異議の決定


異議2019-685003
Itamerenkatu 11 FI-00180 Helsinki
 商標権者  
Supercell Oy
オーストラリア国 ヴィクトリア 3006 サウスバンク ホワイトマン ストリート 8
 商標登録異議申立人  
クラウン メルボルン リミテッド
東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング アンダーソン・毛利・友常法律事務所
 代理人弁理士
城山 康文
  
東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング アンダーソン・毛利・友常法律事務所
 代理人弁理士
岩瀬 吉和
  
東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング アンダーソン・毛利・友常法律事務所
 代理人弁理士
北口 貴大
  


 国際登録第1379404号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。



 結 論
  
 国際登録第1379404号商標の商標登録を維持する。



 理 由
  
第1 本件商標
 本件国際登録第1379404号商標(以下「本件商標」という。)は、「CROWN CHAMPIONSHIP」の欧文字を横書きしてなり、2017年(平成29年)3月31日にEUIPOにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年9月26日に国際商標登録出願、第28類「Electronic games apparatus; hand-held units for playing electronic games; electronic games for action skill games, other than those adapted for use with television receivers only; action figures as toys; toys, games and playthings; board games; game cards; play sets for action figures; game cards and playing cards; soft dolls; plush toys; stuffed toys, water toys, wooden toys, toys made of plastics; children's multiple activity toys; puzzles; balloons; bags, cases and sleeves for storing and carrying apparatus for games.」及び第41類「Electronic game services; providing on-line computer games; on-line gaming services; providing on-line computer games, multi-player matching services, and on-line entertainment in the nature of tournaments, cyber or virtual sports leagues and games shows; providing information on-line relating to computer games; provision of games by means of a computer based systems; providing interactive social games in a virtual environment; providing entertainment information relating to computer games via information network; entertainment services; sporting activities; organization of exhibitions for cultural or educational purposes; providing on-line publications relating to computer games, computer characters and electronic sports; presentation of movies, films, animations, and television programs; entertainment services in the nature of creation, development, and production of movies, films, animations, and television programs; organising events and conferences for entertainment purposes; organising of competitions; providing entertainment information relating to computer games via a website; providing computer games and gaming services through an internet website portal; organising and conducting video and computer game matches and tournaments; organising of electronic sports events, namely electronic games and internet games events.」並びに第9類、第16類及び第25類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成30年11月16日に登録査定、同31年1月11日に設定登録されたものである。
 
第2 引用商標
 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議申立ての理由として引用する登録第5163997号商標(以下「引用商標」という。)は、「CROWN」の文字を標準文字により表してなり、平成19年6月1日に登録出願、第41類「カジノゲーム場の提供,電子計算機端末による通信を用いて行うカジノゲームの提供,その他ネットワークを介したゲームの提供,ゲームセンターの提供,その他の娯楽施設の提供,ナイトクラブの提供,カジノゲーム施設の提供,会議・セミナー・シンポジウム・研修会の企画・運営又は開催,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏(ライブパフォーマンスを含む)の興行の企画又は運営,スポーツ施設の提供,スポーツに関する興行の企画・運営又は開催,美術の展示,庭園の供覧,植物の供覧,動物の供覧,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),その他の娯楽の提供」並びに第39類及び第43類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同20年9月5日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
 
