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第17回特許制度小委員会 議事録

  • 日時:平成16年7月12日(月曜日)14時00分から16時00分
  • 場所:特許庁 特別会議室
  • 出席委員:
    後藤委員長、中山部会長、相澤委員、浅見委員、伊藤委員代理(仁平氏)、大西委員、岡田委員、工藤委員、澤井委員、竹田委員、田中委員、土田委員、長岡委員、西出委員、萩原委員、長谷川委員、松尾委員、丸山委員、渡部委員

開会

委員長

それでは、定刻となりましたので、ただいまから第17回の特許制度小委員会を開催いたします。なお、本日は中山部会長にも御出席いただいております。どうもありがとうございます。

委員紹介

委員長

前回は御欠席でした萩原委員が委員就任後初めて出席されておりますので、一言、御挨拶をお願いいたします。

委員

日本知的財産協会から来ております萩原でございます。よろしくお願いいたします。

委員長

ありがとうございました。

事務局の交代

委員長

続きまして、事務局が交代していますので、報告をお願いいたします。

事務局

それでは、私の方から報告をさせていただきます。
7月1日付で南孝一が技術調査課長から調整課長に就任いたしました。その後任として、私、新井が技術調査課長に就任いたしました。よろしくお願いいたします。
また、前回の小委員会で長官、総務部長をはじめとする6月22日付の異動の御紹介はさせていただいておりましたが、7月1日付で守屋敏道が審判部長に、山口昭則が特許審査第3部長に、岩崎孝治が特許審査第4部長に、それぞれ就任しております。
代表いたしまして、総務部長の澁谷から、そして長らく事務局を努めておりました南から、一言ずつ御挨拶をさせていただきます。

事務局

総務部長の澁谷でございます。3年前まで総務課長をやっておりまして、また戻ってまいりましたが、その間、非常に速いスピードで物事が動いているなというのが実感でございます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

事務局

南でございます。このたび調整課長に異動いたしました。
この特許制度小委員会では、第1回から第2年間、事務局を務めさせていただきました。その間の皆様の御支援、大変ありがとうございました。御礼を申し上げます。私、引き続き2か月間、8月末まで総務部付ということで、この事例集が終わるまで引き続き担当させていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。

