異議の決定


異議2018-685018
2020 Main Street, Suite 600, Irvine CA 92614
 商標権者  
Parasol Co.
東京都新宿区西新宿5-5-1-1001
 代理人弁理士
大上 寛
  
東京都台東区東上野二丁目21番14号
 商標登録異議申立人  
白元アース株式会社


 
  
 国際商標登録第1319368号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。



 結 論
  
 国際商標登録第1319368号商標の商標登録を維持する。



 理 由
  
1 本件商標
 本件国際登録第1319368号商標(以下「本件商標」という。)は、「PARASOL」の文字を横書きしてなり、2017年(平成29年)2月22日に国際商標登録出願(事後指定)、平成30年6月28日に登録査定、第5類、第16類、第18類、第29類及び第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録簿に記載されたとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年10月19日に設定登録されたものである。
 その後、本件商標の指定商品及び指定役務については、2019年(平成31年)2月26日に国際登録簿に記録された取消しの通報があった結果、第5類「Baby diapers.」、第16類「Disposable diapers; paper diapers.」、第18類「Bags for carrying babies' accessories; diaper bags.」及び第35類「Retail services or wholesales services for baby diapers; Retail services or wholesales services for adult diapers.」とされたものである。
 
2 引用商標
 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する商標は、以下のとおりである。
(1)登録第0375735号商標(以下「引用商標1」という。)は、「PALAZOL」の欧文字と「パラゾール」の片仮名を二段に表してなり、昭和22年10月16日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同24年5月23日に設定登録されたものであり、その後、平成21年6月10日に指定商品を第1類「無機酸類,有機酸類,無機塩類,有機塩類,アルカリ,漂白粉(洗濯用のものを除く。),りん,エチルアルコール,グリセリン,硫黄(化学品),オゾン,酸素ガス,しょうのう,しょうのう油(化学品),蒸留水,人造しょうのう,炭酸ガス,はっかのう,はっか油(化学品),竜のう,硫黄(非金属鉱物)」、第3類「洗濯用漂白粉,じゃ香,香精(精油からなる食品香精以外の食品香精を除く。),芳香油(しょうのう油(化学品)・はっか油(化学品)を除く。)」、第5類「薬剤(蚊取線香その他の蚊駆除用の薫料・日本薬局方の薬用せっけん・薬用酒を除く。),ばんそうこう,包帯,綿紗,綿撒糸,脱脂綿,医療用海綿,オブラート」、第10類「氷のう,水まくら」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第0432112号商標(以下「引用商標2」という。)は、「NEO・PARAZOL」の文字と「ネオ・パラゾール」の文字を二段に表してなり、昭和25年10月30日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同28年9月30日に設定登録されたものであり、その後、平成15年8月13日に指定商品の書換登録を経て、同25年9月17日に更新登録により、指定商品は第1類「無機酸類,有機酸類,無機塩類,有機塩類,アルカリ,漂白粉(洗濯用のものを除く。),りん,エチルアルコール,グリセリン,硫黄(化学品),オゾン,酸素ガス,しょうのう,しょうのう油(化学品),蒸留水,人造しょうのう,炭酸ガス,はっかのう,はっか油(化学品),竜のう,硫黄(非金属鉱物)」、第5類「薬剤(蚊取線香その他の蚊駆除用の薫料・日本薬局方の薬用せっけん・薬用酒を除く。),ばんそうこう,包帯,綿紗,綿撒糸,脱脂綿,医療用海綿,オブラート」とされたものである。
(3)登録第1661666号商標(以下「引用商標3」という。)は、「パラゾール」の片仮名を横書きしてなり、昭和56年12月19日に登録出願、第18類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同59年2月23日に設定登録されたものであり、その後、平成15年10月1日に指定商品の書換登録を経て、同26年2月18日に更新登録により、指定商品は第16類「紙製包装用容器」、第20類「麦わらさなだ,木製の包装用容器(「コルク製栓・木製栓・木製ふた」を除く。),竹製の包装用容器,プラスチック製きょう木,プラスチック製包装用葉,コルク製栓,プラスチック製栓,プラスチック製ふた,木製栓,木製ふた」とされたものである。 。
(4)登録第4267860号商標(以下「引用商標4」という。)は、「パラゾール」の片仮名を横書きしてなり、平成9年12月10日に登録出願、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,医療用腕環,人工受精用精液,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,防虫紙」を指定商品として、同11年4月30日に設定登録されたものである。
(5)登録第4507642号商標(以下「引用商標5」という。)は、「PARAZOL」の欧文字と「パラゾール」の片仮名を二段に表してなり、平成12年5月1日に登録出願、第5類「蚊取線香,殺菌剤,殺そ剤,殺虫剤,蒸剤,除草剤,防臭剤(身体用のものを除く。),防虫剤,防腐剤,その他の薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,医療用腕環,人工受精用精液,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,防虫紙」を指定商品として、同13年9月21日に設定登録されたものである。
(6)登録第5874039号商標(以下「引用商標6」という。)は、「かおり」の平仮名と「パラゾール」の片仮名を二段に表してなり、平成28年1月8日に登録出願、第3類「口臭用消臭剤,動物用防臭剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,除湿効果を有する芳香剤,消臭効果を有する芳香剤,防虫効果を有する芳香剤,その他の芳香剤,香料,薫料」及び第5類「除湿効果を有する防虫剤,芳香効果を有する防虫剤,消臭効果を有する防虫剤,その他の防虫剤,防虫効果を有する消臭剤(工業用・身体用及び動物用消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。),その他の消臭剤(工業用・身体用及び動物用消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。),その他の薬剤,医療用試験紙,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,綿棒,おむつ,おむつカバー,はえ取り紙,防虫紙」を指定商品として、同年8月12日に設定登録されたものである。
 以下、上記引用商標1ないし引用商標6をまとめていうときは、「引用商標」という。
 
