審決


不服2022-650068

Sudring 11 33647 Bielefeld(DE)
 請求人
SEH Computertechnik GmbH
  
東京都豊島区西池袋5-4-7 池袋トーセイビル5階
 代理人弁理士
高岡 亮一
  
東京都豊島区西池袋5-4-7 池袋トーセイビル5階
 代理人弁理士
小田 直
  
東京都豊島区西池袋5-4-7 池袋トーセイビル5階
 代理人弁理士
會田 悠介
  


 国際登録第1546893号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。



 結 論
  
 本件審判の請求は、成り立たない。



 理 由
  
1 本願商標及び手続の経緯
 本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第9類及び第42類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品及び役務を指定商品及び指定役務として、2020年(令和2年)6月23日に国際商標登録出願されたものである。
 本願は、2021年(令和3年)7月20日付けで暫定的拒絶通報が通知され、同年11月5日付けで手続補正書及び意見書が提出されたが、2022(令和4年)4月4日付けで拒絶査定がされたものである。
 これに対して、令和4年7月12日付けで、拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
 本願商標の指定商品及び指定役務は、原審における上記手続補正書により、第9類「Electric cables; audiovisual receivers; photographic apparatus and instruments; computer software for information technology and audio-visual, multimedia and photographic devices; measuring instruments; detectors; monitoring apparatus; electrical controlling devices; GPS navigation, guidance, tracking, and targeting devices; computer hardware and software for map making; optical devices, enhancers and correctors; pre-recorded compact discs; security alarms; clothing for protection from accidents, irradiation and fire; luminous or mechanical signals.」及び第42類「Information technology [IT] consultancy; scientific and technological research and development; quality testing; authentication of quality; quality control; design services.」と補正された。
  
2 原査定の拒絶の理由の要点
 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5522057号商標(以下「引用商標1」という。)は、「SEH」の文字を標準文字で表してなり、平成23年4月28日に登録出願、別掲4に記載の指定商品及び指定役務を含む商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成24年9月14日に設定登録され、その後、第7類、第9類、第11類、第36類、第37類、第39類、第40類及び第42類の区分について、令和4年4月21日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(2)登録第5522063号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成23年9月12日に登録出願、別掲5に記載の指定商品及び指定役務を含む商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成24年9月14日に設定登録され、その後、第7類、第9類、第11類、第36類、第37類、第39類、第40類及び第42類の区分について、令和4年4月21日に、商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
 以下、引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という場合がある。
 
