審決


不服2019-650036

Auf dem Stutzelberg 35745 Herborn(DE)
 請求人
RITTAL GmbH & Co. KG
  
東京都千代田区丸の内二丁目1番1号 丸の内 MY PLAZA (明治安田生命ビル) 9階 創英国際特許法律事務所
 代理人弁理士
黒川 朋也
  
東京都千代田区丸の内二丁目1番1号 丸の内 MY PLAZA (明治安田生命ビル) 9階 創英国際特許法律事務所
 代理人弁理士
魚路 将央
  


 国際商標登録第1365232号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。



 結 論
  
 本件審判の請求は、成り立たない。



 理 由
  
1 本願商標
 本願商標は、「VX25」の文字を横書きしてなり、第6類、第9類及び第20類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品を指定商品として、2017年1月27日にEUIPOにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2017年(平成29年)2月14日に国際商標登録出願され、その後、指定商品については、原審における平成30年8月6日付けの手続補正書により、第6類「Metallic framework for housing, electronic equipment, in particular racks, housings/cabinets, for use in industry, installation, electronics,computers, interactive terminal systems and data transmission, including the aforesaid goods in connection with bracket systems, including the aforesaid goods being air-conditioned, and/or earthquake and/or vandal and/or explosion proof; safes, in particular safes for information technology; metal fire resistant safes; buildings of metal, in particular security rooms, in particular fire-proof areas; components for switching cabinets, namely rack frames, profiles, mounting trays, guide rails, mounting rails, storage trays, drawer units, containers, cable bushings of metal; building materials of metal for computer control stations; metallic divisions [partitions]; components of metal for furniture; metal frameworks for housing consisting of cabinets; portable mobile metal office buildings; door locks of metal; positioning and movement devices of metal, namely curtain door rollers and their bases; mounting devices and auxiliary mounting devices, fixed or moveable, of metal, namely mounting plates, swivel arms, metal frameworks for housing; fastening devices of metal, namely bearing bracket of metal for building; common metals and their alloys; metal building materials; transportable buildings of metal; non-electric cables and wires of common metal; bolts of metal; bottle caps of metal; boxes of common metal; buckles of common metal [hardware]; chests of metal; junctions of metal for pipes; keys; statuettes of common metal; pipes and tubes of metal; safes.」、第9類「Switchboxes [electricity] and switchboards consisting of metal and/or plastic, for use in industry, installation, electronics, telecommunications, data processing, interactive terminal systems and data transmission; (electric) cable carrying bracket systems of metal and/or plastic, consisting of load bearing profiles and wall fixings and/or floor fixings and/or housing fixings and/or wall, connection and/or intermediate joints and/or couplings and/or tilting and/or connecting adapters and/or elbows; all the aforesaid goods being earthquake and/or vandal and/or explosion-proof; signaling devices for monitoring and safeguarding switchboards; current distribution components, included in this class, in particular adaptors for connectors and devices, and load-breakers; modules and system components for energy sub-distribution, power supplies, namely power supply units, power-supplying apparatus, including uninterruptible power-supplying apparatus, including in modular form; power converters; power inverters [electricity]; overload protection devices for sensitive electronic apparatus and computers, namely fuses and monitoring units; alarm installations, in particular fire alarms, extinguishing apparatus and systems constructed therefrom; water warning apparatus and installations constructed thereof; computer control workstations; electronic control systems for machines; electric power units; electric and/or electronic access control apparatus and installations constructed therefrom, access control apparatus and installations constructed therefrom; electric and electronic control apparatus and installations constructed thereof, electric regulating apparatus: electronic apparatus and instruments (included in this class), namely for control stations, control rooms, console workstations, CAD workstations; electric control apparatus for controlling and regulating switchboard and electrical distribution systems, including in connection with building monitoring; configuration and monitoring software for security areas for information technology; auxiliary cabling devices for electrical purposes, of metal or plastic, namely cable management modules consisting of cable guide channels, cable rerouting channels and/or cable fasteners, namely cable support rails, cable entries; cable bushings for housings for electric fittings; connections for electric lines; plug-in units for sub-racks, namely plug-in cards, bus boards, casettes, pin and socket connectors; mains supply circuit, namely power supply units; electronic devices for monitoring gas pipelines; parts for all the aforesaid goods; apparatus and instruments for scientific research in laboratories; nautical, surveying, photographic, cinematographic, optical and weighing apparatus and instruments: measuring apparatus: luminous or mechanical signals; electric monitoring apparatus; life-saving apparatus and equipment; teaching apparatus; apparatus and instruments for conducting, switching, transforming, accumulating, regulating or controlling electricity; apparatus for recording, transmission or reproduction of sound or images; data processing equipment and computers; fire-extinguishing apparatus; data processing equipment; computers; computer software.」及び第20類「Metal cabinets.」とされたものである。
 
