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第2回特許制度小委員会 議事録

  1. 日時:平成14年10月15日(火曜日)15時30分から17時30分
  2. 場所:特許庁庁舎 特別会議室
  3. 出席委員:
    後藤委員長、相澤委員、浅見委員、阿部委員、市位委員、岡田委員、北村委員、志村委員、下坂委員、田中(道)委員、長岡委員、西出委員、松尾委員

議事録

委員長

それでは、時間となりましたので、ただいまから、第2回特許制度小委員会を開催いたします。
本日は、制度的な課題の検討の第1回目としまして、最適な特許審査に向けた特許制度のあり方について重点的に検討したいと考えております。
実際の議事に入ります前に、前回ご欠席された委員のご紹介と本日ご欠席の委員のご報告を事務局からお願いいたします。

(事務局から委員紹介及び欠席委員について御報告)

委員長

ありがとうございました。
それでは、早速、議題に入らせていただきます。
前回、この委員会で4つ議題を取り上げると申しましたが、本日はこの中で審査の問題を集中的に議論をしていただきたいと思います。
事務局で資料をご用意いただいておりますので、まず事務局からご説明をいただいて、その後でご議論をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

(事務局から、資料確認後以下のとおり資料説明)

事務局

資料3につきましてご説明をさせていただきます。
資料3は、副題としまして、「産業競争力強化に資する特許保護戦略」というタイトルをつけさせていただいております。これは知的財産戦略大綱を踏まえまして、産業競争力強化に向けて特許保護を全体的にどう考えていくのかということを書いてございますので、そういった副題をつけさせていただいております。
1ページに、知的財産戦略大綱のまとめを書かせていただいております。我々の検討のもとになりますのはこの知的財産戦略大綱ということですので、その骨子を整理させていただいております。
まず、知的財産戦略大綱におきましては、国際的な競争力を高めて我が国の経済・社会全体を活性化していくために、知的財産立国実現に向けた政府の基本構想をまとめてございます。大ぐくりにすれば、これはいわばプロパテントの推進といえます。
そして、2段目の枠括弧に書いてありますように、知的財産戦略大綱におきましては、知的財産立国に向けて質の高い知的財産を生み出す仕組み、あるいは知的財産を適切に保護すること、知的財産を社会全体で活用すること、いわゆる知的創造サイクルを大きく回すということで、拡大循環をすることによって経済・社会の発展の強力なエンジンにしていこうということでございます。
そういった目的のために保護戦略のところはどうすべきかという点でありますが、そこにつきましては、知的財産創造のインセンティブを確保するためには、知的財産の適切な保護が不可欠という指摘がございます。
それに向けまして、特許についてみますと、迅速かつ的確な特許審査・審判という項目におきまして、大きくは2つの点が指摘をされているところでございます。
第1点目は、中ほどの左に書いてありますように、特許等の審査においては、利用者のニーズを踏まえ、的確で安定した権利設定を行うとともに、その審査期間を国際的な水準とすることが是非とも必要ということであります。
2点目は、右側でございますが、企業の知的財産関連活動についても、量的拡大の追求から、経営戦略の観点から価値の高いものを目指すよう、その基本的姿勢の転換を促すべく、必要な方策について検討すべきと、2つの整理をしてございます。
これを受けまして、どのような総合的対策に取り組むべきかという視点でこのペーパーをまとめてあります。Ⅰとしまして特許審査体制の整備と制度・運用の充実、Ⅱとしまして知的財産管理の強化に向けた企業の取り組みの促進です。
そして、Ⅰの特許審査体制の整備と制度・運用の充実につきましての対策といたしまして、4つ整理をしてございます。1は、特許審査体制の強化。2は、創造的技術革新を促す特許審査。3は、グローバルな時代でありますので国際的な権利取得の円滑化。4は、ユーザーニーズに対応した優先的な審査ということで、権利化を急ぐものについては早く審査をするということでございます。
Ⅱの知財管理の強化に向けた企業の取り組みの促進につきましては、2つの整理をしてあります。1は、戦略的な知的財産の取得・管理をしていくべきではないか。2は、これも戦略大綱に指摘がございますが、出願・審査請求構造改革への取り組みです。
大きくこの6つの総合的対策にまとめてございます。
2ページには、今申し上げました事項について戦略大綱の全文から抜粋してございます。
3ページは、先ほど申し上げました6点のそれぞれの項目につきましての考え方の整理をさせていただいております。
まず、特許審査体制の強化でございます。知的創造時代といわれる中で、最近、特許出願、特許の審査請求、国際的な特許出願が急増しています。そうした中、適切な特許保護を図るため、特許審査体制の強化が必要ということでございます。
下の図1ですが、前回の会合でも見ていただきましたものを書いてございます。出願件数、審査請求件数は右肩上がりになっているということでございます。ただ、特許登録件数につきましては最近横ばい状況にあります。なお、96年に特許登録件数が急増していますが、これは、従前ありました付与前異議制度を付与後異議制度にかえました関係で、特許登録が直ちにできるようになったということで、制度上の変更のためにこういう数字になってございます。
図2は、国際的に我が国から海外に向けて出願されますPCT出願が勢いよく伸びているということでございます。
4ページは、こういった状況の中で、審査体制の整備に向けまして特許庁におきましては、従前より、審査官の増員とともに、審査の下調査であります先行技術調査等のアウトソーシングを拡充させていただいております。これによりまして、欧米に比べまして比較的人数の少ない体制のもとで高いパフォーマンスを実現しているということでございます。
図3には、これまでの特許審査官の増員数の推移を書いてあります。2002年までは総務省の査定ベースで22ぐらいでございますが、来年度は42の要求をさせていただいています。
表1でございますが、アウトソーシングにつきましても、検索外注という先行技術調査の外注と、分類の付与ということにつきましても外注をさせていただいております。2002年、今年度は、一番右端でございますが、分類付与外注件数は44万件、検索外注件数は万6,000件の予算をいただいておりまして、そういったアウトソーシングをしております。
そういったこともございまして、図4に示されていますように、日本の審査官1人当たりの最終審査件数は、これはPCTの予備審査件数も含んでございますが、欧米に比べまして高いパフォーマンスを示しているということでございます。
5ページですが、では、今後どうしていくべきかということでございます。検索外注の中には2種類ございまして、対話型検索外注と納品型検索外注がございます。この対話型におきましては、絵にかいてございますが、先行技術調査をするサーチャーの方に来ていただきまして、審査官に出願内容等の説明を同時にやっていただくということで、非常に効率的になってございます。納品型の方は、書類で報告書が届いて、その後、審査官が読んで使用するということでございます。対話型の方がかなり効率がいいものですから、今後はこういった対話型検索外注を拡充していく必要があるのではないかということでございます。また、審査官増員は引き続き図っていく必要があるということでございます。
2点目は、専門的知識を有しました補助職員を審査官の審査の補助に積極的に活用していく必要があるのではないかということでございます。今も審査調査員等がおりますが、今後、ポスドクの方々の活用を拡大していく必要があるのではないかということでございます。
6ページでございますが、大きな2点目として、創造的技術革新を促す特許審査でございます。これは技術革新の加速化・グローバル化が進展していく中で、先端技術分野の研究開発成果を適正に保護することによりまして、知的財産創造のインセンティブを強化しまして、我が国の産業競争力強化につなげることが必要ではないかという視点でございます。そのために、特許審査体制等の整備として幾つか改善を図っていかなければいけないのではないかということでございます。
第1点は、新技術分野等における審査基準の明確化と国際調和ということでございます。知的財産戦略大綱でも指摘されておりますように、ポストゲノムの研究成果の保護でありますとか、再生医療技術等についての保護はどうあるべきか、その基準を明確にする必要があるといったことですし、また、明細書の補正でありますとか、発明の単一性等々につきまして、国際的な運用あるいは制度と調和しているのかどうかといった観点も議論をしていく必要があるのではないかということでございます。
2点目は、迅速な権利付与を可能とする制度・体制整備でございまして、手続面での工夫がまだありはしないかという観点から検討を加えていく必要があるということでございます。
3点目は、適正な保護水準を担保する的確な審査の維持ということでございます。創造的な技術革新を促すためには、きちっとした審査基準に基づいて創造性に対するインセンティブを与える審査が必要だということでございまして、進歩性レベルの適正な維持を図っていく、あるいは、特許庁でやっております関連出願連携審査で、コア出願を中心としました関連出願を包括的に統一した基準で審査をしていくといったようなことが今後とも必要ではないかということでございます。
4点目は、出願人・代理人との十分な意思疎通の確保による円滑な審査でございます。発明をされた人、あるいは代理をされている弁理士の方々と審査官との間の意思疎通がきちっといきませんと、なかなかいい特許はとれないのではないかということで、面接審査でありますとか、地方の中小企業、ベンチャーの方々には、今、巡回審査ということで、審査官が地方にまいりまして、説明を受けながら審査をするということもやっておりますので、そういったものも拡大をしていく必要があるのではないかということでございます。
それから、下の枠に書いてございますが、産学官連携推進に向けた特許制度ということでございまして、既に大学・公的研究機関等の料金減免もされていますが、それも引き続きしていかなければいけない。
それから、大学等におけます特許取得環境の整備ということでございますが、大学における知的財産管理の支援をどうやってしていくのかという問題とか、審査基準の周知といった支援が必要ではないかということでございます。それから、既に大学関連出願の早期審査ということも対象に含まれてございますが、さらに周知を図っていく必要があるのではないかということでございます。
7ページ、大きな3点目でございますが、国際的な権利取得の円滑化ということでございます。世界経済がグローバル化する中、我が国企業等の国際的な権利取得の円滑化を目指しまして、制度調和や国際協力を推進していくということ。それから、増えておりますPCT出願に対する対応も必要になってきているということでございます。
その取り組みといたしましては、1つは、制度及び審査基準の国際的調和ということで、WIPOあるいは三極等で審査基準の調整、あるいは制度的な検討が行われておりますので、積極的にそれを推進していくということでございます。
それから、PCT出願に対応した制度・体制の見直しということでございますが、国際的な出願でございますので、国際段階での日本の責務と国内に来たときのその審査のあり方がどうあるべきなのかという観点からも、見直しが必要ではないかということでございます。
それから、日米・三極等の国際協力の推進、そして先進国間の審査官交流の推進ということでございますが、いずれも海外特許を取得するときの支援としてどういうことが特許庁としてできるのかといった問題について、議論を深めていかなければいけない。
それから、審査官の場合は、お互いの審査官がやります審査についての相互信頼を深めていく必要があるのではないかということでございます。
それから、海外への我が国特許庁の審査結果の提供という点からみますと、先進国のみならず、途上国等への審査結果の提供ということで、相互利用等を通じて特許の取得を容易化していく道が開けるのではないか、という観点から議論が必要ではないかということでございます。
8ページ、大きな4点目でございますが、ユーザーニーズに対応した優先的な審査ということでございます。第1回目のこの会合でご説明しましたとおり、審査待ち期間が長期化する恐れがございます。そういった中で、ユーザーのニーズにこたえまして、事業化に即してタイミングよく権利をとっていただくということで、現在行っております早期審査制度をさらに周知徹底を図っていくことが必要ではないかということでございます。この早期審査制度は1986年に導入されたわけでございますが、その後、幾つかの改善を図りまして利用拡大を図ってきておりまして、昨年は3,000件弱の利用がありました。
図8でございますが、どういったものが早期審査になっているかということでございます。今、実施している、あるいはこれから実施しようとしている発明について早く権利が欲しいという場合に申し出ができるようになっておりまして、それが45%ぐらいございます。
それから、対外的にも特許をとるグローバルな特許出願についての早期権利化を図りたいということで、外国関連が30%ぐらいございます。
それから、中小企業、個人の出願につきましても早期審査の対象にしていますが、これが全体として24%ぐらいございます。大学やTLOも対象になっていますが、まだ利用規模が非常に小さいということでございます。
特許庁としましても、対象を拡大し、審査をするスピードも、図6の表にございますように、2001年の実績で早期審査の申し出から一次審査の通知が行くところまでは、平均的にみまして3.3カ月という実績をつくってございます。今後こういった早期審査制度を周知徹底して、拡大利用を図っていくことが必要ではないかということでございます。
9ページからは、知的財産管理の強化に向けた企業の取り組みの促進ということでございます。
まず1点目は、戦略的な知的財産の取得・管理でございます。知的財産戦略大綱におきましても、欧米に比して我が国の出願の多くは国内重視の傾向が多く、外国出願の比率が低いということで、今後、グローバルな競争を意識した戦略的な対応が急務ということと、国際競争に耐え得る高度な発明の創造を促進し、その発明について特許を世界的に確立していくといった、企業の早急な対応を促す必要があるのではないかという指摘がございます。
図9に、前回は出願ベースでお示ししておりましたが、特許ベースで94年から99年のWIPOの統計をとってございます。0のラインから上が主要国の国内特許取得数、0から下が国外への特許取得でございます。日本の場合は、数字は書いてございませんが、99年の例をみますと、国内が13万4,000件で、国外が8万4,000件。アメリカはちょうどその逆の形になっておりまして、国内が8万4,000件、国外が11万3,000件。ドイツは国内が約2万件、海外が7万強となってございます。イギリスは国内が5,000件弱、国外が2万4,000件、フランスは国内が1万1,000件、国外が3万2,000件となってございます。これはヨーロッパの国の一つ一つをカウントしてございまして、日本とドイツはほぼ均衡する程度の国外特許を取得しているということでございます。
10ページですが、こういった問題がある中で、今後、経営戦略の観点から価値の高い知的財産を重視して、知的財産管理を強化する企業行動をとっていただくということと、戦略的かつ効率的に特許を取得するということを促進するための環境の整備が必要ではないかということでございまして、そのために下枠に3つの課題を掲げさせていただいております。
1つは、戦略的なプログラム策定のための指針の策定ということで、こちらは経営・市場環境小委員会において既に検討が開始されておりまして、企業の経営者の皆様方のために参考になるプログラムができればよいということで検討をしてございます。
また、先ほど申し述べました国際的な権利取得の円滑化ということで、PCT出願等で、海外特許をどうとっていくか、とりやすい状況を生み出していかなければいけないということでございます。
3点目は、本日別途ご議論をいただくことになっていますが、現在の特許料金体系は特許率の高い出願人と低い出願人との間のコスト負担の不均衡がございますので、そういったものを是正するような料金体系、あるいは適正な審査請求行動を促す料金体系への導入ということについても検討はどうかということでございます。
11ページですが、企業の取り組みの促進の大きな2点目として、出願・審査請求構造改革への取り組みでございます。現在の出願の状況、審査の状況は、第1回目でご説明したものをもう1度ここに書いてございますが、図10にございますように、特許率は、最近審査が甘くなったという指摘を受けまして、審査基準の見直し等をしました関係で、この4年間は低目に推移しています。
図11は、一次審査に対しまして反論なく拒絶査定をされるものの割合も漸増をしている状況でございまして、全審査件数の2割を超えるところまで来てございます。こういった特許性の乏しい出願が相当程度あるということで、結果として我が国の審査遅延の一因となっているのではないかという見方もできるわけでございまして、こういった状況ではなく、我が国の産業競争力強化に資する出願に対して迅速かつ的確な特許権を付与していくことが、競争力強化につながっていくのではないかということでございます。このために、特許庁の限りある審査能力をできる限りそういった出願に振り向けることが必要ではないかという問題意識でございます。
12ページです。このような状況の中で、知的財産大綱におきましても、出願・審査請求構造改革に向けた取り組みが急務だという指摘がされています。
今後、特許制度は我々の審査能力も含めまして公的なインフラであるということにつきましての共通の認識をもっていただきまして、その効率的な運用をしていただくように、ユーザーの皆さんに協力を要請していく必要があるのではないかということが1点目でございます。
それから、先ほど申しましたコスト負担の不均衡是正、あるいは適正な審査請求行動を促す料金体系の導入ということでございます。出願後に技術動向も変わりますし、事業化の方向も変わりますので、出願後の状況からみて特許性が明らかにないようなもの、特許取得が必要でないものにつきましては、できる限り事前に評価をしていただきまして、むだな審査請求を控えていただくということのきっかけにしていただければということでございます。
このように6つの総合的対策を書いたわけでございますが、要は、最終的には特許になる発明に審査能力を傾注することによりまして、日本全体として戦略的な特許取得をして、多くの戦略的な特許を確立していくことが知的創造サイクルを大きく回すことになり、それが日本の産業競争力の強化につながっていくのではないかということでございます。そういった観点から、6つの対策について整理をさせていただいております。
以上で、説明を終わらせていただきます。

