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第4回特許制度小委員会 議事録

  1. 日時:平成14年12月19日(木曜日)13時30分から15時30分
  2. 場所:特許庁庁舎 特別会議室
  3. 出席委員:
    後藤委員長、相澤委員、浅見委員、阿部委員、市位委員、江崎委員、岡田委員、志村委員、下坂委員、田中(信)委員、田中(道)委員、西出委員、松尾委員、渡部委員
開会

委員長

時間となりましたので、始めたいと思います。ただいまから第4回特許制度小委員会を開催いたします。
本日は、ご多用のところ、日程変更に応じてご出席いただきまして、どうもありがとうございます。本日は会議の前半でこれまでの委員会での指摘事項を踏まえて、事務局で準備していただいた中間とりまとめ(案)につきまして検討し、後半では医療行為ワーキンググループからのこれまでの検討状況、それからもう1つ、職務発明に関する調査結果についてご報告いただきたいと考えております。
まず資料を事務局でご用意いただいておりますので、事務局から資料の確認をお願いいたしたいと思います。

(事務局より,配布資料を確認)

議事録

委員長

ありがとうございました。よろしいでしょうか。
それでは早速議題に入らせていただきます。
最初の議題は中間とりまとめでありますけれども、事務局から中間とりまとめの案についてご説明いただけますでしょうか。