第3 登録異議の申立ての理由
 申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第28類「全指定商品」(以下「申立商品」という。)及び第41類「全指定役務」(以下「申立役務」といい、「申立商品」及び「申立役務」をまとめていうときは「申立商品及び役務」という。)について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第37号証(枝番を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標と引用商標の外観上の対比
 本件商標は、計17もの文字から構成され、必ずしもその構成全体を正確に把握、認識することはできない。また、各語の間にはスペースが空けられており、分離して観察され易い態様で表示されている。
 かかる態様においては、本件商標は、「CROWN」及び「CHAMPIONSHIP」それぞれが独立して、出所識別標識として機能する。
 本件商標と引用商標とは、欧文字「CROWN」を共通にし、外観上相紛れるおそれのある類似の商標である。
(2)本件商標と引用商標の称呼上の対比
 本件商標の構成全体から生ずる称呼は、12音からなるものであり、必ずしも一気一連に称呼可能であるとはいえない(甲3~5)。
 また、「CHAMPIONSHIP(チャンピオンシップ)」の語は、必ずしも称呼されないケースが少なくない(甲6~17)。
 以上を鑑みれば、本件商標からは、「クラウンチャンピオンシップ」の称呼の他、「クラウン」の称呼が生ずる。
 本件商標と引用商標は、称呼「クラウン」を共通にし、称呼上も相紛れるおそれのある類似の商標である。
(3)本件商標と引用商標の観念上の対比
 本件商標の構成全体から、「王冠の選手権(選手権大会)」程度の意味合いも生じ得るが、観念上の関連性を有しない「CROWN」と「CHAMPIONSHIP」とを需要者等が常に一体のものとして認識すると考えるべき合理的理由は見出せないから、本件商標からは、単に「王冠」の観念も生ずる。
 本件商標と引用商標は、観念「王冠」を共通にし、観念上も相紛れるおそれのある類似の商標である。
(4)本件指定役務と引用商標に係る指定役務の対比
 申立役務は、引用商標の第41類に含まれる指定役務と役務の提供の手段・目的・場所、需要者の範囲、業種等を共通にし、互いに類似する役務を含むものである。
(5)申立人が使用する商標「CROWN」
申立人は、1988年5月に設立されたオーストラリアの法人であり、2007年6月以降は現名称を使用している。
 申立人は、オーストラリアのメルボルンに所在する「クラウン・エンターテインメント・コンプレックス」を運営するオーストラリアの法人であり、同コンプレックスはカジノ、及びホテル、イベント・会議施設、小売店、娯楽施設(レストラン、ナイトクラブ、映画館他)からなり、カジノ施設は南半球最大の規模を誇る(甲19)。
 同コンプレックスは、メルボルンにおける最高位の娯楽施設として広く知られており、毎年1600万人(毎週30万人以上)が来訪する。
 申立人は、日本において、未だ、ホテルその他の事業を行っていない。しかし、申立人がオーストラリア等で提供している娯楽事業、及びその事業に用いられる商標「CROWN」は、我が国の海外旅行愛好家や、カジノ等の娯楽サービスのファンを中心に、日本人の間でも相当程度広く知られている(甲20~32等)。
 日本人によるオーストラリア渡航者が増加傾向にある中(甲33)、申立人の「CROWN(クラウン)」ブランドは、日本人顧客(海外旅行の愛好家やカジノファン等)をはじめとする需要者間で相当程度認知され、高い名声、評価、信用を獲得するに至っている。
 2013年以降2017年3月までに、申立人がオーストラリア国内で運営する6つのホテルを利用した日本人の数は、約7,000人超を記録した(甲35)。
 企業努力の結果、申立人は、日本において事業を行っていなくとも、その「CROWN(クラウン)」ブランドは、相当程度、日本人需要者等の間で広く浸透しているということができる。
 なお、日本で、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(IR推進法)」が成立し、カジノの法制度化への道が開かれることになった現在において、オーストラリアで、南半球最大級のカジノ施設を運営し、日本人にも頻繁に利用されるホテルを運営している申立人の動向は、我が国においても相当程度注視されており、申立人の「CROWN(クラウン)」ブランドが、娯楽分野をはじめとする需要者の間で相当程度認知されている(甲37)。
(6)本件商標と引用商標の類否判断手法
 本件商標と引用商標からは、共に「クラウン」、「王冠」の称呼、観念が生じ、本件商標は、外観上も、「CROWN」が独立して、出所識別標識として機能するといえる。
 申立人の商標「CROWN」は、世界各国において高い名声、評価、信用を獲得しており、日本の需要者の間でも相当程度認知されているから、本件商標中、申立人の商標と同一である「CROWN」の部分は、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものである。
 してみれば、本件商標は、外観、称呼、観念のいずれにおいても、引用商標と相紛れるおそれのある類似の商標であることは明らかであり、その他に、両商標間で出所の混同が生ずるおそれがないとすべき特段の取引実情も認められない。
 以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号について
 仮に、本件商標中、「CROWN」が単独で自他商品識別標識として機能しないと仮定した場合でも、本件商標は、商品の出所について誤認を生ずるおそれがある商標といわざるを得ない。
 申立人は、クラウン・エンターテインメント・コンプレックスという複合施設を運営しており、その中には南半球最大のカジノ施設「クラウンカジノ」がある。また、申立人は、「クラウンタワー」、「クラウンメトロポル」、「クラウンプロムナード」というホテルを、メルボルン及びパースにおいて運営している。これらの施設は、何れも「CROWN(クラウン)」を接頭辞としており、「CROWN(クラウン)」を愛称として親しまれている。当該愛称は、娯楽(カジノを含む)の分野における日本人需要者等の間で、相当程度広く知られている。
 してみれば、同様に「CROWN」を接頭辞とする本件商標を、申立商品及び役務に使用した場合、本件商標が、あたかも申立人の「CROWN(クラウン)」ブランドの一つであるかのごとく誤信されるおそれがある。
 以上を考慮すれば、たとえ、本件商標が引用商標に類似しないと仮定したとしても、商標権者による本件商標の使用により、申立人ないしクラウングループの業務を表象する「CROWN(クラウン)」ブランドが真っ先に想起される可能性が高いことは明らかであり、その場合には、あたかも、商標権者が、申立人等と何らかの関連を有する者であるかのごとく誤認混同されるおそれを否定することはできない。
 よって、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当することは明らかである。
 