3 登録異議の申立ての理由
 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
 本件商標は「PARASOL」の欧文字よりなるものであり、「パラソル」、または「パラゾル」、もしくは「パラゾール」の称呼を生じるのに対し、引用商標1、引用商標3、引用商標4、引用商標5のいずれからも「パラゾール」の称呼を生じ、また、引用商標2からは「ネオパラゾール」の称呼の他、「パラゾール」の称呼、さらに、引用商標6からは「カオリパラゾール」の称呼の他、「パラゾール」の称呼を生じるものであるから、本件商標と引用商標は、称呼において類似の商標である。また、本件商標の指定商品又は指定役務は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。
 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号の該当性について
 ア 申立人である白元アース株式会社は、2014年(平成26年)9月1日に株式会社白元から主な事業(防虫剤「ミセスロイド」「パラゾール」、除湿剤「ドライ&ドライUP」、保温具「ゆたぽん」、保冷剤「アイスノン」、脱臭剤「ノンスメル」、マスク「快適ガード」、くつした止め「ソックタッチ」など)を譲り受け、新たな会社として事業を開始した会社である。
 イ 株式会社白元の時代から衣料用防虫剤の商品名として「パラゾール」を1951年(昭和26年)より使用し、少なくとも1981年(昭和56年)頃においては、需要者の間で「パラゾール」商標が広く認識されるに至っている(甲17)。
 ウ 2014年(昭和26年)9月1日に株式会社白元から事業を譲り受けた後も引き続き使用することにより申立人の商標として、需要者の間で「パラゾール」商標が広く認識されるに至っており(甲18)、1951年(昭和26年)にパラゾールを発売し、1980年(昭和55年)にはパラゾールノンカットが追加され、永きに渡り「パラゾール」商標を使用し続けていること、ブランドシェアの欄で衣料用防虫剤として「パラゾール」が5番目のシェアを維持していることが記載されている。
 エ してみると、引用商標1、引用商標3、引用商標4及び引用商標5は、申立人の商標として、広く一般に知られているから、これと類似する本件商標がその指定商品に指定された場合、需要者に商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれがあるものである。
 オ したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。
 