事務局

説明が長くなって恐縮ですが、今お話ししました全体の特許制度の大枠の中で、一部の料金問題について前回ご議論がございまして、コスト面等につきましても少しまとめのレポートをさせていただきたいと思います。
資料4をごらんいただければと思います。
3ページですが、まず最初に、料金自身がどういう形で決まっているかということの前提を再度ご説明をしたいと思います。
4ページですが、料金につきまして、特許特別会計につきましては、ユーザーの費用によりまして全体が賄われるということでございますので収支相償ということと、受益者負担ということで基本が決まってございます。
そうした中で、特に特許関係の費用につきまして、5ページでございますが、現在、3種類の費用によりまして全体の経費を支弁していくということを行っております。もともと3つの制度につきましては、そこにございますように、それぞれ一定の法の目的において趣旨を踏まえた料金となっておりまして、出願料につきましては、発明の奨励の観点ということで、ある程度政策的に出願が容易な料金にするという性格をもっております。審査請求につきましては、昭和45年の改正で入った制度でございますが、適正な審査請求行動を期待するということで、出願した後に、いろいろな技術動向・事業動向をみながら、一歩立ちどまって、特許庁に審査を請求するものについて考える、そのときの一定の役割を果たす料金として審査請求料がございます。
特許料につきましては、出願料と審査請求料とあわせて特許庁の全体の経費を賄うということで、特段、コストというよりは、全体の総費用を特許料で最後は賄うということでございます。
6ページですが、料金改定につきましては、昭和の初めから、ある意味では物価変動といいますか、ある程度赤字化の中で引き上げをするということをずっと続けてまいりまして、そういう意味では、かつての構造をそのまま平均的に引き上げるといった引き上げをずっとやっておりました。ただ、昭和59年から60年以降につきまして、その請求項による変化ですとか、特許料の中でも出願料と審査請求料のあり方を変えてみるといったことで、少しずつコスト面に配慮した動きもしてございますが、総じて平均的な引き上げをしてきたということでございます。
7ページですが、現行料金体系の課題ということで、コスト負担の不均衡と請求料の機能低下ということが書いてございます。
8ページですが、現行の料金体系につきましては、先ほどお話ししましたように平均的にずっと上げてきた形でございますが、特許料によって審査費用等の不足も補う、基本的には内部補助をしていくという構造になっておりますが、特に審査費用が著しく増大をしており、コストと料金とが大分ずれてきているだろうということと、企業ごとに特許率のばらつきが大きくなっていて、同じような特許料ではなく、均質な出願人ではなくなってきているのではないかということで、特許率の高い出願に、結局は特許をとった方が特許料によってかなり内部補助をする側に回るということと、特許率の低い出願人ということで、審査請求料についてある程度内部補助をもらって負担を少し軽くしてもらっている方々というところの不均衡が拡大しつつあるのではないか。それによりまして、企業についていろいろなコスト面からの知財管理のインセンティブというものを少し低下させている可能性があるのではないか、というのが私どもの問題意識でございます。
9ページですが、予算をみましても、全体の特許会計の伸びが、例えば平成10年度からみますと2割程度の上昇となってございますが、一番下にございます外注経費というところで、審査関係のアウトソーシング費用でございますけれど、2倍以上の伸びをしておりまして、全体の特許会計の支出の中に占めます審査関係費用は大きくウエイトを上げてきているということが、予算上もみてとれる状況でございます。
10ページですが、特許率のばらつきについて、1つの試論でございますけれど、96年と2001年を比較いたしますと、96年の方が割と上の方で皆さんの行動がそろっていたということでございますが、だんだんばらつきが大きくなってきたということで、特許の高い方、低い方の分布がばらついてきて差が出るようになってきたというところが、特許率の分布からみてとれます。
11ページですが、そういった状況の中で、審査請求件数がふえ、特許率も少し悪くなり、審査待ち期間も長期化しているわけでございますが、もともと審査請求料自身が適正な請求行動を促すという、コスト面から1回再考していただくきっかけを与える料金という制度でございますが、十分に機能する額に定められていないのではないかということで、もともとそういうものとして定めたものがうまく働いていないのではないか。そういったことから、前回もご説明いたしましたとおり、やや戻し拒絶のように、明らかに特許になりにくいようなものまで審査請求される状況もあり、全体の審査待ち期間の長期化は、権利の成立あるいは行使に影響もありまして、全体して拡大循環を目指します知的創造サイクル、円滑な推進の阻害になるのではないか、国全体としてもったいないのではないかという議論でございます。
12ページは、先ほどの事務局の説明の中にもございましたとおり、審査請求件数の増加傾向で、これは望ましいことだと思いますが、特許率の低下というのは全体としてやや質の問題があろうかということでございます。
次に、前回もご指摘がございましたが、では、一体、特許関連コストというものがどうなっているかということで、13ページでございます。ここにつきましては、後ほどこの資料に戻りますが、ページをごらんいただければと思います。朝日監査法人の方からご説明をいただこうと思っておりますが、大まかこういう形で、特許庁の全体のコストを洗い出しまして、それをいろいろな部門に配賦をいたしまして、そういった中から、間接経費の割り掛けをいたしまして特許関係の費用に全部戻すという作業で、特許関係に実際上のコストがどれだけかかっているかという作業をいたしました。
ここにつきましては、朝日監査法人が本日ここに来ていただいておりますので、朝日監査法人の方からこの辺の説明をさせていただきたいと思います。

