異議の決定


異議2018-685014
New Industrial Park, Xintang Village, Houjie Town, Dongguan City Guangdong(CN)
 商標権者  
DONGGUAN YINSHENG FOOTWEAR CO., LTD.
アメリカ合衆国、ニューヨーク州、ニューヨーク 10018、17ス・フロア、セヴンス・アヴェニュー 501
 商標登録異議申立人  
キャロライナ・ヘレラ・リミテッド
東京都港区芝三丁目23番1号 セレスティン芝三井ビルディング11階 鈴榮特許綜合事務所内
 代理人弁理士
蔵田 昌俊
  
東京都港区芝三丁目23番1号 セレスティン芝三井ビルディング11階 鈴榮特許綜合事務所内
 代理人弁理士
小出 俊實
  
東京都港区芝三丁目23番1号 セレスティン芝三井ビルディング11階 鈴榮特許綜合事務所内
 代理人弁理士
幡 茂良
  
東京都港区芝三丁目23番1号 セレスティン芝三井ビルディング11階 鈴榮特許綜合事務所内
 代理人弁理士
橋本 良樹
  


 国際登録第1378376号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。



 結 論
  
 国際登録第1378376号商標の商標登録を維持する。



 理 由
  
1 本件商標
 国際登録第1378376号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおり「CHCH」の欧文字を横書きしてなり,2017年(平成29年)10月4日に国際商標登録出願,別掲2のとおりの商品を指定商品として,平成30年6月28日に登録査定,同年9月14日に設定登録されたものである。
 
2 引用商標
 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとして,登録異議の申立ての理由において引用する商標は,以下の(1)及び(2)の2件であり,いずれも登録商標として現に有効に存続しているものである(以下,これらをまとめて「引用商標」という。)。
(1)国際登録第1112375号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
国際登録日:2012年4月2日
設定登録日:平成24年11月30日
指定商品:第18類「Leather and imitation leather, goods made of these materials not included in other classes; animal skins and hides; trunks and suitcases; umbrellas, parasols and walking sticks; whips, harness and saddlery.」
(2)国際登録第1110433号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲4のとおり
国際登録日:2012年2月28日
設定登録日:平成24年10月26日
指定商品:別掲5のとおり
 
