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第6回特許制度小委員会 議事録

  1. 日時:平成15年2月21日(火曜日)15時00分から17時00分
  2. 場所:特許庁庁舎 特別会議室
  3. 出席委員:
    後藤委員長、中山部会長、相澤委員、浅見委員、市位委員、江崎委員、岡田委員、北村委員、志村委員、下坂委員、竹田委員、田中(信)委員、田中(道)委員、長岡委員、西出委員、松尾委員、山本委員、渡部委員
開会

委員長

時間となりましたので始めたいと思います。
ただいまから第6回の特許制度小委員会を開催いたします。
本日は御多用中のところを御出席いただきまして、どうもありがとうございました。今回も中山知的財産部会長に御出席いただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
本日の議題ですけれども、前半と後半の二つに分かれておりまして、前半では特許戦略計画(仮称)の考え方について御報告いただく予定にしておりましたけれども、前回御審議いただいた中間取りまとめに基づく特許料金の具体的水準について調整中とのことでありますので、この議題は次回以降に御紹介することといたします。そこで、本日は、2月18日の知的財産政策部会の内容や現在開催中の国会に提出される知的財産関連法案等の動向、そして特許関連料金の水準などについて御説明をいただきたいと思います。そこまでが前半でございます。後半では、これから集中的に議論していきます職務発明の問題につきまして、まず今後の議論の進め方を御報告いたしまして、その職務発明についての議論の一つのポイントである発明者の定義の問題について、日米でどのようになっているかということについて御説明いただき、御議論いただきたいと思っております。
まず、資料を事務局で御用意いただいていますので、事務局から資料の確認をお願いいたします。
(事務局より、配布資料を確認)

委員長

どうもありがとうございました。

新委員の御紹介

委員長

それでは早速議題に入らせていただきますが、その前に2月18日に開催された知的財産政策部会で了承いただきました新しい委員を御紹介させていただきたいと思います。事務局の方からよろしくお願いいたします。

事務局

資料2を御覧いただければと思います。
ただいま委員長から御紹介いただきましたとおり、去る2月18日の知的財産政策部会におきまして、特許制度小委員会において今後職務発明制度の見直しについての議論が本格化するに際して、従来の委員の方に加え、研究者の方、あるいは労働界から、さらに民法・労働法といった法制面等の視点からの検討も必要であるということから、新たに6名の委員に加わっていただくことを御了承いただきましたので、新しい委員に御参加いただく形で引き続き委員会を続けたいと思っております。
新しい委員の方は6名でございますが、本日御出席いただいておりますのは2名の方でございまして、最初に御紹介をしたいと思います。
初めに、竹田稔法律事務所の弁護士・弁理士でいらっしゃいます竹田稔委員でございます。

委員

竹田でございます。よろしくお願いいたします。

事務局

引き続きまして、京都大学大学院法学研究科教授の山本委員でございます。

委員

山本と申します。よろしくお願いします。

事務局

なお、本日は御予定が合わず残念ながら御欠席でございますけれども、名簿にございますように、日本労働組合総連合会経済政策局長の須賀委員、同志社大学法学部法学研究科教授の土田委員、日本経済団体連合会の丸島委員、理化学研究所フロンティア研究センター長の丸山委員の4名の委員に御就任をいただいております。
以上でございます。

委員長

ありがとうございました。
竹田委員と山本委員には今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

産業構造審議会知的財産政策部会の結果について(御報告)

委員長

それでは、引き続きまして、本小委員会の中間取りまとめについて先日の知的財産政策部会において審議いただいておりますので、その模様について事務局から御報告をいただきます。どうぞよろしくお願いします。

事務局

それでは、先日開催されました部会での審議の様子を御報告させていただきます。
お手元にお配りしております資料3-1、3-2、3-3に基づきまして、中間取りまとめの内容を当方から御説明させていただきました。説明は3-3を中心にさせていただきました。この資料の内容は中間まとめを御審議いただきましたので今日は割愛させていただきますが、議事の要約は資料4にまとめておりますので、これで御紹介させていただきたいと思います。
知財政策部会は18日に開催されましたが、現在、この政策部会の下に四つの小委員会が設置されております。その一つがこの特許制度小委員会ですが、18日はこの四つの小委員会から、報告書がまとまったものについてはその報告、そして現在継続中のものについては進捗報告等の御紹介がありました。
特許制度小委員会の中間まとめにつきましては、先ほど御紹介したとおりの資料で当方から説明いたしまして、審議の結果、部会の中間取りまとめとすることが了承されております。
なお、その際、委員からこちらに書いてありますような御意見が出されておりますので、紹介いたします。
まず、この内容については基本的に賛成という御意見。
それから、中小企業の方から、研究開発型の中小企業であり、質の高い権利取得を行っているので、今回の料金改定は間題ないけれども、特許庁でも努力されることを期待しているという意見。
それから、審査処理迅速化のためには審査官の増員を積極的に取り組んでもらいたい。
それから、中小企業に対する減免措置を受ける際の手続が面倒なので、米国の中小支援としてスモール・エンティティ制度がございますが、このような手続の簡素化を行ってほしい。
出願人による先行技術調査の実施を促進するために、民間調査機関の育成に力を入れてもらいたい。
自分の所属団体では、以前からこの案では審査請求料の水準が高過ぎると主張しているというお話。
それから、職務発明の検討に当たっては、産業界の実態をよく調べてもらいたい。発明が利益を生むまでには発明者以外の多くの社員も貢献しており、相当の対価の額を裁判所で決められるのは困る。検討を行った上で大幅な見直しをしてほしい。
このような御意見がございました。
部会の報告については以上でございますけれども、当日は後藤委員長も御出席いただきまして、後藤委員長からも当小委員会での審議状況等について御報告いただいたということを御紹介させていただきます。
以上でございます。

委員長

どうもありがとうございました。

知的財産立国に向けた経済産業省の取組について(御報告)
特許関連料金体系の見直しについて(御報告)

委員長

それでは、引き続きまして、ただいま御説明いただきました知的財産政策部会の動きなどを踏まえて今国会において法律改正が行われておりますが、その動向等、あるいは知的財産立国に向けた経済産業省の取り組み、特に特許料金関係について御説明いただきたいと思います。