4 当審の判断
(1)引用商標1、引用商標3、引用商標4及び引用商標5の周知性について
 ア 申立人の主張及び提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。
(ア)申立人は、2014年(平成26年)9月1日に、株式会社白元から防虫剤「ミセスロイド」「パラゾール」等の主な事業を譲り受け、新たな会社として事業を開始した会社である。
(イ)株式会社白元の時代から衣料用防虫剤の商品名として「パラゾール」を1951年(昭和26年)より使用し、少なくとも1981年(昭和56年)頃においては、需要者の間で商標「パラゾール」「PARAZOL」が広く認識されるに至っていると判断された審決例が存在する(甲17)。
(ウ)「株式会社富士経済」発行の「トイレタリーグッヅマーケティング要覧 2015 No.2」(発行日 2015年(平成27年)9月7日)によれば、株式会社白元より、1951年(昭和26年)に「パラゾール」が発売され、また、1980年(昭和55年)には「パラゾールノンカット」が販売されている。また、衣料用防虫剤のブランドシェアの欄に2013年(平成25年)から2015年(平成27年)までの「パラゾール」ブランドの販売実績は、約16億円から15億円、そのシェアは、約6%であり、シェアは5番目として記載されている(甲18)。
 してみれば、申立人は、商標「パラゾール」を、少なくとも、1951年(昭和26年)から、2015年(平成27年)頃にかけて使用し続けていたことが推認できる。
(エ)以上よりすれば、申立人は、2014年(平成26年)9月1日に、株式会社白元から防虫剤「ミセスロイド」「パラゾール」を含む主な事業を譲り受け、新たな会社として事業を開始した会社であり、「パラゾール」の文字が、衣料用防虫剤(以下、「申立人使用商品」という。)の商品名として、1951年(昭和26年)から使用され、その後継続して使用したことにより、衣料用防虫剤のブランド名として、我が国の需要者に一定程度知られていたことが推認できる。
 しかしながら、申立人提出の証拠においては、申立人による「パラゾール」ブランドが、2013年(平成25年)から2015年(平成27年)にかけて、販売実績が約16億円から15億円台、シェアが約6%で推移し、シェアは5番目に位置付けられていることは確認できるものの、当該販売実績及びシェアは、限定的な期間における実績であることに加え、他のブランドの販売実績やシェアと比較して、その差は大きく、当該販売実績やシェア自体からは、引用商標1、引用商標3、引用商標4及び引用商標5の周知性を裏付けることはできない。
 そして、我が国における引用商標1、引用商標3、引用商標4及び引用商標5が表示された商品についての使用状況、広告宣伝の方法、回数及び内容等の実績を証する書面は提出されていない。
 そうすると、申立人提出に係る証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標1、引用商標3、引用商標4及び引用商標5が、申立人の業務に係る商品(衣料用防虫剤)を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
 ア 本件商標について
 本件商標は、上記1のとおり、「PARASOL」の文字からなるところ、当該文字は、「(女性用)日傘、パラソル」(ベーシックジーニアス辞典)の意味を有するものとして、一般に親しまれた語であるから、本件商標は、その構成文字全体に相応して「パラソル」の称呼のみを生じ、「(女性用)日傘、パラソル」の観念が生じるものである。
 イ 引用商標1、引用商標3、引用商標4及び引用商標5について
 引用商標1は、上記2の(1)のとおり、「PALAZOL」の欧文字と「パラゾール」の片仮名を二段に表してなり、引用商標3及び引用商標4は、上記2の(3)及び(4)のとおり、「パラゾール」の片仮名を横書きしてなり、引用商標5は、上記2の(5)のとおり、「PARAZOL」の欧文字と「パラゾール」の片仮名を二段に表してなるところ、引用商標1及び引用商標5の構成中、下段の「パラゾール」の片仮名は、上段の欧文字の読みを表したものと無理なく認識されるものであり、また、引用商標3及び引用商標4は、「パラゾール」の称呼が生じること明らかであるから、引用商標1、引用商標3、引用商標4及び引用商標5は、それぞれの構成に相応して、「パラゾール」の称呼を生じ、かつ、特定の観念を生じないものとみるのが相当である。
 ウ 引用商標2について
 引用商標2は、上記1の(2)のとおり、「新しい、最近の、最新の」(ランダムハウス英和大辞典)の意味を有する「NEO」「ネオ」の文字と「PARAZOL」「パラゾール」の文字とを中黒(・)を介して「NEO・PARAZOL」「ネオ・パラゾール」と二段に表してなるものである。
 そして、引用商標2の構成中の「PARAZOL」「パラゾール」の文字は、辞書等への載録が認められないものであるから、特定の意味合いを有しない一種の造語と認識されるものであるのに対し、同じく、「NEO」「ネオ」の文字は、「新しい、最近の、最新の」の意味を有する英語として親しまれており、引用商標2の指定商品を取り扱う分野にとどまらず、各種商品を取り扱う分野において、新商品又は最新の商品という意味を表すものとして普通に採択、使用されているものである。
