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産業構造審議会 知的財産政策部会 第28回特許制度小委員会 議事要旨

1.日時・場所

日時:平成22年6月11日(金曜日)10時00分から12時00分

場所:特許庁庁舎16階 特別会議室

2.議題

  1. 特許の有効性判断についての「ダブルトラック」の在り方について
  2. 侵害訴訟の判決確定後の無効審判等による再審の取扱いについて

3.議事概要

(1)特許の有効性判断についての「ダブルトラック」の在り方について

資料1「特許の有効性判断についての「ダブルトラック」の在り方について」に沿って事務局から説明を行った。
その後、自由討議を行ったところ、その概要は以下のとおり。

<検討の方向について>

  • 実務的な感覚としては侵害訴訟も特許庁の審判も速くなっており、特許庁の審判が先に結論が出る例が多いという現状に鑑みA案でいいのではないか、という意見が私どもの調査では多かった。
  • 「ダブルトラック」により、二つのところで同じことをやらなければならないということに疑問を感じていたが、どちらかにルートを統一した場合に不都合を回避し得ないのではないかと考え、最終的には現行制度の運用で解決していくということ(A案)でやむを得ないのではないかと考える。
  • 侵害訴訟への一本化にとどまらず、対世的な特許の有効・無効の判断をも裁判所が行政訴訟として担当できるようにするところまで行くことが制度的には理想と思っている。しかし、紛争解決の迅速化等の問題点はここ十数年で改善されつつあると考えており、裁判所への一本化は制度的にはいろいろな問題を生起するから、将来的な裁判所への一本化を視野に置きながら、現行の制度を前提として、それにより起きてくる歪みとしての問題を取り除きながら現行の制度をよりよく運用していくこと(A案)が、今この審議会で近未来的な制度を考える場合には一番必要なことと思っている。
  • 無効審判のさらなる審理の迅速化等、進行調整の運用の改善を図ることについて十分に検討していただくという条件を付けて、A案に賛成。
  • 現行制度を維持しつつ運用改善を図った上で、その効果を見極めながら、「ダブルトラック」問題を今後どうしていくかについて、また改めて検討することをお願いしたい。
  • 当初は制度の効率性という問題も含めてどちらかに一本化することを考えていたが、各委員の意見を伺って、A案でよいと思っている。ただし、A案を前提にしたとき、(イ)法的安定性の観点から再審の問題を解決する制度が必要であること、(ロ)無効審判ルートについて、一回的な解決を図る制度が不可欠であること、(ハ)一次審決を侵害訴訟の審理に活用するためには、侵害訴訟における侵害論の審理を終えるまでに一次審決が出ていることが望ましいこと、は指摘させていただく。

<無効審判ルートと侵害訴訟ルートでの判断齟齬について>

  • 一部のケースで判断齟齬が生じるとしても、2つのルートが併存してダブルチェックをするということの方が、現状、特許の有効性を担保する意味で役立っているのではないかと考える。
  • 判断齟齬については、判断主体やその仕組みも違っていることから、それはそれで仕方がなく、特に問題視するつもりはない。
  • 侵害訴訟での判決後に無効審決や訂正審決という形で違った結論が出るということは法的な安定性を著しく欠くと思っている。本日この後で議論する再審の可否という問題の解決が、「ダブルトラック」問題の一番の大きな解決点であると思っており、そういった意味で、法的な安定性のある制度設計をお願いしたい。

<無効審判の審理期間の短縮化について>

  • 方向性としては、審理期間を短縮してより便利にしていくことは重要だが、審理期間は短ければ短いほどいいというものなのか、あまり審理が速すぎるということがかえって当事者に不都合なケースもあるのかどうか、期間短縮の目標としてどれくらいがいいのかなどについても配慮する必要があると思う。
  • 無効審判の一次審決が侵害訴訟の口頭弁論終結前に出てくるようにして、地裁がその一次審決を踏まえた上で侵害訴訟で有効、無効を判断するという形を実現することが一番実務に即していると思う。
  • 審決の方が侵害訴訟の一審判決よりも先に出ているという統計資料が示されているが、侵害訴訟では侵害論についての主張、立証を尽くした上で損害論に入るかどうかの心証開示をしている。損害論に入るまでの間に審決が出されれば侵害訴訟の審理に資するものがあると思うが、一審判決より前であっても、口頭弁論終結後判決前に審決が出るというような事態も多々あるので、審決が出るのがもう少し早いほうがいいという意見の裁判官も多い。
  • 知財高裁において、二つの訴訟(侵害訴訟の控訴審と審決取消訴訟)を一度に一つの裁判体でやるとなると、審理は二つの訴訟のうち遅い方に合わせることになり、極端な事案では、不利な当事者の方がダブルトラックを引き延ばしに利用するということもないわけではない。無効審判ルートについてさらなる審理の迅速化が行われれば侵害訴訟の審理にも資するのではないかと思う。