事務局

それでは、資料5-1及び5-2を使って御説明したいと思います。
最初に資料5-1を御覧下さい。委員の皆様方も御承知のとおり、昨年7月3日に戦略大綱が決定された後、知的財産立国に向けた作業が政府部内で始まっておりますが、資料の左の方にございますとおり、昨年の11月に知的財産基本法が成立し、3月には知的財産戦略本部が設置されて、さらなる知的財産戦略の推進に向けた体制が整備されつつございます。その中で、戦略大綱で既に指摘された各般の課題につきまして、関係省庁がまず早期に着手できるものに取り組んでいこうということで、何本も今国会に向けての法案化が予定されております。
資料の中央部分にございますとおり、当省関係では、当小委員会あるいは紛争処理小委員会で御議論いただいた結果を踏まえた特許法等の改正、それから不正競争防止小委員会で検討しております不正競争防止法の改正を予定しております。
それから、他省から提出される予定の法案としては,関税定率法改正による水際措置の強化、民事訴訟法改正による裁判管轄の地裁・高裁の東京・大阪への専属管轄化、控訴審の東京高裁への専属管轄化、といった制度改正が提出される予定でございます。
また、農水省からは種苗法の改正法案が予定されており、育成者権の侵害に関する罰則、特に生産物に対する様々な侵害に対する罰則等に関する措置が予定されております。また文部科学省関係では、今検討のようでございますけれども、保護期間の50年から70年への延長等、あるいは訴訟における立証負担の軽減、などを内容とする著作権法改正について、今国会への提出に向けて検討が進んでおります。
当省関係では今申しましたように特許法と不正競争防止法の改正法の提出を予定してございます。特許法につきましては、皆様に御審議いただいた中間取りまとめの中での料金関係の部分、特に審査関係の部分と紛争処理小委で議論いただいた審判制度関係の部分について、その整理の結果について、法案の内容としております。また、国際的な制度調和の観点からの改正も行うこととしておりまして、本小委員会でも御議論いただいた単一性の問題、そのほかPCT出願による「みなし全指定」方式の導入の関係のものを含めて盛り込んでおります。
不正競争防止法につきましては、まず営業秘密に関して刑事的な保護を導入する。これにつきましては、現在、不正競争防止法では民事的な保護のみで手当てされておりますけれども、特に違法性の高い窃盗型、あるいは背任・横領型タイプの営業秘密の不正競争目的による取得・使用等につきまして刑事罰の対象とするものです。また、民事的保護として特許法等に規定されているような侵害行為あるいは損害額の立証容易化の規定を入れていくというような改正も行うことにしてございます。
この表の下に記載してございますとおり、さらなる課題として当小委員会で御審議をお願いしている職務発明の問題とか実用新案、あるいは審判制度と侵害訴訟の関係の問題、あるいは模倣品・海賊版のように日々対応を迫られる問題等、まだこの分野においては、今回の各省での法案での改正事項のほかにもいろいろな課題がございますけれども、今年度の国会に提出し、措置できるものについては各省それぞれがというのが今の状況でございます。
それでは、この小委員会で御議論いただいた料金関係を含めたところの特許法等改正法案における具体的内容について、まず資料5-2で御説明をしたいと思います。現在、今月末の法案の国会提出を目指して最終調整をしておりますけれども、現時点における方向性について御説明させていただきます。
料金改定の内容につきましては、本小委員会からは中間取りまとめにおいて、出願料の引き下げ、審査請求料の20万から25万円程度の引き上げ、それに見合う特許料の引き下げをすべき、という内容での御意見を取りまとめていただきましたが、関係団体の意見等、再度いろいろ聴取し、調整した結果、出願料につきましては現行の2万1000円を1万6000円に、それから審査請求料につきましては8万4300円と2000円に請求項数を掛けるという現状の体系をちょうど倍の状態にする。特許料につきましては、それに見合って特に1年から9年目について大きく負担を軽減する形での引き下げを考えております。
その結果、現状での平均的ケースである、7.6項、維持期間9年という出願の場合が、そこに記載してあるようになることとなります。出願料は請求項数や維持期間に関係ありませんので1万6000円となり、審査請求料は現行9万9500円から19万9000円に、特許料については現行35万6200円から16万6600円になります。こういう平均的なケースですと、出願から特許の維持までのライフサイクルとして約48万円かかるところが10万円弱低くなり、特許をより効率的にとらえる企業にとって、よりインセンティブの働く体系へ移行するという料金改定を考えております。
二つ目は審査請求料に関して、出願取り下げがあった場合に返還する制度の導入ですけれども、今のところ、審査請求料の2分の1を返還する制度を導入する方向で考えております。新しい料金は16年4月1日以降の出願分から適用することが原則かと思っておりますけれども、この辺の取り下げ返還制度につきましては、現行料金の適用を受けている出願審査請求のものについても前倒しをして適用することにより、審査請求の必要のなくなったものについては、経済的メリットのもとで取り下げをしていただくことを円滑にしようということで、先行適用としたいと思っております。
それから、影響緩和策という位置付けとして、中間取りまとめの中では既存の特許料について何らかの引き下げ措置という形でおまとめいただいたところでございます。今後の新料金体系における審査請求の推移をどのように予測していくかによりますけれども、審査請求期間を3年にしたときの初年度の審査請求の出方を見ますと、7%から8%と少なく、やはり少し経ってから審査請求の山が来るようでございます。そのような審査請求の推移・傾向を考慮して、こうした現象をある程度緩和するような形、つまり民間サイドでの負担が減るような形での措置が必要かと考えまして、改定特許料については施行日以後に審査請求される出願から安いものを適用することにしております。これにより、移行期において大体うまい形で負担が相殺されていくということですので、もちろん見通しに誤差はつきまとうとは思いますけれども、今御説明したように先行的に負担を軽減するということでございます。
3ページに今、御説明した点を図示してございます。別紙1ですけれども、上の凡例にございますように、□・△が新料金です。料金改定後には安い出願料、高い審査料、安い特許料という形で適用され、施行日以前の出願分については一番下に示してありますように、旧来の料金が適用されるというのが基本的な整理でございます。そして中段にございますように、審査請求が施行日以後にされるものについては特許料を安くすることにより、安い審査請求料、安い特許料の恩典を受けられる形にしまして、一番上のラインにおいてお示ししている△、つまり高い審査請求料の負担分を既存の審査請求分の安い特許料による減免効果である程度相殺するということでございます。私どもの試算では、これがほぼ似たような形で動きますので、年間数十億の変動はあると思いますけれども、おおむね産業界にお返しすることができると考えてございます。このことによりまして、当面の新しい審査請求料の引き上げ分を改定特許料引き下げ分で負担軽減されると考えております。
1ページにお戻りいただきまして、4の中小企業等に対する減免措置の拡充でございます。この委員会においてもそういう御意見がございますし、パブリックコメントでも具体的ないろいろな提案がございました。それを踏まえて、4ページの(別紙2)ですが、中小企業等に対する減免措置の拡充を考えております。法律の改正によるもの、一方法律の改正を要しないものがございますけれども、これらを一覧にしてございます。
一つは減免対象企業の拡大でございます。従来、政策的に中小企業についてはいろいろな減免をしておりますが、政策的な減免という位置付けの中で対象範囲を拡大するということでございます。冒頭に創設時のベンチャー企業への減免措置について記載しております。「資力の乏しい法人」を対象としておりますけれども、通常、創設期のベンチャー企業は赤字企業ですので、設立から5年以内の赤字企業に対して審査請求料などを半額に軽減するという措置をとっております。これにつきましては、技術開発等を5年かけてやった後に特許を出願することになる、審査請求をするころには5年以内の要件から外れるということもございまして、設立から10年以内に対象を拡大すべき、という要望が中小企業団体からもございましたし、弁理士会からも同様の御要望がございました。こうした要望を踏まえて、ベンチャー、立ち上がり期の企業への支援を、設立10年以内への軽減対象の拡大により強化したいと考えております。
産業技術力強化法におきましては、我が国の産業競争力の強化に貢献するような研究開発型の中小企業に対する減免措置として、現在、売上高に対する研究開発費の比率が3%を越える企業について、審査請求料、あるいは特許料の当初3年分の半額軽減を措置してございます。軽減のための手続において、財務諸表等をご提出していただくこととしており、この不況の中で所定の比率の維持等も難しい企業があろうということが推測されます。そこで右の欄にありますように、従来、中小企業関係に技術開発を促進するために国として講じている様々な政策がございますが、これらにおいて成果を特許化する際に追加的に恩典措置を講じることによりまして総合的な政策を推進すべきではないかということで、中小企業の創造活動促進法の認定にかかる企業、それから中小企業技術革新制度、いわゆる日本版SBIR制度の補助金の対象企業、それから中小企業経営革新支援法の承認企業、こういった企業でやる気と力のある企業の特許化を支援する方向で対象を拡大したいと思っております。
それから、軽減措置につきましては、現在は、中小企業あるいは大学等いずれへのディスカウントについても同様に、単独出願の場合のみしか軽減を認めておらず、例えば他の企業などとの共同出願については減免措置の対象としておりません。今回、対応するための予算とかシステム整備の手間は少しかかりますけれども、こうした従来の規定を大きく変え、例えば大学や企業と共同で開発したものを共同出願する場合にも持ち分に応じてこの減免措置を適用するように、減免措置の内容を広げようということでございます。
次のページを御覧下さい。中小企業、あるいは個人の方も同様ですけれども、経費の問題もあって先行技術調査がなかなかしっかりできないという状況がございます。これにつきまして、むだなく審査請求をしていただくために、支援措置を考えていく予定としております。現在、実用新案については無審査主義の中で比較的高い登録料をいただいておりますけれども、中小・個人の方からの出願につきましては先行技術調査の無料支援という制度をすでに整備してございます。特許に関しても、中小企業・個人の方につきましては無料で選考技術の調査ができるよう、ある程度特許庁が支援するような制度を設けるよう進めてまいりたいと思います。具体的には、民間の調査機関を活用して、こうしたサービスを提供するものに予算面での手当てを創設することを検討したいと思っております。
それから、減免措置については、アンケート調査等をいたしますと、制度を全然知らなかったというケースが非常に多くございます。そこで、PRの場の活用、あるいはIT時代ですのでホームページでのPRも重要な要素として取り組んでいきたいと考えてございます。さらに、特許庁は各出願人と手続きの面でダイレクトにつながっていますので、各出願人に対して個別に減免制度に関する情報がきちっと伝わるような対応を、例えばシステム整備の中でやっていくなどといった形で、制度の普及・PRを図っていこうと考えてございます。
中小企業については、審査請求料の引き上げもございますし、こういう形で支援をしつつ、むだのない審査請求をしていただくような方向に持っていきたいと思っております。
ページを戻しまして、2ページを御覧下さい。これは当小委員会の中間取りまとめの議論でもございましたが、今回の措置は、出願審査請求件数が、審査請求期間の3年への変更もあって、増えていく中で講じる措置という位置付けになっております。ただ、こうした措置に加えて、将来的な課題として、さらに検討していくべきものとして民間調査機関の育成という問題があるという御指摘をいただいているところでございます。これは、日本全体の先行技術調査能力を高めていく意味があり、民間調査機関の育成については当小委員会でも引き続き御議論をお願いしていこうと思っておりますけれども、一つ、これまでの小委員会等における現時点での課題の整理として挙げてございます。そういう意味で、特許庁の保有するいろいろなデータベースの低廉な提供、あるいは御提案がございましたような特許庁サイドの持っているノウハウの公開、それから産業界における先行技術調査期間の実態、あるいは弁理士の方々の役割、こうした要素を含めながら、今後、民間調査機関の育成策について官民の役割分担の在り方も含めて検討をしていくべきではないかと考えております。
さらに、今、特許庁からの先行技術調査のアウトソーシングは財団法人工業所有権協力センターにおいて単独でやっておりますけれども、今でも十分な処理能力を確保しにくくなっております。そこで、公益法人への限定要件の見直しなど、参入できる者の拡大を通じて、優れた民間調査機関に新規に参入していただき、相互の競争の中でより効率的で、より質の高い調査を実現し、さらにそれを通じて民間調査機関が育つ環境を整備してはということも考えてきたところでございます。
二つ目は、こうした民間調査機関の育成が順調に進み、質・量の両面においてある程度充実した段階において講ずるべき事柄かと思いますけれども、十分な調査能力を有するような機関については、そこで先行技術調査がされてきたものについては、何らかの形で審査請求料をディスカウントする制度-アメリカ等でもこうした議論がなされたように聞いておりますけれども-、今後はそういったことも視野に入れて検討していきたいということを明確な検討課題として記載してございます。
いずれにいたしましても、今回の料金体系の見直しにつきましては、こうした将来的な取組課題も含めた、総合的な取組の一環として、必要な法律改正その他の措置を講ずるべきことと思っております。
以上でございます。

委員長

どうもありがとうございました。
以上で最初に申し上げました前半の御説明は終わりになりますが、少し時間的な余裕もありますので、今の法改正あるいは料金体系等について何か御質問がおありでしたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。
料金については、この委員会でこれまでずっと御審議いただいたことですので、あまり御質問はないかもしれませんが。

委員

料金改定について、一つだけ、お伺いします。
改定施行後、審査請求金額等については現行の料金を適用するという形で、いわゆるバランスをとるという考え方が入っている。これは非常によいことだと思うのですが、全体的にシミュレーションしたときに、例えば各会社の予算額が突然上がるということはないのでしょうか。私どもも本当はシミュレーションをすればよかったのですけれども、その辺は検討されておりますでしょうか。

事務局

今後の出願審査請求件数の見通しと、審査請求機関を3年間にした後の4年間にわたってされる審査請求についての私どもの過去の経験、またこれまでの企業へのヒアリング調査等から、パターン化いたしましたところ、完全な予測というのは現実的になかなか難しいのですけれども、マクロベースでは改定特許料の先行引き下げによって特許庁の収入はそれほど増えない形になっております。確かに各個別の企業ベースによりますと出願戦略等によって相違が生じることがあると思いますけれども、特許庁と産業界間でのマクロベースでは、これまでとほぼ同額の負担をいただくことになると考えております。ですので、コンスタントに特許を出願しておられるような企業につきましては、予算上、それほど激しいものではないといいますか、現状にかなり近い負担の形になってくると理解をしております。

