異議の決定


異議2022-685013
Bessemerstrase 22 12103 Berlin(Germany)
 商標権者  
Thomas Henry GmbH & Co. KG
東京都新宿区新宿4丁目3番17号
 代理人弁理士
弁理士法人太陽国際特許事務所
  
新加坡特拉斯街100号16-01室 100AM
 商標登録異議申立人  
馬黛馬黛亜洲有限公司
京都府京都市南区久世中久世町1-139-1ブルグ清涼403
 代理人弁理士
叶野 徹
  


 国際登録第1508748号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。



 結 論
  
 国際登録第1508748号商標の商標登録を維持する。



 理 由
  
 1 本件商標
 本件国際登録第1508748号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2019年2月14日にEUIPOにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2019年(令和元年)7月5日に国際商標登録出願、第32類「Beers; mineral water [beverages]; aerated water; fruit drinks; fruit juices; syrups for making beverages; preparations for making beverages; non-alcoholic beverages; non-alcoholic beverages, in particular flavoured with mate; cola; non-alcoholic beverages containing caffeine; energy drinks containing caffeine; energy drinks; energy drinks [not for medical purposes]; fermented non-alcoholic beverages.」並びに第25類、第30類、第33類、第35類、第39類及び第43類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和3年(2021年)11月19日に登録査定、同4年(2022年)3月18日に設定登録されたものである。
  
 2 引用商標
 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、別掲2のとおり、多角形の図形内に「MATE」及び「MATE」の文字を二段書きにしてなる商標であって、申立人が、商品「エナジードリンク」などの飲料に使用し、アジア(又は中国及び米国)における需要者の間に広く認識されているとするものである。
 なお、申立人の主張によっては、同人が引用する商標の特定が困難なところがあるが、当審は、同人の主張の全趣旨及び提出された甲各号証から、同人は上記商標を引用しているものと認めた。
 
 3 登録異議の申立ての理由 
 申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第32類「全指定商品」(以下「申立商品」という。)について、商標法第4条第1項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)本件商標について
 本件商標は、特定のフォントとロゴマークで組み合わされており、第32類「energy drinks(エナジードリンク)」などを指定商品としているものである。
(2)商標法第4条第1項第19号該当性
 本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして外国における需要者の間に広く認識されている引用商標と同一の商標であって、不正の目的をもって使用をするものといえるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
 ア 引用商標が、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識される商標」に該当すること
 申立人は、本件商標の先願権発生日(平成31年(2019年)2月14日)(甲1)よりも前から、商品「エナジードリンク」などの飲料に、本件商標と同一の商標を広く使用し今日に至っている。
 より具体的には、引用商標はアジア全体にわたり、2016年(平成28年)頃から広く知られているブランドである(甲2)。
 そして、上記飲料分野の商品のアジアにおける市場占有率が大きい。
 したがって、引用商標は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識される商標」に該当するといえる。
 イ 引用商標が、「本件商標の同一又は類似の商標」に該当することについて
 本件商標と引用商標とは、まったくの「同一又は類似」であるといえる(甲1)。
 ウ 不正の目的について
(ア)引用商標が需要者の間に広く知られている事実
 引用商標は、本件商標の先願権発生日(甲1)よりも前の2016年(平成28年)頃から、少なくともアジアにおいて需要者の間に広く知られているブランドであったことは明らかである。
(イ)引用商標が造語よりなるものであること
 引用商標は英文字よりなるが、所定の意味をもつ英語ではなく、造語よりなるものである。
(ウ)引用商標の所有者が近い将来、新規事業を有している事実
 本件商標の指定商品中に「エナジードリンク」が含まれており(甲1)、引用商標の所有者である申立人は、エナジードリンクなどの飲料の分野において事業を有していたことは明らかである。
(3)むすび
 以上より、本件商標は、少なくとも米国及び中国(決定注:申立人は上記(2)ア及ウ(ア)においては「アジア」と記載している。)において周知な商標と同一であり、しかもその周知な商標は造語よりなるものであるから、本件商標は不正の目的をもって使用をするものであることは明らかである。
 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
 
 4 当審の判断
(1)引用商標の周知性
 申立人は、商品「エナジードリンク」などの飲料に、引用商標を使用しており、2016年(平成28年)頃から少なくともアジア(又は米国及び中国)において、引用商標は需要者の間に広く知られていたことが明らかである旨主張し、証拠として申立人の「Brand Introduction」と称する書類(以下「ブランドイントロダクション」という。)を提出している(甲2)。
 そして、ブランドイントロダクションにおいて、多角形の図形内に「MATE」及び「MATE」の文字を二段書きにしてなる商標(引用商標、別掲2)が付された缶製包装容器が掲載されていることは確認できる。
 しかしながら、当該缶製包装容器に係る商品(以下「使用商品」という。)がいかなる商品であるかは明らかでないことに加え、ブランドイントロダクション自体が、例えば商品パンフレットのような販売促進物であるのか否かを把握することはできず、また、その具体的な使用時期、使用地域、あるいは配布数等も不明である。
 さらに、申立人が提出した証拠からは、使用商品の販売期間、売上額、販売個数、販売地域など販売実績や広告宣伝活動を客観的に把握することができず、引用商標の周知性の程度を推し量ることができない。
 以上を踏まえると、申立人が提出した証拠によっては、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内又は外国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第19号該当性について 
 本号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。)をもって使用するもの」に該当する商標について、商標登録を受けることができないと規定しているところ、上記(1)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。
 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号所定の他の要件を判断するまでもなく、同号に該当しない。
 なお、申立人が提出した証拠によっては、本件商標権者が、本件商標を、申立人の我が国への進出を阻止するなど不正の目的をもって使用するものというべき事情は見いだせない。
(3)むすび
 以上のとおり、本件商標は、申立商品について、商標法第4条第1項第19号に該当するものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
 よって、結論のとおり決定する。


        令和 5年 3月23日

     審判長  特許庁審判官 大森 友子
          特許庁審判官 小俣 克巳
          特許庁審判官 石塚 利恵

 
 別掲1 本件商標
 
 別掲2 引用商標(甲2:色彩は原本を参照。)
 
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〔決定分類〕T1652.222-Y  (W32)

上記はファイルに記録されている事項と相違ないことを認証する。
認証日 令和 5年 3月23日  審判書記官  奥村 恵子