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第1回特許制度小委員会 議事録

  1. 日時:平成14年9月18日(水曜日)14時00分から16時00分
  2. 場所:特許庁庁舎 特別会議室
  3. 出席委員:
    後藤委員長、相澤委員、浅見委員、阿部委員、市位委員、江崎委員、岡田委員、北村委員、志村委員、下坂委員、田中(信)委員、田中(道)委員、長岡委員、西出委員、松尾委員、渡部委員

議事録

事務局

それでは、ただいまから産業構造審議会の知的財産政策部会、第1回の特許制度小委員会を開催させていただきたいと思います。
本小委員会につきましては、7月9日に開かれました知的財産政策部会におきまして御了承を得て設置が決定されたものでございまして、本日、第1回目の運びとなりました。
本委員会につきまして、皆様方、お忙しい中を御出席いただき、ありがとうございます。
本委員会の運営につきまして、委員長の選任でございますけれども、産業構造審議会の運営規定によりまして、部会長が指名ということとなってございます。中山部会長の方から、本委員会の委員の中から、東京大学先端経済工学研究センター教授の後藤晃委員を御推薦いただいておりまして、御本人の御内諾もいただいておりますので、後藤委員に委員長をお願いしたいと思います。
では、後藤委員長、よろしくお願いいたします。

委員長

ただいま御紹介いただきました東京大学に勤めております後藤と申します。
私は経済学を勉強しておりまして、経済学の立場から技術進歩とか競争政策とか、そういったことを勉強している者でございます。
今回のこの委員会につきましては、すでに御案内かと思いますけれども、取り上げるテーマがかなり多岐にわたっておりまして、しかもそれぞれ重要な問題ばかりですので、十分にかつ効果的に検討ができますように微力ですけれども、務めさせていただきますので、どうぞ御協力のほど、よろしくお願いいたします。
以上、簡単でございますけれども、御挨拶にかえさせていただきます。

委員名簿に基づき事務局から委員紹介

特許庁長官挨拶

太田特許庁長官

7月30日に特許庁長官に就任いたしました太田でございます。よろしくお願いいたします。
本日は皆様方、大変お忙しいところを第1回のこの委員会に御出席いただきまして、ありがとうございます。心から御礼を申し上げます。
御案内のように、今の日本の経済、産業は非常に国際的な競争力が心配されている状況です。いろいろな課題に取り組まなければいけないということは皆様御案内のとおりでございますが、中でもやはり知財を戦略的に活用するという面において、これまで国も、それから企業も本当に真剣に考えていたかというと、それぞれ内心忸怩たるところがあるのではないかと思っております。
ただ、昨年来、特に昨年あたりよりここにおられる皆様方のいろいろな御活躍、あるいはいろいろなところの御提言等もあり、大きな流れができ始めたところでございます。7月3日には知財戦略大綱が発表されました。大綱におきましても、本当にいろいろな課題が列記されているわけですが、経済産業省、特許庁も大変大きな宿題を背負うことになりました。
産構審の知的財産政策部会の中で、同時に4つの委員会が動き始めているところでございます。紛争の処理や、あるいはもう少し特許の流通を促進すべきではないかなどの、いろいろな議論が別の委員会で行われているところでございますが、この特許制度小委員会では、先ほど後藤委員長からもお話のあった非常に多岐にわたる宿題を皆様方に御議論いただきたいと思っております。
当小委員会において御議論を頂戴したい点は、4つほどございます。第1の課題は特許審査の迅速、的確化です。特許庁ですから、これがやはり最大の仕事であると私は思っておりまして、事業化のタイミングを逃さずにすぐれた技術を権利化することが、我が国が国際的な大競争の中で生き残っていくために不可欠の課題であると思っております。
知的財産戦略大綱におきましては、後ほど御説明いたしますが、「2002年度中に、審査請求期間の短縮に伴う審査請求件数の急増が予想される2005年度までの計画を策定する。」との記述がございます。つまり、来年の3月末までに向こう3年間を見渡した計画をつくるべきであるとされているわけでございます。さらに、「2006年度以降、世界最高レベルの迅速・的確な審査が行われることを目指し、更なる効率化を図りつつ、審査体制の整備に努める。」と大綱にございます。すなわち、世界最高レベルの更にその先を目指さなければならないということになっているわけです。
迅速・的確な審査の実現に向け、私どもはこれまでも取組を進めてまいりました。まず、徹底的なアウトソーシングをやってまいりました。これからも進めてまいりたいと思います。それから、皆様方からは不十分であるとの御指摘をいただくかもしれませんが、非常に政府全体での定員管理が厳しい中で、少しずつでも人は増やしているところでございます。今後ともこうした努力は続けていきたいと思っております。
一方で、特許の審査は、最近は平均22ヶ月待ちになっているわけですが、現在の特許の出願、請求の傾向が続きますと、この滞貨が更に膨れ上がる可能性が非常に強い状況にあります。私ども、しっかりやっていきたいと思っておりますが、併せて企業の皆様方の御協力をいただく必要があると考えております。審査体制というのはやはり公的なインフラだと思います。これをできる限り効率的に活用することが企業、国民すべてのやはり務めではないかと思っておりますので、こうした方向性についても御議論をいただければと思っております。
第2の課題が職務発明規定の見直しについてでございます。たまたま先週から今週にかけていろいろな記事等も出ておりますけれども、特許法35条の職務発明規定に関連した訴訟が数多く提起されておるところでございます。明日19日には、青色発光ダイオードの中村教授の地裁判決が出されると聞いております。また、オリンパス事件の最高裁判決もそう遠くない時期に出されるのではないか。
こうした訴訟などは、ある意味では知的財産権の譲渡が盛んになり、知的財産権から得られる利益などが非常に高額化している結果をまさにあらわしたものではないかと思っております。つまりこうした中で、従業員への報酬について経営者側と従業員側の考え方の相違がある意味でだんだん拡大したというか、ある意味ではっきりしてきたということではないかと思っており、職務発明規定の見直しについても、知的財産戦略大綱におきまして、2002年度中に調査を行い、改正の是非及び改正する場合はその見直しの方向性について、2003年度中に結論を得ることとされています。大綱を踏まえ、私どもは、企業における実態、従業員の意識、諸外国の状況等を調査しつつ、なるべく早く論点を整理することが重要と考えておるところでございます。
御議論いただきたい第3番目の課題としては、新しい分野における知的財産の保護としての医療行為と特許の問題、また、第4の課題としては、最近利用件数が低下している実用新案制度の見直しについても御議論いただければと思います。
本委員会では、以上の4点について、年内は、特に特許審査の迅速化についてウェートを置いて御議論いただければと思っております。結論が得られた事項につきましては、次期通常国会に関係法の改正法案を提出させていただきたいと考えております。また年明け以降も引き続き御議論を継続していただきたいと考えております。職務発明の点については恐らくいろいろな御議論があるかと思いますが、できれば3月をめどに一応の報告をまとめていただければと考えているところでございます。
いずれにしても、皆様方、大変お忙しい方ばかりでございますが、是非とも御議論をよろしくお願いいたしまして、最初の御挨拶にかえさせていただきます。
どうもありがとうございました。

特許技監挨拶

小野特許技監

本日は委員の皆様方におかれましては、御多用のところを御参集いただきまして、大変どうもありがとうございます。
第1回の特許制度小委員会の開催に当たり、審査、審判を預かる立場として、一言御挨拶を申し上げます。
御承知のように、先ほど長官から御指摘がございました知的財産戦略大綱は迅速、的確な審査に向け、審査体制の整備や出願・請求構造改革等の総合的施策を講ずることを求めております。こうした国家的な要請というのは、我が国に限るものではございません。プロパテント時代を背景といたしまして、先進特許庁におきましては、出願増、審査請求増に直面しております。このような先進特許庁を中心とした共通の課題と言えるかと思います。
例えば、米国におきましても、我が国の迅速・的確な審査を模したのか、タイムリーな特許審査と質の高い特許というスローガンのもと、ローガン長官の「終始、焦点は質の向上にある」という言葉に代表されますように、現下のアメリカにおきます審査待ち時間の長期化に対しても、審査の質の向上を第1の目標として総合的な出願対策、審査処理対策を前提とした戦略プランを示しているところでございます。
我が国の特許庁審査・審判部といたしましては、こうした世界的な流れを踏まえつつ、真に利用者の方から信頼される審査、審判と強い特許のタイムリーな付与に向けて、引き続き欧米に比べて非常に効率がよいと言われております、その効率を維持しつつ、限られた審査、審判のリソースのもと、最大限の努力をしていきたいと思っている所存でございます。
本委員会の皆様におかれましては、こうした真に信頼され、タイムリーな審査、審判を実現するために必要な特許制度のあり方につきまして、自由闊達な御議論を賜るとともに、御助言、御力添えをお願い申し上げます。
以上、簡単ではございますが、私の御挨拶とさせていただきます。
よろしくお願いいたします。

委員長

ありがとうございました。

委員長

次に、審議に入ります前に、この委員会の公開の方法について皆様の御同意を得ておきたいと思いますが、産業構造審議会はその運営規定によって部会や小委員会を含めて原則公開ということになっております。この委員会におきましても、委員各位の率直かつ自由な意見交換を確保するために会議自体は非公開とし、会議後に配付資料、議事要旨、議事録を特許庁ホームページに掲載させていただきたいと考えておりまして、またその議事要旨及び議事録については発言者名を掲載せずに公開させていただくということで取り扱わせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〔「異議なし」の声あり〕

委員長

それでは、そのようにさせていただきます。
それでは、これで準備が済みましたので、早速議題に入らせていただきますが、きょうの委員会の一番大きな目的は、これからこの委員会が大体6回ほど予定されておりますけれども、そこで検討していただく課題について御議論いただいて御確認いただくということがきょうのこの会議のアジェンダとなっております。
資料1の「議事次第・配付資料一覧」というのをごらんいただきたいと思いますけれども、この6番目で今回の課題について全般的なお話を事務局の方からしていただきまして、それから7、8、9、10が先ほどお話がありました具体的な4つの検討課題ということになっておりますので、引き続き7、8、9、10ということについて事務局の方から説明をしていだいて、その後で皆様から御確認の議論をしていただきたいと思っております。
この7、8、9、10のテーマに関しましてはこれから突っ込んだ議論を次からの委員会でお願いすることになっておりますので、きょうは基本的には議題の確認的なことを御議論いただければと思っております。
それでは、説明に入ります前に、資料が用意されておりますので、事務局の方から資料につきまして御説明していただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。