委員長

どうもありがとうございました。

委員

中小企業の減免措置の申請に当たって手続の簡素化ということが書かれていますが、以前に話が出ました宣誓供述書の提出ぐらいの簡素化が図れるのでしょうか。宣誓供述書の提出ですと日本の法律になじまないという御意見もありましたが,今回どの程度簡素化されるものなのでしょうか。

事務局

宣誓供述書の導入につきましては、この小委員会でも御議論していただきましたが、日本の法体系上の問題、またあとのサンクションの問題もあって、なかなか難しいのではないかという御意見があり、基本的には現状のまま、事前に適合性をチェックした上でその制度を御利用いただくという方向でございます。ですので、宣誓書で簡素化するという意味では、ございません。簡素化に関しては、現在、各地方の経済産業局を通じて具体的なユーザーの方々の経験、例えば「この手続きが非常に難しかった」とか、「この手続きがやや過剰ではないか」といった御意見をお聞きしております。こうした御意見を踏まえて、現在は毎年提出していただいている資料をある年にのみ提出していただければいいことにするべきではないか、あるいは登記関係の書類を出願ごとに一々提出しなくても、何か他の書類で代替できないかなど、簡素化に向けて具体的な措置を一つ一つ可能な範囲でどんどん検討し、進めていきたいと考えております。
特に、今回減免の対象に入れようと思っていますSBIRとか、中小企業創造法の認定書はもともと都道府県から出ておりまして、その証明書が来ればほかに何も資料が要らない状態になりますから、そういう意味では簡素な制度を実現できるのではないかと思っております。減免の対象を制度面で拡大し、そこについて非常に簡素な手続きで行うことができることから、中小企業等への減免全体としての手続の煩雑さのレベルは相当下がるのではないかと思っています。
今、申し上げたようなことのほかに、現在の手続きでは、フォーマットについて制約が厳しいといった声を踏まえて、例えば特許庁のホームページからすっとフォーマットがダウンロードできるようにするとか、あるいは申請窓口を数の少ない経済産業局だけでなくユーザーの地元の他の機関からもつないでもらうようなシステムを整備するとか、簡素化については、広い視点で、何とか手間が少なくなる方向で考えたいと思っております。

委員長

ありがとうございました。

委員

取り下げ返還制度についてです。2分の1返還する方向でということは非常に結構ですけれども、審査に着手される時期が出願人にとって非常に読みにくいものですから、例えば特許庁さん側からの出願人への通知とか、そういうことは困難ということで考えておられるのでしょうか。その点だけ、お聞きしたいと思います。

事務局

具体的な条文にする際には、現在の補正の期間に関する規定と同じような書き方になろうかと思います。この点に関しては、この審議会でも御議論いただきましたが、通知システムの問題のほかに、実際に取り下げをされる方がどのぐらいおられるかということが考慮すべき問題だと思います。私どもが幾つかの企業にヒアリングをいたしましたところ、平均すると1割とか2割の審査請求について使用する、あるいは全然使わないというお考えの企業もありました。相当多くのケースでは、使わない可能性があるところ、すべての審査請求に関して通知を出すと、そのコストをまた料金に上乗せなければいけませんので、多分返還する金額が下がってしまうという問題が起こります。ホームページ上で各分野の審査待ち期間が公開されますので、今はそれを見て補正をかけるタイミングを図っておられると思いますけれども、それと同じ作業の中で取り下げ、返還請求のタイミングもお考えいただくことを想定しております。各企業におかれては、今、申しましたとおり、補正のタイミングと同じタイミングでの作業でございますので、それである程度御対応いただけるものと考えております。つまり、特許庁から最初の拒絶通知等が出るまでは返還ができることとし、かえって全体の簡素化が図れなくなりそうな「通知」はしない方向で思っておりますので、各分野での審査の情報をなるべくきちっと特許庁から公開していくということで御判断いただきたいと思います。もちろん各弁理士事務所の方に特許庁とが日ごろから連携を密にしていただいて、審査状況の情報はユーザの皆様に入れていっていただくということが主なパターンになるのではないかと思っております。

委員

わかりました。

委員

三つのラインの一番下で、出願・審査請求が改定施行日の前である場合には旧特許料を適用するとあります。しかし、新しく改定した後ですから、改定特許料にしてしまえば、下の表の2番目と3番目が全く同じになって、その方が矛盾がないような気が致します。わざわざここだけ旧特許料を適用しなければいけない理由はあまりないように思いますが、いかがですか。

事務局

先ほど御説明した料金の見直しに伴う負担の増減の相殺関係に関する問題でございますが、一番下の既出願の特許料をすべてを下げますと特許庁で大幅に歳入減が出まして、その分、新特許料金を上げなければいけないという構造になります。今回の制度改正の趣旨である、審査請求に適切なインセンティブを効かすという意味においては、御指摘のような扱いとすると一般均衡は可能ですけれども、今後の特許料が上がっていってしまい、趣旨を損ないかねないと思われます。ここの方々は、現行のまま安い審査請求料しか払っておりませんので、このようになります。もちろん、私どもとしては、施行日以前に審査請求をされるものも含めて、審査請求の適正化はお願いしていきますけれども、経済的インセンティブとしてはあまり強い効果がございませんので、従来どおりの審査請求行動がされる可能性が高いとすると、ここだけを安くする理屈がないという考えでございます。もちろん真ん中の線も理屈としては、厳しいところがありますけれども、先ほど申しました全体の収支の均衡化ということから、収支相償でこのパターンが必要だといえるところでございます。

委員

一つ質問でございます。審査請求の返還については、(別紙1)の図では一番下の線の適用になるのでしょうか。それとも真ん中の線だけになるのでしょうか。

事務局

取り下げは一番下の線から全部適用いたします。

委員

真ん中の出願ですと、駆け込み出願的といいますか、施行前に出しておこうという出願が一斉に出て審査請求の方に影響するような気がいたすのでございますが、いかがでございましょうか。

事務局

先ほど申しましたように統計的な出願件数をもとにした見込みですけれども、過去に値上げをした際の状況をおって調べてみますと、出願については先願の地位を得る関係で、若干の特許料の問題だけで出願を後にするというケースはこれまであまりおられず、つまり出願については値上げに関係なくコンスタントにずっと伸びております。唯一ありうるケースについて言えば、審査請求をさらに遅らせるために審査請求を3年の範囲内で後ろに倒す方がおられるかもしれないということですけれども、普通はあまり起こらないのではないかと考えております。基本的には前へ倒すことは幾らでもあり得ても、後ろへ下げられることは起きにくいと予想しております。もちろんたとえば3月にするはずの審査請求を4月にするといったマージナルな後ろ倒しのケースは起きうるとは思われますが、もともと適正な審査請求時期があれば、10万円が15万円から16万円になるわけですけれども、特許の権利期間を削ってまで審査請求が大幅に後ろへ倒れる可能性は、あまりないと思っております。

委員

ありがとうございました。

委員

同じ表で確認です。国際出願の場合は国際出願日ということでよろしいでしょうか。それが一点。それから、中間取りまとめで明細書の裏づけ要件という話も出ていましたけれども、それは法改正の方には反映されないということでしょうか。
以上、2点です。

事務局

国際出願も同じ扱いでございます。
それから、裏づけにつきましては、法制局においても議論いたしましたけれども、現行の条文上、審査基準の改定の範囲でできるということです。単一性の問題に関しては、法律改正が必要であるということで法律改正を考えておりますけれども、裏づけ、サポート要件の方は審査基準の改正で対応させていただこうと思っております。

委員

料金体系の見直しがあまりドラスティックでない形で行われたわけですけれども、審査請求の取り下げが今は1割から2割程度ということですが、審査遅延の対策として、大丈夫なのでしょうか。一番聞いてはいけない質問かもしれないのですが。

事務局

今回、戦略計画の議論を一回延ばさせていただいたのも、具体的な料金が決まらないとその効果の試算が難しいということにあり、このほかいろいろな考慮すべき過程、問題がございまして、お持ちするには少し時間がかかったこともございます。これから今後の審査に関する計画の詳細な議論を進めてまいりたいと思っています。
ただ、この委員会でもございましたとおり、料金だけですべて対応することもできませんので、ほかの対策、企業の方へのいろいろな働きかけ方なり、さまざまなものを含めて対応していく必要があります。そうした問題は、戦略計画の策定の過程で私どもの見通しなりをお話ししまして、皆様方からまた御批判をいただきたいと思っております。

委員

料金改定が行われましたら、私ども企業の立場から言いますと、さらに適格な審査をやっていただきたい。
私どもも「社内表彰」や「実績の対価」、といった審査を社内で行っています。その時、この特許は登録になっているけれども、多分先行技術があるのではないかということで私どもの調査部隊に調査をさせたところ、先行技術が実は出てきたという事例が幾つかございます。発明者からは、すでに特許が成立しているのになんで表彰してくれないのだというクレームを逆にもらっていることもあります。
今後、さらに基本的には知的財産訴訟等が確実に増えてくると思われます。適格な審査をしていただいて特許査定になり、きちっと確立した権利に持っていっていただきたいというお願いでございます。よろしくお願いいたします。

事務局

そこは肝に銘じて対応してまいりたいと思います。

委員長

2人の委員からだめ押しの御質問が出て御回答もいただきましたので、前半の議題は一応ここで終わりということにさせていただきまして、そろそろ後半の方へ移りたいと思います。

委員長

後半の議題は、先ほども申し上げましたように職務発明の問題でありますけれども、まず最初に当小委員会での検討スケジュールについて御説明をいただきまして、引き続き職務発明制度の問題の一つのポイントになります発明者の決定についての日米の制度について御説明をいただき、その後で御議論いただきたいと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。

事務局

お手元の資料6に基づきまして、今後の職務発明に関連する検討スケジュールを御紹介したいと思います。資料6につきましては先日の部会でも報告させていただいたスケジュールでございます。
まず、本日の第6回は、後ほど御紹介しますけれども、「発明者の決定について」という調査結果を御報告させていただきます。
その後いろいろ御議論いただきまして、次回の第7回におきましては、事務局の方である程度論点整理をさせていただいて、その論点整理した項目について中心的に御議論いただきたいと思っています。
その後、来年度、夏ごろまでかけて2,3回御審議いただきまして、その過程で必要に応じて企業・研究者等へのヒアリングを実施するかもしれません。できれば夏が明けたころには案をまとめてパブリックコメントにかけ、年内には方向性を出したいと考えております。
以上が今後の検討スケジュールでございます。

