審決


不服2022-650021

PO BOX 113 WILLUNGA SA 5172(AU)
 請求人
Kate O’Donoghue
  
大阪府大阪市北区角田町8番1号 大阪梅田ツインタワーズ・ノース 青山特許事務所
 代理人弁理士
山尾 憲人
  
大阪府大阪市北区角田町8番1号 大阪梅田ツインタワーズ・ノース 青山特許事務所
 代理人弁理士
川本 真由美
  
大阪府大阪市北区角田町8番1号 大阪梅田ツインタワーズ・ノース 青山特許事務所
 代理人弁理士
市川 久美子
  
PO BOX 113 WILLUNGA SA 517(AU)
 請求人
Kate Campbell
  
大阪府大阪市北区角田町8番1号 大阪梅田ツインタワーズ・ノース 青山特許事務所
 代理人弁理士
山尾 憲人
  
大阪府大阪市北区角田町8番1号 大阪梅田ツインタワーズ・ノース 青山特許事務所
 代理人弁理士
川本 真由美
  
大阪府大阪市北区角田町8番1号 大阪梅田ツインタワーズ・ノース 青山特許事務所
 代理人弁理士
市川 久美子
  


 2020年6月11日に事後指定が記録された国際登録第1324881号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。



 結 論
  
 本件審判の請求は、成り立たない。



 理 由
  
1 手続の経緯
 本願は、2020年(令和2年)5月27日に国際商標登録出願(事後指定)されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
 2021年(令和3年)6月15日付け :暫定拒絶通報
 令和3年(2021年)9月30日   :意見書の提出
 令和3年(2021年)12月22日付け:拒絶査定
 令和4年(2022年)4月8日    :審判請求書の提出
 
2 本願商標
 本願商標は、「Play Pouch」の欧文字を横書きしてなり、第18類「Pouches (bags); portable bags (luggage); shoulder bags for use by children; beach bags.」を指定商品として、国際商標登録出願(事後指定)されたものである。
 
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第4708449号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成14年10月18日に登録出願、第18類「かばん類,袋物」を含む第18類、第24類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同15年9月12日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
 
