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産業構造審議会 知的財産政策部会 第26回特許制度小委員会 議事要旨

1.日時・場所

日時:平成22年4月30日(金曜日)10時00分から12時00分

場所:特許庁庁舎16階 特別会議室

2.議題

  • (1)登録対抗制度の見直しについて
  • (2)職務発明訴訟における証拠収集・秘密保護手続の整備について

3.議事概要

(1)登録対抗制度の見直しについて

資料1「登録対抗制度の見直しについて」に沿って事務局から説明を行った。また、守屋委員より、資料2「守屋委員御提出資料」に沿って説明があった。

その後、自由討議を行ったところ、その概要は以下のとおり。

<全体について>

  • これまで登録対抗制度を実効性のあるものにすべく立法上の手当をしてきたが、登録制度に係る問題を十分に解決するまでには至っておらず、実質的な必要性の観点から、当然対抗制度の導入に賛成。
  • 実施という外形的な行為を対抗要件とする制度もあり得るが、実際、包括ライセンス契約の対象になっている特許が数千件に及ぶことは珍しくなく、それについて1件、1件実施を証明することは不可能であり、そのような制度は導入できない。通常実施権者を適切に保護するためには、ライセンス契約の存在を証明することで対抗できる制度(当然対抗制度)にならざるを得ないのではないか。
  • 現行の登録対抗制度は「売買は賃貸借を破る」という民法の一般原則と整合的だが、その原則は経済取引の実態や無体財産権に関する評価を十分に踏まえたものであるとは考えられない。当然対抗制度は民法の一般原則の例外となるが、特許法には既に登録なしに第三者に対抗可能な法定実施権等があることも踏まえれば、当然対抗制度の導入を認めてよいのではないか。
  • 大学の知財本部等も、資金面等の理由から通常実施権を登録していないというのが実情であるので、当然対抗制度の導入を進めていただきたい。
  • 中小企業も他社とライセンス契約をして海外展開をするということがあり、中小企業の立場としても、当然対抗制度を導入していただきたい。

<デューデリジェンスの実務について>

  • M&Aや大量の特許権の売買の際は、デューデリジェンスが実務慣行としてかなり定着していると認識しているが、少数の特許権の売買においても、デューデリジェンスの実務慣行があると言えるのか。
  • ライセンス契約の存在の有無は特許権の価格にも影響するので、少数の特許権の売買の際にも、非常に細かくデューデリジェンスを行っている。

<破産・執行手続について>

  • 執行手続により特許権が売却される場合、デューデリジェンスを行うことはできない。また、不動産執行における執行官の調査権限とは異なり、特許権を対象とする執行手続における評価人の権限は、現在は必ずしも明確ではない。当然対抗制度を導入するに当たっては、実体法において告知義務をかけるか、手続法において評価人の権限を明確化するか等、何らかの対応をすることも考える必要があるのではないか。ただ、特許権が執行手続により移転される件数はそれほど多くはないので、執行手続における買受人の取引の安全が確保されるような対応がされなければ当然対抗制度が導入できないというような話ではない。
  • 当然対抗制度の導入を前提に執行の場面を考えると、件数は少ないとしても、特許権者が通常実施権の存在を隠して、高く売却しようとすることも考えられるので、特許権を買い受けようとする者の取引の安全が確保されるような何らかの手当が必要なのではないかという印象。
  • 当然対抗制度の導入に賛成だが、デューデリジェンスについては、当然対抗制度導入の許容性を理由付ける要素の中でも、知的財産権の特質により取引の安全に大きな影響がないという点に付随するような位置付けに過ぎないと考えた方がよいのではないか。このように考えれば、破産・執行の場面において、デューデリジェンスに代わる存在が必ずなくてはならないということにはならないのではないか。