日本における発明者の決定及び米国における発明者の決定

事務局

引き続き、宿題として残っておりました発明者の決定についての調査結果を御説明させていただきたいと思います。資料7-1が日本における発明者の決定について、7-2が米国でございます。
まず、資料7-1、我が国の取り扱いについて御紹介したいと思います。
まず日本における現行法ですけれども、発明者としてはどのようなものが適格かという明文の規定は特にございません。
発明者の権利についてですが、まず、29条に、発明をした者は特許を受けることができる旨が規定されております。
それから、発明者でない者で、その発明について特許を受ける権利を承継していない者が出願して特許を受けることは許されない、つまり、いわゆる冒認出願は許されない。その場合にはその特許は無効となるということでございます。

(3)が共同発明者の権利ですが、特許を受ける権利は共同発明者が共有するということで、共同発明者の一部の者のみが出願をして特許を受けることはできないということでございます。
それから、権利の譲渡あるいは専用実施権の設定は共有者全員の同意を得なければならないというのが基本的な考え方でございます。
次のページにまいりまして、学説的にはどうなっているかということですけれども、(1)は中山先生の御本でございます「工業所有権法」で「発明者」とはどのような者かということについて、「発明者とは、当該発明の創作行為に現実に加担した者だけを指し、単なる補助者、助言者、資金の提供者あるいは単に命令を下した者は、発明者とはならない」と書かれております。

(2)は皆さんがよくお使いになります「特許法概説」でございますが、「共同発明者」について書かれております。「共同発明者」の判断基準が枠囲いにございますけれども、「発明は技術的思想の創作であるから、実質上の協力の有無は専らこの観点から判断しなければならない。思想の創作自体に関係しない者、たとえば、単なる管理者・補助者又は後援者等は共同発明者ではない。」ということで、具体例として、例1)が単なる管理者のケース、例2)が単なる補助者、例3)は資金提供等々の単なる後援者・委託者、こういったものは共同発明者にはなり得ないということでございます。
それから、発明の成立過程を二つの段階に分けて整理したものがございます。着想の提供とそれの具体化、この2段階に分けて整理したものですけれども、例4)としては、着想者が着想を具体化することなく、それをそのまま公表した場合は、別人が当該公表したものに基づいて、それを具体化して発明を完成した場合、つまり前者と後者で発明者が違う場合ですが、その場合には具体化して発明を完成された者のみが発明者である。着想しただけで具体化していない発明者については共同発明者にはならないという考え方が書いてあります。
例5)としては、新着想を具体化した者は、その具体化が当業者にとって自明程度のことに属しない限り共同発明者となる。この逆で、自明程度のことであれば共同発明者にはならないという説が紹介されております。
それでは、発明者の決定に関する判例を幾つか御紹介したいと思います。今回は全部でAからJまで10件紹介しておりまして、(ⅰ)は発明者であるか否かについて判断した判例、(ⅱ)は共同発明者であるか否かにつき判断した判例、(ⅲ)がその他でございます。そのうちの主なものを御紹介させていただきたいと思います。
4ページですが、Bの例でございます。これは発明者であるか否かについて判断した判例のうちで、当業者が実施できる程度の具体的な着想でないとして、発明者と認定しなかった例でございます。
これは、原告Xが被告会社Yに対して、上型と下型が同一平面に並び、見比べやすくするようにしろというような発注、要求をし、被告会社Yの従業者Aらが実際にそれを実現したということでございます。その場合、原告Xは本件発明の発明者又は共同発明者であるとは認めがたい。これは単にアイディアを先方に発注しただけであって、それを具体化するところまでは行っていないので、Xは共同発明者とはなり得ないという判例でございます。
それから、5ページのD、単なる後援者は発明者でないと判断した例ですが、これはまさに職務発明の対価請求の関連で起きた事件でございます。Xが相当の対価を請求した事例ですけれども、被告の会社Yにおいては、バックアップしたことに報いるために、発明者の上司を発明者欄に記載して出願を行う慣例があった。こういう企業がよくあったと私どもは聞いておりますが、こういった事情で原告Xさんがその研究グループのグループ長であり、出願書類にはグループ長が共同発明者として記載されていたケースでございます。このXさんが職務発明に対する実績補償金を会社に対して要求した事件ですけれども、この場合、結局、Xさんは単なる後援者であるということで、対価請求は認められなかったという事例でございます。
続きまして、8ページのGのケースです。これは共同発明者かどうかという事件ですけれども、Gのケースは、発明の特徴点について着想していないものを共同発明者として認定しなかった例で、これも職務発明についての譲渡の対価を請求した事例でございます。これは「事件概要」の方を見ていただいた方がわかりやすいかと思いますけれども、原告Xがその部下であるAさんに開発の命令をするわけでございます。この原告X、上司がその過程で「寺下論文」という参考文献をAさんに渡して、Aさんはそういうものに基づいて技術開発をする。できた発明について、Yは、XとA、さらに特許部担当者Bを発明者の欄に記載して特許庁に出願したわけですが、このXさんがその発明を譲渡した場合の対価請求を会社に対して行ったということでございます。このXさんは、発明の特徴点について着想しておらず、あくまでそれはAさんだということで、やはり対価請求は認められなかったという事例でございます。
日本については以上でございます。11ページ以降にはこの説明に使っております条文等を参考としてつけておりますので、御参考にしていただければと思います。
続いて、資料7-2、米国について御紹介したいと思います。
まず頭に「真の発明者を特定する必要性」ということでポイントを書いてありますが、米国の場合には、特許出願は実際の発明者の名義で行わなければならない。それから、発明者でない者を発明者として表示した特許は無効になるということでございます。ただし、表示の誤りが欺罔の意図に基づく場合を除いて訂正可能ですので、発明者の表示を真実の者とは違う者を記載した場合だけ無効になるということになります。
発明者の定義そのものについては明文の規定はございません。
発明者による出願義務ですが、三つ目のポツをごらんいただきたいと思います。出願人は特許商標庁に対し、自身の出願している発明について、「真実かつ最初の発明者であると信じる旨を宣誓する宣誓書又は宣言書を提出しなければならない」とあります。
それから、一番下のポツですが、「出願人」は、特許出願をする発明者もしくは共同発明者でなければならない。これは皆さん御案内のとおりですけれども、米国は発明者が出願をするという仕組みになっておりますので、このような規定になっております。
なお、下から二つ目にありますが、先ほど御紹介した宣言書における故意による虚偽の陳述及びそれに類するものは、罰金刑又は懲役刑、又はその刑科の対象となる可能性があるということで、非常に厳しい取り扱いになっております。
次のページにまいりまして、3.共同発明者の共同出願義務でございます。共同発明者は共同して特許出願をしなければならないということが決められております。
それから、冒頭ちょっと御紹介しましたが、4番は「誤った発明者を表示した特許の有効性」ということで、追加、削除、又は誤って表示された1名又は複数名の発明者を正しい者に直す、つまり真正発明者の構成に訂正することは可能でございます。ただし、その記載の誤りが欺罔の意図に基づくと判断される場合、当該特許は無効になるということでございます。
次が、Ⅱ.発明者の要件ですが、まず自然人でなければならないということでございます。
次に、どういった者が発明者になるかということです。これは日本の考え方と同じではないかと思いますが、「発明の着想に貢献していなければ、発明者ではない」とされております。整理としてはやはり二つのステップで整理されておりまして、着想の段階と着想の実施化、この二つのステップで整理されております。
一番下のポツですが、これは米国の審査マニュアル、MPEP(Manual of Patent Examining Procedure)に規定されている文言でございまして、「発明者の決定に際しては、実施化それ自体は無関係である。発明者であるためには、着想に貢献しなければならない」というような規定がございます。以下、その規定をつくるに当たって参考となった過去の判例が書かれております。
それ以外にも幾つか判例がございます。中ほどに太文字で書かれているところですが、「着想が法的に十分なものであれば、当該着想を行った者はそれだけで発明者となりえ、単に精神的な部分を具体的な形に変えたということにより発明者にならない。」という判例。なお、それぞれのセンテンスの後ろに脚注番号がございますが、下にそれぞれの判決等を引用してございますので、必要であれば御参照いただければと思います。
2番目のポツですが、「本人又はその代理人がその発明の概念を実施化しない限り、また実施化するまでは、発明者としての権利を享受する資格はない」という判例がございます。
それから、そこの最後ですが、「もし実施化の過程で失敗があったり、実施化を成功するために当初の計画の変更が必要であったりした場合は、当該変更を思いついた者が、単独又はオリジナルのアイディアの着想者と共に発明者となりうる」という判例がございます。
Ⅲからが共同発明者の要件でございます。
まず、経緯、歴史です。1952年まで共同発明者に関する明文規定はアメリカの特許法にはございませんでしたが、1952年の特許法で116条に共同発明者に関する規定が入りました。ただ、ここはまだ規定が不十分で争いが絶えなかったというふうにされております。
4ページですけれども、1984年に米国特許法及び特許規則の改正がございまして、そこでもう少し詳細な規定が設けられました。116条の条文の本文の最後のセンテンスと(1)(2)(3)が追加になっておりまして、「発明者は次の場合に該当するときでも共同出願をすることができる。」ということでございます。その例は、(1)として物理的に一緒に又は同じ時期に研究しなかった場合でもなり得る。(2)は、それぞれが同種又は対等の貢献をなしていない場合でもなり得る。(3)は、それぞれがクレームの主題すべてについて貢献していない場合でもなり得る。これは、複数クレームで出願した場合、個別のクレームごとに発明者が異なってもいいということでございます。それを細かく規定したのが規則の1.45条でございます。
次に今の(1)(2)(3)に関連する判例を2以下で御紹介しております。
まず、(1)物理的に一緒に又は同じ時期に研究しなかった場合の判例でございます。次の5ページに事件の概要がございます。直接発明者の決定が争われたわけではないのですが、二つの発明がインターフェアレンスにおいて優先権を否定された当事者がこれを不服として控訴し、当該出願につき、被告は真の共同発明者ではないのではないかということで無効を争った事例でございます。5ページの一番上の枠囲いにアンダーラインを引いておりますが、「発明者が発明の着想の全てを発想することは要求されないし、二人が物理的に一緒にプロジェクトに携わることも必要とされない。一方がある時、一工程を担当し、他方が異なるときにこれに加わる形でも良い」ということでございます。それ以外に、「一方が実験的な仕事のほとんどを行い、他方が時々助言するような場合であっても良い」という判示がされております。
その下に黒マルがございますが、「同時に作業しなかった場合でも、共同発明者であると主張している者の間で、直接又は間接の何らかの意思疎通が必要である」ということで、違うタイミングでそれぞれ発明活動を行っている場合に、双方の間で全く意思の疎通がないものについては共同発明にはなり得ないという判例でございます。
例として挙げている判例は、これもちょっと複雑な事例で、事件の概要が書いてありますけれども、原告と被告が侵害事件で争っているときに、被告が、優先権を確保するために、本件特許に先立って別の従業者によりなされた関連した発明と本件発明は共同発明だと言って発明日を古い方にさかのぼらせて、インターフェアレンスで争ったという事件ですけれども、結局、発明者は全く個別に発明活動をしているので共同発明者にはなり得ないという判示がされております。
(2)ですが、それぞれが同種又は対等の貢献をなしていない場合でも、共同発明者になり得るという事例が書かれております。
(3)ですが、それぞれがクレームの主題すべてについて貢献していない場合です。先ほど御紹介した1984年の特許法改正以前は、判例によっては、複数の発明者全員がすべてのクレームの真正の発明者でないといけないというルールが原則でありまして、それは厳し過ぎるのではないかということで、疑問を呈する判例も幾つか出ていたわけですが、1984年の改正でそのすべてのクレームのルールを外したということでございます。そして先ほど御紹介した(3)の規定が入っておりまして、一つの出願の中にあるクレームごとに発明者は異なってもいいという規定が入っているわけでございます。
8ページですが、共同発明者とはみなされない者はどういう者かということを判例として幾つか例示させていただいたものでございます。
①は、〔判示事項〕の中をごらんになっていただければと思いますが、「共同発明とは、完全かつ実施可能な発明を生み出すために共同で努力を行うことであり、単に達成されるべき結果についてのアイディアを提案しただけで、それを達成する手段を提示しなかった者は共同発明者ではない」ということですので、単なるアイディアの提示だけでは共同発明者にはなり得ないということでございます。
②ですが、実施化のために単に発明者を補佐した者は共同発明者とはなり得ない。先ほどの日本の「特許法概説」にあるような事例と基本的考え方は同じではないかと思います。
9ページの③ですが、単に従来技術を発明者に説明した者は共同発明者にはなりませんということが挙げられております。
10ページです。先ほど発明者の訂正というものを御紹介いたしましたけれども、その訂正について少し御紹介したいと思います。
まず、訂正を行うケースとしてどのような場合があるかということですけれども、①として当初記載した発明者に誤りがある場合です。
具体的なケースはさらに四つに分かれると思いますけれども、(a)はAさんが真の発明者なのに、Bさんを発明者として表示した場合。(b)はAさんとBさんは真の発明者であるのに、Aさんだけを記載した場合。これは略称で発明者の不併合と呼ばれております。それから、(c)のケースは、Aのみが真の発明者なのに、発明者でないBさんも表示した例です。(d)は、AとBが真の発明者なのに、AとCが発明者として表示されている場合。こういったケースが考えられます。
それから、②と③は、途中でクレームの補正・削除によって、当該クレームに貢献した発明者がその出願の発明者でなくなった場合、あるいは新たに加わった場合というケースがあり得ます。
そのページの下は、どういうケースで欺罔の意図があったと判断されるかという事例でございます。当然欺罔の場合は無効になるわけですけれども、発明者の誤併合のケースということで、真の発明者でない人と知りつつ発明者として記載した場合でございます。それから、一番下のポツですが、職務発明の使用者への譲渡義務から逃れるために違う発明者をあえて記載した場合、これは欺罔の意図がある。11ページにまいりまして、次のポツですが、真正発明者の不併合ということで、真の発明者が別にいるのに、その人をあえて発明者の欄に書かなかったケースでございます。こういったケースが基本的には欺罔の意図があるというふうに認定されております。
そのページの下に「立証責任」とありますが、欺罔の意図というものを誰が立証するかということでございます。まず、真正発明者についての補正を求める者、あるいは発明者の表示の誤りに基づいて特許権の無効を主張する者が立証責任を負うとされております。
最後に、12ページですが、外国出願と米国出願の発明者の同一性ということで、米国のMPEPには「外国出願と外国出願の優先権を主張している米国出願の発明者は同一でなければならない」という規定がございまして、日本に出した出願を優先権主張の基礎として米国に出願した場合、発明者が異なる場合には無効になるおそれがあるということでございます。
以上でございますが、基本的に、日本の運用はかなり緩いのですが、米国の場合には、先ほど少し事例を御紹介しましたように、侵害事件等があった場合に真正な発明者が書かれているか、不足しているかということで無効の抗弁をされるケースが非常に多い。米国については各社も恐らく非常に厳格な運用をされているかと思いますけれども、最後に御紹介したとおり、米国では基礎となる出願についての発明者の一致を求めておりますので、我が国においても同様の運用をされることをお勧めしたいと思っております。
発明者の決定について調査報告をさせていただきましたけれども、本件、あるいは本件に限らず職務発明全般について御意見等をいただければありがたいと思います。
以上でございます。

