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第7回特許制度小委員会 議事録

  • 日時:平成15年3月18日(火曜日)15時00分から17時00分
  • 場所:特許庁庁舎 特別会議室
  • 出席委員:
    後藤委員長、中山部会長、相澤委員、浅見委員、阿部委員、市位委員、江崎委員、岡田委員、志村委員、下坂委員、須賀委員、竹田委員、土田委員、長岡委員、西出委員、松尾委員、丸島委員、丸山委員、山本委員

開会

委員長

ただいまから第7回特許制度小委員会を開催いたします。
本日は、御多用中のところを御出席いただきましてどうもありがとうございました。
今回も、中山知的財産政策部会長に御出席いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の議題ですが、会議の前半で特許戦略計画、これは仮称ですけれども、の考え方について御報告いただきまして、後半の方では、職務発明制度のあり方に関する論点整理について検討いただきたく存じます。
それでは、まず資料を事務局の方で準備していただいておりますので、資料の確認をお願いいたします。

事務局

それでは、お手元の資料の確認をさせていただきたいと思います。
本日、5種類の資料でございますが、資料1の議事次第の後、委員名簿が資料2でございます。
それから、資料3として横の特許戦略計画についての基本的考え方。
資料4として職務発明制度のあり方に関する論点整理。
資料5で、委員の方から御提出いただいておりますメモがございまして、この5種類でございます。
以上でございます。

委員長

ありがとうございました。
それでは、早速議題に入らせていただきます。

新委員の御紹介

委員長

本日は、まず最初に、2月の知的財産政策部会で御了承いただいた新しい委員のうち、今回、はじめて御出席の委員についてまず事務局から御紹介いただきたく、お願いいたします。

事務局

前回、職務発明等の審議のために新しく御参加いただいた委員として竹田委員、山本委員を御紹介いたしましたけれども、本日、さらに4人の新委員の方々が御出席の予定でございます。まずちょっとおくれておられるようでございますけれども、日本労働組合総連合会の経済政策局長の須賀委員。
それから、同志社大学法学部の土田委員。
社団法人日本経済団体連合会の産業技術委員会の知的財産部会の丸島委員。
理化学研究所フロンティア研究センター長であられる丸山委員。
以上、4名の方がきょうから御出席をいただいております。

委員長

どうもありがとうございました。
では、新任の委員の方、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

特許戦略計画の基本的考え方について

委員長

それでは、きょうの前半の検討課題であります特許戦略計画についての基本的な考え方について、まず事務局の方から御報告いただきまして、その後で御議論いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