事務局

(資料確認後、資料について説明)
それでは、資料3に基づき、本小委員会の検討課題について簡単に御説明をさせていただきたいと思います。
知的財産戦略大綱では幾つかの検討事項が経済産業省関係で挙げられておりますが、本小委員会は、それらについて早く検討していく必要があることから、産業構造審議会の知的財産政策部会のもとに設けられた4つの小委員会の1つです。特許制度関係につきましては本委員会と、紛争処理小委員会という審判関係の議論をする委員会がございますが、審判関係を除きまして特許制度全般については本委員会で御議論いただくということでございます。
ただ、知的財産戦略大綱でいろいろタイムスケジュールが定められており、基本的に年度ごとに期限を設けた議論を進めていくということになっております。このため、当面は2002年度中、あるいは2003年にかけて議論をする必要がある4つの項目について、まず御議論をしていただくことを予定しております。
資料3の2にございますとおり、最適な特許審査に向けた特許制度のあり方について、2002年度中に2005年度までの取組に関する総合的な計画を策定するという使命がございます。この点につきまして、色々な基本的な考え方でございますとか、制度的な問題についてこの小委員会で御議論いただくということでございます。
その際の基本的視点は、行政サイドの色々な制度の問題と、企業サイドにおける色々な戦略的な行動の問題との両輪的な運営によって、何とか我が国の競争力の強化に向けて、よりよい制度の運用をしていこうということでございます。こうした議論を総合的に御審議いただきまして、行政、企業の両面にわたるいろいろな改善策が導き出せればと思っております。基本的には今年度中に、検討課題につきましては結論を得る形で進めさせていただきたいと思っております。
実用新案制度の在り方の検討につきましては、明確に知的財産戦略大綱では扱われておりませんが、この機会に検討したいと思っております。具体的な検討の期限は決まっておりませんが、できるだけ早く検討を進め、いろいろな利用実態等に関する調査も行いつつ、一定の結論を得たいと思っております。
それから3つ目に御検討いただきたい事項は、先端技術分野における特許についてです。再生医療、遺伝子治療など、最近の進歩の中で、特に医療に関わる分野は従来、日本においては特許の対象にしない運用をしてございますが、欧米における色々な動きも踏まえ、この分野についての特許制度上の取扱の問題について御議論を頂きたいと思っております。医療に関わる分野につきましては、医療関係の専門家の方々の御議論も是非必要であるため、別途、ワーキンググループを設け、年内を目途に一定の集中的な御議論を頂き、その結果をこの部会に御報告いただくという進め方を私どもでは想定しております。この問題につきましても年内ないし年度内にある程度の方向性を出していただきたいと考えております。
最後に職務発明に関する問題でございますけれども、これも最近の議論の高まりの中で重要な問題と考えておりますが、大綱上は2002年度中に、改めて国内の従業員層の意識、あるいは企業の実態、あるいは諸外国の実際の制度なども調査し、分析をした上で方法論についての議論に入るということになっております。2002年度から2003年度にかけて議論をしていくことになっておりますので、年度末にもある程度のまとめもしつつ、更に議論が伸びていくということを想定してございます。
全体的な進め方は以上のとおりお願いしたいと思っておりまして、当面、特許制度の関係からいろいろな議論は始めさせていただきたいと考えております。
以上でございます。
続きまして、各検討事項につきまして、担当の課長から順次その問題点の背景、あるいは考え方の基本的な主旨について御説明をしたいと思います。
それでは、最初に特許制度のあり方につきまして御説明をさせていただきます。