委員長

どうもありがとうございました。
最初に今後の職務発明制度の見直しのスケジュールについて御説明いただきましたけれども、秋まで少しタイトなスケジュールですが、重要な問題ですので、どうぞ御協力のほどをよろしくお願いいたします。
その後、発明者の決定につきまして日米の状況を御説明いただきましたけれども、残された時間で御質問、御意見等をお願いいたしたいと思います。いかがでしょうか。

委員

ちょっと教えていただきたいのです。2ページの例4)に「提供した着想が新しい場合は、着想者は発明者である。」とありますね。その後、ほかの人が公表したときには「着想者が着想を具体化することなく、」と書いてあります。だから、具体的な着想ともうちょっと抽象的な着想のようなものがあるように思うのです。
しかし、判決を見てみますと、例えば8ページのGの項では、〔判示事項〕の中に「原告の着想は、それ自体が発明と呼べる程度に具体化したものではなく、」云々とありますし、Hでは「ここにいう創作とは単なる着想のみでは足りず、その着想が具体化されたものでなければならないことはいうまでもない。」というふうに、これは何か具体的な着想があるように思われます。
一方、アメリカの判例、3ページのゴチックのところに「着想とは、」とございますね。そこを見ますと、「着想とは、完全かつ実施可能な発明について確定的かつ恒常的なアイディアが発明者の中で形成されていることである。」ということで、かなり内容のある着想が書いてあるんです。
私はこれを見ていまして、資料7-1の2ページの例4)にある「着想が新しい場合は、着想者は発明者である。」というふうに簡単に言っていいのかどうか、よくわからないので、ここら辺、教えていただきたいと思います。

事務局

2ページの例4)と後ろの判例ですが、これについては整合性がとれているのではないかと思います。新しい着想をした人が発明者だというのが基本的考え方ですが、それについては、ただし書きにもありますが、「具体化することなく、」というのは、例えば当業者が容易に実施可能な程度に具体的なものにしないと、その着想は発明としては認められないという趣旨ですので、例4)の後段にありますように、このケースでは、上位のアイディアを実際に具体化した人が発明者になりますよと。

委員

そうすると、このケースでは、「着想が新しい場合は、着想者は発明者である。」と書いてあるけれども、まだ具体化していないアイディアだけでは発明者ではありませんという趣旨ですね。

事務局

はい。ただし書き以降はそういう意味にとっていただければと思います。

委員

そうすると、後の方と関連する。わかりました。

委員

すごく素朴な疑問です。発明者が誰かというのが決まるか決まらないかということが、今、日本における中でいろいろな新しい技術革新を生む問題になっているという意識があるのかなと思っています。今日は企業の方々もいらっしゃいますが、これは会社の中の問題のことが比較的多いような気がしまして、会社の中で出願するときに、何もしない上司を載せたりするのはどうかとか、そういうレベルかなという感じがするので、本質的に、日本の産業力を強くするかどうかというときの原点として、これが大きな問題になるような感じがしないのですが、いかがなものですか。

事務局

今回発明者の決定を調査して御報告させていただいた経緯をまず御紹介しますと、さかのぼれば、知財戦略会議で大綱をつくるに当たって、当然、職務発明そのものの議論が活発に行われたわけでございますけれども、その過程で、相当の対価といいますか、補償金の額がこれだけ高騰してくると、発明者に名を連ねたか連ねないかで結構争いが出てくる。そこを厳格に運用しないと争いの種になるので、そのあたりも調べた方がいいのではないかということでやることになったというのが経緯でございます。そういう意味では、確かに職務発明制度そのものをどうするかという本質的な議論とはちょっと違って、それに派生する関連のものだという御理解でよろしいのではないかと思います。

委員

関連して、もしおわかりでしたらということですが、企業の発明の中にはいわゆる冒認発明がかなり含まれているだろうと。そういう調査データがあるのか、あるいは今そういうことが事例として相当量含まれていると考えられているのか、その辺はいかがでしょうか。

事務局

その種の統計なりデータはとったことがございません。

委員

難しいと思うんです。

事務局

具体的な事件で争われたことは幾つかの判例でもありますが、統計的なものはとっておりません。

委員

これは意味があるのかどうか、わからないのですが、単純に、共同発明者の数は日本の場合と米国の場合等々で差があったりするのでしょうか。著しく多いとか。バイオの発明なんかで非常に大勢の発明者を連ねているケースが時々ありますけれども、そういうのは差があるのでしょうか。