事務局

中間とりまとめ(案)につきましては、これまで9月以来3回のご議論をいただきまして、事務局からの提案事項、あるいは委員の方々からのご意見、あるいはご審議の結果をまとめたものでございまして、従来の議論を要約しております。
まず最初に目次がございますが、全体の構成としては、「はじめに」という序論の後に「特許制度見直しの基本的視点」という基本的な見直しの視点を記載し、それから「特許審査をめぐる状況」と題して事実編を設けております。それから対策編としての「特許審査体制の整備と特許制度・運用の見直し」、それから企業の取り組みに対する促進へのアプローチの部分、このような構成としております。
「はじめに」では、検討のきっかけということで、ご承知のとおり、知的財産戦略大綱において、知的創造サイクルの中で、特許審査・審判の迅速かつ的確な審査のあり方は重要な位置を占めているということを触れております。特許庁側の問題、それから企業の側のいろいろな知的財産関連活動に関する対応というものも含めて検討していくべきだという大綱の指摘、さらに11月には知的財産基本法が制定されましたけれども、そういった中でも審査体制の問題についての必要な施策を講ずるという指摘もございます。こういったものを踏まえて、新しい知的財産立国実現のために、どのような形で特許審査をもっていくか、この委員会で御議論されたいう書き出しにしてございます。
なお、末尾のところに、この中間とりまとめ(案)では、特に来年に向けての法律改正をある程度視野に入れ、制度改正事項を中心に記述し、今後、大綱において年度末までに策定することになっている、仮称ですが、特許戦略計画の中に、こうした制度改正事項も取り込まれ、さらにそれ以外に、予算面から措置でございますとか、こうした段組の結果、特許審査がどのようになっていくかという見通しも含めて、幅広く記載されていくことが望ましいと、記載してございます。
次に3ページ目でございます。「特許制度見直しの基本的視点」いうことで文章はございますが、5ページにございます図にてご説明いたします。すでにご説明をいたしましたとおり、知的財産戦略大綱において、知的財産立国の実現、そしてプロパテントの推進に向けて、特に産業の国際競争力を高めていくための知的創造サイクルの拡大循環を確立することが非常に大事であるという指摘から、特許関係につきましては、迅速かつ的確な特許審査・審判の実現の要請があると。その中では、戦略大綱において、一方においては、利用者ニーズを踏まえた的確で安定した権利設定、あるいは審査期間を国際的な水準とするという形での迅速化の問題等の行政側の対応と、もう一方で、企業側における知的財産関連活動に関するいろいろな戦略化への転換というものへの促進という2つの視点がある。それを踏まえて、この小委員会におきましては、左側の特許審査体制の整備と特許制度・運用の見直しというくくりの中にございますように4つの視点からのいろいろな対策、さらに右側の企業の取り組みの促進の観点からの2つの分野からの対策という形で、いろいろなアプローチから総合的に検討を行っていると。ただ、知的財産立国、プロパテント、国際競争力の強化、こういう基本的な基軸での日本全体の特許制度の見直しであると、これが基本視点で示されているところでございます。
その次の6ページでございますが、ここ以降は事実編でございまして、簡単なご紹介で済ませたいと思っております。最初のところに国際的なプロパテント時代ということで、世界的に出願が増えており、日本もこれからまた出願がふえる方向で動いていくだろうという基本的な認識を記述してございます。
そして7ページに、日本の出願、あるいは審査請求の構造として、残念ながら、これまで大学とか研究部門からの出願は少ないということがあったが、今後、創造戦略の実施により、大学等からの出願がますます増えていくという変化が生じてくるであろうということを予想しております。
あわせて、企業サイドにおきましても、8ページにもございますように、特許取得の状況からするとやや国内重視ということでございまして、欧米との関係でいえば、今後は次第に国際戦略の中で海外出願も増えていくという形での移行がある程度、期待されるということで、これに対応して特許庁サイドにおいても国際的な特許出願への対応というものをしっかりしていかなければいけないということが書いてございます。あわせて、国際的な特許審査につきましては、ひとり日本の特許庁だけでの審査で完結する案件ばかりではなく、PCTのいろいろな初期手続を担っていく国際的な機関という意味での国際的責務としても非常に重要になっていくだろうと、こういうことが8ページに書いてございます。
それから9ページでございますけれども、こういった国際的な出願も含め、全体の出願の増加の中で現在の審査請求の状況をみると、出願の増加、それから審査請求率の上昇ということで審査請求件数は非常に増えているということで、今後、ますます請求期間の短縮の影響もあわせて現状の倍ぐらいまで、場合によると申請件数が増加するのではないかという予想をしてございます。
10ページでございます。そういった中で審査の負担というのでしょうか、審査の内容でございますけれども、非常に内容が高度化、複雑化している、それから請求項も増ふえている。他方、特許に対する質の面、安定的な権利という面での審査の質の面も非常に求められていると。さらには先ほど申しました国際的な調査機関としての役割も含め、審査能力の充実なり強化が必要であるという点を指摘してございます。国内におきましては、非常に少ない人員で高い効率性を確保しておりますけれども、今後、ますます審査負担というのは多くなり、審査件数が少しずつ減っていくという状況、これは国際的な問題でございますけれども、そういう現状が今の足元であるということが指摘してございます。
そういった結果を踏まえまして、11ページの5でございますけれども、審査待ち期間は、現在、平均で22カ月となっております。この問題としては、現状の審査請求件数が着手件数を大幅に上回っており、今後ますます状況の悪化が懸念されておりまして、長期化の防止への対応というのは非常に重要であるということです。また、同様の問題が他国でも起こっており、国際的な問題でもあり、審査待ち期間は長期化する見通しというのが、残念ながら現在での状況であるということが記述してございます。
12ページ以降は、対応編でございますが、最初にご説明いたしましたように、特許庁の審査サイドで行う対応のグループが、このⅣの1 2 3 4でございます。当然のことながら、最初に1点目として、審査官の増員の問題がまず大事であるということを記述してございます。定員の制約等もございますが、その中で最大限増員をかける、さらに他の手法とあわせて総合的な取組により課題の解決に向けていくということが大事だろうと書いてございます。あわせて、委員会の中でもご指摘がありましたが、その審査官の質の問題もございまして、量的な増強とあわせて能力の一層の向上ですとか、判断基準の統一性・安定性という質の面での強化もあわせてやるべきだということを記述してございます。
それから日本の新しい手法として、先行技術調査におきましてアウトソーシングの活用を図ってきておりますけれども、ますます今後とも、この強化は全体の審査能力を上げていく上で非常に重要である、として、量的な拡充、質的にもより効率的な対話型への移行等、アウトソーシングの量的、質的な拡充の必要性を記述してございます。
あわせて、さらに審査業務の補助をしております審査補助職員について、審査官OBですとか、あるいは理工系の博士課程修了者、いわゆるポスドクといわれる方々の採用を始めておりますけれども、こういった方々の活用の強化というのも必要であろうということを記述してございます。
2点目が「先端技術分野等における創造的な技術革新の促進」とでございます。特に技術革新の中で国際競争力の維持をしていくという意味においては、先端技術分野において、研究開発成果を、時期を逸せず、適切に保護することにより、新しい知的財産の創造のインセンティブをより高めていくことが非常に大事だろうという指摘をしてございます。
具体的な対応として1つには、先端技術分野における判断基準の明確化です。非常に大きく注目が集まっている先端医療分野につきましては、本小委員会でもワーキンググループを設置して、今、検討しておりますが、現時点におきましては、まだ検討中であり、ここでは2003年の3月を目途に方向性をとりまとめるという現在進行形の形でとりあえず記述してございます。それから研究開発動向について、技術革新の進展が急速な分野において、速やかに審査基準を明確にする、あるいはそういった重要な分野について専門の審査体制の整備が必要であるという点をここでは指摘してございます。
次にあわせて補正制限の問題をこの部分で記載しております。基幹的な特許をとっていく際に補正がうまく行われないと、権利範囲が過度に小さくなってしまうのではないかというご指摘がございました。欧米に比べて少し厳し過ぎるのではないかといわれる現在の運用を改め、国際的な標準に合わせた運用に変更を行うべきであるということを踏まえて、審査基準の明確化をここで指摘してございます。次に2.のところで、委員の中からご指摘のございました一部継続出願制度の是非について少し触れてございます。委員会でのご指摘も受けて、いろいろな産業界の関係者に、こういった案についてもご意見を伺いました。現状では賛否両論ございまして、委員会でのご議論、それからユーザーの方々のご意見も少し反映して、ここではさらなる検討課題として整理をさせていただきました。
3点目として、「ユーザーニーズに対応した早期の権利付与」ということでございます。残念ながら当面、国内の審査請求の増加傾向や、審査請求期間の短縮化に基づく一時的な急増もありまして、必ずしも簡単には短縮しない中でございます。こうした中特許の早期取得というのが非常に高い必要性で認められる方々を対象として、今、早期審査制度を運用してございます。早期審査制度も含め、今後、こういった適時に審査を行う制度を講じていくべきであるということとしてございます。特に早期審査につきましては、現時点利用件数が3,000件ということで、対象の拡充もしつつ来てございますけれども、今後、また透明性、客観性を確保しつつ、一層の制度の普及等による利用促進を進めるべきという指摘をしてございます。
4点目が「国際的な権利取得の円滑化」です。国際的な特許戦略の中で各国への出願というものも今後増えると期待されておりますし、そういった中で、海外における審査に対する対応負担とともに翻訳費用ですとか弁理士費用も含めて、非常に出願人の方の負担が多くなってきている。また相手国におきましても、世界各国からの出願増によりまして、審査負担の増大、あるいは審査待ち期間の長期化という課題が生じてございます。これらの問題に対して、私ども日本としても、何とか我が国の国際競争力の強化という意味で、国際的な出願が円滑に権利取得につながるように努めることが必要であると。特許庁におきましても、そういった面において何らかの形での対応が必要であるとの観点から、日本のいろいろな制度を国際的な標準に合わせた、ハーモさせた制度にすること、また海外特許庁との協力の推進もここで記載しております。
具体的な対応として、17ページにございますとおり、1つ目が単一性要件の見直しです。単一性要件につきましては、これまでの委員会でも詳細をご説明しましたように、PCT等と異なる規定ぶりをしていることから、海外出願時にはかえって請求項の構成の変更等、いろいろ不利益が出る場合があるということで、むしろ調和させることが長期的にはよかろうということでPCT等の規定を参考にして、単一性要件の見直しについて検討するということを指摘してございます。
2つ目は記載要件の明確化です。機能的表現等で特許請求の範囲が非常に広くなるという傾向にあり、そういう意味では広い特許の確保を可能にしてございます。一方、実際の内容が非常に抽象的・多義的になるということから、意図しない分野までの特許取得がされているのではないかという議論も出て、紛争等の問題も生じる可能性があるところです。この問題につきまして、裏づけ要件の記載の要請というのが欧米においてはなされています。が、日本におきましては、この点につきまして明確でないということです。よってこの点についての明確化を図り、国際的な制度との調整を図ることが必要、ということを記述してございます。
3つ目は国際的な審査協力の推進を記載しています。制度面での国際的な調和とともに、特許庁といたしましても、日本の審査結果が海外へ提供され、日本から国際出願をした出願人の権利取得の円滑化に寄与するような形での努力、あるいは国際的なPCTリフォーム等の場でのそういう働きかけを含めて、積極的に行うべきであるということを記述してございます。
あわせて19ページの上でございますが、翻訳費用等、非常に負担が多いというお話がございます。お金ですぐ助成をするというのは難しい面がございますけれども、何らかの形での、例えばある程度の申請手続等の部分を機械翻訳システムによることを諸外国にも認めていただくような形ですとか、いろいろ含めて、努力をする必要があるということを記述してございます。あと、制度面での統一とあわせて実際の審査をする審査官の交流というのは、長期的にみると制度の運用の国際調和等々、ひいては日本のメリットにもなろうということで、今後も着実に推進するということを記述してございます。
次のⅤが知財管理の強化に向けた企業の取組の促進ということで、企業のいろいろな活動に対する政策的なかかわりの部分が記述してございます。
最初に、企業における戦略的な知的財産の取得・管理に関して戦略大綱の中でもそういった新しい、知的財産立国に向けた企業の国際的視点を踏まえた戦略的対応の必要性が指摘されていること、この点について、もちろん企業の方々が、それぞれの経営戦略の中で行われることでございますけれども、ある程度、こういった取組に対する環境整備についても必要であろうということを記述してございます。
対応策の1つ目が別途の小委員会で検討しております、大綱に基づく戦略的プログラムの策定という作業をここでは引用いたしまして、そういったものが各企業活動の戦略化への参考になることと、またそういった新しい行動が行われることへの期待を記述してございます。
2つ目は、国際的な権利取得の円滑化ということで、これは先ほども特許庁サイドで行うべきものとして記述いたしましたが、権利取得の円滑化に向けた対策を政府としても行うことにより、民間企業の国際的な展開に対しての支援を行う、環境整備として行っていくという観点から、ここで再度記述をしてございます。
2が出願・審査請求構造改革への取組ということで、大綱上に出ております出願・審査請求構造の改革関係の部分でございます。知的財産立国の実現への取組において、今後、当初にも述べたように出願が一層増えていくところ、その中でより企業の戦略化を目指した出願ですとか、さらには大学とか研究機関など、からの出願もどんどん増えていく。そういった中で、我が国全体として最適な形で無駄なく効率的に特許の審査を行っていくかという観点から、出願審査請求構造の改革が必要であるという主張をしてございます。例示として、「戻し拒絶」の議論をこの小委員会でもいたしましたが、特許性の乏しい出願というのも現実にあり、審査全体の遅延の一因になっているということから、この点について指摘をまずしております。そして、出願・審査請求構造改革は、基本的にはユーザーである企業の方々等の行動の変革というものに依存するわけでございますけれども、大綱にもございますように、「企業の知的財産関連活動について、量的拡大の追求から、経営戦略の観点から価値の高いものを目指すよう、その基本的姿勢の転換を促すべく、必要な方策について検討すべき」ということから、ある程度制度面からもそういった変化を奨励、促進するような対策をなるべく多面的に講ずる必要があるということをここで記述してございます。
それで、1つ目が21ページでございますけれども、「企業行動の変革への対応」において、先ほど述べました戦略的プログラムの策定等のほか、さらに特許庁としても、出願・審査請求の構造の状況や、企業の特許取得の状況等について、産業界とのいろいろな情報提供、対話にも努めるべきであるということを記述してございます。また、本小委員会におきまして委員の方からもご提案がございました、弁理士の方々が出願人と特許庁の間をつなぐ中で、企業活動への働きかけについても大事であるという点についても記述をしてございます。
それから、「費用負担の不均衡の是正と適正な審査請求行動の促進を目指した料金体系の導入」ということで、料金関係に関して要約が記載してございます。これまでもご説明しましたように、最初に特許関係料金の基本的考え方について、収支相償の原則、受益者負担の原則、続けて出願料、審査請求料、特許料の性格のご説明をしてございます。具体的には、発明奨励の観点からの出願料、審査請求行動の適正化のための審査請求料、それから特許権を得た方に制度維持のために負担して頂く費用としての特許料、という位置付けになっており、これらは政策的に定めることとされていることが記述してございます。
現行料金体系の問題につきましては、これまでもご説明いたしましたとおり、費用負担の不均衡、すなわち特許を受けた方が審査請求をする他の方の審査に要する費用の不足分も負担をしているという不均衡の問題は次第に拡大しているのではないかという問題がポイントです。現行料金体系の問題の第2点としては、審査請求料による審査請求行動の適正化作用が低下しているのではないかということです。全体としての審査待ち期間が長期化するなかで、戻し拒絶差定率が上昇しつつあることは、我が国の知的創造サイクルの円滑な推進を阻害するのではないかという問題提起でございます。
こうした現行料金体系の問題に関する見直しの方向といたしましては、基本的には、出願人間の費用負担の不均衡の是正、あるいは適正な審査請求行動へのインセンティブの強化の観点から、より実費等も勘案した料金体系への変更が必要であるとしております。また、この料金体系の変更に当たっては、中長期的にはこれにより特許特会の歳入増が生じない形での中立的な料金体系とすべきと記述しております。
それで、以前の小委員会においてもご説明いたしましたが、23ページに、朝日監査法人による実費と現行料金の対比表を載せてございまして、これを前提に出願料、審査請求料、特許料の新しい水準の提案をしてございます。出願料につきましては、前回も、この審議会に事務局から提案をいたしましたとおり、実費を超えない程度、つまり1万6,000円程度の水準ということを記述してございます。それから審査請求料につきましては、25万から30万という実費を1つの上限となりますが、過度に高いとまた問題があると考えられます。一方で、ある程度の費用負担の不均衡を是正する観点も要する訳であり、これらを勘案して全体として20万円から25万円という程度の範囲で検討してはいかがかということを記載してございます。
さらに24ページの上から6行目あたりからですが、特に料金体系の見直しにつきましては、審議会における審議の過程で、様々な議論がございました。具体的には、審査請求料の引き上げのみによって審査の迅速化を図ることへの懸念ですとか、あるいは大学、中小、ベンチャーに対して過度な抑制効果への懸念もここに記述をいたしました。他方、出願人にとって、料金体系の見直しはむしろメリットがあるというご意見もございました。全体として、実際の費用を勘案した料金体系の設定というのはある程度合理的であり、出願人のインセンティブを強化するとの意見が多数であったという審議会全体での意見の状況から、今回の料金体系の見直しについては、色々な対策等の一環として講じること、それから審査請求料の引き上げの影響を特に強く受けると予想される大学、中小、ベンチャー等への支援策を強化することとして、こうした条件を付した上で推進すべきであると、こうした内容でご結論を得たと、まとめさせていただきました。
それから特許料につきましては、今の審査請求料、出願料の水準との関係、それから特許料自体の累進構造の問題も維持する方向で考えながら、適切な形で特に初期の特許料の引き下げ率を大きくした形で設定を検討すべきであると記載してございます。
料金水準の前提モデルとしては、63%程度の特許率で全体の収支が見合うよう、新しい料金体系を設計することが適切であるとしております。これは、各企業の目標ということではございませんけれども、制度の前提としてこういう形で設定をすると記述してございます。
25ページでございますけれども、このような料金体系によって何が期待されるかということをここに記載しております。企業などのユーザーの方々にご説明にも行った際に、この点についてよくご質問もございまして、説明義務を果たすという趣旨からも記述をしてございます。基本的には、この料金見直しの結果、出願1件当たりにおける出願料の引き下げ額と特許料の引き下げ額が、審査請求料の引き上げ額を超えるということにより、出願をし、審査請求をし、特許を取得維持するという方にとっては、現行料金よりは安くなります。このため、一定の出願群をおもちの出願人の方においては、特許性の高い出願について審査請求を多く行って特許を取得する出願人ほどトータルとしての経済負担が現行料金体系に比べ軽減される有利な体系となるということから、各企業の経済合理的な活動の結果として知的財産管理を充実させるインセンティブになるということを期待するということが書いてございます。もちろん、幾つかの企業におきましては、新たな対応が必要ということで厳しいという面もありますけれども、日本全体としてはより高い水準の知的財産管理を目指す企業への変化が誘導される結果、全体的には特許がむだなく取得され、国際競争力の強化につながるという、大きな方向性としての効果をここで説明してございます。
新たな料金体系への円滑な移行に向けて、ここでは施行日の問題と移行に伴う円滑化の負担軽減の話が書いてございまして、料金改定につきましては、施行日以後の出願から適用するということを明確にしております。産業界の一部において、出願日以後の審査請求から適用されるのではないかというご懸念をおもちでございましたが、審査請求後の出願から適用することとし、「駆け込み審査請求」等は起きない円滑な移行を図ることとすると、ここで記述してございます。他方、審査請求料の引き上げと特許料の引き下げにより、中長期的にはコストがある程度見合うように新しい料金体系を設定いたしますが、短期的には先行的に審査請求料の引き上げが起こるため、特許料の引き下げ効果が出る前に審査請求料の引き上げによる負担増が少し生じるという懸念から、料金体系全体の見直しの論理とは別の問題として、円滑な移行を図る観点からの特別措置として、負担軽減策を講ずることを検討するというと記述してございます。具体的には、中小、ベンチャー、大学につきましては、支援措置全体の拡充の問題が検討課題としてございます。あるいは料金改定時に新しく導入しようとする審査請求料の取り下げ返還制度を前倒しして適用することによって、各企業のいろいろな対応の可能性を広げるということも考えられます。それから現行料金が適用される特許権についても何らかの措置ということで引き下げ等の措置を講ずる、といったことが考えられます。ここには、これらの特別措置を検討すべきであると記述してございます。
次に、中小・ベンチャー企業、大学等に対する支援措置の拡充ですが、最初は中小・ベンチャー企業に対する軽減措置の部分でございます。私ども特許庁では、中小企業団体とも意見交換をしておりますけれども、基本的には中小・ベンチャー企業は、限られた能力で限られた特許取得を目指してこられる、また特許取得を最終目標としておられるため、新しい料金体系自身はそういう特許の取得という意味においては中小・ベンチャー企業にとって、中長期的には有利になるのではないかと考えております。ただいかんせん、短期的には審査請求料の引き上げの影響が先行的にまいりますので、こうした負担に対する軽減の問題があり、この小委員会でも指摘されたところでございます。この点に関連しては、従来から、現状、特許法、あるいは産業技術強化法により、中小・ベンチャー企業に対する費用の軽減措置がございます。ただ、利用実績が必ずしも多くないという状況にあり、その背景として制度自身が知られていない、あるいは手続が煩雑なのではないかとか、対象が少し不十分ではないかというご指摘もございました。そこで今後は、日本弁理士会を初め、特許関係の団体に加え中小企業関係団体とも連携をして、こういった制度の普及や利用の円滑化を図る必要があるということと、あわせて対象の拡大についても検討をすると記述をしてございます。また、中小・ベンチャー企業につきましては、特に知的財産専門の部署を構築するのも現実には無理でございまして、必ずしも十分な先行技術調査ができていないと考えられます。そこで、お金の面だけでなく、先行技術調査体制をバックアップするという意味から、特許電子図書館の利用環境の整備、あるいは弁理士の方とか企業のOBの方々のご協力を得つつ、そういう先行技術調査への支援というものを今後強化していく必要があるのではないかと記述してございます。
それから大学、研究機関等に対する支援措置でございますけれども、大学につきましては、産業技術力強化法による、アカデミックディスカウントの対象として軽減対象としております。国立大学の法人化の問題が少し制度に関しておりますが、こうした問題も踏まえて料金減免の在り方について引き続き検討いたしますが、アカデミックディスカウントとでの大学等に対する支援を引き続き続けることになろうかと思います。大学におきましては、戦略的な特許の管理、取得がこれまでは非常に弱いとされておりまして、特許電子図書館の利用環境の整備、あるいは弁理士の方や企業OBの方々の協力も得つつ、大学での知的財産管理体制の整備、あるいはTLO支援にも特許庁サイドからも取り組みを推進すべきであると、ここは記述してございます。
4番目は審査請求後の出願の取り下げによる審査請求料の返納制度について記述してございます。委員尾方からのご指摘がありましたとおり、請求後も、まだ取り下げをする可能性があっても現在の制度では取り下げる経済的メリットがありません。このため、必ずしも審査請求料後の出願の取下げがなされていないのではないかと考えられることから、この制度につきましては私どもは、前向きに検討すべきであるとの指摘をしてございます。
それから5つ目が「民間における先行技術調査の充実のための対応」について記述してございます。今回の料金体系の見直しにつきましては、審査請求段階での出願人側における再考が期待され、この結果が審査の迅速化全体に非常に大きく影響してまいります。先行技術調査に対しての対応が非常に期待されるということでございますけれども、一般的には民間においては先行技術調査のための体制・能力が不十分であるというご指摘がございました。特許庁からもデータベース、あるいは審査ノウハウの一部を提供してございますけれども、現状にとどまらず、さらなる対応、あるいは民間の調査機関の支援を検討していくべきである、と記述しております。弁理士の方々の果たす役割も踏まえて、こうした先行技術調査の充実のための対策を具体的に検討していくと記述しております。
(6)は、本小委員会で議論されたものの、今回は導入を見送った部分の審議の記録をとどめてございます。1つ目が先行技術調査制度を制度化するという是非の検討ですが、行政サイドの体制強化により対応を図る場合、あるいは民間で調査を行ったものについては料金に反映させる場合、あるいは先行した調査義務をかける等、いろいろな議論が本小委員会にあることをご紹介しております。いずれも現状の調査体制、民間における調査能力、特許庁側の問題も含め、やや現時点では導入は困難ということで、将来の課題として、ここは整理してございます。
29ページに早期の権利化を求める出願に料金面での差を設けることによる対策につきましては、従来料金の差ではなく、むしろ優先する社会性、公益性を重視した運用なりをしてきており、料金だけに変えるのは、現時点では時期尚早として検討の問題にしてございます。それから審査請求料の着手時払いによる審査請求の後ろ倒しとでも言うべき制度のご提案がございましたけれども、こちらについても審査請求制度を3年間に短縮した趣旨・必要性との関係で、現時点では困難であろうという整理にしてございます。
大変駆け足でございましたけれども、中間とりまとめ(案)のご説明を終えたいと思います。