朝日監査法人

それでは、お手元の資料5「実費算定結果の報告」でご報告させていただきます。私は、今回のプロジェクトの責任者をやらせていただきました代表社員の横井と申します。
1ページ、調査研究業務の概要でございます。まず、今後、料金改定を検討する際の参考となる実費の計算方法の検討及び計算の実施ということで、一定の仮定のもとの実費の算出をいたしました。この実費といいますのは、下の枠外のところに書いておりますが、特許庁が料金等設定単位ごとの処理1件当たりにかけているコストを意味するということで、このことについては今からどういう計算方法でしたかを説明させていただきます。
今回の調査の対象といたしまして、料金等の範囲ということで、特許庁の全事業――特許実用新案、意匠、商標(審判を含む)の各手続に係る料金といたしました。
計算期間といたしまして、まず、年度1年間の計算をしてみて、その後、15年度以降の10年間を計算対象にしております。料金といいますのは、短期間での変更を繰り返すべきものではないことから、今後の中長期的な予測による実費を算出することが必要であるとの認識のもと、平成15年度以降10年間を対象とした試算を行いました。
作業概要といたしまして、まず特許庁における実費計算の基準というものを作成いたしました。それがここにありますように、費目別計算、部門別計算、料金等設定単位別計算、その上で1件当たりのコストを計算するという実費計算でございます。
さらに、今回の場合は、予算と10年間の予測ということがございますので、その基準をどのような形で適用していくのかということで、その適用方法について決定いたしました。今お話ししたように、平成年度は予算の数値に基づく実費計算を行いました。さらに、平成15年度から24年度の予測値に基づく実費計算を行っております。申請件数などの10年間の予測を入手し、具体的には、費用の予測、申請件数あるいは処理件数の予測などを特許庁から提示された予測数値を用いて実費計算を行っております。
2ページで、具体的にその前提事項についてご説明させていただきます。まず、実費計算に当たって、私ども朝日監査法人といたしまして最も気をつけた前提事項は、まず、一般に公正妥当な実費計算基準を策定するということです。実費計算方法の検討に当たっては、一般的に民間企業で実施されている原価計算を参考にして、特許庁に特有の事情や算定した数値の使用目的などを勘案しながら、一般に公正妥当と判断できるものを作成しております。今回の実費は、一定の仮定のもとに計算をしておりますが、私ども会計の専門家の立場から、現時点で実費計算するに当たり最も妥当と認められる基準を採用したと思っております。
次に、コストですが、間接コストを含めて実費を算定しております。実費には、特許の出願受理業務、審査業務に直接かかわるコストだけでなく、管理部門等のコストなど間接コストを含むものといたします。なぜなら、間接コストは特許庁がサービスを提供するために使用されるものであるとともに、特許庁が徴収する各種料金から回収すべきものと考えるからでございます。
それから、前提といたしまして、現行会計方式(現金主義会計)に基づいて費用を算定しております。現行ルールに基づいた計算を行うべきであるからです。
それから、過年度の繰越収支差額は考慮しておりませんで、毎年のコストということを重視して計算しております。
3ページですが、実費計算の概要でございます。実施計算基準を策定したわけでございますが、その基準の全体像について簡単にご説明させていただきます。
まず、一番左の費目別計算ですが、特許特別会計における科目分類に従って、一定期間における実費計算要素をその発生形態により以下の5つの項目に分類し、集計いたしました。具体的には、人件費、システム費、外注費等、施設維持費、その他経費でございます。
そして、ステップ1にございますように、各費目の特性に応じた適切な基準で部門への配賦計算を行っております。
次に、費目で集計したものを部門別にどのように配賦するかということで、まず現状の組織図に基づいて費用の集計単位を直接部門、補助部門として設定いたします。この補助部門といいますのが先ほどの間接コストのことでございますが、下の方にございますように、直接部門、補助部門の区別は料金等設定単位に直接かかわる業務を実施しているかどうかにより分けております。ここの表にございますように、具体的に、例えば特許の例でいきますと、方式審査課とか出願支援課等を初めとした審査業務部、次に特許審査第一部、第二部、第三部、第四部、審判部といった直接的な部門と、総務部――具体的には、秘書課、総務課、会計課、企画調査課、特許情報課、国際課といったものの補助部門を設定し、そこに費用を集計いたします。
ここで、ステップ2にありますように、各部門の提供する用役に応じた適切な基準でこの補助部門費用を直接部門に配賦いたします。ここでいいますと、総務部の費用を審査業務部あるいは特許審査第一部から第四部まで、審判部といった形で配賦いたします。例といたしまして、特許情報課でしたら公報発行割合、あるいは秘書課、会計課、総務課であれば人員比例配賦といった形で、部門別に集計いたします。
次に、直接部門別に配賦された費用を次の料金等設定単位別計算に展開するわけでございますが、各直接部門の費用を料金等設定単位に配賦する基準といたしましては、処理能力件数に作業負荷を乗じた値といたしました。ここにございますように、審査業務部でしたら、その内容としては、出願料、あるいは審査請求料、設定登録料、あいはその登録の毎年の年金に関する業務を行っておられます。その料金等を設定しておられる単位別に、この部門別の費用を配賦していきました。ここの作業が最も時間のかかったところでございます。
そうして料金等の設定単位別に計算した金額を、次の段階として実費計算でございますが、処理能力件数で割って1件当たりの実費を算出しております。この実費処理能力といいますのは、特許庁が出願人等の申請に対して1年間に処理・審査など可能な件数を意味しております。実費算出に当たり処理能力を用いたのは、適切に能力整備が行われ、それをフルに活用した場合の1件当たりコストというのが実費と考えられるためでございます。
このようにして費目別計算で集計し、部門別に再集計し直し、それを処理能力件数と作業負荷に応じた形で料金単位別にさらに料金を区分けして、1件当たりの処理能力で算出したものが実費計算でございます。
こういった作業の経過の結果といたしまして、次の4ページでございますが、実費計算基準を用いて平成年度予算を――これは1年度の予算に基づく数値で、一番右端のところに平成15年度から24年度の10年間の予測値に基づいた計算値の結果でございます。ここの表にございますのは特許の主要な料金・手数料でございまして、私どもの報告といたしましては他の項目についても計算をいたしております。さらにその詳細な内容等についても計算根拠がございます。
この中身について少しみていきたいと思います。先ほどの資料4の15ページの試算結果とここの実費算定結果は、具体的には同じことが書かれているわけですが、例えば、特許出願料をみていただきますと、手続、料金設定単位、そして現行の料金というものがございます。それに対して、例えば、特許出願料でありましたら、現行設定単価が2万1,000円、それに対して年度を予算値で計算した金額は幾らになるのかといいますと、料金設定単位別に配賦計算をした結果としては、年度予算値としては74億3,112万9,000円、この処理能力というものが41万9,644件ということで、1件当たり1万7,708円で実費というものを計算しております。
この横の方は10年間の平均値として積み上げ計算した平均値が計算の結果として出ておりますが、74億5,318万4,000円に対して45万3,561件で、予測値は1万6,433円。
次に、その下、審査請求料ということで、出願審査請求金額ですが、これは8万4,300円にプラスαといいますのは、請求項目というものがいろいろな特許事例によってございます。それの件数に1件当たり2,000円というものが加味しているのが現行料金でございますが、今回計算した結果、年度の予算値といたしましては、ここにございますように、528億5086万7000円――これは先ほどの資料4の試算結果をみていただきますと、真ん中の手数料設定単位というところで特許審査請求というのがございます。
審査業務部として配賦金額が47億259万8,000円。審査業務部は、特許出願あるいは設定登録等ほかの部門の業務をやっておられますので、特許審査請求としては47億円。そして、特許審査部、特に一部から四部までの審査部の金額が全体では約560億円ですが、そのうち特許審査として約480億円を配賦しております。そのあわせたものが約528億5,000万円ということで、528億5,000万円の配賦金額を年度の処理能力として20万8,931件で割った結果、1件当たりの処理コストとしては25万2,958円となっております。あと、今後10年間の予測値に基づく平均予測値は643億1,893万7,000円となっておりまして、それに対して処理能力が21万件、平均して実費としては30万3,066円。
このようにいたしまして、その下も、出願の特に最近ふえております国際特許出願に対するものについても計算いたしております。
こういった形で実費を算定いたしました。
私どもの計算した結果と概要は以上でございます。