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
 ア 本願商標
 本願商標は、別掲1のとおり、「dongleserver」の欧文字(「dongle」の部分は黄色。以下「上段の文字」という場合がある。)を大きく、その右下に「by SEH」の欧文字(以下「下段の文字」という場合がある。)を小さく上下二段に書してなるものであるが、上段と下段とは、文字の大きさに顕著な違いがあり、文字の太さ、色彩(二色からなるか、一色からなるか)も違うから、視覚上、「dongleserver」の文字部分と「by SEH」の文字部分とに明確に分離して看取され得るものである。
 そして、本願商標の構成中、上段の文字については、「dongle」の文字が「ドングル(ソフトウェアの複製を防止する装置)」の意味を、「server」の文字が「[コンピュータ]サーバー。データ集配信装置(情報提供側の機器)。」の意味をそれぞれ有するものであり(「ジーニアス英和辞典 第5版」株式会社大修館書店)、また、下段の文字については、「by」の文字が「・・によって、・・による」の意味を有するもの(前掲書)である一方、「SEH」の文字は辞書等に載録のない語であって、特定の意味合いを想起させる語として知られているというような事情も見いだせないものである。
 そうすると、本願商標は、その構成全体をもって、まとまりある具体的な意味合いを認識させるものではなく、他に、本願商標の構成中、上段の文字と下段の文字とを常に一体のものとして把握しなければならない特段の事情は見いだし得ないものである。
 してみると、本願商標は、上段の文字と下段の文字とを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められないものである。
 そして、上段の文字は、上記の意味を有する「dongle」の文字と「server」の文字から構成され、指定商品及び指定役務との関係で、いずれの文字も自他商品役務の識別標識としての機能が弱いといえるから、これらを組み合わせた「dongleserver」の文字全体としても、自他商品役務の識別標識としての機能が弱いといえる。
 他方、下段の文字は、辞書等に載録がなく、特定の意味合いを想起させることのない「SEH」の文字を有するから、上段の文字に比べて、取引者、需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。
 さらに、下段の文字のうち、「by」の文字は、上記のとおり「・・によって、・・による」の意味を有するものであり、この後に、企業、組織等を表す文字が続く場合には、これに接する取引者、需要者をして「by」の文字の後に記載された企業等によって、製造・販売や提供される商品又は役務であることを認識するといえる。
 そうすると、本願商標は、その構成中の下段の文字、更にそのうちの「SEH」の文字部分が取引者、需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を最も与える部分と認められ、これを本願商標の要部として抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。
 したがって、本願商標は、その構成中「SEH」の文字部分から、「エスイーエイチ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
 イ 引用商標
(ア)引用商標1
 引用商標1は、「SEH」の文字を標準文字で表してなるところ、上記アと同様に、「エスイーエイチ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(イ)引用商標2
 引用商標2は、別掲2のとおり、上段に、略楕円形の図形に囲まれた、大きく顕著に表された「SEH」の文字(以下「上段部分」という。)を配し、下段に、小さな文字で表された「Smart Energy House」の文字(以下「下段部分」という。)を配した構成からなるものである。なお、引用商標2は、全体として、青、緑、オレンジ及び灰色の色彩が施されている。
 そして、引用商標2の構成中、上段部分と下段部分とは、図形の有無及び文字の大きさにおいて顕著な差異があるから、両部分は、視覚上、明確に分離して観察され得るものである。
 また、引用商標2は、上段部分と下段部分とを常に一体のものとして把握しなければならない特段の事情は見いだせない。
 そうすると、引用商標2は、上段部分と下段部分とを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められないものである。
 また、上段部分は、下段部分と比べて、略楕円形の図形を有し、「SEH」の文字が大きく顕著に表されているから、取引者、需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものである。
 そうすると、引用商標2は、上段部分を要部として抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。
 したがって、引用商標2は、その上段部分から、「エスイーエイチ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
 ウ 本願商標と引用商標の類否
(ア)外観
 本願商標の要部と引用商標1及び引用商標2の要部とを比較すると、図形の有無及び書体の相違はあるものの、いずれも「SEH」の文字からなるものであるから、近似した印象を与えるものである。
(イ)称呼
 本願商標と引用商標とは、いずれも「エスイーエイチ」の称呼を生じるから、称呼を共通にするものである。
(ウ)観念
 本願商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないから、観念において比較することはできないものである。
(エ)小括 
 以上によれば、本願商標と引用商標とは、観念においては比較できないとしても、外観上近似した印象を与えるものであって、かつ、称呼を共通にするものであるから、その外観及び称呼において、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、全体的に考察すれば、両商標は、商品又は役務の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
 エ 本願商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務との類否について
 本願商標の指定商品及び指定役務中、別掲3に掲げる第9類の指定商品及び第42類の指定役務は、引用商標1の指定商品及び指定役務中、別掲4に掲げる第7類、第9類の指定商品及び第42類の指定役務と同一又は類似の商品及び役務であり、かつ、本願商標の別掲3に掲げる指定商品及び指定役務は、引用商標2の指定商品及び指定役務中、別掲5に掲げる第7類、第9類の指定商品及び第42類の指定役務と同一又は類似の商品及び役務である。
 オ まとめ
 以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、かつ、本願商標は、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似の商品及び役務について使用するものである。
 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
 請求人は、本願商標の構成中、「dongle」及び「server」の文字がそれぞれ意味を有する語であるとしても、これらを組み合わせた「dongleserver」の文字は請求人が作り出した造語であり、特定の明確な意味は有さず、出願人の製品の出所識別標識として機能している旨、大きく表された「dongleserver」の文字を捨象し、「SEH」の文字部分のみを抽出して単独で自他商品識別力を有する要部であるとみなすことはできない旨主張する。
 しかしながら、仮に「dongleserver」の文字は請求人が作り出した造語であるとしても、本願商標の構成中、上段の文字は、「dongle」の文字と「server」の文字とが色彩を異にして表されているため、両文字が視覚上明確に区別され、認識されるものであるから、それぞれの文字(語)の有する意味が明確に認識されるものである。
 そうすると、「dongleserver」の文字全体としても、自他商品役務の識別標識としての機能は弱いというべきである。
 また、上記(1)アのとおり、本願商標の構成中、上段の文字と下段の文字とは、視覚上明確に分離して看取され得ることに加え、これらを常に一体のものとして把握しなければならない特段の事情は見いだし得ないものであるから、両文字を分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているものとは認められないものである。
 そうすると、仮に、「dongleserver」の文字が自他商品役務の識別標識としての機能を果たし得るとしてもなお、下段の文字、更にそのうちの「SEH」の文字を要部として抽出することが許されるというべきである。
 したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
(3)まとめ
 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
 よって、結論のとおり審決する。
 
 
 


        令和 5年 7月24日

     審判長  特許庁審判官 小松 里美
          特許庁審判官 山田 啓之
          特許庁審判官 青野 紀子

 
 
 
 