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
 ア 商標の類否
 商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷・民集22巻2号399頁参照)。
 また、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについては、商標の各構成部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合には、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、原則として許されないが、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるものと解される(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。
 イ 本願商標について
 本願商標は、「Play Pouch」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成中「Play」の文字は「劇、戯曲」等の、「Pouch」の文字は「(特に小さな物・少量の物を入れる)小袋、布袋」等の意味を有する英語である(いずれも「ランダムハウス英和大辞典第2版」株式会社小学館)ものの、これらを結合してなる本願商標全体としては、辞書等に掲載がないものであって、特定の意味合い理解させることのない一種の造語として認識されるものである。
 そして、当審における職権調査によれば、「POUCH」「Pouch」「pouch」の文字は、別掲2のとおり、本願の指定商品を取り扱う業界において、「小袋」程の意味合いで一般に使用されているものである。他方、「Play」の文字は、本願の指定商品との関係において、商品の品質等を表す語として使用されている事情は見当たらず、また、そのように認識されるというべき事情も見当たらないものである。
 してみれば、本願商標の構成中「Pouch」の文字は、本願の指定商品との関係においては、商品そのものを示す語として認識されるものであって、商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないものであり、商品の出所識別標識としての称呼、観念を生じないものである。
 他方、「Play」の文字は、本願の指定商品との関係において、商品の品質等を表す語として一般に使用されている語ではないことから、当該文字部分が、商品の出所識別標識として取引者、需要者に対して強く支配的な印象を与えるものといえる。
 そうすると、本願商標の構成中、「Pouch」の文字部分が、商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないものである一方、「Play」の文字部分は、本願の指定商品との関係において、商品の品質等を表す語として一般に使用されている語ではないことから、当該「Play」の文字部分が、商品の出所識別標識として、取引者、需要者に対して強く支配的な印象を与える部分であるといえ、本願商標から「Play」の文字部分を要部として抽出し(以下、「Play」の文字部分を「本願要部」ということがある。)、この部分のみを他人の商標(引用商標)と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。
 したがって、本願商標は、本願要部の構成文字に相応して、「プレイ」の称呼を生じ、「劇、戯曲」の観念を生じるものである。
 ウ 引用商標について
 引用商標は、別掲1のとおり、「PLAY」の文字を弓なりに横書きし、その下部に「COMME des GARCONS」(審決注:「GARCONS」の4文字目の「C」の下には星印が付されている。以下同じ。)の文字を横書きしてなるものである。
 引用商標を構成する各文字についてみるに、「PLAY」の文字は、前記イのとおり、「劇、戯曲」等(前掲書)の意味を有する英語である。また、「COMME」の文字は「・・・のように」等の、「des」の文字は「・・・から(すぐに)」等の、「GARCONS」の文字は「男の子」等の意味を有するフランス語(いずれも「ディコ仏和辞典」株式会社白水社)であるものの、我が国において親しまれた語とはいい難く、その意味まで知られた語ともいい難いものであるから、上記各文字はいずれも特定の意味合いを理解させることのない一種の造語として認識されるものである。
 そして、上段の「PLAY」の文字部分(以下「上段文字部分」という。)の構成文字は、下段の「COMME des GARCONS」の文字部分(以下「下段文字部分」という。)の構成文字のおよそ16倍の大きさで表されていること、上段文字部分と下段文字部分(以下、これらを合わせて「両文字部分」という。)は空間を空けて配置されていること、さらに上段文字部分は弓なりに表されている一方、下段文字部分は横一列に表されていることから、両文字部分は、視覚上分離して看取されるものである。
 また、上段文字部分も下段文字部分も、本願の指定商品との関係において、商品の品質等を表すものではないことから、自他商品の識別力を発揮し得る部分である。
 さらに、両文字部分は観念上のつながりがないものであって、それぞれが単独では商品の出所識別機能を有しないと認めるに足りる事情も見あたらない。
 そうすると、両文字部分は、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められない。
 以上からすると、引用商標は、「PLAY」の文字部分(以下「引用要部」という。)のみを要部として抽出し、他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというのが相当である。
 したがって、引用商標は、引用要部の構成文字に相応して、「プレイ」の称呼を生じ、「劇、戯曲」の観念を生じるものである。
 エ 本願要部と引用要部の類否について
 本願要部と引用要部とを比較すると、外観については、本願要部が横一列に表されているのに対し、引用要部は弓なりに表されていること、及び、本願要部が欧文字の大文字と小文字からなるのに対し、引用要部は欧文字の大文字のみからなることにおいて異なるものであるが、そのつづりを共通にするものであって、両者はともに一般的な書体で表されているものであるから、外観上似通った印象を与えるものである。
 そして、称呼及び観念においては、本願要部と引用要部は、ともに「プレイ」の称呼及び「劇、戯曲」の観念を生じるから、両者は称呼及び観念を同一にするものである。