事務局

「最適な特許審査に向けた特許制度の在り方について」ということで、資料4につきまして御説明をさせていただきます。
まず1ページでございますが、第1点のところが「特許審査を取り巻く現状と今後の見通し」ということで、最初に、我が国の出願・審査請求構造がどういうふうになっているかということを概観しているところでございます。図1に載せてございますけれども、上の方に0というラインがありまして、その上が国内への出願、下がPCT出願という国際出願の指定国を含んだ数で大きくなってございますが、外国への出願という図でございます。これを見てみますと、我が国の特許出願と言いますものが欧米に比べまして、外国出願に対して国内出願の比率が多い、件数もまた多いということが言えるかと思います。
それからもう一つ、経済規模や研究開発投資から見ても、相当程度高い水準にあるのではないかということでございます。そこの説明のところに書いてございますように、我が国の研究開発費、アメリカ、欧州の研究開発費と特許出願、内国人の出願でございますが、計算をしてみますと1出願当たりの我が国の研究開発費は4,200万、アメリカでは1億6,000万、欧州が1億4,000万というような形で、我が国の数が4倍の規模の出願になっているということでございます。
それから2ページ目を開いていただきまして、こういった研究開発との関係につきまして、OECDの報告がございまして、これは2001年のものでございますけれども、このOECD加盟国での80年から90年台の比較をしたものでございますが、通常、研究開発費が伸びるとMFPと申します労働・資本・全要素生産性が上がっていくわけでございますが、我が国を含めまして、若干MFPの低下が見えるということで問題提起がされている記述がございます。
それから中程でございますが、このような出願構造の中で特許審査をして、審査請求に対する特許率を見てみますと、欧米に比べまして特許率は若干低いということになってございます。それが表の1でございます。この差は、日本は55.4、アメリカは71.2、欧州は75.6でございますが、この差は制度、あるいは審査基準の相違にあるかもしれませんけれども、我が国の場合には新規性、進歩性を満たさないような請求が少なからずあるのではないかということが言えるのではないかと思っております。
それから、特に審査請求が多い10社の特許率を見てみますと、次のページ、3ページでございますが、表の2でございます。2000年と2001年の平均をとってございますが、全体の計算で言いますと57.4%でございますが、上位10社の場合は53.6、それ以外の場合は58.5という数値になっているということでございます。
それから、特許審査をいたしますと、特許になるものと拒絶と言いまして、特許にならないものがあるわけでございますが、その拒絶になるものを注目してみますと、特許庁の審査官が最初にこれは特許になりませんよということで拒絶理由通知を発しますけれども、それに対して出願人の方から何ら応答なく拒絶になってしまう、これを我々は「戻し拒絶査定」と申しておりますけれども、これが20%前後にまで最近上昇しておるということでございまして、このような数値を見てみますと、先行技術調査が不十分と思われるような請求もなされているのではないかということであります。こうした出願人の方の行動が、先ほどありました審査リソースが限られているという中で審査待ち件数の急増をもたらしているということの一因ではないかというふうに分析をしているところでございます。
4ページに移っていただきまして、今後、我が国の特許出願、あるいは審査請求はどうなっていくのかということを見たものであります。
4ページ目の上の段でございますが、特許出願件数は長期的に見まして漸増傾向にございます。この5年間を見ますと2.9%増、平均3%弱の増加が見られるということでございます。アメリカ、あるいはヨーロッパ特許庁におきましては10%強の伸びをこの5年間、毎年示しているということでございます。その図が、我が国の図でございますが、図4に示しております。
それから2-2に書いてございますが、審査請求率の問題を見てみました。この下の段の図5に書いてございますが、「最終審査請求率」と書いてございます。これはどういうことかと申しますと、今、日本では出願をして、古い制度では請求から7年、今の新しい制度では出願から3年ということで、その7年間のうちに審査請求をされるわけでございますが、94年までの出願で請求が終わったものを見てみますと88年までは漸減傾向であったのでございますが、最近はその請求率が伸びておりまして、88年分から見ますと6年間で10ポイントふえているという傾向にございます。この10ポイントは出願が40万そこそこというふうに見ますと4万ないしは5万件の審査請求増に結びついているということでございます。そういったこともございまして、図6のところに、5ページ目でございますが、審査請求の伸びが出ているということでございます。
中段の絵でございますが、図7でございます。これは審査請求率と特許率の関係を分析いたしました。これは84年から91年の出願でございまして、ほぼ審査が終了しているものでございます。この期間の特許出願件数と審査請求率を見てみますと、出願件数は増加しておるわけでございますが、審査請求件数はほぼ横ばいの状況でございます。このグレーのところが特許、黒いところが拒絶査定、その上が審査請求されなかったものでございます。これは審査請求の厳選がされているということでございますが、一方、その間の特許率を見てみますと、特許率は請求厳選をしても率が上がっている、すなわち特許件数がふえているという数字を示しておりまして、これは何を物語っているかと申しますと、我が国の出願人の方の潜在的な審査請求の厳選能力、いいものを選ぶ能力があるということを示しているのではないかということでございます。
それから5ページ目の下でございますが、今後の審査請求の見通しでございます。このような請求の、あるいは出願の状況にあるわけでございますが、次に6ページを開いていただきたいのですけれども、先ほど若干触れました昨年の10月までは審査請求期間7年の制度、それから昨年の10月からは請求期間3年の制度が動いております。それで現在は7年請求分の請求と3年請求分の請求が出てまいります。今後、2008年の10月までに7年請求分が順次請求されてくるというのが一番上の絵でございます。中段の絵は新しい出願であります3年請求分の絵が出てございます。3年後から定常状態に入る、これが重なってきますものですから、一番下のトータルの審査請求件数というところにございます請求の急増ということで、我々は「こぶ」と申しておりますが、そういったものが出てくるということでございます。こういった審査請求トレンドがございますものですから、それから制度上の併存ということがございますので、それを見てみますと、図9のように、今後2005年をピークにいたしまして、審査請求の推移が急増していくというシミュレーションでございます。そのシミュレーションの前提につきましては、図9の上の①、②に書いているとおりでございます。このような予測をいたしまして、シミュレーションしてございます。先ほど申し上げました最終審査請求率は各企業からのヒアリングによりますと60%ぐらいまで上がっていくのではないかという前提で予測をしてございます。
以上が審査請求のトレンドでございますが、7ページからは現在の特許審査の現状につきまして御紹介をさせていただきたいと思います。
まず1点目は、技術の高度化・複雑化が進展しているという状況がございますということです。技術進歩を背景といたしまして、特許出願の内容は高度化・複雑化しておりまして、具体的には1出願に含まれます請求項、発明の数がふえてきているというのが図10でございますし、それから先行技術文献の調査をする対象が多くなる、それから先端分野では学術論文等も探さなければいけないということで、1件当たりの審査負担がふえてきているという点が第1点でございます。
第2点は、的確な審査の要請が高まってきておりますということでございます。特許権を使いまして事業展開を図る場合におきましては、審判や裁判で覆ることのない安定な権利が求められるわけでございますが、最近、その侵害訴訟で高額賠償のケースも出てきておりますので、ますますそういった的確な審査が要請されるということでございまして、日本製薬工業会、あるいは在日米国商工会議所、次のページにあります経済産業省製造産業局の報告書にも、予見性がないようになるので、審査は的確にしてくださいというような要望が出ておりますし、公正取引委員会から今年出ました報告書におきましては、先端分野、新技術分野での出願に対しては、より質の高い審査が必要ですよということの指摘を受けてございます。そのため、特許庁におきましては、審査基準等をきちっと改定をいたしまして、現在、審査の的確性の確保に努めているということでございます。
3番目は審査に対する多様な要請ということでございまして、先ほど申しました審査の基準を統一してくださいというようなことでありますとか、着手時期につきましては、基本特許のような実用化に時間を要する、多年を要するようなもの、あるいは標準化に絡むような技術分野におきましては、産業動向に応じて権利範囲を確定したいというようなニーズもございますし、一方、技術革新の早い分野、あるいはベンチャー、中小企業の皆さん方の出願については比較的早期に権利が欲しいというような要望もございますので、そういったことを踏まえまして、特許庁におきましては1986年から早期審査制度というものを運用させていただいておりますけれども、最近、利用性を高めるような運用拡充もしてきたところでございます。
実務的には出願人の方との間での意思疎通を十分図ろうということで面接審査、地方での巡回審査を行っているということで、こういった多様な要請に対しまして種々の施策をさせていただいているということでございます。
それから9ページを開いていただきますと、特許審査の状況ということでございます。ここでの特徴部分は、経済のグローバル化を背景にいたしまして、国際特許出願が急増をしていることでございます。図11は全世界で10万を超える国際出願がなされている。下の図12は我が国の国際出願が1万1,000件を超えて、ことしは1万2,000件を超える勢いで伸びているということでございます。「PCT出願」と呼んでございますが、こういったものにつきましては特許庁の審査官は国際調査報告、あるいは国際予備審査報告をつくるということで、こちらの方にもパワーを使っておるということでございまして、通常の出願への影響度が大きくなっているということでございます。
10ページの表の3をごらんいただきたいと思いますが、ここには審査官が日々行っております審査業務を書いておりますが、大体審査官の前を通る案件は通算しまして年間40万件弱という業務をこなしているわけでございます。
次に、審査官はそのような業務をこなしているわけでございますが、審査官の効率性というところを見ていただきますと、図13のところを見ていただきたいと思います。ここが各欧米の特許庁の審査官がやっている量を比べております。通常出願とPCTに係ります国際予備審査件数との割合、合計を1人当たりの審査官で見てみるとどうなるかということでございます。一番左が日本、次が米国、欧州でございますが、欧米の2倍から3倍をやっているということでございます。
ただ、2倍から3倍やっているわけでございますが、1人当たりの審査件数は技術の高度化に伴いまして年々減少をしているところでございます。その図が11ページの図14、15に示しております。14が日本の審査官1人当たりの審査件数の低下グラフでございますし、USPTO、アメリカ特許庁でございますが、EPO、ヨーロッパ特許庁の1人当たりの審査件数も低下傾向にあるということでございます。こういったことから、図16はアメリカ特許庁、あるいはヨーロッパ特許庁におきましても滞貨と申しますか、審査対象件数の増大と審査の処理の乖離が起こっているということでございます。
こういったことに対しまして、アメリカでは、ヨーロッパも含めてでございますが、図17のように審査官数を増加させているということでございます。我が国は、増加傾向は少ないのでございますが、審査官増と、それから現在、アウトソーシング、検索外注を活発にして体制整備を図っているというところでございます。
それから11ページの下の方に記載がありますが、先ほどFA、審査期間が22月と申し上げましたけれども、この22月というのは22月かけて1件の審査をしているわけではございませんで、審査官が1件に費やす時間を計っててみますと、分野によって違いはございますけれども、平均的には半日ぐらいで1件をこなしているということでございます。それは1次審査に半日ぐらいということでございます。最終審査まで入れましても平均1日というようなことでございまして、22月と申し上げていますものは審査に着手するまでの待ち期間ということでございまして、この待ち期間を、あるいはその待っている案件をいかに少なくするかということが今後の課題ということでございます。先ほど特許技監の御挨拶にもございましたように、アメリカのローガン長官のところでは、そこの12ページの上の方に書いてございますような施策を発表して、今後進めていこうという対策をとっているところでございます。
以上が特許審査の状況でございますが、今後どうなっていくのだろうかということでございます。それが13ページに書いてございまして、「特許審査を取り巻く今後の見通しと課題」というところでございますが、今後、長期的な視野に立った特段の対策を講じない限り、審査請求件数と審査着手件数の不均衡が増大していく、審査期間の待ち期間の長期化が懸念されるということでございます。これはシミュレーションをいたしまして、そこに書いてございますように審査請求件数の予測は先ほど申し上げましたとおりの前提でございます。それから審査官増員とかアウトソーシングは可能な限り拡充をしていくという前提でございます。それから、過去の実績を踏まえまして、1件当たりの審査負担を勘案してございますが、図18にございますように右側のグレーのところが一次審査件数、それから下の太いグレーの棒グラフがPCTの関連業務ということでございまして、通常出願の審査請求件数の方が審査処理よりも多いということにならざるを得ないということでございます。その結果、図19にございますように、審査待ち件数、審査待ち時間がどんどん伸びていくということになるのではないかという懸念があるわけでございます。
そして今後、こういった見通しになるわけでございますが、今後の対応策としてどういうことが考えられるかということでございますが、先ほど太田長官の方から御挨拶にもございましたように、知的財産戦略大綱で指摘を受けておりまして、特に審査体制の整備ということが必要ではないかということでございます。審査体制の整備につきましては、特許制度始まって以来の重要な課題でございますが、審査官増員とアウトソーシングの一層の拡充に努める必要があるのではないかということが第1点でございます。
第2点は出願審査請求構造改革ということでございまして、知的財産戦略大綱にも触れられている課題でございます。この点、大綱では企業活動につきましても量的拡大の追求から、経営戦略の観点から価値の高いものを目指すようにということで基本的姿勢の転換を促されておるわけでございますが、特許戦略を重視した企業活動がなければ、我が国の競争力強化に資する知的財産立国が実現しないのではないかということが言えるかと思います。
それから、経済のグローバル化、ボーダレス化に伴いまして知的財産戦略が不可欠になっているということで、数を求めるよりも、経営戦略の1つに知的財産戦略を入れて、企業の意識改革をお願いするということが必要ではないかということでございます。
それから、特許庁の審査官パワーは先ほど申しましたように限られておるわけでございますが、先行技術調査の不十分な拒絶査定案件がふえてきますと個々の企業のコストがふえるだけではなくて、特許庁の方の公的な制度インフラ全体への負荷を結果的に増加させることから、審査請求時点で出願人に対しまして相当の協力を求めていく必要があるのではないかということでございます。
それから15ページにございますように、企業の知的財産活動に対しまして、量から質への転換を図っていただくことを促す観点から、ある一定規模以上の出願数や、あるいは審査請求件数の多い企業の出願人の方の特許化率ということも公表させていただくべきではないのかというようなことでございます。
いずれにいたしましても、国際競争力強化の観点から、企業の知的財産活動を戦略的に行っていただくということが重要ではないかということでございます。
それから、その次の論点でございますが、料金の問題でございます。現在、特許出願、あるいは審査請求をしていただくときには料金をお支払いいただいているわけでございますが、ここに日米欧で料金がどうなっているかということを分析してございます。この表5のところでございますが、前提条件を置かないとなかなかできないものですから、請求項数7で、それからページ数が30ページ、欧州特許の場合は独・英・仏を指定したということを前提としていただきまして、それから米国では最初の拒絶理由に対して3ヶ月の延長期間を使ってやる、それから権利期間は登録から12年を仮定いたします。そういたしますと、日本の場合は出願審査関連費用が12万1,400円、これは出願料と審査請求料でございます。それから登録費用と維持年金、これが72万3,600円ということで、トータル84万になります。欧州特許出願の場合はいろいろ欧州の場合には料金のチャージがあるわけでございますが、出願料とか審査請求料、あるいは先行技術調査費用とか、合わせまして45万弱ということでございます。それから3つの国に年金を納めるものが177万という数字になってございます。
アメリカの場合はいろいろケースに分けて説明をさせていただいております。先ほど申しました3ヶ月の期間延長をいたしますと11万強のチャージがされますものですから、アメリカの出願料とこの3ヶ月の期間延長料、それからアメリカで公開をしたときには公開料を支払うことになってございますので、それを含めますと24万弱となってございます。ただ、延長期間を利用しませんとその11万が少なくなるものでございますから、12万7,000ということで日本とほぼ同規模のものになってございます。それから一番右側に米国の改定案ということでございますが、先ほどローガン長官がいろいろ検討していると申し上げましたが、その改定案によりますと、出願料等のところは45万ということになるということでございます。
このような料金体系を見てみますと、我が国のものは国際的に見ても権利設定前の料金は低額になっているということでございます。ただ、この権利設定の料金でございますけれども、実際にかかる料金はこれよりも多くかかってございまして、実は特許年金の方から支出をしているという状況でございます。こういうことを見てみますと、特許年金を支払っていただくのは特許を取った方からいただくということになってございますので、そこの下から2段落目に書いてございますように、特許性の高い出願を行う出願人の方が他の審査コストを負担しているということで、公平感がなくて、十分な先行技術調査を行うというようなインセンティブをそぐ結果になっているのではないかということでございます。
それからもう一つ、こうした料金体系と申しますのは、国内出願を量的に拡大していく、キャッチアップの時代には妥当なものというふうな見方もできるわけでございますが、最近、特許庁からも特許電子図書館、それから特許情報をマージナルコストですべて提供をしているということでございまして、そういった状況の中で戦略的な特許を取るためには、この料金設定のところも見直す時期に来ているのではないかということでございまして、枠囲いに書いてございますように、特許性の高い出願を行う出願人ほど有利になる料金体系を目指す必要があるのではないかということでございます。
それから最後の対策でございますが、3.「出願人の要請に応じた優先的な審査着手」ということでございます。先ほど申し上げましたように、審査待ち期間の長期化というのは不可避な状況になるかと思われますが、そのような中にありましても、事業化に近い出願を優先的に審査する早期審査制度の一層の周知徹底を図って早く権利を欲しい方に早く権利をとっていただくというようなことを進めていく必要があるのではないかということでございます。参考に書いてございますが、現在、運用でやっているものは年間3,000件程度の利用にとどまっておるわけでございますが、これを知的財産戦略大綱の指摘も踏まえまして、さらに拡大利用がされますように周知徹底をはかっていくべきではないかということでございます。
少し長くなりましたが、御説明をこれで終わらせていただきます。