 
別掲1 本願商標(色彩は、原本を参照。)
 
別掲2 引用商標2(色彩は、原本を参照。)
  
  
別掲3 引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似の本願の指定商品及び指定役務
 第9類「audiovisual receivers; computer software for information technology and audio-visual, multimedia and photographic devices; measuring instruments; detectors; monitoring apparatus; electrical controlling devices; GPS navigation, guidance, tracking, and targeting devices; computer hardware and software for map making; pre-recorded compact discs; security alarms;」(参考訳:オーディオビジュアルレシーバー、情報技術及びオーディオビジュアル・マルチメディア及び写真の装置用のコンピュータソフトウェア、測定用具、検出探知装置(測定機械器具)、モニター付監視装置(検査)、電気制御装置、GPSナビゲーション用・誘導用・追跡用及び標的化用の装置、地図作成用のコンピュータハードウェア及びソフトウェア、記録済みコンパクトディスク、警報器)
 第42類「Information technology [IT] consultancy; scientific and technological research and development; quality testing; authentication of quality; quality control;」(参考訳:情報技術(IT)に関する助言、科学的及び技術的な研究及び開発、品質試験、品質の認証、品質管理)
 
 
別掲4 本願の指定商品及び指定役務と同一又は類似の引用商標1の指定商品及び指定役務
 第7類「コージェネレーション機能を有する発電装置,発電装置,起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機」
 第9類「燃料電池による発電装置,太陽電池による発電装置,燃料電池,太陽電池,整流器,コンセント,蓄電器,インバータ,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,通信用コンセント,遠隔測定制御機械器具,モニター付監視装置,電気通信機械器具,電子計算機用プログラム,電子応用機械器具及びその部品,ガス使用量表示機能・ガス使用料金表示機能を備えたガス使用量測定器,水道使用量表示機能・水道使用料金表示機能を備えた水道使用量測定器,熱使用量表示機能・熱使用料金表示機能を備えた熱使用量測定器,測定機械器具,電力使用量表示機能・電力使用料金表示機能を備えた電力使用量測定器,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器」
 第42類「省エネルギーに関するコンサルティング,省エネルギー及び省コストの側面からのエネルギーの有効利用に関する分析及び診断,省エネルギー及び省コストの側面からのエネルギーの有効利用に関する情報の提供,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,機械器具に関する試験又は研究,インターネットのホームページ及び電子掲示板を用いた技術情報の提供」
 
 
別掲5 本願の指定商品及び指定役務と同一又は類似の引用商標2の指定商品及び指定役務
 第7類「コージェネレーション機能を有する発電装置,発電装置,起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機」
 第9類「燃料電池による発電装置,太陽電池による発電装置,燃料電池,太陽電池,整流器,コンセント,蓄電器,配電用又は制御用の機械器具,インバータ,回転変流機,調相機,遠隔測定制御機械器具,モニター付監視装置,通信用コンセント,複数の需要家間におけるそれぞれの電力生産量・消費量に応じて電力生産・供給量を互いに調整し融通するネットワークシステムに利用する電気通信機械器具,複数の需要家間におけるそれぞれの熱生産量・消費量に応じて熱生産・供給量を互いに調整し融通するネットワークシステムに利用する電気通信機械器具,その他の電気通信機械器具,複数の需要家間におけるそれぞれの電力生産量・消費量に応じて電力生産・供給量を互いに調整し融通するネットワークシステムに利用する電子応用機械器具,複数の需要家間におけるそれぞれの熱生産量・消費量に応じて熱生産・供給量を互いに調整し融通するネットワークシステムに利用する電子応用機械器具,その他の電子応用機械器具及びその部品,測定機械器具,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,電子出版物」
 第42類「省エネルギーに関するコンサルティング,省エネルギー及び省コストの側面からのエネルギーの有効利用に関する分析及び診断,省エネルギー及び省コストの側面からのエネルギーの有効利用に関する情報の提供,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,複数の需要家間におけるそれぞれの電力生産量・消費量に応じて電力生産・供給量を互いに調整し融通するネットワークシステムに関する試験又は研究,複数の需要家間におけるそれぞれの熱生産量・消費量に応じて熱生産・供給量を互いに調整し融通するネットワークシステムに関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,機械器具に関する試験又は研究,インターネットのホームページ及び電子掲示板を用いた技術情報の提供」
 
 
 
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示)                この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。         
(この書面において著作物の複製をしている場合の御注意)        本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
  
審判長 小松 里美          
 出訴期間として在外者に対し90日を附加する。


〔審決分類〕T18  .261-Z  (W0942)
            262
            263

上記はファイルに記録されている事項と相違ないことを認証する。
認証日 令和 5年 7月24日  審判書記官  奥村 恵子