事務局

資料3に基づきまして御説明をさせていただきます。
特許戦略計画(仮称)についての基本的考え方ということでございますが、御案内のとおり、昨年の7月に策定されました知的財産戦略大綱におきまして、1ページでございますが、2002年度中に審査請求期間の短縮に伴う審査請求件数の急増が予想される2005年度までの計画を策定することとされております。これを踏まえまして、特許庁において、現在、特許戦略計画の策定を急いでいるところでございます。
本日は、その戦略計画の基本的な考え方につきまして御説明をさせていただきます。
2ページですけれども、この特許戦略計画をつくるにあたりましての基本的なポイントは、迅速・的確な特許審査に向けて計画を立てるということでございます。
この2ページは、当小委員会でも御議論いただいたところですけれども、一番下にありますように、今後、迅速・的確な特許審査に向けて、行政側のする、左側の下の方でございますが、4点、それから、右側にございます知的財産管理強化に向けた企業等の取組の促進という大きな2点を踏まえまして、特許戦略計画をつくっていこうということでございます。
3ページをお開きいただきたいのですが、特許戦略計画をつくるにあたりまして、我が国の特許審査制度が今、全体、どういうふうになっているのかということを御紹介するページでございます。
ここに枠囲いで書いてありますように、特許審査には、全体を見ますと多様な業務がございまして、審査官はトータル延べ約42.5万件のファイルの審査等を行っているということでございます。
その内訳ですが、下に書いてありますように、通常の、最初にやります審査、一次審査と呼んでいますが、これが大体21万7,000件ぐらい、それから、その一次審査に対して、出願人の方が御意見等、あるいは補正をされた場合に、審査官が再度審査をする二次審査、これが約16万件あります。
それから、国際的な出願の審査も行っておりまして、PCTの数が2万6,000件ぐらいあります。
その他、こういった業務がございますということでございます。
次を開いていただきますと、今、申し上げましたことの全体像をあらわしますと、ここに示したような手続で審査が進められております。
外国出願人と国内出願人のルートがございまして、外国出願人の方は、自国の特許庁へ出願した後、条約上の権利を使いまして、パリルート出願、あるいはPCTルート出願を通して我が国に出願をするというのが上の2列でございます。
日本で国内出願される方は、国内出願、特許庁に直接するものがございます。それからPCT出願という形で、国際的に出願をしていこうというルートがあります。
それぞれの出願があり、審査請求があり、それから、一次審査、再着審査と書いてありますが、二次審査が行われております。特許庁の中では、こういった国内の審査と、国際段階でありますPCTの調査や審査等を行っているということでございます。
次をめくっていただきますと、今、申し上げましたような特許審査の実態の中で、今後、迅速かつ的確な特許審査を実現していくために、基本的な視点というものはどうであるかということをまとめてここに書かさせていただいております。
まず1点目は、審査の迅速性というポイントです。こちらは、先ほど申し上げましたように、一次審査だけではなくて、PCTのような国際出願への多様な審査業務が今後、ふえてくるというような中で、必要な体制整備を行うということと、もう1つは、この小委員会でも御指摘をいただいております出願・審査請求構造の改革ということと、国際的な協力関係で国際的な審査結果の相互利用という総合的な施策を推進して、全体としての迅速性を追求していく必要があるのではないか。
それから、2段落目に書いてありますように、これからグローバルに出願をしていくものが世界の中で大きくなっていくわけでございますが、各国とも審査の長期化ということの課題を抱えておりますものですから、日本発の出願については、日本が国際的な審査責任を果たすというような観点で進めていって、その結果として我が国の企業の方々が海外での特許取得が早期にできるようにしていくというようなこと。
それから、最後の段落に書いてございますが、ユーザーの方々におきます権利取得の時期、タイムリーな時期に特許取得をするというような多様な要請に応えるということで、早期審査制度でありますとか、関連出願のまとめ審査というようなものを引き続き活用をしていく必要があるのではないかということでございます。
6ページですが、これは的確性でございます。
安定的な権利を付与するということが出願人の方々に信頼される審査ということで、そういった審査が求められるということでございます。
それから、2点目は、創造的な技術革新を支える先端技術分野、これから中心となります先端技術分野での審査のあり方をきちんとしていくということでございまして、時期を逸しない先行的な審査基準の提示等を行って、的確な審査を確保していく必要があるということです。
それから、先ほどもちょっと申し述べましたが、国際的な権利取得を促進する観点から、制度、運用面での国際調和、審査協力も必要ではないかということで、そのために的確な審査をしていかないと、なかなか信頼を得る結果が得られないということでございます。
以上、迅速性、的確性につきましての基本的な視点を御紹介をさせていただきました。
7ページでございますが、これは先ほど申しました点をさらに具体的にお示しするものです。
まず1点目は、迅速化に向けた総合的施策の推進ということでございます。
御案内のとおり、日・米・欧、三極とも国際的な出願を抱えて審査待ち期間が長期化するという状況になってございます。これが右下の図に書いてありまして、待ち期間がどこの庁も増大傾向にあるということです。
我が国におきましては、審査官の増員、それから、審査周辺業務のアウトソーシング、ペーパーレス計画の推進という効率的な手段で対応してきておるわけでございますが、今後とも出願・審査請求構造の改革とか、審査体制の整備等のあらゆる手段を総合的にとって推進していく必要があるという認識でございます。
それから、8ページでございますが、これは国際協力の推進と我が国審査結果の早期発信ということです。
左下に三極間の特許の出願件数が書いてございます。特に日本からアメリカへの出願は6万2,000件を超えるものが出ていますし、欧州からはアメリカに5万3,000件ということでございます。いずれもその三極間で多くの出願のやりとりがあるということです。
こういった中で、審査待ち件数の増大がどの庁にも起こっているということでございますので、お互いの出願人の方々の国際的競争力確保のために、それぞれの国での円滑な特許取得を進めるというために、我が国としては、PCT等の外国に出ていく出願について、我が国の審査結果を早期に出して、相手国での権利取得を早めていくというような方向が必要ではないかということでございます。
9ページでますが、こちらは迅速性に係る多様な要請に応える審査ということでございまして、早期審査、関連出願連携審査ということで、ユーザーの多様な要請に応えるように、引き続き制度普及を図っていくということでございます。
早期審査の利用動向は近年、まだ4,000件ということでございますが、かなりのペースで増大をしておりますので、こういった早期審査の利用促進を進めていく必要があるのではないかということです。
次に10ページでございますが、今後、出願とか審査請求がどうなっていくかということを予測するわけでございますが、現在、どういう状況になっておりますかということを概観したページでございます。
上にグラフが書いてありますが、上のラインが出願、下のラインが審査請求でございます。2002年と2001年に、43万を超える出願があったわけですが、2002年は、42万9,000ということで、43万を切るところになってまいりました。
それから、審査請求ですが、2000年の26万をピークにいたしまして、漸減をしまして、2002年は23万8,000という規模に減少をしてございます。
下に表が書いてございますが、これは平成14年の月別出願件数を書いています。特に昨年の9月から先行技術文献開示制度が導入されました。その後、出願は、前年に比べまして、月別で見ましてもマイナス、減少傾向にあるということでございます。
それから、審査請求の推移と下に書いてありますが。昨年で7年請求の期間が終わりました1995年の出願については、トータルで53.9%の審査請求がございまして、出願年ベースで見ますと20万を切る審査請求がありましたということでございます。
それから、下のところは2001年10月から12月と書いてございますが、これは実は3年請求分のものでございまして、初年度と1年目で、こういう割合で審査請求がされておりますということで、まだ特に請求がふえてきたという状況ではないということでございます。
それから、11ページをごらんいただきたいのですが、今後、特許戦略計画をつくっていく上で、出願と請求がどうなっていくかという見通しが必要なわけでございますが、実は昨年10月に、特許庁におきまして、知的財産活動調査というものを行いました。10月の1カ月間、約1万6,000の法人、個人、公的機関等にアンケート調査をいたしまして、約6,600件の回収でございました。
それを見てみますと、国内出願の特許出願の場合は、右上の中ほどの4.の上の段の表でございますが、2002年の調査結果は、39万1,000件の出願が出され、それから、審査請求の場合は22万9,000の審査請求が出ますよというようなことだったわけでございますが、実際は出願も、審査請求も、37万1,000、あるいは20万4,000ということで、低めに実績が出ているということでして、必ずしもアンケートどおりには予想ができないということをお示しするデータかなと思っているところでございます。
12ページでございますが、では今後、特許出願の見通しがどうなっていくのだろうかということで、私どもいろいろ考えて議論をしているところでございますが、今後の見通しといたしまして、増加要因としましては、大学等からの出願が増加するということと、それから全体としては、量から質への構造転換が図られていくのではないかということで、減少要因もございますということで、その度合いによって増減の両方が考えられるわけでございます。当面、いろんな、後で申し述べます要因を考えてみますと、特許出願はほぼ横ばいで現状維持、将来的には質重視の方向にいくのではないかということが適当かどうかということで、また御議論があるかと思いますが、御意見等賜りたいというところです。
下に書いてあります増加要因としましては、大学発の出願の増加ということで、規模はまだ少ないわけですが、かなりの率で伸びていますので、大学発の出願は今後とも伸び、それから、それに関連します中小・ベンチャーの出願もふえていくのではないかということでございます。
増加の2点目は、重点技術分野を中心としまして、外国にもに出願をしていく出願がふえていくのではないか。国際競争力確保のためにそういった状況が出てくるのではないかということでございます。
それから、13ページは減少要因について取りまとめをしています。
15ページに参考資料でグラフを書いておりますけれども、実は出願件数と申しますのは、過去の統計を見てみますと、研究者数に非常に比例をしています。それに1999年を境に、研究開発関係従事者は減少に転じているということ。それから、生産年齢人口も、15ページの参考2に書いていますように、今後、20年程度で減少傾向にあるということでございますので、研究者の人数も少し減っていくというようなことでございますので、長期的に見ますと、特許出願は減少傾向を示すのではないかということです。
それから(2)は量から質への構造変革ということでございます。
実は15ページの参考3に書いていますように、日、米、ドイツ、フランス、イギリスの出願と研究者を比べてみますと、出願件数を研究者1人当たりのマクロ的に見た数字でございますが、日本は0.59、アメリカは0.13、ドイツは0.29というような数字になっているわけですが、これは日本の活発な開発活動、出願活動のあらわれと見る一方、今後、量から質へと転換が図られていくという前提をいたしますと、今後、周辺、あるいは改良技術の開発が活性化され我が国の出願構造の強みを生かしつつも、質も次第に欧米型の出願構造の方に変化をしていくのではないかということが2点目でございます。
3点目は、現在、日本の内外の特許取得比率を見てみますと、これは参考4、5でございますが、16ページあります。海外で取る特許の割合は大体4割ぐらいでございます。アメリカは6割ぐらいです。フランス、イギリスはかなり海外で特許を取る比率が高いということでございます。今後、グローバルな競争が起こるということで、海外へも出願を行う国内出願の比率、あるいはPCT出願がふえていくのではないかということで、海外を重視した欧米型の出願構造へと変化していくのではないかということでございます。
それから、14ページの減少要因の(4)ですが、これは審査の的確化ということでございます。審査基準をきちっと統一をするということによりまして、特許取得の予見性が高まるということで、特許取得の見込みの少ない出願は減少していくのではないか。
(5)点目は、先行技術文献開示制度による影響ということでございます。
実は文献開示をした出願ほど特許率が高いというデータがございまして、この文献開示をしていただくことによって、出願をするときに、特許取得の見込みのない出願が精査され、減少していくということが期待できるのではないか。昨年9月に施行いたしましたこの制度の導入によりまして、既に9割方の出願の中で、先行技術文献が開示されているという状況で、改善が見られているということでございます。
以上が減少要因、増加要因でございますが、それを全体的に試算をしてみますと、17ページのようになるのではないかということでございます。
4本線を書いてありますが、一番上が過去のトレンドを使ったものに大学・TLOの出願増加分を加えたもの。それからその次のラインが過去のトレンド。それから先ほど申し述べました出願が大体現状維持ではないかというライン。それからもう少し質の重視の方へいった場合には、生産年齢人口推移に比例したような形で低下をしていくというようなことも考えられるのではないかということで、17ページにこの試算例をお示ししております。
18ページですが、今までの御説明は、内国出願人の方の出願見通しでしたが、今後、外国人による出願はどうかということです。こちらの方は堅調な伸びを示しておりますので、今までどおりのトレンドで出願が出てくるのではないかということでございます。
それから、19ページは国際特許出願の見通しです。
これはPCTでございます。これも今、1万4,000件規模ですが、今の伸びでまいりますと、10年後には4万件くらいの規模に到達するのではないかということでございます。4万件規模と申しますと、ちょうど今、アメリカが出しているPCTの出願規模に肩を並べるというところぐらいには10年後にはいくのではないかという見通しを立ててございます。
20ページの参考ですが、PCTの利用は、どういうところがありますかということです。これは全分野で利用があるわけでございますが、特にバイオ分野では、PCTの請求が近年、非常に伸びておりますということでございます。
それともう1つ、大学・ベンチャーの方々が、PCTの利用割合が多いというのが円グラフで示しているものでございます。国内の出願に比べてPCTでの大学、研究機関個人の方の割合がふえているということでございます。
次に21ページでございますが、特許審査請求の見通し、こちらの方が、実際に特許庁に入ってくる案件になるわけでございます。この特許審査請求の見通しにつきましては、今後、どう見通すかという上では、3年の審査請求期間にされたということと、今時国会に提出されております料金体系の見直しをはじめとしました審査請求構造改革による影響を踏まえて見通す必要があるのではないかということでございます。
それで若干我々のところで試算を考えているところを御紹介いたしますと、1点目は、審査請求期間の短縮による影響でございます。
7年から3年になったために、最終審査請求率というのは、内国出願人の場合は、今、54%ぐらいでございますが、60%程度に増大するのではないかということ、それから、外国人やPCTにつきましては、現状よりも5%程度やや上昇する見通しが適切ではないかということでございます。
それから、7年請求分と3年請求分が重なって今後、出てくるわけでございますが、その場合に、請求がどうなるかということの見通しでございます。
一時的に極端に増加するという見方も一方であるわけでございますけれども、出願人の方々におかれては、急増に伴う負担を軽減する関係から、7年請求の案件については、少し審査請求を精査するという考え方もあり得て、それで今、53%、54%あるものが、いずれ50%ぐらいまで低下していくと見通すことがいいのではないか。それから、3年請求については、先ほど60%と申しましたが、重なりがある期間については58%程度に推移するという仮定はどうでしょうかということでございます。
22ページでございますが、審査請求構造改革による影響でございます。これは今般の料金体系の見直し、それから、今後、戦略的な知的財産管理を充実していただくということで、量的拡大から、大切な技術へのシフトということで、企業での合理的な判断、あるいは審査請求構造改革によりまして、従来より御紹介しておりました「戻し拒絶査定」のうちの3分の2、あるいは4分の3ぐらいが審査請求時に精査されるものと見通すのが適切かどうかということでございます。
なお、下の方に図を書いてございますが、2002年の戻し拒絶査定の実績を見てみますと、2001年に比べまして4ポイント弱ふえまして、5万件を超える案件が一次審査に応答なしで拒絶される案件になってございます。こういったものの3分の2、あるいは4分の3程度が精査されるという見通しはどうでしょうかということでございます。
23ページは、審査の的確化により特許取得の見込みの少ない審査請求が減少するということでございまして、審査基準が明確になり、統一されるということで、特許取得の見込みの少ない審査請求が減少するのではないかということでございます。
それから、4番目は、今般、導入をいたします予定の審査請求料返還を前提とした出願取り下げということでございます。
審査請求後に権利取得の意思がなくなったということを再確認していただくことなどによりまして、一定割合、ここでは審査待ち案件数の5%から10%程度が取り下げられるというような見込みを持つのはどうかということでございます。
24ページは、以上、4点の前提を置きまして試算をしてみますと、下に書いてございますような推移になるということです。コブと書いていますが、ここが制度の重なりで審査請求がふえる部分でございます。そういたしますと、2005年には33万件の規模まで増大をすることが予測されるわけですけれども、果たしてここまで、こうした見通しの規模まで審査請求がされるのであろうかというようなこともまた御議論があるところかということでございます。
それから、25ページでございます。
今までは審査請求の規模、出願の規模見通しを申し上げたところでございますが、今後、特許庁におきます審査処理能力の向上という形で、どういう策が考えられるかということでございます。いろんな総合的対策を講じて審査処理能力の一層の向上に努めるということでございます。1点目は体制整備でございまして、審査官増員は、15年度対応と同様、今後とも最大限の努力をしていく。それから検索外注につきましては、審査官増員に合わせて最大限、検索外注を拡充していく。それから、審査調査員の活用拡大ということで、審査官OB等の活用をもっと広げていく算段を考えていくということでございます。
それから、26ページでございますが、効率化施策というところです。
一番目は、PCT等の外国関連出願の効率化という点です。外国出願の明細書は国内出願に比べまして記載不備率が非常に多いという問題があります。大体5割程度、記載不備率があるものですから、それを改善されるとさらに効率が図られていくということ。
それからPCT、国際調査報告と国内の段階の審査の重複業務をいかにして軽減をしていくかということを考えていく必要があるのではないか。それから、審査協力の推進ということでございます。
2番目は補正及び分割出願に対する効率化ということでございます。
先般の小委員会での御議論でも、補正のときの判断基準を適正化するということでございますが、そのときに補正を、どうして適正なのかということにつきまして、出願人の方に説明をしていただくということをルール化したり、それから出願人と審査官、代理人とのコミュニケーションを向上させることによって効率化を図っていく。
それから、3番目は審査着手の効率化ということで、関連をする出願をまとめて審査をする関連出願連携審査を一層拡大をしていく。あるいは審査請求料返還制度の活用促進と書いてございますが、審査が不要になったようなものについては、積極的にこの制度の利用をしていただくことによって、審査着手を効率化していくということが考えられないかということでございます。
このような審査処理能力の向上を踏まえまして、27ページに書いてございますように、今後の特許審査の見通しの策定をしていくわけでございますが、4点、勘案して今後、見通しを策定していきたいと考えてございます。
1つ目は、出願構造改革と出願・審査請求レベルの変化、それから、審査体制の整備と効率化施策、それから、審査請求料の返還制度の利用、さらなる追加的施策というところでございます。このさらなる追加的施策につきましては、また後ほど御説明をさせていただきます。
28ページは、迅速に比べて今度は的確な審査の維持ということでございまして、こちらの方は安定的な権利付与ということでございます。
こちらの方は、従前より御説明を申し上げておりますので、下に書いております5点の取組を強化していく必要があるということでございます。
29ページは創造的な技術革新を促す特許審査ということでございます。
制度小委員会でも御指摘をいただいていたわけでございますが、新技術に対するタイミングのよい審査基準・審査事例集の作成、あるいは補正制限等の審査基準の見直し、3点目は、面接、巡回審査による出願人の方との意思疎通の充実というようなことで、できる限り創造的な技術の特許保護を十全に行っていきたいということでございます。
30ページは国際的な権利取得の円滑化ですが、我が国発の出願が円滑に、国際的に権利取得できますように、制度調和、あるいは審査協力を推し進めていきたいということで、日米の審査協力プロジェクトも今現在、実施をしているところでございまして、近くその第2段階に進めていきたいというふうなことを考えています。
31ページでございますが、先ほど申し述べました、今後実施予定の総合的施策に加えまして、さらに迅速かつ的確な審査の実現のために追加的に考えられる施策を検討していく必要があるのではないかということでございます。
まず1点目は、先行技術調査環境の整備でございます。
(1)のところは、今、指定調査機関は、工業所有権協力センター1つだけでございますが、新たに参入できるような促進策をとれないかどうか。それから民間の先行技術調査機関をどうやって育成をしていくかという問題。
それから、2番目は権利取得に向けた多様な要請への対応ということで、PCTの国際調査と国内の審査を同時に行えるような制度構築がいかにしてできるかという問題、それから、実用新案制度をさらに使いやすいものにできる可能性はないのかということを検討してまいりたいということでございます。
それから、3番目は人材育成でございます。
審査官だけではなく、弁理士の方々、それから、先行技術調査をする方々等、総体として知財関係の人材を育成強化して底上げをしていくということが必要ではないか等々、検討していく必要があるのではないかということでございます。
最後になりましたが、32ページは、アメリカが本年2月に公表いたしました21世紀戦略プランを御紹介するものです。アメリカも出願が今後、増大をしていくという中で、審査を迅速、的確に行わなければいけないということでございまして、新たな施策を出しております。
1つは、従来からやっております審査官増員でございます。それに加えまして、日本も行っていますが、分類・サーチ機能の外注、これをアメリカでも新たに実施する方向であること。それからペーパーレスでございますが、特許出願処理の電子化ということ。それから、出願放棄、あるいは信頼される他庁の作成の調査報告があれば、サーチ料の一部返還をするということで、我が方で導入しようとしております審査請求料の一部返還ということと同じようなことでございますが、そういった制度も導入しようということ。それから、このようなプランを実現するために料金改定をするということでございます。日本の場合は料金改定による収入増はありませんが、アメリカは収入の増をさせたいということで、同じ料金改定でも日本とは違うわけでございますが、そういった改定も行っていこうということを検討しているところでございます。
目標としましては、高品質の審査ということと、審査待ち期間を2008年度には14.7月、最終期間は27月とするというような目標を定めて取組をしていきたいとしているところでございます。
それから、33ページは、EPOの特許審査対策でございますが、こちらの方は日本とよく似ておりまして、PCTの関係業務を合理化していこうということと、それから、EPOでは、サーチをする人と審査をする人が別々になっていましたが、今度一体化して同じ人がサーチと審査をするBEST化を進めているところです。あと審査官増員は引き続き行っていくということのようでございます。
以上、ちょっと時間をかけ過ぎたかと思いますが、特許戦略計画についての基本的考え方につきまして御説明をさせていただきました。