事務局

事務局からは以上でございます。

委員長

どうもありがとうございました。

新職務発明制度における手続事例集(案)(未定稿)について

委員長

それでは、早速、本日の議事に入りたいと思います。資料を用意していただいておりますので、事務局から資料の確認と説明をお願いいたします。

事務局

それでは配付資料の確認をさせていただきます。
本日の配付資料はお手元に3点ほどあろうかと思います。右肩に資料ナンバーを打っておりますが、資料1として議事次第・配布資料一覧、それから資料2として特許制度小委員会委員名簿がございます。それから、資料3は赤文字で「取扱注意」と書いてあるかと思いますが、「新職務発明制度における手続事例集(案)(未定稿)」、以上の3点でございます。
なお、資料3につきましては、「取扱注意」としていますが、事例集検討過程の未定稿でありまして、今後も内容が十分変わり得るものでございます。したがいまして、これを現時点で公開してしまうことは、広く一般の誤解を招きかねず、適切ではないと考えております。このような理由から、資料3の未定稿の「手続事例集(案)」につきましては非公開とさせていただきます。オブザーバーの方々にも配付させていただいておりますが、外部に漏れることのないよう、取り扱いについては十分御注意いただきますよう、よろしくお願いいたします。
資料1、2、3、以上でございますが、過不足等がございましたら、お願いいたします。
それでは、資料3の手続事例集(案)につきまして簡単に御紹介させていただきます。
まず表紙を開いていただきますと「はじめに」という文言が書いてございます。これは前回はございませんでしたが、今回追加させていただいた部分でございます。幾つかのパラグラフからなっておりますが、上段の1、2、3のパラグラフでは新職務発明制度の趣旨等をかいつまんで記載させていただいております。要すれば、原理原則としては「自主的な取り決め」によるというものですが、その過程で不合理性の判断が重要なポイントになります。この不合理性の判断というのはこれまでの御議論のとおり手続面を重要視するわけですが、不合理と判断された場合には従前どおり裁判所等に行く、そういう趣旨のことが書いてございます。
それから、中段に「一方」と書いてございますが、ここでは産業構造審議会知的財産政策部会が取りまとめた報告書の中で手続事例集を作成しなさいという御指摘をいただき、国会においても、中小企業等いわゆる社内の発明規定等が整備されていないところに対しても参考になるようにということで、規程例等を掲載する旨の御指摘を受けておりますので、その御指摘の点を記載させていただいております。
それから、下から第3パラグラフ以下では本事例集の性格や位置づけを書いてございます。ここは簡単に読んで御紹介させていただきます。
「本手続事例集は、これまでに新職務発明制度の考え方を様々な場において説明した際に出された疑問、質問や産業界、労働界、大学等から収集した手続事例等を参考に、特許制度小委員会の有識者の意見を聴きながら、Q&A形式でまとめたものです。また、本手続事例集は、関係者が実際に手続を行う上で参考となる事例を提供するとともに、法案提出者である特許庁が様々な手続事例を通して、新職務発明制度の立法趣旨を明確にし、併せて、新制度に沿った手続が円滑に行われることを意図して作成したものであり、法的な効力は無いことに留意願います。」ということでございます。
なお書き以下は、今後いろいろと御議論いただく過程で、順次、本手続事例集の改定をしていくという趣旨のところを書いてございます。
前回はなかった「はじめに」のところで、新職務発明制度の趣旨、手続事例集の性格、位置づけ等を簡単に御紹介させていただいております。
次の3ページが目次でございます。Q&Aは基礎編と応用編からなりますが、前回いろいろと御議論いただき、今般いろいろと整理させていただきまして、Q&Aにつきましてはトータル95問に整理させていただきました。従前ですと応用編が相当程度あったものを整理して基礎編に相当程度盛り込みましたので、今回は基礎編が77問、応用編が実質的に18問というボリュームの割合になっております。
目次に書いてありますように、「Ⅰ.基礎編」の第1章が総論です。ここでは概要並びに35条の具体的な意味、法文解釈といいますか、そういう類のところを紹介させていただいた上で、第2章以下は各条文に沿って具体的な事項についてQ&A形式で紹介させていただいております。第6章では前回御指摘があった契約との関係、そして第7章では大学における取扱いや新入社員の取扱いなどについてまとめさせていただいております。
「Ⅱ.応用編」では、先ほど申しましたように、Q&Aを前提として、もっと掘り下げた具体的な事例ということで18問ほど御用意させていただいております。
それから、参考として、(参考1)から(参考4)までございます。(参考1)、(参考3)、(参考4)についてはよろしいのですが、(参考2)の規程例につきましては、先ほど申しましたように特に中小企業等の整備されていないところを対象として幾つか規定例を添付することになっております。現在いろいろな観点で幾つかのバリエーションを検討中ですので、今回は御披露できませんが、次回には幾つかのバリエーションを取りそろえて御紹介する予定にしております。したがいまして、今回は基礎編、応用編、Q&Aのところを主に御審議いただけたらと思っています。
次の5ページが「職務発明関連条文」ということで、職務発明に関連する条文を御参考までに幾つか掲げてございます。
7ページは用語の定義です。Q&A形式の中でいろいろと用語が出てまいりますが、その用語の定義をここで御紹介させていただいております。
以上を前提としまして、早速、Ⅰの基礎編から御紹介させていただきますが、何分にも量が多いものですから、これはと思われるもの、あるいは実際こういう機会に遭遇するチャンスが多いのではないかといったところを、勝手ながら私どもでピックアップして御説明させていただきます。
まず、9ページ、第1章の総論です。前回もQ&Aという形で御紹介させていただきましたけれども、幾つか御指摘いただいたところもございますので、それを反映した上で整理させていただいております。
まず、そもそも論に近いところですが、「1.新しい職務発明制度の概要について」です。「はじめに」で述べたことと若干ダブりますが、「職務発明の趣旨は何ですか。」という質問に対して回答してございます。上段のパラグラフはやや抽象的ですので、若干かみ砕いた形で、中段の「具体的には、」以下に書いています。
簡単に御紹介しますが、まず一つは使用者の視点から書いていまして、「従業者等による職務発明に関しては、従業者等の雇用、研究開発設備の提供、研究開発資金の負担等、使用者等による一定の貢献が不可欠であることを重くみて、使用者等に法定の通常実施権を付与し、さらに、特許を受ける権利等の予約承継を許容する規定を設けています。」と書いています。
一方、従業者からの視点からということで、「一方、実際に職務発明を生みだした従業者等には、その代償として、『相当の対価』支払の請求権を与えています。」と記載するとともに、「権利承継の対価を確実に受け取れるようにすることによって、発明を奨励するためのものといえます。」と書いています。この部分には、こういうことで使用者等と従業者等との間の利益の調整が図られているということを記載してございます。
次に、問2、「新しい職務発明制度の基本的な考え方は何ですか。」ですが、第1パラグラフでは、原理原則ということで「自主的な取り決め」に委ねることが適切である旨を書いてございます。そうすることによって、9ページの下の方に、従業者等の満足感・納得感が高まるということ、使用者等にとっての予測可能性を高めることができるということを書いてございます。
10ページにまいりまして、「ただし、」以下に書いてありますが、使用者等と従業者等との立場の相違に起因して不合理な対価の決定がなされる場合がございます。このため、常に「自主的な取り決め」に委ねることは妥当ではありません。そこで、「自主的な取り決め」によって対価を支払うことが不合理と認められる場合には、従来どおり、裁判所等に「相当の対価」が委ねられるということでございます。
それから、なお書きとして、「自主的な取決めをできる限り尊重し、法が過剰に介入することを防止する観点から、不合理と認められるか否かは、自主的な取決めにより対価が決定されて支払われるまでの全過程のうち、特に手続的な要素、具体的には使用者等と従業者等との間の協議の状況などを重視して判断することとしています。」と書いています。
それから、問3は「新しい職務発明制度は、これまでの制度とどのような点が異なりますか。」という質問でございます。第1パラグラフでは、従前の制度にのっとった「相当の対価」の決め方が書いてございます。すなわち、「勤務規則等において職務発明に係る対価が定められていた場合であっても、裁判所が旧特許法第35条第4項に基づいて算定する対価の額が『相当の対価』であるとされていました。」と書いてございます。
そして、「これに対し、」以下で新制度のことを書いていますが、「契約、勤務規則その他の定めにおいて職務発明に係る対価について定める場合に、その定めたところにより対価を支払うことが不合理と認められない限り、その対価がそのまま『相当の対価』として認められることとなります。これが最も大きく異なる点です。」ということでございます。先ほども触れましたけれども、当然、不合理と認められる場合には従前の制度と同様の扱いになるというところを書いてございます。
以上、基本的なところを書き下してございますが、12ページからは特許法第35条4項及び5項のそれぞれの定めている具体的な意味を解釈的に「問」という形で起こして記載しております。
代表的なものとして、まず問1は「特許法第35条第4項と特許法第35条第5項の関係について説明して下さい。」でございます。回答については、上段の方にいろいろと書いていますが、中段の「すなわち、」以下で具体的に御紹介しております。まず①で第4項に触れていますが、「『契約、勤務規則その他の定めにおいて定めたところにより対価を支払うこと』が不合理と認められるものでない限り、その定めたところによる対価が『相当の対価』となる。」ということです。
一方、②では、「契約、勤時規則その他の定めにいて職務発明に係る対価について定めていない場合、又は4項により契約、勤務規則その他の定めにおいて定めたところにより対価を支払うことが不合理と認められる場合には、特許法第35条第5項の規定により定められる対価が『相当の対価』となる。」ということで、いわゆる裁判所等の判断による対価が「相当の対価」になることをうたってございます。
問2以下は条文に書かれている文言が具体的にどういうことを意味しているのかという問いでございまして、それぞれ条文の具体的な文言を取り上げてQ&Aという形で記載させていただいております。
…そ 14ページにまいりまして、一つの大きなポイントになろうかと思いますが、問7で不合理性の判断について触れております。「特許法第35条第5項には、『の定めたところにより対価を支払うことが同項の規定により不合理と認められる場合……』と規定されています。この不合理性の判断はどのように行われるのですか。」という問いに対して、答えの冒頭ですが、「不合理性の判断は、『その定めたところにより対価を支払うこと』、すなわち特許法第35条4項に基づき、ある職務発明に係る対価として、契約、勤務規則その他の定めにより支払われる金員の額が決定されて支払われるまでの全過程を総合的に判断して行われます。そして、総合的な判断においては、全過程のうち手続面の要素が重視され、実体面の要素が補完的に考慮されます。」ということでございます。そして、「4項は、考慮すべき例示として」以下で書いていますが、簡単に申せば、協議の状況、基準の開示の状況、あるいは意見の聴取の状況等、いわゆる法律の条文にのっとって記載していまして、こういう手続的要素を掲げていますが、これは手続面の要素を重視する趣旨を明らかにするものだということでございます。ここが不合理性の判断をする上で一つの大きなポイントとなる問いかなと思っておりますので、御紹介させていただきました。
それから、15ページ、第2章でございます。前回の御紹介の中ではQのみを御紹介させていただいたかと思いますが、今般はQを整理し、Aを付した形で御紹介させていただいております。ここからやや具体的なQ&Aとなります。
まず、第2章、「対価を決定するための基準の策定に際して使用者等と従業者等との間で行われる協議について」でございます。
1.が「基準を定める形式について」ですが、まず問1が「基準は必ず策定しなければなりませんか。」という問いですが、答えの冒頭に書いてありますように、常に策定しなければならないわけではありません。その背景としては、職務発明の行われる頻度が少ないケースもございますので、そういうケースでは、職務発明が行われるごとに、権利の承継や対価を使用者等と発明者である従業者等との間の契約で取り決める方が望ましいということもございます。
幾つかのバリエーションでのQ&Aを紹介しておりますが、問3でございます。問3は、「第4項の『対価を決定するための基準』は、第3項の承継等についての『契約、勤務規則その他の定め』の中で定めなければなりませんか。」という問いですが、必ずしも同一の「契約、勤務規則その他の定め」で定める必要はなく、例えば承継についてのみ勤務規則で定めて、対価を決定するための基準については別途契約で定めることも可能という答えにしてございます。
それから、次の代表的な質問は、16ページ、問5、「『基準』は、労働協約や就業規則で定めることはできますか。」という問いです。法律では「契約、勤務規則その他の定め」と規定されておりますが、その中には労働協約や就業規則も含まれると一般的に解釈されております。
問6は、それに関連して、「労働協約において、『基準』を定めた場合、どのように評価されますか。」という問いでございまして、冒頭に書いてありますように、労働協約において対価を決定するための基準を定め、その基準により決定された対価を支払う場合であっても、不合理性の判断は、特許法第35条第4項の規定に従い、先ほど申しました幾つかの協議の状況等を考慮して総合的に行われます。
ただし、労働協約は、労使により対等な立場で締結されることを前提としていますので、労働協約の締結に至るまでの過程においては、使用者等と従業者等との立場の相違に起因する格差が相当程度是正されている状況にございます。そういう状況ですので、使用者等と労働組合の代表者との間で実際の話し合いが行われることが多いと考えられます。したがって、協議の状況としては不合理性を否定する方向で考慮される可能性が高いのではないかと考えております。
次に、17ページにまいりまして、「2.使用者等の協議の相手方について」のところでございます。
代表的な問いとして、問1は「『協議』とは、使用者等と誰(どの従業者等)との間の協議ですか。」ということです。第1パラグラフの2行目後半から書いていますが、「当該基準が適用される個別の従業者等のことです。」ということです。
また、「なお、実際には」以下に書いていますが、基準は職務発明の発明に先立ってあらかじめ策定されることが一般的ですので、そういう意味では当該基準の適用を想定している従業者等と協議を行うことになるのではないかと考えております。
次に18ページにまいりますが、使用者等は当然対象となる従業者等と協議を行うため、2-1では「集団的に話合いを行う場合」について記載しております。
問1は「複数人の従業者等に適用される基準を策定する場合、一人一人と個別に話合いを行わず、集団的に話合いを行うことも、『協議』に含まれますか。」という問いになっておりまして、当然、集団的に話し合いを行うことも「協議」に該当するとしております。
以下、集団的に話し合いを行う場合について幾つかのバリエーションの問いを起こしていますが、19ページの問6をご覧下さい。おうおうにしてこういうケースがあるのではないかと思いますが、「従業者等と集団的に話合いを行ったのですが、全員が全く違うことを言っているため、話合いがまとまる気配がありません。適当なところで終わらせたいと思っているのですが、どの程度まで協議を行えばよいのでしょうか。」という問いでございます。
答えの1行目に書いていますが、「誠実な話合いが十分に尽くされたにもかかわらず、意見の相違が解消されず、それぞれの主張が対立したまま協議が行き詰まっているような場合には、使用者等からその時点で協議を打ち切ったとしても、その協議の状況としては不合理性を肯定する方向で考慮されることはないものと考えます。」ということです。
ただ、「一方、」以下に書いていますように、十分な話し合いを行わずに協議を打ち切ったような場合には、その協議の状況としては不合理性を肯定する方向で考慮される可能性が高いのではないかと考えております。
次に、20ページです。集団で話し合いを行うのですが、その中でも2-2は「代表者と話合いを行う場合」を想定してございます。
問1が「従業者等の代表者を通じて話合いを行うことも、『協議』に含まれますか。」ということですが、答えの2行目後半から書いていますように、話し合いの方法には特に制約はありません。したがいまして、代表者を通じて話し合いを行うことも「協議」に含まれます。ただし、その代表者につきましては従業者等を正当に代表していることが必要だということでございます。
では、「正当に代表している」というのはどのような場合ですかというのが問2でございまして、答えの部分の1行目後半から書いておりますように、「当該代表者に対して委任している(協議権限を付与している)場合をいいます。これは明示的に委任している場合のみならず、黙示の委任であってもよいと考えられます。」ということでございます。その黙示的な例示を「例えば、」以下で書いてございます。
それから、おうおうにしてあるのは問3のようなケースでして、「多数決で選任された従業者等の代表者と使用者等との間で話合いを行うことは、当該代表者に反対票を投じた従業者等との関係で『協議』と評価されますか。」という問いでございます。これについては、「原則として、当該代表者を選任することに反対した従業者等は、当該代表者に対して協議を行うことを委任していないと考えられますので、当該従業者等との関係においては『協議』は行われていないこととなります。」ということです。ただし、多数決などの方法により選任された代表者に協議権限を委任することを各従業者等が了承した上で投票を行った場合には、当該代表者は正当な代表者であると考えられるということについても答えの部分に書いてございます。
