理 由 |
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1 本願商標及び手続の経緯 |
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第9類及び第42類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品及び役務を指定商品及び指定役務として、2020年(令和2年)2月20日に国際商標登録出願されたものである。 |
原審では、2021年(令和3年)7月21日付けで拒絶理由の通知、令和3年11月5日付けで意見書及び手続補正書の提出、2022年(令和4年)4月4日付けで拒絶査定されたもので、同4年7月19日に本件拒絶査定不服審判が請求されている。 |
本願商標の指定商品及び指定役務は、原審における上記の手続補正書により、第9類「Electric cables; audiovisual receivers; photographic apparatus and instruments; computer software for information technology and audio-visual, multimedia and photographic devices; measuring apparatus; detectors; monitoring apparatus; optical devices, enhancers and correctors; GPS navigation, guidance, tracking and targeting devices; computer hardware and software for map making; pre-recorded compact discs; security alarms; clothing for protection from accidents, irradiation and fire; luminous or mechanical signals; measuring instruments.」及び第42類「Design services; information technology [IT] consultancy; scientific and technological research and development; quality testing; authentication of quality; quality control.」と補正された。 |
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2 原査定の拒絶の理由 |
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標(以下の商標をまとめて「引用商標」という場合がある。)は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 |
(1)登録第4637961号商標(以下「引用商標1」という。)は、「PROMAX」の文字を標準文字で表したものであり、2000年(平成12年)7月20日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成12年10月26日登録出願、第42類「コンピュータを用いて行う石油・ガスの生産・精製に係るプラントに関するエンジニアリング及びこれらに関する助言・情報の提供」を指定役務として、同15年1月17日に設定登録されたものである。 |
(2)登録第5924517号商標(以下「引用商標2」という。)は、「PROMAX」の文字を標準文字で表したものであり、平成28年9月6日登録出願、第35類「広告業,商品の販売促進及び役務の提供促進に関する企画・実行の代理及び助言並びに情報の提供,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,郵便物の宛名書き及び書類の封入・封緘・発送の代行,コンピュータによるデータ入力及びデータ管理に関する事務の代行,コンピュータデータベースへの情報編集,広告用具の貸与」、第40類「紙の加工,製本,印刷」及び第42類「デザインの考案(広告に関するものを除く。),ウェブサイトの作成又は保守,その他の電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」を指定役務として、同29年2月17日に設定登録されたものである。 |
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3 当審の判断 |
(1)本願商標と引用商標の類否 |
ア 本願商標について |
本願商標は、別掲のとおり、「dongleserver」の欧文字(「dongle」の文字は黄色、「server」の文字は銀色。)と、「ProMAX」の欧文字(銀色。太字。)を、わずかな間隔を空けて、同じ大きさ及び書体で、横一列にまとまりよく表してなるものである。 |
そして、本願商標の構成中「dongle」の文字は「ドングル(ソフトウェアの複製を防止する装置)」の意味を、「server」の文字は「サーバー。データ集配信装置。」の意味を、「Pro」の文字は「プロ。玄人。」の意味を、「MAX」の文字は「最大限で。」の意味を有する英語(参照:「ジーニアス英和辞典 第5版」大修館書店)であるところ、構成文字全体としては、具体的な意味合いを認識できないものの、そのまとまりのよい構成も相まって、何らかの商品名やサービス名を表してなると看取できる。また、本願商標の構成文字全体より生じる「ドングルサーバープロマックス」の称呼も冗長なものとまではいえず、一気一連に称呼し得るものである。 |
そうすると、本願商標は、その構成文字に相応して、「ドングルサーバープロマックス」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。 |
イ 引用商標について |
引用商標1及び引用商標2は、いずれも「PROMAX」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「PRO」の文字は「プロ。玄人。」の意味を、「MAX」の文字は「最大限で。」の意味を有する英語(前掲書参照)であるが、両語を結合して特定の意味を有する成語となるものではなく、各語の語義を結合した意味合いも漠然としている。 |
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「プロマックス」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。 |
ウ 本願商標と引用商標の比較 |
本願商標と引用商標を比較すると、外観においては、語尾の構成文字「ProMAX(PROMAX)」のつづりを共通にするが、語頭の構成文字「dongleserver」の有無に差違があるから、相紛れるおそれはない。また、称呼においては、語尾の構成音「プロマックス」を共通にするが、語頭の構成音「ドングルサーバー」の有無に差違があるから、相紛れるおそれはない。さらに、観念においては、いずれも特定の観念は生じないから、比較できない。 |
そうすると、本願商標と引用商標は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれはないから、それらを総合して考察すれば、出所の混同が生じるおそれはなく、類似する商標とは認められない。 |
(2)結論 |
以上のとおり、本願商標は、引用商標とは類似する商標ではないから、その指定商品及び指定役務について比較するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 |
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 |
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 |
よって、結論のとおり審決する。 |
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