 そうすると、引用商標2は、その構成中の「NEO」「ネオ」の文字部分が、商品の品質を表示する部分であると理解され、その後半の造語と認められる「PARAZOL」「パラゾール」の文字部分が着目され、該文字部分をもって商品の取引に資される場合も決して少なくないといわなければならない。
 したがって、引用商標2からは、その構成文字全体から生ずる「ネオパラゾール」の称呼のほか、「PARAZOL」「パラゾール」の文字部分に相応して「パラゾール」の称呼をも生じ、かつ、特定の観念を生じないものとみるのが相当である。
 エ 引用商標6について
 引用商標6は、上記2の(6)のとおり、「よいにおい。」(広辞苑第六版)の意味を有する「かおり」の文字と「パラゾール」の片仮名を二段に表してなるところ、引用商標6の構成中、上段の「かおり」の文字と下段の「パラゾール」の文字は視覚上分離して把握されるものであり、また、両者に観念的なつながりも見いだせないことからすれば、それらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められないから、上段の「かおり」の文字と下段の「パラゾール」の文字はそれぞれ独立して自他商品の識別機能を果たし得るものとみるのが相当である。
 そうすると、引用商標6からは、その構成文字全体から生じる「カオリパラゾール」の称呼のほか、「パラゾール」の文字部分に相応して「パラゾール」の称呼をも生じ、かつ、特定の観念を生じないものとみるのが相当である。
 オ 本件商標と引用商標との類否について
(ア)本件商標と引用商標1、引用商標3、引用商標4及び引用商標5との類否について
 本件商標と引用商標1、引用商標3、引用商標4及び引用商標5は、それぞれ上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、外観について、本件商標と引用商標1及び引用商標5を比較すると、その欧文字部分において、引用商標1とは、3文字目における「R」と「L」及び5文字目における「S」と「Z」の相違という点、引用商標5とは、5文字目における「S」と「Z」の相違という点において異なる上に、全体においても、片仮名の有無の差異があり、本件商標と引用商標3及び引用商標4を比較すると、欧文字と片仮名の差異という点において相違するから、本件商標と引用商標1、引用商標3、引用商標4及び引用商標5とは、外観上、明確に区別できるものである。
 次に、称呼においては、本件商標から生じる「パラソル」の称呼と引用商標1、引用商標3、引用商標4及び引用商標5から生じる「パラゾール」の称呼とは、「ソ」と「ゾ」及び長音(ー)の有無の差異を有するところ、比較的短い称呼にあっては、該差異が称呼全体に与える影響は決して小さいものとはいえないものであって、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。
 さらに、観念においては、本件商標と引用商標1、引用商標3、引用商標4及び引用商標5は、本件商標が「(女性用)日傘、パラソル」の観念を生じるのに対し、引用商標1、引用商標3、引用商標4及び引用商標5は、特定の観念を生じないものであるから、本件商標と引用商標1、引用商標3、引用商標4及び引用商標5とは、観念上、明確に区別できるものである。
 そうすると、本件商標と引用商標1、引用商標3、引用商標4及び引用商標5とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれがないから、非類似の商標とみるのが相当である。
(イ)本件商標と引用商標2との類否について
 本件商標と引用商標2は、それぞれ上記ア及びウのとおりの構成からなるところ、外観について、本件商標と引用商標2を比較すると、本件商標と引用商標2の要部である「PARAZOL」及び「パラゾール」の文字とは、欧文字部分の5文字目における「S」と「Z」の相違及び片仮名の有無の差異という点において異なる上に、全体においても、「NEO・」「ネオ」の文字の有無の差異という点において相違するから、本件商標と引用商標2とは、外観上、明確に区別できるものである。
 次に、称呼においては、本件商標から生じる「パラソル」の称呼と引用商標2から生じる「ネオパラゾール」の称呼とは、構成音数が明らかに異なるものであり、また、引用商標2から生じる「パラゾール」の称呼との比較については、上記(ア)のとおりであるから、本件商標と引用商標2とは、称呼上、明瞭に聴別できるものである。
 さらに、観念においては、本件商標と引用商標2は、本件商標が「(女性用)日傘、パラソル」の観念を生じるのに対し、引用商標2は、特定の観念を生じないものであるから、本件商標と引用商標2とは、観念上、明確に区別できるものである。
 そうすると、本件商標と引用商標2とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれがないから、非類似の商標とみるのが相当である。
