異議の決定


異議2018-685013
8F, World Merdiang 2 Cha, 123, Gasan digital 2-ro, Geumcheon-gu Seoul (KR)
 商標権者  
OSSTEMIMPLANT CO., LTD.
大阪府大阪市中央区道修町一丁目7番1号 北浜TNKビル
 代理人弁理士
特許業務法人三枝国際特許事務所
  
アメリカ合衆国 92612 カリフォルニア州 アーヴィン、デュポン・ドライブ 2525番
 商標登録異議申立人  
アラーガン、インコーポレイテッド
東京都千代田区丸の内3丁目3番1号
 代理人弁理士
中村 稔
  
東京都千代田区丸の内3丁目3番1号
 代理人弁理士
松尾 和子
  
東京都千代田区丸の内3丁目3番1号
 代理人弁理士
井滝 裕敬
  
東京都千代田区丸の内3丁目3番1号
 代理人弁理士
藤倉 大作
  


 
  
 国際登録第1359140号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。



 結 論
  
 国際登録第1359140号商標の商標登録を維持する。



 理 由
  
1 本件商標 
 本件国際登録第1359140号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「BLTox」の欧文字を横書きした構成からなり、2017年(平成29年)6月9日に国際商標登録出願、平成30年7月6日に登録査定、第5類「Local anesthetics; topical analgesics; topical analgesic creams; medicinal alcohol; topical first aid gels; inhalant anesthetics; general anesthetics; anesthetics for non-surgical use; anesthetics for surgical use; pharmaceutical preparations and substances for use in the field of anesthesia; anaesthetics.」を指定商品として、同年9月7日に設定登録されたものである。
        
2 引用商標
 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する商標は、以下のとおりである。
(1)登録第2720907号商標(以下「引用商標1」という。)
 商標の構成:「BOTOX」及び「ボトックス」の2段書き
 登録出願日:平成3年7月25日
 設定登録日:平成9年4月25日
 指定商品 :第5類「中すう神経系用薬剤、末しょう神経系用薬剤、感覚器官用薬剤」
(2)登録第4049836号商標(以下「引用商標2」という。)
 商標の構成:ボトックス
 登録出願日:平成7年6月8日
 設定登録日:平成9年8月29日
 指定商品:第5類「薬剤」
 防護標章登録第1号
 指定商品・役務:第3類、第10類、第41類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
 防護標章登録第2号
 指定商品・役務:第29類、第32類、第35類、第42類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
(3)登録第4643302号商標(以下「引用商標3」という。)
 商標の構成:「BOTOX」及び「ボトックス」の2段書き
 登録出願日:平成12年12月28日
 設定登録日:平成15年2月7日
 指定商品 :第5類「神経障害治療用薬剤,筋失調症治療用薬剤,平滑失調症治療用薬剤,自律神経失調症治療用薬剤,頭痛薬,しわ治療用薬剤,多汗症治療用薬剤,スポーツ障害治療用薬剤,脳性麻痺治療用薬剤,痙雉治療用薬剤,震え治療用薬剤,鎮痛剤,その他の薬剤」
(4)登録第4643303号商標(以下「引用商標4」という。)
 商標の構成:別掲2のとおり
 登録出願日:平成12年12月28日
 設定登録日:平成15年2月7日
 指定商品 :第5類「神経障害治療用薬剤,筋失調症治療用薬剤,平滑失調症治療用薬剤,自律神経失調症治療用薬剤,頭痛薬,しわ治療用薬剤,多汗症治療用薬剤,スポーツ障害治療用薬剤,脳性麻痺治療用薬剤,痙攣治療用薬剤,震え治療用薬剤,鎮痛剤,その他の薬剤」
(5)登録第5065393号商標(以下「引用商標5」という。)
 商標の構成:BOTOX(標準文字)
 登録出願日:平成19年1月31日
 設定登録日:平成19年7月27日
 指定商品 :第5類「神経障害治療用薬剤,筋失調症治療用薬剤,平滑失調症治療用薬剤,自律神経失調症治療用薬剤,頭痛薬,しわ治療用薬剤,多汗症治療用薬剤,スポーツ障害治療用薬剤,脳性麻痺治療用薬剤,痙攣治療用薬剤,震え治療用薬剤,鎮痛剤,その他の薬剤」
 防護標章登録第1号
 指定商品・役務:第3類、第10類、第41類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
 防護標章登録第2号
 指定商品・役務:第29類、第32類、第35類、第42類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
 以下、上記引用商標1ないし引用商標5をまとめていうときは、引用商標という。
 
