審決


不服2022-650060

245 MAIN STREET, 12TH FLOOR CAMBRIDGE MA 02142(US)
 請求人
ASCIDIAN THERAPEUTICS, INC.
  
東京都千代田区大手町1丁目1番2号 大手門タワー 西村あさひ法律事務所
 代理人弁護士
岩瀬 ひとみ
  
東京都千代田区大手町1丁目1番2号 大手門タワー 西村あさひ法律事務所
 代理人弁理士
宇梶 暁貴
  


 国際商標登録第1566259号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。



 結 論
  
 原査定を取り消す。
 本願商標は、登録すべきものとする。



 理 由
  
1 手続の経緯
 本願は、2020年(令和2年)11月18日に国際商標登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
  2021年(令和3年)10月20日付け:暫定拒絶通報
  2022年(令和4年) 2月 2日  :意見書の提出
  2022年(令和4年) 3月31日付け:拒絶査定
  2022年(令和4年) 7月 6日  :審判請求書の提出
  2022年(令和4年) 8月17日  :手続補正書の提出
 
2 本願商標
 本願商標は、「ASCIDIAN」の文字を横書きしてなり、日本国を指定する国際登録において指定された第5類に属する「Biological preparations for medical use in medical and clinical gene therapy and cell therapy.」を指定商品として、2020年5月26日にUnited States of Americaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、国際商標登録出願されたものである。
 その後、本願の指定商品については、当審における上記1の手続補正により、第5類「Biological preparations for medical use in medical and clinical gene therapy and cell therapy using messenger RNA trans-splicing (excluding those containing ascidians or ascidian products).」と補正されたものである。
 
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
 本願商標は、「ASCIDIAN」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、当該文字は英語で「ホヤ類」程の意味合いを有する語である。
 そして、新聞記事やインターネット情報によれば、近年、本願商標の指定商品「医療用生物学的製剤」を取り扱う分野において、ホヤ類又はそれらの生成物質を原料とした各種製剤が研究・開発・製造されている実情が窺える。
 そうすると、本願商標をその指定商品に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、「ホヤ類あるいはホヤ類の生成物質を成分とする、医療用及び臨床用遺伝子療法及び細胞療法における医療用生物学的製剤」であること、すなわち、商品の原材料、品質を表示したものと認識するにすぎないというのが相当である。
 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
 
4 当審の判断
 本願商標は、「ASCIDIAN」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、当該文字が、「ホヤ類」の意味(「ランダムハウス英和大辞典 第2版」(株式会社小学館))を有するとしても、当該意味を有する語として一般に知られているものとはいいがたい。
 そして、当審において職権をもって調査するも、本願商標「ASCIDIAN」の訳語である「ホヤ類」について、抽出される成分あるいは遺伝子発現に関連した研究が行われていることが窺われるものの、研究者の範囲は限定的とみられる上、本願の指定商品(参考訳:メッセンジャーRNAトランススプライシングを用いた医療用及び臨床用遺伝子療法及び細胞療法における医療用生物学的製剤(ホヤ類あるいはホヤ類生成物質を含むものを除く。))に関連する分野(製剤分野)での研究はより限定されるものとみられ、実効性を伴う現実的な使用例は確認できなかった。また、「ASCIDIAN」の文字(語)が、医薬分野及びバイオ分野において、広く使用される学名であるといった事実も見いだせない。
 さらに、「ASCIDIAN」の文字及びその訳語の「ホヤ類」が、商品の具体的な品質を表示するものとして一般に使用されている事実はもとより、本願商標に接する取引者、需要者が当該文字を商品の品質を表示したものと認識するというべき事情も発見できなかった。
 そうすると、本願商標は、その指定商品との関係において、商品の品質を表示するものということはできず、かつ、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものということもできない。
 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。


        令和 5年 6月22日

     審判長  特許庁審判官 豊瀬 京太郎
          特許庁審判官 板谷 玲子
          特許庁審判官 田中 瑠美

 
 
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〔審決分類〕T18  .13 -WY (W05)
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上記はファイルに記録されている事項と相違ないことを認証する。
認証日 令和 5年 6月22日  審判書記官  眞島 省二