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産業構造審議会 知的財産政策部会 第29回特許制度小委員会 議事要旨

1.日時・場所

日時:平成22年6月25日(金曜日)10時00分から12時00分

場所:特許庁庁舎16階 特別会議室

2.議題

  1. 無効審判ルートにおける訂正の在り方について
  2. 無効審判の確定審決の第三者効の在り方について
    同一人による複数の無効審判請求の禁止について
  3. 審決・訂正の部分確定/訂正の許否判断の在り方について

3.議事概要

(1)無効審判ルートにおける訂正の在り方について

資料1「無効審判ルートにおける訂正の在り方について」に沿って事務局から説明を行った。
その後、自由討議を行ったところ、その概要は以下のとおり。

<検討の方向について>

  • キャッチボール現象は非常に問題だと思っており、今回提案のあった予告審決を導入してうまく機能すれば、課題を解決できるだろう。
  • キャッチボール現象は非常に問題だと思っていたので、その解消の方法が提案されたことは歓迎するが、キャッチボール現象の解消の仕方としては、提案された方法が唯一ではないと思っている。今回の提案のような制度をとった場合に、審決取消訴訟提起後には一切訂正審判請求はできないことになるが、将来、仮に審決取消訴訟の審理範囲が広くなったときには、訂正審判請求が可能になるような制度設計もあっていいのではないか。
  • キャッチボール現象が解消して、100日程度の審理短縮が見込まれるということで、今回の提案に賛成したいと思う。
  • 中小企業の立場からすると、キャッチボール現象による引き延ばしがなされると、体力勝負を強いられることになり太刀打ちできないし、信用問題にも関わる。キャッチボール現象は絶対解消するべきである。
  • 発明をできる限り保護するという立場からは、方向性としてはヨーロッパで採用されているような予備的な訂正請求を認めることが本来望ましいとは思う。しかし、今回提案の制度で、予告審決後の弁駁の後に無効理由が通知されることで、減縮させてでも特許になる機会を残すという制度として運用するということであれば、特に反対はしない。

<予告審決について>

  • 予告審決に対して、意見書の提出は許可しないということであるが、私どもの中には、予告審決に対して訂正請求をすることだけではなく、意見書の提出も認めてほしいという意見があった。
  • 予告審決に対して争わせない前提だとすると、予告審決が間違っているとしても、予告審決後の訂正請求、弁駁の段階で予告審決に対する違法を主張できないことになると思う。ただ、現実の問題としては、そこで予告審決の妥当性等に関して議論が紛糾することが考えられると思う。その場合に、予告審決に対するやりとりがあまり長く続くと審理が遅延してしまうので、あまり議論が紛糾しないやり方を工夫していただきたい。
  • 予告審決自体に不満がある当事者は、最終の審決に対する取消訴訟の中で予告審決の違法性についても争うことができるのかなど、議論をすべき問題は残っている。裁判では中間判決という制度があり、終局判決が出ると終局判決に対する上訴の中で中間判決についての違法も争えることになる。予告審決の位置づけを考える上で、それを1つのヒントにしてはどうか。
  • 予告審決の位置づけを、中間判決のようなものにするのか、それとも心証開示のようなものにするのか、予告審決の名称とも関わってくると思うが、各委員によってイメージしているところが違うように思える。

<審判の再係属後について>

  • 特許法第181条第1項により審決が取り消され審判が再係属した後は予告審決を行わないということであるが、特許権者にとってみると、再係属後の判断はなかなか予測しがたいものであり、このような場合に予告審決の必要性は一切ないということでいいのかが多少問題と思う。
  • 審決取消訴訟提起後の訂正審判請求が一律に禁止されても、必要があれば審判の再係属後に訂正の機会が与えられるとのことであるが、訂正の機会というのは、特許権者にとって自らの権利を守る防御の機会であるから、なるべく特許権者の権利を損なわないような運用をお願いしたい。