事務局

引き続きまして、資料4の16ページに戻っていただきたいと思います。
今、朝日監査法人の方で出してきましたそれぞれの料金に対応しますコストにつきまして、実際のユーザーの方の負担との関係をみたものが16ページでございまして、先ほど、審査請求につきましては、請求項の問題もございまして、それを現実の平均の姿から6.2の請求項ということ等々、下にございますような前提で現実に合わせた計算をいたしますと、そこの上の表にございますように、出願料は2万1,000円の料金に対しまして実費は1万7,700円、今後はいろいろな合理化の中で少し下がっていくということで、出願関係は1万6,000円ぐらい、審査請求については約10万弱ということでございますが、年度は25万円、将来は審査請求の処理が少しふえていきますが、1件当たりが少し難しくなっていくということで、30万円ぐらいのコスト。
設定登録料と特許料というのは、コトスというよりは、最後の割り掛けでございますので、このような値段となってございまして、出願料が実費より少し上回って、審査請求が実費をかなり下回るというのが、コストからみた今の料金の評価でございます。
こういった計算結果を前提に料金体系の見直しの視点ということで、17ページ以降でございます。
最初に18ページをごらんいただきますと、こういった状態の中で、これまで特許庁はコストというものと料金というものを必ずしもきちっとせずに、昭和の初めにできたような形を平均的に上げてきたというのがこれまでの料金改定でございましたが、コストという点、それから負担者の公平の観点からしますと、その辺との問題も少し考えるべきということで、今回、視点として3つ挙げてございます。まずは、審査請求料をコストに見合って引き上げるとともに、今、内部補助の源泉でございます特許料について引き下げをしてはどうかというのが1つ目でございます。
次に、出願料につきましては、最初にご説明したように、出願を政策的に割と安く抑えるというのが出願料の目的でございますが、いつの間にかコストの方が非常に下がるような努力をペーパーレス等でしてきた関係で、その成果を少しお返しできるような状態になってきていて、出願料の引き下げというものも考えられるのではないか。
最後に、ただ、これらの作業は、受益者負担ということで、出願人間の費用の分担関係の再配分につながりますので、その辺への影響、あるいは特許庁全体の収支につきましても考えるということで、この3つの観点で料金について少し考えたいということでございます。
19ページにございますように、1つ目として、審査請求料の引き上げと特許料の引き下げというものを検討の視点として入れております。先ほど来ご説明しておりますように、審査請求料というのは1回立ちどまるための制度でございますが、特許率が高い場合と低い場合では特許料というものを通じましてコスト負担のやや不均衡が生じているということから、今の審査請求料につきましてそういうコスト負担の不均衡の是正、それから、少し安過ぎるという感がございまして、適正な請求行動を促すような本来の制度目的に合った形で徹底を行う必要があるのではないか。
特に外部にいろいろ頼んだ場合に比べまして、特許庁が非常に割安の状態になっておりまして、そういう意味では、事前のいろいろな先行技術調査等を自前でやる誘因を非常におとしめているという面がございます。
小さい字でございますが、私どもの改定後の料金というものは、施行日以後、例えば16年4月1日ですとか、そういうところからの出願に対してずっと適用していくということで、そんなことを考えてございますが、引き上げ後の審査請求につきましては、先に審査請求料が少し上がって、後で特許料の引き下げ効果を受けるといったこともございまして、なるべく早く特許料の引き下げ分をユーザーに還元するためには、なるべく早目の引き下げをすると。いろいろな工夫をしながら、引き上げと引き下げをしていく必要があるのではないかと考えております。
次の20ページですが、出願料の引き下げでございます。容易に出願できる程度の料金という出願料本来の趣旨ということから、現在の出願料を実際のコストをある程度勘案しながら引き下げるということが必要ではないかということを考えてございます。
ただ、先ほど申しましたように、出願料の引き下げ分というのは特許料で補う必要がございますので、そこのところについてはユーザー間の再配分の問題が起きますので、その辺の影響も考えながら、出願料の引き下げ分は特許料の引き下げの幅の縮小という形できいてまいりますので、その辺をあわせて検討する必要があろうかと思います。
21ページですが、3つ目として、出願人への影響及び特許庁全体の収支への影響ということでございます。料金改定は、現行料金に比べますと、請求料が引き上げをする分というのは、長期的にみて特許料の引き下げで全部お返しをするということで、特許庁自身は現状大体収支トントンでございますので、特許庁が収入を上げる必要はございませんので、そういう形で設定をすべきだと思っておりますが、現行体系から新体系に移行する場合には、最初に請求料の引き上げが来て、当面は出願料の負担増となり、特許特会については歳入増となる。したがいまして、移行期において特許特会が歳入増となるというのは本意ではございませんので、この辺の影響緩和策について、どういうことが可能かどうか、少し検討をしていく必要があろうかと考えてございます。
22ページは模式図でございますが、今回の請求料と特許料の改定の関係はこういう形でございまして、現行の審査請求料がある形で上がる。今、審査請求から特許までの間に審査待ち期間がございますので、2年ぐらい、実際に特許になるかどうかまでかかるわけでございますが、2年ぐらい置いてから特許料の支払いという場面になるわけでございますけれど、その段階での現行料金よりも引き上げ分と引き下げ分が相殺する形で特許料という形でお返しをするという形でございますし、なるべく特許料の前半をほうり込んだ方が早くメリットが出るだろうということを考えてございます。
23ページでございますが、一定の審査請求に対しましてはそういう形で長期的に見合うということでございますが、企業サイド、事業者サイド、出願人サイドからみた場合には、毎年同じような数の出願をしておられます企業の場合には、実は審査請求の引き上げがずっと先にきいてきて、特許料の引き下げによる節約分というのがその後にきいてくるという形になりまして、企業側の持ち出しと節約による後のメリットがきき方に差が出るということが、同じような出願をしておられる方には、企業サイドからみるとこういう形でみえるということでございまして、この中で特許率が高い・低い、その辺によって戻り方が少し違うという差が出るということでございます。
24ページでございます。そういった審査請求のコストに見合った形で料金を少し見直しをし、特許料を引き下げる議論をした場合に、各企業への影響ということにつきまして、ヒアリング調査をしたものがございます。
その結果、左から3つ目のますで、出願についての影響というのは、出願については先願主義ということで、基本的には審査請求料の引き上げについては考慮されないで出願は出すというのが皆様のお答えでございました。
その後、審査請求につきましては、一番下のラインは、ある程度審査請求の件数を維持するということで、審査請求予算を社内から調達をして従来どおり行こうという方々。
それから、従来の審査請求の中身を見直すということで、その中でも一番上のラインは、予算が非常に厳しいということで、何とか現状の中で審査請求を見直すという方。
それから、その半ばあたりで審査請求も予算もふやし、件数も中身を見直すという形で、各社一様ではございませんで、こういったもののミックスが社会全体としての影響ということであろうかと思います。
25ページでございますが、先ほど申しましたように、特許庁サイドとして収入増を図る意図はございませんので、今申しましたような企業サイドからみて当面審査請求料の持ち出しが多くなるという部分を、何らかの形での影響緩和策ということで、企業側に少しお戻しするような措置をあわせ置いて、その激変緩和ということをして、新しい料金体系に円滑に移行するということを検討する必要があろうと考えております。
それを模式的にみたものが26ページでございます。先ほどの各企業のアンケートにつきましても、左側の矢印、現行の請求料が非常に安くて特許料が高い体系から、一番右端のある程度審査請求料がそれなりの価格がとられ、特許料が安いと、こういう2点間を比較して企業行動がどう変わるかということをお話ししておりまして、請求料が少し高目になるとむだも出しているということに対して、もったいないという誘因が入って、請求の中身を従来よりも見直すという行動に変わっていかれる企業が出てくるということでございます。
この間に、先ほど申しましたように、審査請求料が少し先行して上がり、後で特許料で返ってくるということで、この辺のパイプが少し膨らむ可能性がございまして、その辺は何らかの影響緩和策で、同じパイプの太さのまま新料金体系へ移行するということで、特許特会も大きく収支がずれず、企業サイド全体も支出が余り変わらないという中で、新しい料金体系のもつ意味によって企業行動について少し誘因を与えよう、というのが私どもの考え方でございます。
それから、27ページ、中小企業、大学等への影響ですが、前回、委員からもご指摘がございました。中小企業、ベンチャー、あるいは大学につきましては、そう毎年バンバンと特許を出してということではございませんで、資金的にも弱いですので、審査請求料の引き上げを将来、年金の節約という形で受け取れるということでございますが、当面の影響もかなり出そうだということですので、この辺につきましては、先行技術調査への支援とか、あるいは法律による減免措置といった形で少し影響を緩和するということを考えてはいかがかと思っております。
また、早期審査制度の活用によりますと、早目に特許がとれますので、特許料の節約効果が早くあらわれるということも、中小企業、ベンチャー、あるいは大学については期待されると考えております。
28ページ以降に、ご参考までに、現在までの特許料の減免措置の一覧がついてございます。28ページは、特許法自身でございまして、これは政策的というよりは、少し資力に乏しい方への減免措置ということでございますが、ベンチャー企業の場合は、通常、当初は赤字経営でございますので、ベンチャー企業などは資力の乏しい法人というものにも入ってこようかと思います。
29ページですが、産業技術力強化法と、法律関係がややこしくて恐縮でございますが、日本の産業技術力の強化のための政策を盛り込んだ産業技術力強化法によりまして、大学の研究者の方及び、通常、共同であったりする場合がございますが、大学関係についての審査請求料、特許料の減免がございますし、また、研究開発型中小企業につきましてもそういう措置が既にとられておりまして、この辺の制度について活用する、あるいは必要に応じてはまた拡充も考えていくという形で、中小あるいは大学関係、これから伸びてほしい分野についての措置は別途対応したいと考えております。
以上で資料のご説明を終わりたいと思います。

委員長

ありがとうございました。以上で資料に基づいたご説明は終わりですが、ここで本日欠席されております複数の委員からコメントをいただいておりますので、それをご紹介いただいて、その後でご意見をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