委員長

どうもありがとうございました。これまでのこの委員会の議論を踏まえて、今、ご説明いただいたような中間とりまとめの案を作成いたしておりますけれども、これから、これにつきましてのご意見、ご質問等をお願いいたしたいと思います。いかがでしょうか。

委員

まとめ案の25ページの新たな料金体系への円滑な移行ということで、我々は現行料金が適用される特許権について、ぜひ引き下げの措置をお願いするものなのですが、ここの文章では「何らかの措置」と。先ほどの説明では「引き下げ等」という言葉だったのですけれども、引き下げ以外に何か考えられるのでしょうか。そうでないならば引き下げと明記していただければと思うのですが。
それともう1点、17ページで単一性要件に関係しまして、我が国出願人は海外への出願時に請求項の構成を変更せざるを得ないということをご指摘いただいておりますが、これまでここの議論の場では出てこなかったのですけれども、参考資料の方で電子情報技術産業協会からも、「現行の請求項ごとの料金体系は欧米出願と比べて負担が大きく、国際調和の観点から整合を図っていただけるよう強く要望する」ということを指摘いただいております。私もこれは同感でして、今後、この料金のところで請求項に伴う変動分を検討される際には、この点もぜひ考慮していただけたらと思っております。以上です。

事務局

前段の現行特許料金が適用される出願への措置につきましては、「何らかの措置」となっておりますけれども、現状としては、事務的に議論しておりますが、まだ引き下げの方策について幾つかの案がございますので明示的なことは記載してございません。おっしゃるとおり引き下げを考えておりますので、「何らかの引き下げ措置」ということでもよろしいかと思います。産業界とお話をしておりましたときに、一律、過去のものも含めて下げるべきという議論もございますし、他方、それはちょっとばらまき過ぎて筋が通らないのではないかという議論もございます。例えば、これからの審査請求からのものにとか、将来のものに対しての引き下げだけでよろしいのではないかといったいろいろな御意見がございまして、さらに詳細は詰めたいと思っております。このため表現をぼやかしておりますけれども、趣旨としてはそのとおりでございます。
それから特許料に関する請求項と基本料金の部分の関係でございますが、今回、実は特許料についてどのように請求項と基本料金の分担関係を変えるかというところは、そこ自体を政策的に見直すということではなくて、料金体系全体における特許料の今の負担を一律少なくする方向で議論をしてきました。その関係で、特許の請求項の多少による負担関係までは必ずしも十分議論をしておりませんし、そこが今回の見直しの狙いではないものですから、私どもとしては、できれば今のまま、とりあえず等率の体系を想定しております。特許料の基本料と請求項の関係は、それだけでかなり大きい議論が必要になってまいりますので、ちょっと今回までの議論ではなかなか結論は難しいと思っておりますけれども、実際の料金表をつくる際に議論はさせていただきたいと思っております。

委員長

ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

委員

1点質問させていただきまして、2点お願いがございます。
まず質問の方は25ページのところに新たな料金体系への円滑な移行とございまして、2行目に「原則として、改定後の料金体系は施行日以降の出願に適用されるべきである」とございます。それで、ここはよく質問を受けているところで、一応16年の4月1日からの出願のみにという説明をしているのでございますけれども、この「原則として」といった場合に何か例外的なお考えがあるのかどうか、それが質問でございます。
それから短期間に総合的にいろいろと料金以外の点もご検討いただいて、おまとめいただいたご苦労に対しまして厚く御礼申し上げます。まず料金体系のところでございますけれども、依然として、やはり25万、20万という料金は現行の2倍、2.5倍に達するからということで、かなりの急激な変化ととらえているものが多くございまして、ぜひとももし低減できれば、ぜひそちらの方向でもう一度ご検討いただければ幸いでございます。
それと同時に、中小企業、ベンチャー企業に対しましては、従来からお願いしているところでございますけれども、本日の報告書のまとめの方にもちゃんと書かれているのでございますが、さらにその検討に当たりましては、例えば現行特許法が定める資力に乏しい法人に対する料金軽減、猶予の措置というのは、たびたび申しておりますが6項目ございまして、それら6要件すべてを充足することが求められております。この点、米国のスモールエンティティなどとは随分違うところではございますけれども、中小企業やベンチャー企業にとりまして、審査請求料の値上げが致命的なハードルにならないように、次の点にご留意いただければと存じます。
要件の4番目に設立の日、資本の額、または出資の総額が3億円以下であることという要件がございます。この資本の額は業種によって異なりまして、製造業では一般に資本の額が大きく、サービス業では少ないという傾向がございます。それゆえ、基準を一律に定めることなく、業種ごとに異なる基準を設定していただければと考えます。また、もう1つ、設立の日以後5年を経過していないという要件があるのでございますけれども、設立直後のベンチャー企業のみを対象としているものと、この要件は考えられるのでございますが、我が国の中小企業における発明の創造支援という観点からみました場合には、中小企業における発明の創造を定常的に支援する制度を構築していただきたいと思っております。中小企業が産業技術力向上へ向かうことができるように、この5年という要件は廃止していただければと考えております。
また、産業技術力強化法下での減免の措置がございますけれども、この措置につきましては、3%という、試験研究費の比率が収入金額に対する割合で3%を超えるものという限定がございます。中小企業におきましては、必ずしもいろいろな日々のデータがしっかりしておりませんで、3%を超えたかどうかという、これを提出するためのいろいろな資料づくりが大変だということがございますので、この3%を超えるものという、この要件がもしなくなれば大変ありがたいと考えております。以上でございます。