次に21ページですが、問6以下は特に労働組合との関係で幾つかの問いを起こさせていただいています。
問6は「労働組合への加入権がある従業者等が100%加入している労働組合の代表者と使用者等との間の話合いは、『協議』と評価されますか。」という問いでございます。答えの2行目に書いていますように、「組合に加入している全従業者等を正当に代表している場合には、その代表者と使用者等との話し合いは『協議』と評価されます。」ただし、労働組合の加入権のない役員あるいは管理職との関係では、協議は行われていないこととなりますので、その点に留意する必要があるということでございます。
問7は、先ほどの問いとちょっとダブりますが、「正当に代表している」とは、どのような場合をいいますかという問いでして、これは先ほど代表者のところでお答えした文言と同じような回答ぶりで紹介させていただいております。
22ページ、問8は「全従業者が加入しているわけではない労働組合の代表者と使用者等との間の話合いは、『協議』と評価されますか。」という問いでございます。答えの2行目から書いていますように、全組合員を正当に代表している場合においては、その代表者と使用者等との話合いは、全組合員と使用者等との間の「協議」と評価されます。一方、当該組合に加入していない従業者等との関係では、「協議」は行われていないこととなります。
さらに具体的な話になりますが、23ページ、「3.協議の進め方について」のところで幾つか問いを起こしてございます。
まず問1ですが、「使用者等と従業者等との話し合いで合意に至らなかった基準を各従業者等に適用することは、どのように評価されますか。」ということです。報告書にも書いてございますが、第1パラグラフの最後に書いていますように、合意をすることまで含んでいるものではありません。「したがって、」以下に書いていますが、仮に合意にまで至らなかったとしても、実質的に十分な協議が尽くされたと評価できる場合には、その協議の状況としては不合理性を否定する方向で考慮されます。
問2も、予め定めていた協議時間が経過した場合ということで、往々にしてあろうかと思いますが、ほぼ同じようなトーンで回答してございます。
24ページの問4ですが、「基準の策定について話合いを行うに当たり、使用者等の側としては、どのような資料・情報を従業者等に開示・説明することが考えられますか。」ということです。第1パラグラフのところに書いてありますが、実質的に十分な協議がなされたと評価できることが必要となり、そういう資料の開示・説明が必要なわけでございます。
「基準の策定に関係する情報としては、」のところで「第1に」と書いていますが、一つは職務発明規定に関する情報が挙げられます。そして第2に、ここでは使用者等における研究開発の状況に関する情報等も開示することが望ましいと考えられることから、使用者等における研究開発戦略等、幾つか例示的に書いています。そして、末尾2行、なお書きで御紹介していますが、「自社や他社の営業秘密など、経営の立場から開示することが問題と判断される場合、その情報を開示する必要はないと考えます。」ということでございます。
それから、25ページ以降の第3章では「対価を決定するための基準の内容面について」記載しております。
まず「1.基準に定める内容について」の問1は、「『対価を決定するための基準』は、どの程度具体的に定めたものを言いますか」という問いでございます。これに対しての答えは、第1パラグラフの1行目の後ろの方から書いていますが、「具体的にいかなる内容が策定されている必要がある、という制約はありません。」ということでございます。
さらに、「また、」以下の2行ほどに書いていますが、「旧法下における職務発明に係る対価をめぐる訴訟の判例を参考にして定めたものであっても、これらを参考にすることなく定めたものであっても構いません。」ということを御紹介させていただいています。
26ページにまいりまして、2.が「対価の算定方式について」でございます。
まず問1として、「対価の算定方式として、売上高又は利益という実績に比例して対価を支払うことを定めつつ上限額を定めることは、どのように評価されますか。」という問いを起こしてございます。これは先ほどの問いとも関係しますが、答えの1行目以下に書いていますように、「具体的にいかなる内容が策定されている必要がある、という制約はありません。したがって、売上高又は利益という実績に比例する方式で対価を決定して支払うことを定めつつ上限額を定めている基準も、『対価を決定するための基準』として評価されます。」ということでございます。
以下幾つか書いていますが、中段に「ただし」というくだりがあろうかと思います。「一般的には、基準の内容として実績方式を採用しつつ上限額を定めることは、上限額を定めない場合と比較して、不合理性の判断において、不合理性を肯定する方向で考慮される可能性があると考えられます。」と。要は、上限額を設けるか設けないか、相対比較をして、ここで紹介させていただいております。
ただ、ホームラン特許のような大発明がひょっと生まれる可能性もございますので、最後のパラグラフの下から3行目、「このため、一般的には、」として「基準の内容としては上限額は定めないことが望ましいとも考えられます。」ということでご紹介してございます。
問2は「対価の算定方式として、売上高又は利益といった実績に応じた実績報償を定めないと、不合理と評価されますか。」ということですが、「実績報償という方式で対価が決定されなければ、総合的な判断の結果として、不合理と認められるというわけではありません。」ということです。ケースバイケースとして紹介していますが、いわゆる期待利益を評価して対価を支払うという方式であっても、不合理と認められないことも当然考えられるということでございます。
それから、少し飛びまして、28ページ、第4章は「策定された基準の開示について」記載しております。
かいつまんで申し上げることができるのが問2でございます。「より不合理性を否定する方向で考慮されるようにするためには、従業者等に対してどのように基準を提示することが望ましいですか。」ということです。ここに書いていますように、「当該基準を見ようと思えばいつでも見られるような状況におかれていれば、開示の状況としては不合理性を否定する方向で考慮されるものと考えます。」ということで、その具体的な開示方法、インターネットとか、掲示板に掲示する等、問1で幾つか例示してございます。ここはそれを検討した幾つかのバリエーションの質問でございます。
次に、30ページに飛びまして、第5章、「対価の額の算定について行われる従業者等からの意見の聴取について」です。
1.の「意見の聴取の方法について」御紹介させていただきます。まず、問2でございますが、「使用者等において一旦算定した対価をとりあえず職務発明の発明者に支払った後に、当該発明者から意見を求めるという方法は『意見の聴取』に該当しますか。」という問いを起こしております。第1パラグラフの2行目終わりの方から書いていますが、意見の聴取とは「その算定についての意見、不服などを聴くということを意味しますが、その意見の聴取の方法には特に制約はありません。」ということです。「このため、あらかじめ発明者から意見を聴取した上で対価の額を算定するという方法であっても、使用者等において一旦算定した対価を発明者にとりあえず支払った上で、当該発明者に対価の額の算定について意見を求め、意見が表明されればそれを聴取するという方法であっても、『意見の聴取』に該当すると評価されます。」ということです。一つの事例として、共同発明といいますか、発明者が何人かいるようなケースについて該当するのではないかと思っております。
また少し飛びまして、32ページをご覧下さい。「2.意見の聴取の進め方について」のところでございます。ここでは問2を御紹介させていただきます。「より不合理性を否定する方向で考慮されるためには、従業者等から聴取した意見をどのように取り扱うことが望ましいですか。」という問いを起こしています。答えの部分の1行目から書いていますが、「使用者等において誠実に検討し、必要に応じて再度対価の額を算定し直すとともに、原則として使用者等から何らかの回答を行うことが望ましい。」ということでございます。さらに、どうしても両社の見解の相違が生じて埋まらない場合にはということで、(ア)と(イ)の二つを書いていますが、社内外の何らかの評価の機関の評価を求めたり、あるいは仲裁機関を活用することも考えられるということでございます。
またページが飛んで恐縮ですが、34ページをご覧下さい。この第6章はたしか前回御指摘を受けたかと思いますが、「使用者等と従業者等との間で契約を締結する場合」のところです。問いは基準と対価についての契約を起こしていますが、問1では基準について紹介をさせていただいていますので、問1で御説明させていただきます。
「対価を決定するための基準について使用者等と個々の従業者等との間で合意し、当該基準が適用されることについて使用者等と従業者等との間で契約を締結することは、不合理性の判断においてどのように評価されますか。」という問いですが、一般的に、「合意に至っている場合には、協議の状況としては不合理性を否定する方向で考慮されます。」ということです。「ただし、ケースバイケースですが、一方的に契約書面への押印を求めた場合など、契約の締結が従業者等の自由意思に基づいたものではないような場合には、不合理性を肯定する方向で考慮されることもあり得ます。」ということです。
同じような趣旨で、対価についての問いが問2に付してございます。
次に、35ページの第7章は、「その他」についてです。ここで幾つか御紹介しますと、「1.基準の改定について」ということで、問1が「基準を改定する際に、使用者等と従業者等との間で協議を行うことは必要ですか。」という問いでございます。この問に対する答えは、不合理性を否定する方向で考慮されるようにするためには、基準を新たに策定する場合と同様に、従業者等の意見が踏まえられるよう、協議を行うことが望ましいということです。
問2は「改定した基準を改定前に承継した職務発明に適用することはできますか。」ということですが、答えの1行目に書いていますように、「職務発明に係る権利の承継が行われた時点で、『相当の対価』の請求権が当該職務発明の発明者に発生します。したがって、以前の基準を改定したとしても、原則として、改定前に承継した職務発明に係る対価について、改定後の基準が適用されるものではありません。」ということでございます。ただし書きも書いておりますが、今申し上げたようなところが原則でございます。
次に、37ページの「2.新入社員の取扱いについて」でございます。新入社員の扱いにつきましては、前回は各項目の中でばらばらにありましたので、少し集約しております。
まず問1は「新入社員に対し、当該新入社員が入社前に策定済みの基準を適用する場合、不合理性の判断においてどのように評価されますか。」ということでございます。答えの1行目後ろの方に書いていますが、「策定済みの基準を適用する場合には、当該新入社員との関係では協議は行われていないと評価されます。もっとも、従業者等との間において協議を行わなかった理由等についても、不合理性を総合的に判断する上で考慮要素となり得るものと考えます。」ということでございます。
続く問3は「新入社員に対してはいつまでに基準を提示することが望ましいでしょうか。」という問いです。答えの第1パラグラフの2行目ですが、「当該基準の提示は、当該職務発明に係る権利の承継時までになされていることが望ましいと考えます。」ということでございます。
38ページは「3.大学における取扱いについて」でございますが、これは関係者の方々の御協力を得まして、3問ほどの問いを起こさせていただいています。
問1は「大学においても、企業と同じように、職務発明に係る契約、勤務規則その他の定めを整備する必要がありますか。」という問いでして、答えの1行目に書いていますように、35条は大学と企業を区別しておりませんので、大学とその職員との関係においても当然適用されるということでございます。
それから、問3を御紹介させていただきます。問3は「大学の研究室に所属する学生が研究室での研究に関連した発明を行った場合、当該発明は職務発明に該当しますか。」という問いでございます。第2パラグラフから答えを書いていますが、学生は大学と雇用関係にありませんので、一般的には35条で定義されている従業者等には該当しないと考えられます。したがって、通常、学生が発明をするに至った行為は職務には該当しないと考えられますので、「職務発明」には該当しないと考えられるということでございます。ただし、特定の研究のプロジェクトに参加する学生などの中には、大学と契約を締結して雇用関係が生じている場合もありますので、そういう場合には職務発明に該当すると考えられます。
次に、40ページの「4.その他」でございます。ここではこれまでに御説明した幾つかの範疇に入らない問いを幾つか起こしております。そのうちの一つが債務不履行のケースかと思いますが、問3をご覧下さい。この問いは、「契約、勤務規則その他の定めによって対価を支払うことが不合理であると認められない場合であっても、使用者等が既に従業者等に支払っていた額以上の支払いを求められることはありますか。」ということですが、基準に基づく対価の算定について計算間違いのある場合や、基準に基づく対価の算定において必要となる情報が一部抜けていたような場合には、対価が一致しないケースがございますので、こういう場合は、本来支払われるべき額が支払われていないということで、債務の不履行として、実際に支払われていた額との差額の支払いが使用者等に求められることになるということでございます。
それから、41ページの問5をご覧下さい。問5は簡単に言えばノウハウ等も対価を支払う必要がありますかということですが、ノウハウとして管理された場合も当然対象になりますということで、ここでは事例を付して答えてございます。
以上が基礎編でございまして、43ページ以降が応用編になります。応用編では、今まで御説明した基礎編のQ&Aを前提として、数値等を盛り込み、やや具体的に、もう少しかみ砕いて幾つかの想定事例を例示させていただいております。
まず、44ページにA社、B社とございます。従前はC大学がございましたが、大学関係については基礎編にすべてシフトさせましたので、ここではA社、B社としていまして、A社は大企業、B社は中小企業というふうに御理解いただければよろしいかと思います。A社、B社の代表的な質問をピックアップしたので、それだけ御紹介させていただきます。
45ページですが、第1章の「1.協議の当事者について」で、問1を起こしています。B社ですので、中小企業を想定した質問でございます。往々にしてこういうケースがあるかなと思っていますが、言うなれば自らが発明者であり、かつ使用者として話し合いを行うケースを想定しております。
答えの方ですが、自らが基準の適用を受ける場合、いわゆる発明者であっても、使用者等から委任を受けていれば、使用者等の側の立場に立って話し合いをすることができ、この場合、「協議」と評価されるということでございます。「なお、協議を行うにあたっての…」以下に書いていますが、代表者は、使用者等から委任されていれば、だれそれという特段の制約はございません。そして、「もっとも、ケースバイケースですが」以下に書いていますが、両方を兼ねるということは双方の利益が相反するおそれもありますので、「一般的には、基準の適用を受けない者を使用者等の代表者として協議に参加させることがより望ましいと考えます。」ということでございます。
そのほか幾つかの問いを起こしてございます。例えば46ページは「2.集団的に話合いを行う場合」ということで、大企業を想定した質問を幾つか御紹介させていただいております。
47ページ、48ページも関連した質問を御紹介させていただいております。
49ページが「3.代表者と話合いを行う場合」ですが、これも大企業においてはあり得るケースかなということで問2を御紹介させていただきます。
問2は長いので、かいつまんで申しますと、A社は東京研究所と大阪研究所という二つの研究所を有しているような企業を想定しております。いろいろと基準をつくって話し合いをしているわけですが、東京研究所の言うこと、大阪研究所の言うこと、あっちを立てればこっちが立たずと、そういう状況にあります。そういう中でA社としては間をとったような案で決定しようと思ったのですが、東京研究所の代表者も大阪研究所の代表者も必ずしもその案では評価しませんということで、どうしようもないので、このような状態で間をとった案で話し合いを打ち切ることは不合理性の判断においてどのように評価されますかという問いでございます。
答えのくだりですが、それぞれ実質的に十分な協議が尽くされたと評価される場合には、間をとった案を採用することとして話し合いを打ち切ったとしても、協議の状況としては不合理性を否定する方向で考慮される可能性が高いということでございます。次のページになお書きがありますが、こういうケースの場合、一つの案として、基準は幾つ定めても結構ですので、A社としては東京研究所の基準、大阪研究所の基準という二つの基準を策定することも考えられますということを御紹介させていただいております。
同じように、問3、問4では相当程度詳しい数値を盛り込んだ形の問いを起こしています。
それから、51ページ、「第2章 策定された基準の開示について」のところでは、A社、B社、大手企業、中小企業の例示を掲げてございます。
また、53ページ、「第3章 対価の額の算定について行われる従業者等からの意見の聴取について」のところでも、A社、B社のケースを具体的に掘り下げて問いを起こしております。
本来、この後に参考資料として(参考1)から(参考4)が添付されますが、冒頭申し上げましたように、中小企業等の参考に付するような規程等につきましては次回御紹介させていただくということで、ここには添付しておりません。そういうことで、今般は、手続事例集の中でも前回の御審議で御指摘いただいたところを踏まえて整理した上で、基礎編と応用編という形で御紹介させていただきました。
非常に雑駁でございますが、私からの説明は以上でございます。