 そうすると、本願商標と引用商標とは全体の構成等において相違するものの、本願要部と引用要部は、称呼及び観念を同一にするものであって、外観も似通った印象を与えるものであるから、これらが、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合すれば、両商標は、互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
 オ 本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
 本願の指定商品は、引用商標の指定商品中、第18類「かばん類,袋物」に含まれるものであるから、両商品は同一又は類似の商品である。
 カ 小括
 本願商標と引用商標とは、相紛れるおそれのある類似の商標であり、かつ、本願の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品である。
 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
 ア 請求人は、「本願商標の構成文字は、同書同大かつ同じ色でまとまりよく書されていることから、外観上、取引者、需要者が「Play」の文字部分のみに着目して本願商標を捉えるとみるべき理由は一切ない。また、構成文字全体から生じる「プレイポウチ」の称呼は、わずか6音という短い音構成であり、よどみなく一気一連に称呼できるものである。そのため、敢えて前段3音の「プレイ」のみを抽出して称呼するのはむしろ不自然であり、全体から生じる「プレイポウチ」の称呼のみをもって取引に資されるとみるべきである。」旨を主張している。
 しかしながら、前記(1)イのとおり、本願商標の構成中「Pouch」の文字は、本願の指定商品との関係においては、商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないものである一方、「Play」の文字部分は、本願の指定商品との関係において、商品の品質等を表す語として一般に使用されているものではなく、商品の出所識別標識として、取引者、需要者に対して強く支配的な印象を与える部分であるといえる。
 したがって、本願商標から「Play」の文字部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標(引用商標)と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。
 イ 請求人は、「「Pouch」は「小袋」等の意味を有する英単語であるが、日本において「小袋」を表すのに片仮名で「ポーチ」と表すことはあっても、欧文字で表した「Pouch」の文字が、商品の品質や性質を表すものとして、一般的に使用されているとはいえない。そのため、当該文字から直ちに「小袋」の意味合いが想起されるとは限らず、出所識別機能を全く果し得ないとまでは言い切れない。」旨を主張している。
 しかしながら、前記(1)イのとおり、「POUCH」「Pouch」「pouch」の文字は、本願の指定商品を取り扱う業界において、「小袋」程の意味合いで一般に使用されているものであって(別掲2)、本願の指定商品との関係においては、商品そのものを示す語として認識されるものであるから、商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないものであり、商品の出所識別標識としての称呼、観念を生じないものである。
 ウ 請求人は、「本願商標は、請求人が考案した、子供がおもちゃを広げて遊んだり、片づけたりできるようにデザインされたプレイマット兼おもちゃ収納袋の商標として、日本で使用されているが、常に「PlayPouch」、「プレイポウチ」又は「プレイポーチ」という一連の商標として、取引者、需要者に使用され、認識されていて、「Play」のみが独立して、出所識別標識として使用され、認識されているといった事実は一切ない。このことからも、本願商標は、「PlayPouch」全体として一連一体にのみ認識されるものであるといえる。」旨を主張している。
 しかしながら、本願商標が、日本で使用される際に、常に「PlayPouch」、「プレイポウチ」又は「プレイポーチ」という一連の商標として使用されているとしても、前記(1)イのとおり、本願商標の構成中、「Play」の文字部分が、商品の出所識別標識として、取引者、需要者に対して強く支配的な印象を与える部分であるといえ、本願商標から「Play」の文字部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標(引用商標)と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。
 エ 請求人は、「引用商標は、外観上一体的に把握・認識されるものであって、構成文字全体から生じる「プレイコムデギャルソン」の称呼も、冗長とまでは言えず、語呂よく一気一連に称呼できるものである。」旨述べるとともに、「上段の「PLAY」の文字は、格別に識別力の高い語であるとはいえない一方で、下段の「COMME des GARCONS」の文字は、日本のファッションデザイナーが設立したプレタポルテブランドの名称として日本で広く知られていて、引用商標において強く支配的な印象を与える部分であるといえる。そうすると、引用商標中の「COMME des GARCONS」が捨象され、「PLAY」の部分のみが独立して取引に資されるとは考えられない。」旨を主張している。
 しかしながら、「COMME des GARCONS」の文字が日本のファッションデザイナーが設立したプレタポルテブランドの名称として日本で広く知られているとしても、前記(1)ウのとおり、両文字部分は、視覚上分離して看取されるものであること、上段文字部分も下段文字部分も、本願の指定商品との関係において、自他商品の識別力を発揮し得る部分であること、さらに、上段両文字部分は観念上のつながりがないものであって、それぞれが単独では商品の出所識別機能を有しないと認めるに足りる事情も見あたらないことから、両文字部分は、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められない。そうすると、引用商標は、「PLAY」の文字部分のみを要部として抽出し、他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというのが相当である。
 オ したがって、請求人の主張は、いずれも採用できない。
(3)まとめ
 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
 よって、結論のとおり審決する。
 