委員長

どうもありがとうございました。
それでは、今、御説明いただきました資料3につきまして、御質問、コメント等をお願いいたしたいと思いますが、特に12ページから、出願及びその後、審査請求の見通しについていろいろと述べられていまして、割に問いかけ文というのですか、適当かとか、そういうのがありますけれども、そこらあたりの感触につきまして、産業界の委員の方から御意見を特にお伺いしたいと思いますが、それ以外でももちろん結構ですので、コメント、御質問等をお願いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。

委員

非常によく分析されているなという感じをいたしました。
ただ、24ページの最後の審査請求のところなんですけれども、これについて、多分2005年、2006年ぐらいの企業側の景気、それにも大分左右されるのだろう。ただ、私は、うちでもいろいろ分析しましたけれども、ほとんどこの分析結果が正しいのではないかなという気がいたします。
ですから、とにかくさっきも言いましたように、最後のコブができるかできないかは分析結果プラス要は景気になってくるのではないかなという感じがいたします。
以上です。

委員長

2005年、2006年の景気がよければふえる。悪ければ減るということですか。

委員

多分、この24ページに出ているような形のコブができるだろうな、ただ、景気が悪くなると、もう少しこのコブが下がってくるのではないかなと予測しています。

委員長

ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。

委員

見通しは非常に難しいので、合っているかどうかというのはわからないのですけれども、ただ、感じとして、今、知財立国を国家戦略として打ち立てているわけですね。何を求めているかというと、結局創造的な研究開発の活性化をベースとした知的財産の力をつけようというのがベースになると思うのですね。そういうことを、もし日本の企業が本当に達成できたときを考えますと、件数が下がっていくというのは不思議でしようがないのですね。私は上がっていくのではないかと思うのです。
お話の中で、量から質への転換ということをおっしゃっているわけなんですが、意味はわかるような気がするのですが、質へ転換したときに、それで事業に勝てますかというと決して勝てないのですね。事業を勝つためには、やはり量的な確保も必然的に伴ってこなきゃいかん。創造的な研究開発をしたら、それに相当する量的な出願でガードしない限り事業は守れないはずなんです。ですから景気とかなんとかのそういうファクターを抜きにして、本当に研究開発の成果を事業的に守ろうとしたときというのは件数はふえるはずだと思っています。オリジナリティーのある研究開発の活性化すれば、おのずとふえなきゃおかしいと思っているのです。
ですから、もし減るとしたら、そういう考えてない管理をする方がふえるということだろうと思うので、景気の影響もあるのかもしれませんが、そういうことで、結果はわかりませんが、今のような知財立国ということを考えると、方向として減るんだということの説明がどうも私には理解できないのです。
以上です。

委員長

それについて何か御説明はありますか。
量から質ということの。

事務局

今、委員がおっしゃられた点につきましては、私は開発の現場にいるわけでございませんので、開発の立場からの説明は難しいところでございますけれども、我々が出願の量から質へというふうに申し上げておりますのは、特許性の乏しいものがだんだん少なくなって、骨太といいますか、特許性のある、今、委員がおっしゃられたオリジナリティのある、特許を取れるような発明、質の高い発明がどんどんふえていくということをいっております。
先ほどのデータにもございましたように、現状は戻し拒絶になるようなものも審査請求されているところですが、今後は、出願をされた後、特許性が乏しいという理由で審査請求されないようなものは次第に少なくなってくる状況といいますか、そういったような方向にいくのではないかなということでございます。

事務局

委員のお話ですが、日本の場合、今まで改良型のものが多くて基本的なものが少ない、では全部そちらに移ればいいかというと、そういうことはない。やはり日本のアドバンテージはそういう改良型のところにあるということは我々も十分認識している。両両相俟たなくてはならない。ただ、やはり知財戦略大綱の際にも議論されたように、知財立国というのは一体どういう形で実現していくのか。やはり数の管理から質の管理というのが1つの方向としてあるのだと思います。
やはり今みたいな形で、戻し拒絶みたいなものがますますふえている状況というのは、本当に知財立国を目指している国の、ビヘイビアーなのかというと、私はそこは疑問なしとしないと思っております。
私どもとしては、たびたび申し上げていますが、いよいよ来週ぐらいからそれぞれの産業界と、皆さん方、本当にどういうことで、どういう方向に向かっていこうとしているのかということをぜひとも議論をさせていただきたいと思っておりまして、来週は早速IT業界の社長さん方と議論をさせていただきたいと思っております。そういうことも踏まえて、さらに詰めていきたいと思っておりますが、何か知財立国だから減るのはおかしいという、そういうことではなくて、やはり中身が一体どういうふうになるのかというところを我々としては、見極めていきたいと強く感じております。

委員

今、私の申し上げたのは、量から質といったときに、戻し拒絶になるようなものを量の中に入れて申し上げたつもりはないのです。ですから、特許性のないものは当然出願しないようにしなければいかん。これを前提で申し上げたつもりなんです。
ですから、それをおっしゃって、量から質といっていらっしゃるならば、これはそのとおりだと思うのですが、私は特許性のある中での減少ということに対しては疑問を呈したわけなんですが。

事務局

先ほど説明申し上げましたように、研究者1人当たりの数とか、そういうことも、これだけの差があるというのは一体何なのかということもやはりしっかりこれから勉強していかなければならないと感じております。38万件ぐらいですか、国内の出願が44万件くらいのうち。アメリカが30数万件で、そのうちの国内出願は16万。この差が何を語っているかというのは、さらに先ほど来、申し上げているように見極めていかなくちゃいかんのですが。
先ほどの戻し拒絶だけでないということはおっしゃるとおりで、まさにそれ以外のところについても一体どうなのかというのは、ぜひとも皆様方の御議論もいただきたいと思っているところでございます。

委員長

ほかにいかがでしょうか。

委員

15ページの、先ほど事務局のおっしゃられました研究者1人当たりの出願件数というのが表に出ておりますが、これを見ますと、日本は非常にダントツであって、ほかの欧米諸国はかなり低い。4倍ぐらいの差がある。これは研究者の定義が同じでしょうか。何か私自身が考えたときに、これは日本のいわゆる研究者の定義と、ほかの外国の研究者の定義が違っていて、こういう数値の違いにあらわれているということはないのでしょうか。