<告知義務について>

  • 通常、ライセンス契約では秘密保持義務が合意されており、通常実施権者の同意なしには特許権者がこれを開示することはできない。秘密保持義務は特許権者が特許権を譲渡しようとする場合の足かせになり、譲り受けようとする者は秘密保持義務があることによりなかなか事実を知り得ないことにもなる。特許権者は特許権を譲り受けようとする者に対して一定の内容を告知する義務を負うというような制度を設けるべきではないか。
  • 特許権の譲渡に当たって、特許権者が、秘密保持義務のために、譲り受けようとする者に対して情報を開示できない場合には、弁護士を介し、譲り受けようとする者に直接情報が伝わらない形で、弁護士に評価してもらうというような対応をしている。
  • 法律で告知義務を課さなくとも、特許権の譲渡の際に通常実施権の有無について譲渡人がしっかり表明保証すれば、デューデリジェンスによる取引の安全の確保の確実性を高めることができるのではないか。
  • 告知義務を課したとしても、破産・執行の場面において、管財人の責任を別にすると、告知義務違反の責任を誰かが取ることは余り期待できない。また、通常の取引の場面においても、実際上、瑕疵担保責任の追及とほとんど同じ効果しかないと思うので、告知義務を課すことに法的にどれだけの意味があるのかという印象。
  • 破産法の世界では、破産管財人の善管注意義務について多くの議論がされているところである。告知義務を制度化する場合、特許を売却する際に破産管財人が調査義務を負う範囲がどうなるか次第で、難しい事態が生じ得るのではないかという懸念がある。
  • 特許権の譲受人が通常実施権者の存在を知らないのは問題だと思うので、破産した場合等においても買受人が通常実施権の存在を知り得るような手当について検討してはどうか。

<立証の容易化について>

登録があれば通常実施権に関する立証は非常に容易にできるところ、そのためだけに登録制度を残すというのは問題があると思うが、通常実施権に関する立証を容易化する方法のうち、ライセンス契約書を公正証書で作成する方法については、当該契約書が利害関係人に開示されるおそれがあり、実効性の面で問題がある。一方、ライセンス契約書に確定日付を得る方法についても、契約書の成立の真正までを証明するものではないという点で問題が残るのではないか。立証の方法については、立法後にガイドラインを作成することも考えてはどうか。

<日付仮装の防止について>

  • 登録対抗制度という極めて明確な対抗制度をやめて当然対抗制度を導入するのであれば、ライセンス契約の存在が余り争いにならないような形で明確にしていくというのは当然の要請だろうと思う。
  • 指名債権譲渡の第三者対抗要件には確定日付が必要とされており、日付の仮装の防止が重視されていると考えられる。破産・執行の場面では、表明保証によって日付の仮装を防止することは難しく、さらに、通常時に比べて契約の日付が仮装される事態が発生しやすい。このような場合を念頭に置けば、通常実施権を対抗するための要件として、確定日付を要求してもよいのではないか。
  • 確定日付を要件とすることについては前向きに検討していただきたいが、公証人の数が限られているため地方の企業まで対応可能かという点、中小企業を中心に周知の必要がある点については考える必要がある。
  • 確定日付については、要件とするのではなく、立証を容易化する手段として、取得するか否かは当事者の判断に委ねる方がよいのではないか。
  • 1つのライセンス契約で数百の特許権が対象になる場合でも、確定日付はその契約書1通につき1つ取得すれば足りるものであるから、確定日付を要件としたとしても、過大な負担にならない可能性もあるのではないか。

<その他>

  • 大学の場合、特許出願段階でライセンスをすることの方がむしろ多いので、仮通常実施権についても当然対抗制度を導入していただきたい。
  • 当然対抗制度の導入に当たっては、例えば、訂正審判に関する通常実施権者の承諾(特許法第127条)等の規定を維持していくかどうかについても付随して検討する必要があるのではないか。
  • 商標法第53条は使用権者が混同を生じるような商標の使用をした場合に商標登録の取消審判の請求ができる旨規定している。ライセンス契約においては、混同を生じるような使用を防ぐための合意が通常されていると考えられるところ、商標権譲渡時にライセンス契約が承継されない場合があり得るとすれば、譲受人がそのような使用を防ぐための手当についても考えていただきたい。

