%、5.約40%以上の5つから選択するアンケートの結果を、国内出願、外国への出願に分けたのものである。

国内では有効回答数271件のうち、環境技術関連出願の割合が約30%以上とした企業(上記及び)が20%程度占めている。

外国への出願は有効回答数225件のうち、環境技術関連の出願をしている企業は10%強に過ぎなかった。廃棄物処理などの取り組みは、国・地域ごとに異なるため、外国へ出願する動機が少ないためと考えられる。

アンケート調査は、(社)日本包装技術協会の会員企業を対象に実施した。850社へのアンケート送付に対する回答数は330社(38.8%)。その内有効回答数271社(31.9%)とは、特許・実用新案、環境技術について回答した全企業数から「関係がないので回答できない」という回答、または、基本的事項の企業規模や業種など企業概要についての回答しか無かった企業を除いたものをいう。

2.業種区分別による環境技術の特許・実用新案登録出願状況

業種区別による環境技術の特許・実用新案出願状況

国内への出願をみると、単純に環境技術関連出願が有る企業の割合が多いのは、金属製品工業と化学工業であるが、環境技術への意識の高さを図る基準として、同技術の出願割合が20%以上あるかという点を、一つの指標として見た場合、電気・通信工業は、全体の4割以上の企業がこれに相当する。さらに同工業は、環境技術関連の出願が約40%以上と答えた企業が最も多い点も併せて考慮すると、環境に対する意識がかなり高いことがうかがわれる。また、外国への環境技術関連願を行っている企業の割合はどの業種をとっても少ないものの、化学工業や電気・通信工業は2割以上の企業が出願を行っている。

3.資本金区分別による環境技術の特許・実用新案出願状況

注:資本金10億円以上を大手企業、10億円未満をその他企業とした。

資本金区分による環境技術の特許・実用新案出願状況

国内出願では、大手企業では環境技術を出願している企業がほぼ6割であるのに対し、それ以外の企業では約4割にとどまっている。大手企業は環境を意識した商品作り、環境技術の開発・展開を指向している企業が多いようである。しかし、その他企業でも環境技術の出願割合が約40%以上と答えた企業が約13%あって、健闘している。外国への出願は、いずれの場合も出願自体が少ないものの、資本金の多い大手企業における割合がその他の企業に比して大きい。

4.容器包装材料別の将来予測

プラスチック製容器包装

レーダーチャートの分析から「分別し易い構造(易分別構造)」、「ごみ減量」や「材料少量化」に関する技術開発の重要性が認識されていることがうかがえる。「材料少量化」により予めゴミ自体の量を少なくするという考え方は、廃棄時にゴミの容積を縮小化させる「ゴミの減容」との組み合わせにより環境対応への相乗効果が期待されるため、技術開発にあたってかなり意識されているということと思われる。

プラスチック製容器包装の廃棄物(例:PETボトル)を処理して高炉還元剤化、コークス炉化学原料化、油化、ガス化して再利用する、いわゆる「ケミカルリサイクル」や、埋め立て処理した際に自然に分解される「生分解性付与」等への重要度の認識、新規技術出現への期待がうかがえる。プラスチック製容器包装の環境技術への関心の高さを反映して、上述した「材料少量化」、「分別し易い構造」や「ごみ減量」という視点に加え、こうした技術開発の視点が多様化していくことにより、今後さらなる技術開発の活性化が予想される。

レーダーチャート

アンケートは、「重要度」、「緊急度」、「実現度」、「エネルギー」、「環境負荷(エネルギーを除く)」、「経済効果」、「新規技術」の7つの要因について、「現在」と「将来(7年後)」とも大、中、小の評価による回答を得た。これを「大を5点」、「中を3点」、「小を1点」として、平均値を求めてグラフを作成した。

図中において実線は現在を表し、点線は将来(7年後)を示す。

そして、7角形の枠の狭いものは評価が低く、広いものは評価が高いことを示し、さらに現在より将来にかけて広がりあるものは、今後大きな期待が持たれる分野である。

紙製容器包装

技術の重要度の高さからみて「材料少量化」及び「ごみ減量」共に技術開発の重要性が認識されていることがわかる。レーダーチャートも同様の傾向を示しており、「材料の少量化」と「ごみ減量」との組み合わせにより環境問題対応への相乗効果が期待されるため、今後技術開発がさらに活発化することが予想される。「ダイオキシン削減」に関しては、製紙行程でのダイオキシン発生が取り上げられたこともあり、将来にわたり技術開発への取り組みの必要性がかなり意識されているようである。

段ボール製容器包装

段ボール製品に関しても、前述の「プラスチック製容器包装」や「紙製容器包装」と同様、「材料少量化」及び「ごみ減量」共に技術開発の重要性が認識されていることがわかる。