事務局

まず最初の御質問である新しい料金体系の適用日についてでございますが、御指摘のとおり、施行日以降の出願に適用するという方向で基本的には考えております。ここに「原則として」が入ったのは、実は先ほど議論のあった負担軽減策とちょっと関係がございまして、場合によりますと、負担軽減のために新規料金を施行日前にした出願から適用するということが特許料の引き下げの方式として観念的にはあるということを私どもでは考えていたものですから、原則と書いたのでございます。けれども、そこは、余りここでははっきりしておりませんので、いかにも適用日がいろいろあるようにみえて不適切ということであれば、「原則として」はなくても、新料金体系は「施行日以降の出願に適用されるべきである」と修正し、あとは、その負担軽減の移行措置の適用は前倒しで適用すると整理をしますれば、私共としては結構でございます。
それから中小企業関係の負担、支援策についていろいろ具体的な御提案をいただきまして、大変ありがとうございました。今、各経済産業局でこうした減免手続の窓口を設けておりますけれども、そこでいろいろな中小企業の方に、どういうところが問題であるか、使いにくいところであるか、今、実際の話も聞いております。料金の減免措置があることを知らなかったという方もかなりおられますし、手続として面倒であった点や、使いづらい点などが、そういう御意見をお伺いしております。今、委員から御指摘の点も踏まえて、どのように対象の範囲をしていけばいいか、あるいは手続面をどのように整備していくか、あるいは円滑化のための支援策なども含めて色々と検討させていただきたいと思います。

委員長

ほかに何かございませんか。どうぞ。

委員

若干でございますが、早期審査のところにつきましては、これは現状のいわば運用上の制度であることを継続するという理解でよろしゅうございましょうか。それが質問の第1点でございます。

委員長

何ページですか。

委員

ごめんなさい、16ページの早期審査のところです。これは現状の運用を継続するという理解でよろしゅうございましょうかということが1点。
それから18ページの記載要件の明確化でありますけれども、ここについては、現在では比較的広い範囲のクレームを認めるようになっているわけですが、以前は非常に狭い範囲のクレームしか認めなかったという日本の特許庁の運用がありますので、その点で、裏付け要件を記載するということは決して広いクレームというものを否定するものではないという表現をどこかに織り込んでいただいた方がよろしいのではないかと思います。
それから26ページの、先ほどの委員の発言でありますが、中小・ベンチャー企業に対する減免措置というのは、いわば新規な研究開発を主たる事業とするベンチャーに対する特例措置でありますので、先ほどおっしゃられた新規事業であるかどうか、つまり5年以内、あるいは研究開発費3%以上というのは、ここでは非常に中心的な問題であると思いますので、そういうところの要件をあいまいにするということは、この制度の趣旨をあいまいにするということになり、企業間の不公平という問題を生じるのではないかということで慎重に対処すべき問題ではないかと思います。
それから29ページの審査請求料の着手時払い制度なのですが、これにつきましては、返納も分納も着手時払いも、いわばどうして審査請求を出願人の希望に沿って審査の繰り延べをするかと。つまり急ぐ人を早く、急がない人は急がないで、それによってうまく審査を処理するという問題なので、もし繰り延べ制度が改正の趣旨に反するというのであるとすると、返納も一種同じことになるので、やはりこれは同じ問題の法技術的解決手法の違いではないかという、私が着手時払いはどうかと申し上げた点もあるのですが、分納も一緒ですが、そのような気がいたします。以上でございます。

事務局

早期審査につきましては、委員の1人からも公平性、客観性という議論もございました。私どもでは、今、具体的な制度を運用で行っておりますが、運用に当たっては十分、公平に対応しております。必要に応じて法制化の議論についても、あわせて検討してございますが、基本的には今の制度でも十分であってむしろ制度が知られていなくて、使われていないことの方が現実的な問題だと思っております。本当に利用されていくということで対応を最終的に決めてまいりいたいと思っております。
それから、先ほどの減免に関する特例措置の5年、3%の件についてですが、おっしゃるとおりベンチャー企業という要件としての5年、それから研究開発型企業としての3%の要件は、かなり重要なファクターであることはおっしゃるとおりでございます。ただ、5年という数字が正しいのかとか、3%自体が正しいのかという議論の余地はまだあると思います。現実の経済状況の中で3%が果たして適切な要件として生きているのか、生きていないのかを含めて、ご指摘のあったように企業間の公平の観点、つまり特許権者からの特許料によって、減免分を賄っているという面ももちろんございますので、こうした公平性の観点も含めて検討させていただきたいと思っております。
それから繰延制度の問題でございますが、おっしゃるとおり、出願人の希望によって審査時期を自由に動かすかどうかという問題はかなり根本的な問題です。基本的には審査請求順に審査するという原則で、唯一必要性の認められる方だけ先に審査するという今の制度において、順番を後ろへ下げる方は前提にしておりませんので、今回、このように記載しております。ただ、取り下げや分納、あるいは着手時払いにつきましては少し会計上の整理があります。つまり、債権債務の発生ということからすると、国の債務としては料金が完納されたときから手続債務が発生し、払われない間は手続債務が発生しないという議論がございます。会計法上の細かい議論になりますが、そうなりますと、着手時払いは多分、審査請求がされていないということになるので、法定期間の3年を違反、OBしているということになるかと思われます。それから分納も合わせて、料金が払われないと審査する債務が発生していないことになるので、これもまた3年を超えているという、法技術的な議論もありまして、完納した方には債務が完全に発生しているという意味において、ちょっと法律上の性格が違う面もございます。その点については、財務省ともいろいろ議論しておりますけれども、やや、今申し上げたことも背景にございまして、ここはこういう形に記載させていただいております。
単一性の問題については事務局よりお願いします。

事務局

ご指摘いただきました記載要件の明確化のところでございますけれども、もとより広くとれる発明を狭めるという趣旨の明確化ではございませんので、委員、ご指摘のように誤解のないような記載にさせていただきます。

委員長

ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

委員

私どもベンチャー企業としまして、減免措置として2つの要件があるわけですが、私ども既に5年経過しておりますので、それを使うというのはできません。強化法の方は研究費が3%以上ですから、これを適用しようと思えば可能になるわけですが、ただ実際に私どもはこれの制度を利用しておりません。というのは、この制度を利用しようと思うと、そろえるべき書類とかが非常に大変で、面倒くさいという理由です。強化法を利用して安くなった分と強化法を利用するために要した費用を考えますと、余り効果が無く、この制度を利用しなくてもいいと判断しています。実際に特許出願にかかる費用で、その多くは特許事務所にお支払いする費用ですので、強化法で多少安くなっても、余り効果がないと判断しています。もしも非常に簡便に、宣誓書みたいな形で提出して、それでこの制度を利用できるならば、ぜひ利用したいと思いますが、やはりそろえるべき書類が多過ぎるというような印象をもっております。

委員長

どうもありがとうございました。どうぞ。

委員

さっきの記載案件の明確化のところで、これは広い権利を否定するものではないということをぜひ入れていただきたいのですが、ここの書き方をみますと、特定の機能や作用によって特許取得権の範囲を表現する方式に対する施策のような書き方をされているのです。これは多分、ミーンズ・アンド・ファンクションとか、そういうことを想定されているようなのですが、もしそういう趣旨であれば、このような裏づけ要件をつけることというのが、そういうものに対してどういう効果があって、ほかの特許に対してどういう効果があるのかというようなことは議論されたものがあるのかどうかということを思ったのと、そういう意味において、同一性のある発明を保護するということが、この引用とかなんかによって、補正の問題と同じような硬直的なものになると、かえってよくないのではないかということを思いました。それが1点。
それから大学等の出願についてですけれども、たしかアカデミックディスカウントは共同出願には適用されていなかったと思います。中小企業の共同で出願して、そちらを支援をしようというようなこと、中小企業の第二の創業を大学の特許で支援しようというような形を考えたときに、たしかこれ、共同出願のものが従来になっていたり、そうすると中小企業の方もベンチャーではないから何の支援措置もないというような形になり、そのようなところにも配慮をいただけるような形が望ましいのではないかと思います。以上です。

委員長

最初の件について。

事務局

記載要件の点でございますが、先ほど委員ご指摘の、この要件が課される発明がミーンズ・プラス・ファンクションだけの発明を念頭に置いているわけではありませんで、すべての分野を含めて、そのサポート要件といいますか、十分な開示があるかどうかという要件は課せられるものでございますので、そういったものだけに限ってやるということは考えていません。
それから補正等のご指摘でございますが、ややもすれば、先ほど別の委員からのご指摘がありましたような狭くなる方向にならないような形での運用基準等々、きちっと定めていきたいと考えているところでございます。

委員長

どうぞ。

委員

2点ほどございます。1つは今回出させていただきました参考資料の、我々の要望にも上げているのですけれども、8枚目になりますか、下の方のなお書きの部分なのです。この点について若干補足説明させていただきたいと思います。製薬工業協会の要望です。なお書きの部分ですけれども、「料金体系のさらなる合理的設計の一環として、例えば積極的に先行技術調査をした上で出願し、審査請求を行っている利用者、また特許率が高い利用者に対してコスト負担の不均衡が生じないようにあらゆる施策を検討していただくよう」というようなことを書いてございます。これは、もちろん今回の本庁のご提案がそういう方向で検討されているということは重々承知しておりますけれども、ただ今回、我々の要望をまとめるに当たって協会の加盟委員に聞きましたところ、全部ではないのですが一部の方から、今回のこの改定案では、我々の業界にとってはちょっと不利ではないかと。コスト増になるのではないかということでございますけれども、そういう意見が何社かから出てまいりました。ということで、私どもとしては、今言いましたような2つの利用者の条件を十分満たしているのではないかというように考えておりますところから、そのような指摘もございましたので、今回の具体的な制度設計のところでは、このあたりのところも十分考慮いただいて設計していただきたいということでございます。
もう1点は、先ほどから何回も出ておりますけれども、審査請求料の返納制度の具体的な取り組みをしていきたいということでございますので、それをぜひ実現していただきたいということでございます。これはいわずもがななのですけれども、ヨーロッパでもその制度はございまして、ヨーロッパでは一応75%という返還になってございますので、その辺も参考にして決めていただけたらと思っております。以上でございます。

事務局

最初の具体的な制度設計については、今回の意見書もございますし、またパブリックコメントでもいろいろな具体的な御提案があると思いますので、これらを含めて考慮させていただきながら考えさせていただきたいと思います。
それから返納制度については、私どもといたしましても、ぜひ対応したいと思っております。ただ、料金の戻し方の問題は、ヨーロッパの場合には、多分、EPO等は、担当する組織が独立した関係で、コストを全部、料金としてとっておりますが、その点、日本の場合は多分コストを全部は料金としてとらないという違いがありますので、完全に同じ返納制度になるか、と思われるところがあります。もともと審査請求料は政策的な料金なので、政策的な返納とするという考え方もありまして、具体的な金額をどうするかは、負担すべき共通的な固定費コストの額とかいろいろなことも含めて検討する必要がありますので、御意見は参考にさせていただきながら検討させていただきたいと思います。