3 登録異議の申立ての理由(要旨)
 申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
 本件商標は,「CHCH」の英文字を横書きしてなるものである(甲1,甲2)。
 一方,引用商標1は,別掲3のとおり,「CHCH」の英文字を左から横書きにしたものと,逆に右から横書きにしたものとを交互に重ねた,4段書きの構成からなるものである(甲3,甲4)。また,引用商標2は,別掲4のとおり,「CH」の英文字を左から横書きにしたものと,逆に右から横書きにしたものとを交互に重ねた2段書きの構成からなるものである(甲5,甲6)。
 引用商標の構成中,「CH」の文字は,申立人における母娘同名の2名のデザイナーの名前であり,申立人に係るブランドでもある「Carolina Herrera」の頭文字の「CH」を取ったものであり,「CHCH」の文字は,当該文字を2回繰り返したものである。引用商標1の構成中の「CHCH」を右から横書きにしている部分及び引用商標2の「CH」を右から横書きにしている部分は,構成上の遊びにより,「CHCH」という本来の語順を意図的に逆にしているにすぎないものであり,外観上,「CHCH」の英文字から構成されているものと,需要者に理解,認識されるものである。
 以上のことから,本件商標と引用商標とは,いずれも「CHCH」の英文字からなることを認識させる商標の構成上の共通性から,外観上類似しているというべきものであり,また,「CHCH」の英文字に相応した「シーエイチシーエイチ」の称呼が発生する共通性から,称呼上も類似しているというべきものである。
 また,本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似する(甲1~甲6)。
 よって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号の該当性について
 申立人は,母娘同名の2名のデザイナーによるブランドである「Carolina Herrera」,またそのライフスタイルブランドとして位置づけられる「CH Carolina Herrera」を世界的な規模で展開しており,その名前の頭文字をとった「CH」を繰り返してなる引用商標は,申立人に係る特徴的な商標として,需要者においても広く知られてきたものである(甲7~甲15)。
 1981年(昭和56年)に母のキャロライナ・ヘレラが自身初のブランドとして「Carolina Herrera」をニューヨークコレクションで発表したことを始めとして,1987年(昭和62年)に発売されたフレグランスが圧倒的な人気を博したものである。また,2001年(平成13年)に「CH Carolina Herrera」のブランドをスタートさせ,被服から,アクセサリー,レザー製品,香水など,幅広い商品を世界的に展開してきた(甲7~甲15)。現在においては,ヨーロッパ,アメリカ,中東,アジアに及んで90以上の直営店と120以上のインショップを出店してきており,ブランドのビジネス規模は15億ドル(約1620億円)間近といわれている(甲10,甲12)。
 我が国においては,2013年(平成25年)に「CH Carolina Herrera」の直営店を銀座に出店したのを始め,新宿高島屋等に出店されている(甲7~甲13)。「CH Carolina Herrera」の店舗においては,「CH」が前面に出されて広告宣伝され,「CH」が特に目立つように表示されている(甲11)。また,その店舗の壁面に,引用商標のように「CHCH」を繰り返した文字を表すことで,需要者に強く印象づけている(甲13)。
 通信販売においても,大手通販サイトで引用商標を使用した「香水」が販売されている(甲14,甲15)。申立人に係るブランドの売り上げのほとんどは香水によるものといわれている(甲12)。
 以上のことから,ファッションに関する商品分野においては,「CH」及びそれを繰り返した「CHCH」といえば,申立人の業務に係る商品であると需要者に広く認識されているものであり,「CHCH」の文字からなる引用商標も,本件商標の国際登録日には申立人の業務に係る商品を表示する商標として,我が国の需要者の間で広く認識されていた。
 したがって,「CHCH」の英文字からなる,引用商標と類似する本件商標を,需要者を共通にする,本件商標の指定商品に使用した場合,その商品の需要者は,申立人の業務に係る商品と出所について混同するおそれがある。
 よって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
 