委員長

どうもありがとうございました。
それでは、今御説明いただきました事例集(案)について御議論いただきたいと思いますが、何か質問、御意見等がございましたら、よろしくお願いいたしたいと思います。
委員、どうぞ。

委員

この事例集自体が相当大部なものですから、さらに検討を重ねなければ事例集として適切かどうかと判断できないと思われる点もありますけれども、前々日にメール添付でお送りいただいて、それに基づいて検討したところで若干の意見をできるだけ簡潔に申し上げます。
第1章の総論については、私は、問7を除いて、このとおりで今までの当委員会の議論の趣旨に沿っていると思います。
疑問なのは問7です。「全過程のうち手続面の要素が重視され、実体面の要素が補完的に考慮されます。」とありまして、補完的とはどういうことか直接には説明していないのですが、最後のなお書きのところを読んでみますと結局二つのことが書いてありまして、手続が全く行われていないような場合であっても、「最終的に算定された対価の額が極度に高額であるような場合には不合理であると評価される可能性が低い」ということと、「手続それ自体は不合理と認められなくても、最終的に算定された対価の額が極度に低額であるような場合には不合理であると評価される可能性があると考えられます。」とあります。
このうちの後段の部分は当委員会でも何回も議論しまして、私も結論としてこのとおりだと思いますが、疑問に思うのは前段の部分です。ここで言っているように、手続が全く行われなくても、対価の額が極度に高額であればそれでいいと言ってしまっては、補完的ではなくて、実体的な面もいわば対等に見ていることになりませんか。つまり、手続が不合理なものであっても、対価の額が高額であれば、その場合にはその手続は不合理とは言えないと言ってしまっては、決して実体面が補完的ではなくて、手続面とパラレルに見られていることになってしまうのではないかと思いますし、少なくとも従来の委員会でこういう議論が出たという記憶が私はないのですけれども、この点は検討し直していただいた方がいいのではないかと思います。
次に17ページの問3です。ここで「策定済みの基準を適用する場合には、当該従業者との関係では協議が行われていないと評価されます。」ということですが、問題なのは、協議の機会を与えたのに協議に応じなかった場合であって、そういう場合は含まないのだという趣旨を明示しておいていただかないと、協議を拒否した従業者に対しても、そのまま規則をつくってしまいますと不合理になってしまうということでは困るのではないかと思いました。
次に、先ほどの補完的というところが26ページで出ているのですが、2の問1で「上限は定めないことが望ましいとも考えられます。」とあります。確かに上限を定めない方が不合理と認められない可能性が高いということが言えると思うのですけれども、一方、40ページの問3で、いわゆる当てはめの誤りといいますか、例えば1級から10級に分類してあって5級に相当すると認めた場合で対価を支払った場合、従業者の側でそれは1級に相当すると言って争うことは債務不履行になるという趣旨でできるということになると思うのですが、そのこととの関係で言うと、上限を定めておけば、逆にそれが不合理と認められない場合は上限以上には行くことはないのですけれども、この上限を青天井にしておけば、逆にどれだけでも多く請求される可能性が出てくるということから見ると、26ページで「上限を定めないことが望ましい」と言い切っていいかどうか、40ページの問3との関係では若干問題があるのではないかと思います。
次に、26ページの問3です。あらかじめ期待利益を考えて決めることもできるというのはそのとおりだと思うのですけれども、それで決めたけれども、実際の実績としては企業の側が著しく利益を上げた場合等において、それについては何らの申し立てもできなくなってはおかしいわけで、その場合には再評価の申し立て、あるいは審査の申し立てと審査機関の設置が必要になってくるのではないか。
全体に感ずるのは、従業者の側に審査の申し立てと審査機関の設置ということを不合理と認められないことの内容として定める方が望ましいということが私は必要ではないかと思っているのです。例を出して恐縮ですけれども、委員長が前に新聞の論壇に書かれた中でもそういう趣旨のことをおっしゃっていたと思うのですけれども、それに関する部分はこの中に全く見られないのではないか。その点は全体を通じて不合理と認められないための要件として入れることが必要なのではないかと考えています。
それから、これは質問を兼ねてですが、非常に重要だと思うことは、35ページの第7章の問2で、「改定した基準を改定前に承継した職務発明に適用することはできますか。」という問いに対して、これは「別途個別に合意を行うことにより、適用することは可能であると考えます。」とありますが、そのことは私もこのとおりだと思います。ただ、一番の問題は附則の2条1項との関係でして、現行法が適用される事例についても、その企業が定めた基準に基づいて現行法によって支払うべき対価については、個別的に従業者との合意によって新たに企業がつくった報償規程で合意の適用を認めますということまで合意した場合には、その効力を認めるのかどうかというのは一番の問題点だと思うのです。私は肯定的に考えていいと思っているのですが、その点についてまで含んでここで書いているのか書いていないのかということについて御質問したいと思います。
以上です。

委員長

ありがとうございました。
いかがでしょう。

事務局

過去の経緯もございますので、私から御説明させていただきます。
まず、最初の御質問の14ページの問7です。御指摘のとおり、最後のパラグラフの後段は既に審議会でも議論があったところですので、これについてはこのとおりでよろしいかと思っています。
前段の部分の手続が全く行われなくても文句のないような額ならいいのではないかという記載です。この「手続が全く行われていないような場合であっても」という記載については御指摘のとおり不適切ではないかと感じますので、ちょっと修正させていただきます。
検討の経緯から言いますと、下から4行目の「不合理とは認められない程度に行われたとしても」という文言がありました。事務局で検討した過程では、「適切に行われていない場合でも」という記載があって、それは不適切だろうということで、下の方は修文いたしましたが、前段の部分、今の「全く行われていないような場合」の部分は正直言って見落としておりました。したがいまして、条文の構成といいますか、性格もあわせて、再度、事務局の方で検討させていただきます。
それから、17ページの問3でございます。これは、委員の御指摘のような趣旨のQ&Aが別の部分でありますが、誤解を避けるために、その旨のアンサーをここに追加させていただきます。
それから、26ページの問1と40ページの債務不履行との関係です。この部分について言わんとしていることは、問1の最後のパラグラフの前段の3行ですけれども、上限額を定めるに当たっても、きちっと議論をした上で定めてくださいということを言いたいということです。ただ、その部分も最終的には裁判所の判断によりますから、裁判におけるリスクを回避する意味では、上限額を定めておいた方がリスクが小さいでしょうという趣旨をここで書かせていただいています。そういう意味で、幾ら払うことになるかということよりは、むしろ訴訟リスクという観点で書かせていただいておりますが、40ページの問3との整合性については改めて検討させていただきます。
それから、26ページの問3の期待利益のところでございます。ここは期待利益で一時払いをするようなケースですけれども、そこで期待利益を算定するに当たって将来の予想利益等について従業者等との間できちんと話し合いが行われていれば、そこで確定した額が「相当の対価」となるという基本的な考えを示しているわけです。ただ、問題は実際のケースで、例えば期待利益を算定するに当たって何らかの重要なファクターが見落とされていたかとか、あるいは意図的に隠されていたかとか、そういった問題によって、実際上、ここで算定された額が「相当の対価」として妥当かどうかという議論はあるかと思います。
そういう観点もあって、見直す機会を設けるべきではないかという御指摘だと思います。ただ、期待利益がお互いにきちんと話し合った上で確定した額であれば、逆に改めて算定する見直しの機会を設ける必要はないわけで、そういう機会をあらかじめ設けた方がいいとすると、本来の改正の趣旨の対価の予測可能性といいますか、いつまでたっても使用者側には対価の予見可能性がなくなってしまうこともありますので、ここは原則論としてこのように書かせていただいています。
それから、35ページの問2ですけれども、ここで意図しておりますのは、事例集ですから新法施行以降の話でございまして、同一の法規のもとで基準が改定された場合、それは個別の取り決めで遡及適用もあり得るだろうということで、根拠法が異なる新法と旧法下のそれぞれの規定においてどのように判断されるかというのは、この問いの答えの中で述べているものではございません。その点について特許庁がコメントできる立場にもないと考えております。