事務局

そういった統計について私は存じ上げないのですが、もしわかれば次回にでもお知らせしたいと思います。

委員

今の統計のことは私もお答えできませんけれども、発明者が誰かという問題は、先ほど事務局から説明があったように、今、職務発明の問題が非常にクローズアップされておりますし、先ほど御説明いただいた判決の中にも平成10年来の判決が幾つもあるわけです。それが最近非常に多くなってきているのは、結局、職務発明における相当な対価の請求権という問題が常に問題になってくるために、企業でチームをつくって研究開発を行うというのが通常の形態でしょうけれども、その場合に誰が発明者になっているかということが非常に大きな問題になってきているのではないかと思います。
私が自分の関係している企業から相談を受けて、この問題について考えたり基準をつくったりする場合も、共同発明者をどのようにして認定するかということが常に問題になってくるわけです。そこの段階では多分冒認という問題はほとんど出てこないと思います。企業における職務発明において、発明に関係していない人が、ただ1人だけ発明者になるようなこともそんなにないかもしれませんし、企業の場合には特許を受ける権利は企業が承継されますので、この問題は冒認の問題とは区別して考えていいのではないかと思います。
その上で具体的に考えていくと、これは個別的・具体的な事案によって決まってきますので、抽象的な判断基準を設定することは非常に難しい問題だと思います。そういう意味で、発明者の認定、誰かというのは、特に企業では、人数が固定しているわけではなく、多くのチームが共同で行っている場合もありますし、また企業間の共同開発という問題もあるので、そういう問題をすべて絡めて考えると、35条との関連において発明者は誰かということは非常に重要な問題である。特に、産・官・学の連携の問題で、大学からの出願を大いにということになってきますと、その点について大学の先生たちによほど意識を徹底してもらわないと、教授は常に発明者であるがごとき出願がなされてくるということも考えられないではないと思うんです。
前々から発明者名誉権ということが言われていたのですけれども、実際にそれが訴訟になったことはないと思います。ところが、大阪地裁の平成14年5月23日の判決では、出願人に対して、自分も発明者であるのに自分の名前が載せられていなかったことについて発明者名誉権を主張して、特許の公報あるいは出願の明細書に自分の名前を発明者として掲載せよ、補正をせよという請求をして、それが認められた事例もあります。ですから、発明者が誰かという問題は、35条を考える上では一番の出発点であって、かなり重要な意味を持っていると私は認識しています。
以上です。

委員

発明者の特定は、今、委員が言われましたように、私ども企業にとりましても非常に難しい問題を含んでおります。ただ、我が社の場合はアメリカに大量の特許を出願していますので、発明者の特定は非常に慎重に行っています。ですから、先ほど御紹介いただきましたような事例についても研究して、研究開発者にきちっと教育をする。そして発明者とは何ぞやということをきちっと守ってもらっています。
発明が生まれた時、、あるいはいろいろなアイディアが出された時、共同発明の場合には発明者間でよく議論してもらう。その上で、さらに貢献度の度合いですね。お互いに2分の1ずつの貢献をしたのか、あるいは片方が80%、他方が20%の割合なのか。この辺の度合いというのは非常に難しい問題があるわけですが、基本的には発明者間で話し合ってもらう。もちろん私ども知財部門が提案することもありますがその上で発明者ににきちっと承認してもらうよう対処をしております。
これで問題がすべて解決するわけではございませんけれども、かなり慎重な取り扱いをしていかなければいけない問題だというふうに認識しています。

委員

先ほどの発言との関連でありますが、大学からの出願については、指導教授の先生が本当に発明にタッチしたかしないか、それが常につきまとう問題であります。どうしてかといいますと、私どものTLOでオプション契約等で数千万円の収入があった場合、必要経費を除いて3分の1が還元されるわけでありますから、既に数百万円の還元を受けている先生がいらっしゃるわけです。そうしますと発明者に入っているか入っていないかで大変な差ができることになります。
実は前回申し上げようと思ったのですが、大学からの技術移転に関連した還元料が、企業ではこの前お伺いしていて少ないなと思ったわけです。額が違うわけなんです。こういう額の点でも、整合性があるのかないのか、それでいいのかどうか、検討課題になるのかなと。今度はJSTでも還元のことが議論されていますが、あそこでも最大25%、我々TLOの場合は3分の1となっています。そうしますと、発明者に名を連ねるかどうか、それと還元の額が妥当なのかどうか。企業の場合と全然違っているということがありまして、問題だなと思います。
もう一つは、教授ではなく学生の場合です。学生が発明者である場合、学生単独の場合は、我々のところに持ってきますと学生としての扱いをいたします。しかし、学生と教職員が共同で出されると現在のTLOのところでは困るわけでありますから、学生から全部移管しなさいとか、多少無理なことをやっている場合がありますので、そうすると還元する場合はどうなるのか。
ですから、この問題は、そこまで追求して発明者を特定して我々のところで処理しているわけではないのですけれども、どんどん還元料が多くなってきて、将来、億単位のものが出てまいりますと本当に大変な問題をはらんでいるなと思いますので、慎重にやっていただきたいと思います。

事務局

今の御発言について補足させていただきます。
最初に企業と大学で補償額が大分違うということでございますけれども、アメリカも同じでして、アメリカの企業の運用と大学の先生に対するリターンがかなり違うのは事実でございます。日本もそうなっています。
企業の方に聞くと、当然、その製品が売れた利益のうちの大部分は次の技術開発投資なり、いろいろな経費に使われますから、そういった中で発明者が本当に生み出した利益は、通常で数%というケースが多くございます。それに比べて、例えば国立大学などでありますと、研究開発費は国の予算で与えられるわけで、その上がりを次の研究開発に投資する必要はなくて、そういう意味では全部還元されてしまうということで、全く状況が違うんです。この是非について議論するというのもありますけれども、アメリカも同じように違っている。少なくとも現状はそうなっております。
それから、大学の中の発明で先生と学生が共同で発明した場合ですけれども、学生は学校との雇用関係がないので職務発明規定の対象外になってしまいますので、改めて学校と学生の個別契約が必要になってくるということを御紹介させていただきます。

委員

今、調査中なのかもしれませんけれども、こういう問題をめぐって、大学なら大学レベルでも結構ですけれども、ルール化することが可能なものなのか。そういう実施例といいますか、悩みはよその国も似たようなものだと思いますけれども、ガイドラインのようなものをつくった事例はおありなのでしょうか。

事務局

大学の取り扱いについては、別途、文部科学省さんの方でいろいろ調査をされているように聞いておりますけれども、アメリカの例でいくと、各大学がそれぞれ自分のパテント・ポリシーをつくって、補償の仕方についてはそれぞれの大学独自に決めているというのが実態のようですし、当然我が国においても大学によって補償の額なり比率は異なっております。

委員

先ほど企業と大学の違いのお話がありましたが、そもそも株式会社の場合は営利を目的としていて、企業が営利を目的としないで行動するということは、取締役の義務違反ということにもなりかねません。大学はお金儲けを目的とするところではないわけでありますから、そもそも存在意義が違います。ですから、大学における今の分け方がいいかどうかということは別問題として、そもそもその理念が違うと思いますので、ここは同一に議論しない方がいいのではないかと思います。
それから、発明者の議論そのものの中で一つ大事なことは、日本の現行特許法の基本的な考え方は、個人の創作が発明であるということが原理になっています。35条もそれに基づいてできています。そういう意味で、あくまでも個人の創作が発明であるというところは、現行制度の根幹をリマインドするという意味はあるのではないかと思います。現行の特許法は投資に対するリターンを発明であるというふうにはできていません。あくまでも個人の創作が発明であるというふうに現行法の基本構造ができているということが規定の根幹にあるということは、この議論をしたときに一つ頭に置いておいていただきたいことだと思います。

委員

発明者のこちらの議論ではなくて、職務発明制度についてもよろしいですね。

委員長

はい。

委員

大分勉強させてきていただいたのですけれども、この問題を考えるときには、研究者に対してどういう報酬を出すのが効率的なのかという観点から考えることが非常に重要ではないかと思います。
米国は35条法がなく自由に報酬制度が選択できるわけですが、米国では研究者に対してどういうインセンティブの出し方がされているかということを考えると、発明の実績に基づいて報酬を出しているのは、ないことはないけれども、非常に少数だと言っていいと思うのです。前々回に調査課長の方からの報告とも整合的だと思うのですけれども、基本的には昇進とか、よい研究をした人には研究の自由といいますか、時間や予算を拡大するとか、そういう形でやられている場合が非常に多いと理解しています。
35条の意義は、アメリカのように労働市場が自由でないために、日本では研究者の処遇が放っておくと悪くなる、したがって上げなければいけないと仮にそういう趣旨であったとしたとしても、35条で一般的な義務として妥当な対価を特許の実績報酬に基づいて出すのが本当にいいのかどうかというのは、アメリカで実績報酬があまり使われていないという実績を考えると、真剣に考えていく必要があるのではないかと思います。
そもそも実績報酬は例えば医薬品産業のように特許と商品の収益性が良くマッチしている産業で使うということには合理性があるかも知れませんが、多くの産業では企業の収益の決定要因として発明は数多い要因の一つであり非常にいい発明でも他の要因の影響で利益を生まないこともありますし、下手な発明でも利益を生む場合もあります。もう一つ非常に大きな問題としては、実績報酬は個別の研究者にとって非常にリスクがあるために、企業にとっての1億円と研究者にとっての1億円が同じ価値があるかといいますと、企業にとっての1億円のコストが研究者にとって1億円をかなり下回る便益しかない危険もあります。たまたま発明がうまくいって、関連する他分野の研究開発がうまくいって、しかも事業化がうまくいって、10年後とか15年後に初めてもらえるかもしれない。そういう報酬ですから、発明へのインセンティブを考えるときに非常に限定的な効果しかない場合も多いと考えられます。、このように研究者のコントロールが出来ない多くの不確定要素に依存し、同時に研究者にとって報酬リスクが大きいやり方で処遇するのがいいのかどうかということを考えると、非常に疑問になるケースも出てくるのではないかと思うのです。
4月から8月に企業・研究者等のヒアリングを実施される予定になっていると思うのですけれども、単に特許に基づく報酬をどうすべきかということだけではなくて、研究者に対する処遇を効率的に行うにはそもそもどうしたらよいか、そういう観点から一度考えてみる必要があるのではないかと思います。
3月に論点整理ということになっておりますので、私の考え方を申し上げた次第です。

委員長

どうもありがとうございました。
どうぞ。

委員

今回新しく委員に加わってくださった方は、特に労使・民法・労働法というところで取り上げられているわけですが、私が知っている限りでは、発明者に対する対価が労働に対する対価と考えるべきかどうかというようなところで労働法関係が出てくるのかなと思いますが、私がわからないのは労使・民法ではなくて労働法関係がどのようにこの問題の点から考えなければいけないのかというところなので、その点、労働法の御専門の方からぜひ御説明いただきたいと思います。