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知性について
 申立人の提出に係る証拠及び主張によれば,以下のとおりである。
(ア)申立人は,1981年(昭和56年)に「Carolina Herrera」のブランドを立ち上げ,2001年(平成13年)には「CH Carolina Herrera」のブランドをスタートさせた。「CH Carolina Herrera」のブランドは,被服から,アクセサリー,レザー製品,香水など(以下「申立人の業務に係る商品」という。),幅広い商品を世界的に展開しており(甲9,甲10),2013年(平成25年)には,ヨーロッパ,アメリカ,中東,アジアに91のショップと120以上のインショップを出店している(甲8,甲10)。そして,2018年(平成30年)には,当該ブランドのビジネス規模は15億ドル(約1620億円)間近といわれているところ,そのほとんどは22種類ある香水によるものといわれている(甲12)。
(イ)申立人は,我が国においても,2013年(平成25年)に「CH Carolina Herrera」の直営店を銀座に出店し(甲10),2018年(平成30年)には,新宿高島屋にも出店した(甲11)。これらの店舗においては,「CH」の文字や引用商標2と類似する標章がその壁面等に目立つように表示されている(甲11,甲13)。
(ウ)インターネット販売において,引用商標を使用した「香水」が「キャロライナヘレラ CH」,「CAROLINA HERRERA CH」等の表示の下,販売されている(甲14,甲15)。
(エ)上記(ア)ないし(ウ)からすれば,申立人は,我が国において,引用商標に類似する標章を表示した店舗を有し,香水に引用商標を付して,販売していることはうかがえるものの,申立人の業務に係る商品の我が国における販売数,売上高等の販売実績や広告期間,地域,規模等の広告実績を定量的に確認できる客観的な証拠を提出していないことから,周知性の程度は明らかではない。
 そうすると,提出された証拠からは,引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の需要者の間に,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,広く認識されていたと認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標との類似性の程度について
(ア)本件商標
 本件商標は,別掲1のとおり,「CHCH」の欧文字を同書,同大,等間隔でまとまりよく表わしてなるところ,その構成中「CH」の文字は上記アのとおり,需要者の間に広く認識されているとは認められないものであるから,当該文字部分が看者に強い印象を与えるものとはいえず,かかる構成からすれば,これに接する取引者,需要者に一体不可分のものと看取,把握されるとみるのが自然である。そして,本件商標を構成する「CHCH」の文字は,辞書に掲載がなく,また,特定の意味合いを有する語として知られているとも認められないものであるから,特定の意味合いを想起させない造語と認識されて,これより特定の観念は生じない。また,本件商標は,その構成文字に相応して,「シーエイチシーエイチ」の称呼を生じる。
 したがって,本件商標は,「シーエイチシーエイチ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(イ)引用商標
a 引用商標1
 引用商標1は,別掲2のとおり,「C」及び「H」の文字を交互にまとまりよく配置し,一種の幾何図形のごとく表した構成からなるものである。そして,上記アのとおり,引用商標1は需要者の間に広く認識されているとは認められないものであるから,当該文字部分が看者に強い印象を与えるものとはいえず,かかる構成からすれば,その構成全体をもって,一種の幾何図形と認識されるものというのが相当である。また,引用商標1は,我が国において特定の事物を表したもの,又は意味合いを表すものとして認識され,親しまれているというべき事情は認められないことから,これより,特定の称呼及び観念は生じないというのが相当である。
 したがって,引用商標1からは,特定の称呼及び観念を生じないものである。
b 引用商標2
 引用商標2は,上段に「CH」の文字を,下段に「HC」の文字を横書きし,同じ書体でまとまりよく一体的に表されているものである。そして,上記アのとおり,引用商標2は需要者の間に広く認識されているとは認められず,当該文字部分が看者に強い印象を与えるものとはいえないこと,我が国において,欧文字は,左から右に,また,上から下へ記述することが一般的であることなどからすれば,引用商標2に接する取引者,需要者は,これを「CH」及び「HC」の文字からなる一体不可分のものと認識するとみるのが自然である。また,引用商標2を構成する「CHHC」の文字は,辞書に掲載がなく,また,特定の意味合いを有する語として知られているとも認められないものであるから,特定の意味合いを想起させない造語と認識されて,これより特定の観念は生じない。そして,引用商標2は,その構成文字に相応して,「シーエイチエイチシー」の称呼を生じる。
 したがって,引用商標2は,「シーエイチエイチシー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(ウ)本件商標と引用商標との類似性の程度
 本件商標と引用商標の類似性の程度について検討するに,本件商標と引用商標は,外観においては,上記(ア)及び(イ)のとおりの構成からなるところ,その全体の構成において,顕著な差異を有するものであるから,本件商標と引用商標は,外観上,明確に区別できるものである。
 称呼については,上記(ア)及び(イ)のとおり,本件商標からは「シーエイチシーエイチ」の称呼が生じるのに対して,引用商標1からは特定の称呼を生じるものではなく,引用商標2からは「シーエイチエイチシー」の称呼を生じるところ,本件商標と引用商標2とは,音構成において明らかな差異を有するため,称呼において互いに紛れるおそれはないものである。また,引用商標1からは特定の称呼を生じないことから,本件商標と引用商標1は,称呼において互いに紛れるおそれはないものである。
 観念については,上記(ア)及び(イ)のとおり,本件商標及び引用商標からは特定の観念は生じないものであるから,観念において比較することはできない。
 そうすると,本件商標と引用商標とは,観念において比較できないものであるとしても,外観及び称呼において互いに紛れるおそれのないことが明らかなものであるから,本件商標と引用商標が需要者に与える印象,記憶等を総合してみれば,両商標は,非類似の商標というのが相当である。
 したがって,本件商標と引用商標は,非類似の商標であって,別異のものとみるのが相当である。
ウ 出所の混同を生ずるおそれについて
 上記アのとおり,引用商標は申立人の業務に係る商品を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり,上記イのとおり,本件商標と引用商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異のものというべきである。
 そうすると,本件商標は,本件商標権者が,これをその指定商品について使用をしても,取引者,需要者が,引用商標を連想又は想起することはなく,その商品が申立人若しくは同人らと経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
 その他,本件商標が引用商標と出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
 本件商標と引用商標とは,上記(1)イ(ウ)のとおり,非類似の商標である。
 したがって,本件商標と引用商標とは,非類似の商標であるから,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似であるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)申立人の主張について
 申立人は,「CH」及び「CHCH」の文字が需要者の間に広く認識されていることを前提に,引用商標1の構成中の「CHCH」を右から横書きにしている部分及び引用商標2の「CH」を右から横書きにしている部分は「CHCH」及び「CH」という本来の語順を意図的に逆にしているにすぎないものであるから,引用商標は,「CHCH」の英文字から構成されているものである旨,主張する。
 しかしながら,上記(1)のとおり,「CH」及び「CHCH」の文字が需要者の間に広く認識されているとは認められないものであるから,当該文字部分が看者に強い印象を与えるものとはいえず,また,引用商標1は,上記(1)イ(イ)aのとおり,「C」及び「H」の文字を交互にまとまりよく配置し,一種の幾何図形のごとく表した構成からなるものであり,引用商標1が「CHCH」の英文字から構成されているとみるべき特段の理由は認められない。また,引用商標2は,上記(1)イ(イ)bのとおり,上段に「CH」の文字を,下段に「HC」の文字を横書きし,同じ書体でまとまりよく一体的に表されている構成からなるものであり,同様に,引用商標2が「CHCH」の欧文字から構成されているとみるべき特段の理由は認められない。
 したがって,申立人の主張は採用することができない。
(4)まとめ
 以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものではなく,その登録は,同法第4条第1項の規定に違反してされたものとはいえないものであり,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
 よって,結論のとおり決定する。
 