委員長

ありがとうございました。よろしゅうございますか。
では、ほかに、いかがですか。

委員

私も幾つか総括的な意見と質問をしたいのですが、まとめて、できるだけ簡潔に申し上げます。
今回の改正は手続重視という形にシフトしましたから、当然、労働法との関係がいろいろ出てきます。今回の事例集でも出てくるさまざまな概念はすべて特許法上の独自の概念であるということは承知しておりますが、労働法との関係についてもう少し基本的な整理をして詰めた方がいいところが幾つかありますので、それを中心に申し上げたいと思います。
事例集ですから非常にプラクティカルなものになると思うのですが、これは当然かなりの役割を果たすと思いますので、前提となる基本の考え方は正確なものにした方がいいと思うのです。
第1に、まず職務発明とその対価は労働条件なのか労働条件でないのか。特許庁は恐らく労働条件でないというお考えだと思っていまして、それはそれでもちろん了解可能なのですが、就業規則、労働協約というものが基準の根拠として出てきますと、就業規則も労働協約も労働条件を定めるものですから、労働条件でないとすれば一体何なのか。その場合、例えば労働協約で基準を定めることになると、労働協約は労働組合法16条によって規範的効力という効力を持ちますので、その前提としては「労働条件その他の待遇」という言葉が出てくるわけです。これとこの対価との関係はどうなるのかということを少なくとも整理をする必要がある。その意味で労働条件なのかどうかというのが第1点。
第2に、20ページ以降で「代表者と話合いを行う場合」が出てきます。基本的な考え方として、委任という考え方が出ており、これもそのとおりだと思うのですが、もし労働組合を代表者とする場合、この委任関係はどこで生ずるのか。労働組合に加入することによって生ずるのか、それとも従業者等が特に職務発明と対価については委任関係を設定する必要があるのかどうか。そこのところはきちんとしておく必要があると思います。
もう一つは、20ページの問4ですけれども、過半数代表で話し合いをするという部分があります。これも、労働基準法上は過半数代表制という制度があります。委任ないし代表の正当性を担保するための制度として過半数代表制とその選出手続というものが定められています。これはどうなるのか。それを使えるのか使えないのか。ストレートに使わないとしても、その考え方は参考になると思いますので、それはぜひ検討していただきたい。
第3に、「協議」全体の問題です。これも労働法の目から見ますと、「協議」の一つの内容としては、法律上の団体交渉というものがあります。労働組合を相手にする場合の労使協議は団体交渉になります。それと、これはあくまで特許法上の独自の制度ですから、団体交渉ではなくて、特許法上の協議ということで労働組合と行う場合も当然あると思うのです。その場合、「協議」だとすると、その相手方としては、4つのパターンが考えられます。1番目は労働組合、2番目は過半数代表、3番目が代表、4番目は全員ですが、この4つのそれぞれのパターンについて、もう少し「協議」の態様、これを詰めて考える必要があるのではないか。
とりわけ労働組合を対象とする「協議」及び「団体交渉」については、労組法7条2号の誠実交渉義務との関係はどうなるのか。もしそれが同時に団体交渉であるということになれば、19頁の問い6だと思いますが、誠実に交渉すべきということを書かれたところがありますが、それが一体労働組合法との関係ではどうなのかということも考えた方がいい。つまり、この事例集を使う側からすると、ここで言っている「協議」なり「交渉」というのは労働法上の「協議」とどういう関係に立つのか。労働法上の協議を尽くしておけば、同時に特許法上の協議も履行されたことになるのかというのはポイントだと思いますので、それを詰める必要があります。
次に、「契約、勤務規則その他の定め」の意味ですが、これも今回の事例集を拝見すると5つのケースがありえます。第1は個別の合意、2番目が勤務規則、3番目が就業規則、4番目が労働協約、5番目が労働協約ではない労使協定、恐らくこの5つがあると思います。特許法上の概念ですから別に労働協約にする必要もないと思います。そうすると、それぞれについて、少なくとも次の点を検討する必要があると思います。
個別合意の場合には、自由意思というものが必要だということが34ページの問1と問2で書かれていて、これもそのとおりだと思いますけれども、具体的にどういうことをすればいいのかということについては、やはり労働法上の議論がありますので、それも参考になるのではないか。
次に、就業規則ないし勤務規則で定める場合には、少なくとも次の3つの問題を考えておく必要があると思います。第1は労働基準法90条の意見聴取と労働基準法106条の周知義務との関係はどうなるのか。2番目は、就業規則が拘束力を持つためには合理性が必要だという要件、合理性要件というものが判例法上確立されていますけれども、それとの関係はどうなるのか。3番目に、就業規則を改定する場合には合理性が必要だという確立した判例法がありますが、それとの関係はどうなるのか。これらの点も検討する必要があると思います。
それから、労働協約として定めた場合には、労組法16条によって規範的効力が発生します。規範的効力は、非常に強い効力ですから、それによって対価が決まるわけです。その後、当てはめの段階があると思いますけれども、その前提として基準の根拠を協約に定めることは相当大きな効力を発生させますので、規範的効力の関係はもう少し具体的な問題に即して詰める必要があると思います。なぜかと言うと、前も言ったと思いますが、個人の権利義務を協約で決定できるかという深刻な議論があるわけです。「協約自治の限界」という言葉で労働法上議論していますけれども、それとの関係が問題となりますので、この点も検討する必要があると思います。
最後に、労働協約でもない労使協定がどのように拘束力を持つのかという問題、その拘束力の根拠、それも考えておく必要があるのではないかと思います。
まだありますが、長くなりますので、後で時間があれば申し上げたいと思います。

委員長

お答えは結構ですということですけれども、何かありますか。

事務局

では、簡単に考え方だけを御説明したいと思います。
まず基本的に労働条件かどうかということですけれども、基本的には労働条件ではない。労働条件的な要素はありますが、労働条件かと問われれば、労働条件ではない。したがって、労働組合法なり労働基準法の適用はないというのが基本的考え方です。
というのは、例えば先ほど御質問の中でありました労働組合の代表者との委任関係ですけれども、21ページの問7です。労働組合等の代表者であっても、「従業者等が使用者と協議を行うことについて、委任している場合をいいます。」ということで、労働条件であれば自動的に労働組合の代表者に交渉権限があるというふうに解釈されるかと思いますけれども、これはあくまで特許法35条の問題であるので、この点について委任されていることが必要ということです。ただ、明示的委任かどうかというと、これは黙示の委任でもいいというふうに、そこは幅を広げています。
もう一点、我々がこの件について議論していた中で典型的な例として一つ考えましたのは、労働組合法の中の4分の3条項です。4分の3の従業者、同種の従業者の加盟する労働組合が使用者と労働協約を結んだ場合、この労働協約は残りの4分の1未満の従業者にも適用されるということですが、これについては明らかに特許法35条の精神とは矛盾してきてしまう。基本的には使用者と個の発明者の問題ですから、そういう意味では完全に労働条件として労働組合法の規定が重畳的に適用されることは好ましくないであろうと考えていまして、この事例集の中ではあくまで特許法35条の観点から説明をしています。ただ、労働関係法の中で特許法の職務発明の規定の適切な手続を行う上で、参考となるような手続については、同様の手続を借用させていただいて、参考とさせていただいているということでございます。

委員

今の労組法17条の問題は、協約の拡張適用の問題で、おっしゃることはわかります。しかし、労働条件ではない、したがって、労働関係法、労組法や労基法の適用が基本的にないということがわからないのです。つまり、就業規則とか労働条件でなくても、就業規則や労働協約に定めるということは、重畳的に労働組合法や労働基準法の適用があるということですね、労働条件でなくても。労働協約は特許法上の概念としてお考えだと思うのですけれども、同時に労働法、労組法上の概念ですから、それは適用したくないと思っても適用されざるを得ないわけですね。そこはどうなのでしょうか。

事務局

現に労働協約で定めている企業もあるようですけれども、おっしゃるとおり、定めてしまえば、仕方がないと思います。ただ、労働条件だから労働協約で定めなければならないかという視点で考えた場合に、労働協約で定めなければならない事項ではないという意味で整理をしています。
現実に積極的に狭義の労働条件ではない事項についても労働協約なり就業規則で実際に定めている例もありますから、整理をするとすれば、その範疇に属するものでしょうと。

委員

それはわかります。ですから、労働条件であると主張するつもりは私はないのです。労働条件ではないという点は結構なのですが、労働協約や就業規則で対価を定めれば、その限りで労働法規の適用はあるわけですね。その意味での整理をする必要があると言っているのです。労組法16条なり労基法89条、90条、ここら辺にそれぞれの基本規定があり、これが適用されるわけですから、それは今日の事例集と重複する部分がかなりあるわけです。ですから、もし重畳的適用がないのであれば、なぜそうなのか。あるとすれば、どの部分でどのように重複するのかということをはっきりしないと、混乱を引き起こしますよ。