        令和 5年 5月11日

     審判長  特許庁審判官 冨澤 武志
          特許庁審判官 馬場 秀敏
          特許庁審判官 須田 亮一

 
別掲1 引用商標
 
別掲2 「POUCH」「Pouch」」「pouch」の文字が、本願の指定商品を取り扱う業界において、「小袋」程の意味で一般に使用されている例(下線は合議体による。)
(1)TO&FROのウェブサイトには「POUCH/ポーチ」の見出しの下、「ABC POUCH A4」や「CABLE POUCH」等の商品名のポーチが掲載されている。
(https://toandfro.shop/collections/pouch)
(2)ateliers PENELOPEのウェブサイトには、「Pouch」の見出しの下、「Diary Pouch」や「Cargo Pouch」といった商品名のポーチが掲載されている。
(https://penelope.shop-pro.jp/?mode=grp&gid=1546882)
(3)クローム・インダストリーズジャパン公式オンラインストアのウェブサイトには、「UTILITY POUCH(ユーティリティーポーチ)」という商品名のポーチが掲載され、「UTILITY POUCHは、お札やバックの下にたまりがちの小物を整理できるポーチ」の記載がある。
(https://www.chromeindustries.jp/products/utility-pouch-small)
(4)北海道ライフブランド TNOCのウェブサイトにおける「TNOC THE POUCH」という商品のページには「軽くて強い。あなたになじんでいくポーチ。」の記載がある。また、「Put in your favorite small articles お気に入りの小物を軽くまとめて。」の見出しの下、「毎日つかう小物を軽く、コンパクトにまとめられるポーチです。独特の風合いはまるでレザーのように、使い込むほどに柔らかくなり、あなただけのポーチとしてなじんでいきます。」の記載がある。
(https://tnoc.jp/pouch.php)
(5)SAVOTTAのウェブサイトにおける「POUCH/ポーチ」のページには、「VERTICAL POUCH S(バーティカルポーチS)」、や「HORIZONTAL POUCH S(ホリゾンタルポーチS)」といった商品名のポーチが掲載されている。
(https://savotta.jp/pouch/)
(6)ZUCA Official Online Storeのウェブサイトにおける「ZUCA Utility Pouch」という商品のページには、「メイクアップアーティストのアドバイスで作られた、工夫次第でいろいろ使えるポーチ。」の記載がある。
(https://www.zucastore-jp.com/shopdetail/000000000075/)
(7)ripaのウェブサイトにおける「HANG pouch/micro」という商品のページには、「この“HANG”シリーズは特殊なクリップを使用し、25mm幅までのナイロンベルトであれば簡単に取り付けができしっかりと掴まってくれるポーチです。」の記載がある。
(https://ripabag.stores.jp/items/5e6cdf5fe20b040a879a5561)
(8)aso公式オンラインストアのウェブサイトにおける「耐水ポーチ TOFT POUCH + タフトポーチ プラス Mサイズ tf-v219」という商品のページには、「いつもの収納に最高の耐水性能を」の見出しの下、「ガジェットからスキンケアまで、マルチに収納できるポーチ。」の記載がある。
(https://www.asoboze.jp/c/catetop/leathergoods/pouch/tf-v219m)
(9)LONAのウェブサイトにおける「CORON pouch」という商品のページには、「ふっくら、コロンとしたフォルムが愛らしいポーチ。横幅は17センチとそこまで大きくはないのですが、マチがたっぷりあるので、見た目以上に沢山入ります。」の記載がある。
(https://www.lona.jp/SHOP/PO-1.html)
 
 
 
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示)                この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。                 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意)        特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
  
審判長 冨澤 武志          
 出訴期間として在外者に対し90日を附加する。


〔審決分類〕T18  .261-Z  (W18)
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            263

上記はファイルに記録されている事項と相違ないことを認証する。
認証日 令和 5年 5月11日  審判書記官  加賀 泉