事務局

参考資料としまして、右肩にお名前のある2種類の資料がございます。ご本人からの資料による提出でございますので、解釈が間違っているといけませんが、私の方から簡単にご紹介をさせていただきます。
まず、一つ目の資料ですが、今回の審査請求料の関係のところを中心にご議論をされておりまして、特許庁の審査コストというよりは、審査請求の段階で考えるということについて、出願人にメリットがあると理解するということで、出願人のメリット論として議論すべきだというのがご主張でございまして、基本的には、先行資料調査というのをしっかり審査請求前にしておくと、権利取得面につきまして拒絶が回避されたり、あるいは権利範囲の適切な設定ということができるということから、企業にとって非常にメリットがあるので、企業としてはやはり先行調査をしっかりやるべきであるということかと思います。そして、コスト面につきましても、そういった調査コストに見合ったメリットが料金から得られると非常にありがたいということかと思います。
対応策については、権利取得につきましては、出願人の権利活用に対する意識の問題ということで書いてございますが、形態として、詳細は不明でございますけれど、審査の回数を制限せよといったことが書いてございまして、現在、審査で拒絶された場合に不服審判へ行くとか、あるいは途中で分割をするとか、いろいろな形で再審査をする制度がございますが、その辺については再審査料をとるなりして、コスト面で対応すべきではないかということが書いてございます。
2つ目のコストメリットの関係でございますが、登録率の高い企業は事前調査をちゃんと行っているということで、約5万円程度の調査費をかけているということで、現行の審査請求料からは、こういう形で自助努力をしてもコストメリットが十分得られないということで、やはり事前調査にインセンティブとなる料金が必要だということで、そのためには、これは審査請求とは違いますが、出願の問題、それから年金1年度から6年度を、早期にということだと思いますが、大幅に低減をして、審査請求料をアップするということで、非常にインセンティブが与えられて、企業にとってもいいことになるのではないかということでございます。
あわせて、調査について、今の調査機関が非常にキャパシティが不足しているということで、この辺についての増強も検討してほしいということでございます。
それから、審査期間の長期化問題につきましては、調査というのと審査を分けてということでございますが、先行事例の調査等につきましては、欧米への出願をしている場合にはそのレポートの提出等を義務づけるという形で、特許庁の審査をより効率的にしてはどうかというご主張、またそれに対して調査費相当の減額という形でのメリット誘導というものをお考えでございます。
それから、審査請求件数の再見直しということで、審査請求につきまして、現在、極力早期に権利化するという案件と、審査請求期間が来てしまうので十分な評価もできず、とりあえず審査請求するという案件が企業内で混在しているということで、とりあえず審査請求したものについてはその後も引き続き見直しができるということで、審査請求の取り下げという形で、審査請求に着手される前に、現在ですと、3年の後に2年ぐらい審査待ち期間がございますが、そういった中で、「もうこの特許は要らない」ということであれば、取り下げ――それに対して返還をしていただけると、企業として制度運用しやすいということで、この辺の取り下げ制度についてのご提案がございました。
それから、二つ目の資料ですが、出願と審査請求をまず峻別すべきであるということで、前回の委員会でもご発言がございましたが、出願につきましてはやはり先願主義ということで、1日を争うということから、とにかく出願はしやすいようにすべきであると。他方、審査請求につきましては、その後、技術動向とか事業展開の整合性を見極めるということで、出願の奨励と審査請求の厳選化というのはある程度両立するであろうというのが、企業行動からみて問題ないということでございます。
料金体系の見直しにつきましては、出願料、審査請求料、特許料についてコストにある程度見合った料金体系に再構築ということで、特に問題はないということで、審査請求については全体としてスピーディで質の高い審査という方向に行くべく努力をしてほしいということでございますし、また、移行期における影響緩和策は当然対応してほしいということでございます。
それから、新しいご指摘でございますが、費用のシミュレーションには、存続期間として、従来は7年の審査請求でございましたので、その後、長くても13年の特許期間しかございませんが、3年に短縮された分、場合によると特許の存続期間が上がって特許料収入がふえるのではないかと。この辺についての考察が少し要るのではいないかというご指摘でございます。
次に、早期審査制度の強化につきましてご意見がございまして、早期審査制度というのは日本全体の知的財産戦略を考慮すると大切な制度だということでございますが、運用によっては、公平性という問題もあるということで、公平性について配慮した制度運用をご指摘されています。
それから、新たな制度としては、大企業の場合、自社分の請求の案件があり、順番待ちの状態があると。その中で、自社内でより優先度の高いものを前にもってくるという制度ができないだろうかということで、ご提案をいただいております。
それから、補正制度ということで、特許の審査の運用の面にご指摘が広がっておりまして、現在、補正制度について少し機械的で実質にそぐわない面があるので、この辺につきましてぜひ実質に即した運用に改正をしてほしいというご指摘がございました。
さらに、原理的な発明、基本特許的なものについては、できるだけ広く強い権利にする必要があるということで、後から新しい事項の追加を何とかできないかという形でのご提案がございました。
以上でございます。

委員長

ありがとうございました。これまでずっと資料を用いてご説明をいただきましたが、これから残りの時間で議論をお願いしたいと思います。
まず、ただいまの説明に関しまして、ご意見、ご質問等がございましたらお願いしたいと思います。

委員

朝日監査法人の方にお伺いしたいのですが、実質コストを出しますのに、通常は決算書の13年度でやるかと思ったのですが、14年度の予算でやるということは、それだけ広がるのですけれど、何か理由はございますか。予算の方がわかりやすいとか。13年度の決算をベースにしなかったという理由でございます。

朝日監査法人

今回、実費の計算ということで、かなり費目の詳細な中身でございますとか、それがどのような形で、例えば人数とかいろいろな形の配賦基準をとらまえる際に、14年度の予算の方がかなり細かい積み上げの根拠資料があったということが一番大きな理由でございます。
したがいまして、13年度の実績をもってやることにつきましても何ら問題はなかったわけでございますが、当然、今後の料金を算定する際の基準をまずつくるということが最優先でございましたので、14年度の予算をもって最初のフェーズといたしました。

委員長

ほかにいかがでしょうか。

委員

私は大学とTLOにも関係していますので、その立場から申しますと、現在の出願件数は限られていると思いますが、将来、特に独立法人化して知財本部等ができてまいりますと、出願傾向、審査請求の傾向はかなり変わると思います。1つは、大学の先生方の昇格等に「何件特許を出したか」ということが入ってきたりしますと、莫大にふえる可能性がある。その点のシミュレーションをやっておかないといけないのではないかと思いますのは、最初からお伺いしていますと、この特許制度と企業というものが出てまいりますが、出願の企業が多いのはわかるのですけれど、大学や研究機関等がどのような挙動を示すのかが、最後のところに少し書かれていますけれど、ほとんど念頭に入っていないのではないかということ。
それで、特にTLOなどで私どもが関係しているところでは、出願のときからかなり厳しい評価をやります。それはどういう評価かといいますと、ライセンシングできるのかどうかという市場性の評価がものすごく入ってまいります。それからこの審査請求にもっていくわけですから、そうやすやすとは出願はしないということでございます。
一方で、今申しましたように、大学の先生からの出願は、自分の昇格が関係してきますと幾らでも出てくる可能性があるという点で、かなりシミュレーションが必要かと思う点が1つです。
もう1つは、これは審査請求には直接関係しませんので本日の議題かどうかはわかりませんが、一番最初の部分、そして資料3の6ページの下のところに、「大学等における特許取得環境の整備」という項目がございますが、いささか抽象的ですけれど、私どもが非常に困っておりますのは、大学あるいはTLOでもそうですが、これを特別に制度として考えていただきたいのは、大学や研究機関は自分で営利行為をやらないということなんです。そこで、企業と共同出願をしますと、企業は自分で権利をもっているわけですから、大学に対してロイヤリティを払う必要性はないわけでありまして、そのまま行きますと、大学には何のメリットもないわけであります。
したがいまして、企業とある契約をしてロイヤリティ相当のものを払ってもらいたいと。企業にとっては特許法上そういう制約は一切ないということで、それは断られる場合は幾らでもあるわけです。そうすると、大学は一切のメリットはありませんから、「もうやめようか」ということになりまして、これはインセンティブをつくるという点ではものすごくマイナスにきいているわけです。
したがいまして、大学は企業と共同研究をしないで単独で特許をとってライセンシングをするか、企業と共同でやれば全部企業に渡してしまって、あとは菓子折り程度の奨学給付金をもらうか。そこにはビジネスとしての行為が入ってこないわけです。ですから、私どもも自分の大学で最初に始めたときに非常に困りました。これは欧米ではあると聞いておりますが、不実施の代償とかそういうことで契約に盛り込むということ以外にはないわけです。
しかし、これは経験に基づいて申しますと、中小企業とかそういうところでは「よくわかりました」でいくのですが、知財本部を抱えている企業などでは、「そんなことは一切関係ない」ということで、すべてが非常にタフネゴシエーションになると。
ですから、特に産学連携で共同研究をやりなさいと奨励して、共同出願をしなさいといった場合に、その後、特許関係をどうするのかというのは、本当に制度的に、あるいはガイドラインをきちっとしていただくことが、大学での産学連携が日本で根づくかどうかの1つの試金石だと思っています。
アメリカなどは非常にうまくやっていらっしゃる。それもアメリカは長年の経験に基づいて現在各大学がもっていらっしゃると思いますが、日本の大学も苦労してでもいいからそこまでもっていけよというのであれば、それはそこまででしょうけれども、早急に立ち上げようとしますと、やはり一定のガイドラインが要るのではないかということでありますので、本日の主要議題ではないにいたしましても、どこかでよく考えていただきたいと思います。
以上、2点であります。

委員長

2番目におっしゃった点は、産学連携の政策的な制度設計をどうするかという問題だと思いますので、大事な問題だと思いますが、別途に……。

委員

はい、そのときにまたやっていただいたら結構かと思います。

委員長

最初におっしゃった、大学が特にTLOとか、あるいはこれから独法化されていった場合に、出願なり審査請求の行動はどのようになりそうかという予測につきましては、いかがでしょうか。もし何かあればご説明いただければと思いますし、なければ、次回までにご検討いただければと思いますが。

事務局

正直申し上げまして、今後は私どもは、創造戦略の中で、大学からの出願はどんどんふえてくるということを期待しておりますが、具体的な数字はもっておりませんで、むしろ大学からの出願に対して、また、審査余力を振り向けておきたいということもありまして、今回こういう議論をさせていただいたわけでございまして、当然、ふえていくということでございますが、細かい数字についてはまた勉強させていただきたいと思います。