<その他>

  • 個別の事案を見れば、侵害訴訟と無効審判が同時並走したことにより、当事者にはかなり負担が大きかったと想定されるケースもある。
  • 現行の無効審判は何回でも請求できる制度となっている。ダブルチャンス以上のことになるようなことがないように、無効審判ルート自体の一回的解決も図っていただきたい。現行制度上は、次回議論予定の訂正の場合だけでなく、審決取消訴訟の審理範囲の問題も含め、無効審判ルートのさまざまな場面でキャッチボール現象が起こるような仕組みになっている。「ダブルトラック」を認める以上は、無効審判ルートでも一回的解決をしていただきたい。
  • 審決取消訴訟の審理範囲の問題は、今回は直接取り上げられていないが、今後の問題としてまだ残されている重要な論点だと思うので、検討する機会が必要であると思う。

(2)侵害訴訟の判決確定後の無効審判等による再審の取扱いについて

資料2「侵害訴訟の判決確定後の無効審判等による再審の取扱いについて」に沿って事務局から説明を行った。
その後、自由討議を行ったところ、その概要は以下のとおり。

<検討の方向について>

  • 現状で再審を制限、あるいは無効審決の遡及効を制限することについては、根強い反対の意見・感情もある。この背景としては、外国文献等の発見しにくい証拠が後から見つかった場合や、第三者が無効審判を申し立てて無効審決が確定した場合においても、いったん侵害訴訟で確定判決をもらった当事者は支払い済みの損害賠償金について不当利得返還請求ができないことになるが、感情としてはやはり不当利得ではないかというところが残るということがあるのだろうと思う。そのような慎重論もあることを承知した上で審議をしていただければと思う。
  • 特許権の最終的な効果は研究開発を促すことにあると思うので、やはり権利が早期に安定することは非常に重要であり、無効を主張する人も含めて裁判所や特許庁に早く情報を出させることが非常に重要だと思う。そういう意味では、この提案(A案)は、無効を主張する人に、裁判所にできるだけ早く確実な情報を提出するというインセンティブが働くことになると思うので、基本的な方向性としてはいいのではないか。また、外国文献を探すのに時間がかかるとの指摘もあるが、制度が変われば、それに合わせて早く情報を収集することにもなるのではないか。
  • 十分手続保障がされ攻撃防御が尽くされて最終判決に至った侵害訴訟の判決は尊重されるべきである。特許権を行使した段階では排他的、独占的権利として保障されていたにも関わらず、その後特許が無効になったことでそれがすべて覆ってしまう(再審事由になり、侵害訴訟の確定判決に基づき支払われた損害賠償金について不当利得返還請求権が生じる)ことの不合理は、「ダブルトラック」制度の1つの歪みなので、きちっとした制度の改正を行うべきと思う。結論的にはA案に賛成。
  • 特許権者にとっての法的安定性の確保、侵害訴訟の審理を充実させるという特許法第104条の3第2項の趣旨が没却されるような事態が別ルートで起こらないための手当ての必要性、無用な無効審判請求の誘発の防止、などの観点から、再審を制限する手当ては絶対的に必要だと思う。B案では、特許権者にとって法的安定が得られないと思うし、口頭弁論終決直前になって時機に後れた抗弁を出すことが許されることになるので、特許法第104条の3第2項の趣旨の達成が図れないことになるのではないかと思う。したがって、A案に賛成。
  • 私どもの調査では、A案の支持がやや多いようだ。
  • 法律のシステムとして、蒸し返しや、行政と司法との間で生じる無駄を認めるべきではないと思うので、基本的にA案が優れていると思う。
  • A案でよいと思う。いったん侵害訴訟で十分に審理されて出た判断をその後の審決確定によって覆すのは、非常に安定性を欠くということになると思う。
  • A案で結構かと思う。侵害訴訟口頭弁論の終結前に一次審決があって、それを踏まえた上で判決が出るという流れが望ましいと考えているところ、A案によれば、審判請求を早めにしないと間に合わないことになるので、私どもが考えている流れと非常に整合的である。