事務局

引き続き資料5及び資料6に基づき御説明をいたします。

事務局

それでは、「実用新案制度の在り方について」、それから「医療行為と特許について」、以上2点、簡単に御説明を申し上げます。
まず資料5でございますけれども、実用新案制度でございます。まず現状でございますけれども、実用新案制度、それ自身は特許の目的とならない程度のいわゆる小発明を保護するものとして設けられているものでございまして、そういう趣旨から保護対象でございますとか権利期間でございますとか、そういうものは特許とは差があるわけでございます。2枚ほどめくっていただきますと特許と実用新案の制度比較という絵がございますが、これの上から3つ目に「保護対象」というのがございます。特許法は右でございますけれども、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの」ということになっておりまして、実用新案法上は「物品の形状、構造、また組み合わせに係る自然法則を利用した技術的思想の創作」ということになっております。「高度なもの」という要件はない。それから、「「極めて容易に」考案できないもの」、下の「進歩性」のところでございますけれども、そういうことになってございまして、特許法上は「「容易に発明」できないもの」ということで、要件には差があるわけでございます。ただ、定量的な基準があるわけではございませんで、ある種相対的なものであるということでございます。
本文の方に戻りまして、実用新案制度の背景と言いますか、変遷を簡単に御紹介申し上げますと、もともと特許法が制定されましたのは1899年でございますけれども、その発足時から欧米先進国等との間の技術水準の格差というものを背景にして、小発明を積極的に保護をしていくという制度として明治38年に設けられたものであるということでございまして、当時の我が国の実情にはよくマッチをしていたものと考えております。その後、高度経済成長期、そういう流れの中でも特許、実用とも順調に伸びたわけでございまして、その変遷のグラフを一番最後のページにつけてございます。
1980年代ぐらいまで実用新案登録は特許出願の件数を上回っておったわけでございますけれども、その後、我が国の技術の成熟化ですとか、技術革新の加速化ということで、特許出願が急増する反面、80年を最後に特許の方が件数としては上回っているという状況になっておりまして、実用新案登録はほぼ横ばいで推移をしてきているという状況にございます。
この後、87年には特許の制度の中で改善多項制が導入されたこと、それからその後、93年でございますけれども、平成5年に実用新案法を大改正いたしまして、発明の早期実施、あるいは製品のライフサイクルが短くなっている、そういう傾向により的確に対処するという法改正で、実質的には実態的要件の審査を行わないという事実上の無審査のそういう制度ということで切り替えをいたしたわけでございます。
2ページでございますけれども、その結果、実用新案制度はどうなったかということでございますが、基本的には出願件数は著しく減少しておりまして、現在は年間1万件を切る、それでも多いと考えるべきかもしれませんけれども、特許に比して著しく少ないものになっているということで、実用新案制度の現在の意義と申しますか、小発明の保護という目的での意義というのはかなり希薄化をしてきているのかなというのがまずございます。
それから、短いライフサイクル技術の早期保護ニーズというもの、当然現在の実用新案法は物のみがその保護対象になってございますけれども、当然、早期保護ニーズというのは必ずしも物にはとどまらないということがあるのではないか。すなわち、ビジネス方法ですとかプログラム、こういうものは特許法の対象にはなったわけでございますけれども、それに対しまして、こういうものについても同様に短いライフサイクル技術の早期保護ニーズというのはあるかもしれない。これは実は平成5年の実用新案法の改正の方向性にも合致している問題でありますし、他方、こういうビジネス法特許等につきましては、やはり防衛的な目的で出願をされるということがかなり多いようでございまして、例えば権利行使を93%については、これは特許でございますけれども、していない、あるいはライセンス供与につきましても15%程度が考えているというにとどまっておるわけでございまして、こういうものにつきましても、例えば実用新案の道を開くということが仮にあればお互いの当事者の負担も小さくなるということがあるのかもしれないということが言えるわけでございます。
このようにユーザーニーズの多様化ないしは現在の実用新案の件数の減少という傾向を踏まえまして、新しいユーザーニーズにこたえる実用新案制度というものがどのようなものかということを今後検討してまいりたいと考えております。
今後の対応というところでございますけれども、実用新案制度に対するユーザーニーズがどの辺に実は存在しているのかということにつきまして必ずしも十分調査ができておるわけではないということで、アンケート調査ですとかヒアリング調査等を行った上、その結果をこの小委員会に御報告を申し上げて、その上で制度改正の必要性、あるいはその方向について改めて御議論をいただければということで考えております。
以上が資料5の御説明でございます。

木村制度改正審議室長

続きまして、資料6、「医療行為と特許」でございます。
現在、治療方法等の医療行為は特許の対象としておりません。具体的な医療行為、1ページ目の下の枠囲いの中に書いてございますけれども、手術方法、治療方法、あるいは診断方法、さまざまなものが包含されておるわけでございます。
これについて特許を付与していない理由というのは、2つ大きく分けてございまして、1つは研究開発政策的理由、①のところでございますけれども、基本的に大学とか大病院で医学の研究として行ってきたということで、そういうインセンティブ付与のニーズというのが余りなかったのではないか。あるいは、医学研究というのはそもそも営利目的で行うべきではないというような、そういう判断がある。それから、もう一点は人道的な理由でございまして、やはり医療行為というのは緊急の対応が求められる場合が多いわけでございますので、緊急事態で患者の治療に際して医師が逐一特許権者の許諾を求めなければならないというようなことになっては困る、そういう配慮があったとされております。現在、医療行為に特許を付与しないという明文の規定は特許法上ございませんが、実際問題といたしましては、特許の要件について規定した特許法29条というのがございまして、条文は後ろの4ページに抜粋がつけてございますけれども、この中では産業上、利用することができる発明というものについて特許を付与するということで書かれております。したがいまして、医療行為の発明というのは産業上利用できる発明に当たらないという、そういう解釈論で審査基準も定めて運用をしてまいったということでございます。
2ページでございますけれども、これに対してはさまざまな批判が寄せられております。まず第一は、先端医療ビジネスの登場、まさにビジネスニーズというものが存在しているということでございまして、特に再生医療でございますとか遺伝子治療、そういう関連の技術の中には、例えば皮膚の培養方法でございますとか細胞の処理方法、医師の免許を有しない者でも行い得る、そういう行為もあるわけでございます。しかしながら、現行の審査基準は特に採取したものを採取したものと同一人に治療のために戻すということを前提にして採取したものを処理する方法は、人間を手術、治療、また診断する方法であるということで、これについては特許権を付与しないという運用をいたしております。こういう場合は上記のような技術について、特許権でやはり保護する、そのことによって新たな産業育成というものがなされ得るのではないかという御要望があるということでございます。
それから、②で知的財産の関連の学会からも、これは医師の医療行為に独占権を及ぼさない、特許権という独占権を及ぼさないための一種の便法であって、解釈上はかなり苦しいのではないかという御指摘をいただいておるところでございますし、③で東京高等裁判所の判決で、やはり特許庁の審決そのものについては支持をされたわけでございますけれども、この特許法29条「産業上利用できる発明」というような要件に照らした運用というものについてはやはり一種違和感があるといいますか、それについての批判がなされているということでございます。
それから、④、⑤でございますけれども、総合科学技術会議の専門調査会ないしは知的財産戦略大綱の中でも特許法上の扱いを明確化するようにという御指示をいただいているということでございます。
3ページでございますけれども、まず欧米の取り扱いを簡単に御紹介を申し上げますと、欧州におきましては、医業は産業としつつも、医療行為は不特許事由であるということを法律上明記するという形で作業を進めてきているということでございます。TRIPS協定でございますけれども、医療行為は産業上の利用可能性があるということが前提としても、不特許事由として除外することができるということで、こういう方法論というのはTRIPS協定とは整合的であるということでございます。
それから米国でございますけれども、米国は医療行為にも特許を付与する。したがいまして、医師の行為にも特許権が原則として及ぶような規定ぶりになっているということでございますが、96年に法改正が行われておるようでございまして、それによって医師等による医療行為というのは差止とか損害賠償の請求の対象からは除外をするということでございます。
他方、さらにその除外の例外も実はあるようでございまして、バイオテクノロジー特許の侵害となる方法の実施というのは、さらにその除外であるということでございますけれども、最近、これに対してもさらにこの除外の例外をやめるという方向での法案が提出されておるようでございますけれども、いずれにしてもそのような医療行為にも特許を付与した上で、その効果が及ぶ範囲を制限するという方法論に立っているということでございます。
それで、今後の対応でございます。論点としては大きく分けまして①、②の2点があろうかと考えております。まず1つは医療行為を特許法の保護対象とするかどうか、現在は産業上利用することができる発明に該当していないということで保護しておらないわけでございますけれども、この整理を変更して、特許権の付与の対象とするかどうか、あるいはそうだとするとその方法論について御議論をいただくということかなと思っております。
それから②でございますけれども、医師等による行為に対する特許権の行使制限の是非ということでございまして、仮に特許権を付与するとした場合に、実際、医療現場に対して特許権を行使し得るというのは不当であるという議論が当然あり得るわけでございまして、それについての何らかの制限の必要性ないしはその方法論というものもあわせて御検討いただく必要があるのではないかということでございます。いずれにいたしましても、本件は非常に専門的な内容でもございますし、本小委員会のもとに医療行為ワーキンググループを設置させていただきまして、集中的に審議を行うということを事務局からも御提案をさせていただきたいということでございます。
以上でございます。