第4 当審の判断
1 引用商標等の周知著名性について
(1)申立人の主張及び提出した証拠によれば、以下のとおりである。
 ア 申立人は、1988年5月に設立されたオーストラリアの法人であり、2007年6月以降、現名称(クラウン メルボルン リミテッド)を使用している(申立人の主張)。
 イ 申立人は、オーストラリアのメルボルンに所在する複合娯楽施設「Crown Entertainment Complex(クラウン・エンターテインメント・コンプレックス)」を運営し、該施設には、「Crown Towers Melbourne(クラウン タワーズ メルボルン)」、「Crown Metropol Melbourne(クラウン メトロポール メルボルン)」及び「Crown Promenade Melbourne(クラウン プロムナード メルボルン)」の3つのホテルや、「CROWN」の文字からなる看板も設置された「Crown Casino(クラウンカジノ)」と称するカジノ等があり、2006年1月発行の季刊誌やウェブサイトにおいて、上記の施設又はホテル等が紹介されている(甲19~32)。
 ウ 申立人は、前記イの3つホテルの他、同国のパースにおいて、「クラウン タワーズ パース」、「クラウン メトロポール パース」及び「クラウン プロムナード パース」の3つのホテルを運営しており、これら6つのホテルにおける2014年3月から2017年3月までの日本人利用者数は、7,000人を超える(申立人の主張、甲35)。
 エ 申立人の関連会社とされる「クラウン・リゾ-ツ・リミテッド」が、オーストラリア、ロンドン及びマカオに5件の複合型リゾートを有する(申立人の主張、甲37)。
(2)前記(1)によれば、申立人は、オーストラリアにおいて、複合娯楽施設やホテルを運営し、その他、同人の関連会社とされる者がロンドン及びマカオにも複合型リゾートを有し、上記施設等に「CROWN(Crown)(クラウン)」の文字を冠していることをうかがうことができる。
 他方、申立人は、我が国においてホテルその他の事業を行っておらず、また、我が国において申立人又はその事業が紹介された記事(情報)も2006年1月発行の季刊誌及びメルボルンの観光について紹介する記事を中心としたウェブサイトにとどまるものである。加えて、申立人の運営するオーストラリア国内の6つのホテルの日本人利用者数について、その数を裏付ける証拠が見いだせないものの、当該主張に係る利用者数を考慮したとしても、その利用者数が多いものと評価するに足りない。
 さらに、引用商標又は申立人主張の使用に係る商標「CROWN」(以下、両商標をまとめて「引用商標等」という。)の使用状況について、使用数量並びに広告宣伝の方法、期間、地域及び規模等が不明である。
 そうすると、引用商標等は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
 本件商標は、「CROWN CHAMPIONSHIP」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成中に半角分程度のスペースを有するものの、該構成文字は、同じ書体、同じ大きさをもってまとまりよく表されており、本件商標の構成文字全体からから生ずる「クラウンチャンピオンシップ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。また、本件商標は、その構成文字(語)の有する意味から、全体として「クラウン選手権」程の意味合いを理解させ、当該観念を生ずるものである。
 そうすると、本件商標は、その構成文字全体をもって一体不可分のものと認識し、把握されるとみるのが相当であって、「クラウンチャンピオンシップ」の称呼及び「クラウン選手権」程の観念を生じるものである。
 なお、申立人は、同人に係る商標「CROWN」が我が国の需要者の間で相当程度認知されているなどとして、本件商標の構成中の「CROWN」の文字部分が、需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものである旨主張する。
 しかしながら、前記1のとおり、引用商標「CROWN」は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認めることはできず、本件商標は、上記のとおり、その構成文字全体をもって一体不可分のものと判断すべきものであるから、本件商標について「CROWN」の文字のみをもって取引に資するとは認めることができない。
(2)引用商標について
 引用商標は、「CROWN」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字に相応して、「クラウン」の称呼及び「王冠」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
 本件商標と引用商標を比較するに、本件商標と引用商標とは、「CHAMPIONSHIP」の文字の有無という差異を有するものであり、該文字に相応した「チャンピオンシップ」の音の有無という差異も有するものであるから、両商標は、外観及び称呼上、判然と区別し得るものである。
 また、本件商標と引用商標とは、それぞれ「クラウン選手権」程の観念、「王冠」の観念を生じるものであるから、観念上、相紛れるおそれはないものである。
 してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れることのない非類似の商標といわなければならない。
 他に、本件商標が、引用商標との関係において、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
 したがって、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、申立役務と引用商標の指定役務とを比較するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号について
 前記1のとおり、引用商標等は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認めることはできないものであり、また、本件商標と引用商標等とは、明らかな差異を有する非類似の商標であって、別異の商標である。
 してみれば、本件商標を申立商品及び役務に使用した場合、これに接する需要者が、引用商標等を想起、連想して、当該商品又は役務を申立人の業務に係る商品若しくは役務、又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品若しくは役務であるかのように、商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがある商標ということはできない。
 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 むすび
 以上のとおり、本件商標の指定商品及び指定役務中、登録異議の申立てに係る指定商品及び役務についての登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
 よって、結論のとおり決定する。
 


        令和 2年 2月 6日

     審判長  特許庁審判官 木村 一弘
          特許庁審判官 中束 としえ
          特許庁審判官 板谷 玲子

 
 
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〔決定分類〕T1652.255-Y  (W2841)
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            262
            263

上記はファイルに記録されている事項と相違ないことを認証する。
認証日 令和 2年 2月 6日  審判書記官  木村 勝美