委員長

これは、私がたまたま統計審議会の委員もやっておりまして、このもとの科学技術統計調査報告というのを一昨年、改定したときに携わったのですけれども、研究者の定義というのは、一応国際的なフラスカルティマニュアルというマニュアルがありまして、それで研究者というのはこういう人をいいますというのがあって、各国ともそれに従って基本的には統計を取るようになっていますので、一応共通のそういう定義というのはあるのですけれども、それを各国が持ち帰ってデータを取るときに、どういうふうになっているかという点では、いろいろと違いが出てくる可能性は非常にあると思います。研究者の中に、例えば博士号を持っている人のパーセンテージがどのぐらいいるかなどというのを比べると、国によって非常に違いがあって、日本は少ないです。ですから、そういうバイアスがある可能性はあると思います。
ほかに何か特許庁の方で追加されることはありますか、よろしいですか。

委員

今の統計で、私の感じるところは、やはりこのままの数字の差を見てはいけないと思います。アメリカの場合は、やはり先発明という制度の関係上発明を最後まで検討し選択して出している部分が結構あります。それからアメリカの企業知財部における組織が弁護士主体の組織になっていますから、どうしても開発部署などの現場まで入り込んでというのはプライドが許さないというところがあります。出てきた発明を待って出願処理するということで、ポートフォリオを張っていくような出願の仕方ができてないという部分が1つあると思います。
それから、ドイツの場合は、明らかに職務発明の報奨制度が悪影響していまして、やはり出願したくないということをドイツの企業から聞いている話です。
したがって、本当の特許を出すポテンシャルがどのぐらいかということを見ますと、この差よりも少ない差になっていくのかと感じております。

委員長

ありがとうございました。
この国際比較は、さっきおっしゃったように、あるいは先ほど委員もおっしゃったように、いろんな制度的な要因が反映していると思いますので、これだけを見て1人当たりの出願がどうこうということはいろいろと難しい面があるかと思いますけれども、ここでは基本的に将来の予測をしようとしているわけですから、日本のデータだけの時系列的な動きがどうなっているかという方がより重要かと思うのですけれども、その点については、日本の企業で1人当たりの研究者が出願する件数がこれまでどうであって、これからはどうなりそうかというようなところがきょうの議論でより重要なポイントかと思いますけれども、そこらあたりについてはいかがでしょうか。

委員

非常に興味あるデータが出ているわけですが、これが私どもが申し上げているまさに日本的特徴なんですね。研究開発者全員発明者的な感覚で仕事をされているあらわれだと私は思うのです。これをよしとするか、外国並みがよしとするのかというのが方向転換の非常に大事な点になると思います。
私はこのよさを維持すべきではないかなと思っているのです。これにプラスアルファのオリジナリティーが加わるわけですから、開発人員が同じだとすればふえるだろうという考えで申し上げたのです。これが悪いからもうちょっとアメリカ並みにしなさいというのが基本的な施策として入ったとすると、これは日本的よさが崩れて非常におかしな開発環境になっていくのではないかな。これは職務発明制度とまさに直結している問題なんですね。ですから、この特徴というのはまさに日本的よさの特徴だと私は理解しております。

委員長

ありがとうございました。

委員

私は統計学が専門でございませんで、この予測が適切かどうかということは別の問題としまして、こういうもっていき方が出願抑制だというふうにとられることのないように、数値の取扱いについては御留意いただきたいというお願いだけ申し上げておきます。

委員長

わかりました。

委員

話は全然違うのですが、この中で増加する要因の1番目にあげられているのが大学なんですね。順番に意味があるかどうかわかりませんが、一般的にこういうときに出てくるふうに上から順に重要かなと思うのですけれども、12ページです。確かに最近、新聞もいっぱい書いているので、TLOはすごく強力な機構のように見えますけれども、結構実態は違うと我々は感じています。特に例えば紙なんです。今、0.3%のシェアしかないときに、これが年率40%増で成長を続けるとしても、1.4に2乗すれば1.96なわけで、そんないかないですね、2倍弱のわけです。そうすると2年で0.6%、4年で1.2%ぐらいのわずかなものにしかならないと思うのです。特に数が少ないときの急成長の成長率を仮に維持したとしても、それぐらいの数しかないので、ある意味では大学には余り期待していないというような文脈の中の話なのか、それともこう一番目に取り上げると、すごく大学からいろんなものが出てくるというのですが、ここに上がってくる数字を掛け算すると、なかなかそこのつじつまが合わないという気がします。
特にアメリカの方でも多分バイドル法が出てから、本当にいい特許がたくさん出てくるまで時間がかかっていると思うので、この辺は今回の中では大学の位置づけというのをどう見ているのかというのを、もうちょっと本当であれば詳しく知りたいなと思います。

委員長

何か追加的な御説明、もしおありでしたらお願いします。

事務局

今の委員の直接的な回答ではないかと思うのですが、御指摘のように、日本で、これからどんどんアメリカ並みに制度、運用が整備されたとしても、アメリカにおいても、大学からの出願が何万も、何十万も出ているかというと、そういうことはございませんので、御指摘のとおりだと思います。
ただ、例えば大学とかベンチャーから出されているものがどのようなものかというと、これは先ほど委員の御指摘がありました知財立国を考えると、重要なのは、やはり海外等で出願をして、基礎的な分野の基本特許を取得して外貨をかせぐということですが、このような観点で見たときに、やはり基礎技術、ハイテク技術の宝庫というのは大学、ベンチャーでございますので、そのような分野で非常に増えるのではないかと思っております。例えば20ページを先ほど御説明いたしましたけれども、例として、ハイテクの1つであるバイオ関係ですと、大学、ベンチャーからの出願は、右側の図をごらんいただいてもわかりますように、国内出願全体の中ではいわれておりますようにそのシェアは非常にまだまだ少ない。ところが外国に出ていくPCT出願に関しては大学、ベンチャーのシェアが4割に増えてきているということは、やはりこういう基礎技術自体はどんどん大学等から国外にいわゆる出願しようという実績が出ているといえるのではないかと思っています。それから、今回のシミュレーションの中で、18ページ、19ページとございますように、国際出願が非常に伸びて、現在のアメリカ並みのPCT出願件数を予測しておりますが、PCT出願にはハイテクが多く含まれていると分析しておりますので、その中に大学、ベンチャー等からの出願が寄与してくるのではないかと期待しております。

委員

確かに話として大学、ベンチャー、発ベンチャーも重要だと思いますし、多分そういうことが成功することもあるかと思うのですが、ちょうど長官が来週からいろんなヒアリングに入られるということなんですけれども、産業界に聞いてみると、やはり国やもしくは新聞が書きたてるほどの期待感は本音ベースではかなり少ないというのが実情です。
TLOに関しても、大学も数少ない先生は産業界への貢献ということを意識していらっしゃるのですけれども、大勢としては、まだまだ自分の好きな研究をされている方々が多くて、いわゆる独立行政法人化なんかをきっかけとして、少しずつそういう先生がこれからふえるという期待感があるので、多分本当に特許になるような技術が生まれてくるのには、今、先生方の意識が変わったところから研究して何年かたってからというふうなことをかなり多くの産業界の方々が感じているというのが実情なので、もしこれからヒアリングをされるということがあれば、そんなこともぜひ聞いていただいて、今、やっている仕組みと、それが効果を奏するまでは結構時間のタイムラグがあるというところあたりはぜひとも御指摘したいかなと思ったまでです。

事務局

十分聞いてみます。

委員

大学に関連してですけれども、過去において、日本の大学からの特許出願が極端に少ないというデータが出ているのがありまして、それは実態とかなり違っているということが指摘されております。
それは大学側の先生は、自分で出願するのは非常に手続がめんどうなために、企業と共同研究して全部特許を企業の出願に任せる。ですから基本的にその発明が企業からの発明にカウントされてしまう。だから大学自体の発明が非常に少ないという、そういうデータが出ていると思います。
最近、TLOとかなんとか、いろいろ大学でもその権利を活用できるようなことになってきて、少しずつ変わっているわけですから、ですから、過去に企業から出願されていたものが、現在は大学からの出願にシフトしている部分もありまして、ですから、その辺のデータの読み方は非常に注意しなければいけないと思います。

委員長

ありがとうございます。

委員

一所懸命調査されて、非常によくわかったのですけれども、ただ、産業分野別にどうなのかというのが私はもう1つ重要なポイントというか、私自身知りたいという感じがしております。
例えば私は鉄鋼業でございますけれども、やはり成熟産業でありまして、どの会社を見ても、毎年、毎年、出願件数は減っておりますし、審査請求件数も減っています。したがって、私の産業だけを見ると、増加要因というところが若干業界によって事情が異なるのかなという気がいたしていますので、その辺の御認識はどうなのか教えていただければと思います。

委員長

分野別の予測というようなことのもやられているのでしょうか。

事務局

分野別でどのようになっているかというデータは現時点でとりそろえておりませんけれども、特許庁の年報等にも、分野別に出願件数がどういう動向で出ているかということも書いてございますので、今、委員の御指摘のように、どの分野が伸びているかとか、そういった調査も私どもの方でしてみたいと思っております。

委員長

大学のことでちょっと1つだけ、私が申し上げておきたいのは、当事者でもあるのですけれども、来年の4月から学校法人化になったときに、出願なんかに費用を払うようになると思うのですけれども、その費用の手当を文科省の方でしてくれるのかしてくれないのかというのが短期的な問題としては非常に重要で、TLOのあがりで払いなさいというようなことになるとほとんど不可能になってしまうので、そこの予算的な手当ができるかどうかというのは短期的な問題としては極めて重要な問題になってくると思います。

委員

産業界からのということで、見通しの話なんですけれども、審査請求について申しますと、余り大きな変化はないような感じがしております。と申しますのは、一気に審査請求すると、拒絶も一気にたくさん来る可能性がございまして、それは人為的な問題として極めて難しいということというのと、やはり出願の順序が入れかわってしまうという形になりますので、今、私の方で言うと、数年前から前出しで、順序よくいくようにということで、徐々にふやしてきているといいますか、7年でなく、3年に向けて縮めてきている段階で、そういう意味では大きくそこで変化するとはちょっと思いにくいという点がございます。
それから、もう1つは、予算的な措置というのは1つ関係がするかというふうに思われているかもわかりませんけれども、今回の改定で倍近くになったとしても、正直申しますと、代理人の手数料も含めた総予算に占める、ここに影響する比率がそれほど高くない、5%以下のパーセントのオーダーでしかきいてこないだろうと思っています。そういう意味では、全体の中でどうセーブするかということになると、いろんな手がございまして、ここに一気にしわ寄せがまるまるかかるというふうには思いにくいと感じています。