委員

よろしくお願いいたします。

委員長

ほかにいかがでしょうか。

委員

前回欠席しましたので、多少超越的なコメントもあるかもしれませんが、3点申し上げたいと思います。
1点目は、特許審査は公共サービスと同じ側面を持っており、公共サービスの効率的なプライシングという考え方に即した改革を考えるべきだと思います。そうしますと、公共サービスには、各サービスに共通の固定費用と各サービスの供給にかかる変動的な費用がある訳ですが、各サービスの効率的な変動プライシングは、その変動費用をカバーして、あとは固定費用をいかに各サービスのアロケートするかという考え方で行います。16ページにありますように、現状の推計ですと審査請求料の実費には固定費用のアロケーションも入っていますけれど、先ほどのご説明ですと、これは小さいということですから、実質、変動費用に近いと思いますので、審査料はこれをカバーできるように引き上げることが効率的なプライシングということになると思います。
2点目としまして、特許の場合は普通の公共サービスと違ってイノベーションを促進する外部性をもたらすところがありますので、そこをやはり考える必要があると思います。特許の出願から審査のプロセスの中で一番外部に対する利益が大きいのはどこかといいますと、発明を開示するというところにあるのではないかと思います。そこは一番外部性が大きいわけですから、出願料が仮にその処理に必要なコストを下回っていても、社会全体としては情報をただで開示してくれるメリットがあるわけですから、そのメリットを反映して場合によってはコストを下回って良いと言えると思います。
それから、もう1つ考えなければいけないのは発明の質への影響の問題で、これはなかなか難しい問題もありますけれど、基本的には長く維持される発明の方が質が高いと考えられるわけで、そうしますと、それを示す自信のある人はアップフロントで払ってほしいということにもなります。これは出願料については発明開示の観点から値段を下げて良いとの議論とは相殺する方向ですが、審査請求料をその限界費用より安くするという議論にはならないと思います。結論的には、出願審査料をその限界費用に見合うところまで上げるというのは、効率的な公共サービスの価格の設定という面からみても、発明の質を高めるという面からみても、正しい政策ではないかと思います。
3点目に考慮すべきポイントとしましては、審査の混雑の問題です。今後たくさんの審査請求が出て、結果として審査期間がすごく延びてしまうという問題が起きようとしていまして、審査請求料を限界費用をカバーする水準に上げただけでその問題が解決できるかどうか。これはシミュレーションが必要だと思いますけれど、それだけでは恐らく解決しないと思います。審査を急ぐ発明には早期審査のオプションというのがありますが、現状では審査請求件数の1%にしかすぎないということで、私は非常に少ないのではないかと思います。他方、本当は審査はやってほしくないけれども、3年内に審査請求をしなければいけないから審査をしてもらっているというところもあって、これはもちろん数年前の法改正の問題があるわけですが、先ほどのペーパーにもありましたが、審査をそんなに急いでほしくない人は、遅くやってもらっても、それを回避するような審査請求の料金の設定をして、非常に急いでいる人は、むしろ少し高目の審査料金を払って審査をしてもらうという形にしないと、混雑問題の解決にはならないと思います。特許庁の審査能力を高めるということが非常に大きいと思いますが、もし料金面でも工夫をすること、すなわち審査請求料金でも速くやってほしい人と遅くやってもいいという人を分けるということをやらないと、審査の遅れによる損失の問題を回避できないと思います。

委員長

ありがとうございました。今のご意見は非常に経済学的な考え方で、私にとっては非常にわかりやすいのですけれど、公共料金の関係では、ラムゼー価格と経済学で呼ばれているような価格設定のやり方がありまして、基本的に限界費用をベースに考えていって、それにプラス固定費用を割り振っていくという考え方で、その原理からいいますと、今ここで提案されているような、審査請求料は非常にコストがかかっているわけですから、それを上げるというのは極めて合理的な方法であろうと、そういうご意見であったと思います。
それから、出願料につきましては、出願しますと情報が公開されますから、ほかの人もそれをみていろいろ学ぶことができるという意味で、プラスの外部性があるわけですから、そういったものについてはできるだけ安くした方がよろしいということが、2点目のご意見ですね。
3点目は、高速道路が非常に混雑しているのと同じように、審査についても混雑しているわけですから、料金を上げて、不要不急の人は高速道路を使わないようにしてもらうということが大事だと同時に、もう1つは、早期審査を使いやすくするとかといった細かな工夫が必要だと、そういうご意見だったかと思います。

委員

私も、この料金改定の基本的な考え方にしても効果にしても、基本的にはそのとおりだと思って賛成している面がある一方で、ただ、本当に理屈どおりいくかなと、逆の面も出るのではないかなという不安もあるので、ご指摘したいと思っています。
コスト構造の面からいっても、基本的には最初のハードルを低くして、本当に特許化したい人に対してチャージするというのはいいと思うのですが、ただ、会社によっては、これによってどういう挙動をとるかというと、必ずしもキヤノンさんのお話などのようにはいかないケースも多いのではないかと思います。当然のことながら、そうなれば出願の数は皆さん減らさずに、むしろもっとふえる傾向になるかもしれないと。確かに下手に請求をするとお金も高くとられるので、請求しないというケースがふえますから、結果的に特許率というものは高くなると思います。ただ、それによって何が起こるかというと、防衛特許の色彩というものがものすごく強くなってしまうのではないかなと。
つまり、こういうプロパテント化が進んでいきますと、いろいろな特許の権利を主張する人がふえるということを思えば、とにかくみんな出願だけしてしまっておいて、あとは特許化しなくてもいいじゃないと、割り切る人たちも出ると思います。というのは、知財に強い会社で会社の方針がはっきりしているところはいいのですが、大手のメーカーであっても必ずしもそうではない部分があると、今のように景気の苦しい状況ですと、かなりいろいろなコストを削らなければいけないということが声高にいわれています。特に分社化して部門ごとに知財戦略なども立てている傾向が強くなってきていますが、そうすると、「会社としてはそういうことはいうけれども、うちの部署としては、この苦しい時期だけに、とりあえず今は控えようじゃないか。忍の一字の耐えだよね」といった戦略をとるところもかなり多いのではないかと思います。
というのは、日本のメーカーの中でも、実際に特許でお金を得た成功者というのはほとんどいないわけなので、そうすると、みんなこれから一気に知財の方向に振ろうよといっても、実際に主張したとしても、それがお金に結びついてくるかという自信のない会社が多い中でこういった形をとると、実際には、皆さんがいいものを厳選してそれを特許化しようというアグレッシブな方向にとれるかどうか、必ずしもわからない側面もあると思っていまして、こういった料金改定を行った結果、企業はどういう行動をとるかといった調査というか、できる限りすそ野を広げてみた方がいいのかなと。
多分、知財部が強い会社は全然問題なくて、「おっしゃるとおりだ」というと思いますが、日本全体の中の産業力を考えると、特に最近は小さな会社からもいろいろな技術が生まれてくるようなフェーズにあっては、そういうところのフォローも必要かなという気がします。それは必ずしもベンチャーのような本当に小さいところだけではなくても、比較的みんなが大きいと思っている会社でもそういった傾向は強いのかなと思われます。
もう1点は、先ほども出ましたが、料金メニューの多様化ということは絶対必須かなと思っていまして、今、郵便でもかなりのメニューがありますし、とにかくいろいろなもののサービスということに関してはメニューの豊富化というのと、それに見合った料金体系の豊富化ということがある中で、特許の請求に関してもいろいろなものがもっと多様化してもいいのかなと。
そのときに思うのは、企業の方が先行技術の調査をやらないということが悪いといわれている部分が余りにもあるような気もするのですが、だったらいっそのこと、特許庁の方でこういうものをサービスメニューとして用意するぐらいでもいいんじゃないかなと。というのは、大企業ですと、いわゆる新規技術に対していろいろな調査をする仕組みとかデータベースがたくさんでき上がっていますけれど、新しい業界に乗り出そうとしているところとか中小の会社ですと、こういった先行技術を調査しようと思っても、資料も少ないですし、組織も少ないと思います。
そこで、特許庁さんがかなりいろいろなデータベースを強化されるというのであれば、逆にそれを特許庁さんが有料にて実費程度のものをとるような形でほかの調査会社に依頼するのではなく、特許庁さんのしっかりとした調査というものを1つの売り物にすれば、ある意味で産業界としてもそれをうまく利用することができれば、むだな技術を開発することもなく、すごくポジティブにいくのではないかななどとも個人的には思ったりしました。

委員

料金体系として出願手数料を下げるということであれば、出願数がそれを理由にそう減少することはないだろうと思います。これは知的財産を重視するという今の全体的な考え方の中でいくと、出願の抑制ということは余りよろしくないだろうと思いますので、よいことだろうと思います。今は電子出願ですから、特許庁にデータベースで蓄えられるだけですから、それは大きな負担にもならないと思います。
そこで、現状の混雑状況ですと、これはアウトソーシングをしないとどうしようもないと思います。最初にもご指摘がありましたように混雑するからマージナルコストが上がっていくという問題と、技術が高度化するからどうしても審査に手数がかかるからコストが上がるという問題があります。これを解消するためには、それに見合う費用にしなければいけないと思います。コストが安いから調査をしないで審査請求をするということを防ぐという効果もあるだろうと思います。
ただ、先ほどのご指摘ですが特許庁がそういう情報提供サービスをやるかというと、現在ですらもう交通渋滞が起きているところで、もうこれ以上やるのは不可能で、込んでいるところにこれ以上車を入れることはもうだめだと思います。
それから、先ほどのいろいろな考え方の中で、込んできていることの中には審査請求期間が3年に短縮されたという問題が大きな問題としてあるわけです。これについてはいろいろな考え方があって、まだ3年がたっていないので、暫定措置で審査請求期間を延ばしてしまおうというドラスティックな方法もあるかもしれません。
それから、先ほどののペーパーにもありましたけれど、審査請求の取り下げということで、取り下げたらお金を払い戻してあげようということもあるかもしれません。あるいは、それに関連していうと、これは料金の変更時期とも絡みますが、審査の着手時に審査請求料を払い込むという方法もあるかもしれません。審査請求をしておいて、審査の着手時期に通知をして、お金を払ったら審査をするというふうにすると、先ほどの先取りという問題はないし、もう少し時間が稼げると思います。混雑しているわけですから、先ほどご指摘のとおり、急がない人はできるだけ待っていてもらうということも考える必要があるのではないかと思います。
もう1つ、出願人に外国の関連出願についての情報提供をさせようということです。これは開示義務をどこまで拡大するかの問題だと思います。これはサンクションが今のところ拒絶理由にしかなっていないので、無効理由にして、外国出願にちゃんとのせておかないと特許は無効になるよというと、結構強力だと思います。そこまでいかない場合に、出願人の開示義務をどこまで強化できるかという問題です。ただ、これは今年の改正で入ったばかりなので、来年の改正でこれを入れるかどうかということについては意見はあると思います。
それから、補正等の問題は、現在の混雑対策の問題ではなくて、むしろ知的財産戦略としてどうやって強化していこうかということの問題だと思います。