委員長

御専門の委員が今日は残念ながら御欠席なので、次回にでもぜひお話を伺いたいと思います。そこは非常に大事なところだと思っておりますので。

委員

そうですね。今日はいらっしゃいませんね。

委員長

ほかに。

委員

前回、各国における法律、職務発明に対しての取り扱いについて説明いただいたわけですけれども、各国によって法律もいろいろ異なっている。確かに、これは各国における雇用関係、あるいは慣習等、いろいろなものに影響を受けた結果として法律が制定されていると理解しております。
私どもも海外にいろいろな研究所を持っておりまして、職務発明をどのように取り扱っていくかという問題は当然のことながら起きてくるわけでございます。例えばアメリカの場合ですと、私どもの会社の日本人が社長として出向していますが、副社長は現地人。そうすると、この問題について社長と副社長の間で、どのように取り扱うかという議論になります。アメリカの場合、研究開発者として雇用されている場合には、発明を生むことが義務であって、そのために給料を払っている。したがって、それは雇用契約の中に既に組み込まれているのであって、別途、対価をわざわざ支払う必要はない。当然のことながら、よい成果が上がれば、次の年の年俸交渉のときに、それも加味された形で反映してくる、そういう形で取り扱われていると思います。
日本においては、大正時代に35条ができたという経緯があり、そのときには使用者対雇用者という取り扱いの中で制定されたと思っています。現在の日本の置かれた状況、雇用関係の変化も含めて、どのように取り扱っていくかを議論していくべきかと思います。法律論だけとか、企業のエゴとかにとらわれてはまずいのではないかと思っております。
以上でございます。

委員

今後、職務発明についての議論がされるだろうと期待しているわけですけれども、二つの視点がございます。一つは、日本の企業は報償金の対価が欧米の企業に比べて極めて少なくて、搾取しているのではないかという現状認識が皆さんにおありなのか、マスコミにおありなのか、よくわかりませんけれども、実態としてどうなっているのかということをちゃんと調べておかなければいけないのではないか。
私どもの同業他社と比べたときに、日本の企業の払っている報償金の総額はかなり大きなものがございまして、決して遜色がないというよりは、欧米より多いわけです。ところが、そういう認識はあまり持っておられないのではないか。少ないということを前提にどうも議論されているような気がします。産業競争力という視点で見ると、その辺の視点はぜひ置いていただきたいなというのが一点でございます。
もう一つの視点は、35条ありきで議論をしていった際に、海外からの研究者を今後日本に招聘してきて、よい研究開発を日本で行うことは、よい特許を生む土壌、付加価値の高いものを生む土壌が日本により強化されることになるだろうと思います。そういう意味では、よい研究者を国籍を問わず日本に集めてきて、日本で開発の拠点ができていくことは非常にいいことではないかと私は感じるわけです。そのときに、ドイツ以外の欧米に拠点を置いたら35条の問題が全くないわけでして、非常にフレキシブルでいい。一方、日本に置いたときには35条がみんな適用されるということになると、日本には置きたくない。そういうふうに考えてくると、本当に産業競争力としてどちらがよいのかということをぜひ考えていただきたいと思っております。
そういう意味では、この制度があったら日本の研究開発力は上がるのか上がらないのか。より35条を強化し、より高い報償金をどんどん出していった方が日本の競争力がつくのかつかないのか。その辺をぜひ視点として見ていかなければいけないだろうと思います。そういうデータをどうやってとっていいか、あるいはどうやって評価するのかということが非常に難しいので、何かよい知恵があったら教えていただきたいなと思っておりますし、ぜひ御検討いただきたいと思っています。

委員

今、委員が言われたことに関連しますが、私は今回から入ったので、これまでの議論を知りませんけれども、先ほどのスケジュールによりますと、これから短い期間で職務発明問題に対して結論を出そうということですね。各国で職務発明制度が違っているということは皆さん御存じのことでしょうし、我が国の35条の1項は契約法的、2項は労働法的な規定だということも前々から言われているわけです。そういう意味で、単に特許法の問題だけとして考えるのでは、この問題をどうすべきか、簡単に結論が出ないということは私も重々わかるのですけれども、そういう総合的な視点でこの問題を見ていくことでこの委員会を運営するのであれば、限られた何回かのスケジュールで、そういう問題をどうやって位置づけて結論まで持っていこうとされているのか。そんなことは私から見ると至難なことです。
例えば就業規則における権利の承継の定め方から、相当の対価の定め方から、現在の判例の問題から、相当の対価とは一体どういうものかとか、それを一つ一つ見て、さて35条は先ほど前提にしたような法解釈、あるいは現在の日本の産業社会が置かれた状況に本当に適合しているかという議論をするのだったら、大変な議論をしなければならないだろうと思うのですが、その辺をどう効率的にスケジュールの中におさめて議論をして結論を出そうとされているのか、その辺について教えていただけたらと思います。

事務局

ただ今の委員の御指摘ですけれども、それはまさにどういう観点で論点整理するかということにかかっていると思いますので、今日も含めて皆さんのいろいろな御意見をいただいた上で、論点整理のまとめ方を庁内で議論させていただいて、次回、提示させていただきたいと思います。

委員長

ほかに何かありますか。

委員

委員の皆さんからいろいろな御意見がありました。先ほど委員が御指摘のようにアメリカでは実績補償が少ないという話がありました。私は実績補償をすることが即インセンティブを強くすることだという議論をするつもりはないんですけれども、難しいのは、今委員の御指摘のように各国の雇用環境が違うわけです。労働者と労働契約のあり方も違うし、労働市場の流動性も違います。そういうところでこの制度を考えていかなければいけないというところが難しい問題ではないかと思います。先ほど委員から研究環境として何がいいのだろうという御指摘もあったわけですが、各国の研究者の流動性も国によって違いますし、そういうところも難しいのではないかと思います。
もう一つは、前にも指摘しましたけれども、35条を改正したとしても、既に行われている発明はほとんど移転してしまっています。この対価は既に発生してしまっているわけで、既に発生してしまった対価をこれからさかのぼって減額するという改正をすることは、遡及立法としても難しいだろうと思います。もし遡及すると、既に発生してしまった債権も減額するわけですから、これは憲法29条の問題が出てくると思います。したがって、改正をしたとしても、効果が出てくるのはかなり遠い先、10年、15年先に影響が出てくるということを見据えて、どう考えたらいいかという問題であるということをつけ加えさせていただきたいと思います。

委員長

ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。

委員

冒認出願の件ですが、冒認出願というのは同じ企業内で従業員同士の間では少ないのではないかと思います。また、大企業間での共同研究の中でも多分少ないだろうと思います。問題は、ちょっと言いにくい点もありますが、大企業と個人、あるいは大企業と中小企業間での研究において、この冒認が起こっているのではないかと思います。仮にそういうことが起こったとしても、親会社や取引先を相手に訴えるわけにいきませんので、表面に出てくるのは少ないのではないでしょうか。

委員長

どうもありがとうございました。
ほかに何かございませんか。

委員

発明者の決定についてです。私もずっと現場にいまして発明者の認定は随分長くやってきましたが、研究開発部門同士の中でもめたという経験は一回もないんです。要するに、知財部門が行って何か裁定しなければならないという経験はほとんどなくて、研究者の方も、一定のルールだけ説明すると、権利意識なり発明者の名誉を自分たちの肌として感じることができるんです。つい最近、発明者間の持ち分を決めて、この発明についてA発明者は80%、Bさんは20%というふうに発明者の持ち分も申請させるようにしたのですけれども、それについてもあまりもめない。研究者は研究者なりのルールがあるのかなという感じがします。また、共同出願について他の企業さんなり国の研究者の方とそのルールを適用しても、あまりもめたことがないケースからいくと、重要な観点ではあるのですが、研究者同士のルール、人義みたいなものがあって、その辺はもめないのかなという感じがします。
それから、35条の話について、前回も最後に発言させていただきましたけれども、我々企業から見ると、先ほど委員も発言していただいたように、私もかなりの金額を発明者に払っているという感じを持っています。実際、現場にいますと、使用報償的な作業は1カ月以上かかるんです。1カ月以上かかって審査をやっている。年間12カ月のうち、たかが1カ月かと言われればそれまでですけれども、業務のウエイトとしては、使用報償の審査にかなりの時間がかかります。その報償の審査をやっているときにグレーゾーンのものもあるんです。実際実施についても。それに対して内部の研究者や発明者からクレームが来ることが時たまありますけれども、いろいろ苦労して報償をやっているということは内部の人間もよく知っていまし、結局、内部の報償においていろいろなもめごとが生じてしまうと、ほとんど他社並みになっていく。自分の傘下にいる研究者が他社並みという状況はやはり好ましくないなということだろうと思うのです。変な話、あまり報償金が高くなったら、研究開発はやめて、外から全部ライセンスしてしまえという極端な話まで行ってしまうのではないかと思います。ですから、本来の研究者のインセンティブとは何なのか、企業におけるインセンティブは何なのか、そういう企業の実態をいろいろ調べた上で議論していただきたいなという気がします。
以上です。

委員

細かいことですので言う必要もないかなと思ったんですけれども、やはり指摘させていただきたいと思ったことは、発明者の決定について日本と米国の事情を報告いただいて非常に勉強させていただいたわけですけれども、先ほど来出てくることの関係ですけれども、誰と誰との間でどのような紛争が起こったときにこういう判断が下されているのかということをもう少し整理していただいた方がよいのではないか。さっと見ていますと、特許の無効が問題になったケースも若干あるようですし、あるいは特許を受ける権利の確認を求めたケースもある。それに対して対価の請求をしているケース、これは紛争類型が相当に異なりますので、このあたりを整理していただくとアメリカとの対比もより一層はっきりしてくるのではないかと思います。現実に社内ではあまり問題が起こらないのだということとの兼ね合いもありますし、どういう紛争が起こり得るのかということを念頭に置いて発明者の決定の基準なりを考えるのが合理的かなと思った次第です。
以上です。

