審決


不服2022-650051

1/288 Nell Street Watsonia VIC 3087(AU)
 請求人
Apperley Holdings Pty. Ltd.
  
東京都豊島区南大塚2丁目37番11号 大房・谷山商標特許事務所
 代理人弁理士
谷山 尚史
  


 国際登録第1512134号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。



 結 論
  
 本件審判の請求は、成り立たない。



 理 由
  
1 手続の経緯
 本願は、2019年(令和元年)8月2日にAustraliaにおいてした商標登録出願に基づいて、パリ条約第4条による優先権を主張し、同年12月10日に国際商標登録出願されたものであって、その手続の経緯は、以下のとおりである。
 2021年(令和3年)3月10日付け:暫定拒絶通報
 2021年(令和3年)9月27日  :意見書、手続補正書の提出
 2021年(令和3年)9月30日  :物件提出書の提出
 2022年(令和4年)3月10日付け:拒絶査定
 2022年(令和4年)6月23日  :審判請求書の提出
 
2 本願商標
 本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第3類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品を指定商品として国際商標登録出願され、その後、本願の指定商品については、原審における前記1の手続補正により、第3類「Plant-based soaps made in Australia」に補正されたものである。
 
3 原査定の拒絶の理由(要点)
 本願商標は、上方右寄りににゴシック体で「AUSTRALIAN」の文字を、その下方に大きく「Botanical」の文字を、また、その右寄り下方に「Soap」の文字を、それぞれ手書き風の書体で表してなるところ、その構成中「AUSTRALIAN」は「オーストラリアの」、「Botanical」は「植物の、植物から作られた、植物性の」を、そして、「Soap」は「せっけん」を、それぞれ意味する語である。
 また、本願の指定商品を取扱う業界においては、植物由来の成分から作られたせっけんを表すものとして、「Botanical Soap」のカタカナ表記である「ボタニカルソープ」の語が一般に使用されている実情が認められる。
 そうすると、本願商標は全体として「オーストラリアの、植物から作られたせっけん(植物性のせっけん)」程の意味合いを容易に認識させるから、これを本願の指定商品に使用するときには、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。
 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
 
4 当審においてした審尋
 当審において、請求人に対し、令和5年2月21日付けで、別掲2ないし別掲4に示すとおりの用例を提示した上で、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するとする旨の見解を示した審尋を発し、期間を指定して、これに対する回答を求めた。
 
5 審尋に対する請求人の意見
 請求人は、前記4の審尋に対し、指定した期間内に何ら意見を述べていない。
 
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
 本願商標は、別掲1のとおりの構成からなるところ、当該態様は、「オーストラリアの」の意味を有する「AUSTRALIAN」の文字(「ジーニアス英和辞典 第5版」株式会社大修館書店)をゴシック体の書体で表したものと、「植物の」の意味を有する「Botanical」の文字及び「石けん」の意味を有する「Soap」の文字(前掲書)を手書き風の書体(一部かすれたように表されている。)で表したものとを組み合わせた構成からなると容易に認識されるものであるから、本願商標は、その構成全体をもって「オーストラリアの植物性石けん」ほどの意味合いを理解、認識させるものである。
 そして、本願の指定商品である「Plant-based soaps made in Australia」を含む石けんを取り扱う業界において、植物由来成分を配合した石けんを指称する語として、「Botanical Soap」の文字が一般に広く使用されていることが認められる(別掲2)。
 さらに、商取引において標章のデザイン化は一般に広く行われるものであるところ、石けんを取り扱う業界においても、欧文字で表した標章を、手書き風の書体で表すこともあると認められる(別掲3)。
 加えて、手書き風の既存の書体を用いて「Botanical Soap」の文字を表した場合、別掲4のとおりの態様となる事実が確認できる。
 上記実情を踏まえると、本願商標の書体は、特段特殊なものとはいえず、その構成態様もありふれたものの域を出るものではないから、本願商標は、「AUSTRALIAN」、「Botanical」及び「Soap」の文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものということができる。そして、本願商標をその指定商品である「Plant-based soaps made in Australia」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その構成全体をもって「オーストラリアの植物性石けん」ほどの意味合いを表したもの、すなわち商品の品質を表したものと認識するにとどまり、これを商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないというべきである。
 してみれば、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
 請求人は、証拠を提出し、仮に、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、現実に使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものに該当するに至っており、同条第2項に規定する要件を具備する旨主張する。
 しかしながら、証拠によれば、本願商標が包装箱に付されたオーストラリア産の石けん(以下「使用商品」という。)が、我が国において流通していることはうかがえる(甲5、甲9、甲10、ほか)ものの、使用商品の「商品の詳細」においては「オーストラリアン・ボタニカル・ソープは、2006年に設立されたオーストラリアのファミリービジネスです。」(甲5)程度の記載にとどまることや、第三者が使用商品を紹介するウェブページにおいては「製造販売元がコストコホールセールジャパンになっている」(甲16。同様の記載は甲12にもあり。)との記載が見られることから、我が国の需要者の間において、使用商品と請求人との関連が明らかではないことが認められる。
 また、請求人は、2019年ないし2022年6月の期間に、使用商品を日本に輸出したとして「Sales Register Detail[All Sales]」(甲4)を提出するが、当該一覧表には本願商標の記載はなく、その他、使用商品の我が国における売上高、市場シェアなどの販売実績や、広告宣伝の事実を示す具体的な証左は見いだせない。
 そうすると、本願商標は、請求人提出の証拠によっては、我が国の需要者の間において、請求人の業務に係る商品を表示する商標として、広く認識されるに至っているものとは認められない。
 したがって、本願商標は、請求人により使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとはいえず、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
(3)まとめ
 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、かつ、同条第2項に規定する要件を具備するものとも認められないから、登録することができない。
 よって、結論のとおり審決する。