事務局

それでは、資料7に基づき、職務発明制度の関係につきまして御説明をいたします。

事務局

それでは、お手元の資料7に基づきまして、職務発明制度の在り方について、簡単に御説明させていただきたいと思います。
最初に簡単に現在、職務発明を規定しております特許法35条の経緯を御紹介したいと思いますけれども、明治42法では特段の定めのない限り、職務発明は使用者に原始的に帰属する、「原始的」というのは発明した段階でもうすでにその企業、使用者側に帰属するというような規定でございました。その後、大正10年法におきましてこの規定を変更いたしまして、職務発明は原始的に従業者に帰属するという規定になりました。この職務発明についてはあらかじめ譲渡する旨を定めてある場合には、従業者は相当の補償を受ける権利があるという規定になっております。この大正10年法の考え方はそのまま現行の特許法で引き継がれております。
では、2番で簡単に現行の特許法35条を御紹介したいと思っております。
まず職務発明とは何かということでございますが、括弧書きの中にありますけれども、従業者が職務上なした発明であって、企業の、これは「企業」と書いてありますが、使用者というのは大学その他、法人、すべて含まれますけれども、企業の業務の範囲に属するもの、企業の業務の範囲で、かつ従業者の職務の範囲であるもの、これを「職務発明」と呼んでおります。
まず第1項で、従業者がなした職務発明については、企業は通常実施権がありますということが規定されております。2項ですが、ちょっとわかりにくい書き方なので、通常よく「裏読み」と言っておりますが、括弧書きの中で通常の解釈を書かせていただいておりますが、職務発明については事前に契約、勤務規則等によって企業への承継を定めることが認められているということでございます。3項で契約、勤務規則その他の定めによって職務発明に係る特許権等を企業に承継した場合、従業者は相当の対価を受ける権利がありますよということです。4項で、その「相当の対価」の考え方が規定されておりまして、企業が受けるべき利益、それから発明が生み出されるに当たり企業が貢献した程度を考慮してその相当の対価を定めなければならないというふうに規定されております。
続きまして2ページをめくっていただきますと、こういった職務発明規定があるわけですが、昨今、ここで言う相当の対価をめぐる訴訟が出てきております。その事例を幾つか書いてありますけれども、この中で中程にあります平成7年のオリンパス光学工業が被告になっております、通常「オリンパス事件」と呼んでおりますが、この判決が昨年の5月に出まして、一躍みんなの注目を浴びたということでございます。(2)に書いておりますが、この昨年の判決については先ほど御紹介した相当の対価ですが、使用者が支払った対価がこの相当の対価、相当額に満たない場合には従業者は事後的に相当な対価を請求し得るという判決でございまして、企業側からは一度定めた、一度、従業者に払った額が将来にわたって安定しないという非常に不安定な状況だということでいろいろこの35条についての異論が出てきたという背景がございます。
それでは、3ページでございますけれども、どのような議論が出てきているかというのを簡単に御紹介したいと思います。
まずこの35条を改正をすべきという議論でございますが、ここでは4つに整理しておりますが、主に前の2点ではないかと思っております。まず最初ですが、この特許法35条をそもそも全部削除すべきという議論でございます。これは基本的には使用者と従業者が自由契約に基づいて職務発明の取り扱いを決めるべきという考え方でございます。これは括弧して「米国型」と書いておりますけれども、米国にはこの職務発明規定に類する規定はなく、基本的にすべて使用者と従業者の契約で行われているということで米国型ではないかということでございます。逆にこの意見に対する批判というのもございまして、その従業者に対する情報の開示の欠如によって契約当事者として弱い立場にある従業者の保護の観点で問題があるのではないか。従業者に非常に不利な契約を結ばされるのではないかというような懸念がございます。
こういった観点から、将来的に契約の有効性について問題になって、契約が無効だということになると、この権利の帰属というのがまた問題になってくる。従業者、あるいは企業かというところで、この権利の不安定性というのが問題になるのではないかというふうな議論がございます。それから、あと使用者は全従業員個別に契約をしないといけないということで、特に中小にとって非常に負担になるのではないかというような批判的な議論もございます。
もう一つの大きな議論としては、先ほど御紹介した35条のうちの3項、4項を削除して、次のような新たな3項を新設するという意見でございます。その内容は、契約以外にも勤務規則その他の定め、これは使用者の一方的な意思表示でいいということですが、それによって承継させることを認め、かつ承継の条件も勤務規則その他によって定めることができるというような新3項を設けるべきではないかということでございます。
この考え方というのは、今日の競争社会において企業の自主性を尊重すべきである。基本的に魅力ある制度であれば優秀な技術者が集まる、そこは競争原理を働かせるというような考え方でございます。
ただ、これに対する批判というのは、使用者が従業者と合意することなく特許権の承継等を行えるということで、従業者に事後的に相当な対価について争う権利がなくなってしまうということで、使用者側に有利過ぎるのではないかという意見がございます。
その他の改正論としては、後ほど簡単に御紹介しますけれども、英国型として、原始的な法人帰属、明治42年の形になりますが、法人帰属を認めて、顕著な発明だけ発明者に補償請求権を付与したらどうか、それからあとは4項の対価の概念をもう少し拡張して、相当の対価だけではなくて昇進その他、金銭以外の選択肢も可能にするような4項にしたらどうかというような意見がございます。
これに対して現行35条の改正に反対する意見としては、まず現行の特許法35条というのは使用者等の利益と発明者保護のバランスを適切に図ることによって科学技術に関する研究を加速しようという基本的な理念がございます。これを維持すべきということでございます。ただ、この意見の中でも、対価請求権の消滅時効をもっと短くすべきではないかとか、あるいは対価の額の立証責任を、これは通常、使用者側がいろいろな証拠を持っているわけですが、使用者等に転嫁することを検討すべきではないかというような意見もあわせて出ております。
それからもう一つは、先ほど御紹介した今回の議論の契機となりましたオリンパス事件でございますが、現在、最高裁に上告中でございまして、その判決が出て確定するまで方向性を出すのは時期尚早ではないかというような意見でございます。
それから、もう一枚めくっていただきまして、そもそも35条の「相当の対価」の決め方ですが、これは判例の積み重ねによって決まるべきもので、現時点で幾つかの判例が出た段階でこれが不明確ということで立法措置をとる、改正をするということはすべきではないのではないかという意見、それからあとは「相当の対価」の決め方が問題であれば、具体的な算定基準をガイドライン等で決めたらどうかという意見でございます。これはドイツがこの形をとっておるわけでございますけれども、ドイツでは非常に詳細な相当の対価の決め方が規定されておるわけでございますが、かえって非常に詳細な規定であるがゆえに手続が非常に煩雑だということと、それぞれの段階でまた争いごとになりまして、訴訟が多いというような問題があるということで、このガイドライン方式についても問題があるのではないかという意見もございます。
ちなみに外国の制度はどのようになっているかということでございますけれども、米国、ドイツ、日本につきましては先ほど御紹介したとおり、特許権は従業者に原始的に帰属するということになっておりますが、他方、英国、フランス、ロシア、イタリアでは、これは原始的に使用者に帰属するという規定になっております。ただ、いずれの場合でも従業者に相当の対価の請求権を認めることになっております。
それから、従業者に特許権が原始的に帰属する場合であっても、通常実施権について有償か無償かということで規定が分かれております。ドイツの場合には通常実施権についても有償ということになっておりますが、日本、アメリカは無償という規定になっております。
それから、あと特許権等の承継について労使間の交渉力の差異にかんがみまして、契約の自由に一定の制約を加えようという考え方は各国共通でございまして、ドイツについては相当の対価の算出基準の規定や、あとこれについてもめごとがあった場合に特許庁内に調整機関がございまして、そこで調整するというような行政が介入をするというようなアプローチの仕方と、それからアメリカのように基本的には対価の額には介入しないで、州法や判例等で利害を調整するというようなアプローチの仕方がございます。
ちなみにこういった例を見ますと、我が国の職務発明規定というのはドイツや英国の規定と同様に特許権等の権利の帰属や対価等について、公益的な観点から契約の自由の原則等を制限するものと言えるのではないかと思っております。
最後の方になりますけれども、今後の検討の視点として幾つか御紹介したいと思います。
まず検討する上での留意点ということでございますけれども、企業のリスク及び特許管理コストの低減はどのように図られるべきか、それから相対的に弱い立場にある従業者の地位をどのように保障すべきか、雇用環境の変化をどのように考えるべきか、研究者のインセンティブを高め、優秀な研究者の海外流出を防ぐためには、職務発明制度はいかにあるべきか、このような留意点があるのではないかということでございます。
それから、今後このようなことを検討するに当たって調査すべき事項として以下の点を挙げておりますけれども、日本の雇用、労使環境の実態と変化、それが企業における職務発明制度の実態、職務発明制度に関する意識・実態、これは研究者側でございます。それから諸外国の雇用・労使環境の実態、諸外国における職務発明制度の実態ということで、この職務発明制度は労使関係にも密接に関係するということで、そういった観点での調査も必要ではないかと考えております。

事務局

事務局からの御説明は、以上でございます。

委員長

それでは、これまで、これからのこの委員会での検討課題につきまして、その背景も含めましてひとわたり御説明をいただきましたけれども、残された時間でこの4つの課題につきまして、御質問、御意見等をお伺いいたしたいと思いますが、きょうは特に議論を急ぐということで、審査に関しまして少し詳しく御説明いただきましたけれども、これにつきまして、あるいはほかの3つの課題につきまして御質問、御意見等がありましたらお願いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。