委員長

貴重なアドバイス、どうもありがとうございました。

委員

今おっしゃった2人の委員の意見について私の感想を述べますと、確かに終身雇用制がしっかりしていた今までの日本の社会においては、研究者と経営者の間の関係も、おっしゃったようなことで、ほとんど問題は出てこなかったと思います。今、現実に職務発明に対する相当の対価の請求で問題になってくるのは、現在企業に雇用されている人の間で起きることは極めて例外的、ほとんどないだろうと思います。ほとんどの場合がやめてから後の問題になってくるわけです。
つまり、それは終身雇用制の崩壊とまでは言わないでしょうけれども、いわゆる人材の流動化という状況と、それから最近こういう報道がたくさん起きていますから、そのことから権利意識が目覚めたと言うと企業の側に異論があるかもしれませんけれども、そういう研究者における意識変化のような問題もあるでしょう。そういうことが、先ほど委員が言われたように、これからの状況としてどうなっていくかということをある程度見ながら、35条をどうするかということを考えていかないと……。今、それぞれの企業で雇用されている研究者と使用者との間の関係においては、そういう問題はほとんど起きていないだろうと思いますし、昇給の問題や地位の問題等を絡めて待遇していくことで極めて円満にいっている場合が圧倒的に多いのでしょうけれども、それだけで済まないところがこの35条の問題ではないか。私はそう思っています。

委員

質問です。教えてください。
発明者が1人抜けていたと言って1人の不満の発明者が訴える先は、同じ発明者の仲間なんでしょうか。会社なんですか。というのは、補償金といいますか、報償金そのものは全部払ってしまっているわけですから、その分配の問題になってしまうのですけれども、どこに対して訴えるのか、私もよくわからないので。

部会長

要するに、3名で発明したけれども、1名抜けていて2名に対価を払ってしまった。その1名が後から自分も欲しいと請求した場合ですね。これは対価を支払われなかった従業員は、当然会社を相手に訴訟を起こします。仮に会社が2名に払い過ぎたとすれば、今度は会社が払い過ぎていた従業員を相手に返還請求を起こす。事実上、そのような請求はしないでしょうが、勝手に払い過ぎてしまったというだけのことだと思うのです。

委員

理屈として、そうなるわけですか。

部会長

実際問題として払ってしまった従業員に「おまえ、返せ」というのは難しいとは思いますが、理屈としてはそうなるだろうと思います。

委員長

今の関連で初歩的な質問ですが、最初の特許のところに発明者として名前が出ていない人であっても、後から職務発明の対価を請求するような裁判を起こすことは可能なわけですね。

部会長

それは可能でして、発明者のところに名前が入っているかどうかは特許になってしまった後は関係ないのであって、職務発明の規定が会社にあって、会社に発明と同時に権利が移るということになっていれば移るのであり、会社はその権利を既に取得しています。たまたま発明者の欄に発明者として記載されていなくても、それは関係ない。

委員長

そうすると、最初の特許のところに発明者の名前がきちんと書かれていなかったことによる特許の有効性云々という問題は、日本では全然問題にならないんですか。

部会長

特許になってしまった後はないです。途中ですと、先ほど誰かがおっしゃいました補正とか、そういう問題があるかもしれませんけれども、特許になった後は、発明者名誉権の侵害による名誉権侵害の不法行為ということは理屈としてはあり得るけれども、例は聞いたことがありません。そこが著作権との最大の違いです。

委員長

ありがとうございました。

委員

先ほど委員が質問されたことは、私、すごくよくわかるんです。それと、本来は3人の発明者がいたときに2人しか出てこなかったと。知財部門は発明者から発明の提案書という形で受け付けるんです。時たま変なケースもあるので内容を聞きに行くときもありますけれども、さっきのケースでいくと、2人の発明者が意図的に1人の発明者を落としたということになりますか。
そういう例がどんどん出てくると、知財部門としてはものすごくリスクが高い話になりますね。要するに、研究開発とぴったりくっついていて、発明者が何を研究開発して発明しているのか、我々は常々見ていないといけないという理屈になってきますね。そうすると、先ほどの委員の質問でお答えになった話とちょっと違うのではないかという気がするのですが。

部会長

理屈としては今みたいなことでやらざるを得ないと思うのです。発明者として実際に発明したのに、権利がたまたま会社の方が名前を落としてしまったから権利が一切なくなるという解釈は35条からは出てこないだろうと思います。

委員

業務逸失的なものはわかります。出願のときに発明者の名前を落としてしまったということはわかりますけれども、発明者と認定して研究開発部門から上がってくるものが初めから2人だったのが実は3人だったということに対して、会社がその裁判を受けてしまうということ自体、私は理解が……。

委員

35条は、あくまでも使用者と従業者との関係で、従業者は使用者に対して対価の支払いを求める権利があります。それが支払われていない以上、それが知財部のミスであろうと研究所のミスであろうと、それは相手方の対価を払っていない従業者ではなくて、会社の管理の問題になりますから、現行法上、支払われていない対価は使用者に支払う義務があるということでになります。

委員

それは理解しています。

委員

ほかの解釈は無理ではないですか。

委員

時効は何年ですか。

委員

10年ですか。

部会長

時効はもちろんありますけれども、時効はいつから走るかとか、いろいろ問題がありますので、それはまた別の問題で、置いておきますが、解釈としてはやむを得ない。しかし問題は、誰が発明者かということがもとになりますので、戦略会議でもそこをちゃんとしてもらわなければ今言ったような企業の心配はいつまでも残る。それで、こういう議論をしてほしいと、こういう流れになっていると思います。

委員

検討の回数がそれほどもないこともあって、ややぶしつけですが、発明者の決定とか、こういうことについて何をなさろうとしているのか。議論して、まとまったものを何かやるのか、将来的に別の検討の機会を設けてガイドライン的なものをおつくりしようという含みがあるのか。その辺のところを言っていただいた方が議論上もいいのではないかと思います。

事務局

正直なところ、発明者の決定について役所からガイドラインのようなものを出すのは難しいかなと思っています。あり得るとすれば、こういう判例を幾つか紹介して事例集的なものをまとめて出すことは可能かもしれませんので、やるとしても、そのぐらいかなというところでございます。

部会長

これは裁判所が決める問題であって、経済産業省が決めても、それは裁判所を拘束しませんから、経済産業省がこうであると言っても、裁判所が違うと言ったときは困ってしまうわけです。特許の審査基準のように特許庁が自らやることを自らのガイドラインを出すことはできるのですけれども、裁判所でやることに対してはなかなか難しい。ですから、判例整理をして、その中からおのずと基準のようなものを見つけ出す程度のことしか、実際問題としてはできないのではないかと思います。
職務発明の問題は、たまたま特許法35条に置かれていますので、この審議会で議論をするということになっていますけれども、先ほど発言された委員をはじめ多くの方から意見がございましたとおり、これは特許法だけの問題だけではなくて実に広くて、法律だけの問題ではなく、法律以外の非常に広い問題を含んでいるわけです。したがいまして、非常に難しい問題であるにもかかわらず、現在の状況は下級審判決が若干出たところでちょっとうろたえているのではないかと思えます。最高裁判決も出ていない状況であって、日本の状況が今どういう状況なのかということすら本当はわからない。3件か4件ぐらいの下級審判決があるだけという状態なわけです。
したがって、先ほど委員がおっしゃいましたように非常に難しい問題を議論しなければいけない。戦略大綱の中でも、2003年末までに検討をして結論を出すのですけれども、別に改正をするということまでは命じていないわけで、もう少し続行して検討するという結論でもよろしいわけです。(笑声)誘導をしているわけではないのですけれども、戦略大綱を読むとそういうことになる。
といいますのは、これは非常に難しいといいますか、奥の深い問題を含んでいますし、しかも、一回決めた後、3年後にまた全く違うルールにするというのも難しいので、本当に将来の日本の労使関係や雇用関係がどうなるか、あるいは日本の産業の発展のために何がよいかということを十分検討して決めていただきたいと個人的には思っています。したがって、2003年末までに十分議論をしなければいけないのですけれども、そこでこういう法改正をしなければいけないということが絶対の義務ではない。回りくどいようですが、そういうことになっておりますので、十分議論をしていただきたいと思っております。

委員長

そういうことだそうですが、最後に特にこの場で発言をしておきたいことがおありでしたら、お伺いしたいと思います。

委員

部会長が言われましたように、職務発明問題は非常に多岐の問題にわたっていて、非常に難しいと思うのです。しかし、各企業の置かれた状況は知財部門を含めて日々苦しんでいる状況になっています。裁判の中で各企業が定めた規則はよろしくないというような表現も一部でされております。しかし、業界によって条件等は違っていると思いますが、いずれの企業とも研究開発者を大切にしない企業はないと思うのです。悪い規則をつくれば当然発明者、研究開発者は逃げていくわけでございますから、使用者対従業員ということで、虐げられし民族ではありませんけれども、強さが全く違うという議論も確かにありますけれども、雇用規則の中できちっとした契約を交してやっていくことが大切と考えています。各企業で定めるいろいろな規則において、例えば最低限、いくつかの点については遵守していれば、特に問題ないでしょうとかそういう具体的な指針をある程度示していかないと、いくら議論をしても無駄かなという感じを持っております。各企業の置かれた状況や、実情を含めて、議論がきちっとできればいいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

委員長

今、委員がおっしゃったように、私も技術開発を通じて日本の産業の競争力を回復していくというのは急を要する問題であると思いますので、大事な問題だからというので結論を先延ばしするのではなくて、大事な問題であるからこそ徹底的に議論して、必要であれば合宿でも何でもやって、必ず方向性は示したいと思っております。
それでは、今日の議論はこれで終わりにしたいと思います。活発な御意見をいただきまして、どうもありがとうございました。

今後のスケジュールについて

委員長

最後に今後のスケジュールについて事務局から説明していただけますでしょうか。

事務局

今後のスケジュールでございますが、本年度の最終回、次回が3月18日(火曜日)の3時から5時ということで御連絡を差し上げております。審議会は新年度に改まっても、引き続き議論は連続いたしまして、次回は職務発明につきまして、どういう論点、切り口で議論をしていくかというところの御説明、あるいは今回延ばしました特許戦略計画に関しても方向性等について少し御紹介をして、御議論いただきたいと思います。それから、来年度に向けまして、職務発明以外にも、民間調整機関の育成の問題、先行技術調査の問題、あるいは実用新案等、幾つかの課題がございますので、これらの議論の進め方について少しお示しさせていただきたいと思っております。
4月以降は、まず職務発明について、さきほど委員長からも非常に力強い御発言がございましたけれども、そこに力を入れて検討していくということとして、日程については御相談させていただきながら決めていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。

委員長

では、以上をもちまして第6回特許制度小委員会を閉会いたします。
どうもありがとうございました。

――了――

[更新日 2003年4月17日]

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