事務局

御指摘を踏まえて検討させていただきます。

委員長

では、委員、どうぞ。

委員

知財協のいろいろな考え方を一定の範囲で取り込んでいただいて感謝申し上げたいと思うのですが、まだいろいろな点でどうかと思う点があります。ただ、今日は時間の制約もございましょうから、細かい点は、別途、書面で意見を出させていただきたいと思いますけれども、主な点を幾つか質問させていただきたいと思います。
1点目は、先ほど委員からも御指摘がございました26ページの2の問1でございます。ここで上限を設ける場合と青天井の場合との比較で、青天井の場合の方がより不合理性を否定する方向で考慮されるので、そのように定めることの方が望ましいとも考えられるというふうに書いてありますが、委員と同じ意見で、一概にそうとも言えないのではないか。
例えば、35条で言う「相当の対価」を適切な手続を踏んで不合理でない形で定めたものが上限があるものだとする。しかしながら、それに上限があったとしても、会社として別のルールで、インセンティブ、すなわち御褒美を与えるようなものがあったとする。つまり、上限があったとしても、それを超える部分については御褒美を与えるというような考え方をとるのだとすると、それはそれで従業者には一定の金額が入っていく。そういう面からも、どちらがより合理的か不合理であるかという点については、一概にいえないと考えています。
それに関連して、次に40ページの問1であります。問1は「基準が存在する場合であっても、その基準から導き出される金額とは異なる対価を個別に定めることができますか」ということで、ある意味で先ほどの26ページの2の問1と同じように、ホームラン発明等もここで想定されるのではないかと思うのですけれども、答えで「基準と異なる金額を個別に定めることができます」というふうにいきなり書いてしまわないで、原則はやはり基準に沿って考えるという考え方が普通ではないかと考えるのです。そして、例えば先ほど申しましたようなインセンティブ、御褒美を与えるという形でさらに別個の金額を積みますという考え方もできるのではないかと思いますので、ここも一考いただきたいと考えています。
それから、同じページの問4ですが、これは外国における特許を受ける権利の問題です。前回までの討議の場で外国の問題についてはいろいろ議論されましたが、最終的には報告書に載らなかったという経緯がございますし、ここに書いてありますように、まだいろいろ争われている途中ですので、ここでは下から2行目の「仮に」以下のような仮定の話を書くのではなくて、上の3行だけを残して、あとは企業に任せますというような書き方でよろしいのではないかと考えています。
それから、32ページに戻っていただきまして、問2でございます。「より不合理性を否定する方向で考慮されるためには、従業者等から聴取した意見をどのように取り扱うことが望ましいですか」という問いで、「何らかの回答を行うことが望ましい」という答えが示してありまして、この問いに対する答えとしては、これで十分かなと思います。よって、「なお」以下は、削除、すなわち必要ないのではないかと考えます。もしここで見解の相違があって整わないということであれば、まずは社内に何らかの機関を設ける等によって社内で解決していく。その次に、外へ持っていく、すなわち仲裁機関等へ持っていく、そういう順番ではないかと思いますので、まずは上の3行だけで答えとしては十分ではないかと考えています。
もう一つは、33ページ、問5でございます。ここで意見の聴取に当たって使用者等側が従業者等に提示・説明する資料の例示が例1、例2という形で挙げてありますね。例1は実績報償方式の場合はこういうような資料を提示しなさい、例2の場合は実績報償方式を採用しない場合はこういうものを提示しなさいということで、これは非常に細かく書いてありますね。特に例1の方は、対価の内容についての通知の際に、具体的に「利益に対する本件発明の寄与度」とか「本件発明に関連して行った使用者等の貢献」ということも提示しなさいという形の例示です。
一方、25ページで「『対価を決定するための基準』は、どの程度具体的に定めたものを言いますか」という問1がございまして、ここで「基準の内容としては、『会社の利益に対する発明の貢献度』や『発明による利益に対する発明者の貢献度』を考慮して対価を決定するというものであっても、これらを考慮することなく対価を決定するというものであっても構いません。」と書いてあります。要するに、「対価を決定するための基準」とは、従業者と使用者の間の合意があれば、どんなものを使っても構わないということをここで言っておきながら、一方で問5の例1では35条の5項に挙げてあるような内容のものが書いてある。だとすると、そうは言っておきながら、やはり対価の基準については35条の第5項に示すようなものがベースになるのかなというふうな、誘導的なものになってしまうのではないかということを危惧しております。
まだほかにもあるのですが、以上でございます。

委員長

どうもありがとうございました。
いかがですか。

事務局

いろいろ御指摘いただきましたけれども、例えば40ページの問4の外国特許の取り扱い、これは削ってしまってよろしいのでしょうか。というのは、確かに御指摘のとおり我々は頭の3行しか言うことができないのですが、だからといって現行法どおり職務発明規程の適用だけで行って、後で裁判で別途、例えば現地法に基づいて手続が必要と言われたときに困るではないかということで、安全サイドに倒して契約をした方がいいですよということを書いているんです。むしろこの方が安全ではないかということで書かせていただきました。
それから、最後に御指摘いただいた33ページの問5のところですけれども、この点については、前のところで御指摘いただいた基準の策定のケースと違いまして、意見の聴取ですから、実際の対価を既に何らかの根拠に基づいて算定をしているわけなので、その算定根拠を具体的に示してくださいという意図で幾つか例示をしています。ここでは我々は例示が必要だと考えていますが、例えば例1の3つ目のポツの「使用者等の貢献」は、「使用者等の貢献」というよりは、むしろ「発明者の貢献度」というふうに書いた方がいいのかもしれません。なぜかというと、この書きぶりでいくと御指摘のとおり5項に準拠したような書き方ですから、むしろ「発明者の貢献」として、例えば共同発明等ですと、複数の発明者がいて、その中で当該発明者の寄与度を何%として計算したかとか、具体的な対価を計算するに当たっての根拠を明示してくださいということがわかりやすくなるように例示をしたつもりです。そういう意味で、例示は残したいと思っていますが、例示の内容については改めて精査をさせていただきます。
それから、冒頭に御指摘いただいた発明の対価とインセンティブの関係ですけれども、今の御説明の中で出たような個別の発明と対応するようなインセンティブというのは、それはやはり対価と判断せざるを得ないのではないかと思います。場合によって、そこは対価でなくてインセンティブということについては、仮に35条で訴訟になったときに裁判所でどのように判断されるかということになりますけれども、基本的には発明と1対1で対応するようなものであれば、それは35条上の対価として整理する方が妥当ではないかと考えています。ただ、御指摘を幾つかいただいていますから、その点、改めて検討させていただきます。

委員長

委員、どうぞ。

委員

ありがとうございます。2点ございます。
26ページに示されている基本的な考えとして期待利益に基づいて報酬を払ってもいいということは、私は非常に重要だと思います。法律の書きぶりからしても予約承継ができるということですから、その趣旨がはっきり生かされるように書くべきです。問2の書きぶりは中途半端といいますか、できるようだけれどもケースバイケースだという書き方になっているので、期待利益に基づいて払えるということをもう少しはっきりと強く書くべきではないでしょうか。それは予約承継ができるということと整合しています。
発明者が予測できなかったけれども、事後的にホームランになった特許にお金を払っても、発明へのインセンティブとはほとんど関係がないことに留意すべきです。もちろん、その場合にも払った方がいいというふうに企業が判断する場合もあるでしょうし、そうでない場合もあるでしょうけれども、事後的に大きな利益をもたらした特許に関して必ず報償しなければいけないということを35条の解釈であるかのようにするのは、発明へのインセンティブの観点からあまり意味がありません。加えて、発明の商業化への投資をするのは企業ですから、そのような解釈は企業の所有権を非常に不安定にするという問題もあると思いますので、弊害が非常に大きいのではないかと思います。
ですから、問2と問3の書き方において、期待利益による支払いは確実に選択ができるのだということを明確にすべきだと思います。もちろん、企業が意図的にインサイダー情報を隠すとか、そういう悪用するケースは例外的なケースであって、期待利益による支払いが認められるのはケースバイケースいうふうに書くのは、私が今まで議論を理解していた過程と少し違うという感じがします。また、上限額を定めるか定めないかも全く企業と従業者の間の契約の自由だと思います。だから、上限額を設けた方がいいと書くのも問題ではないかというふうに私は思っております。それが1点目です。
2点目は、不合理性の判断で企業が発明の評価をいかにしているかということを示す義務が当然生じると思うのですが、発明の評価は容易ではなく、発明をするコストと評価をするコストと同じくらいかかる可能性もあるわけで、発明を評価するコストがかなり膨大だという認識に立って現実的な知的財産管理ができるように、配慮することも重要だと思います。
以上、2点です。

事務局

前段の御指摘ですけれども、我々の意図も基本的には期待利益に基づいて算定してもいいし、実績報償で払ってもいいということで、それは企業と消費者側の話し合いで決めていただければいいという意図で答えを書いていますが、御指摘のような誤解が生じるものであれば、文章をもう少し工夫したいと思います。

委員長

委員。

委員

先ほど御説明のあった33ページの問5の話です。使用者等がこういう資料を出すということはいいのですけれども、現実の特許出願等々の場合、本当の発明者は誰かということが非常に問題でありまして、ここの議論では既に発明に記載されている筆頭発明者と共同発明者みたいなものに限られているのですけれども、そうでなくて現実の場合は、歴史的に見ると、部下とか助手のような者にやらせて、大発見をしたときに、上司が自分だけの発明にして全く無視してしまって、後からあれはけしからんと言って争いになるケースが非常に多いんです。ですから、ここでは「使用者側」と言われていますけれども、それがもめた場合、出された資料が正しいかどうかをどこが判定するかというのは問題になるケースがあり得ると思います。

委員長

いかがですか。

事務局

誰を発明者とすべきかということにつきましては、職務発明の議論をするに先立って、特許制度小委員会の何回目かに「発明者とは」ということで一度御説明をさせていただいたことがあるかと思います。特にアメリカにおいては誰が発明者かということが非常に厳しく見られて、場合によっては特許が無効になるケースもありますから、そこは十分に配慮して、発明者が誰かということをきちっと判断した上で特許出願していただきたいと思います。
最終的に、実務上といいますか、慣行上、ご指摘のような取り扱いがされているとしても、発明を届け出る際に、発明者の貢献度はその時点できちんと決めて知財管理部署に届け出をしていただいておくことが一番安全かと思います。多くの企業ではそのようにされているかと思いますけれども、後で誰がどのぐらいの発明に寄与したかということを検討するのは非常に難しいことですから、基本的には発明届出時点でその配分を決めていただくのが妥当かと思います。

委員

報償金が少ないうちはあまり問題がないと思うのですが、巨額になった場合、発明者と発明者にならなかった協力者との貢献度の議論が蒸し返される可能性は十分にあると思います。

委員長

では、委員、どうぞ。

委員

14頁の「例えば」について、手続がなくても、5項の要件を満たすとそれ以上請求は受けることはないので、修正する場合は注意していただきたいと思います。
「極度に低額」という言葉遣いはちょっといかがかと思います。
それから、労働法との関係につきましては、私も委員の御指摘のとおりだと思います。何で決めたかによって法的拘束力が違ってくるわけで、そこはきちんと労働法上の問題を踏まえた議論をしないと、誤解をする可能性があると思います。
それから、26頁の上限の議論がありました。確かに上限を定めることができないとは言えないと思いますが、合理性の判断に実体が入るとすると、実体は5項が基準になると思います。5項は現行法の解釈が影響が与えると思います。そうすると、上限を定めた場合の方がリスクが高くなりますよということは妥当ではないかと思います。
それから、期待利益ですが、知的財産をディスカウント・キャッシュフローで計算するといっても、この計算方法が確立していないのではないかと思います。したがって、これがいいというのはいいんですが、裁判所が是認するような計算方法が確立されているのかどうか疑問ですので、そこを余りに強調すると、それではどうしたらよいのかと言う疑問が残るのではないかと思います。
それから、32頁の問2の問題です。これは委員が御指摘のように、紛争処理をきちんとすることも合理性を担保することの中で必要ではないかと思います。そうなると、社外的機関であるとか仲裁ということは非常に重要になるわけでありまして、これを取ってしまうとちょっとおかしいのではないかと思います。むしろここのところは、委員が御指摘のように、不服申し立ての機会というものをきちんとやった方がいいのではないかと思います。
ただ、その場合、仲裁法の附則で、個別的労働関係には適用されないことになっていますが、その「個別的労働関係」にこの35条が入るのかどうかということの問題は明確ではありませんので、そこを含めて言及しておいた方がいいのではないかと思います。
最後に、35頁の問2のところで、委員が御指摘の附則との関係ですけれども、これは旧法上の法的評価を受けるということだと思います。現行法で法的評価を受けるけれども、現行法でも、事後的な、和解契約については、その効力を認めた下級審の判決があるので、そういう趣旨で書いていただくというのもよろしいのではないかと思います。
以上です。