3 登録異議の申立ての理由
 申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
 本件商標は、我が国を指定国とする国際登録であり、その国際登録の日である平成29年6月9日にされた商標登録出願とみなされることから、本件商標は、引用商標よりも後願であることは明らかである。
 本件商標と引用商標1及び引用商標3ないし引用商標5の欧文字部分「BOTOX」は外観において類似する。
 さらに、本件商標は、「ブルトックス」の称呼を生じるのに対し、引用商標は「ボトックス」の称呼を生じるものであり、両商標は称呼において類似する。
 また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。
 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
 商標「BOTOX」及び「ボトックス」は、申立人の商標として我が国はもとより世界中で広く知られいてるから(甲8~甲18)、これと類似する本件商標がその指定商品に使用された場合、当該商品は、申立人又はその関連会社の業務に係る商品であるかのごとく認識されることとなり、商品の出所について混同を生じるおそれがある。
 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(3)商標法第4条第1項第19号について
 本件商標は、公正な取引秩序を害し、不正な目的をもって使用されようとするものである。
 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当するものである。
 
4 当審の判断
(1)引用商標2及び引用商標5の周知性について
 申立人の証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
 ア 申立人は、医療用医薬品メーカーであって、1989年に眼瞼の痙攣等の顔面痙睾症状を治療するための薬剤(以下「申立人商品」という。)を開発し、「BOTOX」と命名してアメリカ合衆国で承認されて以来、2003年までに70か国以上、現在では85か国で承認されている。
 また、我が国において、「BOTOX」は、1995年2月に承認され、1997年4月から販売が開始され、1997年から2005年の売上額は、増加傾向にある。
 さらに、「BOTOX」及び「ボトックス」は、筋弛緩作用の応用によりしわやたるみの除去などの美容整形にも適応することが判明し、一般の美容整形目的でも使用されるようになった。
イ 申立人は、引用商標2及び引用商標5の著名性の証拠として、平成24年2月10日に登録された防護標章登録証(甲8、甲9)、平成17年9
月9日に決定された異議決定(甲10)、平成20年2月15日、同21年2月17日、及び同年9月4日付けの審決(甲11~甲13)、平成18年8月21日付けの拒絶理由通知書及び同年11月20日付けの拒絶査定(甲14)を提出しており、上記異議決定及び審決等においては、その周知性が認められている。
 ウ しかしながら、本件商標の登録出願時及び登録査定時における引用商標2及び引用商標5を使用した申立人商品についての我が国における市場占有率(販売シェア等)、売上高、宣伝広告の実績などを把握することができる資料は提出されていないことから、引用商標2及び引用商標5の周知性を推し量ることができない。
 そうすると、申立人が提出した証拠をもってしては、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国において、引用商標2及び引用商標5が申立人商品を表すものとして、需要者の間に広く認識されていた商標と認めることができない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
 ア 本件商標について
 本件商標は、別掲1のとおり、「BLTox」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、辞書類に載録されている既成の語ではなく、特定の意味合いを表す語として知られているものともいえないことから、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として看取、理解されるとみるのが相当であり、その構成文字から「ビーエルトックス」又は「ビーエルティオックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
 イ 引用商標について
(ア)引用商標1及び引用商標3は、前記2(1)及び(3)のとおり、「BOTOX」の欧文字及び「ボトックス」の片仮名を2段に書してなるところ、両文字は、いずれも辞書類に載録されている既成の語ではなく、特定の意味合いを表す語として知られているものともいえないことから、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として看取、理解されるとみるのが相当であり、また、下段の「ボトックス」の片仮名は、上段の欧文字の読みを表したものと無理なく認識されるものである。
 してみれば、引用商標1及び引用商標3は、その構成文字全体から「ボトックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(イ)引用商標2は、前記2(2)のとおり、「ボトックス」の片仮名を標準文字で表してなるところ、上記(ア)と同様に、その構成文字から「ボトックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(ウ)引用商標4は、別掲2のとおり、図形と「BOTOX」の文字からなるところ、その構成中の「BOTOX」の文字部分から、上記(ア)と同 様に「ボトックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(エ)引用商標5は、前記2(5)のとおり、「BOTOX」の欧文字を標準文字で表してなるところ、上記(ア)と同様に、その構成文字から「ボ トックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
 ウ 本件商標と引用商標との類否について
(ア)本件商標と引用商標1及び引用商標3とを比較すると、両者は、それぞれ上記ア及びイ(ア)のとおりの構成からなるところ、外観においては、欧文字の2文字目における「L」と「O」の相違及び「ox」と「OX」の小文字と大文字の差異並びに片仮名の有無という点において異なるから、明確に区別できるものである。
 次に、称呼においては、本件商標から生じる称呼と引用商標1及び引用商標3から生じる称呼とは、その構成音、音数などが明らかに相違するものでるから、称呼上、明瞭に聴別できるものである。
 さらに、観念においては、本件商標と引用商標1及び引用商標3は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上比較することができない。
 そうすると、本件商標と引用商標1及び引用商標3とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において紛れるおそれがないから、非類似の商標とみるのが相当である。
(イ)本件商標と引用商標2とを比較すると、両者は、上記ア及びイ(イ)のとおりの構成からなるところ、外観においては、明らかな差異を有するものであり、明確に区別できるものである。