委員長

どうぞ。

委員

全体のトーンは賛成なのですけれども、返納ではなく、海外の出願の審査結果、あるいは調査結果の利用に対する何らかの減免措置のようなものを、これは相互の問題もあると思いますが、長期的にはぜひそちらの方向の検討をお進めいただければと思っております。
それから、25ページのところにいろいろな論議が出ているようでございますけれども、やはり料金体系の円滑な移行というのは極めて重要な、また実際的な話だろうと思います。そういう意味では「原則として」をとっても、施行日以降の出願に適用するということでございますけれども、この移行措置の間に、例えば施行日以降の審査請求に適用できるような形をとれば、駆け込みとか、いろいろな問題がなく、比較的リターンも得られるのかなと。それから全体がバランスがとれるのかなという意味に感じておりまして、これも1つの案としてぜひご検討いただければと思います。よろしくお願いします。

事務局

最初にご指摘頂いた海外の審査結果の活用の件については、済みません、先ほど説明では少し飛ばしてしまいましたが、29ページの上のところに書いてございます。先ほどの委員からの御指摘を私ども、きちっと理解したかと思いますけれども、基本的には海外の審査結果が添付されている場合に、国内の出願についての割引という議論で最初御理解を申し上げたのでございますが、よくよく考えると、先ほどの相互主義の問題があって、基本的には、仮に外国審査結果がついている出願には国内審査請求料をまけるとすると、海外からの出願も当然そういう恩典を受けるということでございます。また日本から海外に行く出願が、日本の特許庁の審査結果の英訳をつければ、それが少し料金をまけてもらうべきとか、そういった議論まで本当は進めて、国際的な審査負担の軽減という非常に大きい問題につながる御提案したと思っています。単純に国内だけの出願料の割引ではないということであり、ちょっと検討の時間をいただきたいということで、先々、あるべき方向だと思っておりますけれども、単純な日本だけの取り入れを躊躇したところでございます。このため、記載のとおり検討課題にさせていただきますが、前向きな方向では検討させていただきたいと思っております。
それから円滑な移行の際の、先ほど「原則として」を削除したところの行でございます。新しい特許料を基本的には施行日以降の出願から適用するということですけれども、新施行日以降の審査請求から適用することによって、ある程度負担軽減の措置をとるということも考えられます。私どもといたしましては、こうした措置も含めて既存の特許料全体に関して新制度を適用するか、あるいはこれから手続等をする方の出願への先倒し適用なのか、例えば審査請求の金額によっても事情は変わってまいりますので、そこはあわせて検討させていただきたいと思っております。

委員長

ほかに何かございませんか。どうぞ。

委員

補正に関しまして補正制度見直しの概念図という図がございましたが……。15ページです。これは補正に関してご検討いただけるということで大変ありがとうございます。補正の場合に、従来、私どもが試験を受けましたころは、要旨変更でなければよいというような大らかな、豊かなものだったのですが、だんだん厳しくなってまいりまして、それで現在でもいろいろ直接的活動とかで運用がかなり厳し過ぎるのではないかということでお願いをしております。全般を見直しいただけるということ。これ、今まで運用が幾つも幾つもございまして、出願のときに、出願日を中心にこれは補正、これは適用というようなことで現実にやるものの方は非常に複雑な面が出てくるという点がありますので、このときにユーザー側の意見などもお伺いいただきながら、お進めいただければ大変ありがたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

委員長

どうぞ。

委員

先ほどの16ページの早期審査ですが、もし法制化するのであれば有料にした方がいいのではないか。つまり公平性の問題で、今、特に必要なものだけ緊急措置でやっているけれども、きちっと道を設けるのであれば、急行は急行料金をとるということが全体の制度の中では公平なのではないかと。
それから先ほど26ページの、繰り返しになりますが、軽減措置のところでご意見がございました。宣誓書みたいなものではだめかということですが、日本には宣誓供述書の制度が法制度としてありませんので、これは多分できない。つまり宣誓供述書を認めるためには、宣誓供述書に対してうそをついた場合のサンクションの制度を法制度上定めなければ、宣誓供述書という制度はとれないと思いますので、これは多分、日本の制度ではできないと思います。
それから返納の時期の話なのですが、実施の時期はいつごろから考えるのでしょうか。つまり、今の審査の状況を考えると、これから出願する分だといっていると、今のこの状況下でどうなのかということを、先ほどいろいろ時期の話が出たので、導入時期と関連して、今の出願には適用するのかしないのか、適用した場合には返納はどうするのかという点についてお教えいただきたい。

事務局

最初の有料化の議論でございますが、今、法律上優先審査があって、実は同じ料金で優先審査をする形になっておりまして、法律上は優先審査は無料という決着があります。それを有料にするととらえると、今の料金の考え方に関する全般的な再考が必要になるのではないかというのを正直考えております。
それから宣誓型の手続の導入の話は新しい知恵をいただきました。ありがとうございました。なかなか難しい問題と思っておりますけれども、先ほど御指摘のあった使いにくさ、それから手続の煩雑さの面は何らか工夫が考えられるところがあると思いますので、宣誓型まで導入することはすぐには難しいと思いますけれども、何らかの形での改善というのは具体的な事案をお聞きしながら考えたいと思っております。
それから返納の時期は、先ほどの負担軽減策のところに記述をいたしましたけれども、原則は新規の出願からということで、今、企業の方にいろいろ実際の今後の行動変化をお聞きしておりますが、企業によって、今の審査請求済み案件について、1、2割ぐらい返納を使いたいという企業の方も結構おられます。そういう意味では、今でも節約をする余地のある企業もかなりあるようでございますので、少し手元流動性を多くしていただくという意味において、既に出願した、あるいは審査請求したものからへの前倒し適用をしようというように私どもは考えております。

委員長

ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

委員

補正の制限につきましては緩和する方向で検討されるということで、これは日本の特許権そのものを評価する意味においては非常にいいことだなと思います。ただ2つ目の、日本の中におけるCIPの導入というのにつきましては、これは多分、いろいろな議論があるだろうとはもちろん思いますけれども、国内優先の期間の問題とも絡めて、ぜひ継続的にご検討をお願いしたいと思います。
それから、単一性要件の見直しのことでございます。ここに、場合によっては海外での優先権を喪失する恐れがあるというように記載されているのですけれども、具体的に何ゆえに優先権を喪失する恐れがあるかどうかというのはわからない。これはぜひ教えていただきたい。
それからもう1つは、単一性の問題というのを厳格に考えますと、恐らくまた件数増大につながっていくという感じもいたしますけれども、あわせてそれについても、もしお答えがありましたら教えていただきたいと思います。
それから、先ほどからもう既に議論が出ておりますけれども、民間企業としては、審査請求料というのが適正なコストに見合うものになるというのはいいことだろうと思いますが、全体の予算的な意味合いにおいて、ある一時期、非常に費用が増大するというのは避けたいと思います。したがいまして、特許庁にとりましては収入増をどのようにバランスしていくのかということについてはぜひご検討をお願いしたいと思います。以上でございます。

委員長

どうもありがとうございました。いかがでしょうか。

事務局

CIPの件でございますけれども、このとりまとめに書いてございますように、広くいろいろな分野のユーザーのご意見を聞きながら検討を進めていくという形にさせていただいております。
それから単一性要件の見直しで、海外に出願するときに優先権を失う恐れがあるのはなぜかということですが、これにつきましては、いろいろなことが考えられます。例えば同じ明細書で海外に出願する場合、1つでできなくて2つに分けて出願した場合にクレームの書き方が変わっていくとか、それから元の明細書に記載されたところが分割して記載されているとか、そのような形になる場合、海外の特許庁の審査官が元の明細書に書いていないではないかと判断するおそれがあります。。前の明細書のクレームと数が違うというようなことで判断の問題もあるかもしれませんが、そのようなことが起こってくる。それから、国内優先権主張と同時に使っております場合には、特にヨーロッパ等に行きますと、国内優先でプラスされたものの出願日は、日本での出願日はいつなのだろうかというような問題が多々起こるのではないかと。そのようなことを含めまして、国内優先権といいますか、日本での優先日がいつなのかということを、ヨーロッパ等できちっとみてもらえない恐れがあるのではないかということで優先権を喪失する恐れがあると書かせていただいたということでございます。
それから単一性要件について、厳しくすると出願がふえるのではないかというようなご指摘でございましたが、確かに一出願に含まれる発明の範囲が狭くなりますと、そのようなことが起こるわけでございますけれども、今回、その方向としては、PCT準拠のような形でヨーロッパの運用等と歩調を合わせながらやっていきたいと考えてございます。ご指摘のような、日本だけが単一性要件が厳しくて、出願がふえてくるというようなことは避ける形での規定ぶりになっていくのではないかと思っております。

委員長

ほかに何かございませんか。よろしいでしょうか。
それでは、ほかに特にご意見がございませんようでしたら、今まで幾つかご意見をいただきまして、この案について修文をする必要が幾つかあると思いますが、25ページにつきまして、かなりいろいろとコメントをいただいたと思います。「引き下げ等」というようなところについてもう少し明確にするとか、あるいは「原則として改定」云々というところについても少し修文が必要であるということでありましたので、この2点については修文を考えていくということにいたしたいと思います。何人かの方から、この2点についてコメントをいただいたと思います。
それから委員からいただいた、17ページから18ページにかけて、記載要件の明確化のところで、ここでの記述の精神としては、広いクレームを特に否定するものではないといったようなことを明確化するような形で少し修文をするということ。それから他の委員からも、この点についてはご意見があったと思いますので、ここは修文をするということにいたしたいと思います。
それから中小企業・ベンチャーに対する優遇措置につきましては、先ほど委員からはもう少し要件を緩めて広く適用すべきだというご意見がありましたけれども、また、別の委員からは、これはむしろ、こういう限定をつけることの方が意味があるのだというご意見もありまして、中小企業・ベンチャーに対して今回の措置が余り急激なマイナスの影響を与えないような方向の制度にすること、それから制度をもう少し使いやすいものにするということについては皆さんのご意見は一致していると思います。この範囲をどこまで広げるかということについては、あるいは広げるべきでないということについては必ずしもこの委員会で議論がなされておりませんし、どこまで広げたら、どのような影響が出るかということについても検討がなされておりませんので、この点については現在の書きぶりのままにしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
大体以上のような修文をした上で、この中間とりまとめの案をこの小委員会の案としてよろしいかどうか、お伺いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか(「済みません、1つ忘れていました」の声あり)。どうぞ。

委員

今の中小企業のところで思い出したのですけれども、ここの中で特許の電子図書館の利用環境の整備を図るというのが書いてあります。これは中小企業のためだけに何か特別な利用の方法を図るということで書かれているのでしょうか。それともそうではなくて、一般的にもっともっと利用しやすくしようということで書かれているのでしょうか。