<その他>

  • キャッチボール現象には、今回の提案で対応できるもの以外にも、いくつもの種類があって、かつそれぞれが複雑に絡み合っている。今回の提案により、審決取消訴訟提起後の訂正審判請求に起因するキャッチボール現象について改正をすれば、他のキャッチボール現象についてもいろいろなところに波及効果が及んでくるということは念頭において進めるべき。
  • 訂正審判請求に起因するキャッチボールは、その他のキャッチボールと切り離して解決することはできるものだと思う。

(2)無効審判の確定審決の第三者効の在り方について、及び同一人による複数の無効審判請求の禁止について

資料2「無効審判の確定審決の第三者効の在り方について」、及び資料3「同一人による複数の無効審判請求の禁止について」に沿って事務局から説明を行った。
その後、自由討議を行ったところ、その概要は以下のとおり。

<無効審判の確定審決の第三者効の在り方に関する検討の方向性について>

  • 特許法第167条の第三者効については非常に問題が多い。
  • 特許法第167条の第三者効の違憲説については、同一事実及び同一証拠であっても侵害訴訟において特許法第104条の3に基づく主張をすることが可能であり、また差止請求権及び損害賠償請求権不存在確認の訴えでも十分争うことができることからすれば、これで第三者の裁判を受ける権利を禁じていることにはならないと思う。日本の特許法が見習ったオーストリア法において制度が廃止されたから日本も見習うというのは主体性のない話ではないか。現状の特許法第167条の第三者効の規定で問題になっている実例は極めて少なく、大きな弊害が生じているわけではないということになると、現行制度維持のA案でいいのではないか。
  • 特許法第167条の第三者効は廃止すべきではないか。無効不成立審決が確定した後に特許法第104条の3で同一事実、同一証拠に基づいて無効の抗弁が認められ、権利行使が認められなかった場合に、それでも同一事実、同一証拠では無効審判請求ができず登録簿上は特許権が残るとすれば、特許法第167条の趣旨が特許権の安定にあるということは合理性を欠くのではないかと思う。特許法第104条の3がある現在においては、特許法第167条を同一人に関してのみ残すとして、その趣旨を紛争の一回的解決に求めたほうが、制度上より適切な理解になるのではないか。
  • 現行制度維持のA案でも格段の問題は生じないと思うが、憲法第32条との関係で問題が残るのであれば、第三者効を廃止するB案でも一向に構わない。
  • 企業の立場としては、特許法第167条の第三者効については、廃止しても特に支障はないと考えている。
  • 特許法第167条については、同一人のみ制限すること(B案)に賛成。現行法は制度として憲法上の疑義があると思う。特許法第104条の3の抗弁が可能であるから問題はないというのは、筋が通っていないように思う。第三者効の有無による影響はあまりないということであれば、理路整然とする方向に持って行くべきではないか。
  • 民事訴訟においても、判決の効力が第三者に拡張する場合がいくつかある。例えば、身分関係の訴訟、株主総会決議取消訴訟、あるいは行政処分取消訴訟等である。このような場合に、憲法第32条あるいは第三者の手続保障の観点から問題があるのではないかということは、民事訴訟法学会でも共有されている問題意識である。これらの制度については、以下のような視点から総合的に判断して、憲法違反ではないと考えられている。まず、判決の効力を第三者に拡張することについてのかなり強い必要性が認められるか。また、必要性があるというだけでなく、その許容性として、第三者の手続保障が実質的に確保できるような制度があるか。例えば、(イ)職権主義が採用されており、そこにいない第三者の利害を実質的に手続に反映し真実の発見等を確保できる手続、(ロ)当事者適格を限定して、第三者の利害も確保できる適切な当事者が訴訟を追行できるような措置、(ハ)訴訟が係属していることが第三者に知り得る状態になっていて、利害関係を持つと考える第三者が訴訟に参加する機会が保障される制度、(ニ)詐害再審のような、馴れ合い訴訟に対応する制度、などが設けられているか。特許法第167条の第三者効についても、上記のような視点から総合的に判断して、第三者の手続保障が実質的に確保できていると言えるのであれば、憲法違反にならないという理解が一応可能ではないか。
  • 特許法第167条の第三者効があったとしても、特許法第104条の3の抗弁は制限されないという考えが有力であると思うが、権利行使しようとしても抗弁を主張されてしまうことが予想されるような、実際には空権のような状態になっているにもかかわらず、原簿上は登録が残ったままで消すことができないということは、登録の公示機能の観点からして良いことなのか考える必要があるのではないか。
  • オーストリアでは手続保障が重要だという理由で違憲とされた。オーストリアに従う必要はないとの意見もあるようだが、憲法上の疑義があるものが法典上残っているのが好ましいのかという問題もある。

