審決


不服2022-650076

10 UBI CRESCENT, #04-19 UBI TECHPARK Singapore 408564(SG)
 請求人
ORIGGIN PTE. LTD.
  
東京都千代田区九段北一丁目12番4号 徳海屋ビル2階3号室 テックロー特許法律事務所
 代理人弁理士
亀卦川 巧
  
1 FUSIONOPOLIS WAY, CONNEXIS #21-10 Singapore 138632(SG)
 請求人
AGENCY FOR SCIENCE, TECHNOLOGY AND RESEARCH
  
東京都千代田区九段北一丁目12番4号 徳海屋ビル2階3号室 テックロー特許法律事務所
 代理人弁理士
亀卦川 巧
  


 国際商標登録第1552076号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。



 結 論
  
 本件審判の請求は、成り立たない。



 理 由
  
第1 本願商標及び手続の経緯
 本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第35類及び第36類に属する日本国を指定する国際登録において指定された役務を指定役務として、2020年6月29日に国際商標登録出願されたものである。
 本願は、2021年10月15日付け暫定拒絶の通報がされ、令和4年1月21日付けで意見書が提出され、同日付け手続補正書により、本願の指定役務は、別掲2に記載のとおりの役務(以下「原審補正役務」という。)に補正されたが、2022年4月26日付けで拒絶査定がされ、これに対し、令和4年8月10日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
 
第2 引用商標
 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第4475386号商標(以下「引用商標」という。)は、「VCC」の文字を標準文字で表してなり、平成12年6月14日に登録出願、第35類及び第41類に属する別掲3に記載のとおりの役務を指定役務として、同13年5月18日に設定登録され、この商標権は、現に有効に存続しているものである。
 
第3 原査定の拒絶の理由の要旨
 原査定は、本願商標と引用商標は、両商標の全体の外観は相違するものの、本願商標の要部である「VCC」の文字と引用商標とは、観念において比較できないとしても、「VCC」のつづりを同じくし、「ブイシイシイ」の称呼を共通にする類似の商標であり、原審補正役務と引用商標に係る指定役務とは同一又は類似の役務を含むものであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
 