事務局

もともと大綱上、IPDLの使用につきましては、中小企業、大学等の一般公衆の利用をするために制度を使いやすくしていくということになっております。この報告書案においても、そういった精神・考え方でもう1回書き起こしております。もともと電子図書館につきましては、むしろそういう一般公衆の利用を念頭においたものであり、民業でのプロへのサービス提供とはやや切り分けた形で位置付けており、こうした精神のもとで使いやすくする観点からのサーバーの向上などが必要、といった趣旨がここにあらわれております。もちろん現実に中小企業向けにしか使えないものにするとか、そういう制度上、制限するような議論はございませんけれども、基本的な精神としては、できるだけ自分の力ではなかなか対応できない方々を中心に、利用環境を整備するという方向かと思っております。具体的な対応としては、サーバーのアクセスの向上の問題もありますし、他方、中小企業の場合、なかなか自分の会社などのIT環境からうまくアクセスできないといった問題がある場合には、そういう中小企業の方がみやすい拠点の利用環境を向上させてよりIPDLを使いやすくするという、やや中小企業向けへの対応というのもあり得るかなとは思っております。

委員長

よろしいでしょうか。
では先ほどの話に戻りますけれども、先ほど述べましたような修文をした上で、この中間とりまとめをこの委員会でご了承いただいたということでよろしいでしょうか。――どうもありがとうございました。
今、ご了承をいただきました中間とりまとめ(案)につきましては、迅速で的確な特許審査を目指すということのために、幅広い総合的な対策が必要であるということで、委員の皆様にさまざまな貴重なご示唆をいただきまして、このようなものをとりまとめることができまして、委員の皆様のご協力に感謝いたします。どうもありがとうございました。
今後の取り扱いですけれども、今、ご了承いただきました案は、パプリックコメントを募集するというステップが次にありますので、次回の審議会ではいただいたパブリックコメントをご紹介しつつ、それをベースにして最終的な中間とりまとめ(案)を採択するということにしたいと思います。
それでは、事務局の方から今後の中間とりまとめのスケジュールをご説明いただけますでしょうか。

事務局

今回の中間とりまとめにつきまして、今後のスケジュールでございますが、今、委員長からも御発言がございましたとおり、今後、約1カ月間程度で、この案につきましてのパブリックコメントを求めたいと思っております。本日参考資料としてお配りいたしましたが、これまでも、委員会での御指摘も産業団体を含めた関係団体にずっと御説明をしてきた経緯で、電子情報技術産業協会、あるいは日本経済団体連合会、日本製薬工業協会、日本知的財産協会、日本弁理士会、それからバイオインダストリー協会の方々から、むしろ積極的なご意見をいただいております。こういった御意見もパブリックコメントの1つとして採り入れ、これから寄せられるパブリックコメントを含めて、次回、整理をして、御紹介をしたいと思っております。そういった意見も踏まえまして、1月の委員会のときに最終的な中間とりまとめという形にさせていただければと思っております。以上でございます。

委員長

ありがとうございました。
それでは、この中間とりまとめに関する議題は以上で終わります。
引き続いて、きょうはもう2つ議題が残っておりますけれども、医療行為ワーキンググループでの検討結果のご報告、それから職務発明の調査結果についてのご報告という、時間の関係もありますので違う話で恐縮なのですが続けてご説明いただいて、最後にまとめて2つについていろいろとご意見をお伺いしたいと思います。それではよろしくお願いいたします。

事務局

それではまず医療行為ワーキンググループの現在の検討状況につきましてご報告させていただきます。資料4をごらんいただきたいと思います。
まず現在の制度の現状でございますけれども、ご承知のとおり、医療機器とか医薬品につきましては、既に特許が認められている反面、治療方法、診断方法、手術方法といった医療関連行為に対しましては、特許法上明文の規定はございませんが、さまざまな理由で特許権の対象としないという運用をいたしております。その根拠といたしましては、特許法第29条第1項という条文がございまして、そもそも特許権は産業上利用することができる発明に与えられるということになっております。それとの関係で、これはさまざまな研究開発政策的な理由、例えば、医療というのは基本的に営利的ではないので、研究開発競争になじまないのではないかというような理由。あるいは人道的な理由、さし止めを恐れて治療ができないというようなことでは困るという、さまざまな理由から、産業上利用することができる発明ではないという解釈で、現在、特許権を与えていないと、そういう運用になってございます。
これに対しましては、医療関連行為と申しましてもさまざまなものがございまして、幅のある概念だと思いますけれども、医師しかできない行為もございますし、医師以外の方もできるものもあるということでございます。典型的には再生医療、あるいは遺伝子治療の関連の技術、皮膚の培養方法でございますとか細胞の処理方法、こういうものは医師免許を有しておられない方も行うことが許されている、そういう行為がございまして、そういうものは医師の方の受託を受けて、産業として行われるということが現に行われつつあるわけでございます。他方、こういう方法は、例えば皮膚でありますとか細胞でございますとか、そういうものを同一人に戻す、いわゆるシ゛カといわれますけれども、そういうもので行われるというのが典型例でございます。これは実際医師しか行い得ない採取、例えばある患者の方から細胞なり皮膚を取り出す行為、あるいはそれを埋め戻すような行為等、一連の方法でございますので、これは全体として医療行為に該当し、特許権は与えられないという運用になっているわけでございまして、これについて研究・開発、ないしは産業の振興、ひいては国民の健康の維持・増進といった観点から見直しをしてもらいたいと、そういう要請が出されているわけでございます。
これは知的財産戦略大綱もございますし、総合科学技術会議の専門調査会等でも、こういう方向でのとりまとめについてご示唆をいただいているということでございます。
第1回特許制度小委員会、本年9月に開催されまして、そこでワーキンググループの設置についてご了承をいただいているわけでございます。ここにいらっしゃいます相澤委員に座長をお引き受けいただいて、産業界、それから医師の方、バイオベンチャーの方、あるいは法曹界を初めとする有識者、今、お入りをいただいておりまして、10月以来3回開催をしてきております。順次、最初はそもそもの問題意識のご提示から始めまして、医師以外がなし得る行為について一定の類型化をして、それについてさまざまな対応の方針がございますので、そういう方法論も含めて議論をしてきたわけでございます。
2ページ目でございますけれども、現在までの審議におきまして、主要な意見として、これはごく一部でございますがかいつまんでご紹介いたしますと、まず一番上、技術発展の促進、あるいは制度・運用変更によるメリット、デメリット、そういうさまざまなものがあるので、これについてはよく考慮をして、最終的に政策的にどういう意味があるのか、それを踏まえた上で議論をすべきであるという一番根本的なご議論もございましたし、やはり医療関連行為発明というのは特許されるべきではないかというご議論が実際多いわけでございます。ただ、医療関連行為発明と申しますと、医師の方しかできないものも含む非常に広い概念でございますので、特に先端医療技術、中でもさらにブレークダウンする、例えばシ゛カの細胞でございますとか皮膚の培養のような、そういうニーズの高いものについては特に急を要するものであるので、それについては早急に制度の整備を行ってはどうかという、一種の二段階論のようなものも議論としては出ております。
それから、やや慎重論といたしましては、やはり生物由来製品の製造以外の医療関連行為というのは、研究機関や病院で安全性を確保しながら研究をされているということで、やはり安全性との関係が非常に気になる。特許は、幾らそれを与えたからといって、直ちに安全性が担保されるというものではないということはあるのだけれども、やはり国によって一種、お墨付きを与えるといいますか、そのように世の中で受けとめられることに懸念があるというようなご意見もございます。
他方、薬事法等で当然一定の安全性の基準というのはかかっておりますし、さらにそれの改正についても議論が進んでいるということでございますので、やはりそれは特許することに何の問題もないのではないかという、これに対する反論も出ているということでございます。
それから、特許権を付与いたしますと、その行為そのものに直接、例えば部品でございますとか、あるいは私機材を提供するような、いわゆる間接侵害というような行為が規制の、規律の対象に入ってくるということになるわけでございます。この辺については積極的に受けとめるご意見が大勢でございますけれども、やはり一部、権利行使を懸念するというような声もあるということかと思っております。
それから我が国、国民皆保険の中で世界的にも特異な形態をとっておりますので、特許を認めるということになりますと、一種の診療活動における医療費の高騰、それが最終的には保険医療、そういう財政との関係にどういう影響があるのかといったような、そういう議論も出てまいっているわけでございます。全体といたしましては、特許権を、少なくとも先端医療分野についてはきちんと付与していくべきであると。その中で、例えば医師の正当な医療行為に対して影響が及ばないように、きちっと手当てするべきであるという議論が大勢を占めているということはいえると思いますけれども、現段階では、まだ特定のコンセンサスに至るまでにはなっていないということでございます。
今後の予定でございますけれども、法改正ないしは審査基準改定の必要性、方向性につきまして、来年3月を目途にさらに1、2回、ワーキンググループを開催をして、一定のコンセンサスに向けて引き続き検討を行ってまいりたいと考えております。
あと、座長をお願いしております委員からコメントがございましたら、よろしくお願いします。

委員

今、木村審議室長からご説明があったとおりでございまして、ある程度議論はございますが、これは先ほどご紹介のあった総合科学技術会議の知的財産専門調査会でも先端医療に携わる医師の方から、やはり保護の必要があるのではないかというご議論が提示されてはおりますものの、ワーキンググループにおきましては、医師の方のご意見が必ずしも一致しているわけではないと。この問題については、やはり現場の医師の方の了解を得なければ、円滑な制度の運用ができないと思われますので、できるだけコンセンサスを得たいと思っております。
ただ、議論を進めていく過程で先ほどもご説明がありましたように、全体について、特に緊急度の高いものという議論が出てきておりまして、その点も踏まえて議論を進めたいと思います。
それから制度につきましても、広い幅で制度の検討をし、ここにもございますように、審査基準及び法改正の両面をにらみながら検討を進めるという状況でございます。
以上でございます。

委員長

ありがとうございました。
それでは時間の関係もございますので、違う議題になってしまいますけれども、最近の職務発明の関連の裁判の事例、それから職務発明に関するアンケートの集計結果について事務局からご報告いただいて、その後で医療の問題とまとめてご質問、ご意見をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