<同一人による複数の無効審判請求の禁止に関する検討の方向性について>

  • 特許法第167条の「同一の事実及び同一の証拠」という条件は、同一請求人との関係でみるとあまりにも狭い範囲であり、少し証拠を変えれば別の無効審判請求ができる仕組みとなっている。無制限に同一人に請求を繰り返させることを許容する仕組みは、民事訴訟法の一般原則(例えば、既判力や訴訟上の信義則)の観点からすれば問題があるので、何らかの形で制限をするべきではないか。B案(同一人による複数の無効審判請求を禁止する案)の課題について、(イ)の課題では、無効審判制度の公益的機能だけがあまりに強調されているように感じる。また、(ロ)の課題では、1つの審判請求事件についての審理促進に重きがおかれており、1つの特許権をめぐる紛争全体についての審理促進の観点に欠けていると思う。また、(ハ)の課題については、ダミーによる請求が可能だから実効性がないということには繋がらないと思う。また、(ニ)の課題について、前回、特許権の侵害訴訟での結論を安定的にするという趣旨で侵害訴訟の判決確定後の審決確定による再審を制限するという議論をしたことからしても、差止を解除する手段を与えるために再度の無効審判請求をさせるべきとの整理には賛同し難い。2回目以降の無効審判請求を完全に制限するということではなくても、2回目以降に何らかのかたちで制限を課すという方向についても十分に検討をするべきである。また、無効審判制度の趣旨、目的について、紛争解決機能、公益的機能のいずれに重点を置くのかということは十分に議論していただきたい。
  • 1つ審判請求事件の審理が遅延するかどうかではなく、1つの特許権をめぐる紛争全体の解決が迅速に行われるかどうかで見るべきだという視点からすれば、同一人の複数の無効審判請求を制限するという制度は取り得ないことはないと思う。ただし、そのためには、1つは、審判請求書の要旨を変更する補正を制限している制度を廃止しなければならない。もう1つは、無効な特許が許容されないように審判官は職権主義をもっと働かせるべきという議論も出てくる。また、上記のような視点からすれば、審決取消訴訟の審理範囲の制限を撤廃もしくは緩やかにする、相当な理由があれば知財高裁による破棄自判を可能とするなどのことも総合的に検討して方向性を出さなければならず、今の制度の中では、そう簡単には同一人による無効審判請求を1回には制限できないだろう。したがって、同一人による無効審判請求を制限しないという今回の事務局の結論(A案)に賛成はするが、これらの点を含めた制度改正のあり方について、是非とも特許庁として積極的に検討してほしい。
  • 同一人による無効審判請求については、できる限り1回にするべきと考えるが、新たな無効理由の提出について、審決取消訴訟の段階ではできないといった点や、無効審判の段階でも一定の制限が課されているといった点の問題をクリアにする必要があると思う。
  • 同一人による複数の無効審判請求の禁止については、現行どおりのA案に強く賛成したい。前回議論のあったように、侵害訴訟の判決確定後の審決確定による再審を制限することとなると、実務の流れとしてはなるべく早く無効審判請求をすることになる。そうすると、同一人が複数の無効審判を請求する場合でも、おそらく請求の時期は揃ってくることになるので、審理を併合するという手段も採りうる。さらに、ある侵害被疑物品についての侵害訴訟における原告勝訴判決、及び無効審判請求の不成立審決が確定した後に、当該被告がその被疑物品とは異なる改良品を市場に出そうとする際に、新たに無効理由を発見したときには、まず当該特許を無効にしておきたい。同一人による複数の無効審判請求を禁止してしまうのは、このような手段を選ぶことができなくなる点で非常に問題である。
  • 同一人による複数の無効審判請求は実務的に非常に難しい問題。直感的には現状よりもう少し制限してもいいのではないかとも感じるが、実際の実務では文献調査のかなり後のほうで海外の文献が発見されることなどもあるので、実務的にはなかなか難しい事態になるだろうと感じる。侵害訴訟では、ある程度の時期までに出てきた証拠にだけ基づいて判断し、それに当事者が拘束されるということでよいと思うが、その後に発見された新たな文献に基づいて無効審判を請求することまでをも制限することはいかがなものかという感じがする。