 次に、称呼においては、本件商標から生じる称呼と引用商標2から生じる称呼とは、その構成音、音数などが明らかに相違するものであるから、称呼上、明瞭に聴別できるものである。
 さらに、観念においては、本件商標と引用商標2は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上比較することができない。
 そうすると、本件商標と引用商標2とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において紛れるおそれがないから、非類似の商標とみるのが相当である。
(ウ)本件商標と引用商標4とを比較すると、両者は、上記ア及びイ(ウ)のとおりの構成からなるところ、外観においては、図形の有無の差異を有することから明らかに印象が異なるものであり、また、本件商標と引用商標4の文字部分とは、2文字目における「L」と「O」の相違及び「ox」と
「OX」の小文字と大文字の差異を有することから、明確に区別できるものである。
 次に、称呼においては、本件商標から生じる称呼と引用商標4から生じる称呼とは、その構成音、音数などが明らかに相違するものであるから、称呼上、明瞭に聴別できるものである。
 さらに、観念においては、本件商標と引用商標4は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上比較することができない。
 そうすると、本件商標と引用商標4とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において紛れるおそれがないから、非類似の商標とみるのが相当である。
(エ)本件商標と引用商標5とを比較すると、両者は、上記ア及びイ(エ)のとおりの構成からなるところ、外観においては、2文字目における「L」と「O」の相違及び「ox」と「OX」の小文字と大文字の差異を有することから、明確に区別できるものである。
 次に、称呼においては、本件商標から生じる称呼と引用商標5から生じる称呼とは、その構成音、音数などが明らかに相違するものであるから、称呼上、明瞭に聴別できるものである。
 さらに、観念においては、本件商標と引用商標5は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上比較することができない。
 そうすると、本件商標と引用商標5とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において紛れるおそれがないから、非類似の商標とみるのが相当である。
(オ)申立人の主張について
 申立人は、本件商標から「ブルトックス」の称呼を生じ、引用商標から生じる「ボトックス」の称呼と類似する旨主張しているが、仮に、本件商標から、「ブルトックス」の称呼が生じるとしても、これと、引用商標から生じる「ボトックス」の称呼とは、語頭の「ブル」と「ボ」の音の差異を有することから、明瞭に聴別できるものであり、称呼において類似するとはいえないものである。
 エ 小括
 以上のとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
 ア 引用商標2及び引用商標5の周知性について
 上記(1)のとおり、引用商標2及び引用商標5は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表すものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていた商標と認めることができないものである。
 イ 本件商標と引用商標2及び引用商標5の類似性の程度について
 本件商標と引用商標2及び引用商標5とは、上記(2)ウ(イ)及び(エ)のとおり、非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
 ウ 出所混同のおそれについて
 上記ア及びイによれば、引用商標2及び引用商標5は、申立人商品を表すものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていた商標と認めることはできないものであり、また、本件商標と引用商標2及び引用商標5とは、明らかな差異を有する非類似の商標であり、別異の商標である。
 してみれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者が、引用商標2び引用商標5を想起、連想して、当該商品を申立人の業務に係る商品、あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標ということはできない。
 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
 上記(1)のとおり、引用商標2及び引用商標5は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間広く認識されていた商標と認
めることができないものであり、また、外国における周知性を裏付ける証拠の提出はなく、上記(2)ウ(イ)及び(エ)のとおり、本件商標と引用商標2及び引用商標5とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標である。
 さらに、本件商標権者が、引用商標2及び引用商標5にフリーライドする意図など、不正の目的をもって本件商標の使用をするものと認めるに足る具体的事実を見いだすことができない。
 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)その他
 申立人は、「『BOTOX』及び『ボトックス』の周知・著名性を立証するための資料を提出する必要はないと解するので、提出を省略するが、必要ならば提出する用意がある。」旨述べ、さらに、「『BOTOX』及び『ボトックス』の我が国における周知・著名性を立証するための十分な資料を所持しており、提出できる状況にある。」旨の上申書を提出しているが、上記(2)ウ(イ)及び(エ)のとおり、本件商標と引用商標2及び引用商標5とは、非類似の商標であって明らかに別異の商標であるから、仮に、その周知性が認められるとしても、上記(3)及び(4)の判断が左右されないも
のであることから、追加の資料の提出は求めないこととした。
(6)むすび
 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものでないから、同法第43
条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
 よって、結論のとおり決定する。


        令和 1年11月15日

     審判長  特許庁審判官 岩崎 安子
          特許庁審判官 中束 としえ
          特許庁審判官 小田 昌子

 
  
別掲1
(本件商標)
  
 
別掲2
(引用商標4)
  
 
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〔決定分類〕T1651.261-Y  (W05)
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            263
            271
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上記はファイルに記録されている事項と相違ないことを認証する。
認証日 令和 1年11月15日  審判書記官  蓮池 睦人