(2)職務発明訴訟における証拠収集・秘密保護手続の整備について

資料3「職務発明訴訟における証拠収集・秘密保護手続の整備について」に沿って事務局から説明を行った。また、資料4「竹田委員御提出資料」に沿って竹田委員から説明があった。

その後、自由討議を行ったところ、その概要は以下のとおり。

<全体について>

  • 実務家として苦労しているので、できるだけ早く特則を設けていただきたい。
  • 特定の訴訟類型に特則を設ける必要性については、他の訴訟類型との関係で合理的に説明できるかが問題であるが、本日の議論から、職務発明訴訟に特則を設けることについて十分な合理性があると理解。その意味で、職務発明訴訟に特則を設けることは、民事訴訟法の立場からも正当化できるのではないか。
  • 職務発明訴訟は、侵害訴訟に比べれば非常に件数が少ないと思う。また、大多数の職務発明訴訟では、民事訴訟法の枠内での工夫や被告の協力によって、証拠は任意に提出されていた。ただ、職務発明訴訟の中には、証拠の提出をめぐって非常に紛糾する訴訟もいくつかあり、類型的に職務発明訴訟は侵害訴訟よりも争点が多いことから、特則が必要な場面は多いのではないか。
  • この特則は、本来、原告(発明者側)にとって立証の容易化を目的とする規定であるから、原告の立場からすれば特則が必要になるかもしれない。また、被告の立場の方からも特則を設けることに賛成という意見があることについては、被告側は積極的に証拠を提出しようとしており、そのために特則が必要となるという意味だと理解している。

<秘密保持命令について>

  • 侵害訴訟における秘密保持命令の発令件数は非常に少ない。
  • 秘密保持命令の名宛人の負担、発令に至るまでの事前準備の負担等、侵害訴訟における秘密保持命令の発令件数が少ない理由を検証する必要がある。また、秘密保持命令が刑事罰を伴う極めて重い手続である点は十分留意していただきたい。
  • 侵害訴訟における秘密保持命令があまり使われていないという点は実感している。その理由として、産業界からは、秘密保持命令違反による刑事罰が適用されると、民事訴訟では秘密が守られても、刑事訴訟で秘密が公開されてしまうのでなかなか使えないというものがある。もう少し使いやすい制度にする工夫ができないものか。
  • 秘密保持命令があることが抑止力となって、営業秘密に関する証拠の提出の問題について、裁判所の訴訟指揮も含め、もう少し円滑な運用ができるのではないか。したがって、発令件数が少ないので規定が不要ということではなく、抑止的効果があるという点も立法に当たっては考慮してもいいのではないか。
  • 秘密保持命令があることによって、秘密保持契約の締結が促進されることになるかもしれないという印象。

<公開停止について>

  • 侵害訴訟において公開停止はおそらく発令されていない。また、人事訴訟における公開停止の発令も非常に少ないと聞いている。
  • 公開停止に関して、「従業者が使用者の営業秘密を陳述・証言する場合」については、営業秘密との関係がやや間接的であって、「営業秘密を証言することによって民事上の責任を追及されるので、証言できない」ことが公序良俗に反するという整理になっており、既に立法されている人事訴訟法や特許法から見ると新機軸。そもそもこのような場合が、憲法上の公序良俗の具体化と言えるかどうか、仮に言えるとすれば、証言することによって民事上の責任が問われる場面は他の場合も考えられるように思うので、なぜ他の場合には公開停止ができないのかを説明する必要がある。この点は、憲法に関する問題なので、慎重に検討する必要があるのではないか。

<その他>

職務発明訴訟の手続に関して、秘密保護の観点から議論を進めていくのは良いこと。ただし、産業界としては、現行の特許第35条そのものについて必ずしも良いとしているわけではない。現行の特許法第35条は、イノベーション促進を阻害する要因や、技術力の高い、特に国内外の企業が連携する際の障害になっていると認識している。また、海外企業がリスクを回避するため研究所を日本から撤退しているという動きもある。解決の方向性の1つとして、職務発明の法人帰属を検討することもあるのではないか。産業界にはこうした認識があるということを前提の上で議論を進めていただきたい。

[更新日 2010年6月3日]