委員長

ありがとうございました。

委員

外国人による特許出願を比較的多く扱っておる立場から申しますと、確かにPCT出願への利用ということはふえておるのですが、PCTの国内段階に入るまでの30カ月をフルに利用して、そこで得られるいろんなレポートの内容とか、あるいはその間での技術の動向を見て、日本であたかも審査請求期間のように、その間で発明のバリューというものをある程度見極めた上で国内ルートに入っていく。そういう手だてとして30カ月を利用しようという考えが比較的強いように思いますので、PCTのルートの増加がそのまま日本の方の国内段階の方に入る件数の増加にそれほど直結することもないかな。でもある程度のパーセントは占めるだろうということは考えております。
それから、やはり外国人の立場としては、アジアの中でどこの国に出願すべきか、結局特許出願というのも一種の投資ですので、そうすると、日本だけでなく、中国のことも考えなければならないとか、限られた予算の中で出願国というものも選択していきますので、18ページのように、外国人の特許出願が右肩上がりにのぼっていくというのは、今後の日本の経済状況がどのように好転するかというところにもかかっているのかなというふうには考えております。
あと1つ、質問ですけれども、日本での審査結果の発信ということもこの資料でうたわれておりますけれども、そうすると翻訳ということが大きな問題として浮かび上がってくると思うのですが、やはりぜひマシントランスレーションの精度をもっと上げるとかということをしないと、日・米・欧の中で、米と欧の協力はうまくいっても、日・米、日・欧の協力がなかなかうまくいかないのではないかなということを危惧しておるのですが、その辺の特許庁の方の、特に特許文献に特化した機械翻訳とか、そういうものの充実ということについて何かお考えがあればお聞かせください。
以上です。

事務局

現在、日米間で審査・サーチ結果の相互利用プロジェクトを推進しておりますが、また欧州特許庁とも同様のプロジェクトを開始することになっており、三極の相互利用において、翻訳問題は御指摘のとおり大きな問題でございます。特に米欧がわが国のサーチ結果等を利用する場合は、拒絶理由等の中間書類、引用文献の翻訳が必要になりますが、後者の翻訳に関しては、まずIPDLで利用できる自動翻訳機能を活用していくという方向で、三極間で議論され合意されています。そして、自動翻訳機能の改善、特に辞書機能の改善は米,欧等のユーザーの協力を得て、国がやるべきところではないかということで検討を進めております。

委員長

もう1つ議題がありますので、どうぞ。最後に1つ。

委員

偶然にも同じ問題をちょっと私も申し上げたかったのですが、18ページの外国人による特許出願、これはすごく伸び率が高いのですね。これがもし本当だとしましたら、日本人の出願が相対的に減ってしまったときを考えると、知財立国の実現からほど遠くなってしまうのではないかと私は思うのです。
というのは、せっかく今、プロパテントを前提で、いろんな仕組みをそのように改革している最中だと私は思うのですが、その制度を利用するのは外国人であって日本人でないという結果になったら大変なことだと思うのですね。これは産業競争力が高まるどころかむしろ完全に日本の国内でやられてしまうと私は思うのです。ちょっと大げさな表現をしていますけれども。
ですから、外国の出願がもしこんなに伸びるようであったら、政策的にも日本の出願を伸ばして打ち勝つだけのことをやらない限り産業競争力は高まらないと私は思うのです。何となくお聞きしていると、件数が多いのが悪いんだというふうなトーンで説明されているのがちょっと気になるのです。だから外国がこんなに伸びて、これが正しいのかどうかわかりません。本当にこれだけ正しくふえたとしたら、大変な現象になるのではないかなと私はむしろ思います。

事務局

いろいろと御意見をいただきましてありがとうございました。
これは見通しですから大変難しいところがあると思います。最大限の努力をして、そんな時間もありませんので、計画に結びつけていきたいと思いますが、先ほど二人の委員から言われたように、私ども何か出願を抑えるとか、そういう方向が望ましいとか、そういうことは全く思っているわけではありません。今後、知財立国ということで考えたとすれば、企業の方の取組も踏まえて、どういう方向に出願構造、審査請求構造が向かうかということを、利用できる資料、アベイラブルな資料は限られていると思いますが、今の段階でのできる限りの正確な見通しを踏まえた上での計画をつくっていきたいと思っております。

委員長

どうもありがとうございました。
それでは、今までにいただきました各委員からの御指摘を踏まえて特許戦略計画を策定していただくことにしたいと思います。

職務発明制度の在り方に関する論点整理

委員長

次の議題に移りますが、職務発明制度に関する議論が次の議題であります。ここでは2つ資料がありますけれども、まず事務局の方から、資料4に基づきまして職務発明制度の在り方に関する論点整理ということを御説明いただきます。
その後、資料5で、職務発明と労働法というタイトルのメモを委員の方から出していただいておりますが、この資料5は、前回の委員会で、特許法35条と労働法との関係をどのように考えたらいいのかということについて御質問が委員のお一人からありましたけれども、これに関して労働法が御専門であります委員の方から、このメモをもとに御説明いただけるということであります。
この2つを御説明いただいた後に皆様の御意見をお伺いしたいと思います。
ではまず資料4の方からお願いいたします。

事務局

それでは、お手元の資料4に基づきまして、職務発明制度を今後、議論していただく上での論点整理を事務局の方でさせていただきましたので、それについて御説明させていただきます。
冒頭、知財戦略大綱に書かれている記載でございますので説明は省略させていただきます。
これまで皆様にいただいた御意見、それから、各団体からいただいた提言、それから、いろんな場で、いろんな方がこの職務発明制度について御意見を出されておりますので、そういったものを大きく分けて5つの観点で整理をさせていただきました。
一点目は従業者へのインセンティブ付与の観点。
次が2ページ目にございますが、企業の研究開発投資の促進の観点からどう整理するか。
三点目が使用者と従業者との間の衡平性の観点。
それから最後のページになりますが、四点目が、外国における権利の取扱いの観点。
そして最後に、これは委員からも以前、御指摘いただきましたが、職務創作、意匠についての取扱いの観点について整理をさせていただきました。
それでは1ページ目に戻っていただきまして、まず従業者へのインセンティブ付与の観点からの整理でございますけれども、1つは、まずこういった御意見が非常に多かったのですが、多様なインセンティブの与え方を認めるべきか否かということです。
現在ですと、職務発明については、「相当の対価」ということで、金銭的な補償金といいますか、そういった面しか見られていないわけですけれども、ここにありますように、金銭による補償以外に、給与、昇進、あるいはストックオプションなどの多様な補償形態を認めるべきではないかという御意見が多かったと思います。
それから、各業種、各企業によってそれぞれ事情が違いますので、従業者に対する発明へのインセンティブの与え方は異なってしかるべきではないか。
さらに、特許法35条の「相当の対価」は、能力に基づいて給与を支払っている能力給企業、欧米型の給与形態をとっている企業にはなじまなくなってきているのではないか。場合によっては能力給と「相当の対価」が二重払いになってしまうというケースがあるのではないかというようなことです。
また、価値の高い発明のみに対して実績に応じた補償金を与えて、それ以外のものは一定額という形態もあるのではないかというような御意見が出ていたと思います。
それから、2番目が権利承継に対する補償の時期を早くすべきではないか。また、補償に対する予見性を高めるべきではないかということで、これに関しては次のような御意見だったかと思います。
発明実施による利益に基づく実績補償は、発明完成から長期経過した後に与えられることが多い。これは実績補償で、実際にその発明が実施された後、補償が払われるということですが、これは必ずしも発明者の発明のインセンティブになっていないのではないかというような御意見がございました。
それからもう1つは、発明者にとって発明をして、その発明が実施された場合に、十分な補償額が払われるという予見性、あるいは、ある程度予測される金額が払われるという予見性、こういったものがインセンティブになるのではないかというような御意見があったかと思います。
それから2ページ目ですが、今度は企業の研究開発投資の促進の観点ですけれども、非常に経済団体等からの御意見がこの点に関し、多かったわけですが、企業が安心して研究開発投資を行えるよう、企業の抱えるリスク要因を低減すべきということです。
具体的には幾つかの職務発明について「相当の対価」を算定した判決が出ておりますが、これらの判決における「相当の対価」の算定方法が必ずしも明確になっていないので、判例の蓄積を待っても明確化できないのではないかということ。
また、1つの製品で多数の発明が関係しているケースが非常に多いわけですけれども、そういった場合に、個々の発明についての「相当の対価」の算定というのは非常に難しくなっていること。
さらに、職務発明に係る権利等の承継について、「相当の対価」の額が最終的に確定するためには、裁判所の決定まで待たないといけないので、企業経営のリスク要因になってしまうこと。
それから、現行、対価請求権というのが一般債権と見られておりますので、消滅時効が10年とされておりますが、これは非常に長過ぎて企業経営のリスクになるのではないかというようなことです。
また、下から2つ目ですが、企業は、事業から得た利益によって過去の投資の回収とか、先行開発投資を行うということで、この実績補償が過度に高くなった場合には、研究開発投資の縮小を招くことになってしまうのではないか。
加えて、職務発明規定が厳格過ぎると、企業が日本に研究所を設けなくなってしまうのではないかというような、日本の研究所の空洞化が起きるのではないかというような御指摘があったかと思います。
次に、三番目が使用者と従業者との間の衡平性の観点ですけれども、これは将来の我が国における雇用環境というのをきちんと考慮した上で、使用者・従業者の利益のバランスの調和がとれたような制度とすべきではないかということ。
それから、35条を改正する場合に、中小企業は、補償規定のないところが多いわけですけれども、そういった中小企業でも、従業者の権利がきちんと保護されるような制度とすべきであること。具体的にはここは35条を、全廃してしまうと、中小企業の発明者が非常に不利な立場になってしまうのではないかというような御意見です。
次は、使用者がみずから合理的な内容の職務発明規定を整備すべきであって、そういった企業がきちんとつくったものについては、その規定を尊重すべき、余り法律が介入しない方がいいのではないかというような意見です。
また、使用者・従業者の合意に基づく契約、勤務規則などによる職務発明に係る権利の承継及び承継に関する対価は尊重されるべき。つまり、合意に基づいたものについては、それを尊重するような制度とすべきという御意見です。
そして、最後になりますけれども、対価の算定にあたって従業者が納得できるようなプロセスを踏むことが重要だ。それは各企業の職務発明規程の内容の合理性、それから、従業者への説明の問題、それから、各事案に対する適用の適切性、こういったものをきちんとすべきではないかというような御意見があったかと思います。
それから、最後のページですけれども、これは外国における権利の取扱いということです。以前、御紹介した昨年末の日立の事件では、特許法の属地主義の関係で、外国における権利については、特許法35条の適用外というような判示がございまして、御紹介させていただきましたが、この点については、必ずしもすべての判例がそのようになっているわけではなくて、35条を類推適用して日本の特許法を適用した判決もありますけれども、そういう意味で、非常に説が分かれているというような状況になっております。
欧米の制度につきましては、以前、事務局の方から御紹介させていただきましたけれども、日立の事件の判示に従い、外国特許に係る権利の承継、あるいは承継に対する対価の支払いについては、使用者・従業者が各国法に対応した手続をしなければならないというのでは、非常に複雑、煩雑になるのではないか。日本の国内におきましては、特許法35条の職務発明規定で一律に定めることができるわけでございますけれども、外国については、例えば個別に契約を行ったり、あるいはその個々の国の法律に従って承継をしたり、算定したりするというのは非常に従業者にとっても、使用者にとっても煩雑になるのではないかというような視点でございます。
次に、最近のライセンスの状況を見ますと、必ずしもある特許について出願国を指定してライセンスするわけではなくて、国を特定せず、包括的にライセンスしてしまうので、その先、その発明について、どの国の特許が利用されるかわからない。こういったものは多国籍企業間では非常に多いと聞いておりますけれども、そういった意味で、必ずしも日立事件の判旨がなじまないのではないかという問題があるかと思います。
最後に意匠権、職務創作についての観点でございますけれども、職務創作については、発明に比べて利益への貢献が非常に見積もりにくくて算定が難しいのではないか。
それから、デザイナーというのは、一般の研究者と異なって流動性が高いので、特許のような実績補償というのはなじまないのではないかというような御指摘があったかと思います。
ちょっとかけ足になりましたけれども、今までいただいた御意見、各界からの御意見、いろんな場で出されている御意見を、こういった5つの観点からまとめさせていただきまして、今後、この職務発明についての議論をしていただく上での御参考とさせていただければと思います。
以上でございます。