委員

実用新案制度についてですけれども、基本的には実用新案制度というのは一時廃止するような方向で動いたというふうに聞いております。今、企業の実態としましては、特許そのものに対する利用する考え方というのが非常に多様化してきていると思うのです。例えば、アメリカのプロパテントに対応するために非常にたくさんの特許をそろえてそれで対抗するというのが従来1つの防衛的な考え方として非常に強かった。ところが、その防衛的な考え方の中には、権利としては必要ないというものも中に含まれるわけでして、非常に細かいそういうものについても、ほかで取られてしまったら大きな事業を営んでいる場合には非常に大きなライセンス料を払わなければいけないというような実態もございます。それから、今後についてですけれども、生産基地が日本からアジア地域に大変な勢いで動いていく、そうしますと、そういった国々ではむしろ実用新案制度というものを使いまして大量に出願が行われているというそういう実態もあります。ですから、そういう背景も踏まえた上でいろいろな制度構築をしていくべきである。例えば、特許というのは何のために存在するのか、それから、実用新案というのは企業活動の中の一体何をバックアップするのか、場合によったら、例えば中国等におきましても、国内公知というそういう制度がございますし、それに対してきちっとした形で、我々としては刊行物という形で技術を公開してしまいたいという、そういう目的も実はございます。
ですから、手続等が非常に簡単であれば場合によっては実用新案の方にあるものは回すという考え方もあると思いますし、それからもう一つ、この実用新案の中でぜひ検討していただきたいなと思っておりますのが、実はノーハウ等の扱いをどうするか、これは日本でも公証制度というのがございまして、あるときにきちっとそういう方法なりノーハウを実施していたということを後々問題になったときに何らかの形で実証してもらう、あるいは証拠を明示した形で、すでにそれは実施していましたねと、自分の権利としては確保するということはありませんけれども、自分の行為をプロテクトするという、そういうような考え方、これを公証制度という中でうまく使っていけるのかなと。ですから、技術公開はしたくない、これはノーハウですから、でもやはりそれを何らかの形できちっと自分自身を守っていく、特にアジア地域における企業活動をやっている場合に、この問題というのは我々にとってこれから非常に大きな問題になるだろう。特に、中国、新しい専利法の中では48時間のうちに工場をストップさせることができるというようなそういう規定がございまして、そういったものに対しても我々は何らかの対処をしていかなければいけないのではないかということで、ちょっと長くなりましたけれども、この実用新案制度の中で公証制度も踏まえた形でどういう制度構築をしていくかという、そういう考え方でぜひ取り上げていただければと思います。

委員長

ありがとうございました。
私の研究室にも中国からの留学生の人が来ていまして、実用新案の制度の研究というのをずっとやっていまして、日本ではもう歴史的な使命がかなり終わったような制度かもしれませんけれども、中国にとっては非常に有用な制度だというようなことを盛んに論文で書いていたのを今お話を伺っていて思い出しましたけれども、実用新案制度というのをそういう意味でアジアの経済発展とか、あるいは物以外のノーハウとか、ビジネスメソッドとかということが重要になってきているとか、新しい流れ中で実用新案制度というものをもう一回考え直すということも重要な課題になっているというような御指摘であったかと思いますので、今後、ぜひともそういった観点からこの委員会で検討していきたいと思います。
どうもありがとうございました。

委員

別の視点でもちょっと考えていただきたいのですが、実用新案制度の話をここであえて取り上げるねらいがよくわかりません。なぜなら、これだけ意義が薄くなってきたものを何でもう一度考え直す必要があると考えるからです。廃止するための検討ということでしたら非常にわかりやすいのですが、これをもう一度復活させる議論がなぜ必要なのかがよくわかりません。
もう一つは、企業側で物づくりの会社としては、最近、個人の発明家から実用新案に基づいた権利行使案件が多く、その対応コストも多くなってきています。先程委員から御指摘のあったようなポジティブな部分もございますけれども、一方、物づくりの現場の日本というところを考えますと、極めてネガティブな要素も出てくるわけで、ぜひそういう面もあわせて御検討いただければありがたいと思います。

委員長

どうもありがとうございました。
確かに実用新案をもう少し復活させるとすると、それに伴うコストの面というのも十分考えるということが必要だと思います。御指摘、どうもありがとうございました。
ほかに何か御意見、ありますか。

委員

あした、中村修二さんの最初の判決が出るのですけれども、きょうのお話の中では、あれはいわゆる相当の対価を求める裁判だというふうにちょっと決めつけていらっしゃるかなと思ったのですが、あしたの判決はそこの議論には踏み込まないのですね。あしたはいわゆる、あの発明は自由発明だったというのが中村さんのもともとの主張で、彼は権利を譲渡していないということを主張している。それで、会社はやるなと言ったプロジェクトを自分で会社の反対を押し切ってやったものだから、あの発明は私のものだと言っているのですね。それなので、あしたの判決は何が出るかわからないのですけれども、もしあれが自由発明だというふうにあしたもし認められるようなことがあると、今度は逆にいろいろなエンジニアの中から、職務発明ではなくて、あれは自由発明だなどという議論も出るのではないかな、などという心配が若干あるのですね。
それなので、今回、「職務発明」と限っていて本当にいいのかなということを若干気にしているのは、多分これから人材の流動化が進んでくると、ある会社でいろいろなアイデアを持っていたもの、それをある部分持って出た別の会社でまた自分がそのアイデア実現したりしてそれを特許化するなどということがたくさん出てくると思うのですね。そのときに、いわゆる職務発明だけではない議論というのも今後出そうな感じがあって、若干その辺も踏まえた方がいいのかなということをちょっと感じています。

委員長

ありがとうございました。
よく企業の人に聞くと、アンダー・ザ・テーブルで研究開発をやってうまくいったという話がよくありますので、職務発明の検討をするときは少し土俵の設定の仕方も広くと言いますか、今おっしゃった点も入れて検討するということだと思います。
どうもありがとうございました。
ほかに何か御意見はございませんか。

委員

私ども企業の側から職務発明のことを考えてみると、企業の活動は国際的になって、研究者も海外から日本に来たり、海外に研究所を置いたりという、アクティビティがずっと多くなっているわけです。そういう中で、先進国ではドイツと日本だけが異様な制度を世界でとっているわけで、このことが産業競争力上で有利なのか不利なのかという視点でこの制度を考えないといけないと思います。従来のように35条ありきでこの議論をしていますと、現実の企業活動と全然合わなくなってきてしまっているような気がするのです。ですから、国際産業競争力という視点からこの35条はどうあるべきかということを議論いただきたいと思います。きょうお話を伺っていると、35条ありきでどうあるべきかということをずっと法律面から議論されているのですが、企業の国際産業力という意味でどうあるべきなのかという議論が先にないと、やはり議論はかみ合わないのではないのかなと感じております。

委員長

どうもありがとうございました。
おっしゃるように、企業の研究開発投資のインセンティブメカニズムをどう考えるか、あるいは個々の研究者の研究のインセンティブメカニズムをどう設計するかという問題、そういう角度から検討していくということも非常に重要なポイントだと思います。どうもありがとうございました。
ほかに何かございますか……。
審査の方のことにつきましては少し早めに中間的な結論でも得たいということできょうは少し詳しく御説明いただきましたけれども、この点については何か御意見等、いただければと思いますが、いかがでしょうか。

委員

御質問ですが、資料4の15ページに「日米欧三極における料金比較」という表が表5として出ております。
これは欧州の出願及び審査請求関連費用について、企業は一般的に4ヵ国ぐらい出願しているので、これを4分の1に割って比較すると日本と各国とでは同じと考えてよろしいのでしょうか。

委員長

いかがでしょうか。

事務局

この欧州の特許出願と審査のところは欧州、ヨーロッパ特許庁に一括で払うものの料金でございまして、そこで審査をして4ヵ国で特許がとれるということで、それは4ヵ国あるから4分の1だろうという御指摘であれば、4分の1ずつの勘定になりますから1ヵ国その分ですねと言うことですけれども、EPO、ヨーロッパ特許庁にかかっているお金はこれが全部ということでございます。

委員

私どもも1ヵ国だけ出願するのでしたらナショナルルートで優先権を使って1ヵ国ずつ出しています。多分4ヵ国ぐらいまとまるとコストリダクションもあってということで、平均的な企業は4ヵ国ぐらいをベースに考えているのではないかと思うのです。そうすると、このコスト自身を4分の1に割ってみると大体同じなのかなという感じがしているのですが、そういう理解でよろしいでしょうかという確認です。

事務局

1ヵ国ずつ4で割れば1ヵ国当たりはこれだけになるという意味では、その10万になるということしか申し上げられないということでございます。

委員長

ありがとうございました。

委員

先ほどからここで審理の促進で、1つは手続費用の問題が議論になっているわけですが、基本的にこれは行政庁の取る手数料ですので、手数料の持つ性格というものを踏まえて考えて行う必要があるわけです。したがいまして、やはりここでは手続に係る費用という観点から、現在出願が非常に多い、それから審査が非常に複雑になっている、そういう現状を含めて手続に係る費用が増加しているということであれば、これは費用を、手数料を増額する十分な根拠たり得るものではないかというふうに思われます。
ただ、議論として若干、出願件数が多いこと自体をやや問題にする議論というのは、これは、特許法は特許制度をつくって、国民に対して権利を欲しい人は出願しなさいというふうに制度を構築しているわけですね。それに従って出願をして、件数が多いからややそれがけしからぬという議論は、私は議論の仕方としてはいささかよくないのではないか。出願件数が多い、したがって、コストが大きくなっているということであれば、そのコストを、これは手数料に反映するということであれば、これはおかしいことではない。審査が大変になっているのだから、手数料を上げますよと、これもおかしいことではないと思うのですが、ただ件数が多いということ自体を余り問題にするのはいかがなものかという感じがいたします。
もう一つ、多分先ほどの実用の話も出てきたのは、どうやったら審査をうまく促進できるのだろうか。以前に実用新案の審査を廃止したときの事情も審査の促進だったということがその1つの理由になっていたと思うのですね。今度は、その審査を促進するために実用新案制度をどう使っていこうかということがここの1つの議論になっているのではないかというふうに先ほどの御説明からは受け取ったわけでございますが、そこの点も踏まえて検討していただくといいのではないかと思います。
あともう一つ、これは私は手続的にもう少し改善をする余地はほかにはないのかどうか、例えば、私はわからないのですが、単一性の範囲をどうとった方が皆さんから合理的な出願をしてもらえるのかどうか、例えば請求項1項当たりの費用と、それから出願の費用というものを、手数料ですね、これをどう定めておくと審査にとって一番合理的な単位で出願がされるのかということを含めて検討する必要がありますし、あるいは今、日本では継続出願というのはないわけですが、そういう制度を認めた方があるいは新規の出願が減るのかどうか。そういうふうな制度を認めた方がかえって審査手続が複雑になるので遅くなるという考え方なのかもしれませんし、あるいはそういうことで費用効果でそういう手続をとった方が審査が促進されるのかもしれない。
やはりこれは総合的に皆さんからいわば利用しやすい特許制度をつくって、なおかつ審査を早くするということが必要なので、私はどうも件数が多いということ自体を、繰り返しになりますけれども、そのこと自体が問題だという議論の仕方はやや特許制度という制度の提供の仕方からして、国民には取る権利があると言っておきながら、いやたくさん出すのはと言うのは、どうもちょっといかがなものかなという感じがしております。