事務局

それでは私の方から職務発明についてご説明させていただきます。お手元の資料の5 6 7が職務発明関連でございますが、資料の7につきましては、第1回の小委員会でご提示させていただいた資料と全く同じものでございますので、必要な場合には言及させていただくということで、基本的には資料の5と6を使って説明させていただきたいと思います。
まず資料5でございますけれども、最近の注目すべき判決の判示事項というのを3件ご紹介させていただいております。まず第1点は、第1回でもご紹介いたしましたが、この職務発明制度について問題が提起された判決ということでございまして、ピックアップ装置発明補償金請求事件というものです。この枠囲いのところに書いておりますが、この判決におきまして、従業者の勤務規則等に基づいて算出された対価の額が「相当の対価」の額に満たないときには不足額を後でも請求できるというような判決が出まして、注目を浴びたところでございます。
2点目はご案内のとおり、青色発光ダイオード事件の中間判決でございます。この中間判決につきましては、基本的には、この特許権の帰属につきまして判断が示されたものでございますけれども、最初の黒ポツと2つ目にありますように、これにつきましては職務発明と認定されて、特許権は使用者側に帰属するというような判断が出されたわけでございます。この中間判決はその特許権の帰属についての判断でございますが、その中でも「相当の対価」についての一定の判断が示されておりまして、対価の額が特許法に定める「相当の対価の額」に満たないときは、最終的には裁判所によって、その「相当の対価の額」は決められるのだというような判決がなされておりまして、これは1番目の事件とほぼ似沿った判決、判断が示されているものと考えております。
次のページでございますけれども、これは先日出されました事件でございます。再生用光ヘッド発明の発明補償金請求事件でございます。これにつきましても1番目のポツに、先ほどの2件と同じように、不足額は後でも請求できるというような判示がなされております。注目すべき点は3つ目の点でございますけれども、外国における特許を受ける権利についての対価の請求は、特許法の属地主義の原則に照らして、この判決の外だという判断でございまして、あくまで日本国内の特許権に関する相当の対価の額が算出されたということでございます。この判決の中で、外国のものにつきましては、それぞれ特許権が行使される、それぞれの国の制度に基づいて何らかの契約なり規定に基づいて行われるものだというようなことが判示されております。
この判決の内容につきましては以上にさせていただきまして、現在、いろいろと発明者側、それから使用者側の意識調査を行っております。それとあと海外における調査を行っておりますが、そのうちで発明者側につきましてのアンケート調査結果が出ましたので、概要をご説明させていただきたいと思います。
これにつきましては本邦初公開でございますが、1ページ目をごらんになっていただきますと、まず調査の対象でございます。アンケート対象につきましては、調査AとB、2つに分けておりまして、優秀なといいますか、優良な発明者と一般の発明者とどう意識が違うかということを調べたかったということで、過去の全国発明表彰受賞者を対象にしたアンケート――アンケートの内容は全く同じでございますが、これについて回答は46名得られたもの。それから上記以外の発明者、この発明者につきましては2000年の法人特許出願の発明者を我々ピックアップしましてサンプル抽出したものでございますが、有効回答数2,400名弱ということで、この回答についてとりまとめたものでございます。
それでは3ページからその内容でございます。まず研究者にとって研究開発活動のインセンティブは何かという問いでございますが、これは研究者も受賞者もほぼ同様でございまして、やはり第1は会社の業績アップというお答えでございます。第2に研究者としての評価というところがございます。時間もないので飛ばさせていただきます。
次のページでございますが、それぞれの研究成果が企業に適切に評価されていると思いますかという問いでございますけれども、十分とまあまあを合わせますと、研究者は3分の1、受賞者は表彰等を受けておりますので、60%近い回答を得ております。
それから研究成果に対する評価として好ましいものということでございますが、報奨金と昇進・昇格というところが特に高いところでございます。研究者につきましては、それ以外、左から2番目、3番目、昇給、賞与への反映、これにつきましても結構高い値を示しております。
続きまして6ページでございます。報奨金が研究活動のインセンティブになりましたかということでございます。十分なったというのは9%、多少なったというのが5割、余りならなかったというのも4分の1近くございました。
この余りインセンティブにならなかったということの理由でございますが、7ページでございます。ここは報奨の金額が自己の評価に比べて低かったという理由と、評価時期がおくれたということがございます。この評価時期がおくれたというのは、基本的に発明を会社の方に提出して、実際それが特許になり、実施化されるまでかなりのタイムラグがありますので、そういう意味で実績補償をもらっても実際には自分の発明とどう結びついているのかというのは、忘れたころにお金をもらえるというような意味でございます。
続きまして8ページでございます。この報奨の金額について、どのように決めたらよいかということでございますが、将来の利益を見込んで支給すべきというのも結構ございますし、実績に応じて支給すべきというのが4割近くございます。
続きまして9ページでございます。報奨額について、実績等に応じて差別化されるということは望ましいという研究者が多いわけでございますけれども、それぞれ研究者の中でも回答した時点での地位を分けてございます。ちょっと見にくいかと思いますが、全部で5本ありますが、一番右の棒グラフが現在企業の役員、経営者というところでございます。2番目と5番目をみていただくと、他とかなり傾向が違っていまして、やはり役員になると一定額がいいという割合が高いという結果が出ております。
それから10ページでございますが、報奨金が大幅に増加した場合ということで、どのような印象でしょうかということです。一番左の2つ、インセンティブ、あるいはやる気が出てくるというところが当然ながら高いわけですが、右側の8番、9番のように職場の間での、職場自体、発明の出しやすい部署、そうでない部署というのの不公平感とか、職場間、研究部署とそれ以外の部署、そういった不公平感も高まるというような意見もございました。
11ページですが、「相当の対価」を企業が自由に設定できるようにすべきと、これは企業側からこういう意見が出ているものですから聞いたわけですが、これについて問うたところ、賛成が2割、条件付き賛成も入れますと3割ぐらいが賛成でございます。それに対しまして、反対もほぼ3割ぐらいになったというところでございます。
次のページ、この賛成の理由ですが、これは断トツで一番左の項目が多くございまして、企業によって特許の価値や経営状況が違うので、これはやはり企業に任せた方がいいのではないかというようなご意見だと思います。
条件付き賛成でございますが、どのような条件かということでございます。これは従業者、組合の同意を得ることが条件だと。ある程度ガイドライン等、基準の透明性を求めるというようなところが条件として挙げられております。
それから14ページ、先ほどの3割の方の反対理由ですが、これもやはり大多数は一番左に寄っておりまして、労使間の関係で一方的になってしまって従業者には不利だという契約が結ばれてしまうというようなことでございます。
続きまして15ページでございます。使用者と従業者が「相当の対価」について自由に合意して決められるようにしたらどうかというような意見でございます。これにつきましては賛成が4割ないし5割近くなったということでありまして、条件付きも入れれば5割を超えております。
これの理由でございますが、16ページ、賛成の理由は、両者の合意ということですので、さまざまな要素を考慮して決められるということで賛成したというのが一番多い理由でございます。
続きまして条件付き賛成ですが、双方の自由な合意ということでございますが、やはり労使が対等に交渉できる環境を整備するであるとか、ガイドライン、そういったものが条件として挙げられております。
18ページ、反対の理由でございますが、これも両者合意とはいっても交渉力の差があるというのを一番に挙げております。
それから、職務発明制度の意識等につきまして19ページ以下で調査した結果でございます。そもそも自分の会社の発明報奨制度の内容を知っていますかというところでございますが、大体知っていると。項目ぐらいなら知っているというのが3分の1ぐらいです。受賞者の方はやはり意識が高くて7割ぐらいの方は知っているということですが、一般の研究者は大体このぐらいの意識だというようなところでございます。
続きまして、発明報奨制度を充実した場合、就職先の選択の要素として重要ですかということでございますが、重要と答えた方は数パーセントで、大部分はやはり1つの判断要素ということでございました。
続きまして、この発明報奨制度の情報は、就職の際、あるいは転職希望者に対してどれほど開示されていますかということでございますけれども、どちらかといえば開示されていない、ほとんど開示されていないという方、合わせて大体60%ぐらいということで、企業においてはまだなかなか開示されていないというような状況が見てとれます。
とりあえず今回は、発明者につきましてのアンケート調査結果の概要を紹介させていただきました。なお、次回の会合につきましては、現在集計中でございますが、使用者側、企業側に行いましたアンケート結果を報告させていただくとともに、この従業者側につきましても、これは概要版でございますが、全体版でご紹介させていただきたいと思います。あわせまして、海外調査の結果も欧米のものをご報告させていただきたいと思っています。
以上でございます。

委員長

どうもありがとうございました。
それでは、時間も限られておりますけれども、医療行為ワーキンググループについて及び職務発明について、ご意見、ご質問がおありでしたら、お願いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。

委員

この職務発明に関するアンケートの集計結果ですが、ご説明を伺っていて、現行法をどの程度、どのように認識しているのかなと。「相当な対価」というのをどのように考えているか。今の条文で権利を承継したり、あるいは権利の承継を設定するときの時点、それからいわゆる実績補償、そこら辺の認識度がわからないような気がします。それで、今度アンケートの集計結果をお示しいただくときに質問票をみせていただきますと、考えておられるところがよくわかるような気がしますので、それをお願いしたいと思います。
それから海外調査で、特に今、ドイツが動いておりますので、そこら辺のところもできれば詳細にご報告いただきたいと思います。お願いします。

事務局

質問票につきましては、こちらもそのつもりでございますので、次回出させていただきます。それからドイツの点、我々も注目しておりますので、この点もご紹介させていただきます。

委員

次回以降のときにいろいろお話ができればいいなと思っている点がありまして、この間判決が出た日立製作所の米澤さんの件です。これは我々の取材している雰囲気ですと2つ重要な点があると思っていまして、技術屋さんにはつらいなと思うのが2つあります。1つはさっきお話の出た属地主義。これを通していったときに、今、技術がグローバル化する中で、当然日本で出た特許はグローバルに出さなくてはいけない。ところが、日本で得られたものに関してはいいのですけれども、海外メーカーとの間で支払われた海外でのものに関しては、日本のエンジニアが「相当の対価」を求めようとすると海外で裁判を起こさなければいけないということになったときに、ほとんど非現実的なのかなと。ということは、こういうことがどんどん広がっていったときに、特許は両方で出願するものの、本当に自分の権利として主張できる場は日本だけではないかということをエンジニアの方々が思わなければいいがなという不安がすごくあると同時に、実際、読者の人たちからも、こういうことが進んでいくと、僕らは海外の弁護士とも付き合うすべを覚えなければいけないのだろうかみたいな声が上がっているというのが1つあります。
もう1つ、エンジニアの方が主張できる金額というのは、企業が結果的に得た金額であると。ということは、逆にいうと、もうちょっと本当の価値は高かったにもかかわらず、企業間のクロスライセンスなどによって得られた金額が低かった場合にはエンジニアの価値というのは低く評価されたということになってしまうわけで、そうするとエンジニアは何をやらなければいけないかというと、会社側がクロスライセンス契約をやっているときに、どういうことまでやっているのかという、会社と会社の交渉までエンジニアが気にしなければいけないのかということを心配になっている人たちもいるようなのです。ですから、今まで技術屋さんというのはものを発明すれば仕事が終わりだった部分が、特許を書かなければいけないというところに加えて、特許の運用までも自分がみていなければいけないのかというので、すごく大変になってきているのかなという気がします。
ただ、会社によっては、最近、それも技術屋の仕事だということを技術屋に位置づけて、その技術屋を評価するときの一要因としている会社も出てきていまして、具体的には、どの会社がどの特許を使っているというのは、やはり技術屋でないとわからないところがあるので、その摘発したエンジニアに対しては報奨するというような、そういう制度をやっているところもあるのです。だから、その辺の事情まで含めた上で、この発明表彰制度というのを考えていかないと、技術屋さん、すごく大変な時代になったのかなということを、いろいろな意味で感じます。