レーダーチャート

まとめ

1.調査結果の総括

  • 容器包装産業の規模を表す容器包装の出荷金額は、ここ数年の不況を反映してマイナス成長が続いているが、容器包装分野の環境技術関連出願はこのような状態に関係なく、年間400件~500件の規模で出願されている。
  • 環境関連の法律の制定、施行にあわせて出願が増加する傾向にある。特に、再資源化促進法施行後の平成4年には、施行前の平成2年に比較して出願件数が5倍以上に増加している。これは、関連法規の趣旨である廃棄物のリサイクル等に関する認識が容器包装器関連企業に広く浸透したことにより、環境に配慮した技術開発が活発化し、結果として、法律施行の時期には出願が増加したものと考えられる。
  • 平成3年には「適正処理」の出願件数がもっとも多く、翌平成4年は「リサイクル」の出願件数が急増している。また、その後の出願件数自体も、「適正処理」や「リサイクル」が多くなっているが、これは、廃棄物の有効利用を中心とした開発が主流であったためと考えられる。その後、平成5年以降徐々に「リデュース」の比率が増加しており、廃棄物の発生自体を抑制する方向に移行しつつあることがわかる。この点は、アンケート調査の結果においても、将来にわたり「材料少量化(リデュース)」や「ごみ減量(適正処理)」の技術開発の重要性が認識されていることが現れている。「材料少量化」によりあらかじめゴミ自体の量を少なくするという考え方は、廃棄時にゴミの容積を縮小化させる「ゴミの減容」との組み合わせにより環境対応への相乗効果が期待されるため、技術開発にあたってかなり意識されているようである。
  • 容器包装は商品あるところ必ずと言って良いほど用いられるものであり、容器包装メーカーの出願が多いのは当然のことであるが、容器包装のユーザーからの出願も相当程度あり、出願人の業種が幅広いのが特徴である。具体的には、家電、情報機器メーカー等の出願が多い。1社あたりの出願件数は容器包装メーカーほどではないものの、20件以上出願しているメーカーが比較的多く、各社ともに積極的な技術開発を展開している様子がうかがえる。家電製品などは比較的大きな梱包材や多量の緩衝材を使用することが多く、梱包材や緩衝材の処理の問題を早くから認識していたためだと考えられる。
  • 容器包装材料別にみると、プラスチック製容器包装に関する出願が多く、出願全体の約4割を占めている。プラスチック製容器包装は平成12年4月より「容器包装リサイクル法」の対象となったこと、またアンケート調査でも、引き続きプラスチック製容器包装に関する技術開発が活発に行われる可能性が高いという結果を得られたことなどから、プラスチック製容器包装に関する環境技術出願は今後も増加するものと予想される。

2.今後の方向性・課題

今回特許出願調査をした平成9年までは、製品化された容器包装をいかにリサイクルするか、または適正処理するかが大きな課題となっていたことがうかがわれるが、本来、環境対応としては、まずごみの排出を抑制し、排出された廃棄物をいかに再使用、再利用するかを検討し、再使用・再利用できないものは処理を行うことになる

すなわち、「リデュース」→「リユース」→「リサイクル」→「適正処理」の順で対応されるべきであるが、今回の特許出願調査の結果では、「リサイクル」、「適正処理」での出願が「リデュース」、「リユース」の出願を上回っている。このことは、「リデュース」、「リユース」では、軽量化に伴う構造的な弱さを補うために、材料の高強度化を技術課題としているが、この技術課題は難易度が高く、特許出願時において開発途上であることと、すでに製品化されている容器包装による廃棄物の処理が急務であるという社会的ニーズによるものと考えられる。

  • リデュース
    今後の方向性としては、ごみ排出を抑制する本質的な課題である「材料少量化=ごみ減量・減容化」に向かっていくものと思われ、この点はアンケート調査結果からもうかがいしれる。その具体的な方策としては、ボトルなどのプラスチック成型品から袋への変更による軽量化、「低層化」、「単層化」による材料少量化、内容物を濃縮、固形化することによる小型化、個包装をなくし集合包装化することによる部材の省略化が挙げられる。また、材料および包装形態の開発により容器包装の薄肉化も今後進んでいくと考えられる。
  • リユース
    プラスチック容器包装での「リターナブル」が少ない理由は、繰り返しの使用に耐える高強度な容器、洗浄の容易さ、回収のシステムなどの技術的・社会的な対応が必要になるとともに、数回繰り返し使用することによる容器の外観劣化を消費者が受け入れることが「リターナブル」を推進する鍵であると考えられる。リユースにおける今後の方向性は、「リターナブル」であり、そのための包装技術や回収システムの確立が必要とされる。しかし、プラスチック製品では、今後「リターナブル」よりは「詰め替え」へと進んで行くと考えられる。
  • リサイクル
    容器包装に対しては、「マテリアルリサイクル」し易い、単一材料化、異材質容器の分別技術開発が課題であり、さらに商品化された商品市場の開拓も重要事項である。「サーマルリサイクル」おいては有害物質が生成されない材料の開発に期待がかけられている。
  • 適正処理
    今後の方向性として、適正処理は、環境対策の最終的な施策であり、「リデュース」、「リユース」、「リサイクル」の環境技術開発の進展により減少していくこととなる。
    「ごみ減容化」は、廃棄時の体積収縮よりもむしろ容器包装の小型化、薄肉化、単層化、すなわち「リデュース」として捕らえられ、ごみの排出抑制の方向にいくであろうと推察される。
    焼却対策としての適正材料開発である「脱塩素化」、「脱発泡スチロール」においては、素材の開発が進展することにより「適正処理」から「サーマルリサイクル」へ推移し、リサイクル対応技術へ変遷することになると考えられる。

[更新日 2001年1月6日]

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特許庁総務部技術調査課 技術動向班

担当:千壽、田代

電話:03-3593-1101

FAX:03-3593-5741

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