第4 当審の判断
 1 商標法第4条第1項第11号の該当性について
(1)本願商標について
 本願商標は、別掲1のとおり、「VCC」の欧文字(以下「本願VCC」という。)とその下に一行分の空白をあけて「Venture Co-Creation」の欧文字(以下「Venture Co-Creation」という。)を2段に横書きしてなるところ、「本願VCC」と「Venture Co-Creation」は、重なることなく配置されていることからすると、それぞれが、視覚上、分離して看取、把握され得るものであって、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているとはいえないものである。
 また、「本願VCC」と「Venture Co-Creation」より生じる「ブイシイシイベンチャーコークリエーション」の称呼は、やや長く、よどみなく一連に称呼し得るとはいい難いものである。
 さらに、「本願VCC」は、「Venture Co-Creation」の各語の頭文字である「V」、「C」及び「C」を結合したと認識する場合があるとしても、「VCC」の欧文字は、特定の意味合いを想起させる語ではない。
 一方、「Venture Co-Creation」は、「Venture」が「新興企業」の意味を有し(「現代用語の基礎知識2020」株式会社自由国民社発行)、「Co-Creation」が「共創」の意味を有する語(goo辞書「デジタル大辞泉」)であるから、構成全体として「新興企業の共創」といった企業理念のような意味合いを理解させる語であることから、原審補正役務との関係において、当該文字が、「本願VCC」と比べて、強い自他役務の識別標識としての機能を有するとはいい難く、また、「本願VCC」と「Venture Co-Creation」との間に観念的な関連性は見いだせない。
 そうすると、本願商標は、引用商標との類否を判断するに当たって、本願商標の構成中の「本願VCC」を要部として抽出し、これのみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
 したがって、本願商標は、その構成中の「本願VCC」に相応した「ブイシイシイ」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標について
 引用商標は、「VCC」の文字を標準文字で表してなるものであるから、その構成文字に相応して「ブイシイシイ」の称呼が生じ、当該欧文字は、特定の意味合いを想起させる語ではないことから、特定の観念を生じないものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
 本願商標と引用商標とを対比すると、両商標は、構成全体を見た場合、「Venture Co-Creation」の文字の有無に明らかな差異があることから、これらは外観において相違するものの、本願商標の要部である「本願VCC」と引用商標とは、「VCC」のつづりを共通にすることから、これらは外観において類似するものである。
 また、本願商標の要部である「本願VCC」より生じる「ブイシイシイ」の称呼と引用商標より生じる「ブイシイシイ」の称呼は同一であることから、両商標は、称呼を共通にするものである。
 そうすると、本願商標の要部と引用商標は、いずれも特定の観念が生じないため、観念において比較し得ないものの、外観において類似し、称呼を共通にする相紛れるおそれのある類似の商標であるから、本願商標と引用商標は、類似の商標と判断するのが相当である。
(4)原審補正役務と引用商標に係る指定役務の類否について
 原審補正役務中の第35類「Business consultancy; provision of business information relating to joint ventures; business management.」は、引用商標に係る指定役務中の第35類「経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理」と同一又は類似の役務である。
(5)小括
 以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、原審補正役務は、引用商標に係る指定役務と類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
 2 請求人の主張について
 請求人は、本願商標は「本願VCC」と「Venture Co-Creation」が一行分の空白を介して表されているが、これらが著しく離れているとまではいえないこと、「本願VCC」は「Venture Co-Creation」の略称であると容易に理解することができ、観念上のつながりもあること、「ブイシイシイベンチャーコークリエーション」という称呼も一気に称呼できることから、本願商標は一体不可分のものであり、本願商標と引用商標を対比すると、外観・称呼及び観念の全てが異なる旨主張する。
 しかしながら、上記1のとおり、「本願VCC」と「Venture Co-Creation」との間には一行分の空白を有し、重なることなく配置されていることからすると、それぞれが、視覚上、分離して看取、把握され得るものであって、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているとはいえないものであること、本願商標の構成文字全体より生じる「ブイシイシイベンチャーコークリエーション」の称呼は、やや長く、よどみなく一連に称呼し得るとはいい難いこと、「Venture Co-Creation」は、構成全体として「新興企業の共創」といった企業理念のような意味合いを理解させる語であることから、原審補正役務との関係において、「本願VCC」と比べて、強い自他役務の識別標識としての機能を有するとはいい難いことに加え、「本願VCC」と「Venture Co-Creation」との間に観念的な関連性は見いだせないことから、本願商標は、引用商標との類否を判断するに当たって、本願商標の構成中の「本願VCC」を要部として抽出し、これのみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
 そして、本願商標の要部と引用商標は、観念において比較し得ないものの、外観において類似し、称呼を共通にする相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
 よって、請求人の上記主張は、採用することができない。
3 まとめ
 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
 よって、結論のとおり審決する。


        令和 5年 6月29日

     審判長  特許庁審判官 豊田 純一
          特許庁審判官 杉本 克治
          特許庁審判官 岩谷 禎枝

 
 
別掲1(本願商標)
 
別掲2(原審補正役務)
 第35類「Business consultancy; provision of business information relating to joint ventures; business management.」
 第36類「Venture capital funding services to emerging and start-up companies; venture capital fund management; venture capital funding services for universities; venture capital funding services for inventors; venture capital financing; venture capital funding services for companies; venture capital funding services for research institutions; venture capital funding services for commercial entities.」
 
別掲3(引用商標の指定役務)
 第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,財務書類の作成,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,書類の複製,速記,筆耕,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,文書又は磁気テープのファイリング,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与」
 第41類「展示会及び博覧会の企画・運営又は開催,技芸・スポーツ又は知識の教授,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,相撲の興行の企画・運営又は開催,ボクシングの興行の企画・運営又は開催,野球の興行の企画・運営又は開催,サッカーの興行の企画・運営又は開催,競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,当せん金付証票の発売,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,興行場の座席の手配,映写機及びその附属品の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,スキー用具の貸与,スキンダイビング用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与」
 
 
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示)                この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。                 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意)        本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
  
審判長 豊田 純一          
 出訴期間として在外者に対し90日を附加する。


〔審決分類〕T18  .261-Z  (W3536)
            262
            263

上記はファイルに記録されている事項と相違ないことを認証する。
認証日 令和 5年 6月29日  審判書記官  奥村 恵子