委員長

どうもありがとうございました。どうぞ。

委員

最初の点でありますが、この話は準拠法の判示でありまして、裁判管轄の判示ではありませんから、外国のものについて、この判決の理論に従って日本で裁判ができないと判示しているものではないというように解釈できると思います。後者の点につきましては、まだいろいろご議論がありますでしょうから、裁判所は、日本における裁判管轄を否定したものではないということだけ申し上げます。

委員長

どうぞ。

委員

お話を聞きますと、発明者が日立さんの判決をみてかわいそうだなというのもあるのですけれども、我々からみますと日立さんの知財部はかわいそうだなと、つくづく思っているわけでございます。
これは大変な話なのですけれども、今回のアンケートに関しても、発明者がどこまで理解しているかというのは、社内の制度はある程度理解していると思いますが、「相当な対価」という見方でどこまで理解しているかというのは定かではありません。というのは、我々自身も明らかでないところもある。例えば外国の分が入るか入らないかというのは、これは前から疑問ではあったのですけれども、今回1つの話題になりました。それから35条の1項の社内の実施についてどこまで考えるべきだというのも、これもまだオープンクエスチョンになっていまして、そういうのも含めてみんなもらえるのだという前提に立って考えているのが、多分、このアンケートだろうと思います。そういう意味では、絶対額が幾らであるかというのは、これは大変難しい話なのです。だろうと、前提としてお考えいただきたいというようなことです。

委員

今のお二人の委員の方の意見にとても賛成なのですけれども、今、何が議論されているのか、実は現場のほとんどの人が知らないと思うのです。ですから、今回の日立の判決に関しても、どこまでをどう解釈すればいいのかということは、多くの人がまだ納得できていない部分でもあるでしょうし、今回のアンケート結果などもほとんど皆さん知らないし、技術屋さんも何となく言葉として35条とか、「相当の対価」という言葉は聞いたことがあるのですけれども、中身は多分ほとんど理解できていないというところがある中で、今のアンケートだけで、要するに皆さんもまだ十分な理解をしていないものの数値の中で方向性を見出すというのはすごく難しい気がします。もっともっといろいろな形で情報を開示しながら、技術屋さんにこの問題の本質をわかってもらうことを、我々も記者としてやっていますが、いろいろな意味で特許庁さんとしてもおやりになっていただける部分があるとすごくいいのになということを感じます。

委員

今のアンケートも含めて日本の現行法のもとでアンケートをされていると思うのですけれども、これの考え方として、ぜひ国際産業技術力の視点でみてもらいたいなと思っています。というのは、我々海外でも研究所をもっていますし、あるいは開発部隊もおりますし、その従業員が海外の人間と日本人が相互に行き来してやっているわけです。そういう意味で、日本で生まれたときだけこういう制度があってというのは極めて管理上大変な話でして、できれば制度的にはグローバルな方向でみてもらいたいと思います。非常に厳格なものという形でいうと、世界的な動きではどっちを向いているのかよくわかりませんけれども、象徴的なのはドイツと日本なのだろうと考えております。ドイツの特許出願が、産業力の割には非常に少ないのですけれども、あれはこの制度のおかげだということはドイツの産業界もいっておりますので、そういうことにならないような仕組みをぜひお願いしたいと思っています。

委員長

海外調査については、いずれご報告があると思いますので、そのときにまた議論していただきたいと思います。ほかに、どうぞ。

委員

医療行為関係ですけれども、最近、TLOに対して医学部関係の先生から、例えば免疫抑制剤等に関連して医療行為に関係する、特許出願がふえています。そのときに国内では特許にならないのでだめだろうということがでてまいります。しかし、バイオ関係は最初から海外を目指さないとだめだということで、海外に出すために、だめでもまず国内に出願しようということになります。それはなぜかというと、PCTを使うためです。結局、国で認められなくても、それを使って海外へ出すというような議論がありまして、それが攻法なのかどうかわからないのですけれども、今の資料をみますと、海外戦略との関係があまり触れられていないように思いますので、その辺はもう少しご検討いただければありがたいと思います。

委員

私もこの医療関係のことについて聞きたいのですが、2ページのところに出ているのは主な意見ということで、非常に細かい法律的な間接侵害のことから、医療費が高騰するのではないかというような実務的な問題、いろいろなものが含まれているのですけれども、どのように項目的にというか、検討していらっしゃるのか教えていただきたいと思います。

委員

必要があれば、事務局側から補足していただきたいのですが、現在のところ、実は広く意見を伺っているということで、まだ一定の方向に向けて意見の集約をするというところまでは至っておりません。あり得るべき方策というのは、例えば制度についてもどういう法改正のやり方があるのだろうかということは皆さんにお示しをして議論をいただいているわけです。一定の方向で議論集約を図るための提示というのは、今のところまだ進んでいないという状況でございます。どのような意見が出たかというのは、賛成、反対、いろいろあるわけですが、先端技術についてはかなりの方が賛成ということですが、先端技術に限っても技術的にどうするかという点は詰まっていないということでございます。
それから先ほどご指摘のありました海外のことなのですが、とりあえずワーキンググループでは日本法をどうするかということで、そこの議論もまだ集約できていない状況でございまして、海外の問題をどうするかということにつきましては議論しておりません。特許法というのは各国は各国の特許法を規律ということでございます。先ほどご指摘のPCTの点につきましては、これは出願はすることができますから、それは構わないという理解だと思います。

委員長

ほかに何かございませんか。医療の問題も職務発明の問題も、とてもこれだけの時間では議論は尽くせなくて、皆さん、いろいろなご意見はおありだと思いますが、きょうはまず第1回目として基本的な医療ワーキンググループにおける検討の状況、それから職務発明に関する最近の事件の概要とアンケート調査の結果ということをご報告いたしました。一応、ご意見を伺ったということで、今後、引き続きこれについては検討していきたいと思います。
何か特に今……どうぞ。

委員

ちょっと関係ない話で申しわけないのですけれども、以前、委員の方からもライセンス契約の保護ということで、どこかで話をしてもらえたらどうかということで、その後、どういう状況か存じ上げませんが、あのときはたしか破産法との関係でということであったと思うのです。我が社も特許を買ったり売ったりということを最近、頻繁に行うようになりまして、そうすると、特許の移転手続も1件1件書類をそろえて1万5,000円ですか、払って行うというのが大変だなということを最近自覚するようになりまして、もっと幅広く特許の流通がしやすくなるような制度ということをどこかで検討していただければと。それとともにライセンス契約、特にライセンシーの方の保護、本当に第三者大綱要件として登録制度でなければいけないのか、余り登録の制度を利用されていないと聞きますので、その辺のところも検討していただける場がもしあればと思っております。

委員長

今、ご指摘の点は大事な問題だと思いますので、この委員会で検討するかどうかも含めまして、少し部内で検討していただいて、どのようにするかご報告したいと思います。
ほかに何か……どうぞ。

委員

今の関係なのですけれども、確かにおっしゃるとおりで、知的財産一般でみますと、著作権などというのは今、登録制度そのものがないわけです。それで、登録ではなくて実施を対抗要件にするとか、知的財産一般について考える必要があると思いますので、それをどこでやるのか。今、確かに破産法はもうパブリックコメントなどが回っていますけれども、そこの中で取り上げると、特許はいいにしても著作権は入らないとか、いろいろ問題がありますので、国としてどうしたらいいのかというのをお考えいただきたいものだなと思います。

事務局

今の委員のご意見、それから先ほどのライセンスの問題も、特許庁の範囲でおさまる話ではないわけでございます。ご案内のように11月末に知財基本法が成立しまして、来年早々から知財本部が発足します。ありとあらゆる議論が始まると思いますので、恐らく今、ご指摘のような課題もまさに1つのテーマとして取り上げていくと思いますし、いくべき課題だと思っております。先ほどの委員長のご説明にもありましたように、まずライセンスの方は今、我々も経済産業省の中で、前にもある委員からご指摘いただいたことを踏まえて、どういう形で議論するかというお話、それから今の委員の、もう少しブロードな話についてどうするかというのは引き続き、もう少し中で議論をしてみたいと思います。

委員長

ほかに何か……。この際ですから、いろいろとご注文がおありでしたら、どんどんいっていただければと思います。どうぞ。

委員

ぜひ特許侵害についても議論していただければありがたいなと思っております。せっかく特許法というのがあるわけですから、それが守られて初めて法律だと思います。特許に強く係わる製造業の場合ですと、侵害する場合と侵害される場合の2面性がありますので、このでは議論しにくい点もあるかと思いますが、重要なことですのでぜひ何らかの対応を考えて頂きたいと思います。

委員長

それでは、きょうの委員会の議題以外にもいろいろとご要望をいただきましたので、ぜひとも特許庁の方でご検討いただきたいと思います。
きょうの委員会は少し時間もオーバーしてしまいましたので、これで終わりにしたいと思います。どうも活発なご意見をいただいてありがとうございました。
最後に今後のスケジュールについて、事務局の方からご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

事務局

次回でございますけれども、1カ月程度、先ほど申しましたパブリックコメントの期間が設けられる予定でございますので、それを踏まえて、1月28日火曜日の10時から12時に第5回目を開催させていただきたいと思います。その後、現時点では2月21日の金曜日、それから3月18日火曜日、いずれも午後3時から5時というところで皆様方の時間をいただくべく連絡をさせていただいているところでございます。
来年につきましては、本日は少し議論の開始がおくれましたが、職務発明の問題、それから医療行為、さらに実用新案の問題等についても議論いただきまして、3月には本年度内の議論のまとめということで区切りをつけ、来年度以降のまた検討課題を明確にしていきたいと思っております。
それから3月末までのタイミングでは、今回とりまとめをいただいた案の最終的な中間とりまとめを受けての具体的な法律案の問題ですとか、そういったものの御紹介もございますし、また年度末までに特許庁が策定を求められております特許戦略計画という大綱上の計画の内容についても、またこの場でお諮りしていきたいと思っております。詳細の連絡は別途事務的にさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

委員長

それでは以上をもちまして、第4回の特許制度小委員会を閉会させていただきます。どうも長時間、ありがとうございました。


――了――

[更新日 2003年3月31日]

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