2 原査定の拒絶の理由の要点
 原査定は、「本願商標は、『VX25』の文字を普通に用いられる方法により表してなるところ、欧文字1文字又は2文字と数字とを一連で表した標章は、一般に、商品の品番・型式等を表すための記号、符号として取引上普通に採択使用されており、本願の指定商品を取り扱う分野においても欧文字1文字又は2文字と数字とを一連で表した標章が、商品の品番・型式等を表す記号・符号として使用されている実情がある。このような状況のもと、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者、取引者は、品番・型式等を表す欧文字1文字又は2文字と数字とを組み合わせた標章の一類型であると認識、理解する以上に特別顕著なところはないものであるから、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標といわなければならない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
 
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第5号該当性について
 ア 商標法第3条第1項第5号の趣旨について
 商標法第3条第1項第5号の趣旨は、「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標」は、自他商品又は役務についての識別力を欠いており、商標としての出所表示機能を果たし得ないものである以上、通常、特定人による独占的使用を認めるのに適しないから、商標登録を認めないというものと解される(知財高裁平成31年(行ケ)第10004号、令和元年7月3日判決)。
 イ 本願商標の商標法第3条第1項第5号該当性について
 本願商標は、「VX25」の文字からなるところ、当該文字は一般に用いられる書体で表されており、用いられる文字の形や組合せ方法に特徴があるわけではない。
 そして、欧文字2字と数字を組み合わせた標章は、商品の品番、型番、種別、型式、規格等を表した記号又は符号として、一般的に使用されているものであり、本願の指定商品を取り扱う分野においても、原審で示した事実に加え、以下に示すとおり、商品の品番、型番、種別、型式、規格等を表す記号又は符号として使用されている実情がある。
(ア)「MiSUMi-VONA」のウェブサイトにおいて、「金属製可とう電線管 防水プリカチューブ(標準防水タイプ)(型番リスト)」の見出しの下、「型番」の項に「PV17」等の記載がある。
(https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/222000684734/?Tab=codeList)
(イ)「パナソニック株式会社」のウェブサイトにおいて、「品番 DM80100」、「品名 住宅用スイッチボックス標準型 1コ用木ねじなし 呼びT16・CD16」の記載がある。
(https://www2.panasonic.biz/scvb/a2A/opnItemDetail?use_obligation=raku2&contents_view_flg=1&catalog_view_flg=1&item_cd=DM80100&item_no=DM80100&b_cd=301&hinban_kbn=1&s_hinban_key=&s_end_flg=&vcata_flg=1&simple_search_flg=1&close_flg=1)
(ウ)「モノタロウ」のウェブサイトにおいて、「パナソニック(Panasonic)/安全ブレーカ HB型」の見出しの下、「品番」の項に「BS1111」等の記載がある。
(https://www.monotaro.com/g/00167131)
(エ)「ヤマト科学株式会社」のウェブサイトにおいて、「プログラマブル直流電源(DP712)」の見出しの下、「型式 DP712」の記載がある。
(https://www.yamato-net.co.jp/product/detail/1569/)
(オ)「日本測器株式会社」のウェブサイトにおいて、「交流電子負荷装置」の見出しの下、「型名」の項に「IT8615」等の記載がある。
(http://www.nippon-sokki.co.jp/itech/it8600.html)
 そうすると、文字の形や組合せ自体に特徴があるとはいえない欧文字2字と数字を組み合わせた本願商標は、本願の指定商品を取り扱う分野で商品の品番、型番、種別、型式、規格等を表した記号又は符号として用いられる欧文字2字と数字の組合せとの比較において、特段の差異があるとはいえないものである。
 してみれば、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、これが単に、商品の品番、型番、種別、型式、規格等を表した記号又は符号の一類型であると理解するにとどまるものであるから、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標であり,自他商品の識別標識とは認識し得ないといわざるを得ないものである。