委員長

ありがとうございました。先ほど来の意見と共通した点で、メニューの多様化をあれこれ知恵を絞ってもう少し考えるべきではないかというのは、非常に大事なポイントだと思います。
特に公共料金といっても、アメリカの電力会社の電力料金などは、例えば電力が非常にピークになってタイトになったときに遮断するといったことを受け入れれば、非常に安い料金であげますよといった、さまざまな工夫がされていて、日本でもありますけれど、そういう細かい工夫をした料金体系というものを知恵を絞って考えていくということは大事だと思いますので、もしこういう方向でということでよろしいということであれば、皆さんからもいろいろとご意見をいただいて、いろいろな工夫をできるだけやっていくことが必要かと思います。ただし、余り細かくて煩瑣になり過ぎて使えないというのでも困りますので、ある程度簡素な料金体系ということもここで必要かと思いますが、多様なメニューを考えて知恵を絞っていくということは大事だと思いますので、ぜひとも事務局の方でも検討いただきたいと思います。
もう1つ、先ほどの御意見の最初の点で、もしこういう方向で料金改定をした場合に企業がどういう反応をするかということについて、ここに大企業の方もベンチャーの方もいらっしゃいますが、もし何かご意見がおありでしたらお伺いしたいと思います。

委員

ある程度の数を出願している企業の立場から、若干コメントをさせていただきたいと思います。
この計算していただいた実費に基づきますと、審査請求料は設定登録料のほぼ30倍ということになります。ただし、これを実際にダイレクトに反映するというのはなかなか難しいところがあるのではないかなと思っています。その1つの理由としましては、ある程度の出願する企業においては、特許の維持ということは比較的積極的に各社さん見直されていると思います。したがって、出願から20年まで生きる特許という数は現実にはかなり少ないのではないかなと。実際に弊社の方でも特許の管理ということで、出願、そして申請請求の段階からさらに絞って、それでも予算が足りないというときには、もう既に特許の維持というところに着目して、そこで何とかお金を絞り出すという行動をとっております。
というのは、企業にとって出願から年数がたった技術というのは評価が容易なわけです。したがって、思い切って捨てることもできると。それに対して、出願したての技術というのはやはりまだ海のものとも山のものともなかなか見当がつきにくいので、これは将来への投資という観点から審査請求しておきたいということが多いのではないかと思っております。
そうしますと、審査請求料を上げて特許料を下げるというその大きな方向はこのとおりなのではないかと思いますが、特許料を下げるということによる負担の軽減というのは、必ずしも特許庁さんの方で計算されているほどの効果はないのではないか、というところを少し危惧しております。

委員

私は新日本製鐵でございますが、今、年間、1,800件から2,000件ぐらいの割合で出願しております。これが平成4年から5年のころは5,000件を超えていたということでございまして、会社の調子が悪くなって研究者の数が半分になって、研究開発費が半分になってという中で、そういうことになってきたと思います。やはりコスト削減というところの1つのターゲットにされていまして、すぐには事業活動に影響がないということでそうなっている。
私が一番心配しているのは、出願件数が非常に少なくなってきたということでございます。これは出願量を減らすということが1つのねらいにあったということでございまして、したがって、そういう意味では、これを下げてもらえば少しは影響が少なくなって、安心してある一定の量の出願は保っていけるのではないかということで、非常に歓迎いたします。
それから、審査請求料については、実費との差をみますと、やはりこれは非常に問題だと思いますので、受益者負担という考え方もありますでしょうし、したがって、これについては若干の是正は必要なのではないかなと感じております。私どもも、つまらない特許はなるべくつくりたくないということでありまして、前回出たときに、その審査がおかしいからおくれたのだということをいいましたけれど、その一方で、いい特許を残すようにしたいということで、なるべくなら厳選するという方向で今臨もうとしておりますので、そういう意味でも、この審査請求料がこういうことだということも、そういうことをする1つの根拠にもなるのではないかなと感じております。

委員

電機メーカーですが、出願して、審査請求のときに絞るというのは、考え方としては私は正しいと思いますけれど、危惧する点としては、発明者にいっぱい出願させた後に、発明の奨励だということでどんどん出願させた後に、なかなか審査請求できないと。ですから、出願しても審査請求できないという状態は、またこれは戻ってきて結局発明の奨励から逃げていってしまう話なんです。ですから、出願の行為というのは、出願してもらって、審査請求してもらって、そして登録になって、何らかの形で活用される、というのが発明部門にとっては一番いい状況であって、それがさっきからいっているように、審査請求されないと、「何だ、出願しても審査請求してくれないのか」という状況というのは、知財部門としてはいいづらいと。
そのときに、これは先行技術はありますよと。江崎委員もおっしゃっているように、その辺が、日本の調査ということに関しては、業界なりメーカー自体も余り調査ということに対して育成できていないのではないかなという感じがするんです。1件調査すると江崎さんは5万円といっていましたけれど、電機メーカーなんて10万円以上確実にかかるのであって、そうすると、先ほどおっしゃられているように、審査請求の方が安いよなという話も確かに出てきてしまうのですが(笑声)。
結局、私は思うには、庁のいろいろな審査のデータベースがございますが、そういうものが余り開放されていないのかなと。接続してもなかなかつながらない、いつ結果が出てくるのかわからない。あるいは、Fタームだ何だかんだも庁の方でどれほど公開していただいているのかなというのは常々感じまして、そういう庁のデータベースが宝の持ち腐れみたいな形にされるのではなくて、どんどん無償に使うような形で、その調査の手法なり審査のノウハウ的なもの、そういうものも含めていろいろ公開していっていただくと、戻し調査が多い状況にはならなくて、全体的にいい方向に向かうのかなと。
全体的にみると、IPCCのようなものは東京1カ所しか集中していなくて、いろいろなデータベースなどをなかなか地方で活用できない。大きいメーカーでないと活用できないような状況になっていますね。そして、そのデータベースもいろいろ使えば結構高額になっていると。その辺は、ぜひ特許庁の方でもデータベースをもっと民間にぜひ開放していただきたいなという感じがしております。

委員長

今のご意見は、今の特許庁の提案されている、出願はどんどんふやして、審査請求は企業の中で絞ってくださいということになると、企業の方での負担はかなり問題になるかもしれませんので、企業の中でそういう調査などをやりやすいような政策的なことができるかどうかということは、もし可能な方法があれば、そういうことも検討するということかと思いますが。

事務局

今、委員からご指摘いただきましたデータベースの件でございますが、我々も、出願をした後、審査請求に至るまでに先行技術等をみていただくと、審査官の方も特許にならない発明についての審査を少なくできるものですから、ぜひ民間調査機関も育っていただきたいという観点から、私どもにあるデータベースを、2つの方式で提供するようにしてございます。
1つは、ご指摘がございました特許電子図書館、IPDLで、インターネットでございますのでユーザーからアクセスが多いので混雑はしてございますが、無料で、Fターム検索ですとか、外国の文献ですとか、テキスト検索ができますとか、そういったことを提供させていただいております。
もう1点は、データベース自体でございます。特許庁で持っていますIPDLに使っているバックのデータベースはすべてマージナルコストで提供をさせていただいております。マージナルコストと申しますのは、Fタームですとか、公報データ、引用文献データ、分類のデータ、すべてコピー代で提供させていただいているということでございます。今、ほぼすべて、DVD-Rに読み込んだ形で提供できるようになってございます。以前はマグネチックテープで評判が悪かったのでございますが、どなたでも使えるようにDVDで提供させていただいているということでございます。過去のバック分データすべて、パトリスで使っているようなデータもすべて、特許庁の方からマージナルコストでお出ししているということでございます。
その販売の事業をしておりますのはJAPIO(ジャピオ)というところで、お問い合わせいただければ、そこで購入できるようになってございますし、民間の情報サービスの方々も何社かはそこでデータベースを買っていただきまして、各企業へのサービスを個別にデータベースから切り出しをしてやっていただいているということでございます。そういったマージナルコストでの提供をすることによって、大きく民間情報サービスが拡大して、研究段階での研究者による先行技術調査、あるいは出願をするとき、あるいは審査請求をするときの先行技術調査に使いやすいインフラが整備できればという方針でデータベースの提供をやっていっておりますし、今後も継続をしていく方向でございます。

委員長

委員、ベンチャービジネスのお立場からみて、いかがでしょう。

委員

私どもは中小企業ですので、中小企業の立場からいわせていただきます。中小企業にとって、特許出願する場合は、その発明の内容をかなり吟味して出願しているつもりでいます。大企業のようにノルマがあって年何件だ、じゃあ出そう。そういうことはほとんどないと思います。必要な特許を精度を高く出願するように心がけております。
ですから、中小企業の場合ですと防衛特許は大企業と比べ少ないような気がしております。前回の打ち合わせでも防衛特許という言葉が出てきておりますが、多分、中小企業ではあまりないだろうと思います。そうしますと、中小企業と大企業で審査請求する割合は多分違うのではないか。審査請求する割合は中小企業の方が高いだろうという気がしております。そうなりますと、出願料を下げること自身は非常にいいです。ところが、審査請求料を上げるというのは、もともと中小企業は特許請求の割合が高いと思われますので、これは負担増になります。この件は前回の本委員会でもお願いしましたが、その出願費用とか審査請求とか維持年金とかは、大企業と中小企業とで大幅に差をつけていただいて、中小企業に負担増にならないようにして頂きたいと思います。中小企業の活性化は日本の活性化につながることと思いので、その辺はぜひご配慮いただければと思っております。

委員長

審査請求の割合が高い場合には、年金が下がれば、長い目でみれば負担が下がる可能性が高いということがあると。

委員

そうですね。ところが、一時的にはどうしても負担増になると思います。中小企業の場合は長期的に同じでも、一時的にせよ負担増は問題であると思います。

委員長

そうですね。ですから、経過措置みたいなものが必要だということですね。それから、別途、中小企業、大学には何らかの措置をするということも提案されていたと思いますが、それを特許制度の中でやることがいいのかどうかというのは別の問題としてあるかとは思いますが。ありがとうございました。

委員

医薬品会社ですが、この料金改定の方向というのは賛成でして、それでいいのではないかなと思っておりますが、ただ、審査請求料をこのように上げましても、その審査請求の厳選という意味につきましては、薬品会社ではもう既にその辺のところを十分吟味して従来からやっておりますので、24ページのシナリオでは、③という一番下のところに来るのではないかなと思っております。少なくとも、当社はそうなるのではないかなと思っております。
むしろ、薬品会社にとりましては、先ほどもちょっと話が出ましたけれど、開発の期間が非常に長いものですから、10年から場合によっては15年もかかるということでございますので、審査請求期間が3年になったという影響の方がはるかに大きいと考えておりまして、具体的な数字はまだこれからですけれど、以前の審査請求の比率が、少なくとも10%から20%は間違いなく上がるのではないかなと思っております。ですから、審査請求の期間が7年から3年になりましても、直ちに見直すということは難しいのかもしれませんが、その辺のところもご考慮いただけたらと思っております。