委員長

どうもありがとうございました。

事務局

一点だけ、先ほどの上限のところで、合理性の判断に実体面が入るという御指摘をいただきましたけれども、我々はここでなぜ「望ましい」と書いたかといいますと、これは実体面の判断ではなくて、第5項にあります「定めのない場合」に該当するという判断がされる可能性があるということで書かせていただいています。したがって、上限額の多寡が問題ではなくて、上限があることによって定めがない場合と判断される可能性がありますよということを書いているということでございます。

委員長

委員、どうぞ。

委員

38ページの「大学における取扱いについて」のところの問3に関連して、質問というよりも、できれば教えていただきたいのです。
学生の発明は各大学とも取り扱いに非常にお困りで、私も質問を受けて、わからないことがあるのですけれども、学生が単独で発明をした場合、これは自由発明だということで簡単に処理ができるのですが、ある先生などと一緒に共同で研究をして発明をした場合に、素直な学生で先生と一緒に大学に承継しましょうということで納得すればいいのですが、場合によってはそうならない場合があります。そうすると、一つの発明で、発明者に学生が入っていて、先生の方は機関帰属で大学の方へ渡しますが、学生がそれを渡さないと言った場合には、強制的にやるわけにいかなくなりますね。そうすると、出願に際しては大学とその学生が共同出願にするのかということになりまして、後の処理が大変なことになるわけです。そうなりますと、大学が企業と共同研究をやって共同出願をするのと同じようなことが学生との間に起こることになりまして、その取り扱いが非常に煩雑になります。まだ起こっているわけではありませんが、そういうケースが考えられるということです。
そういう場合にどうしたらよいのかということで私も質問される場合があるのですが、そういうときは、私が申しました共同出願にする以外に、こういう方法があるとか、これが一番いいのではないかということがあれば教えていただければありがたいということです。

事務局

基本的に、その学生が学校にその発明の自分の持ち分を承継することを拒んだ場合には、共同出願するしかないと思います。ただ、その学生にとっても多分手続が煩雑になりますから、多くの場合は、別途、学生と大学との間で承継契約を結んでいただいて、共同発明者として名を連ねて大学が出願人になるということが通常になるのではないかと思います。ただ、それを拒まれたら、御指摘のとおり、共同出願しかないと思います。

委員

共同出願しかありませんか。わかりました。

委員

個別的な共同研究をするときに、このグループに入る人はこういう条件ですということで、個別の学生さんと契約するということを否定する趣旨ですか。

事務局

個別の契約であれば、いいです。

委員

そこをきちんと書いておいてあげないと、分かり難いと思います。

事務局

そうですね。

委員長

委員、どうぞ。

委員

前回お話が出て幾つか盛られているので、そこはよろしいのですけれども、二、三確認をしたいんです。
今回は事例集ということですけれども、そのベースは新しい35条に基づいての事例集だという理解をしてよろしいのですよね。

事務局

そのとおりです。

委員

先ほどからいろいろな議論が出ていて、一つひっかかっているのは、新しい考え方に基づいてやりますと言いながら、これまでの判例がこうですとか、そういう部分が出てくるんです。企業にとってみると、今回の改正は手続重視ということで、どういう手続を踏めばいいかというところについて先例がない中でやっていくわけですので、特に規定のところについてもどう考えるか、考え方を整理しておく必要があるだろうと思います。それは先ほど委員がおっしゃったようなところにも絡むと思います。
我々企業サイドから見ていて一番あれなのは、企業がこの研究開発をやらせたいというふうにまず意思を持って、当然、研究開発投資等、もろもろのリスクをとってやるわけですね。にもかかわらず、ある種の対立構造のように使用者と従業者を捉えているという印象を受けるので、そこのところは誤解がないようにしていただきたいというのがまず第一点です。
それから、先ほど委員も言っていたのですけれども、対価とインセンティブという議論がいまひとつよく見えないです。先ほどの誰かの質問で、払っているお金はすべて対価ですよというふうに見られたときに、いささか奇妙な状態も出現してしまいます。例えば、大学の先生と企業の研究者が共同発明をして、大学と企業が権利の持ち分をフィフティ・フィフティにしたとします。企業はその社内ルールに基づいて計算して研究者に50万円を払いましたが、大学は学内ルールで計算して先生に1000万円払いましたということが起こりえます。そのときには、同じ権利でありながら対価が違うように見えるわけですね。そういうときに、対価はある程度画一的なものだという前提で考えているとすると、まず矛盾が起きると思うんです。
企業は今いろいろな形で報償をしていますけれども、その中は35条の対価と、会社としてある種の経営を回していく中で、ある利潤が出たときに、御褒美の意味も含めて、いろいろなルールに基づいてお金を払っているわけです。それが結果的に全部対価ですよというふうに断定的に言われると、これからの運営が非常に難しくなるのではないかと思うのです。だから、そこら辺は何か考え方を出していかないと、事例集が出されたときに非常に困惑するのではないかという感じを持っています。
もう一つは、最後の方で規程類は参考にしていただいているという形なのでいいんですけれども、冒頭の御説明で幾つか例文をつくりますということでしたが、我々企業で実際に扱っておりますと、業種業態、企業の経営の考え方によって規定類の作りはかなり違うので、これしかないという内容のものが間違った形で実質的な強制にならないような工夫はぜひやっていただきたい。
それから、この事例集はかなり多岐にわたりますので、経団連としては、これに対するコメントは、別途、紙で提出させていただきたいと思っております。
以上です。

事務局

まず先ほどの例のケースについて、大学との共同発明で企業の発明者と大学の発明者で対価が異なるのはおかしいのではないかということですが、基本的に35条は使用者と従業者との関係ですから、企業側と大学側で支払う対価が異なっても、それは構いません。当然、持ち分相応で、それぞれのルールに従って払っていただければいいということです。
それから、規程につきましては、できれば我々は特許庁サイドで模範の規程をつくらないようにしたい。なぜかというと、そうすると、それがあたかもモデル規程のようにひとり歩きする可能性がありますので、我々としては、実際に企業で行われている規程を収集させていただいて、実際にこういう規程づくりがされていますよという紹介をするにとどめたいと思っています。逆に、そうすることによって模範例という誤解を避けることができると思っています。
したがいまして、経団連におかれましても、当然秘密事項等については公開は避けさせていただきますので、業種ごとに違うというのなら、さまざまな業種の規程を集めていただいて、御協力をいただけるとありがたいと思います。よろしくお願いします。

委員

そのときに、今の規程を集めても、多分実情にそぐわないと思うのです。冒頭に言いました、この事例集がどういう考え方ですかというのは、新35条に基づく事例集ですよとすると、ある程度の考え方が出て、企業としてはそれを受けていろいろなことを考えながらやると思うのです。
先ほどもどこかで御質問が出ましたけれども、例えば26ページの対価のところでの期待利益みたいなものを考えるというのは、前回も御質問しましたけれども、1回払いくらいで、そこで一応債務を断ち切りたいという考え方がベースにあると思うのです。それが果たして今の各企業の運用の実態に合っているかどうかというのはちょっと別の話ですので、そこら辺を含めて規程類については考える必要があるでしょうし、それに絡んで先ほど来出ている上限額を決めるかそれとも決めないかあたりも、それぞれの企業の考え方が出てくると思うので、こういう形がいいという決め打ちはあまりよくないのではないかという印象を受けています。
以上です。

委員長

委員、どうぞ。

委員

単純な質問ですが、「従業者等」の中には、既に退職している従業者も含むというふうに考えていいのでしょうか。この事例集はそういう読み方をしてよろしいのでしょうか。

事務局

この事例集は、改正法下における新職務発明制度についてまとめたものです。したがって、改正法が施行される来年4月1日以降に職務発明を使用者等に承継させた従業者等であれば、その後に退職したとしても「従業者等」に含まれることになります。

委員長

委員、どうぞ。

委員

二つ質問があります。一つは、これは労働界の方からも使用するものと予定されていると思うのですが、40ページ、41ページの問3、問5、問6あたりを見ますと、使用者側の方から見た書き方になっているんです。私は、従業者の方が見て自分がどうしたらよいかというときにも使えるような、そういう質問の仕方にしないと片手落ちではないかと思います。
それと関係するのですけれども、例えば40ページの問2です。「疑義が生じた場合、どう対処することが望ましいですか」ということで、これは改めて協議するとかいうことになりますが、質問は、この「協議」とか、日にちがたって改定したいというときの「改定」に係ると思います。一度策定した基準について、後から疑義が生じて改訂する場合も、基準の策定というふうに解釈してよろしいのでしょうか。この場合、問題を持った従業者がどういうふうに対処するか、どういうふうにしたらよいかということを問いの中で説明していく必要があろうかと思います。
もう一つは、簡単なことかもしれませんが、24ページに問4がありますね。基準の策定について話し合う場合にどういう資料を提供したらよいかということで、ここでは望ましい情報の一例ということで、単なる例だということですが、ここに挙げられていることは非常にたくさんあって、大きなものもあります。例えば「研究開発戦略」というのがありますね。こういうものは、私が自分の依頼者にどういうふうに説明するかというときに、どうにもならないような広いことなんです。例示の中では、「発明の評価方法、対価の算出方法」が一番重要なので、これを中心にして関連する情報でできるだけのものをということにでもしないと、どうしたらよいのか、言われた方はちょっと困るのではないかと思います。
そういうふうに、大きな問いと非常に小さな問い、まれに起きる場合の問い等、いろいろ混ざっておりますので、もう少し整理して、読みやすいようにしていただきたいと思います。
以上です。

委員長

ありがとうございました。

事務局

まず前者の御質問ですけれども、基本的に改定の部分については協議のところで解釈していただければいいかと思います。それは、当初の基準を定めるに当たって協議をしていたときと何らかの事情変更があるような場合には、改めて協議をし直して基準をつくり直すという意味で改定をしていただければと思います。

委員

そういうことですね。今はどこにもそういう話が出てこないので、どこかで、そのようなサゼスチョンが欲しいなと思います。

事務局

ありがとうございます。
それから、後段の御質問で24ページの具体的な例ですけれども、ここの具体例については、今後、若干見直しをする余地があると思っています。御指摘のような対価の算定方法とか、そういったものは具体的に話し合った上でどうなるかという問題で、内容面に入ると思います。今回の改正の趣旨はあくまで手続重視ということで、策定しようとする基準の内容、具体的には対価の算定方法が妥当かどうかをお互いに話し合う上での状況証拠といいますか、お互いが納得する上で参考となるような情報としてこういったものがあるのではないかということで例示をさせていただいています。