委員長

どうもありがとうございました。
それでは、引き続きまして、委員から御提出していただいていますメモについて御説明をいただきたいと思います。大体10分程度を目安にお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

委員

本日、知的財産権法の先生方、それから民法の先生もいらっしゃっていまして、大変見当はずれなことを申し上げるかもしれませんが、労働法の観点からということでの簡単なメモをつくりましたので、それに基づいて御説明いたします。
職務発明と労働法というテーマでいけば、ほかに例えば出向社員、派遣社員が行った発明はどうなるのか。あるいは退職後の発明はどうなるか。それから消滅時効の問題、それから、今、御説明のあった外国法や準拠法の問題、全部関わってきますが、きょうは時間の関係で、それはすべて省略し、3点に絞ってメモを作成しております。
まず職務発明の概念ですけれども、これもいろいろありますが、業務命令の存在が「職務発明」の必須の要件かという点に絞ります。これは必須の要件ではないと考えるべきではないかと思います。
それから、2の権利承継の要件、特許を受ける権利との承継の要件ですけれども、これは論点が幾つかございます。
特許法35条に定めている「契約」はどういうものか、それから、「勤務規則その他の定」の法的性格はどういうものか。契約による承継は、黙示の合意による承継を含むかといった論点ですけれども、私の考えはそこにあるとおりでございまして、契約はまず労働契約に限られない。また、勤務規則その他の定めも就業規則に限らない。要は、職務発明に関しては、雇用関係以外に、雇用関係ではない法律関係は当然あり得るということです。
次に、契約による承継は、黙示の合意による承継を含むか含まないか。これは青色事件でも問題になった論点ですが、これは一定の取扱いが反復継続し、それに対する異議の申し立てが特にない状況が継続していれば、黙示の合意による継承は含まれるであろうと考えられます。
それから、職務発明、これは相当の対価を含めてという意味ですけれども、労働条件かそうでないのかという問題がございます。
これも青色LED事件で問題となり、職務発明が労働条件だとしますと、労働基準法15条にいう労働条件明示義務の適用を受け、採用時に明示をしなければいけないということになります。しかし、、裁判所はこれを否定しております。その理由は、契約は労働契約に限られないということですが、これは半分当たっていて半分間違っていると思います。労働契約でない場合は、この判決のいうとおりですが、労働契約によって承継した場合には、やはり労働条件にあたることになるので、採用時の労働条件明示義務が適用されることになります。しかし、それに違反して明示しなかったからといって、あとからさらに明示をし、黙示の合意がなされた場合には承継が否定されることはあり得ないというように考えられます。
なお、職務発明は労働条件かという問題とからんで、先ほど御説明のあった論点整理のⅠの1に給与及び能力給との関係について言及がございましたが、私自身は、「相当の対価」については、これは労働条件であっても賃金と考えるべきではないというふうに思っています。5)の「勤務規則その他の定」の有効要件は何かということですが、事前の開示と内容の合理性が要件ではなかろうかということであります。
その根拠は、勤務規則その他の定というものは、使用者の一方的作成に係るものでありますので、約款及び労働法上の就業規則と同じ考え方が適用されるのではないかという点であります。次に一番問題となっております「相当の対価」ですが、一言で述べますと、ここで書いてありますことは、幾ら払ったかということではなくて、払うまでにどういう手続、交渉、プロセスを踏んだかが重要であって、その点を法的に審査する方向にいくべきではないかということです。つまり幾ら払ったかという実体的な問題ではなく、それに至るプロセスの方に法的な審査の重点を移すべきではないかということであります。
これを5点に分けて書いてありますけれども、まず1)は基本的視点ということでありまして、特許法の趣旨、性格、それから労働法の観点からいいますと、労働条件対等決定の原則という雇用関係を支配する極めて重要な条文(労基法2条1項)があるのですが、これが直接関わるということになろうかと思います。
これは、職務発明、相当の対価は労働条件でない場合も当然ありますが、労働条件にあたる場合はもちろん、あたらない場合も、対等決定の原則の考え方が類推されるべきだと思いますので、労働法的視点としてはそこが重要になろうかと思います。
こういった点を踏まえますと、相当の対価に関する司法審査は、正当なものとして認められると考えられます。「契約」か「勤務規則その他の定」かは問いません。「勤務規則その他の定」につきましては、最判平成3・11・28という判決を引用しておりますが、これは就業規則の法的拘束力に関する判例法であります。確立された判例法でして、その内容は、就業規則は、内容が合理的である限りにおいて労働契約の内容となり、拘束力を持つという判示であります。
御存じのオリンパス光学工業事件は、ほぼこの考え方と同じ考え方をとったものだと思いますけれども、私もこの考え方でいいのではないかと思っております。
さて、それでは、どういう司法審査がなされるべきかということを労働法の目から考えますと、4点ほどあります。まず3)として全面的司法審査論への疑問ということを書いております。これはオリンパス、青色、日立といった最近の判例についての批判であります。
4つ理由がございまして、まず職務発明なり、「相当な対価」というものは、個々の発明、個々の企業に即して判断すべきものでありましょうから、裁判所が全面的に審査する能力はないのではないかということです。
それから労働法の観点から見ましても結局これは企業における当事者の利益調整の問題ですから、あくまでも個々の企業における個々の労使の利益をベースに判断すべきではないかという疑問があります。
それから特許制度の趣旨、それから対価の高騰化への疑問がそれぞれございます。
私は対価が高騰化することについては、労働者にとっても決して幸福なことではないのではないかと思います。
したがって、ここから出てくる結論は、1ページの最後のところでありまして、対価決定に著しく不合理な点がなければ、一応効力を肯定すべきではないかということです。
しかし、次に、それでは、そこで審査を終わらせてしまうことはやはり問題であろうという疑問があります。仮に、著しい合理性の有無だけという点で審査を終わらせますと、発明規定を企業がつくりさえすれば、それで拘束力を持ってしまって対価が過少になる恐れがある。これはやはり、交渉力・情報の非対称性という雇用関係の特質、それからアメリカと異なって決して雇用の流動化が十分な形で進んでいない労働市場の実情を軽視しているのではないか。特許法及び労働法の基本趣旨からも疑問があるのではないかと考えられます。
そこで、ではどういう審査が考えられるのかといいますと、制度的・手続的要件ないしプロセスを審査ということであります。趣旨は、先ほど申しましたが、幾ら払ったかというよりは、対価を決めるプロセスについて実質的な交渉、あるいは手続がとられたかどうかを審査するということであります。
具体的には、制度の整備と、適切なあてはめと、情報開示・説明という、この3つの点が基本的な要素になろうかと思います。
こうすることで従業者の納得性を確保するとともに、特許法、労働法の基本趣旨に合致し、なおかつ予見可能性と紛争予防効果を持つような審査ができるのではないか。また、そうすることで勤務規則の合理性や真の契約性の確保が可能ではないかということであります。内容は、職務発明制度全般の合理的かつ透明な制度化ということでありまして、補償内容・方法については企業、労使の自主性を尊重すべきだと思います。ただし、先ほど少し申し上げましたけれども、給与、あるいは賃金で買える、あるいは成果主義、ここで能力給と書いてありますが、私の言葉では成果主義ということになりますけれども、成果主義の「相当の対価」の二重払いになるとの意見には賛成はできない面がございます。
それから、情報開示・説明及び苦情処理ということであります。なお、これらの制度整備に関する立証責任は、企業側が負うべきものと考えます。
法的な効果としては、この手続の整備がされ、なおかつ先ほどの内容の一応の合理性が認められれば、対価決定を原則として有効と認めるべきであるというのが原則であります。
したがって、この場合、そのようなプロセスを踏んで対価決定がされれば、その後非常に利益が巨大化して、実績補償額が不釣り合いになっても、それはそれで仕方ないと思います。ただし、例外として手続が尽くされても対価が非常におかしな場合は、やはり実体的な介入があり得るし、逆に手続が不十分でも対価が相当であれば、有効と解される場合もあるのではないかと考えます。
最後に、労働法の目から見ますと、実はこうしたプロセス重視の議論は、成果主義人事とか、あるいは企業業績連動型賞与といった給与、賞与制度について、ほぼ定着した考え方になっておりまして、参考の一番下に1つ判決をあげておりますが、この判決でもプロセス重視の判断がされております。
その意味では、「相当の対価」は給与ではありませんが、成果主義人事と共通する面がありますので、プロセス審査を重視することには正当な理由があるのではないかというふうに考えております。
以上です。