委員

私は、弁護士として、わが国内外の権利者との交渉などもありますので、そういう点から考えますと、知的財産の保護というのは、創造から権利を取得する、そしてそれを行使し利用する、そこまで行かなければ本当に知的財産に強い国にはならないと思います。
そこで、出願の費用ですが、実費のかかるところに費用をそれに応じて上げたり下げたりする、それは合理的であると思います。しかし、いただいた資料からみますと、日本では出願件数は多いが、審査請求して特許になる件数の方がアンバランスに低くなっていると思います。そこで、出願費用を下げるというのは結構なのですが、どのくらい下げるかということも十分考える必要があると思います。
そして、問題は、先ほどから出ております審査請求の費用ですが、これを上げるということ自体はよいかと思いますけれど、結局、審査請求をして権利を取得するというところまでいかなければ、出願だけふえてもほかの国とも対抗できないですし、ライセンス契約とか侵害事件で交渉する場合に、「この分野で出願がありました」というのは意味がなくて、権利になっていなければ効果がありません。そこで、不合理が判明した費用分の調整は図るとしても、審査請求は費用面から、そんなに難しくなく、できるようにした方がよいと思います。出願料、特許料を下げるから、それで何とか審査請求の方の費用を上げてもいいだろうといった発想は、私は間違っているだろうと思います。
そして、権利の維持のための設定費用ですが、参考資料の「諸外国における特許手続関連費用」をみますと、ドイツやイギリスはかなり低いですが、日本の場合はそんなに高いわけでもないように私にはみえます。アメリカなどは特に高いですが。
本当は活用できる特許が欲しいわけなので、そうなりますと、特許権を取得して経済的にも利用できる様になった以上その特許料を下げることに苦心する必要はないと思います。それに見合うだけの成果は上げ得るわけですから、「審査請求を上げても、特許料を下げれば、後で何とか見合うでしょう」といったことも理屈にならないと思います。
以上を要約しますと、発明ができて、出願して、そして審査請求ができて、権利がとれる、そしてその権利を活用するというところまでの一連の行為を長期的にみて料金も設定しなければ、日本が国際競争力に勝ち得るような特許制度を持ち得たということにはならないと思いますので、料金を改定することは結構でしょうけれども、改定幅をどうするかということを十分お考えいただきたいと思います。
そして、ベンチャー、中小企業、大学、個人の発明家、そのあたりの審査請求の費用等も十分考慮していただきたいと思います。

委員長

ありがとうございました。審査請求料を上げるのはいいにしても、大事なことは、強くていい権利が早くとれるということなので、それまでつぶしてしまうと元も子もないということで、その点は十分に考慮して制度設計をやるということだと思います。

委員

アメリカの方で提案されています二分法でありまして、フロント・エンド・コストとバック・エンド・レヴェニュースというのがありまして、ねじれを直すということから、フロント・エンドの方に少しお金を余分に配分をしようかということなのですが、トータルとしては変わらないであろうというので、アメリカの方でもこの検討を大分なさったそうなのですが、前にまいりますと、どうしても印象が強いものですから、非常に反対の強い力を受けるんです。
それで、私の方としましては、きょうの資料をみましたら、将来における調査のいろいろなことが書かれておりますので、調査を1つのインフラとして特許庁にプラスして行っていこうという場合に、例えば、今、中小企業などの場合で私どもがハンドルしますときに、事務所で調査をするときもあるのですが、民間の調査機関などに頼みますと、ケースによって違いますけれど、4,5万から20万以内ぐらいの請求書がまいります。ですけれど、それがすべてではなくて、公開公報まで全部やりますものですから、かなりお金がかかるということになります。
ですから、中小企業の場合にその請求をいたしまして、もちろん私どもはそれをチェックいたしますから、その費用もかねますと、出願請求前に、審査請求前に十分にチェックして、それでいいものだけを出してほしいという場合は、中小企業の場合には入り口でもう既に4,5万から15万ぐらいのものがかかっているわけです。さらに審査請求時に高くなりますと、そのお金を足した額が中小企業の負担になります。
ところが、特許庁にそれを出しましたからといって、私どもが出願前に行いました調査費用を差し引かれるわけでもなければ、それ以上の調査を特許庁ではしませんということはありません。それがまたさらに1件として恐らくIPCCの方にお回しになるだろうと思います。
そうすると、IPCCの方は、先ほどのいろいろなことで費用が1件当たり4万とか7万とかかかるといたします。そうすると、ダブルでお金がかかるものですから、もし審査請求前の調査というのがすぐれた特許を日本国に成立させるための要件であるというならば、IPCCと同じような特許庁指定機関である調査機関を民間のそういうかなり育っておりますところに与えて、そのトレーニングをしていただく。もちろん秘密保持などもしていただくのですが。それから、そこに特許庁のOBの審査官などをおやりになったような方を調査員としてもちろんお入れいただく。IPCCはおやりになっているのかもしれませんが。
それで、特許庁に信頼してもらえる程度の調査機関というものを幾つかつくって、値段の競合はもとよりですが、そこで調査をすれば、特許庁に受けていただいたときに、それを信用して進んでいただく。日本全体で調査をやっていこう、そしていい特許を出していこうと。そういう方向性の方が審査の促進にはつながるという気がいたしますし、中小企業も2度のお金を出さなくてもいいと。それから、調査をしている出願はもう審査請求時に調査料分、もしくは7万なら7万は引くとか、半額以下でいいとか、そういう得点も与え得るのではないか。
先ほどいろいろなメニューとおっしゃいましたけれど、余りメニューが多いとややこしいのかもしれませんが、入り口で2段階から3段階のメニューがあってもいいのではないかという気がしておりますので、新しい調査機関の提案というものをいたします。

委員長

厳選して出すようにということをお願いする場合には、その環境づくりとして、調査をやりやすくするような方向へもっていくことをいろいろ考えていく必要があると私も思います。
時間がなくなってきましたが、本日の委員会で特にご発言しておきたいということがおありでしたら、お願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
それでは、きょうのご議論で、基本的な料金改定の方向として、審査請求の料金を上げるということ、出願料を下げる、あるいは年金の方も下げるといった、大まかな方向については大体のご了解は得られたかと思いますが、その場合にもそれだけではなくて留保条件といいますか、もう少し多様なメニューを考えるいろいろな工夫をしていくとか、たくさんいい権利がとれることを阻害するような上げ幅にならないようにすると。それから、中小企業、大学などをディスカレッジしないような制度にする。それから、企業の側で調査をやりやすくするような体制を整備する。そういったさまざまなことを準備した上で、総合的にこの審査の問題に取り組むということであったかと思います。
次回は、そういった方向でもう少し具体的に料金体系のシミュレーションをやっていくということと、それにプラスアルファーで、早期審査制度や補正の問題、具体的な審査手続の問題についても議論を続けていきたいと思っております。

委員

たびたび恐縮です。いろいろな条件がつきまして、上げるのに賛成か反対かということを審議いたすのでしょうか。それとも、きょう、一応上げるということを前向きで行くということなのでしょうか。

委員長

今、基本的な方向としては賛成であるというふうに皆さんおっしゃったと思いましたので、その方向でもう少し具体的に次回に検討していきたいというのが私のご提案ですけれど。よろしいでしょうか。
その場合に、おっしゃったような、もう少し多様なメニューを考えていくとか、上げ幅についても、どういう上げ幅の場合にはどういう効果が出そうかといったことをシミュレーションして検討していくとか、中小企業や大学に対しては十分考慮していく、調査をやりやすくするような方策についても検討していくと。そういったさまざまなことを考慮して検討するということを前提とした上で、基本的に値上げをしていくという方向でよろしいでしょうかということなのですが。

委員

次回までに簡単なペーパーを出させていただきますけれど、私の方は、値上げに反対ということで、周りがそろったらというところがありますので、ちょっと留保させていただければ大変ありがたいと思います。大変恐縮でございます。

委員長

わかりました。では、次回にペーパーをお出しいただいて。
それでは、この議論は一応これで終わりということにさせていただきますが、この委員会で前回の本委員会で医療行為のワーキンググループについて設置するということを決めていただいておりますが、資料6にあるメンバーで、あす16日から議論を開始する予定になっておりまして、座長については、この委員会の委員であります相澤委員にご内諾をいただいておりますので、今後の検討をよろしくお願いいたします。
それでは、最後になりましたけれども、次回以降の委員会について事務局よりご連絡させていただきます。

事務局

資料7、今後のスケジュールでございます。次回は、11月15日を予定しておりまして、本日ご説明しましたように、料金だけではなく、全体の制度論の中での料金であり、そういった全体も含めまして、制度についての課題につきまして私ども事務局でさらなる詰めをいたしまして、次回にご提案をし、またご審議をいただくということを15日に考えてございます。
その後、12月12日、仮に中間とりまとめということでさせていただきたいと思いますが、またその間に追加的な審議が必要であれば、次回を含めてまた検討させていただきたいと思いますが、11月15日、12月12日、時間はそれぞれ3時半から5時半まで、ぜひご予定に入れていただければと思っております。その後は、2月から3月にかけて、その他制度的課題のうちの他の職務発明の問題ですとか、新しくワーキンググループでご検討いただきます医療行為の関係などを含めて、こういった中でさらに検討として取り上げていくという予定でございます。

委員

ここの会議と若干離れるかもしれませんが、今、経団連ですごく困っているのは、倒産が非常に多くて、ライセンサーが倒産したときに、ライセンシーがその立場を保持できるかどうかというので非常にもめていまして、この問題を議論してくれる場所がなかなかみつからないので、そういう場所をどこかで設定していただけるようにお願いしたいのですけれど。

長官

今の件は、私も大変難しい課題だということは前々から承知しております。ただ、まだ経済産業省全体の中で、特許ではなくて、ソフトの権利などもご案内のようにいろいろありますよね。ライセンサーとライセンシーの。そういうことも含めて、どういう場でどういう検討をしたらいいかというのは、ちょっと相談させてください。またご連絡させていただきます。

委員長

それでは、以上をもちまして、第2回特許制度小委員会を閉会いたします。長時間、どうもありがとうございました。

――了――

[更新日 2003年1月17日]

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