<再審を制限する方法について>

  • 審決確定は侵害訴訟の再審事由に該当しない旨を規定するという方法はいろいろな問題を呼びそうであり、かなり検討すべき事がありそうだと感じていたが、今回提案されている確定審決の遡及効を制限する方法は手続法学者から見れば比較的シンプルなものであると感じる。
  • 確定審決の遡及効の制限について、根拠をどのように整理するかは一つの問題。特定の人との関係、あるいは特定の判決との関係でのみ遡及効を制限することは、行政法の一般理論からもやや異例に属していることは間違いないかと思うので、さらなる慎重な検討が必要ではないかと思う。
  • 再審の制限の仕方は、特許法の中で解決をする(確定審決の遡及効を制限する)方法によるという事務局案に賛成。

<遡及効を制限する範囲について>

差止めについては更に検討が必要であり、侵害訴訟の当事者間では無効審決が確定した後についてだけ無効が主張できると考えれば、無効審決が確定する前に差止判決に違反していた場合には、審決確定後に損害賠償等が可能であり、既に間接強制等の決定が出ている場合には無効審決の後もその間接強制決定を債務名義として間接強制金の取立てができることになると思われるが、そのような結果の妥当性を含めて、なお遡及効の制限の範囲については検討が必要と思う。

<差止めを命じる判決について>

侵害訴訟の当事者間では無効審決が確定した後についてだけ無効が主張できると理解すれば、無効審決確定後は当事者間においても実体的な差止請求権が消滅するのではないかと思う。そうであるとすれば、これは侵害訴訟の判決基準時後に実体権が変動しているということになるため、差止請求認容判決の強制執行の請求異議事由になると思う。資料2の12頁では、差止請求認容判決が無効審決の確定を解除条件としているという説明がされているが、必ずしもそういう説明をする必要はない気もする。また、訂正認容審決が確定した場合も同様に請求異議事由になると解するのが素直と思う。

<確定判決に基づく支払いが未だなされていない場合について>

  • 遡及効制限の範囲については、侵害訴訟の当事者間では無効審決が確定した後についてだけ無効が主張できる形にするのがシンプルと思う。そういう意味では、まだ取立て前であっても、判決が既に確定している以上は遡及効は制限されて、その判決は有効な債務名義となり強制執行ができるという帰結になるのがおそらく素直なのだろうと思う。
  • 判決の既判力と執行力は一体であるべきだから、未執行の場合等について執行力を制限するような例外規定は設けず、後は請求異議訴訟や民事執行手続において、権利濫用論や信義則を絡めて裁判所が妥当な判断を示すことに委ねていいのではないか。

<延長登録無効審判との関係について>

特許法第104条の3の抗弁が可能である場合には、条文上、延長登録が無効にされるべき場合は含まれていないが、延長登録の無効事由がある特許権に基づく侵害訴訟では、キルビー抗弁を主張することはおそらくできるのではないか。再審の制限について、延長登録無効審決の確定は無効審決の確定と同じように扱う必要があると思うので、もしそうであれば、特許法104条の3に延長登録が無効にされるべき場合も含めて規定をして、併せて再審の制限もするということが、一番分かり易いのではないかと思う。

<上告等の制限について>

侵害訴訟の上告審の段階で審決が確定する場合について、民事訴訟法第325条第2項の明らかな法令違反による破棄事由になり得るかというところが問題になる。この点はきちんと議論をしておいた方がいいと思う。

<刑事訴訟法の再審事由との関係について>

刑事事件は人権に関わる問題であるから、刑事事件については審決の遡及効が及ぶという結論にすべきと考える。

<仮処分との関係について>

本案訴訟との関係で審決の遡及効を制限する根拠が、十分な手続保障のもとで攻撃防御が尽くされたということにあるのだとすれば、仮処分における審理は基本的には疎明に基づいているので、本案訴訟に比べてその手続保障が十分でないことは明らかだから、仮処分との関係で遡及効を制限することは難しいのではないかと思う。ただ、本案訴訟においても請求が認容された場合には、仮処分で認められた部分は本案訴訟の判決においてオーソライズされているように思えるので、その部分との関係では十分な手続保障があったと認めて遡及効を制限することが相当ではないかと思う。ただ、そのような効果が法解釈上当然導かれるかという問題があるので、そのような効果が相当であるとすれば、何らかの明文の規定を設ける必要がある気もする。

<その他>

A案は、侵害訴訟ルートの先行を許すという潜在的な作用も持っているから、一次審決がなるべく早期に出るような審判審理の集中化、効率化について、きちんと制度設計をお願いしたい。審判請求の副本送達にかかる期間が短くないこと、代理人の印鑑は裁判だと代印で認められるところ審判請求の場合は代理人全員の印鑑を押さなければ受理されないこと等の細かい点も含めて審判審理が迅速になるよう改善していただければと思う。

[更新日 2010年7月21日]