 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。
(2)請求人の主張について
 ア 請求人は、「本願商標は、ローマ字2字と数字2字の4文字から構成されるものであって、その構成自体が極めて簡単であるということはできない。そして、この構成は、26×26×10×10=67,600通りの内の一つにすぎない。そうとすると、本願商標は、『ありふれた標章』にも該当しない。さらに、請求人が調査したところ、本願の指定商品を取り扱う分野において、本願商標が、商品の記号又は符号として使用されている事実は発見できなかった。」旨主張する。
 しかしながら、欧文字2字と数字の組合せには、多数の類型があるとしても、上記(1)イのとおり、本願商標は、文字の形や組合せ自体に特徴があるとはいえない欧文字2字と数字を組み合わせたにすぎず、また、原審で示した事実に加え、本願の指定商品を取り扱う分野において、商品の品番、型番、種別、型式、規格等を表した記号又は符号として、欧文字2字と数字を組み合わせた文字が多数使用されている実情があることからすれば、本願商標は、商品の品番、型番、種別、型式、規格等を表した記号又は符号の一類型と認識されるにすぎないものであり、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標といわざるを得ない。
 イ 請求人は、「本願商標の構成中の『VX』は・・・神経ガスの一種を表す既成の英単語であり、我が国では、当該ガスが使用された大事件があったこともあり、非常に知られた語となっている。・・・本願商標は、請求人の創作に係る商標として使用されており・・・本願商標についても、世界各国で販売されており、これまでの請求人がローマ字と数字からなる商標を継続的に使用してきたという取引実情に基づけば、本願商標も、取引者や需要者をして、請求人に係る商標として認識するといわざるを得ない。」旨主張し、「本願商標の構成中のローマ字『VX』が、英語の既成語として辞書に記載があり、何ら意味をなさない語ではないこと、また、実際に請求人の商品の名称として使用されている事実があるから、本願商標は、自他商品の識別機能を発揮する商標と判断されるべきである。」旨主張する。
 しかしながら、本願商標の構成中の「VX」の文字は、辞書に掲載されているとしても、「gas(ガス)」の文字とともに使用される語として掲載されており(甲3)、我が国において「VX」の文字のみが、請求人の主張する神経ガスの一種を表す語として広く知られているとはいい難く、また、提出された証拠からすると、請求人は、1961年に創立された、エンクロージャー(キャビネット・ボックス)等を製造販売する企業であり(甲8)、本願商標を使用した製品が存在する(甲7)ことが認められるものの、当該製品の我が国における販売状況等は不明であり、他に我が国において、本願商標がその指定商品との関係において、出所識別標識として機能していることを客観的に判断できる証拠は提出されていない。
 そうすると、上記(1)イのとおり、本願商標は、自他商品の識別機能を発揮する商標とはいえないものである。
 ウ 請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標も、これらと同様に自他商品の識別機能を発揮する商標として、登録されるべきである旨主張する。
 しかしながら、商標が登録要件を具備しているか否かの判断は、案件ごとに個別具体的に判断されるべきものであるところ、当該登録例は、商標の具体的構成や指定商品等において本願商標とは事案を異にするものであり、本願商標については、上記(1)イのとおり判断すべきであるから、当該登録例をもって本願商標の商標法第3条第1項第5号該当性の判断が左右されるものではない。
 エ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当し、登録することができない。
 よって、結論のとおり審決する。
 


        令和 2年 5月 7日

     審判長  特許庁審判官 冨澤 美加
          特許庁審判官 鈴木 雅也
          特許庁審判官 木住野 勝也

 
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示)                この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。                 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意)        特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
  
審判長 冨澤 美加          
 出訴期間として在外者に対し90日を附加する。


〔審決分類〕T18  .15 -Z  (W060920)

上記はファイルに記録されている事項と相違ないことを認証する。
認証日 令和 2年 5月 7日  審判書記官  木村 勝美