 


        令和 2年 9月29日

     審判長  特許庁審判官 岩崎 安子
          特許庁審判官 大森 友子
          特許庁審判官 藤村 浩二

 
別掲
1 (本件商標)
 
2 (本件商標の指定商品)
第18類「Handbags; rucksacks; briefcases; trimmings of leather for furniture; leather thongs; animal skins; leather, unworked or semi-worked; umbrellas; walking sticks; covers for animals.」
第25類「Clothing; layettes [clothing]; shoes; ski boots; hosiery; waterproof clothing; neckties; hats; leather belt [clothing]; wedding dress.」
 
3 (引用商標1)
 
4 (引用商標2)
 
5 (引用商標2の指定商品)
第3類「Perfumery, cosmetics, essential oils, soaps, talcum powders, shampoos, hair lotions, lotions for bathing and shower gels, bath salts, not for medical purposes, deodorants for personal use, dentifrices.」
第18類「Handbags, wallets, purses, billfolds, suitcases, umbrellas, parasols and walking sticks; backpacks; leather file folders; goods of leather and imitation leather not included in other classes.」
第25類「Clothing and ready-to-wear clothing; bathing suits, bathrobes, underclothing; headgear, caps, bonnets, berets and visors, jumpers and sweaters, suits and pants, including knitwear; coats, dresses, gabardines, raincoats, gloves, scarves, neckties, belts, stockings, socks and footwear of all kinds (except orthopedic footwear).」
 
 
(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意)
 特許庁は,著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては,著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。


〔決定分類〕T1651.261-Y  (W1825)
            262
            263
            271

上記はファイルに記録されている事項と相違ないことを認証する。
認証日 令和 2年 9月29日  審判書記官  木村 勝美