審決


不服2021-650059

10 rue Mercoeur F-75011 PARIS(FR)
 請求人
EOS IMAGING
  
東京都千代田区丸の内1丁目6番6号 日本生命丸の内ビル 協和特許法律事務所
 代理人弁理士
中村 行孝
  
東京都千代田区丸の内1丁目6番6号 日本生命丸の内ビル 協和特許法律事務所
 代理人弁理士
宮嶋 学
  
東京都千代田区丸の内1丁目6番6号 日本生命丸の内ビル 協和特許法律事務所
 代理人弁理士
本宮 照久
  
東京都千代田区丸の内1丁目6番6号 日本生命丸の内ビル 協和特許法律事務所
 代理人弁理士
砂山 麗
  


 国際登録第1521420号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について,次のとおり審決する。



 結 論
  
 本件審判の請求は、成り立たない。



 理 由
  
1 手続の経緯
 本願は、2020年(令和2年)2月5日の国際商標登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
 2021年(令和3年)4月9日付け :暫定拒絶通報
 2021年(令和3年)7月26日  :意見書の提出
 2021年(令和3年)8月18日付け:拒絶査定
 2021年(令和3年)12月2日  :審判請求書の提出
 
2 本願商標
 本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第10類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品(第10類「Apparatus and instruments for diagnostics for medical use; medical imaging apparatus; medical x-ray imaging instrument.」)を指定商品として、2019年8月7日にFranceにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、上記1のとおり、国際商標登録出願されたものである。
 
3 原査定の拒絶の理由の要点
 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第2310134号商標(以下「引用商標」という。)は、「EOS」の文字を横書きしてなり、昭和60年7月25日登録出願、第5類「医療用腕輪」及び第10類「医療用機械器具」並びに第1類、第9類、第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年5月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
 
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
 ア 結合商標の類否判断に関する規範について
 複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認められる場合においては、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して類否を判断することは、原則として許されないが、その場合であっても、商標の構成部分の一部が取引者又は需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じない場合などには、商標の構成部分の一部だけを取り出して、他人の商標と比較し、その類否を判断することが許されるものと解される(最高裁昭和37年(オ)第953号判決、最高裁平成3年(行ツ)第103号判決、最高裁平成19年(行ヒ)第223号判決、知財高裁令和元年(行ケ)第10171号判決参照)。
 イ 商標の類否
(ア)本願商標
 本願商標は、別掲のとおり、ややデザイン化した書体で横書きした「EOS」の文字の右側上部に、斜線を介して、小さく「edge」の文字(「e」の一部分は斜線により欠けている。以下同じ。)、を配してなるところ、「EOS」の文字部分は、斜線部分及び「edge」の文字部分に比して、約3倍以上の大きさで表してなり、両文字部分の書体も統一されたものとはいえず、斜線も両文字部分を区分する機能を果たしていると見えることから、「EOS」の文字部分とその余の部分は、外観上、分離して看取されるものである。
 そうすると、本願商標の外観の構成は、分離観察を不可能とするほどの一体性を有しているとは認められない。
 そして、その構成中の「EOS」の文字は、特定の意味を認識させない造語であると認められる一方で、「edge」の文字は、「端、縁」(「ジーニアス英和辞典第5版」株式会社大修館書店)の意味を有する語であるから、「EOS」の文字部分と「edge」の文字部分には、観念上のつながりも見いだせない。
 以上によれば、本願商標は、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められないから、分離観察をすることも許されるものというべきところ、その構成中の「EOS」の文字部分は、上記のとおり、その余の部分の約3倍以上の大きさで表してなり、目立つものである上に、自他商品識別力も有するといえるから、この部分を要部として分離、抽出し、これと他人の商標とを比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。
 したがって、本願商標は、その要部である「EOS」の文字部分に相応して、「イーオーエス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(イ)引用商標
 引用商標は、上記3のとおり、「EOS」の文字を横書きしてなるところ、当該文字は、特定の意味を認識させない造語であると認められるから、引用商標は、その構成文字に相応して、「イーオーエス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(ウ)本願商標と引用商標の類否
 本願商標と引用商標を比較すると、外観においては、本件商標の要部と引用商標とは、書体が異なるものの、「EOS」のつづりを共通にするものであるから、両者は、外観上、近似するものである。
 次に、称呼においては、本件商標の要部と引用商標とは、いずれも、「イーオーエス」の称呼を生じるものであるから、両者は、称呼上、同一である。
 さらに、観念においては、本件商標の要部と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両者は、観念上、比較することができない。
 そうすると、本願商標と引用商標は、観念上比較することができないものの、外観上近似するものであって、称呼上同一であるから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は、互いに紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
 ウ 本願商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否
 本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品中の第5類「医療用腕輪」及び第10類「医療用機械器具」と、同一又は類似の商品である。
 エ 小括
 上記アないしウによれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、かつ、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。
 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)まとめ
 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
 よって、結論のとおり審決する。
 


        令和 5年 8月18日

     審判長  特許庁審判官 小松 里美
          特許庁審判官 鈴木 雅也
          特許庁審判官 渡邉 あおい

 
 
別掲 本願商標
 
 
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示)                この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。                 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意)        本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
  
審判長 小松 里美          
 出訴期間として在外者に対し90日を附加する。


〔審決分類〕T18  .261-Z  (W10)
            262
            263

上記はファイルに記録されている事項と相違ないことを認証する。
認証日 令和 5年 8月18日  審判書記官  奥村 恵子