(ウ)本件商標と引用商標6との類否について
 本件商標と引用商標6は、それぞれ上記ア及びエのとおりの構成からなるところ、外観について、本件商標と引用商標6を比較すると、本件商標と引用商標6の要部の一である「パラゾール」の文字とは、欧文字と片仮名の差異という点において異なる上に、全体においても、「かおり」の文字の有無の差異という点において相違するから、本件商標と引用商標6とは、外観上、明確に区別できるものである。
 次に、称呼においては、本件商標から生じる「パラソル」の称呼と引用商標6から生じる「カオリパラゾール」の称呼とは、構成音数が明らかに異なるものであり、また、引用商標6から生じる「パラゾール」の称呼との比較については、上記(ア)のとおりであるから、本件商標と引用商標6とは、称呼上、明瞭に聴別できるものである。
 さらに、観念においては、本件商標と引用商標6は、本件商標が「(女性用)日傘、パラソル」の観念を生じるのに対し、引用商標6は、特定の観念を生じないものであるから、観念上、明確に区別できるものである。
 そうすると、本件商標と引用商標6とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれがないから、非類似の商標とみるのが相当である。
(エ)申立人の主張について
 申立人は、「SOL」の文字部分は「ゾル」とも称呼する(甲13)ものであること、「ゾール」と称呼される単語があること(甲14、甲15)、本件商標の属する薬剤、医療用品(医薬部外品等)の分野では、語尾が「ゾール」で終わる商標が多く、表記として片仮名で「ゾール」の他、アルファベットで「SOL」と表記することが多々ある(甲16)ことから、本件商標から「パラゾル」もしくは「パラゾール」の称呼も生ずることは自然である旨主張している。
 しかしながら、「SOL」を「ゾル」又は「ゾール」と称呼する場合があるとしても、本件商標においては、それを構成する「PARASOL」の文字は、「(女性用)日傘、パラソル」の意味を有する語として、広く一般に親しまれていることからすれば、これより「パラソル」の称呼のみを生じるというべきであるから、申立人の主張を採用することはできない。
(オ)小括
 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
 ア 引用商標1、引用商標3、引用商標4及び引用商標5の周知性について
 上記(1)のとおり、引用商標1、引用商標3、引用商標4及び引用商標5は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人使用商品を表すものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていた商標と認めることができないものである。
 イ 本件商標と引用商標1、引用商標3、引用商標4及び引用商標5の類似性の程度について
 本件商標と引用商標1、引用商標3、引用商標4及び引用商標5とは、上記オ(ア)のとおり、非類似の商標であって、別異のものである。
 ウ 出所の混同のおそれについて
 上記ア及びイによれば、引用商標1、引用商標3、引用商標4及び引用商標5は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人使用商品を表すものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていた商標と認めることはできないものであり、また、本件商標と引用商標1、引用商標3、引用商標4及び引用商標5とは、非類似の商標であって、別異のものである。
 してみれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者が、引用商標1、引用商標3、引用商標4及び引用商標5を連想又は想起するようなことはないというべきであるから、当該商品が申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認めることはできない。
 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 むすび
 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
 よって、結論のとおり決定する。


        令和 1年12月17日

     審判長  特許庁審判官 岩崎 安子
          特許庁審判官 中束 としえ
          特許庁審判官 小田 昌子

 
  
(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意)        特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。


〔決定分類〕T1651.261-Y  (W05161835)
            262
            263
            271

上記はファイルに記録されている事項と相違ないことを認証する。
認証日 令和 1年12月17日  審判書記官  蓮池 睦人