        令和 5年 8月22日

     審判長  特許庁審判官 高野 和行
          特許庁審判官 小俣 克巳
          特許庁審判官 石塚 利恵

 
別掲1 本願商標
 
別掲2 石けんを取り扱う業界における「Botanical Soap」の用例
(1)「GPPオンラインショップ」のウェブサイトにおいて、「フレッシュデリーナ ボタニカルソープ ストロベリー」の見出しの下、「きめ細やかなふっくらとした泡立ちで、肌をやさしく洗い上げる植物性石けんです。」の記載とともに、「Botanical Soap」及び「ボタニカルソープ」の文字が表された商品の包装箱の写真が掲載されている。
https://www.gpp-shop.com/shop/g/g10403001/
(2)「Amazon」のウェブサイトにおいて、「サトリ ボタニカルソープ フェイシャルソープ」の見出しの下、「プロポリス由来の薄茶色の泡でしっかり洗い上げます。・・・石ケン素地には植物性油脂を使用しており、防腐剤、パラベン、酸化防止剤、合成着色料は無添加です。」の記載とともに、「BOTANICAL SOAP」の文字が表された商品の包装箱の写真が掲載されている。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0731CMM6T
(3)「プインプル化粧品」のウェブサイトにおいて、「ボタニカルソープ[シトラスフローラルの香り]」の見出しの下、「こだわりの「ボタニカル」 「石油系界面活性剤」不使用。こだわりの日本産植物由来成分配合」として、「柿タンニン」、「炭」、「玄米核酸抽出液」、「シークワサー」、「茶葉発酵液」等の記載とともに、「Botanical Soap」の文字が表された商品の包装容器の写真が掲載されている。
puinpul.co.jp/?pid=142019611
(4)「The Apoke 植物採集」のウェブサイトにおいて、「【1月】薔薇石鹸 Botanical soap」の見出しの下、「つばき油、オリーブ油を高配合したオレイン酸豊富なBotanical soapは製造からパッケージまで一貫した手作りです。・・・薔薇はローズペダルをブレンドしたやわらかなグラデーション。」の記載がある。
https://store.the-apoke.com/items/65675387
 また、同ウェブサイトにおいて、「【1月】緑茶クレイ石鹸 Botanical soap」の見出しの下、「つばき油、オリーブ油を高配合したオレイン酸豊富なBotanical soapは製造からパッケージまで一貫した手作りです。・・・緑茶と国産クレイを使った新しい緑茶石鹸は深く美しいグリーンがまるで宝石のよう。」の記載がある。
https://store.the-apoke.com/items/65675299
 
別掲3 石けんを取り扱う業界において手書き風の書体で表された標章の用例
(1)「Nature Ave.」のウェブサイトにおいて、「【LA SOCIETE PARISIENNE DE SAVONS】パリジェンヌ ドゥ サボン フレグランスソープS(BOX入り)50g/フランス製」の見出しの下、以下の画像が掲載されている。
https://www.lala-nature.net/product/1517
 
(2)「PAL CLOSET」のウェブサイトにおいて、「【La Maioliche】リキッドハンドソープ」の見出しの下、以下の画像が掲載されている。
https://www.palcloset.jp/display/item/PVZ1002618A0006/?b=proseverse
 
(3)「Amazon」のウェブサイトにおいて、「北海道発 オリーブ 無添加 石鹸(洗顔 全身 敏感肌 保湿 オーガニック 手作り 天然素材 固形 せっけん 110g Minimal Eco Life)(天然オレンジ)」の見出しの下、以下の画像が掲載されている。
https://www.amazon.co.jp/dp/B08TWJ5499
 
別掲4 手書き風の既存の書体を用いて「Botanical Soap」の文字を表した用例
(1)「MyFonts」のウェブサイトにおいて、「Redkitレギュラー」の書体を用いて「Botanical Soap」の文字を表すと、以下のような態様となる。
https://www.myfonts.com/products/regular-redkits-17597
(2)「MyFonts」のウェブサイトにおいて、「ステイチルレギュラー」の書体を用いて「Botanical Soap」の文字を表すと、以下のような態様となる。
https://www.myfonts.com/products/regular-stay-chill-2721
 
(上記イメージ図の色彩等の詳細については、それぞれ記載したURLを参照のこと。)
 
 
 
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示)                この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。                 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意)        本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
  
審判長 高野 和行          
 出訴期間として在外者に対し90日を附加する。


〔審決分類〕T18  .13 -Z  (W03)
            17

上記はファイルに記録されている事項と相違ないことを認証する。
認証日 令和 5年 8月22日  審判書記官  奥村 恵子