委員長

どうもありがとうございました。
それでは、余り時間が残されておりませんけれども、残された時間で資料4及び資料5につきまして御意見、御質問等を承りたいと思いますが、いかがでしょうか。

委員

私の希望なんですけれども、職務発明制度のあり方に関する論点の整理にもう2つ加えてほしいと思っております。
1つは、本当に今の制度のままで、昨今のような裁判がたくさん出てくるような状況が続くようであれば、本当に従業者にとって得なのかどうかということがもう少し議論されるべきなんではないか。つまりこういう訴訟が頻発するような話になると、会社の方でも、選別して承継するということに最後はなるのではないかな。そのことのよしあしはあれですけれども、若干そういう面が出てくる可能性があるのではないかということ。
それからもう1つは、企業の競争力、産業競争力という面から見て、こういう制度を置いておくこと自体が本当に合理的なのかどうか。例えば企業分割をするであるとか、あるいは海外の企業と共同研究をするであるとか、いろんなことをやるときに、イコールフィッティングなところで議論ができないし、それから、知的財産を移すということに対して、その対価の合理性とか、いろんなことについてかなりの判断というか、考慮する時間がかかるというようなことで、経営判断が遅れるのではないかとか、たくさんあると思いますけれども、そういう意味で、産業競争力が弱まるのではないか。弱まることによって、結局企業が淘汰されてしまう。そうすると、そこにいる従業員は結果的に得だったのかどうかということにもなる。
そういう観点からも、議論があっていいのではないかというふうに思います。
以上です。

委員長

皆さん、御意見がおありだと思いますので、広く御意見を伺いたいと思いますが、ほかにいかがでしょうか。

委員

いろんな御意見があることは承知しておりますけれども、この整理ですと、現在の例えば判例について、問題であるというふうな論旨でできているような気がします。しかし、そういうふうな裁判例に対する評価は私はいささか早計ではないだろうかと思います。今まで出ている判決例の読み方というのを事案に即して考えれば、当該事案においては「相当な対価」ではないといっているにとどまるというふうに考えることもできるわけでありまして、そうであるとすれば、使用者が決めた額というものが極端に少ないということではないかと思います。議論になっているオリンパス事件の判決の中でも、報奨規定というものは考慮すべしということをいいながら、しかし、最終的には考慮してないわけです。それは考慮するに値しない報奨規定であったと判決が解釈していると理解できるわけであります。裁判例に対する評価というものを早計にしていいかどうか、問題があるのではないかと思います。
それから、もう1つ、知的財産戦略大綱を含む全体的な流れで、発明に対するインセンティブをどうやって確保しようかということを議論をしている一方で、やはり従業者に対するインセンティブについて、この法改正はどういう影響を与えるのかということを考える必要があると思います。つまり従来、定められている相当の対価を払わなくていいという改正をするとすれば、明らかにメッセージとしては、特に個々の発明者に対するインセンティブを減ずるものとなります。
私は対価が高ければいいということを言っているわけではないのですけれども、そういう法改正の持つメッセージ効果ということも考えるべきではないかと思います。職務発明規定を早々に改正することの問題点ということも、もう少し論点整理としては盛り込んでいただきたいと思います。

委員長

どうもありがとうございました。

委員

私は制度改正をしていただきたいという立場で申し上げたいと思うのですが、いずれにしても強行規定ということは、判決を見ても明らかだと私は理解しているのです。産業競争力を高めるという視点から、やはり強行規定であるということは、企業の国際競争力に非常に支障を来すと私は思います。そういう意味で、制度見直しをお願いする立場でいます。
これから知財創造立国やら、知的関係創造立国というのを国是にしている以上、発明者に対してインセンティブを高めなければいけないということは、企業の方でも当然考えていることなんですけれども、それを法律で決めるというのは、いかにも論点の中に書いてございますように、企業経営としてリスクが大きいし、国際競争力上、マイナスになる要点がいっぱい含んでいると私は思います。
そういう意味で、インセンティブをどう与えるかということについてを議論する必要があると思いますけれども、法律で対価を決めるということだけについては改正していただきたい。そういう意味で、論点の中に、国際競争力を高めるためという視点からもぜひ議論していただきたいなと思います。
以上です。

委員長

ありがとうございました。

委員

問題は、35条3、4項の「相当の対価」が一番重要だと思いますが、現在の判例がどう考えているかについては、私は先ほど発言いただいた委員とは意見を異にしますけれども、判例の読み方の違いをここで議論しているだけでは前へ進みませんので、本題は、まず現行法をどうとらえて、それから、改正すべきかどうかを考えるべきだと思います。その場合の一番のポイントになるのは、35条3項、4項が強行法規だという点については、もうこれはほとんど異論がないだろうと思います。
その理解の上に立って、企業側は多くの場合に、単に権利承継だけでなくて、補償に相当な対価の額の、特に実績補償が一番重要になるわけですけれども、それについての定めをしているわけで、まず現行法の解釈として必要なことは、企業が「相当な対価」についての補償規定を持っている場合に、その規定についてまず検討していくべきことが必要です。
確かにオリンパスの東京高裁判決は、前段では、先ほど御指摘になったようなことをいっていますけれども、実際には、その上で、ではオリンパスの補償規定がどうなっているかを検討して、この規定は著しく合理性に欠けるから裁判所が「相当な対価」を決めるとはいってないわけですね。それについては全く判断しないで、これは強行法規だから裁判所の考えるところに従って決める。そこに私は一番問題があると思いますので、そこは先ほど委員が御報告した点と、私の考え方はほぼ一致しておりますけれども、果たして現行法の解釈について、その辺のところを企業といろいろ補償規定の相談を受けることがありますけれど、今のような解釈が行われていると、企業で一所懸命補償規定を頭ひねってつくってみても、裁判所が考えるところが「相当の対価」であるという方向にいきかねないですね。これは法律解釈の問題なのか、それとも法改正の問題なのかという点は、これから先の議論としてあるかもしれませんけれど、まず補償規定については、先ほど委員が言われたような線からの検討がなされるべきだということの理解が得られれば、その理解のもとにこの規定を考えれば、私は今、委員の言っているような結論に必ずしもいくとは限らないと思っています。
以上です。

委員長

ほかにどうぞ。

委員

民法の専門家ですので、その観点から、ちょっと誤解のないようにコメントだけさせていただきたいと思います。
先ほど委員から、現行特許法35条が強行法規である。これ自体、異論の余地があるかもしれないですけれども、仮にそれを前提とすると、それは非常に困ったことになる。したがって、強行法規でないような形で改正を望むということで、この御意見自体、非常にはっきりとしているわけなんですが、ただ、ちょっと誤解のないように申し上げたいのは、特許法35条は今ありますから、この規定によって、この問題がカバーされているわけですけれども、これがなくなりますとどうなりますかといいますと、先ほど委員からお話のありました労働法、さらには民法がこの問題について適用されるという関係になってまいります。労働法につきましては、先ほどの御紹介どおりですけれども、民法に関していいますと、民法につきましても、問題が、私人間における権利の移転を対象にしておりますので、民法がまさに対象にするところなんですが、民法の中で、広い意味での契約に関する規制というのが置かれております。この規制の中心にあるのが公序良俗に反する法律行為と専門用語でいいますが、契約は無効であるというような、非常に概括的な規定によってカバーされるということになります。
この規定に関しましては、長い歴史、もちろん100年ぐらいの民法の歴史があるのですけれども、比較的最近の傾向としてみますと、規制緩和とも関係していると思いますけれども、裁判所による事後的規制を強化するという傾向が立法においても、そしてまた裁判所レベルにおいても、それは下級審の裁判所レベルにおいてもかなり強まってきているところでして、この90条を使うことによって契約の内容が規制される。対価に関しても、いろんな要素を勘案しながら規制するというような方向がかなり強くうかがえるようになっております。したがって、特許法35条を強行法規でない形にする。簡単にいえば廃止してしまうということになりますと、こういう裁判例等がそのままかかってくるという可能性が出てきます。
この問題、多くの民法学者というのは、民法の適用領域がふえると喜ぶというようなことがあるのかもしれませんけれども、私はむしろ逆でして、今、言いました公序良俗のような規定というのは非常に概括的な規定でして、やはりルールの透明性を確保しきれないという問題があります。要するに本当にいろんな状況、事情を勘案して、事後的に判断されるということになりますので、今以上にルールが不透明になる可能性がある。これは私は必ずしも望ましくないだろう、全然望ましくない状況であろうと思います。
したがいまして、論点整理の中にもちらほらとは出ておりましたけれども、やはりルールの透明性をどう確保するかという観点をもう少しお考えいただきたい。そしてそれは特許法35条がなくなれば、より一層不透明になる可能性があるのだということを頭の隅に置きながら御議論を進めていただければいうことです。

委員

35条改正というと、いつも民法学者から、そういうおどかしが来るのですけれども、現在の35条でも外国の権利については適用外という判決が出ているわけですね。では外国の権利について今、日本の企業は大事でないかといったら大事なんですね。これについては何でやるのですかというと、民法学者は契約でやればいいだろうとおっしゃる。ではその契約は公序良俗に該当しないのですか。すると言うのです。大事な一方の外国の権利は公序良俗で不安定な状態に置かれていて、国内の出願だけが35条で守られているからいいじゃないか、こういう理屈は私には理解できないのです。
ですから、私の申し上げたいのは、強行規定の最たるところは対価の決定ですから、そこは少なくとも強行規定をなくしていただきたい。いかに安定的に承継できる方向を考えるか。いかに発明者にインセンティブを与えるという方向を考えるかということを御議論いただきたいということを申し上げているので、民法学者は現行をなくすと不安だぞとおどかすだけで、むしろどうしたらいいか考えていただきたいと私は思うのです。
以上です。