事務局

今の御指摘は、よく分かります。特許というのは国のまさに宝ですから、知財戦略大綱もまさに創造に関してアクセントを置いているわけです。ですから、よい特許がどんどん出てくることは大変歓迎すべきことであり、それを抑制するつもりは全くないわけです。
ただ、先ほど申しましたように、我々といたしましても、若干とはいえ審査官を増員する、またアウトソーシングも進める、それからいろいろな国際ハーモナイゼーションを図る、あるいは審査基準の改定を行うなど、審査、審判体制をなるべく使い勝手のよいものにするよう、努めてまいったわけでございます。その際、先ほどの紹介にありましたとおり、戻し拒絶など、審査請求人において多少でも調べていただければ、特許の可否についてある程度分かるようなものまでも、審査請求されるということは、国全体がこの特許制度をうまく使うという意味では、やはりいろいろとお考えいただいた方がいいのではないかというだけでございます。要処理件数の問題の改善に向け、私も就任以来、いろいろな方と議論をしてまいりましたが、中には特許庁はそういうことを考えているのかと言われる方もいらっしゃるのですが、そういう趣旨ではなく、議論の出発点は今先生が言われたとおりだと思います。その中で全体的に総合的に検討していかなければならないことはいっぱいあると思います。まさにユーザーフレンドリーな形で今後を考えていくということだと思うのですけれども、料金体系についてもそういう意味で考えたいと思います。あるいは、審査基準の問題など、そういうことも含めて皆様方に御議論いただきたい。是非ともそこは誤解はされていないと思いますけれども、御理解をいただきますよう、よろしくお願いしたいと思います。

委員

そのことについて、我々も普段取材活動をしている中でときどき感じるのですけれども、この間、ある特集をやったときに、うちの記者がいろいろなところの知財部に行くのですね。きょういらっしゃっている産業界の方々というのは結構強い会社の方なので問題ないのですけれども、日本の半導体の会社の中には、知財部の方でも、先行技術の調査というのはすごい大変なので、とりあえず日本は最初の出願にかかる費用は安いから出しちゃえばいいやというのは本音ではあると皆さんおっしゃるのですね。それから、現場のエンジニアの方々とお話をしていても、知財部の方は違うのですけれども、現場の方々というのはやはり出願で、特許1本書いて幾らという、例えば2万円とか3万円とかいうお小遣いをもらうということを考えると、例えば3本のものを1つにして強い特許にするよりは、1本ずつに分割して弱い特許を3つ書いた方がお金になるわけです。(笑声)だから、それが結構現場では起こっていて、なかなかマネージャーとエンジニアの間の溝というのはたくさんあるような感じがするのですね。ですから、多分特許庁の方々も普段審査されていると、質の決して高くないものが散見されるというのは多分あるのだろうとは思うので、両方の方がおっしゃっていることはとてもわかる気がしますけれども、実態が何なのかということをよく調べないといけないと思っています。
きょうのメンバーの方々は、本当に私が思っているのには知財の強い会社ばかりなのですけれども、本当は知財の弱い部門というか、そういう方々の御意見というのをうまく吸い上げるなりのようなことも意識した方がいいのかなというふうに漠然と思っています。

委員

今の話は料金体系を含めた話だと思うのですけれども、日本はもう特許法上、先願主義でございまして、一時一刻を争うという、いずれにしても調査などをしていて、それで後で後願になったら権利そのものが消滅してしまいます。私どもでも非常に大事な特許で、本当に1日違いで権利になったという、そういう例というのは実は幾らでもあるのですね。ですから、出願の問題と、それから審査請求の問題ときちっと分けて議論しないと議論がどうもかみ合わないかなという感じがいたします。
それから、この料金体系の導入のところの問題提起の考え方で、先程の委員の考え方に非常に賛成なのですが、例えば「特許性のある発明に対し相対的に不利な現行の料金体系」と、最初から特許性があるというのが明確にわかっているかどうかというのは、これは非常に曖昧ですし、それは新規性、あるいは進歩性を含めてどういうふうに判断していくかというところでいろいろな争点というのがあり得るわけでして、結果として査定率が低い、あるいは高いということはもちろんあると思いますけれども、余りこの部分で料金体系をいじるという考え方が自身が本当にいいのかなと。審査に係るコストというのは当然のことながら高い、年金に対してはほとんどコストをかけないでただお金をもらっているだけ、極論を言えばですね。コストはかからない。コストのかかるところからきちっとお金を取っていくという考え方で押していけば特に大きな問題はないのではないのかなと。ときどき新聞等にも出まして、2倍、3倍に審査料金を上げますと、それは何となく出願件数を減らすためだというような、そんなような論調もよくあるのですけれども、これは非常におかしな考え方だなという、そんな感じがいたします。

委員長

どうもありがとうございました。
今の御発言は私のように経済学をやっている者にとっては非常にわかりやすい、マージナルコストで価格をつけるのが一番効率的だという御意見だと思います。
どうもありがとうございました。

委員

素人の質問で恐縮ですが、教えていただきたいことがあります。資料4の1ページの図1で、我が国の特許出願は国内と国外で大ざっぱに言ってほぼ同数ぐらいになっているということなのですが、外国になりますと、アメリカからフランスまで、ほとんどが外国への出願の方が多くなっています。これはどう解釈すべきなのでしょうか。日本は国内市場も国外市場も同じように重要視しているのか、これに対して外国は国内市場は無視しているのか、特許庁としてはどういうふうに解釈なさっているのか勉強のために教えていただきたいわけです。

事務局

図1の御説明でございますが、国内の0から上のものは内国に出願をされているもの、内国人のですね、年の計で書いております。下側に書いておりますのは、実は外国出願をいたしますときは1件のものをアメリカ、ヨーロッパ、ドイツ、フランスとか、中国とか、複数の国に出願するものですから、1件が5件になったり、10件になったりする。そのトータルのカウントをしてございますので、実は海外の方が多くなっております。正確ではございませんが、日本の出願の1割5分か、それぐらいが外国出願をする基礎の出願になって、それが海外に出ている、重複して出願されているということでございまして、アメリカも同じようなことでございます。これが大きな差になってございますが、1件からたくさんの国に出願する程、外国出願が多くなるわけです。

委員

特許の数ではないわけですか。

事務局

特許の数ではなくて、出願をしたいという意向を示していると言いますか、そういうことでございます。まだ特許権になっているというわけではございません。

委員

それともう一つは、本当に特許権になった数で比較したら大分違うわけですか。

事務局

正確な数字は今持っていないのですけれども、ヨーロッパ、EUとアメリカに比べますと、アメリカは国内の特許よりも外国で蓄積したものが年間大きいということはあります。日本は相対的に日本が多くて外国の方が少ないというのは統計上、出てございます。

事務局

今の点、ちょっと補足させていただきますと、図自体はいわゆる出願を他国に対してする意思のあらわれでございます。先ほど御指摘のように、諸外国の方はもともとマーケットを世界全体に広く見ているというところの違いではあるのですが、やはり実態的に見ても、統計上どれぐらい特許取得しているかというのは今はっきりしたデータはございませんけれども、やはり国内と、日本と諸外国を見たときは、もともとアメリカは企業活動がグローバル化しているし、ヨーロッパにしても、各国は国境を接しているということでございますから、もともと自国だけのマーケットは小さいわけで、ヨーロッパ全体、それからアメリカを目指すという意味で世界をマーケットに考えるというのが非常に多くそれが出願に反映されている。ところが、日本の場合はここにお集まりの企業の方は輸出産業でございますので、比較的米国等を中心に外国で特許を取られていることは事実でございますが、ただ日本全体の分野ごとの国内出願の実態を見ますと、ほとんど外に出ていかないという分野はかなりございます。やはり国内の市場が大きく、その中で過当競争をしている。また、外国に出願する場合には日本語を英語に翻訳しなければいけないということで非常にコストがかかるということでございますので、最近は、ここでごらんいただきましたように外国出願割合も増加してきておりますけれども、ただ従来はどちらかというと国内の過当競争対策に起因する国内中心の出願構造、これは先程、委員からございましたように防衛出願がかなり多かった、いわゆる最終的に請求されないケースもございますし、特許にならないケース、全く利用されないケースも多いというような背景にあると考えています。
ですから、今、ちょうど日本も知財戦略大綱にございますように、国内だけではなくて外国でも知的財産で稼ぐという方向になっておりますので、いかに外国で特許を取っていくか、そのためにいかに外国出願に値するような開発を行うかが、重要になってきており、ちょうど過渡的な状況でございます。ただ、やはり諸外国に比べて、それは遅れていたということは事実ではないかと思います。
以上でございます。

委員

わかりました。実は私もTLOに関係しておりますのですが、国内出願と海外出願の間のギャップが大きいと言いますか、非常に困っておるという点がございますので、ちょっと付け加えさせていただきます。