(3)審決・訂正の部分確定/訂正の許否判断の在り方について

資料4「審決・訂正の部分確定/訂正の許否判断の在り方について」に沿って事務局から説明を行った。
その後、自由討議を行ったところ、その概要は以下のとおり。

<検討の方向性について>

  • A案を前提に、資料の「5.まとめ」に記載されているような点にも考慮した上で進めてもらいたい。
  • 請求項ごとに可分な取扱いをするという考えをとるのが、理論的には正しいと思っている。ただ、その場合には明細書の一覧性が大きく阻害されることに留意しなければならない。簡単でないことは分かっているが、明細書の一覧性を保つために創意工夫をすることは、特許庁がやらなければならないことだと思っている。ユーザーニーズにできるだけ早急に応える必要があるとの視点からすれば、請求項ごとに可分な取扱いをする方向で法改正をするという結論をここで出すことも良いが、明細書の一覧性の問題等についてユーザーに迷惑をかけないきっちりとした制度設計を示してから法改正を行うのが一番妥当である。
  • この問題は当方でもかなり議論を重ねてきたが、なかなか結論がでない。原理原則からすればA案が一番すっきりしているように思う。ただ、実務に不慣れな方が権利内容を正しく把握できるのかという問題も考えると、B-1案で明細書の一覧性をある程度担保することが妥当ではないかと思う。B-1案の付帯条件とされている、引用関係にある請求項同士については、書き下しをする場合は請求項単位に判断されることが保障され、書き下しをしない場合は当該請求項同士は一体不可分に扱われるということは、非常にすっきりしていて良い。
  • 今までの日本の制度との整合性でいくとA案やB案の方向だろうと思うが、国際的に調和しない方向に向かっているという矛盾を強く感じる。一方、国際的に完全に調和しようとすることは、色々な制度を全部変えていかなければならないことになって今回の改正ではなかなか難しい。B-2案は一応国際的な調和に反するわけではないとの説明がされているので、事務局でさらに検討して、将来のC案への方向転換の余地を残した法改正にしてはどうか。
  • 最高裁の判決で、訂正請求については請求項単位説が明確になったのだから、そこを出発点として考えざるをえないのではないか。訂正審判についての最高裁判決の傍論が議論を呼んでいるため、ユーザーにとっては、一体不可分説であるのか、請求項単位説であるのかが不明確な状況が生じていると思う。その点を明確にすることも一つのあり方だろうと思う。一番議論すべきところは、請求項単位案にしたときの問題点として挙げられている明細書の一覧性の問題の解消方法であり、この解消方法が決まれば、訂正審判についても請求項単位で扱うことで、あまり問題はなくなるのではと思う。

<明細書の訂正の禁止について>

B-1案では明細書の訂正を禁止すると記載されているが、我々が明細書の訂正をする理由は、訂正後の特許請求の範囲と明細書の記載との整合が形式上保たれなくなると、裁判所が技術的範囲の解釈をする場合、あるいは記載要件の判断をする場合に、何らかの不都合が生じるのではないかという潜在的不安があるからである。ただ、実際には限定的減縮をしているのだから元の明細書に記載されている範囲で特許請求の範囲が狭まっているはずで、明細書をよく読んでもらえれば記載不備の問題もないはずである。明細書の訂正の禁止が法定されれば、技術的範囲の解釈について、裁判実務でも合目的的あるいは合理的な判断がされると期待できる。その一方、明細書の訂正が一律で禁止されるとなると、誤記の訂正もできなくなることや、明細書の訂正が本当に必要ないのかということについて潜在的な不安がある。この点については、特許権者や出願人が、明細書の訂正についてどのような意見を持っているのかを尊重するべきと考える。

[更新日 2010年7月30日]