委員

なるほど。
そうすると、「利益の状況」とか「リスクの状況」とありますね。「状況」だから非常に広いんです。だから、これは典型例とか過去の例とかにしないと、ちょっと扱いようがないような気がするのです。

事務局

わかりました。

委員

言葉のことですが、最初の用語の定義のところで、「従業者等」については「従業者、法人の役員」云々というふうに定義してありますが、応用編では従業者等は「従業者・取締役」となっています。どこまでが従業者なのか。つまり、取締役は従業者なのかどうか、ということが気になりました。
もう一つは、「協議」についてです。最後の行で「個別に話合いが行われることがより望ましいと考えられます」とありますが、これは、「より」というものを取ってもらわないと、話合いをやらなくても望ましい、というような価値判断が入ってしまうのではないでしょうか。ちょっと気になりました。

事務局

前者の点は、御指摘のとおりなので、明確にしたいと思います。ここで意図しておりますのは、具体的にはB社の代表取締役は(研究開発・設計に従事)と記載してあります。これは「従業者等」に含まれるということがわかるように、括弧書きの部分を追加しております。逆に上のA社の取締役にそのような記載をしていないのは、研究開発等に従事していないという趣旨ですから、そこは想定しているケースについてもう少し明確にしたいと思います。
それから、後段の御指摘の19ページの問5ですが、確かにそういう誤解を生じかねないので、言い回しは若干工夫したいと思います。ここでこのように書かせていただいた意図は、実は不合理性の判断は総合的に行うというのが大原則でありますので、場合によって協議の部分だけ不合理とされても全体として不合理とされないケースがあり得る。したがって、ここは絶対個別に協議をしなければいけないというふうに書けないのではないかということで「より望ましい」と書いたのですが、そのような誤解を生じることもございます。庁内の議論でもそこは議論になっていますので、そのような誤解の生じることがないように修文させていただきたいと思います。

委員長

委員、どうぞ。

委員

前回、大学における取り扱いのところをきちんととお願いして、基礎編にこういう形で入れていただいたので、これでいいと思います。応用編に関しては、大学の知財管理の協議会等々でやっていくということでいいと思うのですが、前回お話をしたのは、先ほどの委員の御指摘のお話がしばしばありまして、大学側が高くすると企業は迷惑だと。対価の算定の額が全然違う、一律に考えられると非常に困るので、ちょっとやめてくれという話がしばしばあるわけです。したがって、先ほどの御説明のとおり、これは意味があるかどうかはわかりませんけれども、大学に関しては事情が違うから算定の仕方が違って当然だということを一言書いていただければ、大学の方は楽だなということです。それをちょっと御検討いただけないか。
それから、先ほどの問3の学生の話、これは改正の話でも職務発明の話でもなくて、民法上の公序良俗の範囲の話ではありますけれども、ここも三つせっかく書いていただくのですから、委員がおっしゃったように、どうすればいいかという感じできちんと書いていただけると大変ありがたいということでございます。
以上です。

委員長

ほかに。

事務局

前者の点ですけれども、これはあくまで新法適用後の話でございまして、先ほど委員からもそれ以外のものも含まれているという御指摘をいただいたのですが、今の点も必ずしも新法の問題とは違って、そもそも職務発明の対価をどう定めるのかということに関連するので、この手続事例集に入れるには若干なじまないかなと思っています。その点は何らかの別の手段を通して周知していくように努めたいと思います。

委員長

委員、どうぞ。

委員

32ページの問2です。先ほどやりとりがありましたが、「なお」以下です。私は委員の意見と同じで、これは非常に必要で、最初に委員がおっしゃった点と関係しますが、もっと強調した方がいい点だと思います。
いわば紛争処理ですね。先ほどお話があったように、会社内・企業内で紛争処理を優先すべきだという点は、そのとおりだと思いますが、どちらにしてもそういう紛争処理を不合理と認められないことの重要な要素だと位置づけるべきだと思いますので、ここはぜひ残してもらいたい。先ほど仲裁法のお話がありましたが、労働法の方では今度労働審判法という新しい法律ができまして、職務発明をめぐる紛争はこれにも乗ってくる可能性があります。私が労働法との整理をきちんとしてほしいというのはそういう意味もあるわけで、ぜひそこは考えてほしいと思います。
それから、同じ今の問2のところで、どうしても見解が埋まらない場合には、選択肢として使用者・企業側が決定できるようなこともあるのではないかと思いますけれども、その点をどうするのかということは別途検討してもらいたいと思います。
それから、あと2点です。21ページの問6、22ページの問8のただし書きのところです。21ページの問6、「ただし、労働組合への加入権のない役員等との関係では「協議」は行われていないこととなります。」ということですが、これに加えてもらいたいのは、では、どうするのか。つまり、恐らく役員との関係では「別途協議をすべし」、22ページの問8では、「一方、当該組合に加入していない従業員等との関係では、別途協議をすべし」ということになると思うのですが、そこは明確にしておいてあげないと、ちょっと不親切かなという気がしました。
最後に、新法の5項で出てくる「その発明に関連して使用者等が行う負担、貢献及び従業者等の処遇その他の事情」、これは一体何を指すのか。これは改正法の新しい部分ですよね。何か1項目触れていただければ親切かなという気がします。
以上です。

委員

すみません。今の点に関連してですが、委員が言われた中の14ページのなお書きで、手続が全く行われていない場合は手続が不合理なのは明らかで、それで従業者の方が5項に基づいて請求したら、多額に払っているから相当の対価はもう支払われていますということで請求が棄却になるだけだと思うのですよ。委員が言われたのもそういう趣旨でしょうね。

委員

そういうことです。

委員

全くそのとおりですから、ここに書くのはおかしいと私は思います。
もう一点は35ページの改定後の適用の問題ですけれども、これは同一の法規の基準の改定の問題であり、現行法との関係は特許庁がコメントする立場でないと言われるのなら、それでいいのですけれども、現実に私もたくさん企業の報償規程の改定の問題を扱っていますけれども、附則で遡及的に適用するようなことは普通におこなっています。それを今度、一つ一つ、従業者との間で、退職者も含めて、みんな個別的に合意しなければ遡及的に適用できないことになったら、企業は大変だと思います。
問題は、なぜ遡及するのがいけないかというと不利益変更の場合なので、不利益変更でない限り、改定した規程を遡及的に適用してもいいのですよと決めなかったら、多分、企業はやり切れないと思います。
以上です。

委員

今のところはぜひそうお願いします。企業でやっている実態からいくと、ほとんど意味のないことになって、個別の案件ごとにやめた方も全部トレースして管理しなければいけないことになったら、掛けるNで、わけがわからなくなりますから、そこら辺のところはぜひお願いしたいと思います。
それから、先ほど来出ている32ページの問2です。これは先ほどおっしゃったように、まずは社内の自主取り決めの中で解決していくというのが大原則だと思うのです。今、きちんとした職務発明の規程をつくっているところも、対価の決定について、あるラインでやったときに、それについて不服があれば、同じ長ではなく別のところがチェックするような仕掛けにしています。社内の経営の問題ですから、まずそこでやるというのが大原則で、それ以降は、企業はそこまででいいよという打ちどめの仕方もあるし、その先の何か手だてを考えるというふうな、そこら辺の原則論がわかるような形にしておいていただきたいと思います。
以上です。

委員長

予定の時間を少し過ぎましたけれども、どうしても御発言がある方。
委員、どうぞ。

委員

時間が超過しそうですけれども、済みません。職務発明は、もともとは個別、いわゆる発明者個人等、それから従業者、使用者との関係だと思うのですけれども、それを普遍的に定めるために協議をしなさいとか、基準を開示しなさいとか、いろいろあると思います。個別契約の話が34ページに書いてありますけれども、そういった意味で協議等を求めるのは基準を定める上で必要な状況だと思います。
そこで、例えば問1の答えのところで「一般的には、協議の結果として、」と書いてあるのですけれども、ここの「協議」の意味が全般で言う「協議」の意味とちょっとニュアンスが違うのではないかと思いますので、そこを若干見直してほしいと思います。

事務局

御指摘のとおり35条で言う協議と若干意味が違うので、そこはうまく書き分けます。

委員長

ほかにいかがでしょうか。

委員

今、34ページの問1の問題が出ましたので、具体的なコメントです。問1は今後生ずる発明の対価についての契約をしたケースだと思いますけれども、本大学で現実にやっていることですが、出願を決めたもの、あるいは出願した後で個別の出願について発明者から譲渡契約を結びまして、発明者の方は大学に譲渡します、そして大学の方は発明者に対してこれこれの規則により対価を払いますと、そういう契約を結んでいますので、その場合も不合理性を否定する方向という例として挙げていただけたらありがたいと思います。

事務局

大学についてはおそらく各大学によってかなり取り扱いが違うかと思います。私の承知しているところ、東北大学においては、東北大学で別途発明規程に類するような規程を設けて、そこに予約承継規定を置いているというふうに理解をしています。ただ、念のために譲渡書もとるということをされているかと思いますので、そのような個別のケースがこの問1に該当するのかどうかについては、また別途検討させていただきたいと思います。

委員長

それでは、時間も過ぎましたので、今日の議論はこれで一応終わりにしたいと思います。活発な意見をいろいろいただきまして、どうもありがとうございました。
限られた時間でしたので、まだいろいろとお気づきの点、コメント等がおありかと思います。ほかにいろいろとコメントがありましたら、できるだけ早い時期に事務局の方へ個別にお寄せいただければと思っています。事務局の方では、各委員の御意見等を参考にして、この手続事例集をよりよいものにするために努力していただきたいと思っております。

委員長

それでは、最後に、今後のスケジュール等について事務局から御紹介いただきたいと思います。

事務局

どうもありがとうございました。
ただいま委員長からお話がございましたように、この場でもたくさん意見が出ましたし、この後においても意見があろうかと思いますが、できる限り早く事務局の方に質問等をお寄せいただければと思っております。
次回の小委員会は、今般の意見、あるいはその後に出てきた意見を反映させていただきまして審議をする予定でございますが、来月の8月5日(木曜日)の午後10時半から12時半の2時間ということで開催させていただきます。場所はここと同じ場所の特別会議室を予定しております。なお、次回の小委員会後に手続事例集(案)につきましてパブリックコメントを募集する予定にしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
事務局からは以上です。

委員長

それでは、以上をもちまして第17回特許制度小委員会を閉会させていただきます。
どうもありがとうございました。

閉会

[更新日 2004年8月26日]

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