事務局

只今、委員から御質問がございました特許はどうなっているのですかという御質問でございますが、アメリカの場合と日本の場合を比べてみますと、98年にアメリカは国内に8万件特許を確立し、海外にはトータル10万9,000件を確立した。日本の場合は98年に12万6,000件が国内で特許になりました。それに対しまして、外国は8万4,000件でございます。そういうデータになってございます。

委員

わかりました。

委員長

もしできましたら、この図1を出願ベースではなくて登録ベースで可能であれば調べていただいて、次回出していただければと思いますが。

事務局

わかりました。

委員

特許制度、審査の迅速化ということで、私個人はやや政策誘導的な料金体系というのも極端でなければあってもいいかなとは思います。その前提として、私が素人だということもありますけれども、特許の審査実態がどうなっているのか、例えばどこにどう費用がかかっているのか、アウトソーシングはどのような実態で幾ら金を使っているのか、特許庁を監査するつもりは毛頭ありませんけれども、ややその辺に踏み込まないと政策の対外的な説明のうえでも理解が得にくいのではないでしょうか。きょうは初回ということだろうと思いますけれども、今後、ややその辺に踏み込んだ、特許庁としてもこんな努力をしているのだけれども、足りないというようなところを伺わないと、ということで、ちょっと御注文ですけれども。

委員長

今の点は重要なポイントだと思いますので、次回に実態などを少し詳しく御説明いただければと思います。
ほかにいかがでしょうか。

委員

我々特許制度のユーザーの立場から申しますと、審査期間が短縮されて、かつ審査の質も担保されるというのが究極の願いでして、それに影響するならば料金の値上げということが仮にあるとしても、本音を言いますと、賛成はできないですけれども、あえて反対はしないというような立場になろうかと思いますが、今回考えていらっしゃるような料金体系の改め方が、それが審査請求の我々の考え方を改めるという、そういうステップを踏まえた上で特許庁の方の仕事の軽減なり迅速化にどう因果関係、こういう因果関係があるから結びつくというようなそういうモデルというか、そういうものを提示していただいた上で議論する方が我々の方も納得もできる、理解も含めて深い議論ができるのではないかと思っております。
それと同時に、そういう料金の体系がそれ以外の面で、こういうところにさらにお金を割けるようになるからこういう効率がアップしますというようなところもあるならば、あわせてその点についても御説明いただければと思っております。

委員長

モデルとおっしゃるのは、審査料金とか維持費とか、そういうものの全体がどういうふうな体系になって、その場合には特許出願なり審査がどうなるかというようなことの因果関係をということですか。

委員

そういうイメージです。

委員長

わかりました。

事務局

ただいまお二人の委員がおっしゃられることにつきましては、一度引き取らせていただきまして、次回御議論いただくための材料を用意させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

委員

審査請求の数が多くなるもう一つの原因は、これが本当に特許になるのというようなものがどんどん特許になっている、あるいは過去にあったものと余り違わないようなものが特許になっているというような実態を我々は感じておりますので、どんなつまらないものでもみんな出せというふうにこちらも指示しております。(笑声)それはもうどうなるかわからないから、そうしないと会社としては大変な目に遭うということがございます。したがって、この審査基準というか、審査をまじめにやってもらうというか、厳しくやってもらうというか、その辺をやはりきちっとやってもらえば減るという傾向も出てくるのではないかということでございまして、したがって、今の実態の数だけを見て判断するのではなくて、ここに書いてあるように2001年の報告書には「審査の質が低下し」というふうに指摘されているということがあって、その後いろいろ工夫しているとお書きになっていますけれども、その工夫が終わってはいけないのであって、それはどんどんやはり同時並行的にやっていただく。恐らくそこが皆さんのコンセンサスが、納得できるように質が高まれば、我々の方もそんなつまらない特許は出すなとなるのではないか。鶏と卵みたいなことでございますけれども、そこが非常に気になっておるところでございます。

事務局

只今の委員の御指摘、私どもとしても最もだというふうに考えております。先ほど資料4の4ページあたりをちょっと見ていただきましたように、請求率が一時下がって、上がっていったという時期に、実は私どもの特許率が異常に上がったという事実がございます。これはちょうど付与後異議制度に転換したとか、それからやはりファーストアクションを非常に急いだという時期がございまして、その時にどうなっていたかと言いますと、やはり若干甘い、今指摘のあるような特許が付与されたということがあり、そのような状況になりますと、当然企業出願人の側としては心配だから請求をしていくという傾向が実はございました。先ほど守屋課長が説明しましたように、ユーザーの方から今、御説明致したような御批判、それから外国からも同様の批判があったということでございまして、2000年に審査基準を改定し、やはり運用としても、十分新規性、進歩性、記載要件を十分見ていくということで、今、全体としては拒絶率が上がり、異議が減ってきているという事実はございます。
同時に、当時指摘されましたのは、審査は厳しくなったとしても、審判が甘いとやはり心配であるという点がございまして、審判の方でも、裁判所の判決等を分析いたしまして、先程の基準の改定ということ及びその運用の徹底をやりまして、全体として審査部判断の支持率が上がってきているということでございます。御指摘のとおり運用基準のいわゆる適正な維持というものがないと、審査請求の増というものにつながるというのも我々も認識しております。その辺は十分心得た上でやっていきたいと思っております。今申し上げたあたりはデータ的にもある程度我々としても分析しておりますので、また御紹介していきたいと思っております。
以上でございます。

委員

先ほどの資料4の図1のところで出ていた出願件数に関して、日本と米国あるいはヨーロッパの各国との比較で、国内が日本は非常に高くて外国がその割には少ないという御指摘について、データ的にはこのとおりだと思いますが、これはアメリカが是であって日本がおかしいという見方をすると間違いではないかと思います。なぜなら、私どもが欧米の企業といろいろ話をしておりますと、特に米国、ドイツになりますが、競争力上の比較をしてみますと、彼らの問題意識は自国内への出願が少なすぎて、もっと増やしたいのだということです。ところが、どうしても増やせない。逆に日本企業のやり方の方が大変戦略的な色彩が濃いといっております。ぜひ日本を学びたいとも言っています。何社かからそう聞いておりますので、そうだろうと思います。1つの技術を多くの特許でカバーしておけば回避できなくなり、活用戦略上は大変有利になるわけです。欧米のように1件ポツンポツンとあるのでは非常に不利になるということで、彼ら自身が、どうやったら日本の企業のように特許がまとめて出せるのだということをしつこくベンチマークに来て話を聞いていきます。
だからと言って日本が今理想的かと言われるとそうでもないと思いますが、米国、あるいはドイツが理想的かと言うと、これもまたそうではないと思います。そういう意味では、この数値を見ますと、いかにも国際センスのない日本企業というふうにとられかねないわけです。我々の実態として、実務としてやっている立場から言いますと、そうではないということをぜひ御理解いただいて、それを前提にこの議論をつくっていただけるとありがたいと思います。

委員長

ありがとうございました。
特に図の1の解釈についてはやはり少し広い目で見る必要があるということだと思います。どうもありがとうございました。

委員

日本を代表するような各分野の企業の方が出られてる中、私どもの会社の名前を知らない方も多くいらっしゃるのではないかと思います。
小職の立場として、中小企業の代表として言うのにはおこがましく、ベンチャー企業のうちの1社ということで話をさせていただきます。まず特許料についての出願料とか審査料とかがありますが、これは中小企業やベンチャー企業にとってはかなり大きな負担になっていると思います。できれば大手企業と中小企業、ベンチャー企業で出願料、審査料、維持年金を分けるべきではないかと思っています。もちろん、中小企業と大企業の選別をどうするのだとかの議論はあるかと思いますが、経済産業省は大企業と中小企業を区別するガイドラインがありますので、ぜひそれに準じて分けていただきたいと思います。
外国出願に関しまして、当社としては非常に重要視しております。日本の出願に対して、外国出願は3倍ぐらいあります。それは国内出願1件について海外の3ヵ国に出願しているからです。なぜ、は外国出願が多いかと言いますと、日本の審査期間が非常に長い。アメリカは短いという理由からきています。ベンチャー企業にとって開発をスピーディーに行う必要があります。開発をするべきか否かの判断をアメリカ特許庁の判断に任せています。その為、アメリカの特許が許可されれば我々はその開発に着手するというような判断です。アメリカの特許は私どもの1つの開発の指針となっているのが現状です。

委員長

どうもありがとうございました。
審査料の問題を上げるというようなことを考える場合には、中小企業とかベンチャーとか大学とか、そういうところに与える影響も考慮に入れて検討すべきだということだと思いますので、その点も十分考慮して今後検討していきたいと思います。
大分時間もなくなってまいりましたが、最後に何か、どうしてもきょうこれを言っておきたいということがおありでしたらお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか……。
特にございませんようでしたら、本日の委員会はこれで終了したいと思いますが、きょうはいろいろと活発な御意見をいただいて、どうもありがとうございました。
特に審査につきましてはいろいろと具体的な御意見もいただきましたので、事務局の方で少し資料を用意したり議論を整理したりして、次回以降、具体的に審議していくということにさせていただきたいと思います。
次回の小委員会について、事務局の方から御紹介いただきたいと思いますが。

事務局

先ほど私からの御説明で、ワーキンググループの設置について議論を少し御紹介をいたしました。一応本小委員会での御了解を是非いただければと思います。

委員長

済みません。ちょっと忘れてしまっておりましたけれども、医療の問題につきましては専門的な知識が必要となるということでございますので、専門的な知識を有する方に集中的な審議を行っていただくということで、この委員会の下にワーキンググループを設置するということで議論を進めていただきたいと思っておりますけれども、それでよろしいでしょうか。
〔「異議なし」の声あり〕

委員長

どうもありがとうございました。
それでは、この小委員会のもとにワーキンググループを設置するということをこの委員会の議決とさせていただきます。

事務局

それでは、引き続きまして、今後のスケジュールについて資料8に基づき、御説明いたします。
(今後のスケジュールについて説明)

委員長

それでは、以上をもちまして、産業構造審議会知的財産政策部会第1回特許制度小委員会を閉会させていただきます。
きょうはどうも長時間、ありがとうございました。

――了――

[更新日 2002年10月30日]

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