委員

私も弁護士としていろいろな企業の契約、就業規則等の相談を受けますので、ちょっと一言申し上げたいのですが、強行規定だからはずせば解決するというふうに単純に今委員は言っていらっしゃるのではないだろうと思うのです。やはり結局問題は、先ほどの委員の御説明の中にもありました、重要なのは、制度的、手続的要件の重要性ということなんですけれども、一方では、効果の方で、最終的には今の契約でいっても、民法でいう公序良俗違反とか、裁判所による対価改定権ということで、結局「相当な対価」というのは何かというところにまたいきついてしまうのですね。それはやはり35条の2項でのこの解釈の幅がどうなのか、どこまで解釈が、強行法規であると同時に解釈ができると思うのですが、実質的にどこに問題があるかというのがどうもやはりつかめないところがある。問題があると思います。
判決の批判というのは、別に問題点をいろいろ言うことは何の差し障りもないわけなんで、私はやはりこういうところを少し細かくというか、多方面から検討して、やはり大まかでなく、細かく議論を詰めていかなければ、この問題、一体解釈でできるのか、法の改正がある程度必要なのか、あるいは要らないのかという問題が決まらないと思います。
それでちょっとお願いしたいのですけれども、多分委員も今、御説明くださいましたけれども、私はまだ納得いかないところもありますので、ここに労働法研究機構で論文をお書きになっていらっしゃるのですね。ぜひ私はこういうのを読ませて、私はゆっくり考えたい方なんで、ぜひこういうのをお願いしたいと思います。
その上で、やはりみんなでもうちょっと詰めて勉強した方がいいのではないかなと思っております。

委員長

ありがとうございます。

委員

特許法35条を強行規定ということで、何がそんなに問題なのかというのはちょっとわからないのですが、要するに35条3項が強行規定であるということの意味は、対価は相当でなければならないということですね。問題は何が相当かということで、そこは各企業における発明が、企業における制度として見て相当かどうかということだと思うのです。各企業において相当なのかどうか。そこのところに余り全面的に介入するのはおかしいといっているので、そういう形で判断がされれば強行規定といっても余り問題がないのではないか。その点は先ほど委員がおっしゃったことと私も同じように考えています。
今、委員がおっしゃった、プロセスが整備されても、裁判所に対価改定権が認められるという、そういうふうに私も書いておりますが、しかし、私のこのペーパーの趣旨は、それはあくまで例外ということでして、きちんとプロセスがあり、情報開示をして、その企業の制度において一応合理的だと認められれば、原則として有効と考えていいのではないかと思います。あくまでも例外的に、あまりに対価決定がひどい場合は、それは別ではないかという、そういうニュアンスです。そういう意味では、民法の公序よりは規制の強さというのは弱いのかもしれません。

委員長

ありがとうございました。
今、委員から御要望のありました委員の論文については、事務局の方で委員の皆さんに送っていただくようにお願いしたいと思います。

委員

直接に関係はしないのですが、補足的に一言述べさせていただきたいのですが、特許法35条そのままにするかどうかは別としまして、現在、多くの産業界の方々がおそれておられるのは、これはどれだけ訴訟が出るのかわからない。現にこうなっているということだと思うのですが、「相当の対価」を求める権利を認めるかどうかというのがまず第1で、現行法は認めている。これを仮に前提にしましても、本来は権利の中身がどのようなものであるかということが、そしてしかもそれが適切に周知されておれば、そうむちゃくちゃなことにはならないという考え方も成り立つ得ると思います。
一番大きい問題は、自分たちが権利がある、そしてそれが極めて利益追求的な形で権利を使って利益追求をするというような行動が多くの人たちによって行われますと、世の中うまくいかない。ほかの領域でもまま見られる現象がここでも起こっては困るということではないかなと思います。
したがいまして、特許法35条をどうするかということと同じか、並んでか、ややわかりかねるところがあるのですけれども、仮に従業者たちにその種の権利があるということが前提とされるとしても、それが一体どのようなものであるのか、どういう考え方からその内容は規定されていくのかということについての情報発信というのでしょうか、それがより適切な形で行われる必要があろうといずれにしても思います。そしてこれはいろんな裁判例が出て、それがやや一部分を抜き出すような形で、報道なり、なんなりされることによって、やや専門家から見ると適切とはいいがたいような形での情報が行き渡っている。これをもう少し何とかすることも、やはり重要な検討課題の1つではないかなと思いますが、いずれにしてもちょっとお考えいただきたい。人ごとではないですが、考えねばならない問題だと思います。

委員長

ありがとうございます。

委員

多分、この部分で、専門家でない私が入っているのは、今、従業者と皆様、呼んでいますけれども、一般のサラリーマンの人たちがどうこれに対応するかということを労働組合の立場で発言をしろというのが私の使命だと思いますので、少し発言をさせていただきたいと思います。
先ほど委員の方から、労働法学的な視点での論点整理メモが出されましたけれども、私どももこの整理でよろしいのではないかと考えています。特別このことに関して、連合そのものが、あるいはそれぞれの産業別に結集しております労働組合と議論をしてきているわけではありませんが、先ほどの整理をされた内容でよろしいと思います。
問題は、私は民法の専門家でも、労働法の専門家でもありませんから、非常に単純に考えたいと思うのですが、働く者の立場からすると、自分の対価というものが何によって決まっているのかという、つまりルールの透明性というものがちゃんと担保されていて、かつそのルールのもとで不満があればそれが不満として処理できるという二面性が確保できていれば、働く者としては問題ないんだろうと思います。
それでもなおかつ解決が付かなかったら、それは裁判に訴えるということもあるでしょうし、また、社内で話し合うということもあるでしょう。その二面性をきちんと確保していただければ、法学的にどうなのかということを私どもとしては争うつもりはありませんし、その2点を明らかにしていくことが非常に重要だろうと思います。
特に昨今の中で、そういう事件がふえているということは、必ずしも対価に対するルールが明確でない、ということだと思います。それから一番困っていますのは、就業規則に定められますと、就業規則を会社側が一方的に変えてしまうということなんですね。これは労働法の中に規定されていることと、実態は違っているということです。例えば従業員の代表の意見を聴くといっても、従業員の代表が会社の立場を代弁するような総務課長だったりすることもあるわけです。本当に労働法に定める従業員の立場を代表しているのかが疑わしい事例が多くみられるということがあるわけです。労働組合があれば別ですけれども。そういう状況も踏まえていただいて、仮に法整備をされるのであれば、どういう形の法整備がいいのかぜひ議論に参加させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

委員長

ありがとうございました。

委員

今、こういう議論、インセンティブを与える、発明者に対するインセンティブというポジティブな意味でとらえられていると思うのですけれども、ネガティブなインセンティブもあるのですね。つまりある発明があって、非常に利益をあげた。特定の人だけにものすごく高額の対価を支払う、そうすると周りの人は、おれたちも手伝ったのに彼だけがそういう法外な対価をもらうというのはおかしいじゃないかという、そういうことでむしろネガティブに働くケースもあり得ると思います。
例を申し上げますと、かつて理化学研究所が理研ビタミンというのを発明しまして非常に利益をあげた。年間100万円売り上げて、50万円が利益であって、発明者の高橋さんという方は、年間の報奨金としては10万円もらった。当時の10万円というのは家が1軒建つ値だったというのです。そういう意味で、前例にならないのですね。そういうものは。だからやはり私は決め方のルールを明確にすることが非常に重要だという立場でございます。

委員長

ありがとうございました。

委員

企業の立場でいろいろ報奨金を支払う側に立っておりまして、大変悩ましい立場におります。皆さんの御理解として日本の企業は報奨金を少ししか払っていないという節があるかもわかりません。アメリカ企業の知財部長の団体と話す機会がありまして情報交換をしました。彼らが曰く、「日本の企業は、あんなにお金を払って、なおかつそれが少ないように思われているのはかわいそうだな。」と言っていました。我々としても、幾らぐらい支払っているのかという実態は、多分日本の企業が一番たくさん払っているのだろうと思っています。そういうデータも含めて調べようかという準備はしております。日本の企業だけが非常につつましいお金で搾取しているごとくお感じの方もおられるとすれば、ぜひそうではないということを御理解いただきたい。
そういう意味では、競争力という意味で、欧米の企業と比較してどうなのかという視点をぜひ入れていただければと思っています。

委員長

時間も超過してしまいましたけれども、まだこれから、この問題については議論をこの委員会で続けていきますけれども、きょう、この場でぜひともまだ何か発言しておきたいということがあればお伺いしたいと思いますが、何か。

委員

先ほど二人の委員のお話になっていることはよく理解できるのです。ただ、そのことを現行法のままでどうやって実現させるかというのが難しいのだろうと思うのです。ですから、そこが企業側としては、今の判決が間違っているんだから、そうすべきだという御意見はよく理解できるのですが、ではどうやってそうさせるかという手段がないんだろう。そういう意味で、改正していただかないと実現はできないのではないかという視点なんです。
もう1つは、今、委員がおっしゃったように、プロセスを大事にしよう、私もそう思っているのです。解決方法は、従業者が理解できるようなプロセスをとるべきだろう。ただ、プロセスをしっかりすればいいというふうにしていただければ、今委員のおっしゃっている納得するという線なのか、両先生がおっしゃっている内容の合理性というのが付加されるのか、私は合理性があるべきだとは気持ちの上では思っているのですが、条件として合理性といったときに、合理性は何だという争いがまた起こるのではないかな。そこをちょっと気にしているのです。
要はどうしたら本当に解決できるのかという視点で十分議論していただきたいな、そういう気持ちでおります。
以上です。

委員長

ありがとうございました。
ほかに何かございますか。よろしいですか。
それでは、この議論は引き続き続けていくということで、きょうはこれで終わりにさせていただきたいと思います。
どうも活発な御意見、貴重な御意見をありがとうございました。

今後のスケジュール

委員長

最後に、今後のスケジュールについて事務局の方から御説明していただきたいと思いますが、よろしくお願いします。

事務局

本日で今年度の議論は一応最終回でございますけれども、来年度以降も引き続きまして今回の職務発明制度、それから、本日、少し議論いただきましたが、特許戦略計画の中でも、まだこれから課題として議論していかなければいけないものがございまして、そういったものを順次、議論していただきたいと思っております。
次回につきましては、皆様方の御予定を聞きながら、候補日を急ぎ確定していきたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いをいたします。

閉会

委員長

それでは、以上をもちまして本年度最後の第7回の特許制度小委員会を閉会させていただきます。
どうもありがとうございました。

――了――

[更新日 2003年6月17日]

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